【翻訳者インタビュー・呉藤加代子さん】絵本『バッドキャットトップハットでダンス』
2019/04/08
連載220回目の4月8日号では、『バッドキャット-トップハットでダンス』の翻訳者、呉藤加代子さんの翻訳者インタビューをご紹介いたします。お楽しみ下さい。

編集:
はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。
呉藤:大分県在住のコピーライターで、日頃は広告や雑誌、新聞などの制作に携わっています。その傍ら、渡英経験を生かして英国のデザイナーやアーティストの作品などを日本向け商品として企画製作し、百貨店の英国展などで紹介したり、英国の小さなイベントを日本で開催する誘致活動をしたりと、英国関連の様々な活動をしています。またこの4月から、県立図書館の読み聞かせ活動にも参加します。
編集:呉藤さんは積極的な活動をされておりますが、4月から読み聞かせ活動もスタートされていたのですね。いつも、お話しするたびに、あたらしい事が聞けるので、私自身ワクワクしています。今回の絵本翻訳出版は、2016年の『だってたのしくたべたいんだもん!』に続き、『バッドキャット-トップハットでダンス』の出版になりました。『バッドキャット-トップハットでダンス』を出版された経緯をお聞かせください。
呉藤:『バッドキャット』との出会いはかれこれ5年くらい前でしょうか。英国北東部のリゾート地・スカーバラからスコットランドへの旅の途中で立ち寄ったヨークでのこと。猫専門店にあった『〇〇 Cat』という本が気になって、と英国に住む親族にちらっと話をしたら、「この前話してた『Bat Cat』の作者なら近所に住んでる」みたいな連絡が入って。とんだCat違いなのですが、その時に原作者から「翻訳しても良いよ」と言われていたんです。1冊目が日本で出版されていたので、2作目も望んでいるようでした。でも当時は翻訳のほの字も、レジュメの書き方も知らなくて。パラパラっとめくって、なんて愉快な絵本!って思ったものの、そのまま本棚行き。その後、翻訳熱が高まって偶然の出会いから『だってたのしくたべたいんだもん!』を訳して育てていくうちに2年が経ち、そろそろ次を手掛けたいなあと思ったときに取り組みましたが、某サイトで調べてみると、2作目の方が人気が高かったのも取り組むきっかけになりました。
編集:
本書の出版のきっかけは、著者のトレーシーさんから直接「翻訳しても良いよ」って言われたことだったんですね。また、ご親族ののお住まいの近所にトレーシーさんが住んでいたというのは驚きですね。 『バッドキャット-トップハットでダンス』の内容の紹介と、翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したことをお聞かせくださいますか。
呉藤:雑多な大都会で暮らし、可愛らしいイタズラをしては人々をハッピーにする黒猫の物語です。舞台はニューヨークですが、原作者は英国人。主人公の黒猫が蝶ネクタイ姿という設定がいかにも英人らしくて、随所に英国風のユーモアが感じられます。
ユニークなキャラクターの人物たちが出てくるのですが、ユーモアのある名前をどう訳せば面白くなるかが一つのポイントでした。そこは最初の思いつきのままスムーズだったのですが、成功しているかどうか。苦労したのは、原作者のメッセージとも言える扉をどう解釈し、どう訳すかということでした。dedicateにはtoが普通だと思っていたので、dedicated for?と。最後の最後でネイティブの質問箱に答えを見つけたときは目からウロコ。いつものことですが、そこはコピーライターとしての日頃のサーチ力の賜物かもしれません。
今回は『だってたのしくたべたいんだもん!』を訳したときに感じた窮屈さもなく、自由に楽しく訳せました。訳や編集についてブレーンストーミングができ、大変有意義でしたね。バベルの方々のご協力に感謝します。
編集:
イタズラをして人々をハッピーするお話って、本当に素敵なお話ですね。翻訳をされていると、色々な訳文が浮かんでくると思います。使いたい言葉や文があっても、どこかで区切りを付けなければいけない難しさがありますね。絵本を手にしたときのお気持ちはいかがでしたか。
呉藤:私にとっては、猫の絵本というのが感慨深いですね。2匹の猫が私の長~い(笑)独身時代を支えてくれたので、愛すべき人生の相棒だと思っています。世に出せて嬉しいです。猫の、何者にも囚われない気ままさを借りて、「自由に行こう!」というメッセージが込められています。猫好きならずとも楽しめる絵本なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。
編集:
猫の、何者にも囚われない気ままさを借りて、「自由に行こう!」というメッセージは私自身にもぐっときます。「自由に行こう!」って良いですね!最後にこれからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせください。
呉藤:ポップな絵本が2冊続いたので、次はしっとり系でしょうか。短いセンテンスの美しい散文詩なんかに、できれば挑戦したいですね。
編集:
いつもながら、今日も呉藤さんとお話をして、私自身も実りのある日になりました。ありがとうございました。
また、 『バッドキャット-トップハットでダンス』 著者トレーシーさんとの 対談や、トレーシーさんからの日本読者へのメッセージをいただく際のご協力もよろしくおねがいします。素敵なお時間ありがとうございました。

編集:
はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。
呉藤:大分県在住のコピーライターで、日頃は広告や雑誌、新聞などの制作に携わっています。その傍ら、渡英経験を生かして英国のデザイナーやアーティストの作品などを日本向け商品として企画製作し、百貨店の英国展などで紹介したり、英国の小さなイベントを日本で開催する誘致活動をしたりと、英国関連の様々な活動をしています。またこの4月から、県立図書館の読み聞かせ活動にも参加します。
編集:呉藤さんは積極的な活動をされておりますが、4月から読み聞かせ活動もスタートされていたのですね。いつも、お話しするたびに、あたらしい事が聞けるので、私自身ワクワクしています。今回の絵本翻訳出版は、2016年の『だってたのしくたべたいんだもん!』に続き、『バッドキャット-トップハットでダンス』の出版になりました。『バッドキャット-トップハットでダンス』を出版された経緯をお聞かせください。
呉藤:『バッドキャット』との出会いはかれこれ5年くらい前でしょうか。英国北東部のリゾート地・スカーバラからスコットランドへの旅の途中で立ち寄ったヨークでのこと。猫専門店にあった『〇〇 Cat』という本が気になって、と英国に住む親族にちらっと話をしたら、「この前話してた『Bat Cat』の作者なら近所に住んでる」みたいな連絡が入って。とんだCat違いなのですが、その時に原作者から「翻訳しても良いよ」と言われていたんです。1冊目が日本で出版されていたので、2作目も望んでいるようでした。でも当時は翻訳のほの字も、レジュメの書き方も知らなくて。パラパラっとめくって、なんて愉快な絵本!って思ったものの、そのまま本棚行き。その後、翻訳熱が高まって偶然の出会いから『だってたのしくたべたいんだもん!』を訳して育てていくうちに2年が経ち、そろそろ次を手掛けたいなあと思ったときに取り組みましたが、某サイトで調べてみると、2作目の方が人気が高かったのも取り組むきっかけになりました。
編集:
本書の出版のきっかけは、著者のトレーシーさんから直接「翻訳しても良いよ」って言われたことだったんですね。また、ご親族ののお住まいの近所にトレーシーさんが住んでいたというのは驚きですね。 『バッドキャット-トップハットでダンス』の内容の紹介と、翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したことをお聞かせくださいますか。
呉藤:雑多な大都会で暮らし、可愛らしいイタズラをしては人々をハッピーにする黒猫の物語です。舞台はニューヨークですが、原作者は英国人。主人公の黒猫が蝶ネクタイ姿という設定がいかにも英人らしくて、随所に英国風のユーモアが感じられます。
ユニークなキャラクターの人物たちが出てくるのですが、ユーモアのある名前をどう訳せば面白くなるかが一つのポイントでした。そこは最初の思いつきのままスムーズだったのですが、成功しているかどうか。苦労したのは、原作者のメッセージとも言える扉をどう解釈し、どう訳すかということでした。dedicateにはtoが普通だと思っていたので、dedicated for?と。最後の最後でネイティブの質問箱に答えを見つけたときは目からウロコ。いつものことですが、そこはコピーライターとしての日頃のサーチ力の賜物かもしれません。
今回は『だってたのしくたべたいんだもん!』を訳したときに感じた窮屈さもなく、自由に楽しく訳せました。訳や編集についてブレーンストーミングができ、大変有意義でしたね。バベルの方々のご協力に感謝します。
編集:
イタズラをして人々をハッピーするお話って、本当に素敵なお話ですね。翻訳をされていると、色々な訳文が浮かんでくると思います。使いたい言葉や文があっても、どこかで区切りを付けなければいけない難しさがありますね。絵本を手にしたときのお気持ちはいかがでしたか。
呉藤:私にとっては、猫の絵本というのが感慨深いですね。2匹の猫が私の長~い(笑)独身時代を支えてくれたので、愛すべき人生の相棒だと思っています。世に出せて嬉しいです。猫の、何者にも囚われない気ままさを借りて、「自由に行こう!」というメッセージが込められています。猫好きならずとも楽しめる絵本なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。
編集:
猫の、何者にも囚われない気ままさを借りて、「自由に行こう!」というメッセージは私自身にもぐっときます。「自由に行こう!」って良いですね!最後にこれからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせください。
呉藤:ポップな絵本が2冊続いたので、次はしっとり系でしょうか。短いセンテンスの美しい散文詩なんかに、できれば挑戦したいですね。
編集:
いつもながら、今日も呉藤さんとお話をして、私自身も実りのある日になりました。ありがとうございました。
また、 『バッドキャット-トップハットでダンス』 著者トレーシーさんとの 対談や、トレーシーさんからの日本読者へのメッセージをいただく際のご協力もよろしくおねがいします。素敵なお時間ありがとうございました。
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