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『クリスマス・バス』の翻訳者、山下 朋明(やました ともあき)さん

2010/12/09

12月10日号に登場の新人翻訳家は ―山下 朋明(やました ともあき)さん。


 毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用することで、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。


  連載20回目の12月10日号では
『クリスマス・バス』の翻訳者、山下 朋明さんをご紹介します。

  
 







 

    作品1
書籍名: 『クリスマス・バス』(共訳)
著 者: メロディー・カールソン
出 版: バベルプレス

  
 
 

編集:
 山下さん、本日はインタビューよろしくお願いします。はじめに、プロフィールと最近の活動についてについて聞かせていただけますか。
 

山下:
 大学は外国語学部に入り、3年生のときに1年間UCLA Extensionに交換留学しました。そこでは幼児教育を勉強して、Basic and Advanced Core Certificate Program in Early Childhood Educationを修了しました。大学卒業後、筑波大学大学院修士課程教育研究科教科教育専攻英語教育コースに進学してから英語教員になりました。教員をやりながら、多読の研究論文を書いたり、社団法人日本青少年育成協会のボランティア通訳会員になったりするなどしていろいろなことに挑戦してきました。現在も神奈川県の私立学校で英語の教員をしていて、今年で10年目になります。また、バベル翻訳大学院(USA)で翻訳を学んでいます。
 

編集:
 バベル翻訳大学院(USA)への入学のきっかけは、どんなことでしたでしょうか。
 

山下:
 英語の教員をしながら、もっと専門的にいろいろ勉強したいなあとずっと考えていました。最初は大学院で英語教育か通訳の研究をしようと思っていて、インターネットで日本や海外の大学院をいろいろと調べていました。そのとき偶然、バベル翻訳大学院(USA)のホームページを見つけたんです。
 
 翻訳の研究をするだけでなくプロの翻訳者を養成する大学院で、しかもインターネットの通信教育だけで修了できるので、これなら英語教員の仕事にも直結するし、仕事に支障なく勉強が続けられると思いました。すぐに資料を取り寄せ、その頃バベルが発行していた雑誌も合わせて読んでいくうちに翻訳英文法に魅了され、入学試験を受けることにしました。
 翻訳の勉強をまったくしたことがなかったので試験はすごく難しかったですが、運よく合格し、授業料の一部免除を受けることもできました。
 

編集:
 翻訳英文法はバベルの翻訳における素晴らしいメソッドですね。バベルで学ばれたプロ翻訳者の多くの方が、ずっと翻訳英文法をベースに翻訳をされているようです。
翻訳家になりたいと思われたのはどんなことからですか。
 

山下:
 翻訳家になりたいと思ったのは、ただ英語を教えるだけの教員で一生を終えたくなかったからです。英語教員の仕事は、いろんな知識や技量が必要で日々の努力が欠かせない大変な仕事ですが、自分を含めて日本全国にいる英語教員のうちどれくらいの人が学校外の社会に出たときに英語のプロとして通用するんだろうと考えたとき、実社会で通用する英語を生徒に教えるには、自分自身にプロとしての実力と実績がなければダメだって思ったんです。
 
 翻訳のスキルを身につければ大学入試の英文和訳指導にも活かせるし、翻訳出版が実現できれば生徒に英語の勉強が将来どのように役立つのかを具体的に示すことができると思ったので、翻訳家になろうと決めました。また、書籍という形で自分の仕事を残すことができ、それを多くの人に読んでもらえるというのも翻訳家の嬉しいメリットですね。
 

編集:
 それは素晴らしいですね。英語教師としての展望と将来の目標をしっかり見据えていらっしゃるのですね。翻訳は奥が深いので翻訳学習は英語教育にもとても役に立つし、実践的な技術の習得になりますからね。
 では、訳書「The Christmas Bus」との出会いはどんなことだったのでしょうか。また、どんな理由や思いから、本書を訳そうと思われたのでしょうか。
 

山下:
 バベル翻訳大学院でしばらく勉強したところで、そろそろ学んだことを実践につなげていきたいと思いながらCo-PUB Journalのホームページを見ていたとき、「The Christmas Bus」のオーディションがあったので思い切って応募しました。自分が教える生徒たちにも読んでもらえる楽しそうな内容だったし、クリスマスの話なのでこれなら流行りすたりなく毎年読んでもらえると思ったのが、この作品を選んだ理由です。
 

編集:
 翻訳された感想、苦労したことやワークショップの感想など聞かせてください。
 

山下:
 翻訳を進めるなかで数回の会合がありましたが、基本的にはメールやインターネット上の掲示板でやりとりするので、日本だけでなく海外から参加されている方もいらっしゃいました。インターネットを使ったCo-PUBシステムってすごいなって思いました。
 
 翻訳するときに苦労したことは、教会やキリスト教やクリスマスについての背景知識が必要なところがあったので、たくさんリサーチをしなければいけなかったことです。でも、監訳の先生を含めて7人も集まれば怖いものなしで、皆さんが持っている知識とリサーチ力で次々に問題は解決されていきました。
 
 他には、作品の登場人物一人ひとりにどのような口調で語らせるかという文体の問題です。登場人物に対する訳者の捉え方が微妙に違うので、言葉使いにもそれが表れてきます。ただ、この点については訳者6人の個性を活かしながら統一されたひとつの作品に仕上げてくださった、監訳の柴田ひさ子先生が一番ご苦労なさったのではないかと思いますし、頭の下がる思いでいっぱいです。
 

編集:
  ひとつの物語を6人で翻訳されるのは、ご苦労があったようですが、全員の知恵とチームワークで、素敵な翻訳にし上がりました。出来上がった本については、教えていらっしゃる生徒さんや同僚の先生方の評判はいかがでしたか。

山下:
 本が出来上がっていろいろな人に紹介すると、勤めている学校だけでも生徒、保護者や先生方に1週間ぐらいで100冊以上購入していただけました。いろんな人から「本にサインしてください」と言われ、断り切れなかった人たちには恥ずかしながらサインを書いたりもしました。
 
 目を輝かせながら感想を話してくれる生徒たち、「母親にプレゼントしたいのでもう1冊ください」と言ってくれる先生、「小学校で読み聞かせをやっているので、そこで読んで紹介します」と言ってくれる保護者、「映画になりそうなストーリーだね」と言ってくれる人たちがいて、大反響でした。これだけ喜んでくれる人たちがいたので、数カ月にわたるワークショップの苦労が報われました。
 

編集:
 それは良かったですね!サインも求められたとのことで、まさに翻訳家デビューですね。
 最後にこれからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせください。
 

山下:
 バベル翻訳大学院在学中に初めての共訳出版を実現できましたし、BABEL Professional Translator Test(BPT検定)英日フィクション部門で2級を取得でき、BABEL TMC(バベル・トランスメディア・センター)に翻訳者として登録させていただきました。
 
 今は大学院で、「『英文解釈』と翻訳の狭間―中学・高等学校における和訳指導のあるべき姿―」というタイトルで「翻訳論研究」に取り掛かっています。この中で、翻訳英文法を土台にしながら受験用にアレンジした中高生向けの英文和訳の教材開発について書いています。「高校・大学受験用翻訳英文法」の本をいつか出版できたらいいなあと思っています。
 
 また、これから取り組まなければいけない大学院の修了作品も出版まで持っていきたいですし、共訳出版にももう一度挑戦したいです。フィクションを翻訳する奥深さも魅力ですし、教育関係の実用書を翻訳することにも興味があります。何を翻訳するにしても、生徒に読んでもらえる本をこれからじっくり考えて決めようと思います。
 

編集:
 これから、たくさん目標があって楽しみですね。
 「高校・大学受験用翻訳英文法」の本、素晴らしいと思います。バベルプレスでもお手伝いできることがあると思いますのでぜひ実現してください。高校教師のお仕事は、なかなかハードスケジュールをこなしておいでのようですので、お体に気をつけて更なるご活躍をお祈りいたします。
 本日はインタビューありがとうございました。


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