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『ぼくはサンタ』の翻訳者、石井 ふみ さん

2014/12/25

12月25日号に登場の新人翻訳家は ―  石井 ふみ (いしい ふみ)さん。


毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用すること で、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。

連載117回目の12月25日号では、絵本『ぼくはサンタ』の翻訳者、石井ふみさんをご紹介します。  
 

編集部:
はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。
 
 

石井:201412241509_1.jpg
相模原市で「きらきら☆キッズ」という子育て支援のサークルを立ち上げて、さまざまな活動をしていま
す。そこで、初めて私が翻訳をした『ぼくはサンタ』の原作である“Little Santa”を英語で読み聞かせをしました。
まずは、英語で読んで、ページごとに、日本語で翻訳をつけていきます。そうすると、皆さん、「英語がわかる!」といって喜んでくださいました。それから12月には、ジンジャーマンクッキーを焼いて、みんなでクリスマスの仕度をしました。これからも、こうした子育てを、絵本を通して楽しむ活動をしていくつもりです。

 
編集部:
 子育て支援のサークル活動をされているのですね! 
運営などいろいろな面で大変だとお察ししますが、お子さんや親御さんが喜ぶ姿を見ることが何よりなのでしょう。
早速、ご自身の翻訳書『ぼくはサンタ』を使った「ミニ翻訳体験教室」(!?)にも、皆さん喜ばれていたようで良かったですね!
 
 

石井:
個人的には、末の息子が年長さんになって、幼稚園にも慣れたので、パートタイムで働きながら、翻訳の仕事を再開しています。
40才を半ばにして、まだまだ知識を得られるし、子育ての経験を活かすことも出来て、とても充実しています。
 
 

編集部:
学ぶ気持ちに年齢は関係ありませんよね。要はやる気が一番大事だと思います~。このように毎日充実した生活を送られている石井さんですが、翻訳を学び、翻訳家を目指そうと思ったきっかけはどんなことでしょうか。
 
 

石井:201412241516_1.jpg
英語はイギリスの小学校に通っていた時に、クラスティーチャーのミセス・ロウという青い大きな目
をした爪の長い、今で言う“美魔女”のような先生が私に読み方を教えてくださいました。
会話はギリシャ系のバレリーというクラスメイトから教わりました。
 
 

編集部:
イギリスの小学校に通われていらっしゃったのですね! 
“美魔女”ですか……「魔女」は「魔女」でも、なんだか『ハリー・ポッター』のような世界をイメージしてしまいます~(笑)。
 
 

石井:
日本に帰国して大学は英米文学部で翻訳を学び、「翻訳家になろうかな?」と私が言うと、母から「あんたになんか翻訳は無理よ」ときっぱりと言われました。英語と日本語のバイリンガルだけでしたからね。ショックでしたが、今の私があるのは、その言葉があったからこそだと思います。
 
 

編集部:
バイリンガルであるから翻訳家に向いているかというとそうではなく、こと翻訳に関しては起点言語より以上に対象言語(英語から日本語であれば日本語)の表現力が重要ですから、幼くして日本を離れていらっしゃったことにお母様は危惧されていらしたのかもしれませんね。
それでも、お母様の一言で発奮し、結果として今のお仕事や今回の絵本共訳に繋がったわけですから、石井さんのやる気が見えない力となって動いているようですね~。
 
さて、翻訳家を志して努力を重ねられてきた石井さんが、絵本『ぼくはサンタ』を出版されたのは、どのような理由や思いがあったのでしょうか。
 
 

石井:
2人の息子を育てている中で、「絵本は心の離乳食だよ」と、相模原市にある絵本と児童書の専門店、「よちよち屋」の店長さんが教えてくださったんです。モーリス・センダック作『かいじゅうたちのいるところ』が私も大好きになりました。
『ぼくはサンタ』の原作“Little Santa”の作者である、ジョン・エイジーさんのホームページには、センダックさんが「君の絵本にコールデコット賞が与えられるといいなと願っている」とおっしゃったと書かれています。そこには2人の作家のツーショット写真もありますので、ぜひご覧ください。

http://www.jonagee.com/html/tribute_to_maurice.php
 
私は、ほかのセンダック作品、たとえば『きみなんかだいきらいさ』を好んで読み聞かせをしてきました。この2人の作品には5才くらいの男の子のやんちゃさが描かれていて、その姿がとても子どもらしくて共感しました。『ぼくはサンタ』の主人公 サンタ君の、「ぼくなら えんとつをよじのぼって そとにでられる」という、家族の役に立つんだという心構え、そして、家族の元へと戻ってくるのですが、帰って来た時のサンタの満足気な表情ったら! (このあとのお話は読んでからのお楽しみ!)
 

編集部:
なるほど~。石井さんの大好きな絵本作家センダックが認めたエイジーの作品だから“Little Santa”に興味をお持ちになったのですね。そのうえ、この作品に出てくる「サンタ君」が、お気に入りの絵本に出てくる男の子のように、やんちゃで子供らしいキャラクターだったから、翻訳を決意したという訳ですね! 絵本の内容に関するお話がちょっと出てきましたので、ここで絵本の内容を紹介していただこうと思っていたのですが、「読んでからのお楽しみ!」だそうなので(苦笑)、みなさん、まずはお手に取ってご覧ください~!
 
それでは、翻訳された感想や、楽しかったこと、苦労したことなどをお聞かせくださいますか。

 
 

石井:201412241516_2-150x249.jpg
この本の主人公である、クロース家族の末っ子、サンタ君は北極という日本から遠いところに住んでいます。
そして、雪の上に寝
そべって、手をバタバタしてスノーエンジェルの形を作ります。

「スノーエンジェル」というのは、そのまま日本語にはない言葉でしたので、日本語版では、分かりやすく翻訳してあります。

サンタ君のセリフを思いついたり、他の登場人物のキャラクターにあわせてセリフにしてみる作業はとても楽しかったです。
 
 

編集部:
日本にはない文化が背景にある言葉を訳すことは一筋縄ではいきませんが、石井さんは楽しんで取り組まれていたようですね。
 
 

石井:
ですが、私はついつい過剰に演出を加えてみたり、意味を深く考えすぎたりする悪いくせがあるので、この点に苦労しました。その度に共訳者の小峯さんや監訳をしてくださった久保秋先生からストップをかけてもらい、新たなコメントを訳文に追加して指摘いただけたので、バベルのワークショップに参加できたことは、とても良かったと思います。
 

 

編集部:
絵本や詩のように、短い文章ほど訳すのは難しいですからね。すんなり訳文が出てこないと、あれこれ頭で考えてしまい、逆に原文と離れてしまったりしますし……。“Simple is the Best.”の言葉通り、意外に単純な一言がピタリと「はまったり」するものなんですよね~。口で言うのは簡単ですけど、塩梅が難しいですね……。ただ、今回は共訳ということで、仲間と監訳の先生がいらっしゃいましたから、石井さんも心強かったのではないでしょうか。このようにフォローをしあえるのも、共訳出版の良さですね。
 
 
さて、このように様々なご苦労を経て、完成した絵本を手に取った時のお気持ちはいかがでしたか。
 

 

石井:201412241517_1.jpg
ワークショップなどで考えて悩んだ翻訳が、実際に本となるまでは不安でいっぱいでしたので、手にした瞬間は、嬉しくて涙が出
そうでした。無事出産を終えたお母さん、といったところでしょうか。息子から、「日本語になった本がはやく読みたいよ」とリクエストされていましたし、周囲の人たちからも、「出たら教えて」と言われていたので、出せて本当に嬉しかったです。
 
 

編集部:
一つの作品として、まさに「生み出された」という感じが、母になる心境と似ているのでしょうね。石井さんご本人だけではなく、ご家族や周りの皆様も、心待ちにされていたと伺い、こちらも嬉しい限りです~。 
 

 

石井:
ジョン・エイジーさんのような立派な作家さんの本を日本に紹介することに、翻訳家として手伝えたことを本当に光栄と感じています。色が美しく、彼の描く絵本は本当に美しいと思います。物語も独特のユーモアにあふれていて、楽しい作品です。ぜひ、手に取って読んでみてください。
 
 

編集部:
彼の作品は、お話もイラストもコミカルで独特な雰囲気がありますね。私も個人的に大好きな作家ですし、たくさんの方にこの絵本を手に取っていただけるよう、プレスでも営業に力を入れて参ります~。
 
それでは最後の質問です。これからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせくだい。
 
 

石井:
 まずは1作品を絵本で翻訳できましたので、これからも絵本を読み聞かせのためにも、英語の優れた作品の日本語への翻訳を続けていきたいと願っています。最終的なゴールは、日本やアメリカ、アジアなどの国境を越えた、グローバルな作品を紹介していきたいと思っています。そのためには日本語の絵本を、海外に紹介できるように英語に訳すこともしてみたいと思っています。『ぼくはサンタ』はこれからずっと読まれ続けていく絵本だと思いますし、そうした息の長い作品との出会いを楽しみにしています。
 

編集部:
イギリスにも、まだまだ日本に知られていない素晴らしい絵本がたくさんあるでしょうし、日本にも、世界に知られていない素晴らしい絵本がたくさんあります。石井さんにはバイリンガルであることの強みを生かして、“英日”“日英”両方の翻訳にチャレンジして頂きたいと思います。そして、将来は、読み継がれる息の長い良書を私たちに提供してくださることを願っています。石井さんの今後の活躍を期待しております。
 
本日はどうもありがとうございました。
 

 
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 『ぼくはサンタ』 

著 者   ジョン・エイジー

訳 者   石井ふみ 小峯真紀

監訳者  久保秋里香

 

クローズ家7人きょうだいの末っ子サンタは北極での暮らしが大好き。

反対に、サンタ以外の家族は極寒の地での暮らしに辟易していました。

ある日、あたたかいフロリダへ引っ越すことにすると告げられ、サンタはがっかり。

しかし、荷造りをした翌日、幸運なことに(?)一家は猛吹雪に見舞われます。

おかげで家は煙突以外はまるごと雪に覆われてしまい、出発することができません。

そこでサンタは煙突をよじ登り、助けを求めて外に飛び出すのですが…。

エイジーの奇想天外なお話と素朴さが漂う「へたうま」イラストがマッチした、おもしろおかしな作品です~★

 

バベルプレスの地球図書館(旧eガイア書店)で、『ぼくはサンタ』 のご注文を承ります!

                          ↓

http://babelpress.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000000852&search=%A4%DC%A4%AF%A4%CF%A5%B5%A5%F3%A5%BF&sort=

 

 

『ぼくはサンタ』 のほかにも、『ゆきだるまといつもいっしょ』『うさぎにもクリスマスはくるかしら?』など、今の時期にぴったりの翻訳絵本が目白押しです。どうぞ書店をのぞいて見てください~♪

 

2014年12月12日(金)に『ぼくはサンタ』の読み聞かせ会を開催しました https://www.youtube.com/watch?v=2_cbiw7JbII&feature=youtu.be

 

 

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