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法律と宗教をめぐる実話をストーリー化 ― 新刊『崩壊』発売! 翻訳者の田堰良平(たせきりょうへい)さんインタビュー!!

2016/09/10

法律と宗教をめぐる実話をストーリー化
  新刊『崩壊』発売!
  翻訳者の田堰良平(たせきりょうへい)さんインタビュー!!

 
 このコーナーでは、これまでたくさんの新人翻訳家にスポットを当て、
どんな方がバベルの翻訳ワークショップからデビューしているのかをご紹介し、
インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探ってきました。


 連載158回目(9月10日号)で特集するのは、
オーストラリアで実際に起きた事件を題材に書かれたストーリー『崩壊』です。

異国に地で暮らすイスラム教徒の友人同士が、それぞれ感情と戒律の狭間で迷い、
禁断の恋愛はやがて凄惨な事件へと発展します。

そして舞台は法廷へと移り、国家の法と宗教的教義との間の乖離が浮き彫りとなります。


昨今、イスラム国の出現と台頭が世界的なニュースとなって私たちの元にも届いていますが、
世界の情勢において、イスラム社会を知り、理解する必要性が高まっているともいえますね。

本書はそんなイスラム教への関心・理解のきっかけになるかもしれません。


それでは、今回『崩壊』の翻訳に携わった田堰良平さんのインタビューをお楽しみください。

 
編集部:
この度は『崩壊』の翻訳出版おめでとうございます!
これから今回の出版に関して、そして翻訳に関して、お聞きしたいと思います。
本日はよろしくお願いいたします。

 
田堰良平さん(以下、田堰):
こちらこそよろしくお願いいたします。


編集部:
はじめに、簡単なプロフィールやご職業、最近の活動などについてお聞かせください。


田堰:
私は中大法科を卒業後、数年司法試験の勉強をしていましたが、病気になり同試験を断念しました。中学の頃から、英語が好きだったので、それを生かせる貿易関連の仕事を、数社にわたり、経験しておりました。その後、子供が生まれたのを契機に、兄の経営する法律事務所に19年ほど務めたころ、実母の認知症の発症を機会に、母の介護を始めました。2013年に母を98歳で見送った後、「ぬれ落ち葉」にならないように、翻訳の道に入りました。

 
編集部:
英語が好きだったところから、ご職業にもつながったのですね!
翻訳にはいつごろから興味をお持ちだったのですか?

 
田堰:
貿易関連の仕事をしているとき、簡単な英文の手紙を何度か、翻訳させていただき、また、上司や先輩から、おだてられて、その気になりました。
 

編集部:
本書は法律分野にも深く関わっていますが、法律を学ばれていたことも今回のワークショップ参加に関係があるのですか?
 

田堰:
そうですね。ノンフィクションもやりたかった時に、オーディションの課題が、凄惨な事件の「検視」の場面の記述だったので、その文章に圧倒されました。
 
 
編集部:
興味分野が重なったという感じでしょうか。
翻訳ワークショップを体験してみて、いかがでしたか?


田堰: 
私にとって翻訳ワークショップは『ドリアングレイの肖像』に続いて2作目でした。
他の共訳者の方から、自分の知らなかった情報の存在を教えて頂き感謝していますが、共訳をする上では避けられないのですが、表現方法等で意見が大きく違ったときの意見のすり合わせに苦労しました。
私が大体負けるのですが(笑)でも、楽しい思い出です。

 
編集部:
コミュニケーションが大事になってきますね。この『崩壊』という作品のテーマともつながりそうです。

作品についても伺っていきたいのですが、簡単に本の内容を紹介していただけますか?


田堰: 
 同一の国家の中で、複数の宗教、人種が存在する社会での裁判のあり方が問われています。何が「正義か?」を問い直す作品です。
 

編集部:
 物語の中には裁判のシーンや法律用語もたくさん出てきますね。法律を学ばれた田堰さんですが、本書を読んでお感じになったことなどはありましたか?

 
田堰:
 ご承知のとおり、日本の法律は、大陸(ヨーロッパ)法(例・ドイツ法等)系を採用しているため、オーストラリアを含めた英米法とは、大分違うようです。私は大学の授業の選択科目で、「英米法」を受講した程度で、大して詳しくは知りません。映画や本の受け売りです。

 大陸法は構成要件という枠組みに該当するか、英米法は障害物競走のチェックポイントに引っかからなかったか、で判断するようです。どちらの法体系でも、メリット・デメリットがあるようです。日本国憲法でも「適正手続・due process」が採用されています。英米法のアメリカでも、「有罪答弁」を利用した「裁判のゲーム化」が問題になって久しいです。日本でこのような事件が発生したら、「確信犯」として厳しい判決になるでしょう。
日本が移民を受け入れたとしたら、多民族国家となったら、法制度の整備が必要ですし、ダブル・スタンダードにもなりかねません。
 

編集部:
グローバル化が叫ばれて久しいですが、世界がひとつになっていく過程では課題も多いのですね。移民の問題ではイギリスのEU離脱の話題も記憶に新しいです。

 
田堰:
 本書の翻訳を始めたころ、「イスラム国」の出現が、テレビの報道で知らされ、驚きと恐怖で、頭の中が真っ白になりました。監訳者の五月女先生のご指導のとおり、「ただ客観的な事実のみを記載するように心がけました。
 
 翻訳は異文化間のコミュニケーションを可能にし、お互いが理解しあえる手段です。特にイスラム国の報道の後は、私の友人たちの何人かは、イスラム教の話題は遠ざけています。やはり誤解に基づく結果だと思います。そういうところを、少しでも改善出来れば嬉しいです。
 

編集部:
本当に、本書が理解のきっかけになったら嬉しいですね!

翻訳はお互いが理解し合える手段というお話がありましたが、田堰さんが翻訳に関して一番興味をもっていることはなんですか?


田堰: 
そうですね。特にフィクション作品で、翻訳本の日本語と原文との間の乖離がどの程度まで許されるか?ということですね。
日本語として面白い翻訳本ができても、それが原文と離れすぎては、もはや「翻訳」ではなく、「盗作」になるのでしょうか。。。翻訳家でなく「盗作家」のレッテルを張られるのはツライだろうと思います。
 
 
編集部:
原文との乖離ですか。。。難しそうですが、なんだかそれは醍醐味・面白さのような感じがしますね。

 
田堰:
最近、英米文学作品の翻訳本の人気が落ちた、との話を聞きました。
翻訳本の読者は、日本語で本を読み考えます。日本語の訳文が、原文には関係なく「一人歩き」をします。翻訳者が、できるだけ原文に近い表現で、かつ、日本語として意味が伝わるように訳しますが、「翻訳の限界?」でしょうか、意味は分かるが、面白くない。
英語と日本語との文化の違い、なのでしょうか。。。
 
私としては、内容として正確で、かつ面白い翻訳を目指しています。

 
 『崩壊』  
 著 マイケル・アブドゥル-カリム
翻訳 白石 由美子、 田堰 良平、 船本三恵子

 監訳 五月女 穣

 


 















 
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