- トップ
- 【特集】『みんなで考えよう - 翻訳する心構えとは?』
- 翻訳をする心構えとは? - クリーバー 海老原 章子
翻訳をする心構えとは? - クリーバー 海老原 章子
2013/06/25
「翻訳をする心構えとは?」
原文を読み、いざ翻訳作業を進める際に、まずどんなことを思うだろうか?と考えると、私の場合は、まず読者の顔を想像してみる、と答えます。プロジェクトによって、読者層はそれぞれ異なりますが、私の場合、かなりの確率で、なぜか堀田編集長のお顔が浮かんでしまうのですが。。。それも意識することなく、ぽっと目の前に登場されます。
もちろん実際にお目にかかったことがないので、ホームページのお写真のお顔が浮かびます。それはなぜかと考えると、読者(もしくは、中間に代理店が入っている場合は、エンドユーザーになるのでしょうか)に、私が手がけた翻訳が届いた場合に、「これ誤訳です。」とか「間違ってますよ!」とか「意味がよくわかりませんが」と指摘されたら嫌だわぁと、どこかで感じるているからだと思います。
つまり、堀田編集長のような読者(!?)の目には、どのように映るかを想像してしまうのです。一瞬にして、緊張感がみなぎります。読みやすい文章に限って、「簡単!簡単!」などと高をくくって取り掛かると、意外なところで読み間違えたり、勘違いしたりして、思いがけないフィードバックを受けたという苦い経験があります。
例えば、Javanese-bornをJapanese-bornと読み間違えたケースは、ケアレス・ミスであり、致命的な例と言えます。正確でわかりやすいものを読者に届けることは、翻訳者として最も大切なことではないかと考えます。まずは、気を引き締めて取り掛かるように注意しています。
また、読者を意識すると同時に、翻訳者であれば当然のことなのですが、「著者の伝えたい真意をできるだけ正確に伝えたい」と思います。デジタルマガジンに佐々木理恵子さんが掲載された「Do」「Be」への意識転換という記事の中で触れられている「著者の立場で翻訳する」ことの重要性、その通りだなあと思いながら、拝読しました。
例えば、「中国進出を考える日本企業にとって、何が重要か」ということを取り上げた原著の中で、“Selecting a Translator is the most important decision” という章があった場合、Translatorという言葉を目にすると、日本語では、Translator は翻訳者であり、通訳の場合はInterpreterを使うのが通常だと思います。原文の内容から、この場合はどう考えても口頭で日本語と中国語を訳して伝える「通訳」を意味していると思われるのですが、原著者があえて「Translator」としているのには、何か意味があるのか?それとも原著者は、通訳の意味で「Translator」を使っているのか?読者は、日本人ですので、この場合「通訳」とした方が明確に伝わると考えるのですが、はっきり解決できない疑問が残ります。
このような場合、皆さんはどうされているのでしょうか?私は、「誤訳をするよりは、よっぽどまし」と自分に言い聞かせ、遠慮なく質問・確認するようにしています。これまで、代理店を通じてお仕事をいただくことがほとんどでしたので、こういう場合に架け橋となって問題解決をしてくれる代理店はとてもありがたい存在です。代理店であれば、気軽に質問することができますし、代理店としてもより質の高い翻訳を納品して回収したいと考えるので、積極的に回答を探してくれます。
但し、代理店との信頼関係を構築し維持するには、コミュニケーションが非常に大切だと考えます。相手が出版社であっても同じだと思います。私は、常に「Quick response」を心がけています。仮にすぐ返事が出せない場合でも、その旨を伝え、いつまでに回答する、または納品する旨を伝えるようにしています。いつまで経っても返信がないことほど、相手に不信感を与えることはないと思うからです。「著者の立場で翻訳する」ことを考えれば、著者に直接聞くことができれば、もっと理想的です。ベテランの翻訳者の皆様は、原著者とのコミュニケーションも図られているのでしょうか?とても興味があります。
佐々木理恵子さんが同記事でおっしゃられているように、「翻訳者の意識の違いで、成果物の質が違ってくるのではないか」。同感です。私自身は、まだまだ勉強の身ですが、読者と著者とをつなぐ唯一のリンクとして、一味違ったいい仕事ができる翻訳家を目指し、バベル翻訳大学院での貴重な経験を重ねていきたいと思っています。
<プロフィール>
クリーバー 海老原 章子(くりーばー えびはら あきこ)
バベル翻訳大学院インターナショナルパラリーガル・法律翻訳専攻。アラブ首長国連邦在住。3児の母。将来の目標は、「稼げる翻訳者」。
編集部宛投稿メール
掲示板:みんなで考えよう - 翻訳する心構えとは?
投稿記事表示制限
このコンテンツはログインしてご覧ください。>>ログイン
記事一覧
- 翻訳をする心構えとは? - クリーバー 海老原 章子 [2013/06/25]
- 翻訳をする心構えについての考察 - 湯浅 美代子 [2013/06/25]
- 翻訳する心構えとは? - ヨシコ・ランズバーグ [2013/06/10]
- 翻訳の心構え―産みの苦しみと楽しみ - 黒岩 克彦 [2013/06/10]
- 3つのポイント -解釈・大局観・距離感- - 佐々木 理恵子 [2013/06/10]
- 「翻訳はなにに忠実であるべきか」 - 神部 健一 [2013/05/25]
- 「翻訳をする心構えとは?」 - ジャネット トービ [2013/05/25]
- 「Do」から「Be」への意識転換 - 佐々木 理恵子 [2013/05/10]
- 「新しい特集にご参加ください - 特集:みんなで考えよう - 翻訳する心構えとは?」 [2013/05/10]
編集部宛投稿メール
記事 7日間のアクセスランキング
- 1:カズオ・イシグロの長女、ナオミさんの小説家デビューが決定(68pv)
- 2:「白雪姫」のモデルとなった女性の墓石が発見される(56pv)
- 3:【新連載】 第1回 特許翻訳入門 ―すんなり入れる特許翻訳-普通の英語から簡単に特許の英訳ができるようになる(54pv)
- 4:草の根の真心、一輪の花から始まった絆が世界を救う(28pv)
- 5:「ドラえもん」の版権無料化と著作権収支の関係(26pv)
- 6:第七回 産業日本語を考える ―機械翻訳の視点から(26pv)
- 7:第13回 すんなり入れる特許翻訳 ― 特許出願の中間手続の翻訳(25pv)
- 8:正確な翻訳を行うには-主述のねじれを防ぐ(23pv)
- 9:第12回 すんなり入れる特許翻訳 ― 特許出願の中間手続の翻訳(20pv)
- 10:アンデルセンの名作『人魚姫』に隠された秘密(19pv)