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待望の回顧展開催中。ジョルジュ・モランディ特集!

2016/03/25

2016年3月25日号は、、、
待望の回顧展開催中。ジョルジョ・モランディ特集!


 このコーナーでは、これまでたくさんの新人翻訳家にスポットをあて、
どんな方がバベルの翻訳ワークショップからデビューしているのかをご紹介し、
インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探ってきました。


 連載147回目(3月25日号)では、
現在、東京ステーションギャラリーにて回顧展が開催されているジョルジョ・モランディを特集します。
日本での回顧展は実に17年ぶりとなるそうです。

バベルでは、日本では貴重なモランディの本格的な研究書を翻訳出版しています。

それが、モランディのもとで版画を学び、ハーバード大学美術学部の上級講師を20年間務めた著者による
『ジョルジョ・モランディ ~静謐の画家と激動の時代~』です。

本誌上
2011年5月25日に掲載の、翻訳者・杉田侑司さんのインタビューをお読みください。

こちらは東日本大震災の直後に掲載された記事ですが、
実は2011年にもモランディ展が企画されていたのですね。

それが震災・放射能の影響で中止となり、
今回待望の回顧展開催となった経緯に、思わず考えさせられました。

震災発生から5年目を迎えた今年、復興への願いと共に
静謐なモランディの作品を鑑賞するのもいいかもしれません。

 

『ジョルジョ・モランディ ~静謐の画家と激動の時代~』 

著:ジャネット アブラモヴィッチ


翻訳:杉田侑司
「本書は永らく、孤独な瞑想家、修道僧のような画家と秘密めいて語られてきたモランディの実際の人物伝を、画家の身近にいた著者が明らかにし記録に残した点で、歴史的に貴重な評伝としての決定版です。

 さらに従来から最もモランディらしい絵とされてきた、落ち着いた、穏やかで静謐感あふれる静物画などのほかに、その時代と確実に応答していたモダニズム的な感覚に優れた絵も、高く評価すべきであると力説している点も本書の大きな特徴です。」

 


(2011年5月25日掲載記事より)
編集: 
   今回は
『ジョルジョ・モランディ ~静謐の画家と激動の時代~』の翻訳者・杉田侑司さんにお話をお聞きします。
 杉田さんよろしくお願いいたします。
  
  はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。 


杉田: 
   神戸大学経済学部を卒業して、都市銀行に就職し定年退職しました。ちょうど日本が経済が高度成長のさなかで、今から思えば比較的恵まれたサラリーマン生活だったといえるかもしれません。 
   銀行定年の前に甲南学園へ出向、やがて転籍。来るべき少子化時代に備えた私学の長期経営計画の策定に携わっているとき、突然、阪神淡路大震災に遭遇し、教室など6割以上が被災して使用不可能になってしまい、近隣から避難して来られた方々も多数おられるなど大ピンチに陥った中、急きょ募金室長を拝命して、再建資金集めに率先奔走しました。
   個人的には、義父の葬式を済ませ、半壊になった自宅を建て替え、電車も不通で、4カ月ほど自転車通勤と、数多くの試練がありました。
  
   今こうして振り返ることができるのも多くの方々に支えていただいたおかげで、本当にありがたいことです。 



編集: 
   阪神淡路大震災で被災されたのですね。多くのご苦労・ご心労があったことと思いますが、それでは今回の東日本大震災に対する思いも深くていらっしゃいますね。 


杉田: 
   被災者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げます。未曾有の天災による被災者の皆さんのためには国家・社会のあらゆる組織を挙げての支援が必要であると思いますね。被災者の皆さんもどうか未来への希望を失わずに、この難局を乗り越えられますよう心から祈っています。 


編集: 
   神戸のときもそうでしたが、今回の大震災ではみんなが応援して、自分たちに出来ることをしようという気持ちがあふれていて、助け合いの精神が自然とわいてきています。それは素晴らしいことですね。
 復興はやはり時間がかかることだと思いますので、この気持ちをずっと継続していきたいですね。 


杉田:
   私も念願の翻訳本が出版できた後の2年間は地元のボランティア活動に精を出しました。
   出版で一息ついた気分になったのと、何かほかの人たちにお役に立つこともせねばなるまいと考えたからでした。

   今年度は待望のモランディの展覧会がやってくるというので再び読書と研究活動的なことに戻れるものと、気合も十分に待ち構えていたところでした。  
   ところが、まことに残念なことに、例の原発事故のために絵画類運搬などの損害保険会社のOKが出ず、作品が到着しないので、予定されていた展覧会はすべて中止になってしまいそうなのです。

   まあ、2014年はモランディの没後50年になりますし、少々遅くはなってもきっとこの展覧会は近い将来日本にやってくるでしょうから、あせらずに時期を待つことにいたしましょう。Twitterの動きを見ていますと、モランディをぜひ見たいとの、日本のファンの待望の声が非常に盛り上がっているのですよ。 


編集: 
   今回は原発事故の影響が色々なところに及んでいますね。
   モランディの展覧会は残念でしたね。2014年はモランディの没後50年になるとの事、大きなイベントになりそうで、楽しみですね。このときに杉田さんの訳書も会場で皆さんに見てもらったり、販売も出来ると良いですね。  

   翻訳の話に戻りまして、そもそも翻訳はどのように学ばれましたか。 


杉田: 
   自慢にはならないと思いますがまったくの独学です。誰よりもモランディのことを詳しく知りたい!との一心で、英語はもちろんイタリア語の原書の読解にも励んでいました。サラリーマン時代は外国語にはあまり縁がありませんでしたので、イタリア語はテレビ・ラジオ講座から始めました。
   この原書は英語によるものなのですが、ここぞという個所には現場で使われたイタリア語が副記され、当時の雰囲気がよく伝わるように工夫されているのが特徴です。  

   それはともかく、私の訳文で御社の翻訳レベルに合格する自信などはまったくなかったと言ってよいのですが、何度も原稿を読み直して手を入れながらブラッシュアップに努めて、なんとか出版にこぎつけていただけるようになったのではないかと思いますね。おそらく最初の訳文案の程度では出版を認めてはいただけなかったことでしょうね(笑)
   今は翻訳ソフトなども充実してきて、作業も随分と楽になっているのではないかと想像していますが…  


編集: 
   独学での翻訳はご苦労も多かったと思いますが、お好きなことへの情熱は、すごいパワーを引き出しますね。 


杉田: 
   出版後には、ある大学の文学部の先生から「専門家が書いたようにしっかりとして読みやすい」とお褒めの言葉をいただき安堵しました。また著者自身からも、御社の社長様宛に丁寧なお礼状が来たと伺いました。 


編集: 
   素晴らしい本が完成しましたよね。
 完成した本は日本のエージェントを通して原著者へ献本していまして、著者から日本での出版に対し感謝のメッセージが届きました。初めてのことだったと思います。 
   この本を翻訳出版したいと思われたのはモランディの大変なファンでいらっしゃることが理由かと思いますが、きっかけなども聞かせてください。 


杉田: 
   20数年前にモランディの大規模な展覧会が日本へやってきたのですが、モランディは今でもまだ日本ではほとんど知る人は少ないのです。ましてその専門家は数少ないので、努力すれば私自身でも専門家に近づけるのではないか。
「多くの人にモランディの絵の素晴らしさを知ってもらおう」、これをライフワークにしよう、との強い思いで資料集めに専念していました。その過程で幸運にも今回の原書にめぐりあったのです。 


編集: 
   そして、バベルプレスのCo-PUB出版でと、ご相談があったのでしたね。A4サイズに近いハードカバーの立派な本で、モランディの作品がカラーでたくさんはいっていて、Co-PUB初の美術書でした。出版できてよかったです。 
   本の内容を紹介していただき、翻訳された感想、苦労したことをお聞かせください。 


杉田: 
   モランディは自らを語ることがほとんど無く、また謎めいた、孤独な修道僧のようだというイメージを大切にしていましたので、従来のほとんどの紹介書が、憶測や推量で間違ったモランディ像を語っていたのですが、この本の著者は、永年モランディ自身の身近で秘書的な役割を果たした人物なので、この本は真に信頼のおける、いわば貴重な伝記的証言録になっていて、多くの既往のねつ造された人物像・虚像を粉砕してしまう内容になっています。まさにモランディ評伝の決定版なのです。 

   苦労したことといえば、やはりしばしば出てくるイタリア語の記述、それに著者の文学や映画など関連知識の豊富さをフォローすることでしたね。  
   それでも随所に補足説明などを施すようにしましたので、読者の皆さまには親切な内容になっているはずだとの自負はあります。 


編集: 
   出来上がった本を手にしたときのお気持ちはいかがでしたか?


杉田: 
   原書を初めて手にしたときから3年近くたっていましたので(当初しばらく専念した後は、しばらく放置していました)、とうとうやった、遂にやりとげたぞ!とうれしさいっぱいでしたね。その間は、版権の取得段階から御社の田口さんほか多くの方々にたいへんお世話になりました。
 正式の翻訳家教育を受けていない私に出版の機会を与えてくださった寛大さには、本当に感謝、感激でした。 


編集: 
   そのように感激していただいて、私たちCo-PUBプロジェクトのスタッフも大変嬉しいです。 プロの翻訳者ではない方でも、ご自分が出版したいと望まれる本の出版を実現するサポートが出来るのは、やりがいのある仕事です。これからも頑張ります。杉田さんから、さらにやる気をいただきました(笑)。ありがとうございます。 
   最後にこれからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせください。 


杉田: 
   引き続きモランディの展覧会、関連出版物などの動きのウオッチを怠らずに、機会があればモランディをもっと広く知ってもらうために何らかのチャレンジをしたいとは思っていますが・・・。 


編集: 
   昨年(
※2010年)は東京九段のイタリア文化会館でイタリア展が開催されて、そこでモランディを紹介するセミナーで講演されましたね。展覧会は先になってしまったので、その間にも何か活動が続けられると良いですね。バベルプレスでも協力させていただきます。 
   本日はありがとうございました。これからもますますのご活躍をお祈りしています。



上記インタビューの通り、困難を経てついに開催されたモランディの回顧展。
ぜひ皆さんも足をお運びください。

東京ステーションギャラリー
 ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏
会期:2016年2月20日(土)―4月10日(日)

上記サイトより詳細をご確認ください。



杉田さん翻訳のジョルジョ・モランディ ~静謐の画家と激動の時代~
お求めは以下よりお願いいたします。

『ジョルジョ・モランディ ~静謐の画家と激動の時代~』 
著:ジャネット アブラモヴィッチ



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