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2020年の日本その4 ―日本企業と社会に変革を迫る「究極の嵐」

2020/07/07

英文メディアで読む 第86回
2020年の日本その4
― 日本企業と社会に変革を迫る「究極の嵐」―
 






 
前田 高昭 : 金融 翻訳 ジャーナリスト
       バベル翻訳大学院プロフェッサー
 
 
 
 前号で、コロナ禍の主として日本の政治、経済に及ぼす影響について観察したが、今回は日本の企業や社会生活に与える影響について焦点を当て、主要メディアの報道と論調を見ていく。要約は後述の(注)を参照。

一斉検査を実施する日本企業:まず日本政府によるコロナウイルス検査の遅れに関連し、民間企業が独自に対応している状況を報じた記事から観察する。6月21日付ワシントン・ポストは「Japanese company adopts blanket virus tests to speed ‘exit strategy’ from uncertainty(日本企業、ウイルスの一斉検査を実施、不確実性からの「出口戦略」を加速)」と題する記事で、スポーツ業界では、競技再開にはプレーヤー全員のコロナウイルス検査が欠かせないと認識されているが、ビジネスの世界でも同様の考えが広がっていると報じ、ソフトバンクグループの例を紹介する。同社会長兼社長、孫正義氏が抗体検査(antibody tests)とPCR検査(Diagnostic polymerase chain reaction、診断用ポリメラーゼ連鎖反応)を組み合わせたテストで先陣を切り、世界が経済を再開しようとするなか、他のモデルになっていると述べる。記事によれば、日本ではPCR検査が未だ広く利用されていないため、孫氏は別ルートを試みた。第1に、東京本社の職員とその家族、顧客らを対象として3万8216人にウイルスの抗体検査を実施し、ウイルス感染者数を把握、陽性反応を示した者にPCR検査を受けさせたのである。

低い陽性率と遠のく集団感染の可能性:この抗体検査は日本最大で世界的にも最大規模の一つになるが、良いニュースと悪いニュースが入り交じった結果となった。抗体検査陽性(tested positive)の比率は全体の0.23パーセントと低く、日本がマスクの幅広い使用や早期の感染予防策によってコロナウイルス封じ込めに比較的成功したことを示した。孫氏は医療従事者(medical workers)にも無料の検査を申し出ており、これを受けた5850人の1.79パーセントが陽性反応を示した。従って全体では、4万4066人のうち陽性率は0.43パーセントとなった。この結果は、日本が「集団感染」(“herd immunity”)に至る道を歩んでいるとの見方を否定することになった。集団感染とは、人口のおよそ60パーセントがウイルスに感染すれば、伝染が減速するとの考えである。

第2波の感染が拡大しやすい日本:このデータはまた、経済と社会が活動を再開して関係を復活するなかで、潜在的なトリップワイヤ(tripwire、検知システム)になる。行動規制が解除された後、感染率を低く抑えた地域では第1次感染のリスクにさらされる住民が多いことになる。厚労省の8000人程度を対象とする小規模なサンプル調査によれば、感染率は東京で0.1パーセント、大阪で同0.17、宮城で同0.03だった。ロンドン・キングス・カレッジ人口健康研究所の渋谷所長は、ソフトバンクの資料は、日本が経済再開に当たり、慎重さに欠けると第2波の感染が拡大しやすくなることを示していると指摘、同時に、旧態依然の医療界(medical community)と比べると民間部門は合理性に富んでおり、その民間が善処しているのは喜ばしい、と語る。

追随する他社と抗体検査の問題点:上記のように報じた記事は、他社も孫氏の動きに追随しようとしているとして、従業員と顧客ら3万人に抗体検査を実施したRIZAPグループや戸田建設、長崎国際大学などを例として挙げる。また抗体検査の問題点として、抗体が表れるのは通常、感染後1,2週間後であること、引き続き感染状態にあるか否かが分からないこと、正確性に不安があること、などを挙げる。

グローバルな評価に値する対応と主張する日本政府:記事は最後に、日本は検査を広く実施できなかったとして非難されているが、日本政府は正しい対策を取ったと主張していると報じる。ここは早速、原文を読んで翻訳してみよう。

Japan has been criticized for failing to test people widely, but the government insists it took the correct approach, rationing tests to prevent crowds from gathering at medical centers and to allow the health-care system to focus on the most severe cases.
With fewer than 1,000 deaths — by the official count — and only a few dozen new infections a day, the government believes Japan’s approach deserves global recognition.

「日本は広く国民に検査を実施することに失敗したと批判されているが、政府は正しく対応したと主張している。検査を割り当てたのは、人々が医療機関に押し寄せるのを防ぎ、医療制度を最重症感染者に集中させるためだったと述べる。公式の計算によると、死者数は1000人を下回り、また新規感染者数は一日当たり数十人に止まっており、日本の対応はグローバルな評価に値すると政府は信じている」

 ただし記事は同時に、多くの専門家は、政府は対応を変える必要があると主張しており、悲惨な経済閉鎖(economically catastrophic shutdown)を経て仕事に戻れるのは、検査を通じてのみ可能となるからだ、と指摘していると伝える。

コロナ危機は「偽れる祝福」:6月14日付フィナンシャル・タイムズは、「 Why this crisis is a ‘disguised blessing’(この危機が『偽れる祝福』である理由)」と題する記事で、コロナ危機が日本にとって一種の外圧となって、何らかの理由で実現されていない必要な変革を日本企業や社会に迫っていると指摘する。記事は、これまでの日本では考えられなかった変革を急速に実行しようとする経営者として、LIXILグループの瀬戸欣哉社長を紹介し、同氏は緊急事態が宣言された4月以降、パンデミックは大変悲惨なことではあるが、同社だけでなく、この機会がなければ実現できない変革を実行する好機と捉える日本企業の一部にとって、「不幸に見えて実はありがたいもの」(“disguised blessing”)、と物議を醸す(contentious)考えを抱いてきたと伝える。

バーチャル技術による変革を迫る「究極の嵐」:同氏はこの機会を生かせば、長く先延ばしされていた変革(a long overdue transformation)を加速させるだろうと語り、仕事の分析や情報とアイデアの企業間交換にかかわる方法についての変革、特にバーチャルリアリティの技術を駆使した変革を挙げていると報じ、さらに次のように述べる。パンデミックによってLIXILのセールス担当者は地場のコントラクターや建築会社との会合をバーチャルに(virtually)持たざるを得なくなったが、それぞれの顧客と対面する(meet in person)よりも、1日当たり20のビデオ・コールを実施した方が、生産性が高いことがすぐに判明した。4月に緊急事態が宣言される頃までには、同社東京本社の職員の98パーセント以上が家で働いていた。全国に93あるショールームが閉鎖された際、顧客はデジタル・ツールを使ってキッチンをバーチャルにデザインできた。最高人事責任者(chief people officer)のジン・モンテサノは、コロナ流行は古い考え方を葬り去る「パーフェクトストーム(究極の嵐)」となったと語る。

見直しが始まる家屋のデザインや家庭内人間関係:行動規制によって同社も甚大な被害を受け、また経済が正常に服すにはきわめて時間がかかるとの見通しのなか、瀬戸社長は「不幸に見えて実はありがたいもの(“blessing in disguise”)」理論にあくまで拘った。同氏は、コロナウイルス(Covid-19)が家庭内の問題を抱える人間関係に対して、どのような影響を与えたか、に焦点を絞ったのである。家族が貧弱な間取りの生活空間に押し込められて過ごす時間が増えたことで、設計の欠陥が浮き彫りになったと同氏は語る。日本家屋のデザインの見直しが始まり、家族全員が一緒に過ごすことになれば、複数のトイレ、個別の空間、その他多くのことが必要になり、家族の価値をも認識し始めるだろう、と同氏は指摘する。

家事手伝いを学ぶ日本男子:それでは家庭に閉じ込められ男性は、どのように過ごしているか。5月16日付ニューヨーク・タイムズは「Stuck at Home, Men in Japan Learn to Help. Will It Last? (家に閉じ込められた日本男子、家事手伝いを学ぶ、何時まで続くか)」と題する記事で、コロナウイルスが家事分担の極端な夫婦間の不平等を暴いていると概略次のように報じる。

家事分担の不平等を明るみに出したコロナウイルス:ウエブでマーケティング・コンサルタントを務めるカタオカ氏は、家事(tasks)を既に十分に分担していると考えている。2人の子供を風呂に入れ、その歯磨きを手伝い、皿洗いをするなどリストにすると21項目になる。しかし、それは認識不足も甚だしかった。看護学生(nursing student)であるカタオカ夫人の精細なリストによると、彼女の負担項目は210に達しているのだ。共働きの夫婦(working couples)にとって、コロナウイルスの感染拡大防止のための在宅勤務(teleworking)や外出自粛措置は、とりわけ日本社会における家事分担の不平等を明るみに出した。

「コロナ離婚」危機で変わる日本の労働慣行:緊急事態が宣言されて平日も家で過ごす男性は、家事がいかに多いものかを目の当たりにする。洗濯や家計、料理など目に付かない家事労働に耐えてきた女性は、今や夫に手伝いを求めている。その結果、夫婦間で一触即発(combustible)の言い争いが始まる。それでも一部の男性は、家族を身近に感じるようになったと語り、柔軟性に欠けることがある日本の労働慣行(work culture)が変わって、パンデミックが去った後も、家庭で過ごす時間が増えるようになるのを望む男性が出てくる。日本で、はやり言葉となっている「コロナ離婚」(“coronadivorce”)の危機にあったカタオカさんも労働慣行を修正していこうとしている。

家事負担が軽い男性、家事負担が重く昇進が遅れる女性:上記のように報じた記事は、女性の家事負担(household burden)が多いのは日本に限らないが、富裕国の中では日本男性の家事や育児に割く時間が相対的に少ないと述べ、日本のネット・マーケティングリサーチ会社、マクロミル(Macromill)による昨年の調査では、共稼ぎ夫婦の半数が男性の家事負担は20パーセント以下だと回答していると報じる。さらに記事は、安倍首相は以前から、職場における女性の地位向上政策を推進しているが、多くの女性が重い家事負担のために昇進が押さえられていると述べ、また政府データによれば、働く女性の約半数がパートタイムや契約社員(contract jobs)として雇われているが、男性の場合は5人に1人だと指摘する。

遠隔勤務を大胆に打ち出すべき政府:次いで記事は、在宅勤務には雇用者側にも大きな問題があるとし、緊急事態宣言下でも、多くの企業が古めかしいオフィス慣行に漬かっていて社員の在宅勤務に消極的(reluctant)だったと批判する。政府データによると、緊急事態宣言下で在宅勤務をしているとの回答者は、東京で半数余り、全国では4分の1強にとどまり、宣言解除後はオフィスに戻っている者もいると指摘、政府は企業に対して遠隔勤務(remote working)の奨励を求めているが、より包括的な遠隔勤務制度を推進するために、さらに大胆な方向性を打ち出すべきだと訴える声があると伝える。

日本女性の伝統的な職場に脅威を与えるコロナ禍:メディアはまた、コロナ禍が日本女性の伝統的な職場に脅威を与えていると報じる。6月1日付フィナンシャル・タイムズは「Japan’s army of insurance saleswomen feel threat of digital revolution(デジタル革命の脅威を感じる日本の保険セールスレディ軍団)」と題する記事で、コロナウイルスによってオンライン・セールスの必要性が増すなか、対面勧誘を武器としてきた23万人の女性保険外交員が、デジタル革命の脅威を感じていると伝える。

激突する生保レディ軍団とオンライン販売:記事は、コロナウイルスは日本が先延ばししたかったアナログ対デジタルの決戦(showdown)を一気に早めており、生命保険のオンライン販売と強力な生保レディ軍団とが激突していると述べる。都市部の中心地にあるオフィスが何ヶ月間も閉鎖されために、生保のセールスレディにとって潜在的顧客の一群がごっそり消えてなくなったとアナリストは指摘し、生保会社も契約獲得のためにメッセージ・サービスやビデオ会議アプリの使用を認め、さらにはスマホその他のオンライン・ツールを活用した新しい販売チャネルを開いていると報じる。

生保会社の命運を制するデジタル革命:またアナリストは、こうした動きがデジタル革命(digital transformation)の導入を頑固に遅らせてきた業界にとって転機(turning point)になるかもしれない、と語っていると伝え、さらに、生命保険会社の生き残りはデジタル革命への転換に意欲的かどうかにかかっており、販売方法の多角化が進むなか、業界として外交員数の適正規模についての再検討が必要になりそうだ、との専門家の見方を紹介する。

将来を懸念する保険外交員:次いで記事は、大手生保は長期戦略のトップにデジタル戦略(digital strategy)を掲げながら、販売戦力の削減計画はないと強調していると報じると共に、顧客はコロナ危機の間、オンラインによる保険購入の便利さを味わっており、今後はネット購入の顧客が増えると思われ、将来が心配だと懸念する保険外交員の声も伝える。事実、それまでは健康状態などをチェックするため実地面談を義務づけていた大手の1社は、5月中旬よりビデオ会議を通じた販売を認めるようになったと述べる。

いじめをする日本のボス:こうした状況のなか、日本では6月よりパワハラ防止法案が実施されることになる。6月11日付エコノミスト誌は早速、この男女労働者に共通する問題に注目し、「Anger management Japan’s bullying bosses(腹立ちまぎれの人事管理、いじめをする日本のボス)」と題する記事で、日本の職場における一つの特徴的な現象としてパワハラの現状について伝える。冒頭で、自転車に付けるエンジンを生産する小規模企業を世界の一大自動車メーカーに育てたホンダの本田宗一郎氏について、有能なエンジニアで一匹オオカミの経営者(maverick executive)として知られるが、同時に厳格で暴力的ともいえるボスで、怒ると手当たり次第に物を人に投げたと述べ、こうした火のような気質は日本の管理者に余りにも広く引き継がれていると指摘する。 

パワハラ防止法案を実施する政府:このため日本の心理学者は、こうした管理者の行き過ぎた行動をパワーハラスメント、すなわちパワハラと名付けたと伝え、最近、パワハラを訴えるクレームが増えており、10年前の3万2242件から8万2797件に増加したと述べ、さらに次のように報じる。ここは原文を読んで翻訳してみよう。

In 2016 the country’s labour ministry found that a third of Japanese workers had experienced power harassment in the past three years. The trend worried the government enough to spur recent passage of anti-harassment legislation. As of June 1st, Japanese firms are required to have clear policies in place and to create internal systems for reporting and verifying claims of abuse. 

「2016年に、日本の労働者の3分の1が過去3年間にパワーハラスメントを体験していることが、日本の厚生労働省に判明した。政府はこうした傾向を大いに懸念し、ハラスメント防止法案を最近通過させるに至った。6月1日をもって日本企業は、明確な対策を用意し、報告といじめの申し立てを検証する内部システムの創設を義務付けられた」

最悪のパワハラを招く日本の職場環境:職場でのいじめは、極端な場合には身体的な暴力があるが、さらによく見られるのは、言葉や心情的、あるいは心理的ないやがらせ(emotional and psychological abuse)だ。パワハラと結びついた自殺もまれではないし、ハラスメントの事例は分野や階層を問わない。悪しきボスは、どこでも見られる現象だが、日本の職場はとりわけ最悪の類の行為を招くような環境にある。硬直的な階層制度(Hierarchies)が深く根付いている。部下を鍛える気持ちが、特に行動規範が世代間で変化するに伴い、年の若い従業員を傷つける行為となってしまう、と最初にパワハラを定義づけた日本のコンサルタント会社、クオレ・シー・キューブの稲尾和泉氏は語る。柔軟性に欠ける労働市場も問題を複雑にしている。ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング(本社米国イリノイ州シカゴ)のロッシェル・カップ氏は、部下はボスが嫌いでも簡単に会社を辞められず、会社は悪しきボスを簡単に首にできない、と語る。

あいまいで効力に欠ける新法:記事は最後に、新法については、内容が余りにもあいまいで効力がない(toothless)との批判があると伝える。中小企業は2022年まで実施しなくてもよい。また新法は、日本の労働者の3分の1以上を占めるパートタイム従業員には適用されない。ハラスメントに対する罰則を特定しておらず、どのような対策を取るかを企業に任せていると述べ、新法は単に警告しているだけだ、との専門家の意見を紹介し、これでは悪しきボスは追放できないと批判する。

結び:以上のように、コロナ危機は日本の企業と社会に土台を揺るがすような影響を及ぼしている。メディアは、コロナ危機を「偽れる祝福」、バーチャル技術を活用した変革を促す「究極の嵐(パーフェクトストーム)」と評し、家事分担の不平等が夫婦間に一触即発の論争を巻き起こし、「コロナ離婚」が流行語となった、などと刺激的に論評する。いずれも、一つの警告や提言として理解できよう。家屋の狭隘な生活空間やデザインの見直しが必要になるとの指摘も、同様である。ただし見直しは、オフィス空間についても避けられないだろう。働く女性が重い家事負担のために昇進を妨げられ、しかも約半数がパートタイムや契約社員との指摘も重い課題を突き付けている。デジタル化の進行で、生保のセールスレディが失職の危機にある現状も、業界に対応を迫っている。
 
 メディアはまた、日本企業が独自にウイルス検査に乗り出し、他のモデルになっていると報じ、その結果を踏まえ、日本では集団伝染の可能性は遠のき、第2波感染の拡大リスクが高まっていると警告する。パワハラ防止法施行の機会に日本の職場にはびこる上司のいじめ問題に言及し、新法はあいまいで効力に欠け、単なる警告に終わっているとの専門家の批判を伝える。これらもまた今後、留意すべき課題である。日本政府はこれまでのコロナ対策について、医療を重症者に絞るために検査を限定したと説明し、死者数も感染者数も少なく、グローバルな評価に値する対応だと主張しているが、そうした反論よりも第2波への具体策を、上述の女性の社会進出やパワハラ防止法に関連する問題と共に打ち出すのが、政府にとって喫緊の課題であろう。

 以上みてきたようにコロナ危機は、日本社会に改めて様々な課題を提起した。メディアは、そうした日本に対して警告を発するだけでなく、解決に至る方策や方向性を幾つか示唆する。例えば、政策の不足を補う民間企業の対応を例示し、大きな方向性としてデジタル革命の必要性を提示する。コロナ後の世界には、危機前から予測された動きの加速と共に、思いもよらなかった変革に伴う異風景が出現する予感が漂う。

(注)要約:メディアはまず、政府対策の不足を補うために日本企業が独自にウイルス検査に乗り出していると報じる。ソフトバンクグループは、ビジネス再開に先立って不確実な状況を払拭すべく本社職員と家族、顧客らを対象に抗体とPCRを組み合わせた検査を実施したと伝え、追随する他社もあり、世界が経済を再開するなか、他のモデルになると述べる。検査結果は、陽性率が低く、日本のコロナ対策の成功を示したが、集団感染の可能性は遠のき、第2波感染の拡大リスクが浮き彫りになったと警告する。検査が不徹底と批判される日本政府は、医療を重症者に絞るために検査を限定したと反論、死者数も感染者数も少なく、グローバルな評価に値する対応だと主張していると報じる。

  他方、日本企業の一部はコロナ危機を「偽れる祝福」、「不幸に見えて実はありがたいもの」として捉え、バーチャルリアリティの技術による変革を迫る「究極の嵐」、すなわち外圧になると認識していると伝える。危機は、バーチャル会合やビデオ・コール、デジタル・ツールなどを駆使した変革を促し、家庭内人間関係に影響を及ぼし、生活空間の見直しなどを迫ると指摘する。富裕国の中で家事や育児に割く時間が少ないとされる日本男性は、家庭に閉じ込められて、家事分担の極端な夫婦間不平等という現実に直面する。夫婦間で一触即発のいさかいが始まり、「コロナ離婚」が流行語となったと述べる。多くの女性が重い家事負担のために昇進を妨げられ、しかも働く女性の約半数はパートタイムや契約社員だと報じる。また緊急事態宣言下でも、多くの企業が古めかしいオフィス慣行に漬かって従業員の在宅勤務に消極的だったと批判、政府は企業に対して包括的な遠隔勤務制度を推進するよう大胆な方向性を打ち出すべきだと訴える。

 メディアはまた、コロナ禍が日本女性の伝統的な職場を奪おうとしていると報じる。対面勧誘を武器とする生保のセールスレディが、メッセージ・サービスやビデオ会議アプリ、スマホその他のオンライン・ツールを活用した新しい販売チャネルに取って代わられる脅威にさらされていると伝える。生保業界は転機を迎えており、その生き残りはデジタル革命への転換に意欲的かどうかにかかっていると指摘、今後はネット購入の顧客が増えると懸念する保険外交員の声を伝える。メディアは最後に、日本でパワハラ防止法案が実施されるタイミングを捉え、日本の職場における特徴的現象の一つとして、ボスによるいじめの問題を取り上げる。最近、このパワハラが増加していると報じ、背景として、硬直的な階層制度、行動規範の世代間変化、年若の従業員を傷つける鍛錬、柔軟性に欠ける労働市場などを挙げる。ただし新法は、あいまいで効力に欠け、単なる警告に終わっているとの専門家の批判も伝える。
     



前田 高昭
金融翻訳ジャーナリスト、社団法人 日本翻訳協会 会員、翻訳家。
訳書に『チャイナCEO』他。
『東アジアニュースレター』も配信中。

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