大きくする 標準 小さくする

『おやすみをいうまえに』 の翻訳者、山本 象 (やまもと しょう)さん

2011/11/25

11月25日号に登場の新人翻訳家は ―  山本 象  (やまもと しょう)さん。


毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用することで、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。


連載43回目の11月25日号では、 
『おやすみをいうまえにの翻訳者 山本 象  (やまもと しょう)
さんをご紹介します。



山本 象さん   書籍名: おやすみをいうまえに 
      著:        エリシャ・クーパー
   出 版:   バベルプレス
 

編集: 
   今月のバベルプレス新刊絵本『おやすみをいうまえに』の翻訳者、山本 象さんにお話をお聞きします。 
   山本さんよろしくお願いいたします。 
   はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。 


山本: 
   ちょっと長くなってもいいですか? 最初カリフォルニアの大学で学んでいました。ジャーナリストになりたかったんです。でも経済的に苦しくなってきたので、一旦日本に帰ってアルバイトをすることにしました。知人に「日本にいる間、うちの子に英語教えて」って言われ軽い気持ちで引き受けたんですが、それが運命の分かれ道!   

   当時、英語教室などほとんどない地方の町だったせいもあって、20人くらいの子どもがわっとやって来ました。後ずさりして、ぱっと逃げ出そうと思ったんですが、子どもたちはなんとも可愛いし責任も感じて、寺子屋みたいな英語塾を開きました。で、1、2年やってお金が溜まったらアメリカに戻るつもりが、翌年には小さな子どもから社会人まで生徒が70人くらいに膨れ上がり、もうやめるわけにはいきません。 
   家から近い地元の大学に入り直して教員の資格を取りました。結局、塾の仕事は25年間続けました。「英語のおねえさん」はいつしか「英語のおばさん」になっていたのです。現在は、週の半分教える仕事をして、あとは翻訳に関わる自分の勉強などにあてています。 


編集: 
   軽い気持ちではじめて生徒が70人ですか!ごいですね。それじゃもうアメリカへは帰れないですね(笑)。大学に入り直して教員の資格も取られたとのこと。運命に導かれたということでしょうかね。 
   それでは翻訳を学び、翻訳家を目指そうと思ったきっかけについてお聞かせください。 


山本: 
   塾の合間に英語の絵本を読んであげると、生徒はみんな、すっごく喜びました。中学高校の男の子たちまでが「読んで読んで!」って。ほんと楽しかったです。日本にない発想やセンスを持った海外の絵本は、新鮮でインパクトがあります。わたしはそんな作品を見つけてきては紹介しました。  

   即興で日本語訳をつけることもあり、翻訳をちゃんと学びたいと思うようになりました。力試しに応募した翻訳コンクールで入賞したことで、本気で翻訳家を目指そうと決めました。翻訳学校の通信教育で基礎を学んでから、プロの翻訳家の指導を延べ2年間受けました。もともと読んだり書いたりすることが好きだったので、みるみるのめり込みました。 


編集: 
   そうでしたか。絵本の翻訳をなさるきっかけでもあったのですね。今回の絵本『おやすみをいうまえに』を出版したのには、どんな理由や思いがあったのでしょうか。 


山本: 
   サンフランシスコの本屋でエリシャ・ク―パーの絵本に出会い一目で魅了されました。以来、彼の作品をコレクションしています。なんといっても作品の持つ「空気感」がいい。洗練されていて、暖かくて、さりげないところのセンスもすごくいい、もういいとこづくめ。  

   『A Good Night Walk(おやすみをいうまえに)』はいつも手元に置いてページをめくっては癒されてきた、とっておきの一冊です。クーパーの作品の多くに言えることですが、この作品は絵本というよりスケッチブックのよう。翻訳出版には向かないのでは、とずっと思っていました。でも「こんないい作品を独り占めはよくない」という思いが次第につのってきたんです。  

   そこで、出してもらえそうな出版社をあたってみることにしました。バベルプレスのCo-Pubの存在を知り、オフィスを訪ねたのは今年の2月末です。原書を差し出すと、担当の田口さんがすかさず「これ絵がいいですね!」っておっしゃって、わたしは内心(でしょ、でしょ?)ってものすごく興奮しました。(実は、断られたときを想定して、「第2候補」「第3候補」の作品まで用意してあったんです) 


編集: 
   ほんとに素敵なイラストと、おしゃれな絵本ですよね。子供たちばかりではなくて大人も魅了されますね。何気ない日常のひとこまで、風景が静かに流れていく感覚が伝わってくるし。山本さんに直接絵本の内容の紹介していただきましょう。それから翻訳した感想、楽しかったことも聞かせてください。苦労したこともありましたら。 


山本: 
   ひとことでいえば、穏やかなベッドタイムストーリーです。パパが幼い娘をねんねの前のお散歩に連れて行くお話です。クーパーさん父娘の実際の体験がもとになっていて、描かれている景色も、人物や動物たちもすべて、サンフランシスコ近郊にあるバークレーヒルズの夕ぐれ時の情景そのものです。 
   読み手がクーパー父娘の目線になって絵本の中の散歩をいっしょに楽しむことができますよ。翻訳しているときは、どんな訳語にしようか考えるのが楽しくて楽しくて仕方なかったです。でもわたしは素人同然。冨田先生に指導していただき「おおっ!」と思いました。  

   訳し直しながら、ことばがぐっと立ってくる感覚を味わいました。本当に有難いです。ビジュアル面では、絵の魅力を際立たせるために、フォントや文字の配置にこだわりました。そしてCO-PUBは、わたしの細かい(というよりしつこい?)要望をひとつひとつ叶えてくれました。この場をかりてお礼申し上げます。  


編集: 
   絵本の翻訳は実は難しいのですよね。一つ言葉を変えるだけでぐっと雰囲気がかわるし。思い入れのある本なので、しっかりこだわってましたね〔笑〕。CO-PUBではそれが叶いますからね。翻訳者の方の希望をできるだけ反映させていただいています。  出来上がった本を手にしたときのお気持ちは? 


山本: 
   本が届いた時は玄関ですぐベリベリッと包みをあけ、暫く じ―っと見てました。「りっぱな姿になって帰ってきてくれた」って・・・・。もう自分の子どもです。発売日は娘の誕生日でもあり二重の喜びでした。でも、これは始まりなんだから、ここから頑張ってキャリアを積んでいかなくては、と、身の引き締まる思いもしました。 


編集: 
   わが子が生まれたという感覚ですね。しかも娘さんのお誕生日だったなんて、もう一人お子さんが増えましたね。良い記念にもなりよかったです。 
   最後に今後の抱負をお聞かせください。 


山本: 
   CO-PUBに企画を持ち込んで2週間後、未曾有の大地震がありました。日本の社会は明らかに変わりました。だれもが他者のためになにかをしようとしています。本や活字の力も改めて問われているようです。わたし自身、『おやすみをいうまえに』を地震後のいま読むと味わいが違うのです。これはあらゆる読者層に受け入れられる絵本だと信じています。  

   わたしが望んでいることは、子どもはもちろん、我々大人が「この本いいなあ!」って心から思えるような海外の絵本を探して紹介することです。これからも良い作品と出会い、たくさんの人にその魅力を伝えられるよう、頑張っていきたいと思っています。 


編集: 
   そうでしたね。3月11日の地震は忘れられないですね。びっくりしたりショックだったり、こんなことが起こるとは予想もしないことがおきるんだという実感と。考え方が全く変わりましたよね。日本人は素晴らしいという感動も教えられたし。地震をきっかけに今一番やりたいことをしておきたいと、絵本出版のご相談も受けました。  

   「おやすみをいうまえに」は家族のほのぼのとした愛情があふれた作品ですから。今こそ、たくさんの人に読んでいただきたいですね。バベルプレスも大いに宣伝します!
   本日は楽しいインタビューをありがとうございました。今後のご活躍を心からお祈りしています。 


☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ 

 

<PR>
 

『おやすみをいうまえに』
 

子供から大人まで癒される素敵な絵本です。サンフランシスコの近郊にあるバークレーヒルズの夕ぐれ時の情景が美しいイラストで描かれています。静かな時間が流れていき、父と子のなにげない会話とやさしい雰囲気が心に染み渡ります。
  
クリスマスプレゼントにも最適!!

バベルプレスからこの良書をぜひ日本で広めたいと思います! eガイア書店でご注文を承ります。
↓↓↓
http://www.egaiasyoten.com/shopdetail/001000000020/

編集部宛メールフォーム

お名前:必須

メールアドレス:必須

メールアドレス(確認用):必須
(確認の為、同じものをもう一度入力してください)

記事タイトル:必須


メッセージ:必須

ファイル添付:

削除