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『どんなときでも』の翻訳者、戸田 智子(とだ ともこ)さん

2012/09/10

9月10日号に登場の新人翻訳家は ―  戸田 智子(とだ ともこ)さん。


毎 月多くの翻訳書が出版され、新人翻訳家も多数誕生しています、これまでの出版経験を持つプロ翻訳家ばかりでなく、多様なチャンスを積極的に活用すること で、自己表現できる機会がひろがってきていることを感じます。編集部では、これらの新人翻訳家にスポットをあて、どんな方がデビューしているのかをご紹介 し、インタビューによって翻訳出版の動機や、その背景も探っていきます。


連載62回目の9月10日号では、 
どんなときでもの翻訳者、戸田 智子(とだ ともこ)さんをご紹介します。


  
戸田 智子さん 書籍名: どんなときでも
著者: エマ・ドット
出版: バベルプレス
 

編集:
 はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。

戸田:
 大学卒業後、郵便局に5年間勤務しましたが、退職後、フェローアカデミーのカレッジコースに通いました。カレッジコース卒業後は、派遣社員をしながら実務経験を積み、空いた時間で勉強したり仕事を受けたりしていました。独立したのは去年で、主に契約書など法律関係の翻訳をしています。

編集:
 そうですかぁ。お忙しい仕事の合間を縫っての勉強は大変だったと思います。
 翻訳を学び、翻訳家を目指そうと思ったきっかけはどんなことですか。


戸田:
 もともと、英語とはあまり縁のない仕事をしていたのですが、あるときなぜか、英語の勉強でもしようかなって思ったんです。それで教材を探していたとき、たまたま翻訳の通信講座が目に留まり、勉強を始めました。自分で文章を書くのは苦手なのに、翻訳だと意外に言葉が出てくるので、面白く感じました。

 その当時は、翻訳家になろうとまでは考えていなかったのですが、仕事自体があまり性に合わなかったこともあり、一生この仕事をしていくことはないだろうとも思っていました。通信講座を終了して1年くらい経って、どうせ仕事で苦労するなら、好きなことで苦労するほうがいいと思い、そのときに初めて翻訳の仕事をしようと決めました。


編集:
 「好きなことで苦労するほうがいい」というのは、多くの翻訳者の方たちに共通して言えることですね。好きな仕事でも様々な苦労はあると思いますが、好きであれば乗り越えられる気がしますよね。

 『どんなときでも』を出版されたのは、はどんな理由や思いがあったのでしょうか。


戸田:
 わたしの場合、本に出会ったのも出版したのも、直感というか、なんとなくという感じです。なにか思いがあったかと言われると、正直なところ、自分でもよく分かりません。

 『どんなときでも』は、自分で本を訳して読み聞かせする機会があり、題材を探しているときに見つけました。

 もともとは別の本を予定していたのですが、読み聞かせの発表会が東日本大震災で延期になり、その間になんとなく違う本を訳したくなったんですね。余震の続くなか、洋書を扱っている本屋さんを探し回って、発表会の一週間前にたまたま手に取ったのが、この本の原書でした。同じ原作者の方の本が何冊あったのですが、なぜか気になったのは『どんなときでも』の原書だけでした。


編集
 戸田さんがおっしゃるように、「直感」や「たまたま」という状況が重なって原書に巡り合い翻訳をされるケースがとても多いんです!
 
 それでは、本の内容と、翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したことをお聞かせください。


戸田:
 『どんなときでも』は、親子ゾウのお話です。子どもに対する愛情を伝える、心温まる絵本です。

 同じ翻訳でも、日ごろやっている実務翻訳では淡々と訳していくだけですが、絵本は勝手が違うので、頭の切り替えが大変でした。訳す分量自体はとても少なかったのですが、シンプルな文章だけにかえって訳に困ったり、絵との兼ね合いを考えたりで、信じられないくらい時間がかかってしまいました。

 他にもいろいろあって、楽しいと思えたときはあまりなかったです。


編集:
 よ~く分かります。絵本は一見簡単そうに見えますが、実はそうではありません。子どもが読むことのできる本に仕上げるためには、子どもたちの目線に立つことも大切ですよね。翻訳作業は、考える要素が多くて本当にご苦労が多かったと想像します。

 出来上がった本を手にしたときのお気持ちはいかがでしたか。


戸田:
 発売になってそろそろ1か月たちますが、今もあまり実感がないです。
 以前は、いつかは訳書を思っていましたけれど、それが叶った今は、ただの通過点なんだな……という気持ちが強いです。


編集
 『どんなときでも』は、内容がとても分かりやすく、絵も可愛らしいので、気持ちが和らぐような作品ですね。
 「ただの通過点」とのことですが、一つの作品の作業を終えて、すでにその先に目を向けられている前向きな気持ちを感じます。

 最後に、これからの抱負や翻訳してみたい作品のことなどをお聞かせくだい。


戸田:
 これからは、個人が自由に意見や情報を発信する機会が増えてくると感じています。
 今は、電子出版に興味があって、いろいろ調べています。ワードで5~50枚くらいの原稿を、書き手とやりとりしながら翻訳できたら楽しそうです。

 個人的にはスピリチュアル系の書籍が好きなので、この分野のものができればうれしいですが、すごくこだわっているわけではないです。実務翻訳の仕事も、医学と特許以外は極力受ける方向でやってきたので、翻訳の仕事を通じていろいろな世界を知ることができました。仕事としては、効率は良くないのでしょうが、今は知る楽しみも大切にしたいと思っています。


編集:
 おっしゃるとおり、電子書籍を始め、デジタル化は生活や仕事にどんどん浸透していくのでしょうね。
 しかし、Google 翻訳などの自動翻訳があっても、的外れなことも多いですから、いくらデジタル化が進んでも、きちんとした翻訳文は、最終的には翻訳者(人)の手によるものが求められることに変わりはないのだと思います。

 翻訳作業から得られる知識や体験も翻訳の醍醐味だと思いますので、今後もぜひ翻訳のお仕事をがんばってください!
本日はありがとうございました。




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『どんなときでも』


いつでも、どんな自分でも、愛されている」というメッセージを、母親ゾウの目線から伝える心温まる絵本です。優しいタッチの絵にも心がなごみます。
本当に短くシンプルな内容ですが、それだけに、読んだときの心境などによって、作品の印象や心に響く部分はまったく異なります。
子ども、親子だけでなく、様々な年代の大人の方にこそ、折に触れて読んでいただきたい一冊です。バベルプレスからこの良書を日本でも広めたいと思います!
 

バベルプレスからこの良書をぜひ日本で広めたいと思います!
eガイア書店でご注文を承ります。立ち読みのできます!

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