大きくする 標準 小さくする

リーガル翻訳マーケット事情 - 石田 佳治

2013/08/10

「リーガル翻訳マーケット事情」
                                                               

                    石田 佳治:バベル翻訳大学院(USA) ディーン
 
 






分野 ・ 経済環境


 リーガル翻訳は契約書 ・ 規則 ・ 議事録 (株主総会 ・ 取締役会) ・ 法令 ・ 訴訟文書など法律分野の各種書面の翻訳ですが、翻訳需要が多い反面、法律専門の翻訳者が需要に対して少ないところから活況を呈しています。日本の企業の多くが (大企業のみならず中小企業に到るまで) 国境を越えて海外に進出しあるいは海外と取引 (商品の輸出入のみならず技術やブランドのライセンスに到るまで) していますが、その背景には何十万何百万という数の国際間契約書が存在します。

 海外に進出した企業や海外から日本に進出して来た企業は何十万という数ですが、その運営のためには数多くの社内規則、手続規則、議事録を必要とします。 これらの文書はみな法律文書ですが、国際化した企業においては日本語と英語の複数の言語で作成しなければなりません。

  日本語の他に英語でこれらの文書を作成しなければなりません。 国際取引は英語でなければ通用しないのですから。 グローバリゼーションの進行で ヒト ・ モノ ・ カネ ・ サービスの流通が国境を越えて自由に行われるようになったのですが、それに伴って翻訳需要は大きく増えているのです。 その他に法令や訴訟文書の翻訳もあります。


需要の推移

 法律文書の翻訳は、経済が活況の時は M & A や海外進出など前向きな案件の法律文書があり、経済が不況の時は倒産処理や解雇や契約解除など後向きの案件の法律文書があります。 法律文書の翻訳には好況不況はあまり関係がないのです。 法律事務所は景気の動向に関係なく伸びており、弁護士、司法書士など法律家の数も増加しておりますが、法律翻訳の需要も並行して堅調です。 日本ばかりでなく、アメリカ、ヨーロッパ、中国、どの圈でも法律翻訳の需要は伸びていると聞きます。


特徴 (品質、料金、納品形態、発注元、言語)

 法律翻訳の特徴は、法律的な用語の使用が難しく、また法律文書は正確に穴のないように書かれなければなりませんので長文になることです。 このため法律翻訳は難しく通常の翻訳者には敬遠され、従って法律翻訳の供給の方は常に需要に見合わず不足しています。

 これを反映して法律翻訳の料金は一般の翻訳料金よりも高く、通常の翻訳料金の 1.2倍から 1.5 倍くらいになっています。 この傾向は日本に限らずアメリカやヨーロッパでもそうです。 アメリカの翻訳業界では、なかでも日本語への法律翻訳の料金は高く、2倍くらいになっているようです。

法律翻訳の納品期限は他の翻訳よりも短く、翻訳のスピードが要求されます。 これは、契約にしても裁判にしても期日を指定されてそれに合わせて文書が作成されますので、翻訳も期限が短く設定されるのです。 納品形態は現在では電子デー夕に紙プリントアウトを併用しての納品が主流です。

 法律翻訳の発注元は、法律事務所や企業の法務部門など、法律専門職の機関が主体です。 発注元が法律の専門家ですから翻訳文の法的な正確性が厳しくチェックされます。 この点も一般の翻訳者が入りにくい点の一つとなっています。

 言語は圧倒的に英語です。 英日翻訳の方が少し多いですが、昔に比べれば日英翻訳が増えてきました。 中国語も最近は契約書翻訳を中心に増えてきました。今後多くなると予想されます。


編集部宛メールフォーム

お名前:必須

メールアドレス:必須

メールアドレス(確認用):必須
(確認の為、同じものをもう一度入力してください)

記事タイトル:必須


メッセージ:必須

ファイル添付:

削除