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東アジア・ニュースレター ― 海外メディアからみた東アジアと日本 ― 第127回

2021/07/22

東アジア・ニュースレター
――海外メディアからみた東アジアと日本――
第127回








前田 高昭 : 金融 翻訳 ジャーナリスト
バベル翻訳大学院プロフェッサー 

 
 
 中国では共産党が創設100周年を迎えた。メディアはいずれも100年の歴史に対する批判と今後の100年に対する懸念に満ちた論評を展開。中国共産党の100年の歴史は、最終的に成果だけでなく、その犯罪行為によっても判断されて然るべきだと主張する。

 台湾蔡英文政権は、長年の懸案だった米台貿易投資協定の締結に向けて、米バイデン政権と交渉を再開した。その意義についてメディアは、米新政権の台湾関係強化路線が改めて確認され、交渉が結実すれば、中国の反発を警戒しながらも台湾との関係強化を望む国々に政治的口実を与えると指摘する。同時に問題点として、台湾によるラクトパミン豚肉の輸入制限や目玉の一つである半導体供給の協力問題の詳細が不明であることを挙げる。

 韓国文大統領が最後の努力を北朝鮮政策に注ぎ、様々な外交努力を重ねているとメディアが報じる。同大統領は、「非核化と制裁緩和のサイクル」が核弾頭やICBMのような北朝鮮の死命を制する問題を交渉のテーブルに乗せると主張しているが、これには様々な障害があり、最終的にはこの問題に対する真の解決策は見当たらないとの厳しい現状認識がその政治的遺産となるかもしれないと指摘する。

 北朝鮮金総書記が政治局会議でパンデミック対策の「失敗」と感染防止努力の「甚大な危機」に言及して高官を叱責し、降格したと報じられた。この発言に関連してメディアは、新型コロナウイルスの感染爆発が発生した、あるいは、深刻な食糧危機に鑑み特に中国に対して遠回しに援助を呼びかけたという2つの見方を示す。ただし第1の見方は、金総書記が発言したという政治局会議が大規模感染の中で開催されたとは考えにくいこと、感染地域の閉鎖という事態も探知されていないことなどを挙げて否定的な見解を示し、むしろ最大の支援国である中国へ遠回しに援助を求めたとの解釈に傾いている。

 東南アジア関係では、マレーシア王室が政局において存在感を高めており、国王が議会重視を打ち出し、民主主義擁護の姿勢を鮮明にしているとメディアが伝える。弱小な多数派を率いるムヒディン首相も国王の意に沿って大型景気対策やワクチン接種促進などの政策を打ち出し、高い支持率を維持していると報じる。マレーシアが立憲君主制の下で政局の安定を保っている面があることに注目したい。

 インドの深刻なコロナ危機とそれに伴うワクチン輸出禁止措置によって、クワッドが単なる反中軍事同盟ではなく、コロナ対策で地域に実用的な援助を提供できる組織であることを証明する米政府の試みが損なわれているとメディアが報じる。背景に米政府が日米豪からの財政および後方支援を受けて、インドが東南アジア向けのワクチンを供給するクワッド・ワクチン・イニシアチブを先導していたことがある。ただし事態はまだ順調に進んでいるとの米高官の発言もあり、今暫く推移を見守る必要がある。

 主要紙社説・論説欄では、目前に迫った東京五輪に関するメディアの論調を観察した。


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北東アジア


中 国

☆ 100周年を迎える共産党

 7月Ⅰ日、中国共産党は結党100年の節目を迎えた。6月30日付フィナンシャル・タイムズは「Success and danger for China’s Communists at 100 (100年を迎えた中国共産党の成功と危険)」と題する社説で、中国経済のこれまでの発展を評価する一方で、その台頭に果たした西側諸国の役割を認めるべきだと主張。さらに習近平総書記が政治権力のチェック・アンド・バランスのシステムを廃棄したことに触れ、これが潜在的な不安定の種をまいたと批判する。

 社説は冒頭で、過去40年間の中国の台頭は、史上最大かつ最長の経済ブームだったと述べ、国内総生産(GDP)は、1980年のわずか1910億ドル(一人当たり195ドル)から、2019年には14兆3000万ドル(一人当たり1万261ドル)に上昇し、中国経済を米国を凌ぐ規模へと押上げるハイテク大国に変えたと賛辞を贈る。同時に西側諸国は、こうした中国の発展にいかに貢献したかを反芻すべきだと述べ、特に多国籍企業は中国経済に数千億ドルを投資し、近代化を大いに支援したと補足する。
 こうした中国と西側諸国との共存共栄は、世界的な繁栄の礎となっており、近年、中国は世界のGDP成長率の約5分の1を牽引し、米国の貢献を大差で上回っているがそれはまた危惧の理由となっていると論じ、中国は習近平政権下で妥協を許さない独裁政権に変身し、西側との関係の今後と西側自身の安定に関して厄介な疑問を提起していると指摘する。習は、改革時代の父である鄧小平が設けた党の権力に関するいくつかのチェック・アンド・バランスを撤廃し、国家主席の任期制限も廃止、毛沢東以後初めて終身制を認められた指導者になった。また鄧と後継者が提唱した「集団指導」の原則に対してもほとんど意を払わず、後継者を育成するようにもみえないと懸念を表明する。これらの鄧時代の政治改革を放棄することの危険度は、人権に対する西側の懸念をはるかに超えている。共産党支配の悲劇的な欠陥は、1949年革命後の30年間の激動と人命の喪失に明示されているように、一人の人間に権力を集中させることによって、特に政治的継承時に悪質の権力闘争を引き起こす可能性があることだ。その一方で、政治の世界での議論の欠如は、過ちを長引かせ、悪化させる可能性があると指摘する。

 上述のような警告を発した社説は最後に、中国指導部と米欧諸国に次のように注文を付ける。
 共産党指導部は、中国が何よりも自由市場の改革とそれを補強する政治的チェック・アンド・バランスのおかげで経済的成功を収めた事実に思いを致すべきだ。中国政府は西側を悪者扱いするのでなく、その台頭に果たした西側諸国の役割を認めるべきである。
 米欧諸国は中国の努力に祝意を表すべきだが、中国の発展が然るべき政治的仕組みの上に成り立っており、その仕組みが最近において破壊的な逆戻りに見舞われたことを思い起こすべきだ。米欧諸国の最も賢明なアプローチは、初期の数十年に及ぶ中国の改革への希望的で無批判の関与のようなものでなく、経済への限定的関与と共産党による影響力キャンペーンに対する抵抗、そして現実的な戦略の準備などを織り交ぜた政策である。

 上記のように社説は、中国指導部に対して自由市場の改革とそれを補強する政治的チェック・アンド・バランスのおかげで経済的成功を収めた事実に思いを致すべきであり、そうした中国の台頭に果たした西側諸国の役割を認めるべきだと主張。米欧諸国に対しては、最も賢明なアプローチは経済への限定的関与と共産党による影響力キャンペーンに対する抵抗、そして現実的な戦略の準備などを織り交ぜた政策だと提言する。

 7月1日付ロサンゼルス・タイムズは社説「Unhappy birthday: The Chinese Communist Party at 100 (不幸な誕生日、100才を迎えた中国共産党)」で、中国共産党はこの100年で世界最大の政党に成長し、数億人の貧困農民を中産層に転換させ,中国を米国と比肩される超大国の地位に引き上げるという想像を絶する成果を上げたと述べるが、1989年の天安門事件で経済自由化が多党制への政治改革を導くだろうとの西側の期待を打ち砕いたと指摘。今日、権力を強化した習近平国家主席の下で中国は対決と好戦的姿勢を強め、西側主要国との緊張を高めていると批判する。
 国内でも国民に対する監視を強化し、特に近年人権問題が悪化しているとして香港における言論、反政府運動の弾圧とウイグル族の容赦ない迫害を挙げ、後者について、現代における最も深刻な人権侵害だと非難する。そのうえで社説は次のように論じる。

 中国共産党は、もう終りという多くの予測を乗り越えて生き延び、影響力の拡大に向けて着実に取り組んできた。一帯一路構想は、西側諸国によって形成された第2次世界大戦後の国際秩序を変えようとする中国の努力の一環である。しかし中国共産党は最終的に成果だけでなく、その犯罪行為によっても判断されて然るべきだ。3000万人もの命を奪った1958年から61年にかけての飢饉や国家を破壊した1966年から76年にかけての文化大革命、そして人権侵害などである。共産党が生き延びていくか、あるいは、中国を再び災難に導くのか、それはまだ分からない。

 7月1日付英ガーディアンも社説「The Guardian view on the Chinese Communist party at 100: what does the next century hold? (100周年を迎える中国共産党、次の100年でどう変わるか)」で、中国共産党の勝利を予想した者はごく僅かだったが、今や情け容赦なく権勢を保持していると論じる。社説は冒頭で、共産党は現在世界最大の政治組織で世界人口の5分の1を支配し、経済は世界第2位となり、指導者の習近平は、次の100年に向かって前進しなければならないと祝典で演説したと述べ、多くの人は共産党の終焉に
賭け、その賭けに負けたと報じる。
 蒋介石の国民党も自由市場も、そしてインターネットも皆、共産党に引導を渡せなかったが、共産党の成功による真の教訓は、誰も先を予測できないということである。そして中国共産党はそれを心得ていたと指摘する。とはいえ党は、中国の人々の心を入れ替え、その運命を変えるために出発してから100年が経った今でも国民を信用して真実を伝えることや、自由に話す機会と自分たちの指導者を選ぶ権利を認めることができないと批判する。

 7月1日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「100 Years of Chinese Communism (日本版記事:【社説】中国共産党100周年に考える)」と題する社説で、血に彩られた共産主義と熱烈な国家主義の融合が世界の自由と民主主義の脅威になっているとして、概略次のように論じる。

 中国共産党と中国国民は同じではない。9500万人の党員には特権があり、歯向かえば逮捕や破滅が待っていると脅して14億人の国民を支配している。忘れてはならない最も重要なことは、中国共産党が人を殺してきた歴史だ。第2次世界大戦で日本と戦ったのはほとんど蒋介石率いる中国国民党で、毛沢東は1949年に内戦に勝利し、他の共産主義者と同様、反対派を粛清し完全支配へと踏み出した。その後の数十年は世界史で最も凄惨な時代で大躍進政策は大飢饉(ききん)をもたらし、文化大革命では数百万人が辺地に追放され、毛の時代には数百万人が人知れず命を落としたとされる。
毛の死後、鄧小平が目覚ましい経済成長をもたらす自由市場改革に着手し、しばらくの間は社会的・政治的な統制が和らいだが、共産党が権力を手放したことは一度もない。1989年、鄧は天安門広場で起きた民主化運動を弾圧し、中国は今でもネット検索で「天安門」という言葉を検閲している。共産党は1981年「『文化大革命』の重大な『左傾』の誤り」は、毛氏に直接責任があるとする公式文書を発表したが、「偉大なるかじ取り」と呼ばれた毛の肖像画は今も北京の天安門広場を見下ろしており、毛思想への批判は習同志の下ではもはや許されない。

 このように中国共産党は民主的な正統性のないまま、国家主義と経済的繁栄をもって権力を維持している。中国は開かれた世界貿易システムのおかげで世界2位の経済大国にまで発展し、何億人もの国民を貧困から救った。また共産党のプロパガンダはこのところ、外国に搾取されてきた数世紀を経て、中国は国際問題でふさわしい地位に戻ったと強調している。しかし中国共産党にとって支配するための最終手段は恐怖だ。習氏の下で、政府は毛以来のどの時代よりも反体制派に対し不寛容になっている。監視国家のツールを用いて党の路線に異を唱える意見を抑え込み、新型コロナウイルスの感染初期に武漢で真実を語っていた人たちは弾圧され、パンデミックの秘密は隠ぺいされた。政府の新たな「社会信用」システムは国の計画への従順度に基づいて特権を与えるというもので全体主義国家そのものだ。少数民族ウイグル族の再教育と強制労働、香港の自治を約束した宣言への違反は、共産党がどれだけ国民を恐れているか、いかに外国からの批判を気にしていないかを物語っている。

 世界に対する脅威は、この共産主義と国家主義の融合が今後どれだけ強まっていくかによるが、良からぬ兆しはすでに表れている。国境地帯でのインドとの衝突、南シナ海の島々の奪取、貧困国に債務を負わせる「一帯一路」構想、米国の知的財産や機密を盗むサイバー攻撃がそうだ。最も厄介なのは、中国共産党が検閲を自由社会にも輸出しようとしていることだ。新型コロナウイルスの起源を解明するための独立調査を求めるオーストラリアに対し、共産党が仕掛けた経済戦争や台湾と香港の問題に口を挟もうとする外国に対して経済制裁を辞さない構えを見せていることが一例だ。

 共産党にとってのリスクは、こうした一切が国際的な反発を招いていることだ。欧米の大国は通信ネットワークから華為技術(ファーウェイ)を締め出した。好戦的な中国にどう対処するかは、先進7カ国(G7)首脳会議の中心議題だった。中国で事業を行うことのリスクについて欧米企業は懸念を強めている。そして米国では現在、中国共産党が地域的、そしておそらくは世界的な支配を目指しているとの見方で党派を問わず一致している。

 上記のように社説はまず、中国国民と共産党とを分けて、毛沢東から鄧小平の時代を経て共産党が支配を確立する凄惨な過去に触れる。そのうえで共産党が民主的な正統性のないまま、国家主義と経済的繁栄をもって権力を確立しているとし、監視国家のツールを用いた反対意見の弾圧や全体主義国家そのものといえる「社会信用」システム、香港や新疆自治区での人権抑圧などを挙げる。さらに、この共産主義と国家主義の融合が世界に対する脅威にもなるとし、中印国境での衝突、南シナ海の島々の奪取、貧困国に債務を負わせる「一帯一路」構想、米国の知的財産や機密を盗むサイバー攻撃、そして検閲を自由社会にも輸出しようとしていると指摘する。ただし、こうした一切が国際的な反発を招いており、共産党にとってのリスクになっていると警告し、特に米国では中国共産党が地域的、世界的な支配を目指しているとの見方で党派を問わず一致していると強調する。

 以上、幾つかの論調をみてきたが、メディアはまず、中国指導部に対して経済の成功は自由市場の改革とそれを補強する政治的チェック・アンド・バランスのおかげであることに思いを致すべきであり、そうした中国の台頭に果たした西側諸国の役割を認めるべきだと主張する。米欧諸国に対しては、最も賢明なアプローチは経済への限定的関与と共産党による影響力キャンペーンに対する抵抗、そして現実的な戦略の準備などを織り交ぜた政策だと提言する。また中国国民と共産党とは別物だとして、共産党は民主的な正統性のない政権であり、国家主義と経済的繁栄で政権を維持していると指摘。結党100年を経て今なお、国民を信用して真実を伝えられず、代表者を選ぶ権利も与えられないと批判する。世界に対する脅威として、中印国境や南シナ海での紛争、強権的な「一帯一路」構想、米国の知的財産や機密を盗むサイバー攻撃などを挙げ、検閲を自由社会にも輸出しようとしていると指摘。そうしたことが国際的な反発を招き、共産党にとってのリスクとなっていると警告する。そのうえで、中国共産党は最終的に成果だけでなく、その犯罪行為によっても判断されて然るべきだと主張する。いずれも100年の歴史に対する批判と今後の100年に対する懸念に満ちた論評といえよう。


台 湾

☆ 米国と貿易投資協定交渉を開始

 台湾政府は、長く見送られていた対米貿易投資協定の締結交渉を開始したと6月30日付米タイムがブルームバーグ報道として伝える。記事によれば、米台両政府は同協定に関して定期的な会合を持つことに合意した。内容は、5年前の貿易投資枠組み協定(TIFA)での話し合いを引き継ぎ、テクノロジー供給から牛肉輸入までと幅広い。幾つかの作業部会を設置し、労働権や知的財産権なども話し合うと米通商代表部は台北で開かれた会合後の声明で伝える。

 台湾の鄧振中(ジョン・デン)首席貿易交渉官は、この会合は最終的に米国との完全な貿易協定に署名するための重要な一歩だと述べ、「今後、多くの対話が行われるだろう」と語る。2国間貿易協定は蔡英文総統にとって大きな成果となろう。台湾の対米輸出の多くはすでに関税なしであるが、米政府との合意は、中国からの反発を警戒しつつも、台湾との関係強化を望む国々が同様の取引を結ぶことについて政治的な口実を与えることになるかもしれない。
 米国務省の元台湾政策局長のクリスチャン・カストロ氏によると、バイデン米大統領の任期の早い段階で、こうした会合が開かれたのは、過去5年間に米中関係と両岸関係がどこまで変化したかを示す重要な指標になるという。「前回のTIFA協議が2016年に開催された際、米国の対台湾政策の根底にはなお先天的な警戒感が漂っていたが、流れは明らかに変わった。TIFA再開は、バイデン・チームが前政権下で始まった路線に沿って、米台関係を引き続き可能な限り強化し、そうした関係にできる限り実質的な重みを与える必要性を明らかに認めたのだ」と語る。

 台湾はニュージーランドとシンガポールとのみ貿易協定を結んでいる。これは中台両政府が一時的な雪解け関係にあった間に締結された。米国は1994年以降、2国間の貿易・投資問題を解決する方策として台湾と定期的に協議を行っていたが、ドナルド・トランプ前政権時代に停止されていた。その理由は、台湾が飼料添加物ラクトパミンを含む豚肉製品の輸入禁止解除を拒否したこと、米政府が対中貿易取引に注力しことにあると広く考えられている。在台米商工会議所の2021年白書によると、過去数年間、協議が開かれなかったために米食肉の輸入制限などの分野でも進展が見られなかったとされる。
 蔡総統は昨年、ラクトパミン豚肉の輸入制限を緩和したが、野党グループは政府が食品安全上の理由で禁止を再発動すべきかどうかについて国民投票を準備している。米国も6月30日の声明で、双方が米国の牛肉と豚肉生産者が直面している市場アクセス障壁を含む未解決の貿易問題について「関与を強化する」ことで合意したと述べている。カストロ元局長は、国民投票は将来の貿易協議の潜在的な障害であると述べ、「この問題は、過去に民主、共和両政権の下で米台貿易協議を脱線させた」と語る。「この分野における蔡英文総統の政策イニシアチブは重要であり歓迎されるが、問題がしっかりと解決されなければ、より大きな2国間貿易協定に向けた大きな進展は想像しにくい」と指摘する。

 当局者は、双方が半導体の供給についてどのように協力するかについてほとんど詳細を提供していない。台湾の半導体メーカーは今月初、アリゾナ州での新工場建設が「順調に進行中」だと述べている。同社は、今後100年間で120億ドルの投資を約束している。台湾の対米投資は、トランプ政権が中国の対米貿易黒字削減の一環として、中国製品に対して厳しい輸入関税を課して以来、大幅に増加している。この増加は、過去10年間における台湾の対中投資の着実な減速と一致している。台湾の鄧首席貿易交渉官は、「以前は、米国は我々に要求するだけだったが、本日の会議での最大の違いは、双方がより協力的な精神を持って取り組んでいることだ」と述べる。

 以上のように台湾は米バイデン政権の下で、長年の懸案だった貿易投資協定の締結に向けて交渉を再開した。その意義について記事は、バイデン新政権の台湾関係強化路線が改めて確認され、交渉が結実すれば、中国の反発を警戒しながらも台湾との関係強化を望む国々に政治的口実を与えると指摘する。同時に問題点として、台湾によるラクトパミン豚肉の輸入制限を挙げ、また目玉の一つである半導体供給の協力問題の詳細が不明であることを挙げる。ただし記事は、米台双方が協力的精神で交渉に臨んでいるとして成果に期待を示している。交渉の推移を見守りたい。


韓 国

☆ 文大統領、掉尾の一投

 任期が1年を切る文在寅大統領について、6月2日付米タイム誌は、最後の努力を北朝鮮政策に傾注しようとしていると報じる。記事は、すべてのリーダーにはその遺産に目を向ける時が来るものだが、1950年12月に両親が北朝鮮から韓国に逃れてきて、その2年後に生まれた文大統領にとっては、韓国の大統領に上りつめるはるか以前から、その遺産と目指すものが人生のあらゆる節々で導いてきたと指摘し、文氏の学生活動、人権派弁護士としての活動などの経歴を紹介する。

 次いで記事は、文大統領とバイデン米大統領との首脳会談に触れ、これは日本の菅義偉首相との会談後、バイデン氏にとって2回目の外国首脳との直接会談となり、アメリカが再び東アジア同盟に目を向けたことを物語ると指摘。これを受けて文大統領はインタビューで「南北対話、関与、協力への支持」が明白だったと述べてバイデン大統領への賛辞を惜しまなかったと伝える。「世界は米国の回帰を歓迎している」と文大統領は首脳会談後に語り、共同声明では「朝鮮民主主義人民共和国への対応で足並みがそろうよう調整することで合意した」とコメントする。また共同声明では、北朝鮮を朝鮮民主主義人民共和国の正式名称で言及し、「朝鮮半島の非核化」という北朝鮮にとって好ましい言い回しを用い、北朝鮮政府を喜ばせるよう細部に気を配ったのである。
 バイデン氏は前任者の外交政策決定の多くを元へ戻したが、将来の対話の基盤としてトランプ時代からのあいまいな合意を受け入れていた。さらに北朝鮮に関する特使として、ベテラン外交官で元駐韓大使の孫キムを任命した。6月13日、北朝鮮の国営メディアは朝鮮労働党の会合での最高指導者の言葉として「対話と対立の両方に備える」と伝えた。元米軍韓国司令官のヴィンセント・K・ブルックス将軍は、北朝鮮は「機会の窓」を探るかもしれないと述べ、「米国と韓国の両方に進歩的な政権があるのは、それほど頻繁には起こらないからだ」と語る。

 記事は、こうした状況のなか、文大統領が事態の打開に意気込む理由が増えていると述べ、次のように報じる。トランプ氏と金氏との短命なラブロマンスに続いて、米共和党が深刻な異議を唱える可能性が極めて低くなっていることを考えると、会談の障害も低くなり、政治的に安全になっている。またコロナ禍によって制裁の意義が後退しているのが明らかである。猛威を振るうウイルスに被害妄想を募らせる北朝鮮は、自ら世界から完全に遮断し、食糧援助さえ断っている。対外貿易は前年比80%急落し、その自傷的な被害はソ連崩壊以降、かつてなく深刻となっている。金委員長は経済発展の必要性について繰り返し語ってきたが、政権の安全保障が常に第一である。ソウルのシンクタンク世宗研究所のチョン・ソンチャン上級研究員は、「制裁だけで北朝鮮をひざまずかせるのは難しい」と指摘する。
 文大統領が言いたいのは、継続的な「非核化と制裁緩和のサイクル」が最終的には核弾頭やICBMのような北朝鮮の死命を制する資産を交渉のテーブルの上に持ち込むだろうということである。しかし、北朝鮮の公約違反の記録を考えると、米国に経済制裁を止めるよう説得するのは困難になろう。制裁緩和に直行する交渉は「間違いだ」とブルックス将軍は言う。北朝鮮は過去に5つの非核化協定に署名したが、すべてに違反している。米国家情報長官は、最新の年次脅威評価で金委員長はパキスタンと同様に「時間が経つにつれて、核保有国として国際的に受け入れられ、尊敬を得ると信じている」と述べた。

 上記のように報じた記事は、文大統領には他にもハードルがあるとして、バイデン政権の最近完了した北朝鮮政策見直しが「持久戦」と説明できるとの見方を伝える。ただしワシントンの一般的な認識は、バイデン氏は金委員長が対米交渉に応じようとしていないことに鑑み、北朝鮮交渉を再開する文大統領の努力を歓迎しているとみていると伝える。
 また記事は、多くの北朝鮮ウォッチャーは、文大統領が金委員長を執拗に擁護するのは妄想に満ちているとみていると報じる。文氏が2018年に演説した際の北朝鮮のマスゲームは強制児童労働によるものだったとして、人権団体から非難されたと伝える。記事は最後に「米政府の上層部には、文氏がやっていることは長期的には逆効果で有害だと考える人々がいる」、「この問題に対する真の解決策は見当たらない。30年以上もこんな感じできたのだ」という専門家のコメントを伝え、問題は、もはや彼自身の原理原則を犠牲にして和解を追求するかどうかではなく、何らかの成功の余地があるかどうかだと指摘。結局のところ、それが文氏の真の遺産となるかもしれない。つまり、同氏が解決できないならば、おそらく誰もできないという厳しい現状認識だと強調する。

 以上のように記事は、文大統領が最後の努力を北朝鮮政策に注ごうとしていると述べ、その背景として北朝鮮問題が同氏の人生の節々で重要な役割を果たしてきたことを説明し、そのため同大統領は様々な外交努力を重ねてきたと報じる。同大統領は、「非核化と制裁緩和のサイクル」が核弾頭やICBMのような北朝鮮の死命を制する問題を交渉のテーブルに乗せると主張しているが、これには様々な障害があり、最終的にはこの問題に対する真の解決策は見当たらないとの厳しい現状認識が、その遺産となるかもしれないと結論する。


北 朝 鮮

☆ 転換点にさしかかった新型コロナウイルスとの戦い

 7月1日付英ガーディアンは、「Kim Jong-un signal for help could mark a turning point in North Korea’s Covid fight (金正恩総書記、援助を求めるシグナルを発信、新型コロナウイルスとの戦いに転換点か)」と題する社説で、金正恩総書記が発した援助を求めるシグナルは、新型コロナウイルスと戦う北朝鮮にとって転換点となるかもしれないと概略次のように論じる。

 北朝鮮の国営メディアは新型コロナウイルス感染例の発生を報じていないが、一部のアナリストは、ウイルスが同国の防衛網を突破したために、金正恩総書記は遠回しではあるが外部に援助を求めざるを得なくなったのではないかと予想している。その見方が正しければ、北朝鮮のコロナウイルス対策が重要な転換点を迎えていることになると思われる。北朝鮮は「国家の存亡」を賭けた戦いとして、国境を越える交通と貿易を厳しく制限し、国際的な往来を禁止。外交官や援助活動家を母国に送り返していた。ただし世界保健機関(WHO)に対しては、3万人以上を検査したが、コロナウイルス感染は1件も発見されなかったと報告していた。米国と韓国などは、こうした北朝鮮の報告に疑問を抱いていた。 

 こうしたなか、金総書記は6月29日に開催された政治局会議で明らかに怒りを示しながら、パンデミック対策の「失敗」と感染防止努力の「甚大な危機」に言及したのである。国営朝鮮中央通信(KCNA)によると、金総書記は「長期にわたる国家緊急流行防止キャンペーンによって要求されていた党の重要な決定」を無視したとして高官を非難し、解雇した。与党の政治局の会合でこの怠慢によって「国家と国民の安全を確保する上で大きな危機と重大な結果を生み出した」と語ったが、何が起きたのかの詳細は明らかにしなかった。
 一部のアナリストは、金委員長の怒りは、公衆衛生上の危機に対処するための医療インフラが整っていない北朝鮮でウイルスが蔓延したことを認めたのも同然と解釈している。ソウルの韓国統一研究所のシニアアナリストのホン・ミン氏は「北朝鮮が感染を認める可能性はない」と述べ、大量感染があったとしても北朝鮮は間違いなくそのような動きを明らかにせず、引き続き感染防止キャンペーンを推進するだろうと語る。「しかし、何か重要なことが起こったことも明らかで、大量感染や多くの人々が感染の直接的な危険にさらされた何らかの状況を意味する可能性がある」と補足する。
 またソウル牙山政策研究所のアナリストのデュ・ヒョン・チャ氏は、北朝鮮が国境の町や農村部を越えて首都平壌を含む都市に広がった巨大なコロナウイルスの流行に対処している可能性があると考えているが、他の専門家は北朝鮮が感染拡大と戦っているという決定的な兆候はまだないと述べる。梨花大学で北朝鮮を研究するパク・ウォンゴン教授は、全国の党当局者が出席した今週の政治局会議が大規模感染の中で開催されたとは考えにくいと語る。さらに、新型コロナウイルス症例が大幅に増加していれば、政権は直ちに感染拡大地域を封鎖する行動を起こさざるを得ないはずだが、北朝鮮を監視するグループ、北朝鮮保健福祉研究センターの責任者アン・キュンス氏によると、その証拠は見られないという。

 他方、北朝鮮政権が感染拡大を公に認める可能性は低いことを考えると、金総書記の叱責は外からの援助を間接的に訴えたものだとみる者もいる。今月、北朝鮮政府は中国との貿易の急激な落ち込み、自然災害、核兵器計画を標的とした国際的な制裁によって引き起こされる深刻な食糧危機に取り組んでいることを認めた。4月には、金総書記は国民に「史上最悪の事態」に備えするよう警告した。金総書記の目に見える減量は、食糧不足の中での公務への献身を示し、支持のテコ入れを図る試みだとさえ推測されている。北朝鮮の最大の貿易相手国にして援助国である中国は、ワクチンの提供を含め、北朝鮮を支援する用意ができていると思われる。今週、中国外務省の汪文斌報道官は記者団に対し、「中国と北朝鮮との間には、困難に遭遇した際に互いに助け合う長い伝統がある。必要に応じて、中国は積極的に支援を検討する」と語った。

 以上のように記事は、金総書記が明らかに怒りを示しながら、パンデミック対策の「失敗」と感染防止努力の「甚大な危機」に言及したことに関連して2つの見方を示す。1つは、新型コロナウイルスの感染爆発、もう1つは、深刻な食糧危機に鑑み、特に中国に対して遠回しに援助を呼びかけたという見方である。ただし記事は、第1の見方については、金総書記が発言したという政治局会議が大規模感染の中で開催されたとは考えにくいことや、感染地域の閉鎖という事態も探知されていないことなどを挙げて、否定的な見解を示し、むしろ最大の支援国である中国へ遠回しに援助を求めたとの解釈に傾いている。
 他方、記事は触れていないが、その後の動きとして
核・ミサイル開発を主導した李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党書記が政治局常務委員から降格したとのニュースが流れ、金総書記の「重大事件」発言と関連した人事ではないかと報じられている。そうであれば、第3の見方として、重大事件とは核・ミサイル開発と関連している可能性があるといえるかもしれない。いずれにせよ、いま暫く時間をおいて観察していく必要があると思われる。


東南アジアほか


マレーシア

☆ 政治に介入する王室

 7月3日付英エコノミスト誌は、マレーシアの民主主義が王室という思わぬ筋から助けを得ていると次のように報じる。
 マレーシアの議会が最後に召集されたのは昨年12月で、ムヒディン・ヤシン首相は最少の多数派を率いて予算を成立させた。今年1月以来、新型コロナウイルスと戦うための緊急事態を格好な口実として、ムヒディン首相は議会を閉鎖してきた。多くの議員が年老いており、ウイルスに対して脆弱であるというのが表向きの理由である。実態は、不安定な連立政権が議会の審議に耐えられない可能性にある。年初以来、複数の離反者が出たためにムヒディン首相は、その多数派の動向がオーストリアの物理学者E.シュレーディンガーの唱える蓋を開けるまで存続の可否が決まらないという事態に直面することになった。同首相が議会の再招集日について明確な日取りを示さず、「9月とか10月」という曖昧な期限だけを提示しているのも不思議ではない。しかし、6月16日に国王スルタン・アブドゥッラーは政府に対し「できるだけ早く」議会を開くよう強く求めた。これとは別に、輪番に国王につく9人のスルタンのうち8人が、緊急事態の延長に反対する声明を発表した。いくつかの州も8月に議会を召集する予定としている。
 こうした国王による介入は、マレーシアでは稀なことだった。しかし、ムヒディン政権が絶えず政争状態にあり、野党も政権打倒を求めて果てしない抗争を続けており、加えてコロナ危機の悪化もあり、国王は政界における存在感を高めている。要すれば、2020年初めにムヒディン氏を首相に任命し、1月に非常事態宣言に合意したのは国王だった。事実上、国王は首相に対して自分と行動を共にしたほうがいいと発信しているのである。ただし政府がパンデミックの抑え込みに失敗したことで、世論は君主制に対しても反発を深めているとサンウェイ大学の政治学者ウォン・チン・フアット氏は指摘する。
 ムヒディン氏としては、そうした国王の意志を厳格に実行している。議会の再開に向けて委員会を組成している。他方、司法長官は議会がいつ会合するかを決定できるのは内閣だけだと述べている。6月29日、国王は両院のトップを召喚し、「3権分立のメカニズム」が機能するために「できるだけ早期に議会を再開すべきだ」と伝えた。両人は翌日、ムヒディン首相が重度の病で入院したとしても緊急事態が満了する8月1日前に再開することを提案した。
議会が最終的に何時再開されるとしても政権が倒れる可能性は低い。不信任の動議は議長が受け入れなければならず、また政府は業務より投票を優先させることに同意しなければならないとされるが、どちらも起こりそうもない。国民も感染症や経済的打撃に苦しむ中で政治的混乱が増すのを好まないだろう。このため野党は、ムヒディン氏のパンデミック対策と監視体制に疑問を提起する可能性が高い。
 王室による介入はすでに結果を生み出しているといえる。6月28日、ムヒディン首相は政府の経済対策が不十分だとの批判が高まるなか、中小企業や社会的弱者を対象とする360億ドルの景気刺激策を発表した。ワクチン接種率もここ数週間着実に上昇している。ムヒディン氏がさらに数ヶ月間政権にしがみつくことができれば、接種を受ける人が増え、経済が再開され、同氏は国民から好評を得る可能性が高い。地元の世論調査機関のメルデカ・センターによると、4月末までの同氏支持率は依然として健全な67%で1月の63%から上昇している。

 以上のように記事は、マレーシア政局において国王の存在感が高まっており、その国王は議会重視の姿勢を打ち出し、民主主義擁護の姿勢を鮮明にしていると伝える。弱小な多数派を率いるムヒディン首相も、そうした国王の意に沿って大型景気対策やワクチン接種の促進などの政策を打ち出し、高い支持率を維持していると報じる。マレーシアが立憲君主制の下で政局の安定を保っている面があることに注目したい。


インド

☆ コロナ禍が試すクアッドの結束

 6月15日付フィナンシャル・タイムズは「India’s Covid calamity exposes weakest link in US-led ‘Quad’ alliance (インドのコロナ禍、米主導「クワッド」同盟の弱点を暴露)」と題する記事で、インド政府のコロナ対策が中国に抵抗する日米豪連合を損なっていると次のように論じる。
 インドの壊滅的な新型コロナウイルス(Covid-19)波は、「世界の薬局」になるというインドの野心を打ち砕いただけでなく、インド太平洋地域における中国の影響力に対抗する上でインド政府が主導的な役割を果たすという米国の計画を損なった。バイデン米大統領は、中国の経済・軍事的侵略に抵抗するための戦略の不可欠な一部として、米印日豪からなる外交・安全保障イニシアチブである「クワッド」を再活性化しようと考えている。
 しかし、インドのコロナウイルス危機とその後のワクチン輸出禁止によって、クワッドが単なる反中軍事同盟ではなく、地域に実用的な援助を提供できる組織であることを証明する最初の試みに影を落とした。むしろインドの失敗は、中国につけいる隙を生み出したのである。ニューデリーにある社会経済進歩センターのコンスタンティーノ・ザビエル氏は「パンデミックは現にある阻害要因で回避する方法はなく、インドという国家の構造的欠陥を赤裸々に暴いた」と語る。ロンドン大学ソアス南アジア研究所のアヴィナッシュ・パリワル氏は、この危機は「インドの台頭する大国という考え方とその期待に応える能力との間の差異」を露呈したと述べ、中国の台頭ぶりは、これらの国々の視点でみるとはるかに力強い。国内を整然と保てないようでは、正当性を確保できないと指摘する。

 米政府は、日米豪からの財政的および後方支援を受けて、インドが東南アジア向けのワクチンを生産することを意図したクワッド・ワクチン・イニシアチブを先導していた。この計画は、インド製のワクチンで「人類を守る準備ができている」というナレンドラ・モディ首相の主張を受けて、3月の米印サミットで発表され、インド政府も歓迎していた。社会経済進歩センターのC・ザビエルは、「インドはイメージが先行しており、世界は台頭する大国としてのインドの力の限界を認識してきている」と述べ、インド国民でさえ、自分の能力を読み間違えている」と付け加える。
 しかし3か月後、信頼できるワクチン供給者にして中国への地域的防壁としてのインドの国際的な地位は、モディ政権が自国民のための十分なワクチン確保に失敗し、多大な犠牲者をだしたことで完全に崩れていく。感染者の急増とワクチン接種を求める悲鳴に直面した政府は、民間所有のインド血清研究所による商業ワクチンの輸出を事実上禁止した。このためインドが中国と影響力を争っている隣国のネパール、バングラデシュ、ブータン、スリランカはワクチンなしの状態に取り残され、開発途上国にワクチンを届けるために設立された世界保健機関(WHO)の支援を受けたコバックス(COVAX)スキームも大きな打撃を受けた。上述のザビエルは、すでに用量を支払っていた近隣諸国へのワクチン供給停止は「明らかにインドの評判と信頼性に影響を与えている」と述べ、中国政府が迅速に補充に動く間隙を生み出したと語る。

 ただし米政府は、クワッドが2022年末までにアジアに10億のワクチンを提供するという目標達成のために「必要な措置」が講じられていると主張している。ホワイトハウスのアジア担当高官カート・キャンベル氏は、「民間と政府の双方のパートナーと話し合い、幸いまだツキに見放されてはおらず、事態は2022年に向けてまだ順調に進んでいるようだ」と述べた。キャンベルは、米政府はまだクアッドを「21世紀に深甚な影響力を及ぼす」と見なし、今年中に対人サミットと新しいインフライニシアチブを開催するだろうと語る。とはいえ当面は、インドのコロナによる苦境は、テクノロジーサプライチェーンやサイバー政策など、共通の問題に取り組む同盟の能力を圧迫するだろう。

 ジョージタウン大学のエヴァン・メデイロス氏は、「クワッドパートナーの間では、インドは常に最大の課題になるだろう」と述べる。しかし中国国境沿いでの衝突でインド兵21人が死亡したことで、インド政府のクワッドへのコミットメントはきわめて強固である。「インドは中国に挑戦するために血を流す意志を示している。機能不全など様々な問題があるとしても、これは非常に強力な信号だ」とパリワル氏は指摘する。しかし、インドの地域大国としての可能性には疑問が残っている。「インドは約束を果たすことができるのか。これは誰もが抱く質問だ」とテリスは指摘する。

 以上みてきたように記事は、インドの深刻なコロナ危機とそれに伴うワクチン輸出禁止措置によって、クワッドが単なる反中軍事同盟ではなく、コロナ対策で地域に実用的な援助を提供できる組織であることを証明する米政府の試みが大きく損なわれていると報じる。これには米政府が日米豪からの財政および後方支援を受けて、インドが東南アジア向けのワクチンを供給するクワッド・ワクチン・イニシアチブを先導していたことが背景にある。ただし事態は2022年に向けてまだ順調に進んでいるとの米高官の発言もあり、今暫く推移を見守り必要がありそうである。

         § § § § § § § § § § 

主要紙の社説・論説から

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京五輪)の開催が目前に迫っている。欧米メディアも開催の是非や問題点について活発な論議を展開してきた。以下に、そうした報道や論調を要約して紹介する。

 4月12日付英ガーディアンは、延期された東京五輪はトンネルの終わりにある明るさを象徴し、それは人類のコロナに対する勝利の祝典とされてきたが、その見方は今や楽観的でないだけでなく、全くの間違いとなったと論じる。社説は、五輪をめぐる懸念は通常の懸念を超える次元のものだと警告し、感染力の強い変異株の登場や日本でのワクチン計画の遅れ、さらにブラジルやインドにおける急激な感染拡大などを挙げ、そうした中で数万人のアスリートと大会関係者、メディア関係者らが日本を訪問すると指摘する。

 ただし五輪中止はアスリート、ファン、日本、IOCなどに大きな影響を与えるとし、生涯に一度となるかもしれない五輪での競技や勝利の機会を失うアスリートにとって衝撃的であり、世界中のファンを落胆させ、とりわけ日本は、2022年冬季オリンピックを開催する中国にパンデミック後、世界初となる主要なスポーツイベントの名誉を譲りたくないだろうと述べる。そして、ウイグル人に対する人権侵害に抗議して
北京五輪のボイコット論が高まるなか、IOCは東京が確実に先行することを切望するだろうと補足する。

 次いで、五輪運営では数十億ドルの資金がリスクにさらされていることが問題視されているが、人命が失われる可能性があることの方が大きな問題だと述べ、日本とIOCは五輪開催が本当に正当化されるかどうかを自問すべきだと主張。大会の中止は失望と財政的損失につながるとはいえ、これらの要因は、東京五輪がパンデミックを悪化させると考えられる、あらゆるリスクと慎重に吟味されなければならないと強調する。

 5月28日付ウォール・ストリート・ジャーナルは、4月の日米首脳会談後の共同声明でバイデン大統領は、今夏に安心で安全な五輪とパラリンピックを開催するための菅首相の取り組みを支持すると宣言していたと指摘し、米国は東京五輪の支援に動くべきだと主張。5月24日、米国務省が米国人の日本への渡航に関し、日本での新型コロナ感染状況を理由に出した「中止勧告」の撤回とワクチンの供給と配布についての緊急支援の2つを提案する。そのうえで、こうした日本政府への支援は米国自体の利益にもなると述べ、中国が来年の北京冬季五輪を主催することに言及、独裁主義諸国は自国の政治モデルを顕示する場として五輪を利用するとし、東京五輪が失敗すれば、中国政府にとってプロパガンダ上の大勝利となるだろうと指摘する。

 さらに6月1日付ウォール・ストリート・ジャーナルは、東京五輪では、日本はどう対処しても失うものが多いと次のように論じる。日本人の大半はワクチン接種を受けていない状態で五輪開幕を迎えるとみられ、国民の間で特にインドで最初に発見された強力な変異株に対して懸念が高まっており、日本経済新聞の調査によると、国民の6割以上が予定通りの五輪開催に反対している。野党・立憲民主党からも、これまでの政府の説明ではどうやって五輪を安全に開催できるのか分からないと批判されており、菅首相は記者会見で選手と関係者が外部との接触を断つ「バブル方式」などの措置を適用することで感染拡大を防ぐと語っている。

 他方、日本は既に海外からの観客の入国を禁じ、他国の五輪関係者の入国を制限したことから、10億ドル(約1100億円)以上の収入を失っている。また日本政府と企業は既に、8カ所の新会場建設に伴う30億ドルを含め、五輪に100億ドル以上の資金をつぎ込んでいる。コロナ禍で開催が1年延期されたことで、追加の準備や感染防止対策などにかかる費用の総額は10億ドル近くに上る。野村総合研究所のエコノミストは、五輪を中止にした場合の経済損失は1兆8000億円を超えると予想している。選択肢の一つとして、会場の観客入場者数を収容能力の半分に制限する案があり、このケースでは、観客がゼロの場合に失われる約2000億円の観客支出のうち、野村総研によれば734億円前後を回収可能とみられている。

 大会の中止は、全ての売上高が失われることを意味する。10億ドル近いチケット収入、五輪開催の興奮の中で生じるテレビ購入を含む関連商品への日本人の支出などだ。警備などの関連サービスに従事する企業との契約がもたらす経済刺激効果も失われる。大会組織関係者らは、五輪開催で日本を訪れた観光客がその後の数十年にわたり再び日本を訪れようとする、いわゆる「五輪のレガシー(遺産)効果」に期待していた。経済学者は、このレガシー効果を逃すことで失われる収入は10年間で100億ドルに達する可能性があると指摘している。
 ただし大会中止による損失は、最も深刻な予想でも国内総生産(GDP)の0.5%未満とされる。このため最も懸念すべき五輪シナリオはパンデミックの勢いが再び増すことだとエコノミストらが指摘する。感染が拡大すれば、日本は再び緊急事態に追い込まれ、多くの企業が営業時間を制限したり、休業したりすることになりかねない。

 6月16日付フィナンシャル・タイムズは、東京五輪が無観客で開催されるとなれば、約8億ドルの公的支援が必要になろうと報じる。最近の予算で主催者は依然として満席の観客を前提にしており、チケット販売で調達した数十億円を払い戻すには、納税者からの補助金が唯一の道であるという。記事によれば、観客が完全または部分的に禁止される場合、遅延した五輪の開催
費用の引き受けに合意している東京都にチケットを払い戻す義務が発生する。組織委員会が計上した今年の予算収入6680億円のうち、900億円はチケット販売によるものと考えられており、これは大会の商業収入の約半分を占めるとされ、残りは公的資金(public funding)からきている。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が先週発表した貸借対照表によると、前受金(advance payments received)として負債項目に1183億円を計上している。そのほとんどは、約2年前に現金払いをした日本の一般市民からのチケット収入である。

 医師や公衆衛生専門家は観客なしでの開催を助言し、大会における「お祭りムード」を避けるよう強く求めているが、主催者やスポンサーは投資収益率を得るために少なくとも一部のファンを維持しようと必死である。特にスポンサーは、大会やその他のマーケティングイベントでチケットを配っているため有観客での開催を切望している。マーケティング関係者は、スポンサーのほとんどは、すでにチケットキャンペーンから多くの利益を得ており、これらのチケットが取り消されると多数の抗議が押し寄せるだろうと語る。

 6月19日付エコノミスト誌は、スポンサーにとって金儲け話だった五輪が今は厄介話となっていると伝える。東京五輪は新型コロナウイルスの感染拡大やワクチン接種(vaccinations)の遅れのために五輪に観客を入場させるかどうかの問題や、あるいはそもそも五輪を開催するのかということすらはっきりしていない状態にあると報じる。記事によれば、このため最高の状態で五輪を迎えたいと願うアスリートや五輪の財政的な支援者である企業のスポンサーたちの神経を苛立たせている。支援を止めた企業はないが、一部はさらなる延長を非公式に求めている。国としてのブランドを磨き上げる絶好の機会になるはずだった東京五輪は、国の評価が問われる地雷源に変わった。

 東京五輪については、主催者は1964年の五輪が日本の戦後復興を演出したように、今回は国内スポンサーのために日本が何十年もの経済停滞から復活したことを祝う機会として宣伝したとのスポーツエコノミストの言を紹介する。そして東京都は、過去のオリンピック記録を2倍上回る47の主に国内の「パートナー」から30億ドル以上、IOCの14の「トップ」グローバル企業のスポンサーから約5億ドルを調達したと報じる。
 ただしスポンサー企業は常にリスクを抱えていると述べ、今回のリスクとして、五輪の直前のキャンセルまたはコロナウイルスの感染急拡大を挙げ、日本の一部でなお緊急事態が続き、かつ人口の半数以上が五輪開催に反対していると指摘する。こうしたなか、国内スポンサーはこの夏にもコロナ災害を恐れてさらに大きな金額を投じ、ワクチン接種を終えた人々が増え、国民の不安も和らいでいるかもしれない10月に五輪を再延期しようとしていると報じる。また一部のスポンサーはコンサルタントを雇い、撤退した場合のブランドに与える影響を検討している。無観客の場合には、会場や企業のおもてなしでの販促キャンペーンはあり得なく、商品の売り上げは低迷し、東京五輪ブランド品は山積みとなりほこりにまみれるだろう。広告に関してもスポンサーはメッセージがどうあるべきか、オリンピックとのつながりを誇示すべきかどうか迷っていると伝える。

 6月21日付ニューヨーク・タイムズは、東京五輪が取り消されない理由は数字を見ればわかると述べ、開催に費やされた数十億ドル(数千億円)の金額、数年間にわたる準備作業、そして待ちきれない数千人のアスリートなどの数字を列挙、一例として新国立競技場の建設費用として154億ドルが投資されていることを挙げる。ただし五輪中止は、お金の損失に加えて、日本として計り知れないくらい評価を落とすことになると指摘。五輪は世界的な超大国がそのライフスタイルを紹介する行事であり、建設費が回収されるかどうかではなく、国のブランドが上がるかどうかの問題だとの日本居住の投資アドバイザーのコメントを紹介する。
 記事はまた東京五輪が開催されない場合、大会を組織し運営するIOCは、東京五輪に関連するテレビ放映権の収入金額40億ドルを払い戻さなければならない可能性があると報じる。この金額はIOC
の収入の73%を占めているが、五輪に関連するスポンサー企業(Sponsorships)はさらに数億ドルを占めており、五輪取り消しは、それらの企業もスポンサー料の払い戻しを求めてくるだろうと述べる。さらに記事は、この他の金額として米放送局NBCユニバーサル(NBC Universal)の12億5000万ドルに達する国内広告料(national advertising)やIOCが各国オリンピック委員会に配分する5億4900万ドルの「連帯支援金」“solidarity”)その他の支払額などに言及、特に支援金について、カリブ海諸国から英国など大小様々な国のオリンピック委員会がこれを当てにしていると解説する。

 次いで記事は、東京五輪に出場する選手について、五輪の延期によって出場選手も1年間にわたり生活がストップし、余分にトレーニングすることになったと述べ、その数は約1万1100人のオリンピック選手と約4400人のパラリンピック選手の総勢1万5500人で200以上の国を代表して出場する。そのなかには結婚や大学入学、さらには出産の予定を遅らせた者もいる。したがって多くのアスリートが待ちに待った五輪開催に意欲を燃やしているとし、夢を追いかけるために全生活を賭けてきたオリンピック選手(Olympians)にとって、五輪はすべてだと伝える。五輪はスポンサーを得る機会やメダル獲得によるボーナス収入、大会後のキャリアへの門戸を開放する可能性があり、多くの選手にとって世界中の観客を前にして力を披露する貴重な機会でもあると述べる。

 記事は最後に、菅義偉首相の世論調査支持率37%を挙げ、同氏は、政治的運命(political fortunes)が今回の五輪と余りにも強く結び付ているために中止できないと懸念しているようだと述べ、「五輪を取り消せば、政治的には、彼は死んでいた」と東京のテンプル大学アジア研究員の言を伝え、9月に国政選挙が迫るなか、菅首相は五輪を潜在的な生命線(lifeline)と見なしていると思われると指摘する。ただし記事は、菅と政権にとって五輪を安全に成功させることは大きな政治的成果になるが、問題は公衆衛生上の災害(public health disaster)リスクであり、国民の生命を奪い、日本経済に打撃を与え、菅首相の個人的な政治的評判を傷つけるよりもはるかに深刻な損害を与えると警告する。

結び:以上みてきたようにメディアは、新型コロナウイルスが世界各地で猛威を振るい感染力の強い変異株が登場するなか、東京五輪の開催について深く懸念し、問題を提起している。同時に五輪の中止は、アスリートは無論のこと、スポンサー企業を含む大会関係者、世界中のファン、22年冬期五輪へのボイコット話が高まるなか、東京が確実に先行することを切望するIOC、さらに五輪運営にからむ巨額の資金の存在など多方面に多様な影響を与える。
 アスリートについては、その数が約1万1100人のオリンピック選手と約4400人のパラリンピック選手の総勢1万5500人にも達し、200以上の国を代表して出場する。なかには結婚や大学入学、さらには出産の予定を遅らせた者もいる。彼らは五輪出場の夢を追って全生活を賭け、五輪がすべてだとメディアは伝える。

 主催者やスポンサーについては、東京都は、東京五輪を国内スポンサー企業のために日本が何十年もの経済停滞から復活したことを祝う機会としてとらえ、過去のオリンピック記録を2倍上回る47の国内パートナーから30億ドル以上、IOCの14の「トップ」グローバル企業から約5億ドルを獲得したと報じられている。こうした企業らが投資収益を得るために少なくとも一部のファンを維持しようと必死になっていることは理解できる。その意味で、スポンサーにとって金儲け話だった五輪が今は、五輪の直前キャンセルやコロナウイルスの感染急拡大というリスクを抱えて、厄介話となっているといえよう。こうしたスポンサー企業が、ワクチン接種の進行で国民の不安も和らいでいるかもしれない10月に五輪を再延期しようとしていると報じられているのも留意しておく必要があろう。
 資金の問題についてメディアは、東京五輪が無観客で開催されるとなれば、東京都や組織委員会などの主催者はチケット販売で調達した1000億円有余を払い戻す必要があり、それには約8億ドル(約900憶円)の公的支援が必要になると述べ、また五輪中止の場合の経済損失は1兆8000億円を超えるとの見方を報じる。さらに五輪中止の費用はせいぜいGDPの0.5%であり、それに比べると五輪開催による感染拡大のコストの方が大きいと主張する。ただしメディアは、五輪中止はお金の損失に加えて、日本として計り知れないくらい評価を落とすことになるとし、国のブランドが上がるかどうかの問題だとも指摘する。
 この他にも、IOCは東京五輪に関連するテレビ放映権の収入金額40億ドルを払い戻さなければならない可能性があると報じる。この金額はIOC
の収入の73%を占めており、IOCとしてかなりの負担になると思われる。またIOCが各国オリンピック委員会に配分する5億4900万ドルの連帯支援金について、カリブ海諸国から英国など大小様々な国のオリンピック委員会がこれを頼りにしているという点も留意しておく必要があろう。

 もう一つ問題点として挙げられているのは、菅義偉首相の世論調査支持率である。メディアは支持率が37%と低迷しており、同氏は政治的命運が今回の五輪と余りにも強く結び付ているために中止できないと考え、五輪を潜在的な生命線と見なしていると思われると述べる。確かに菅政権にとって、五輪を安全に成功させることは大きな政治的成果になるが、問題は公衆衛生上のリスクであり、国民の生命や経済に与える打撃は、菅首相の個人的な政治的評判を傷つけるよりもはるかに深刻な問題である。その意味で、日本とIOCは五輪開催が本当に正当化されるかどうかを自問すべきだとの主張には謙虚に耳を傾けるべきだろう。

 以上を整理すると、五輪開催の是非をめぐる論議で5つの主要な論点がみえてくる。第1はアスリートの存在である。これまでの奮闘努力を考慮すれば、大会中止という結論には傾き難い。第2はIOCやスポンサー、開催都市の東京などの利害関係者である。中止となれば、いずれも巨額の費用負担の問題が生じる。第3は日本という国の名誉や評価の問題である。しかし、国民の生命保全という観点からみると、自ずと方向性がみえてこよう。第4は北京冬季五輪を来年主催する中国を視野に入れた地政学的視点である。メディアは、東京五輪が失敗すれば中国政府が得をすると報じる。第5は日本の政局である。同じくメディアは、菅首相は五輪開催を潜在的な政治生命線と見なしていると思われると指摘する。

 しかし、これらの論点を越えて結論は既に示されていると言えよう。ニューヨーク・タイムズが懸念しているように、東京五輪は、まかり間違うと新型コロナウイルスの感染爆発を引き起こし、その結果、世にも恐ろしい変異株ゴジラを生み出す可能性がある。海外メディアは、そうした危機感や恐怖感を示している。菅首相は、国民の生命を守るのは内閣の責任と幾度となく宣言し、バブル方式で開催中の感染防止に努めるとしているが詳細は必ずしも明確でない。しかし海外メディアは、日本のみならず、日本発の大変異株の発生を恐れている。日本政府と主催者の責任は、誠に重大と言わざるを得ない。
 こうした五輪反対の大合唱のなかで、ウォール・ストリート・ジャーナル社説が唯一、東京五輪が失敗すれば、北京冬季五輪を来年主催する中国政府にとってプロパガンダ上の大勝利となると指摘し、米政府に対して東京五輪の支援に動くべきだと主張しているのが注目される。これは唯一の東京五輪擁護論といえる。        

             § § § § § § § § § §  

(主要トピックス)

2021年
6月16日 東南アジア諸国連合(ASEAN)など18カ国、拡大国防相会議を
      オンラインで開催。岸信夫防衛相、中国参加の場で初めて
                 台湾海峡の平和と安定」の重要性を提起。
   17日 
香港警察、民主派香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の幹部を
                 
香港国家安全維持法の違反容疑で逮捕。
   18日 朝鮮労働党中央委員会総会。金正恩総書記、
              「堅忍不抜の闘志で現在の難局を必ず克服する」と宣言。
   20日 日本政府、
新型コロナウイルスへの緊急事態宣言を9都道府県で
                 
解除。東京や大阪など10都道府県は「まん延防止等重点措置」
                 
を適用へ。
   21日 米国のソン・キム北朝鮮担当特使、訪韓、日米韓3カ国による
                 高官協議を開催。
非核化交渉の再開に向けた連携を確認。
   24日 
中国共産党に批判的な香港紙、蘋果日報(アップル・デイリー)
                 廃刊へ。
      タイで反体制デモ、3カ月ぶり再開、国会前で改憲要求。
   28日 
マレーシア政府、現金給付や債務の返済猶予などからなる
                 
総額1500億リンギ(約4兆円)の追加経済対策を発表。
      29日 韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長、次期大統領選への
                  出馬を表明。
7月   1日 
中国共産党、創立100年式典。
                  習総書記、「台湾統一は歴史的任務」と演説。

   2日 
日本と太平洋地域の16カ国・2地域首脳、オンライン会議、開催。
                 
菅義偉首相、中国を念頭に各国に結束を促す。
   5日 中国の習国家主席、フランス、ドイツとのオンライン首脳協議で
                「覇権主義」と「強権政治」に反対を表明。米欧連携の切り崩しを
     図る外交攻勢を加速。
  7日 インドのモディ首相、第2次モディ政権で初めての内閣改造。
     新型コロナウイルスの拡大でバルダン保健・家族福祉相が辞任。
     8日 欧州議会、中国が人権状況の改善姿勢を示さない限り
                 22年北京冬季五輪への招待に応じないよう決議。
  9日 
中国人民銀行、預金準備率を0.5%引き下げ。
                 中小資金繰り支援のため。

                 タイ政府、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて
                 首都バンコクなどで行動制限を強化すると発表。
      ベトナム政府、最大都市ホーチミン市で9日から15日間、
                 不要不急の外出禁止措置を実施。
  11日 中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩総書記、中朝友好協力相互
                援助条約締結60周年を迎え、祝電を交換。両国関係の強化方針を確認。
 12日  日本政府、
新型コロナウイルスへの緊急事態宣言を東京都に再発動。
    15日 中国政府、21年第2四半期(4-6月)の実質国内総生産(GDP)成長率が
               前年同期比7.9%増となったと発表。

主要資料は以下の通りで、原則、電子版を使用しています。(カッコ内は邦文名) THE WALL STREET JOURNAL (ウォール・ストリート・ジャーナル)、THE FINANCIAL TIMES (フィナンシャル・タイムズ)、THE NEWYORK TIMES (ニューヨーク・タイムズ)、THE LOS ANGELES TIMES (ロサンゼルス・タイムズ)、THE WASHINGTON POST (ワシントン・ポスト)、THE GUARDIAN (ガーディアン)、BLOOMBERG・BUSINESSWEEK (ブルームバーグ・ビジネスウイーク)、TIME (タイム)、THE ECONOMIST (エコノミスト)、REUTER (ロイター通信)など。なお、韓国聯合ニュースや中国人民日報の日本語版なども参考資料として参照し、各国統計数値など一部資料は本邦紙も利用。

 
前田 高昭
金融翻訳ジャーナリスト、社団法人 日本翻訳協会 会員、翻訳家。
訳書に『チャイナCEO』他。
『東アジアニュースレター』も配信中。
 

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