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『モンタナに吹く風』の翻訳者、菅原 夕輝さん

2015/01/10

1月10日号に登場の新人翻訳家は ―  菅原 夕輝 (すがわら ゆうき)さん。

        
毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用すること で、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。

連載118回目の1月10日号では、『モンタナに吹く風』の翻訳者、菅原夕輝さんをご紹介します。
 
 

編集部:
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
 
本年最初のご登場は、菅原夕輝さんです。では、はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。
 
 

菅原:
大学時代は心理学と社会学を勉強していましたが、そちらの道に進むことはできませんでした。手に職をつけようとしたり、あちこちさまよって、現在、バベル翻訳大学院(USA)で勉強中です。
 
 

編集部:
手に職をつけようと思われる気持ち、非常によくわかります。自分の手で一生の仕事を切り開きたい感じ、とでも言いましょうか。将来をいろいろ考えられた結果、たどりついた先が「翻訳」という道だったわけですが、菅原さんが翻訳を学び、翻訳家を目指そうと思ったきっかけはどんなことでしょうか。
 
 

菅原:
読書は子供のころから好きで、特に外国の作品が好きでした。英語は高校のころに学校の授業についていけなくなり、そのため、大学は英語がほぼ関係ない学部に進学しました。その一方で、趣味で小説を書いていて、懸賞に応募したこともありますが、かすりもしませんでした。読むことと書くことだけはずっと大好きで、色々考えた末、文章スキルを生かそうと思って、翻訳にたどりつきました。翻訳について調べているときに、検索で引っかかったのがバベル翻訳大学院で、能力テストをやったとき、思いがけず高得点が出て、それで入学することに決めました。
 
 

編集部:
もともと読書と書くことが得意でいらっしゃったのですね。趣味で小説を書くなんてすごいです! 私も小・中・高校と物語を書いていましたが、懸賞に応募するほどでもなく、自然と書くことをやめていました(苦笑)。菅原さんのように読み書きが得意な方は、言葉遣いや表現に敏感なうえ、幼いころからきちんとした日本語を肌で感じていますので、外国語から日本語に翻訳するお仕事に向いていると思いますよ。
 
さて、大学院の勉強でお忙しくされているなかで、『モンタナに吹く風』を出版されたのは、どのような理由や思いがあったのでしょうか。
 
 

菅原:
私がとても好きなものに「少年と少女の物語」があります。共訳者募集中の作品の中の、『モンタナに吹く風』の説明を見て、「少年と少女の物語」 であることを知って、オーディションに応募しました。
 
 

編集部:
なるほど~、『モンタナに吹く風』は、菅原さんの好みにぴったりの作品だったわけですね! では、菅原さんと必然の出会いを果たした(!?)少年と少女の物語『モンタナに吹く風』の内容を紹介していただき、翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したことをお聞かせください。
 
 

菅原:
『モンタナに吹く風』は、高校生の少年ロリーと、同学年の少女ヴィクトリアの お話です。二人の関係を軸に、将来のこと、恋愛のこと、家族のこと、 学校の こと、様々な要素が絡んで話が進んでいきます。それは誰もがぶつかる壁であり、多くの人が悩むことです。
 
 

編集部:
ほろ苦い青春群像ですね。
 
 

菅原:
苦労したポイントとしては、主人公のロリーが完全な理系少年で、特に化学が得意で、彼が行う実験などに関する描写もたくさん出てくるのですが、 私はそちらへの知識がほとんどないので、具体的に何をやっているのかをなかなかイメージできず、苦労しました。
 
 

編集部:
フィクション、ノンフィクションにかかわらず、翻訳は調べ物が多いですからね。専門分野外の描写が出てくるとなおさら大変であったとお察しします。かくいう私も、理化学系はさっぱりですので、お気持ち理解いたします……(苦笑)。
 
 

菅原:
楽しかったこととしては、月に一度監訳者の先生と他の共訳者さんと集まって ミーティングをしていたのですが、色々な話題が出て、そのときはいつも楽しかったですね。
 
 

編集部:
 楽しいこともあってホッとしました(笑)。皆さんで集まって作品について話し合ったり、情報交換をしたりできるのも、共訳ならではだと思います。
 
 

菅原:
それと、これは作品とは直接関係がないのですが、翻訳が終了したとき、原作者のミッチさんがちょうど日本にいらしたので、西宮先生と、もう一人の共訳者の望月さんといっしょにお会いすることができたのです。このときは色々と興味深いお話を聞かせてもらえました。
 
 

編集部:
そうでしたか! 著者から直接、話を伺える機会は滅多にありませんから、貴重な体験をなさいましたね。こういった出会いがあると、もっともっと頑張ろう!という原動力になるような気がします。
 
このように様々な想いを経て、出来上がった本を手に取った時のお気持ちはいかがでしたか。
 


菅原:
なんだかんだ言ってかなり大変だったので「やっと終わった……」という気持ちが一番強かったですね。共訳は個人の作業ではないので、他の人の足を引っ張らないようにしなければとか、そういう気持ちもありましたから。
 
 

編集部:
仰る通り、個人訳と違って共訳はチームワークが大切ですから、仲間がいて頼もしく感じる反面、他の翻訳者たちと足並みを揃えないといけないのではないか、などと考えることがプレッシャーに繋がる場合もあるでしょう。そういった想いを抱えながらも、一つの作品を仕上げて出版されたのは、とても素晴らしいことだと思います。
 
それでは最後の質問です。これからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせくだい。
 
 

菅原:
 まだ勉強中の身なので色々と定まっていないのですが、鳥が好きなので、鳥に関する本を訳してみたいです。『アレックスと私』のような、優れた鳥の本を訳せたらいいなと思っています。
 
 

編集部:
 鳥の本ですか。『アレックスと私』は、女性の科学者と研究対象のヨウム(大型のインコ)のお話でしたね。あくまで素人意見ですが、バードウォッチングなどの自然体験が盛んなオセアニアや北欧などに、まだ日本語訳が出てない鳥に関する本が多いような気がします。
 
 

菅原:
 あと、子供のころ、大好きだったシリーズがあるのですが、出版社の都合で途中までしか読めず、悲しい思いをしたことがあるんです。途中どころか、巻が抜けていて、2、3、5、7みたいな出版のされ方でした。それを完全な形で世に出せたらなという夢があります。長いシリーズなので難しいですが。
 
 

編集部:
 たまに、シリーズであるのに巻が飛び飛びで出版されている書籍もあるようですね。なんらかの理由で版権が取れなかったか、もしくは一話完結型の場合でしたら、日本で人気が出そうな巻だけ出版するとか……。いずれにせよ、ファンとしてこれほど残念なことはありませんね。
 
 

菅原:
 また、私の名前、「菅原夕輝」というのはペンネームなのですが、この名字の方の 「菅原」というのは、菅原孝標女から取ったんです。シリーズが欠けていて悔しかった気持ちはわかりますよ、って。仏像は彫りませんでしたけどね。
 
 

編集部:
 なるほど~。最初『源氏物語』を通しで読めなかった『更級日記』の菅原孝標女に思いを重ねていらっしゃるのですね! ですが、後に菅原孝標女は『源氏物語』を全巻読むことができましたから、菅原さんにはご自身で欠けていた部分を補って、将来、お好きだった本をシリーズ化していただきたいですね。どういう本なのか気になります~。今度教えてください。
 
大学院の課題などで今後ますますお忙しくなるかと思いますが、継続して読み書きも楽しんでいただきたいと思います。これからも、ご活躍を期待しております。本日はどうもありがとうございました。
 

 
 
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訳 者   菅原夕輝 望月むつみ 山原明

監訳者  西宮久雄
 

高校生が、突然自分の将来をたったひとりで切り開いて行かなくてはならなくなったらどうするだろう。 ロリー・コールマンはまさにその状況に陥っていた。長年所属していたスクールバンドを辞めたロリー。無関心な両親。しかし教師たちは、彼らの思い通りにロリーの将来を勝手に決めようとしている。何とかそのコントロールを自分に取り戻さねば。自分が正しいと思った道を選んだロリーは、ある大学の化学部の奨学金に応募することにした。それを不満に思った音楽教師は、邪魔を企てる。ロリーは、自分がまさに奨学金を受けるに値する生徒だと、大学側に証明しなければならない。 ロリーが自分の将来のために奔走しているうちに出会った、彼の新しい彼女であるビクトリア・ビーチもまた、同じ音楽教師そして彼女の両親にまで、音楽の道へ進むよう強要されていた。他のオプションも考えなければ、将来の道が制限されてしまうと心配するビクトリア。彼女に良かれと思って決まった将来を執拗に勧める周りの大人たち。そんなとき彼女の未来は別のところにあるかもしれないという可能性が、次々と現れてきた。 ロリーとビクトリアは、それぞれの将来を築くため必死で行動する。大人たちの介入はもうたくさんだ。自分の未来を切り開くために、かれらは孤独な戦いを余儀なくされる。


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