「ストーン・クロニクル」シリーズ第2作 『エクスカリバーの石を探して』発売! 翻訳者・金丸江美子さんインタビュー
2017/07/22
このコーナーでは、これまでたくさんの翻訳者にスポットを当て、
インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探ってきました。
連載179回目(7月22日号)では、先日発売開始となったPOD作品の新刊『エクスカリバーの石を探して』の翻訳者・金丸美江子さんをご紹介します!
児童文学には関心が薄かったという金丸さん。『エクスカリバーの石を探して』と出会ってどう変わったのでしょうか?
翻訳にかける熱い想いにあふれたインタビューを是非お読みください!
編集部:
今回の翻訳者インタビューは金丸美江子さんにお話を伺います。
はじめに簡単な自己紹介をお願いしたいのですが、ご職業や最近の活動などについてお聞かせ願えますか?
金丸美江子(以下、金丸さん):
金丸美江子と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私は慶応大学文学部で社会心理学を専攻し、卒業後、電機メーカーや外資系金融会社でOLをしていました。同時にバベルの通信教育にもお世話になっておりました。当時B級会員という資格をいただいて、出産で会社を辞めるのを機に、在宅で翻訳の仕事を開始しました。ですからバベルさんとは長いおつきあいになります。
編集部:
そうなんですね!
金丸さん;
ですが、主人の転勤でアメリカに行くのをきっかけに、翻訳から遠ざかってしまいました。
育児とさらにベルギーへの転勤が重なりまして、やっと5年前に帰国し、現在は、都内の英語学校で教えています。
編集部:
常に英語や外国語との関わりがあるんですね。
改めまして、この度は『エクスカリバーの石を探して』の翻訳出版おめでとうございます!
金丸さん:
ありがとうございます。
編集部:
翻訳へは、いつ頃から興味を持たれたんですか?
金丸さん:
小さい頃から英語が好きで、将来は英語に関わる仕事に就きたいと思っていました。大学時代に交換留学でアメリカに留学し、さらにその思いを強くしました。
通訳にも興味がありましたが、結婚して子供を育てながら自宅でできる仕事ということで、翻訳を選びました。
編集部:
今回『エクスカリバーの石を探して』を選ばれたのはどうしてですか?
金丸さん:
産業翻訳を仕事としてやっていましたが、出版翻訳は長年の夢というか、あこがれでした。とはいえ、文芸作品、特に児童書というのは、あまり考えてはおりませんでした。
実は本書の前に、心理学関係の本のワークショップに参加したのですが、版権の関係で出版できなくなり、そんな時に、バベルの事務局の方に、この本を勧めていただき、参加させていただきました。
最初の本が出版されていたら、この本との出会いはなかったと思うので、不幸中の幸いといいますか、バベル事務局の方には感謝しております。
編集部:
そのような経緯があったんですね。なんだか不思議な巡りあわせです。
どんな想いで翻訳されたんですか?
金丸さん:
最初にこの作品を読んだとき、児童書でありながら、スケールの大きさ、スリリングで奇想天外な展開に、ワクワクどきどきしました。このような作品を日本に初めて紹介できることを光栄に思いました。
編集部:
聞くだけでこちらもワクワクしてきます。どんな内容か、少しご紹介いただけますか?
金丸さん:
学校ではあまりパッとしなかった主人公アダム、実は不思議な力を持っていて、世界平和の鍵を握る7つのパワーストーンを求めて壮大な旅に出かける冒険物語です。本作品は7つのパワーストーンのひとつ、エクスカリバーの石をめぐって、宿敵たちと危険な戦いを繰り広げます。舞台となるスコットランドの古城も、この作品をより魅力的なものにしています。イギリスの歴史にちょっとだけ詳しくなれるかもしれません。
編集部:
本当に壮大なストーリーですね!普通の少年が世界の平和をかけた冒険の旅にでる。その中で大きく成長していくんでしょうね。
作品にはどんなテーマが込められていると思いますか?
金丸さん:
自分の力を信じることと、自分が正しいと思った道を突き進むことの大切さ、でしょうか。読んでくれる子どもたちに、そのようなことを感じてほしいと思いました。
編集部:
心から自分自身を信じること、信じた道を進むこと。大人にとっても大切だな~と思いました。
そんな『エクスカリバーの石を探して』を翻訳された感想をお聞かせ願えます?
金丸さん:
今回の翻訳プロジェクトでは、「自然な流れで訳す」ということを学びました。自分の中で、実際に映像化してみて、不自然にならないようにすることが大切なのだと、監訳の先生にご指導いただき、大変ためになりました。
また、登場人物の性格設定や言葉遣いをみんなで話し合って最初に統一させるのですが、それぞれの個性を十分に生かしたセリフ回しができたのではないかと思います。古城の執事やメイドたちの話し言葉を考えるのは楽しかったです。スコットランドなまりの強い鷹匠には、広島弁でしゃべらせることにしたんですよ!
編集部:
広島弁!面白いですね。なまりをどう表現するか、翻訳の妙ですね~。
実際に本を手に取った時のお気持ちはいかがでしたか?
金丸さん:
初めて自分の名前が表紙に載った本を手にして、夢のようでした。
生涯の宝物にしようと思います。
編集部:
金丸さんにとって、翻訳はとても身近なものだと思いますが、翻訳を通じて伝えたいことや成し遂げたいことはありますか?
金丸さん:
翻訳は尽きることのない勉強の連続ですが、生涯をかけてできる仕事だと思いますので、できる限り長く勉強を続けていきたいと思っています。
編集部:
生涯学び続ける、そのくらい強い想いを持てるのが素晴らしいと感じます。
最後に、これからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせくだい。
金丸さん:
自分の中では、今まであまり選択肢になかった児童文学の世界ですが、その魅力にはまりそうです。これからも同じような面白い作品がありましたら、翻訳してみたいです。
編集部:
ぜひご自信の道を進まれてくださいね!バベルも応援させていただけたらと思います。
本日はありがとうございました。
『エクスカリバーの石を探して』
著者 フィオナ・イングラム
翻訳 市川幸子、植月祐貨、 金丸江美子、佐藤裕子
監訳 前川悠貴

シリーズ第1作『聖なるスカラベの秘密』の主人公、アダムといとこのジャスティンの冒険はまだまだ続く。
失われた古代の7つのパワーストーンの、2つ目の手がかりを追い求める2人。最近になってある考古学者が発掘した、アーサー王の剣「エクスカリバー」の柄に埋め込まれている石がどうやら、パワーストーンであるらしい。
スコットランドの古城を探索する2人の後を追い、前作でも2人を苦しめたハーリド博士が現れる。しかも、誰も知らない脅威が2人にも迫っていた。
パワーストーン発見に必要だといわれる惑星直列の瞬間まで、時間が押し迫る! ジャスティンとアダムは2つ目のパワーストーンを無事に見つけることができるのか?
ジャスティンとアダムは、ほかにも秘宝を探し当てる。
≪いにしえの巻物≫や、7つのパワーストーンの重大なカギを握る不思議な文書を手に入れ、冒険を続けるうち、2人はエジプトでの体験とは比べものにならないくらいのいろいろな発見をし、そしてさまざまな危険にもさらされる。
そして、イサベルおばさんがなぜか一緒に連れて行くようにと送り出したキムという謎の少女は、彼らが困ったときには必ず名案を考えつき、彼らに悔しい思いをさせるのだった。
アーサー王の物語のファンのために今回は、アーサー王とはどんな人だったのか、当時戦争はどのようにして戦われたのか、等々の詳細な情報を巻末に付属した。
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