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『茶の本』『聖書の時代の人々と暮らし』『聖書人名事典』の翻訳者、石崎美香子さん

2010/12/25

12月25日号に登場の新人翻訳家は―石崎美香子(いしざき みかこ)さん。
 
 毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用することで、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。
                       
        
 
  連載21回目の12月25日号では、『茶の本』、『聖書の時代の人々と暮らし』、『聖書人名事典』の 
翻訳者、石崎美香子さんをご紹介します。
 
 







書籍名:『茶の本』(共訳)
 著 者:オカクラ カクゾウ(岡倉天心)
出 版:バベルプレス
 

 


書籍名:『聖書人名事典』(共訳)
著 者:テリー・ジーン・デイ&ダリル・J・ルーカス
出 版:バベルプレス
 


 


書籍名:『聖書の時代の人々と暮らし』(共訳)
著 者:クレール・ロリエ・ムザッティ
出 版:バベルプレス
 
 
 
編集:
本日のインタビューは石崎美香子さんです。石崎さんは3冊の翻訳書で翻訳家デビューされました。今回はその中の一冊『茶の本』のお話を伺います。
石崎さん、本日はインタビューよろしくお願いします。はじめにプロフィールと最近の活動について聞かせていただけますか。
 
石崎:
大学在学中、そして、卒業後も英語の家庭教師をしていました。結婚後主人の仕事で、通算約10年程海外生活を体験しました。中でも、約6年近く在住したタイでは、国立タマサート大学で日本語の講師を務めました。帰国後も母校の大学で日本語教授法の講座を受講し、ボランティアで色々の国の方に学校やプライベートで日本語を教えていました。
本書のほかに『聖書の時代の人々と暮らし』、『聖書人名事典』の2冊の共訳本があります。
 
次のチャンスまでの充電期間といったらかっこいいのですが、最近は少し翻訳から離れていました。英語とは常に接していたいので原書を読んだり、好きなシンガーの歌詞を和訳したりとマイペースで楽しんでいます。やりたいことが出てきたのでそろそろまた勉強を始めようかと思っています。
 
編集:
翻訳はどんな風に学ばれましたか。
 
石崎:
きっかけは新聞に載っていたバベルの翻訳診断でした。軽い気持ちで提出したのですが、添削結果のお褒めの言葉にすっかり乗せられて(笑)、通信講座を受講しました。通信講座は本科、専科(ノンフックション)、マスターコース、絵本講座を受けましたが、その他にも、単独の講座やセミナー、それから色々なコンテスト等にもずいぶん挑戦しました。
 
編集:
添削コメントにすっかり乗せられてプロになった方、たくさんいらっしゃるようです(笑)。
翻訳家になりたいと思われたきっかけは、どんなことでしょうか。
 
石崎:
翻訳家になりたいという目的が最初から明確にあったというより、ただ翻訳が好きでやり続けてきた結果という感じです。私の場合大変消極的なのですが、趣味の延長上に翻訳があったというのが、正直なところなんです。それでも海外生活を経験したこと、いろんな国の文化や生活に興味を持つこと、日本語にこだわりを持つということが翻訳に興味をもつ出発点になったかもしれません。翻訳出版など夢のまた夢でした。ところが結局3冊も出版することが出来たなんて、未だに信じられないくらいです。神様とバベルに感謝の気持ちで一杯です。
 
私だけかもしれませんが、特にノンフィクションをやっているためか、僅かな情報や手がかりから関連資料を探したり、確実な訳語を決定するためにその裏付けとなる情報や資料を見つけるというような地味な作業の中にも、探偵が謎解きをするような醍醐味を感じるときがあります。
 
また中々上手い訳文が見つからないという産みの苦しみを味わいながらも、あるとき突然いい訳文が浮かんだ瞬間の喜びは何とも言えないですね。そういったプラスアルファの部分がすごく楽しいんです。好奇心が旺盛で、調べ物が大好きな私には翻訳は向いているような気がしています。
 
編集:
英語が好きで、好奇心が旺盛で、調べ物がお好きな石崎さんは、翻訳者にぴったりですね。
この作品との出会いと、訳したいと思われたのはどんな理由や思いがあったのでしょうか。
 
石崎:
一作目が聖書関係の作品だったので、2作目もやはり普遍的なテーマであったり、長く読み継がれるような作品、格調高い作品をやりたいと思っていました。岡倉天心という名前からこれだと直感しました。
 
編集:
翻訳された感想、苦労したことやワークショップの感想など聞かせてください。
出来上がった本についてご家族やお知り合いの感想はいかがでしたか。
 
石崎:
茶道を通して、東洋、日本の精神性が決して西洋に劣るものではないという壮大なメッセージを世界に向けて発信した天心は真の国際人であり、博愛主義者でもあったのではないでしょうか。しかも100年も昔のこととは本当に驚きですね。『茶の本』は天心の完璧で格調高い英語、博識、洞察力、情熱、どの点においても別格です。
 
頭の中がおかしくなるくらい(笑)難しかったのですが、一生のうちでこんなに素晴らしい名作を翻訳出来たことは本当に幸せだと思っています。訳者が訳注を付けるという工夫をしたのですが、本書は、一世紀も前の書物であるうえ、天心の広大で深い知識に埋め尽くされており、その調べものは一筋縄ではいかないものばかりでした。
 
都立中央図書館に行って一日中調べるという日が何日も続いたこともありました。実は中央図書館は家から歩いて5分くらいのところなんですね。そのときは翻訳者としてつくづく恵まれているなあと思いました。
 
ネット上で共訳者の方々と活発に意見を交換するというワークショップのシステムは、自分の思い込みに気付かされたり、共訳者の方々の知恵に助けられたり、また翻訳作業が効率よく進められるという点でもすごくいいですね。またペアを組んで訳文を何度も見直すというやり方もとても勉強になりました。 
 
お友達に茶道やティーセレモニーをされている方がいらして、「茶」のルーツ、発展、その優れた精神性を知ることが出来、こんなに奥深いものだとは知らなかったととても喜ばれました。岡倉天心という名前は知っていても、それ以上のことはあまり知らないという日本人は多いのではないでしょうか。日本人の誇りとして本書をより多くの方に読んで頂けたらと心から願っています。
  
編集:
お好きな調べ物も、相当手ごわかったようですね。最近は、外国の方のほうが日本の文化、茶道の侘びさびまでよく勉強されていますよね。本当にこの本をたくさんの日本人に読んでもらいたいですね。奥の深い素晴らしい本ですから。
最後にこれからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせください。
 
石崎:
今までノンフィクションの分野を翻訳してきたのですが、絵本にもとても興味があります。今秋息子が結婚していつか孫が生まれたら、良い絵本を読んであげたいという思いが重なって、絵本の出版という夢が新たに生まれました。先ずは古い資料を見直したり、新しい情報を集めるなど準備を始めようと思っているところです。また夢の実現に向けて新たに勉強して力を付けていきたいと思っています。  
 
編集:
お孫さんのための絵本の出版、素敵ですね。楽しみながら今から準備されておくとよろしいですね。
本日はありがとうございました。これからもますますのご活躍をお祈りいたします。
来年も石崎さんにとって良い年になりますように。
 

 
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