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思い描く人生を歩くために - 藤井 稔子

2013/11/11

思い描く人生を歩くために

藤井 稔子:
愛知県出身、平成九年、愛知学院大学大学院文学研究科 博士課程前期修了。
バベル翻訳大学院一年在学(第三専攻)、バベルより『ドリームワーク』を共訳出版。
目下の関心事は地震予知。

 

 とうとうキャリアビジョン実現ワークの最終STEPだ。「五年間の行動計画シート」を眺め、獲得すべきスキル、資格を記入する欄の多さに思わず手が止まった。一つのコンピタンスにつき年に三つの記入欄が用意されている。コンピタンスは全部で五つ。したがって年間一五のスキルや資格の獲得を目指すことになる。いやはや大変な勉強量である。自分の強みを生かすためには、どのコンピタンスを重点的に伸ばせばよいか。その上で五つのコンピタンスをバランスよく底上げする必要があろう。また、65%程度の達成見込みのある計画でなければ、途中で挫折してしまいそうである。もう一度「未来履歴書」を読み返してみる。こうなるためには何をすればよいのか。コンピタンスごとに書き出していく。このスキルは何年目までに習得しておく必要があるか。他のコンピタンスとの兼ね合いは……。詳細な行動計画を思いつくものもあれば、大きなテーマしか思いつかないものもある。とりあえず、ターゲットとなる大項目を挙げ、枝葉をつけていくことにした。こうしておけば達成度の調整もしやすい。ただし私の性格上、安易な方向へ流れることは避けられない。まあ、これも我が人生のご愛嬌。ダメな自分をSTEPにしてまた一段上がればいいのだ。ビジョンを思い描き、計画を練り、一歩一歩前に進む。時に後退し、休んではまた立ち上がる。その過程を楽しみたいと思う。

 学生時代、実験系科目を専攻していた私は、知りたいことについての仮説を立て、それを立証すべく実験計画を練り、実験結果から何かを導き出すことが大好きだった。実験計画を指導教授に見せたとき、「これでもう実験は八割がた終わったようなもの。考えるのはさぞ楽しかったでしょう」と言われて驚いたのを思い出す。計画を考える間とても楽しかったのは確かだったし、計画がまずければよい結果を望めないことはわかっていた。だが、実際に実験を行なうことや、結果を分析して論文にまとめることの方が大変に思われ、計画までの過程にそれ程までのウエイトがあるとは、その当時の私は気づいていなかった。のちに「生き方のコーチング」に関する本と出会い、五年後、十年後、二十年後のビジョンを描いて行動するようになってから、計画までの過程がいかに重要かを実感することになる。ビジョンと計画がしっかりと立てられていれば、あとは実行するのみ。自ずと思い描くところに導かれていくことを何度か体験した。

 キャリアビジョンを実現するためには自分の強みを生かすことが欠かせないと、これまでのSTEPで繰り返し刷り込まれてきた。強みを支える要素として、好きであることや得意であること、願望などがある。子供の頃、「好きこそものの上手なれ」「芸は我が身を助ける」という言葉を幾度か耳にしたが、自分の身に置き換えることができなかった。「好きなもので飯を食えるのはほんのひと握りの人間だ」という言葉の方が圧倒的な威圧感を持って身体の中に入り込んできたし、芸事は得意ではなかった。しかし、よくよく考えてみれば、子供の頃から好きだった『本やドラマの世界』に導かれて翻訳の世界と巡り合い、この楽しい世界と五年後も変わることなく関わっていたいという思いで、今、行動計画を考えている。好きなことができている幸せに感謝しなければならないと思った。

 壮大なビジョンを描き、実現する努力をする。たとえ生涯のうちに実現できなかったとしても、自分の死後も連綿と続くであろう人類の営み、宇宙の営みに希望がつながっていくのだ。「万物の幸せを願って自分の長所を生かす」ことは、なんびとにも共通する使命なのかもしれない。

 思い描く人生を歩くために――利他的視点に立ち、自分の思い描く人生をできる限り大きく、鮮明に、生き生きと描き出す。そして現在との乖離を埋めるべく、自分の強みを生かした行動計画を立て、一つずつ着実に実行していく。あたかも思い描く人生が実現しているかのように振舞いながら。感謝と祈りの気持ちを大切に。

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