大きくする 標準 小さくする

今回は監訳者にインタビュー!『崩壊』の監訳者・五月女穣先生にお話をうかがいました!

2017/09/07

今回は監訳者にインタビュー!

『崩壊』の監訳者・五月女穣先生にお話をうかがいました!





 このコーナーでは、これまでたくさんの翻訳者にスポットを当て、
インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探ってきました。

 連載182回目(9月7日号)では、
『崩壊』(原題:Unholy Friendshiop)のワークショップで監訳をしていただいた
五月女穣(さおとめ みのる)先生にインタビューさせていただきました。


法律の世界で活躍されてきた五月女先生が、翻訳に挑戦され、
さらに物語の翻訳にもトライされたのにはどんな理由があったのでしょうか?
五月女先生のインタビューをお読みください!

 

編集部

五月女先生、本日はよろしくお願いいたします。

バベルとして大変お世話になっている五月女先生ですが、先生はこれまでどんなご職業を経験され、バベルと関わってこられたのですか?
 

五月女穣先生(以下、五月女先生)

私は長年大手総合商社に勤務し、主として海外営業・海外法務等を担当、その間約20年間米国及び東南アジアに駐在しました。約10年前から現在に至るまでバベルでリーガル分野のオンライン及び通学講座の講師を務めており、これ以外に(社)日本翻訳協会(JTA)主催のセミナー講師及び資格審査試験の試験委員も務めております。
 

編集部

リーガルの世界で活躍されてきたのですね。そこから翻訳の道に興味を持ったのはなぜですか?
 

五月女先生:

今まで、英語は英語、日本語は日本語で理解する世界で育ってきた者にとって、二つの言語を正確に結び付けるのは、それなりの知識・技法が必要であり正に新しいチャレンジングな世界でした。又多少大げさに言うなら異文化交流であることから翻訳に興味を抱き、真剣に取り組んでみようと考え、今迄の経験・実績が多少なりとも生かせる分野ということで法律翻訳を志しました。
 

編集部

チャレンジする道を選ばれたということですね。人生のステップを上がるタイミングだったのだと思います。

今回初めて小説作品の翻訳・監訳にもチャレンジしていただいたわけですが、どうして本作を選ばれたのでしょうか?
 

五月女先生

本書は、オーストラリアで実際に起こった事件をもとに書かれたノン・フィクションで、事件に至った経緯、凶暴性、イスラム原理主義に基づく信仰、そして現代社会では想像もつかないような裁判での驚くべき結末等々・・・非常に興味をそそる内容なので、是非日本の皆さんにも紹介したいと思い翻訳と監訳を手がけました。
 

編集部

本当に、異文化交流としての役割も果たしていますよね。普段なかなか知ることのない世界です。

どんな想いで翻訳されましたか?
 

五月女先生

上記と一部重複しますが、近代国家であるオーストリアで、このような驚くべき結末の裁判が実際にあったということ。更に、イスラム教の教義、人間として分別をわきまえるとは何か等現代社会に通じるとも言えるこれらの問題について、本書により読者の皆さんに多少なりともお伝えすることが出来れば無上の喜びです。
 

編集部

ズバリ、本の内容を一言で表すと?
 

五月女先生

一つの国家の中で、宗教、人種等の多様性が顕著な場合、何を以って物事の判断基準とすべきなのか、何が正義(justice)なのかを考えさせられる内容です。

編集部

授業をされた感想はいかがでしょうか?
 

五月女先生

翻訳者の皆さんと意見を交わしながら翻訳を進めて行くのは、それなりの難しさもありましたが、

全般的に楽しい作業でした。原著がいささかややこしい英語で書かれており、これを読み解き、分かりやすい日本語に仕上げて行くのには多少苦労しました。特にイスラム教の教義、分別をわきまえた人間の判断基準、信仰や信念は、近代法を超えることが出来るのか、そしてイスラム教とオーストラリアの法制度との関連性等、日頃馴染みのない事柄の解釈とも関連して訳出に苦労した点が多々ありましたが、翻訳者の皆さんのご協力を得て乗り切ることが出来ました。
 

編集部

実際に本を手に取った時のお気持ちはいかがでしたか。
 

五月女先生

完成本を手にして正直なところほっとしております。上記の通り、訳文作成に際しての諸問題がありましたが、翻訳を完成した現在、心地よい達成感を味わっております。

翻訳者の皆さん、本当に有難うございました。無理難題、クレイム、いちゃもん、難癖等々を気持ちよく(?)受け入れて頂き、お蔭様で無事完成することが出来ました。改めて皆さんのご尽力に敬意を表したいと思います。
 

編集部

ワークショップメンバー一丸となって取り組まれたのですね。そうした体験が出来るのもこのワークショップの魅了ですね。

大変だった、苦労した部分はありますか?
 

五月女先生

法律翻訳の世界で生きてきた者にとって、日常会話が絡む訳文の作成に力不足を感じました。又オーストラリアの法制度は、かなり複雑で理解不十分であったこと、又訳文全体を通してReadabilityの向上には、更なる改善が必要なことを痛感しました。
 

編集部

同じ翻訳といっても全く違うんですね。正確で間違いのない訳が必要な法律翻訳と、自然な会話やストーリー性が大事な文芸翻訳と。

さらにオーストラリアと日本の差もあって。。。本当に翻訳とは大変な作業ですが、同時に尊いものだとも言えますね!

最後にこれからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせください。
 

五月女先生

法律が関連する作品の翻訳出版を手掛けたいと思いますので、良い作品があればご紹介下さい。
 

編集部

ぜひまたよろしくお願いいたします。

今日はありがとうございました!

 


 『崩壊』  
 著 マイケル・アブドゥル-カリム
 翻訳 白石 由美子、 田堰 良平、 船本三恵子

 監訳 五月女 穣


 オーストラリアを震撼させた狂気殺人事件の謎に迫る、元弁護士でもある著者渾身のノンフィクション!

 宗教でタブー視されている戒律を破っていた親友に対し、激しい怒りを爆発させた男が、その親友を畜殺用の肉切り包丁で186回もメッタ刺しにするという凶悪事件を起こした。

裁判が進むに従い、個人の信仰、それに準ずる教義と、オーストラリアの刑法との絡みあいが問題点として浮き上がる。法的見地から、この事件の被告が犯行時に分別をわきまえていたかどうかという争点に立ったとき、信仰や信念は、法律で対処できる範囲を超えてしまうことがあるのではないかと考えが生じる。

 それは、分別をわきまえた人は与えられた状況の中でどのような行動を取り、法律はその原理や解釈を適用するにあたって、一定の人々に深く根ざす宗教や信仰にまでも影響力を及ぼすことができるのかどうかが問われる。

 特に、信仰が原理主義に忠実に則ったものであるという考えから、教典に対して極端に過激な解釈がなされていた場合、果たして「分別をわきまえていた」と判断できるのか。 この凶悪な殺人事件を追った裁判では、「分別をわきまえた人」と信仰に関する論点が浮き彫りにされた。その議論を本書「崩壊」で著者マイケル・アブドゥル-カリムが克明に記している。 法律や宗教に興味のある読者にぜひ読んでいただきたい1冊である。


本書のご購入はこちらから!!


『』
『ローシーの扉』シリーズや『聖なるスカラベの秘密』の他、児童書や絵本もたくさん♪
バベルプレスのネット書店eGaia Shop こちらから

バベルプレスの書籍はアマゾンでも購入できます!ご購入はこちらから

編集部宛メールフォーム

お名前:必須

メールアドレス:必須

メールアドレス(確認用):必須
(確認の為、同じものをもう一度入力してください)

記事タイトル:必須


メッセージ:必須

ファイル添付:

削除