- トップ
- 【連載】BRM NEWS
- アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密
アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密
2019/08/22
アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密
情報提供 : Books and Rights Marketplace
2019.08.09 アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密

童話『人魚姫』はデンマークの作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンによる作品で、1837年に発表されました。発表後、この作品は世界中の芸術家たちの想像力をかき立て、音楽や舞台、映画やアニメなど、さまざまな派生作品が生まれました。ジョン・ノイマイヤーによって振り付けされたバレエ『人魚姫』も、その派生作品の一つです。ただ、このバレエ『人魚姫』がほかの派生作品とは一味違うところは、報われない同性愛に苦悩するアンデルセンの想いが、人魚姫という悲しい物語になったと綴られているところにあります。
アンデルセンが同性愛者もしくは両性愛者であったことは、以前から研究者の間では知られていたことでした。アンデルセンは1804年、貧しい靴職人の子としてデンマークに生まれます。苦労を重ねて大学まで入学を果たしますが、大学を卒業することはできませんでした。しかし、生涯にわたって童話を書き続け、『親指姫』『裸の王様』『マッチ売りの少女』など、日本でも有名な名作童話を残しています。
『人魚姫』は、アンデルセンの親友エドワード・コリンに対する抑えきれない愛と失恋から生まれた物語であると言われています。アンデルセンはエドワードにその熱い思いを伝えますが、エドワードはアンデルセンを拒絶し、1836年、女性と結婚してしまいます。アンデルセンの『人魚姫』は、その翌年に発表されました。作品中の「人間の王子」はエドワード、「人魚」がアンデルセン自身の投影というのが定説となっています。
「人魚」は、しばしば「叶わぬ恋」もしくは「悲恋」を表す代名詞として使われますが、童話『人魚姫』がアンデルセン自身の自伝的物語だったとは、まさに隠されていた秘密と言っていいでしょう。今年7月、ディズニー映画『リトル・マーメイド』が、新解釈のもと、実写版として制作されるとの発表がありました。アンデルセンの自伝的物語がどのようにして新たな魅力を引き出してくれるのか、非常に楽しみです。
https://lithub.com/dear-internet-the-little-mermaid-also-happens-to-be-queer-allegory/
https://front-row.jp/_ct/17286085
2019.08.09 The Queer Secret Behind Andersen’s “The Little Mermaid”

“The Little Mermaid” is a fairy tale written by Hans Christian Andersen. After its first publication in 1837, it inspired artists around the world to adapt the story to the stage, film, and even animation. John Neumeier’s ballet The Little Mermaid is one such work, but with something that sets it apart from other adaptations: the ballet tells the story of how Andersen’s struggles with unrequited homosexual love inspired the creation of “The Little Mermaid.”
Scholars have known that Andersen was either gay or bisexual for some time. Born to a poor cobbler in 1804, Andersen struggled to enter university but was ultimately unable to graduate. Despite this, however, he spent his life writing fairy tales that have become classics, such as “Thumbelina,” “The Emperor’s New Clothes,” and “The Little Match Girl.”
It is believed that “The Little Mermaid” was inspired by Andersen’s own experiences with intense but unrequited homosexual love. He fell deeply in love with his close friend Edvard Collin, but was rejected after revealing his feelings. Collins married in 1836, and “The Little Mermaid” was published the following year. The standard interpretation of the story is that the prince is meant to represent Edvard, while the mermaid is a projection of Andersen himself.
Mermaids are often used as a symbol of unrequited or blighted love, but few know the secret behind “The Little Mermaid”—that it is an autobiographical account of Andersen’s own love life. With the announcement last month that Disney will produce a live-action remake of their classic film “The Little Mermaid,” many will be anticipating how Andersen’s autobiographical fairy tale will be interpreted anew.
https://lithub.com/dear-internet-the-little-mermaid-also-happens-to-be-queer-allegory/
https://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CC1502
https://front-row.jp/_ct/17286085
【連載】BRM NEWS
- 「翻訳文学賞」としてのノーベル文学賞を支える人たち [2019/12/23]
- マルセル・プルーストの未発表作品、フランスで出版される [2019/12/07]
- 日本国内の外国人児童約2万人、不就学の可能性 [2019/12/07]
- 「白雪姫」のモデルとなった女性の墓石が発見される [2019/11/22]
- インドの裁判所、すべての訴訟記録を現地語に翻訳 [2019/11/22]
- ノーベル化学賞受賞者の愛読書、日本で売り切れ状態に [2019/11/07]
- 台風19号の避難勧告、浜松市が翻訳ミス [2019/11/07]
- ブロンテ姉妹の自費出版を支えた祖父の秘密 [2019/10/23]
- ミシェル・オバマの回顧録が、ついに日本でも発売 [2019/10/23]
- 翻訳の世界でも、ジェンダーギャップはいまだに健在 [2019/10/07]
- 東京オリンピックに向けて、通訳の準備は万全 [2019/10/07]
- オスカー・ワイルドゆかりの建築物、売りに出される [2019/09/24]
- アメリカで出版される翻訳本の半分はわずか9か国語から [2019/09/24]
- 村上春樹、世界デビューから30年 [2019/09/07]
- 香港ブックフェア、激しいデモの中、無事に開催 [2019/09/07]
- アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密 [2019/08/22]
- 日本で国際ブックフェアが開かれなくなった理由 [2019/08/22]
- フランツ・カフカの遺稿の所有権、イスラエル国立図書館へ [2019/08/07]
- アーサー・ウェイリーの『源氏物語』が、日本語に再翻訳 [2019/08/07]
- 日本で増える残念な「外国語案内」 [2019/07/22]
編集部宛投稿メール
記事 7日間のアクセスランキング
- 1:【新連載】 第1回 特許翻訳入門 ―すんなり入れる特許翻訳-普通の英語から簡単に特許の英訳ができるようになる(63pv)
- 2:『玄天 第一巻 白虎 』 『賢者の贈りもの』の翻訳者、石川 ミカ(いしかわ みか)さん(52pv)
- 3:アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密(44pv)
- 4:「ドラえもん」の版権無料化と著作権収支の関係(43pv)
- 5:【翻訳者インタビュー・石川ミカさん】『玄天 第1巻 白虎』原作者カイリー・チャンさんとの対面、ついに実現!(35pv)
- 6:第13回 すんなり入れる特許翻訳 ― 特許出願の中間手続の翻訳(34pv)
- 7:カズオ・イシグロの長女、ナオミさんの小説家デビューが決定(30pv)
- 8:(4)源氏物語の現代語訳―川村清夫(24pv)
- 9:White Privilege(白人の特権)とは(20pv)
- 10:第4回 すんなり入れる特許翻訳-特許明細書の「従来の技術」(19pv)