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『ゆきだるまと いつもいっしょ』の翻訳者、志村 順(しむら じゅん)さん

2013/12/10

12月10日号に登場の新人翻訳家は ―   志村 順 (しむら じゅん) さん。


毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用することで、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。

連載92回目の12月10日号では、
『ゆきだるまと いつもいっしょ』の翻訳者、志村 順 (しむら じゅん)さんをご紹介します。

 




志村 順さん

TSUTAYA 大崎駅前店の
入口ディスプレイにて

 
  
 
  書籍名: ゆきだるまと いつもいっしょ  
    
作:キャラリン・ビーナー 
   絵:マーク・ビーナー

    出 版:   バベルプレス
 

編集:
 はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。
 

志村:
 父の転勤で、家族で小学校時代(1~4年生)をオランダとイギリスで過ごし、高校(高2~3)は双児の妹と二人でアメリカに留学しました。私はそのままアメリカに残り、コーネル大学のホテル経営学部を卒業し、ニューヨークと東京のホスピタリティ業界でバリバリと働いていました。仕事を通して知り合って結婚した夫が調理師で朝から晩まで忙しくスケジュールも不規則なので、3年前の出産を機に私は家で子育てと両立出来る仕事をと色々と考え、絵本翻訳にたどり着きました。
 
 今年の2月末にオーディションを受け、その間色々とありましたが、8ヶ月後に本当に日本語の絵本が出来上がってきて不思議な感じです。今は第二子の出産も間近に控えているので、その前に絵本の方が形になって良かったなとホッとしています!
 

編集:
 海外での生活が長かったのですね。出産を控えられている最中の翻訳作業は大変だったと想像しますが、『ゆきだるまといつもいっしょ』がクリスマスシーズン前に出版ができ、弊社としてもうれしいです。
 
 志村さんが、絵本翻訳家を目指そうと思ったきっかけはどんなことですか。
 

志村:
 翻訳をきちんと学んだりしたことはありませんが、タイミング良く海外と日本を行き来出来たおかげで日英バイリンガルに育ちました。これについては両親にとても感謝しています。仕事は東京のホテルのフロント、ニューヨークの旅行会社、東京のコンサルティング会社、そしてニューヨークと東京のレストラン業界で働いて来ました。ザガットレストランガイドのハワイ版の日本語訳や東京版の英訳をフリーランスで手伝い、ザガット夫妻が来日した時には通訳もしました。
 
 出産前まで10年以上務めていたノブレストラングループは松久信幸という日本人のオーナーシェフがアメリカを拠点に展開するレストラングループだったので、日本語と英語が出来て重宝され、のぶさんのアシスタントとして日常的に通訳と翻訳をしていたので、それがとても役に立ったんだと思います。ビジネスでもパーソナルなことでもそうですが、訳し方一つで伝わり方が変わってきてしまうので、正確で誠意のある訳というのはとっても大事だと思っています。
 
 長年務めたレストラン業界関連の翻訳も得意で好きですが、幼い子供がいると納期の短い仕事は難しいので、比較的納期が長く、また子育て中に身近に感じられ、息子とも共有出来る絵本の世界で翻訳に挑戦してみたいと思いました。
 

編集:
 英語を使って、いろんな業界でご活躍されていたのですね。ザガットレストランガイドも、ノブレストランも世界的に有名ですね。
 
 お子さんの誕生が、絵本翻訳を目指そうとお考えになったきっかけだったのですね。子育てをされながら翻訳業に携わっている方はとても多いんですよ。第二児のご出産も間近とのことですが、翻訳業であれば、二人のお子さんと一緒にいる大切な時間を過ごすことができますね。そのうえ、ご自身でお子さんの読む絵本を作ることになるわけですから、それも素敵ですね。
 
 さて、今回出版された『ゆきだるまといつもいっしょ』については、どんな理由や思いがあったのでしょうか。
 

志村:
 英語での読み聞かせをボランティアでしているのですが、去年のクリスマス用に絵本を探していた時に、『Snowmen At Christmas』というニューヨークタイムズのベストセラーにもなった本に出会い、楽しい絵と心温まるストーリーが気に入って読み聞かせ会で2回、そして自宅で息子や甥と姪達と何度も読みました。日本語版があるのも知って購入し、クリスマス後には一作目の『Snowmen At Night』も入手しました。今年の2月にバベルプレスで同シリーズ三作目の『Snowmen All Year』の翻訳オーディションをしているのをネットで見て、飛びつきました。
 
 とはいえ、いざオーディションに受かってからは、翻訳出版の投資額が大きいことからかなり悩みました。でも絵本翻訳家への近道として、レジュメとして一冊出すんならこの本しかないと思い、主人も後押ししてくれたので思い切って決めました。
 絵本翻訳家としてデビューを果たせたことにバベルプレスには大変感謝しています。このチャンスを活かしての第二のキャリアを頑張って築き上げていきたいと思っています!
 

編集:
 『Snowmen…』シリーズを既にご存知だったのですね。弊社でオーディションを見つけられたのも、“ご縁”だったのですね~。
 ここで、本の内容紹介と、翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したなどをお聞かせください。
 

志村:
 寒い冬の日に作ったゆきだるまと一年中一緒に遊べたらな~という男の子の願いを描いた夢のあるお話です。春は凧揚げや動物園に行ったり、夏は遊園地でジェットコースターに乗ったり、プールで水泳やビーチで砂遊び、そして秋にはハロウィーンのトリック・オア・トリート!とにかく楽しく心温まる絵とお話なので、その雰囲気を壊さないように訳すのに気を遣いました。
 
 また、意味が100%わかっていても、上手にわかり易い日本語に訳すというのが大変難しいなと感じました。何度も何度も訳し直し、最後の校正の時にまで直しを入れてしまいました!その過程で、英語で息子に読んでいた本を日本語で読んだり出来て、仕事をしながらも息子との時間を楽しむことが出来るのはいいなと改めて思いました。絵本翻訳は本当に想像以上に難しかったですが、とっても楽しく、やりがいを感じました。
 

編集:
 息子さんとの共同作業でできた絵本なんですね!気持ちがほっこりしますね。
 おっしゃる通り、一見、絵本翻訳は簡単そうに見えるのですが、意味が分かっていても、子どもたちが理解でき、かつ楽しく読める日本語に、過不足なく翻訳するためには、これほど難しい翻訳はないと思います。シンプルな文だからこそ、いろんな解釈ができるし、奥が深いのが絵本翻訳ですね。
 
 実際に本を手にされた時のお気持ちはいかがでしたか?
 

志村:
 私自身手にとってみてとても感動しましたが、もうすぐ3歳の息子に見せたら目を輝かせて「ママ、読んで!」とすぐ言ってくれたのがすごく嬉しかったですね。1年生の姪が表紙の私の名前を見付けて喜んでいたのも印象的でした。
 休みの日の度に、私の仕事が出来るようにと息子を海や公園に一日連れ出してくれた夫、そして何度も見直しを手伝ってくれた姉妹など、周りの応援してくれていた家族や友人と出版の喜びが分かち合えたのもとっても嬉しかったです。
 

編集:
 そうですかぁ~ 皆さんのサポートによる一大家族プロジェクトだったのですね(笑)。完成した絵本で、皆で喜びを分かち合えることは、素敵なことですね。まさにクリスマス前にぴったりな心温まるエピソードですね!
 
 先ほど、読み聞かせの話しが出ましたが、志村さんには、先日(11月21日)、吉祥寺キャンパスで、この『ゆきだるまといつもいっしょ』を日英の両方で読み聞かせをして頂きました。お蔭様で、たくさんの子どもたちとママさんたちに参加頂き、大盛況でした。ありがとうございます! 志村さんのご長男も大はしゃぎでしたね(笑)
 



 今回の読み聞かせの感想と、志村さんの読み聞かせへの思いをお聞かせくださいますか?
 

志村:
 英語の読み聞かせはもともと息子をバイリンガルに育てたいという願いから、そういう場に慣れ親しむのもいいかなと息子と参加するために探していました。ネットで調べて都内で開催されている数少ない英語の読み聞かせに息子が一歳半の頃から参加しはじめました。丁度その頃、絵本の読み聞かせを通して英語を子供に教えるという英語ソムリエという資格の講座があることを知り、息子のため、また自宅で子供に英語を教えるのも仕事のオプションとして、去年の秋に講座を受けました。この英語ソムリエアカデミーが、毎月文京区のスマイルキッズ保育園と横浜のハッピーローソン山下公園店で英語読み聞かせイベントを主催しているので、私もボランティアで読み手として可能な時に参加しています。
 
 自分で調べてみて痛感したのですが、英語での読み聞かせは意外と少なく、子供達のためにそういう場を求めているママやパパ達が通える場を作るのに貢献出来ればいいなと思っています。英語の絵本や日本語に訳された海外の絵本に触れる機会が増えれば、子供達の視野は自然に広がり、国際色豊かに育つんではないかと願っています。
 
 今回の読み聞かせは、自分が特に気に入っている本で、それも英語も日本語も何回も読んで良く知っているので、自分一人での読み聞かせ、また日本語でも、というプレッシャーはありましたが、意外と余裕を持って出来たと思います。子供達も聞き入ってくれていて、私自身も楽しかったです!応援してくれていた家族や友人が聞きに来てくれたのもとっても嬉しかったです。
 

編集:
 ゆきだるまのお話でしたが、子どもたちの熱気でムンムンでしたね(笑)。また、ハワイに住まれている志村さんのご両親もZoom(ビデオ通話システム)で読み聞かせに参加され、会の雰囲気やお孫さんとの会話を楽しんでおられるようでした。
 
 最後に、これからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせくだい。
 

志村:
 小学校1年生の時に父の転勤でオランダに引っ越したのですが、数年後イギリスに行くことが決まっていたのでブリティッシュ・スクールに転入しました。そこで毎日下校前の多分10分とか15分ぐらいだと思うのですが、先生がクラスにエニド・ブライトンの『ザ・エンチャンテッド・ウッド』という魔法の世界のお話を読んで下さいました。絵本でもなかったしわからない英語で始めはチンプンカンプンでしたが、私もいつの間にかクラスのみんな同様その話のとりこになっていました!
 
 私自身が双児のこともあり、エニド・ブライトンの寄宿舎生活についての『おちゃめなふたご』シリーズや冒険物も大好きですが、まだ訳されていないこれらの魔法の国のお話がいつか訳せたらなと思います。あとは今回訳した『ゆきだるまといつもいっしょ』の続編や、楽しい英語の絵本は沢山あるので、いいものを見付け出し、それらを日本の子供達も楽しめるように訳したいです。  
 
 英語の読み聞かせの活動もそう願ってやっていますが、日本の子供達が違和感なく楽しみながら外国を少しでも身近に感じられれば国際的な将来への第一歩かなと思います。
 

編集:
 志村さんがこれまで行ってきた息子さんや他の子どもたちへの絵本の読み聞かせは、おなかの中の赤ちゃんもきっと聴いていることと思います。
 どうぞお体を大切にされてください。元気な赤ちゃんの誕生を弊社スタッフ一同、心よりお祈りしております。志村さんが落ち着かれた際は、また絵本の読み聞かせや絵本の翻訳などでご一緒できたらと思いますので、よろしくお願い致します。
 
 今後も絵本翻訳家としてのご活躍を期待致しております。
 本日は、ありがとうございました。

 

☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ 

 

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『ゆきだるまと いつもいっしょ』

冬のすごく寒い日に作った雪だるまと一年中一緒に遊べるとしたら、君なら何をする?!
 
凧揚げを教えてあげる?プールで水泳か、ビーチで砂遊び?ジェットコースターに一緒に乗る?
 
雪だるまとの楽しい春、夏、秋、冬の世界へようこそ! 
eガイア書店で好評発売中です。
読み聞かせはこちら 
http://www.youtube.com/watch?v=tj7Gh_y5Wqw&feature=youtu.be 


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