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『おっきくなったら』の翻訳者、田中 優子 (たなか ゆうこ)さん

2012/11/10

11月10日号に登場の新人翻訳家は ―  田中 優子 (たなか ゆうこ)さん。


毎月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用すること で、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。
編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介 し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。


連載66回目の11月10日号では、 
おっきくなったらの翻訳者、田中 優子 (たなか ゆうこ)さんをご紹介します。

 
田中 優子さん 書籍名: おっきくなったら
著者: エマ・ドッド
出版: バベルプレス
 

編集:
 はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。

田中:
 東京生まれの東京育ちで、小さい時から絵を描いたり、見たりするのが大好きでした。
 受験のない学校育ちでしたので、音楽や、詩や、絵画、映画、と、好きなことばかりしていました。
 
 子供が産まれてすぐに、自費出版で、パピプペポッポという絵本(絵と文共に自分作)を出版しました。
 
 ここ数年は、夫の転勤で茨城に住み、小学生の双子と柴犬の世話がメインの毎日です。
 
編集:
 ご自分で絵と文を手がけられて、自費出版とはスゴイですね!
 Amazonのプロフィールを拝見すると、アメリカのカレッジや朝日カルチャースクールでも本格的に絵本を学ばれたのですね。田中さんが、絵や文といった無から有を生み出す作業がいかにお好きなのかが伺えます。
 
 田中さんが翻訳を学び、翻訳家を目指そうと思ったきっかけはどんなことですか?
 
田中:
 大学で、英文学を学び、立教大学の吉田新一先生のクラスにお邪魔して、英米の絵本の世界に触れ、いつかは自分でも絵本を作ったり、翻訳してみたいと思っていました。
 
 実際は、一般企業の海外法務担当を経て、なかなか子供を授からなかったこともあって、大学の研究室で助手をしたり、中学の英語講師をしたりと、全く、絵本とは縁遠い生活でした。朝日カルチャーで『チロヌップのきつね』で有名な高橋宏幸先生の絵本講座を受講したのが、絵本の世界に戻るきっかけになりました。一方で、バベルの通信の翻訳講座も受講しました。
 
編集:
 お話を伺っていますと、お仕事や育児をされながらご自身の「好き」を突き詰られて、今があるのですね~
  『おっきくなったら』を出版されたのは、はどんな理由や思いがあったのでしょうか。
 
田中:
 『おっきくなったら』を出版するきっかけは、バベルからの絵本のオーディションのお知らせで、エマ・ドッドさんの別の本のオーディションに応募したことです。こちらは、別の方が翻訳されることになりましたが、絵がかわいいのと、シンプルながら、あったかいメッセージの込められた彼女の絵本をどうしても翻訳したくて、『When...』(おっきくなったら)を紹介していただきました。
 
編集:
 おっしゃる通り、ほのぼのとしたタッチの絵と内容は、読むと気持ちがほっこり温かくなる感じがしますね。
 それではここで、本の内容の紹介をしてくださいますか。翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したことも併せてお聞かせください。
 
田中:
 『おっきくなったら』は、とてもシンプルな文で、単語は、とても簡単なものばかりです。その分、日本語に訳す時、そのシンプルさを壊さずに、ふさわしいことばを選ぶのに苦労しました。しかし、バベルの田口さんのアドバイスがあったので、初めての翻訳でしたが、満足のいくものになったと思います。
 
 表紙に描かれているかわいい親子のくまがすべてを語っています。こぐまが、自分が大きくなったら、こんな風になりたいと、お母さんに語りかけていて、最後の「ぼくがぼくになるために」という一文が私は好きです。小さいながら、自立していくんだな、という印象を覚えました。
 
編集:
 そうなんです。絵本は一見、簡単そうに見えるのですが、シンプルであるからこそ、言葉のセレクトは本当に難しいですね。絵本翻訳で、多くの翻訳者の皆さんが苦労されている点のひとつです。
 絵本は、本当に深いですね。
 
 「ぼくがぼくになるために」という一文は、これまで絵本や英語といった、ご自身の「好き」を学ばれてこられた田中さんにこそ当てはまっているような気がします。
 
 出来上がった本を手にしたときの気持ちはいかがでしたか?
 
田中:
 出来上がった本をいただいた時は、古臭いですが、まず、いつも応援していてくれた故人の父と義母の写真の前に飾り、感謝しました。
 翻訳したいという意思はあっても、なかなか実現するのは難しいのですが、「自分のために投資しなさい」と励ましてくれた二人を含め、支えてくれている皆のおかげで、出版にこぎつけたと思っています。
 
編集:
 そうですかぁ。天国のお父様と義母様もきっと喜んでいらっしゃるでしょうね。
 これからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせくだい。
 
田中:
 これから先のことは未定ですが、大学時代に読んで面白かったイギリスの子供向けの詩集を、いつか翻訳して日本に紹介できたら、と思っています。
 
 また、これは翻訳とは関係ないのですが、最後の仕事として、理学療法士の資格をとり、歩けなくなった母を、もう一度、歩かせてあげたいと思っています。そういう意味では、海外で出版されている、リハビリの本も、分野は全く異なりますが、技術用語を勉強して、翻訳できたらいいですね。
 
編集:
 詩集は、絵本にもつながる想像の世界ですよね!
 医療分野での翻訳についても触れられていますが、 お母様の足の快復をお祈り致しております。
 
 今後も、翻訳者としてのますますのご活躍を期待いたしております。
 本日はありがとうございました。

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『おっきくなったら』

 

おっきくなったら ぼくね・・・
こぐまの目線から伝える心温まる絵本です。優しいタッチの絵にも心がなごみます。

本当に短くシンプルな内容ですが、それだけに、読んだときの心境などによって、作品の印象や心に響く部分はまったく異なります。

子ども、親子だけでなく、様々な年代の大人の方にこそ、折に触れて読んでいただきたい一冊です。

eガイア書店でご注文を承ります。立ち読みもできます!
 

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