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『だってたのしくたべたいんだもん!』の翻訳者・呉藤加代子さんが、著者のキャリル・ハートさんと対談!

2017/04/10

『だってたのしくたべたいんだもん!』の翻訳者・呉藤加代子さんが
著者のキャリル・ハートさんと対談!


 このコーナーでは、これまでたくさんの翻訳者にスポットを当て、 
インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探ってきました。

 

 連載172回目(4月10日号)は、いつもと少し趣向を変えてお届けします。
『だってたのしくたべたいんだもん!』の翻訳者・呉藤加代子さんと
著者
のキャリル・ハートさんの対談ををご紹介します!
 
作品を通じて出会ったお二人ならではの和やかなムードが印象的です。
翻訳者として対談・インタビューに臨んだ呉藤さんの新しいステップをぜひご覧下さい!!

 
Q1(呉藤加代子):
絵本を目にしたとき、表紙のコピーに導かれるように一読して思わず大笑いしてしまいました。
cheeky(ちゃっかり)なエンディングがおもしろおかしくて、主人公のケイトちゃんは英国の子供らしいなあと思って。ホントに楽しい絵本ですね。

A1(キャリル・ハート):
絵本を気にいって、おもしろく思ってくださって、とても嬉しいわ!主人公のケイトは娘が7、8才の頃のお話がもとになっているの。本当にチップス(揚げたてフライドポテト)を飲み物にちょこんとつけていたのよ!「どうしてそうするの?」と聞いたら「アツアツだから、冷ましているの」ですって。娘にとってはごく自然なことだったみたい。
それで考えさせられたわ。大人のルールって子どもにしてみれば、すごくヘンなのね、って。

Q2(呉藤加代子):
表紙のキャッチコピー“cheeky ending”が効いています。はじめてこの絵本の表紙を見たとき、このフレーズに惹かれてしまいました。ホントにみなさまも目を留め、本を手に取って読みだすくらい!

A2(キャリル・ハート):
出版社さんが『ご注意!』と付けたすことにしたの。『まさか(・・・)の結末』があまりにも悪びれない感じなので、お父さんお母さんによっては不愉快に思われてしまうのを心配したみたい。子どもにおぎょうぎ悪いことを見せてる本!って。わたしが思うに、子どもはいいこととダメなこと、ちゃんと分かっていて、ケイトや女王さまのようなマネはしようとしないの。本に出てくるめちゃくちゃな子たちのことおもしろがるのは「わたし(ボク)」はちゃんとおぎょうぎよくできるもんね、って思ってるからなのよね。

Q3(呉藤加代子):
この本は2016年英国フェア(数か所の都市百貨店にて開催)で展示販売されました。ある会場で最後まで読み終えたスタイリッシュなカップルが、最後にケラケラ笑い合っていました。大人も楽しめる絵本だと思います。イギリスの大人の方々はこの本を読んで、どんな反応をしていますか?

A3(キャリル・ハート):
そう言っていただいてとてもうれしいわ!大人にも子どもにも語りかける本を書きたかったの。ママとしては、子供たちが食べているときに、ついガミガミ言っちゃうのよね。まっすぐすわって!のみこまない!フォーク使って!うんざりするくらいで、しょっちゅうお食事はだいなし、なんだかいさかいの場にもなっていたわ。本を書くことで思いだしたけど、食事の時間は子どもと気持ちをつなぐとき、子どもたちとその日(子どもたちの)あったことを話して、じっくり耳をかたむけ
るときのはずなの。だから、この本でお父さま方お母さま方に思い出してほしくて。おぎょうぎばかりに目を向けがちなのをやめて、かわりに子どもと一緒の時間を楽しむってことを。

Q4(呉藤加代子):
この絵本を初めて読んだとき、お子さまがたはどんな感想でしたか?

A4(キャリル・ハート):
イギリスで2009年に出版されたとき、子どもたちはまだまだ幼かったわ。ママすごい!と大喜びして、本を書いちゃうママ、かっこいいと思ってくれたわ。今でも二人の自慢のママではあるけど、一緒に本屋さんに入って、わたしの本を探すようなことはさせてくれないの。書いた本を目立つ場所に並べたり、お客さんに見せたりしたら恥ずかしくなる、って!二人は今14才と18才なので、ティーンエイジャーはそんな感じかしらね!

Q5(呉藤加代子):
ご自身はケイトちゃんのような子供でしたか?

A5(キャリル・ハート):
はい!しょっちゅう疑問を投げかけてばかりいるような子どもだったわ。小生意気で誰かずるいこととか、納得いかないことをしてたら、口に出していたの。大変なことになったときもあったわ。

一度先生に言ったの。「授業中みんなの態度がわるいのは、先生の授業がつまらないからだって。」私なりの考えで、どうしたらもっと面白い授業ができるか、説明してあげたの。親切のつもりで、なんで先生が怒るのかわからなかったわ。今でも、私の意見をちゃんと聞くべきだったでしょ、と思うの!

Q6(呉藤加代子):
この物語は娘のジェシーちゃんとの会話から生まれたとのことですが、女王さまを女の子として描いたことにセンスを感じます。

A6(キャリル・ハート):
リーのアイディアで女王さまを子どもとして描いてくれたの。見事なお手並みのおかげで、本当に素晴らしい絵本になったわ。とにかく、女王さま方も見習わなくてはね!

Q7(呉藤加代子):
私は世の中の「楽しいこと」「素晴らしい事・人」を多くの人に伝えたくてライターをしてきました。児童作家としてどんな思いで仕事をしていますか?

A7(キャリル・ハート):
ジェスがあかちゃんのころ、読みきかせをたっぷりしていたわ。素敵な本もたくさんあったけど、わたしからしたらちょっとね・・・、というものもあったの。ある日、ぱっとしない本をいくつか読んでから夫に言ったの。「もっといいおはなし、わたし書けるわ!」「じゃあ書こうよ」と、夫が言ってくれたので、一歩踏み出すことにしたの!

新米のお父さん、お母さんで子どもたちのためにおはなしを書きたくなる人は多いわ。でも、本を出すことって、想像するよりもはるかに大変なことね。あきらめてしまう人が多いけれど、わたしはもう心に決めていて、夢をかなえたかったの。そのころ週3日働き、ジェスがまだ小さかったので、本当に時間も体力もなくて、そこそこにしか進まなかったわ。

でも、心に決めてから7年後、病気のため仕事を辞めないといけなくなったの。夫と相談して、一年間働きに出ないで、本の出版にこぎつけることに専念することにしたの。一年で進展しなかったら、また働きに出る条件で。それはイヤだったので、なにがなんでも作家になるの、と決めていたわ。幸運にもうまくいって、2冊の出版を取りつけたの。” Don't Dip Your Chips in Your Drink, Kate” ―『だってたのしくたべたいんだもん!』はその中の1冊。もう1冊、” Rhino? What Rhino?” という本も同じ年に出版されたわ。今は27タイトル出て、15タイトルほどが製作中。夫がわたしを信じ、力になってくれているおかげで、ここまでこれたの。本当に恵まれているわ。

Q8(呉藤加代子):
原作に遊び心を感じたので、ケイトちゃんの手紙文に「おぎょうぎ」と「おじょうひん」を間違えるという仕掛けを取り入れました。そしてもうひとつ。女王さまがケイトちゃんとテーブルに着いて会話するシーンの中で「tart」と「start」を掛けていると思ったので、「パイ」「いーっパイ」と日本語にも活かしています。意識してのことですか?

A8(キャリル・ハート):
わたしの本は英語のライムが(韻をふむこと)いっぱいね。日本語訳で言葉に韻を持たせることがどれほど難しいのか、想像できないわ。翻訳家のお仕事は、作家業より10倍も大変でしょう!

しっくりくるリズムで、本を元気よく大きな声で読めるようにしたかったの。子どもたちに読むとき、お食事ルールのリストのところで一緒に手拍子を打つときもあるわね。子どもにとってライミング調のおはなしはとても覚えやすいみたいで、すっと入りこめるのではないかしら。文字が読めなくてもね。

Q9(呉藤加代子):
わたしはエンディングの訳に苦労しましたが、一番苦労した点は?

A9(キャリル・ハート):
このおはなしは1年ほどじっくり考えてから、机に向かって書き始めたの。なので、幸いどの部分もかなりすんなり書けて、本当に苦労することはなかったの。でも他の本で、もういっぱい、いーっぱい骨のおれる部分があったわ。ライミングで書くことって、難しいもので、特に言いたいことが頭の中にあるのに、ライムできる言葉が見つからないか、リズムがぴったり当てはまらないときは、もう大変。何年か経って、難しい部分はどうすればいいかわかってきて、今はちょう
どいいぐあいに創りあげることを楽しんでいるの。

Q10(呉藤加代子):
一番気に入っている箇所は?

A10(キャリル・ハート):
ケイトが女王さまにお手紙を書いているところね。小さいころそうしたこと、はっきり思いだせるわ。お手紙をポストに入れてから、気づいたの。あっ!手紙の頭に自分の住所を書いてなかった。

女王さまがお返事のお手紙を書きたくても、できないじゃない。とても情けなくなったこと、覚えているわ!新しいお手紙を書けばよかったのかもしれないけれど、そのときはいっぱいいっぱい、と思っていたの。

Q11(呉藤加代子):
イギリスでたくさん本を出版していますが、今後手掛けたいテーマはありますか?

A11(キャリル・ハート):
今、製作中の本はたくさんあるわ。シリーズもので、アルビーという小さな男の子が主人公のおはなしがサイモン&シュスター社から出ているの。ちょうど7冊目を書き終えて、つぎ8冊目のおはなしを考えているところ。おもしろおかしくて、学校で使うのも素晴らしいわ。子どもたちが楽しく読んで書くようになること、うけあいよ。

『はじめの一歩』シリーズもウォーカー・ブックス社から今年出る予定。かわいらしい本よ。ローレン・トビアさんのイラストで、本当にいろんな文化の人たちが描かれているの。自分の本にいろんな民族、家族、社会層の人たちを必ず登場させたい、という思いが強いので、このシリーズの絵に大満足よ。

ノージー・クロー社から絵本小説シリーズも出しているの。3冊目まで出て、なかなか売れ行きがいいので、続きも出したいわ。” The Invincibles” 『ザ・インヴィンシブルズ』(直訳:負けしらず)というシリーズよ。わたしの子ども時代がおはなしのもとになっているので、すごく思い入れがあるの。

そうそう、ホッダー・チルドレンズ・ブック社から新しいシリーズもあるの!第一作目“ Knock Knock Dinosaur”『ノック・ノック・ダイナソー』(直訳:トントンきょうりゅうだ)という本が先週出たばかりよ。ハチャメチャな数かぞえの本にはきょうりゅうがいっぱい、ドタバタがすごいの!つぎの“Knock Knock Pirate”『ノック・ノック・パイレート』(直訳:トントンか
いぞくだ)という本が秋に出る予定。パッと目に飛びこむようなイラストはニック・イーストさんが描いたもので、ホントにあちこちおもしろおかしくびっくり仰天するところ満載よ!
こんな感じで、数年先までわくわく、楽しみにしているの。

Q12(呉藤加代子):
文にぴったりの可愛らしい絵ですが、初めて絵を見たときの感想は?

A12(キャリル・ハート);
リーの絵は本当に素敵!個性が光って発想ゆたかね。切り貼りのコラージュ、大好きよ。子どもたちもこういうふうにやれば、ぼく、わたしにも絵つくれそう!と思うもの。リーはとても簡単そうにやるので、すごい!だって、イラストの制作は見かけほど簡単ではないこと、知ってるわ。

Q13(呉藤加代子):
お二人がコラボレートすることになったきっかけやエピソードを教えてください。

A13(キャリル・ハート):
イギリスでは作者とイラストレーターが直接一緒に作業すること、そうないわね。まず文章をわたしが書いて、出版社に送るの。そのあとは編集者さんと作業するわ。編集者さんは、デザイナーの方と文のレイアウトや本の大まかな感じを決めるの。それからデザイナーの方とイラストレーターが絵を制作していく、といったぐあいね。

出版社がおおまかなレイアウトとイラストレーターの下絵をわたしに送って、気にいったかどうか確認してくれるの。そして足りない部分があればなんでも伝えることができたわ。たとえば、見開きページで馬が到着してドアベルを鳴らす場面では、ドアベルが描かれてなかったわ。こんな感じで細かい部分までくまなくチェックできるの。

大事なことお伝えするわ。イラストレーターが手がけた本は自分のものなので、文を読んで自由自在に絵を描きだせるのね。おはなしにいろんな絵を添えて、イラストレーター自身のおはなしを盛りこむこともよくあるわ。たとえば、ケイトちゃんのお部屋の壁の絵(ケイトちゃんが描いた?)やオリジナルの動物がおはなしのそこここに出てくるところがそうね。

Q14(呉藤加代子):
私は日本の地方都市で暮らしています。キャリルさんもカントリーサイドに住んでいる、とお聞きしてますが、今いる場所の魅力をお願いします。

A14(キャリル・ハート):
住んでいる村は家が100軒ほどの集落で、3キロメートルほど離れたところに小さな町があるの。村にはお店はないわ。パブが1軒あって、お茶やお酒を飲んだり、食事をとったりできるわよ。お散歩が大好きで犬と一緒に出かけるの。本当にきれいな田舎で暮らしていて、すごく恵まれているわね。だって、毎日歩きまわれるのよ!
ここの暮らしで不便な点は、お店へは車でないと行けなくて、子どもたちも学校に歩いていかれないのよね。冬は村から出られないときもあるわ。急な坂の上にある村で、道はとても滑りやすくなるので。そんなこと誰も気にしなくて、そり滑りに出るまでよ!

Q15(呉藤加代子):
私はパソコンで仕事をする時はいつもコーヒーを飲んでいます。英国人は1日に6回紅茶を飲むと言われていますが、仕事中もやはり紅茶ですか?

A15(キャリル・ハート):
アハハ!!その通り!コーヒーはジェスがおなかにいたときにやめて、今はだいたい紅茶にしているわ。家の中がさむーくなるときもあるので、紅茶をたっぷり飲み、体を温めているの。作家仲間でコーヒーを飲む友達は多いけどね。
よくカフェに行って仕事しているわ。だって、家の中だと本当に冷えるし、ちょっと寂しくなるもの。紅茶ポット一つで何時間ももたせることができるわ。

Q16(呉藤加代子):
最後に日本の読者にひと言お願いします。

A16(キャリル・ハート):
わたしたちの本が日本語訳で出ているなんて、もう大感激。日本をそのうち訪ねてみなさまにお会いしたいわ。日本のいいとこたくさん聞いているので。下の娘はアニメファンで日本の文化が大好きなの。イギリスと異なって、とても新鮮ね。家で自己流のお寿司を作るけど、いつか日本でお寿司を食べてみたいものね!

学校向けの活動をいろいろとしているので、きっといつか日本に行って、学校訪問もできるかもしれないわ!

Q17(呉藤加代子):
また訳せる日を楽しみにしています。

A17(キャリル・ハート):
ぜひとも!うれしいかぎりです!



『だってたのしくたべたいんだもん!』 
著者 キャリル・ハート
翻訳 呉藤加代子


あれもダメ、これもダメ、ママってなんてうるさいのかしら! 

食事のマナーなんてわからない。 
お行儀よくするってどういうこと?
子供の頃、そう思ったことはありませんか?


そんな時ペンと紙切れを引っ張り出し、
女王様に手紙を書いて、
宮殿に招待していただきましょう。

思わず歌いだしたくなる「ルール」を唱えたら、きっと「楽しい」時間になるはず。
もちろん美味しいお菓子もいっぱいです。 






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