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『SDL Trados Studio認定について』

2015/01/25

特集:2015年は IT Competenceを鍛えて、
     翻訳のグローバルマーケットへ!!  

第4回 
SDL Trados Studio認定について

佐藤弦 : SDLジャパン株式会社 シニア セールス エグゼクティブ


■翻訳支援ツールの浸透
 
Trados社が翻訳メモリ製品であるTranslator’s Workbenchをリリースしたのは1994年です。それから20年の間に、コンピュータは我々の生活に深く浸透しました。翻訳も例外ではなく、多くの現場で紙やファックスのやり取りから、データのやり取りに移行しています。
 
その間、翻訳支援ツールも少しずつ受容されていきます。最初に翻訳支援ツールの使用を始めたのはIT業界です。IBMやマイクロソフトという会社が主体となり、翻訳支援ツールを活用することで翻訳コストの削減を実現します。それに続いて、電気製品、自動車、医療機器、特許などの分野に広がっていきました。日本でも翻訳支援ツールの活用は活発で、SDL Trados Studioの販売市場としては、ドイツに続き第2の規模となっています。
 
現在では、分野に関わらず多くの翻訳者が翻訳支援ツールを使用しています。お陰様でSDL Trados Studioは非常に高い業界シャアを維持させて頂いており、2009年のSDL Trados Studioのリリース以来、現在までに世界中で20万以上のライセンスを販売してきました。
 
※SDLは2005年にTrados社を買収し、2008年まではTranslator’s WorkbenchおよびTag Editorの後継機を、2009年からはそのテクノロジを活かして新たに開発したSDL Trados Studioを開発および販売しています。
 
 
■翻訳支援ツールと教育
 
Trados社のTranslator's Workbenchのリリース以降、翻訳支援ツールの機能は改善され続けています。現在でもSDL Trados Studioの新しいバージョンがリリースされる度に、サポートされるファイル形式が増えたり、品質管理機能や翻訳を効率化する機能が追加されたりしています。
 
翻訳支援ツールが高機能化することで、翻訳の効率化や、用語や文体の統一など機械による品質面での支援は充実していきますが、その反面、翻訳支援ツールを使いこなすことが難しくなります。これを解決するためにSDLが作ったのが認定プログラムです。翻訳支援ツール使用のワークフロー、機能説明、翻訳者の細かな要求に対応するオプション設定などを説明するトレーニングやテキスト、理解度を確認するための試験を企画および販売しています。これによりSDL Trados Studioを使用するのに必要な知識が体系化され、また、それを習得したことを他者に明示できる仕組みを構築しています。
 
認定プログラムと並んでSDLが力を入れているのがパートナー プログラムです。これまでに世界中の90に及ぶ大学法人と協力して、翻訳支援ツールを学習するためのコースを設置してきました。
 
 
■SDL Trados Studio認定
 
既に述べたように、SDL Trados Studio認定はテキストと試験のセットになっています。また、SDL Trados Studio認定のテキストを使用したトレーニングも実施しています。SDL Trados Studio認定の認定資格は5つに分かれていますので、各資格の概要をまとめさせていただきます。
 
SDL Trados Studio初級:
 翻訳支援ツールの概要を説明した後で、MS Officeのファイルを開いて翻訳する演習です。
SDL Trados Studioを使用した翻訳の基本手順を学習します。また、SDL Trados Studioを使用する際に必要となる翻訳メモリや用語ベースの作成方法も簡単に説明します。
 
SDL Trados Studio中級:
 検証、ファイルの結合、変更履歴など、より高度な機能について説明します。
これらの機能は翻訳者が使用することもありますが、認定資格ではレビュー担当者が使用することを想定してプログラムに組み込まれています。
 
SDL Trados Studio上級:
 翻訳メモリのメンテナンス、XMLファイル翻訳時の設定、検証のカスタマイズなど、継続性があるプロジェクトをより効率的に行う際に使用する詳細設定について説明します。
 
SDL Trados Studioプロジェクト マネージャー:
 SDL Trados Studioでのプロジェクトの作成方法について説明します。
SDL Trados Studio認定では、プロジェクト マネージャーは「実際に翻訳を行うことはない人」という位置づけになります。プロジェクト マネージャーが翻訳を行うケースもある場合には、「SDL Trados Studio初級」を受講することを推奨します。
プロジェクト マネージャーがこのコースを修了した後、更にSDL Trados Studioの学習を続ける場合には、「SDL Trados Studio中級」に進みます。
 
SDL MultiTerm:
 SDL Trados Studioで使用する用語ベースについて詳細に説明します。
SDL MultiTermとは、SDL Trados Studioに付属するプログラムで、用語ベースを作成したり編集したりするのに使用します。
 
 
■最後に
 
翻訳会社でもあるSDLは、翻訳者の社会的な地位の向上を目指しています。SDL Trados Studio認定やパートナー プログラムを企画して、知識の体系化と翻訳支援ツールの周知を行っているのは、翻訳支援ツールのリーディング カンパニーとして、実務翻訳のスタンダードを作ろうとしているためです。それには翻訳者の皆様のご協力が必要となりますので、今後もご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

 

佐藤弦
1999年より外資系翻訳会社で様々な仕事を経験した後、2009年にSDLジャパンに入社。
SDL Trados Studio、SDL Studio GroupShareなどの製品の法人担当営業として、
セミナーでの講演や顧客の運用支援を行う。