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『翻訳支援ツール活用スキルを鍛える』

2015/01/25

特集:2015年は IT Competenceを鍛えて、
     翻訳のグローバルマーケットへ!!  

第4回 
翻訳支援ツール活用スキルを鍛える

小室誠一 : バベル翻訳大学院(USA) IT COMPETENCE科目 専任インストラクター


読者の皆さんは、「翻訳支援ツール」とは何かを説明できますか?

「翻訳作業に役立つツール」と広く解釈すれば、テキストエディタやワープロソフトから辞書ソフト、翻訳メモリツール、機械翻訳ソフト、校閲ソフト、音声認識ソフト、OCRなど、きりがありません。
ICTの活用で先端を行くローカライズ翻訳の世界では、翻訳支援ツールは「CATツール」として、共通の認識があります。

CATとは、Computer Aided/Assisted Translationの略語ですが、CATTOOLS.ORG (http://www.cattools.org/)の定義を見てみると、

CAT is a form of translation wherein a human translator translates texts using computer software designed to support and facilitate the translation process.

人間の翻訳者が、翻訳プロセスをサポートし効率化するソフトウエアを使用してテキストを翻訳する一形態、となっています。

つまり、CATツールは、翻訳プロセスをサポートし効率化するソフトウエアということになります。(従って、この意味では、訳文出力がメインの(自動)翻訳ソフトはCATツールではありません)。

翻訳プロセスとは、原文ファイルから翻訳対象テキストを抽出し、分析してワードカウントし、センテンス単位に分割して翻訳用ファイルを作成し、翻訳メモリと用語集の自動検索を利用して翻訳し、翻訳が完了したらQA(検証)機能を使ってレビューを行い、最終的に元の形式で訳文ファイルを生成するというのが一般的です。

この翻訳プロセスを総合的に支援するのがCATツールです。主なものに、SDL Trados、MemoQ、Passolo、Catalyst、WordFast、OmegaTなど数多くのソフトウエアがあります。
これらは、翻訳者が個人的に単独で利用するというより、クライアントの翻訳管理システムの一環として導入されているので、翻訳者としては、好き嫌いに関係なく、案件に応じてこれらのツールを自在に使い分けるスキルが必要となります。

とは言っても、ローカライズの場合、翻訳プロセス自体はほとんど標準化されているので、それを支援するツールの機能もそれほど大きな違いはありません。
従って、どれか代表的なCATツールの使い方をしっかり覚えておけば、どのツールでもすぐに使いこなせるようになります。その場合、できるだけ業界で多く使われている、機能の充実したソフトを選ぶことが大切です。大勢が利用すれば、活用ノウハウやアドインも充実します。
最近では、クラウド型も含めてCATツールも色々なものが使われるようになってきましたが、まだまだSDL Tradosがシェアのトップを占めているのは間違いないでしょう。

2月開講の「CATツール活用のための翻訳テクニック」で、ローカライズ翻訳の業務フローと訳文作成のコツを学んだら、CATツールの必要性を十分に認識されるでしょう。
効率よく翻訳するにはどうするか、訳文をしっかりチェックするにはどうするか、このような問題意識を持ったら、次にCATツールに目を向けてください。必要性を感じる前にCATツールの使い方を学んでもほとんど役に立ちません。

4月開講予定の「グローバル翻訳のためのCATツール活用講座」はそのような問題意識を持った方のために企画しました。
この講座は、すでにローカライズ翻訳の業務フローと訳文作成のコツがしっかり身に付いていることを前提にして、代表的なCATツールの SDL Trados Studio 2014 の基本的な使い方を学ぶコースです。

SDL Trados Studio 2014は、翻訳生産プロセスを総合的に支援するソフトウエアなので、クライアント、PM、翻訳者、レビューアの業務に対する多種多様な機能が一つにまとまっています。
そのため、翻訳者が使用する場合に、どの機能をどのように使ったらよいのかが分かりにくく、特に初心者には敷居が高いと思われます。

「グローバル翻訳のためのCATツール活用講座」では、PMから受け取ったファイルを開いて、翻訳メモリや用語集を活用しながら翻訳し、QA機能を使って訳文をチェックし、納品するという、翻訳者として必要最小限の実践的なスキルをしっかり身に付けて、ローカライズ翻訳プロジェクトの一員として作業できるようにすることを目標としています。また、SDL Trados Studio認定テスト対策としても役立ちます。

<学習項目の一例>(予定)

  CATの概要
●翻訳メモリの概要
●用語ベースの概要
●機械翻訳について
 
  SDL Trados Studio 2014の使い方
●ユーザーインターフェイスの概要
●各種設定
●一つの文書の翻訳
●翻訳メモリ、用語ベースの選択
●翻訳編集機能(セグメント間の移動/用語の挿入/翻訳の確定/完全一致文の再利用/TMの訳語検索/書式の適用/タグの挿入/ファイルのプレビューなど)
●翻訳の保存
●ローカライズプロセスでの利用法
●SDL Trados Studioプロジェクトパッケージ
●翻訳メモリの作成(整合)
●用語ベースの作成
 
  その他のツール概要
●その他のCATツール
●QAツール
●日本語校閲ツール
●テキストエディタ
 
  さらに効率化を図るために
●マルチステップ翻訳処理の考えかた
 
現在では、CATツールはローカライズ翻訳だけでなく、さまざまな分野で利用されてきています。特に、グローバルな翻訳ビジネスの舞台で活躍するためには必須のツールです。皆さんも、CAT活用スキルをしっかりと身に付けましょう。  
 

小室誠一 : バベル翻訳大学院(USA) IT COMPETENCE科目 専任インストラクター