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【2月「黒人歴史月間」】『28DAYS』翻訳者の北川静江さんインタビュー

2018/01/22

2月「黒人歴史月間」と、『28DAYS-運命をかえた黒人たち すべては夢のために-』(バベルプレス刊)(以下『28DAYS』)を翻訳者の北川静江さんがご紹介します!!

このコーナーでは、これまでたくさんの翻訳家にスポットをあて、
どんな方がバベルの翻訳ワークショップからデビューしているのかをご紹介し、
インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探ってきました。

連載191回目の1月22日号では、2月の「黒人歴史月間」と『28DAYS』をご紹介します!

アメリカ大統領がトランプ大統領になってから、
日本でも、公民権運動を指導したマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)や、
オバマ大統領がたびたびメディアに取り上げられています。

また、ゴールデン・グローブ賞(2018/1/7)で感動のスピーチで一気に民主党大統領選候補に浮上したアメリカの女優で大人気司会者のオプラ・ウィンフリーさん、2020年に発行されることになる新20ドル札の表を飾る「米国紙幣初の黒人女性」のハリエット タブマンさんなど、世界中ですばらしい未来を創造している黒人の方々がさらに注目されています。

今回は『28DAYS』翻訳者の北川静江さんより、2月の「黒人歴史月間」と、『28DAYS』の楽しみ方をご紹介いただきます。お楽しみ下さい!!

編集部:

北川さん、こんにちは。
「28DAYSのストーリーの中で「黒人歴史月間」にふさわしい、
また、今の時代だからこそ知ってほしいストーリーをご紹介ください。
よろしくおねがいします。


北川さん:
 こんにちは。こちらこそ宜しくお願い致します。

編集部:
 私自身、北川さんに翻訳していただいた『28DAYS』を読んで知った黒人の方々をよくメディアで見ることが多くなってきましたが、そのことについて、北川さんはどのように感じていますか。

北川さん:
 私達は知識が増えれば興味は広がり好循環します。きっと今までも歴史を変えるほど有名なアフリカ系アメリカ人は、メデイアに登場していたのでしょうが、私達に知識がなく、気がつかなかったのだと思います。それに加えて日本は、島国で移民、難民を受け入れてきませんでしたから、黒人文化にあまり関心がなかったのでしょうね。今あなたがおっしゃったことこそが、私が翻訳した甲斐があったというものです。

 「28DAYS」は28の個々のストーリーを一つのまとまりある文章に仕上げていて、グループや、ペアも登場します。アメリカの歴史をかえた方々ですから、その労苦と努力は並外れています。その中に一番よく使われる20ドル紙幣の顔になることが決まっているハリエット・タブマンさんや、トランプ大統領の任期後の候補者に担ぎ出されているオプラ・ウィンフリーさんも入っています。

 この有名人を翻訳するまで知らなかった私自身にも言えることですが、28のエピソードを知ってから見るアメリカのニュースはもっと面白くなり、黒人の歴史や文化が、身近に感じられるようになると思います。


編集部:
 
「黒人歴史月間」と『28DAYS』の関連性について教えてください。

北川さん:
 「黒人歴史月間」の起原は1926年ハーバード大学の学者 カーター・G・ウッドソン博士の提唱で「ニグロ歴史週間」から始まり「黒人歴史月間」に延長されました。

 米国民民族的ルーツはニグロから始まっている事を忘れず、お互いに尊重しあいましょう、という意図がありました。2月になったのは、エイブラハム・リンカーンとフレデリック・ダグラスの誕生月が2月だったからです。

 『28DAYS』の題名は2月が「閏月(うるうづき)」で28日しかないからです。特にこの月、アメリカの学校では、公民権運動や、人種差別の是非を学生たちと話し合うカリキュラムをとりいれます。ちなみにイギリスの「黒人歴史月間」は10月です。※wikipedia(黒人歴史月間)より

編集部:
 
『28DAYS』の28のストーリーの中で、「黒人歴史月間」にふさわしい、また、今の時代だからこそ知ってほしいストーリーをご紹介ください。

北川さん:
 はい、読者の皆さまに知っていただきたいのは、23番目にでてくる、シャーリー・チザムさんです。私達はアフリカ・アメリカンのバラク・オバマが大統領になったとき、黒人が初の大統領になったと驚き期待もしましたが、実はその前にも1972年に民主党から立候補した初の黒人女性がいたのです。

 移民の両親をもち、幼年期は貧しい暮らしでしたが、教育には熱心な家庭で、バルバドスにある英国流の厳格で多方面にわたる教育の学校に通わせてくれ、そのお陰でニューヨークでは、奨学金でいくつもの大学を卒業しました。その後 米連邦議会下院議員を14年間勤めます。

 大統領立候補時の公約、政策は民主党ですから徴兵制反対、軍事支出費を減らし、教育や保険といった社会サービスの充実をはかる。等々で、まだまだ書ききれません。アメリカは2大政党で民主党と共和党ですが、政策は正反対ですよね。シャーリー・チザムは民主党議員ですから、オバマ氏がやってくれたこととほぼ同じだったと、想像できます。

 現在 共和党のトランプ政権では、バラク・オバマがやってきた貧しい人びとの生活を支えてきたセーフティーネット・プログラムを終わらせてしまい、生活に困る人々が増えてきています。トランプはウォール街の一部の富裕層と中間層の白人、東部のラストベルトの人々、南部の白人男性を味方につけて、軍事産業のセールスマンとしては優秀かもしれませんが、政治家としては素人ですよね。  

 シャーリーは晩年、全米女性名誉の殿堂に殿堂入り。「100人の偉大なアフリカ系アメリカ人」の1人に選ばれています。

編集部:
 
最後になりますが、『28DAYS』の初めての読者で、翻訳者(原著者の思いを日本読者へ届ける伝道士)でもある北川さんは、「黒人歴史月間」と『28DAYS』でTPT(The Professional Translator)読者に知ってもらいたいことがあれば教えてください。

北川さん:
 絵本が刊行されたとき、大変難しい歴史書を翻訳した怖い者知らずの自分自身に、あらためて気がつきました。そしてこれは史実書ですから、ぜったい間違いは許されません。また、なによりも絵本のもつ、ものすごいパワーと、著者チャールズ・スミスさんの伝えたっかたメッセージを読者の皆さまに正確にお届けできたら嬉しく思います。

 私はノンフィクションの翻訳が好きで、ちょうど適当な語彙が浮かばずにもがき苦しむ時、それは至福の時間です。好みもありますが、みなさまも翻訳する絵本は、身の丈より少しだけ難しいものに挑戦なさるのは如何でしょうか。
※余談ですが、私はこの翻訳本を原書本と一緒にバラク・オバマさんに送りました。私自身、常に心がけていることは、「思い立ったらすぐ行動」です。勇気をもって伝え続けることが私の役割とも考えています。皆さまも是非、さまざまなことにチャレンジしていただければと思います。
バラク・オバマさん宛ての手紙はこちら

 最後になりますが、「28DAYS」に出会えて、本当に幸せでした。

編集部:
北川さん、本日はありがとうございました。2018年も益々のご活躍をお祈りします。



ジャンル:絵本
原書:28 DAYS -moments in Black history that changed the world-    
タイトル:28DAYS-運命をかえた黒人たち すべては夢のために-
定価:1,600 円+税
著者:チャールズ・R. スミス・ジュニア(作)
   シェーン・W. エヴァンス(絵)
訳者:北川静江
出版社:バベルプレス
判型:30㎝✘24.8㎝(上製)
頁 :56ページ
ISBN:978-4-89449-167-0

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