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【連載】JTA News & Topics  第149回

2020/09/07

JTA  News & Topics 」  第149回 

今回は、4月17日(金)に実施した「特許翻訳・実務ポイントセミナー(主催:バベルユニバーシティ/後援:一般社団法人日本翻訳協会)受講者のチェン静さんよりセミナーレポートを投稿してくださいましたので掲載いたします。

情報提供:一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)
 
http://www.jta-net.or.jp/ 


      
特許翻訳・実務ポイントセミナー
     
 ~ 専門性の高い特許翻訳にトライしよう。
                           
専門性が高いからこそ需要も高い。 ~





●レポーター :チェン静
バベル翻訳専門職大学院USA、・法律翻訳専攻 2019年1月より在学中。幼少期はアメリカに滞在。東京で法律事務所秘書、メーカーの営業をしていた。2017年、結婚を機にホノルルに移住。

セミナーレポート

【セミナー内容】
日時:2020年4月17日(金)15時から17時(日本時間)
講師:弁理士 奥田 百子 先生

今回は、以前受講した入門講座と比べて実践的な内容だった。事前に配布されたパワーポイント資料に沿って、以下の内容で講義が進められた。

I.    関係代名詞の訳し方

■A.    制限用法、非制限用法
高校の英文法が役に立つので、復習すると良い。
制限用法と非制限用法の意味の違いに注意すること。

制限用法
I have three sons who are engineers.
私にはエンジニアである3人の息子がいる。
(その他に、銀行員など、違う職業の息子もいるかもしれない)

This box contains three plates which emit red light.
この箱は赤い光を発する3枚のプレートを収納している。
(別の種類のプレートも入っている可能性がある)

非制限用法
I have three sons, who are engineers.
私には3人息子がいて、全員エンジニアである。
(息子は3人しかいない)

This box contains three plates, which emit red light.
この箱は3枚のプレートを収納しており、それらは赤い光を発している。
(プレートは全部で3枚である)

B.    前の文章全体を受ける関係代名詞

She said that her mother was a musician, which was not true.
彼女は、母親が音楽家であると言っていたが、これは本当ではなかった。

This tool is lightweight and transparent, which improves researchers’ convenience. 
この器具は軽くて透明であり、このことにより研究者の利便性が向上している。

People needed movable partitions, which encouranged engineers to come up with this novel partition.
人々は可動性のあるパーテイションを求めていた。このことが原因で、技術者らは新しいパーテイションを考え出すことに懸命になった。

C.    Whatの使い方

主語のWhat
What encouraged researchers was people’s needs.
研究者を奮い立たせたのは、人々のニーズである。

補語のWhat
This partition is what people needed.
このパーテイションはまさに、人々が必要としていたものである。

明細書の背景技術の説明箇所に、「だからこそ発明者はこの技術を完成させた」といった文章を書くことが多く、以上の構文が役に立つ。

目的格のWhat
What researchers needed is a convenient experimental tool.
研究者らが必要としたのは、便利な実験器具である。

II.    Whereinとin which

特許翻訳の場合、先行詞+in whichを使わずwhereinを使うことも多い。
~wherein a cushioning material is attached to the hood...
緩衝材がフードに取り付けられた~

A hood in which a cushioning material is placed
内部に緩衝材が入ったフード
A hoodが先行詞。In whichは関係副詞whereで置き換えられる。

III.    その他の注意点
正しい英文を書くためには、以下の内容を確認すること。
●    自動詞・他動詞
    可算名詞・不可算名詞
    定冠詞・不定冠詞
    正しい前置詞の選択

IV.    自動詞・他動詞

   自動詞 他動詞
Attach   A cushioning material attaches to the hood  Attach a cushioning material to the hood
Lead    This road leads to the station.    The teacher led children to the playground.
Reach    As far as my voice reaches, I will...
My hand reaches out for the ceiling. 
I will reach the hall soon. 
Access   We accessed the website.
Do not access this area.
※accessの後にtoをつけない。


V.    可算名詞・不可算名詞
Designは、意味によって可算名詞にも不可算名詞にもなる。
下絵・模様・図案(可算)
設計(不可算)

VI.    Theの付け方と発音
The United States of America, the Philippines, the Alps, the Mississippi(国名・地名)
The Supreme Court(最高裁判所)
The European Patent Office(欧州特許庁)のtheは、ズィではなくザと発音する。

Go to school:通学する
Go to the school:その学校に行く・通う
By email, by Airmail:可算名詞だが、theをつけない

VII.    Itの使用を避ける
Itは何を指すか不明確なので、使用を避ける。
〇The person in charge who received this inquiry wrote and sent a responding email.
×…wrote a responding email and sent it.

VIII.    不明瞭な文章は言い換える

×比較的少ないユーザーからのメールは、時間のあるスタッフが交替で対応すればよい。

「少ない」は、「ユーザー」と「メール」のどちらを修飾しているのか?

→〇ユーザーから寄せられる電子メールの数が比較的少ない間は、手の空いたスタッフが交替で対応すれば間に合う。

IX.    主語がない文章の訳し方

主語がない日本語の文章を英訳するときは受動態を使用する。

電子メールを一旦各担当者に転送した後は、その処理状況を監視することができず、担当者任せとなってしまう。このため、返答漏れが発生する危険性がある。
Responding to emails transferred to responsible persons is left to them without being monitored, and so may be forgotten.

主語のない英文を和訳するときも同じ。

The other end of this guide pin 22 is inserted into the guide hole 20 of the other connector part 10.
このガイドピン22の他端を他方の光コネクタ部品10のガイド孔20に挿通させる。

誰が「挿通」させるのか?「オペレーター」であると分かっていても、勝手に補わない。「ガイドピンの他端」を主語にする。

X.    文章を簡潔にまとめる
対応する担当者によって回答のレベルにバラツキが生じ易く、また相互に矛盾する回答が発せられる危険性がある
→対応担当者は、様々なレベルの回答や、相互に矛盾する回答をする場合がある

「このシステムによれば…応答が滞ることを防止できる」
→This system can...prevent responses from being suspended.
“According to this system...”で文を始めず、Systemを主語にして簡潔にした。

XI.    特許翻訳について

海外の特許事務所用に、メール、FAX、レターの日英翻訳なども行う。機密性が高く、AIに任せられない。機械翻訳は参考程度で、必ず人間がチェックする。
                                以上     

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*試験は全てインターネット受験ですからご自宅での受験となります。

 



1.出版翻訳能力検定試験
実施日:2020年9月12日(土)10:00~13:00(日本時間)
締切り:2020年9月8日(火)(日本時間)

1) 第26回 一般教養書(ビジネス関連)翻訳能力検定試験   
2) 第26回 一般教養書(サイエンス関連)翻訳能力検定試験 

http://www.jta-net.or.jp/about_publication_exam.html


2.ビジネス翻訳能力検定試験
実施日:2020年9月12日(土)10:00~12:00(日本時間)
締切り:2020年9月8日(火)(日本時間)
1) 第39回 IR・金融翻訳能力検定試験(英日・日英)
2) 第43回 リーガル翻訳能力検定試験(英日・日英)
詳細・お申込は、当協会ホームページから 

http://www.jta-net.or.jp/about_business_exam-2.html


3.第22回 出版シノプシス能力検定試験
課題発表:  2020年9月16日(水) 13:00(日本時間)
申込締切:  2020年9月11日(木) (日本時間)
課題解答提出日:課題発表日にe-メールにて通知
       (課題発表から1か月ほどを予定) 

http://www.jta-net.or.jp/about_synopsis_exam.html

4. 第25回 フランス語翻訳能力検定試験 フィクション分野
実施日:2020年9月12日(土)10:00~13:00(日本時間)
締切り:2020年9月8日(火)(日本時間)
詳細・お申込は、当協会ホームページから 

http://www.jta-net.or.jp/about_french_translation_exam.html

 
5.第25回 ドイツ語翻訳能力検定試験 フィクション分野
実施日:2020年9月12日(土)10:00~13:00(日本時間)
締切り:2020年9月8日(火)(日本時間)
詳細・お申込は、当協会ホームページから
 
http://www.jta-net.or.jp/about_german_translation_exam.html

 
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情報提供 : 一般社団法人 日本翻訳協会 (Japan Translation Association 略してJTA)
 
●一般社団法人 日本翻訳協会●
http://www.jta-net.or.jp/ 
・設立:1986年10月
・Mission:「翻訳に対する社会の認識を高めること及び翻訳に関する技術及び知識を増進することによって翻訳の水準を高めること並びに翻訳者を支援してその自立を促進することを通じて、世界の文化交流及び産業経済の発展に寄与することを目的とする。」
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