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東アジア・ニュースレター ― 海外メディアからみた東アジアと日本 ― 第111回

2020/03/23

東アジア・ニュースレター
――海外メディアからみた東アジアと日本――
第111回







前田 高昭 : 金融 翻訳 ジャーナリスト
           バベル翻訳大学院プロフェッサー 
 
 
 中国の湖北省武漢で発生した新型コロナウイルス肺炎が、世界で猛威を振るい始め、国際保健機関も世界的大流行(パンデミック)となったと認定した。新型コロナの感染の爆発的拡大に関して、主要メディアは中国の初期対応の遅れに原因があり、それは中国の統治体制の欠陥、とりわけ秘密主義と隠蔽体質のためだと一斉に批判する。

 台湾の最大野党、国民党党主席(党首)選挙改革派の若き新指導者、江啓臣(チアンチーチェン)氏(47)を選出した。同党は今年の総統選で与党の民進党に惨敗し、建て直しに奔走中であり、新主席の課題として対中政策の見直しと逼迫する党財政への対処が挙げられている。江氏の力量は未知数だが、従来の親中的政策を見直すことは間違いなく、反中路線を鮮明にする与党、民進党の政策と、どのように差別化を図っていくのかが注目されている。

 韓国では新型コロナウイルス感染者が急増し、文大統領が批判にさらされ、特に中国からの入国禁止措置を迅速に実行しなかったと非難されている。ただし急増は韓国の検査能力の高さ言論の自由、民主的な責任説明の原則という要因があり、文大統領も適切な対策を講じていると擁護する見方も示されている。3月14日現在の感染者数は計8086人で、前日から107人増と報じられている。

 北朝鮮の孤立が新型コロナウイルスに対するバッファーになるかもしれないとメディアが報じる。ただし流行が始まれば、医療体制が劣る北朝鮮にとって悲惨な結果になると懸念を表明、北朝鮮の生命線である中国との貿易断絶も問題だと指摘する。その一方で、治安態勢が万全な金体制の崩壊は考えられないとし、また新型コロナウイルスのために国際社会の関心が核計画から離れているとコメントする。

 東南アジア関係では、メディアは新型コロナウイルスが中国を中心に広く東南アジアに広がっていると述べ、保健体制が整備されている富裕国とそうでない国との間の対応の差を指摘、後者について検査体制の後れ中国に対する政治的、経済的配慮による対策の遅れに懸念を表明する。中国が中国人の入国禁止措置を打ち出した国に対していじめや脅しをかけていることも言及、国際的評価を落としている中国には、こうした行為は通用しなくなっていると批判する。

 インド米国の間で関税合戦が繰り返されるなか、トランプ米大統領がインドを初訪問した。米印貿易摩擦米中貿易戦争と同様の背景が指摘されており、解消は容易ではないとみられ、今回のトランプ訪印でも解決の端緒は見付けられなかった。ただしトランプ大統領は、訪印をインドとの安保関係の強化と米軍事装備品の対印輸出増に結びつけ、モディ首相も、米国との貿易摩擦の米中レベルまでの過熱回避に成功し、今回のトランプ訪印は両者にとって満足できる結果となったと言える。

主要紙社説・論説欄では、シリ-ズ「日本の今」、「2020年の日本」その3で、不況入り寸前の日本経済に関する報道や論調を観察した。

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北東アジア


中 国


☆ 習体制に挑戦状をつきつける王冠ビールス
 新型コロナウイルス肺炎について国際保健機構(WHO)は3月11日、ついにパンデミック(pandemic、世界的な大流行)になったと宣言した。これに先立ってWHOは、同病をCOVID-19と命名していた。以下に、このCOVID-19の世界的流行に関する主要メディアの報道や論調について順を追って観察する。

 1月27日付ウォール・ストリート・ジャーナルは社説「A Made-in-China Contagion (日本版記事:【社説】新型肺炎の拡大、中国統治機構の脆さ露呈)」で、今回の流行は中国のトップダウン型統治機構の脆弱性が浮き彫りになり、その打撃は中国本土からはるか遠くまで及んでいると述べ、重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した当時より中国の透明性は高まっているが、対応はまだ国際基準には達していないと指摘する。

 今回のウイルス拡散は、武漢市の華南海鮮卸売市場で11月か12月に始まったと考えているとの科学者の見方を紹介し、地元当局者は人から人への感染を示唆する証拠があったにもかかわらず、当初はウイルスの感染拡大リスクを過小評価していたと批判、中国の国家衛生健康委員会は、先週になってようやく、ウイルスが人から人へも感染し得ることを確認したと報じる。記事は、こうした対応の遅れが、医療スタッフの事前の防護対策不足を招き、ウイルスの急速な拡散の一因になったとし、中国での感染確認件数が1週間で10倍以上増えた理由の説明になるかもしれないと伝える。
そのうえで記事は、中国政府が対応に苦慮している要因として、公衆衛生システムの不完全さ、人口当たりの医師数がメキシコより約20%少なく、総合診療医の数は世界保健機関(WHO)の基準を70%下回っていることなどを挙げる。さらに、病院は余りに混雑し、農村部の人々は時代遅れの村のクリニックを頼りにしていることや防護服、フェースマスクなども不足していると実情を伝える。

 記事は最後に、新型肺炎の原因は野生動物市場を認めていたことにあるが、それは中国政府当局者が市場取引を禁止すると市民から怒りを買うことを懸念していたためだと指摘、そのために政府は現在、社会秩序および共産党指導部への信頼性に打撃を与えている伝染病との戦いに迫られたと批判する。しかも、新型ウイルスの感染が拡大すれば、中国はリセッション(景気後退)を引き起こす恐れのある厳しい封鎖措置の実施を余儀なくされるかもしれないと述べ、今日の世界において中国がくしゃみをすると、他の地域は風邪では済まないだろうと警告を発する。

 2月5日付ワイントン・ポストは「In combating coronavirus, slamming the door to China will hurt more than help (新型肺炎との戦い、中国に門戸を閉じるのは有害無益)」と題する社説で、中国の一部から世界中の人から人へと広がり始めている新型のコロナウイルスは、比較的大きなゲノムから成り、ウイルスの系統が王冠の形をした尖塔のように見えるところからコロナの名が冠され、一部の人は、光輪を輝かせて沈みかける太陽のように見えると言うが、そこには太陽の陽射しのような趣は全くなく、人間を傷つけ、その命を奪う呼吸器疾患を引き起こしており、適切な対応を検討するうえで、こうしたウイルスに対する理解は重要だと主張する。

 社説は、ウイルスから身を守る方法として、まず人体の持つ免疫システムを挙げ、感染者の隔離や手洗い、マスクその他の保護用品そして検疫を列挙、感染が始まった場合には、患者の治療と回復支援が重要だと述べ、物理的な隔離、感染を疑われる事例での迅速な検査と関係者の監視が不可欠な手段だと主張する。それには早期発見と情報共有が大事であり、このことはこれまでの感染症の流行において繰り返し確認されてきた教訓だと指摘する。

 今回の中国の対応について、中国は武漢その他の都市を強権的に閉鎖し、蔓延を物理的に封じ込めようとしたのは、国民と情報を共有しない秘密主義で偏執的な中国指導部にとっては、受け入れやすい有意義な目標だったかもしれないと述べ、新型コロナウイルスが概ね中国内に止まっていれば、こうした非常線を張る措置は有益だったかもしれないが、ウイルスには国境がなく、現在のインフルエンザと同様にグローバルな病原体になり得ると批判する。

 そのうえで社説は、とはいえ旅行や交易に物理的な制限を付す措置が問題を引き起こすと述べ、2014年のエボラ出血熱の教訓として、こうした制限措置は、すでに病原に苦しむ地域をさらに苦しめると主張、世界保健機構(WHO)の200年の国際保健規則は流行に対する早期の対策が最も重要であり、不必要な旅行や交易の制限は最小限度に止めるよう呼びかけていると指摘する。

 さらに社説は、空路の閉鎖や貿易の途絶を長引かせるのは、有益どころか有害だと主張、サプライチェーンはグローバル経済にとって不可欠であり、自動車、技術、この数週間、世界中でみられる外科用マスクですら中国からの供給が不可欠となっていると指摘する。そして万一、世界的な流行病となった新型コロナウイルスに対処するために、その際に必要となる巨大な現実的な需要に向けて恐怖から前進しなければならないと強調し、優先度の高い対策として、監視、診断、医療制度の能力向上、新たな療法を挙げる。

 こうした状況のなか、2月5日付ウォール・ストリート・ジャーナルが「China Is the Real Sick Man of Asia (日本版記事:【オピニオン】中国は「アジアの病人」)」と題する同紙コラムニスト、ウォルター・ラッセル・ミードの論文を発表、中国政府との間で摩擦を引き起こす。論文は副題で中国の金融市場は野生動物市場よりも危険かもしれないと述べ、概略次のように論じる。

 中国の容赦ない台頭を予期することに慣れていた世界は、同国のパワーを含め、当たり前に思われるものなど何もないことを改めて思い知らされた。危機に対する中国の初期対応は褒められたものではなかった。武漢市政府は事実を全て明らかにしようとせず、利己的だった。国家当局は精力的に対応したが、現在はあまり効果を上げていないように見える。現在までの成果は中国共産党への信認を国内外で揺るがしている。

 経済的な影響について、アナリストらは中国の1-3月期(第1四半期)経済成長率が一時的に急低下し、事態の沈静化とともに回復すると予想している。最も重要な長期的影響は、世界中の企業でサプライチェーンの「脱中国化」傾向が強まるとみられることだ。新たな貿易戦争のリスクに加えて、公衆衛生に対する継続的な懸念が生じているため、サプライチェーンの多様化が賢明な措置に見え始めている。

 中国の経済成長の低迷は短期に終わることが期待されているが、金融市場は動揺し、コモディティー価格は下落している。もし、流行やその後に起こり得る大規模な金融市場の崩壊によって、中国の経済成長が長期にわたり一段と減速した場合、どうなるのか。そのような展開は中国の政治的安定や他国に対する姿勢、世界の勢力均衡にどのような影響を及ぼすのか。中国の金融市場は長期的に見て、恐らく野生動物市場よりも危険だろう。国家主導の融資や地方当局者の地銀と共謀した数々の不正行為、膨張した不動産バブル、巨大な過剰生産能力――これらのコストが数十年にわたり積み上がっていることを踏まえれば、中国は国として大規模な経済調整が最も起こりやすい時期にさしかかっている。そうなった場合、中国の規制当局者や意思決定者にダメージを最小化する技術的能力や政治的権力があるのか全く分からない。それによって政界とつながる関係者の膨大な富が失われることになるとすれば、なおさらだ。

 中国の経済的メルトダウンは、同様の無情さで広範に波及することになる。コモディティー価格が世界中で落ち込み、サプライチェーンは崩壊。その連鎖反応から逃れられる金融機関はほとんどないかもしれない。中国やそれ以外の地域の回復は遅く、社会的・政治的に劇的な影響がもたらされる可能性がある。その結果、中国の地政学上の支配力が縮小すれば、世界にも驚くべき影響がもたらされるかもしれない。米国に唯一対抗し得る大国が勢力争いから手を引けば、一極支配の時代が復活すると予想する人もいるだろう。しかし、米国の政治では、関与よりも孤立が目立つようになる可能性がある。中国の脅威が薄れれば、多くの米国人は米国が世界への関与を減らしても安全性に問題はないとみなす公算が大きい。

 現在までのところ、21世紀はブラックスワン(マーケットにおいてほとんど事前に予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象)の時代になっている。米同時多発テロからドナルド・トランプ米大統領の誕生、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に至るまで、起こる可能性は低いが影響力が甚大な事象が世界の秩序を作り変えている。その時代はまだ終わっておらず、新型コロナウイルスの流行は中国に現れる最後のブラックスワンにはなりそうにない。

  2月9日付フィナンシャル・タイムズは社説「Coronavirus crisis challenges basis of China’s social contract (コロナウイルス危機、中国の社会契約原理に挑戦)」で、武漢で新型肺炎に罹患して死亡した眼科医、李文亮(Li Wenliang)の言葉、「一種類の声しか存在しない社会は健全ではない」を引用し、これは経済発展のために個人の自由をある程度犠牲にする中国の社会契約の根本に対する挑戦であり、中国での公衆衛生危機に先立つ政治の大混乱を象徴する発言だと指摘する。

 社説は、李の発言がこれほどの重みを持つ理由は、その英雄的殉教にあると述べる。彼は昨年12月、最前線の病院の医師としてウイルスに対する警鐘を鳴らしたが、地方当局は、風評を流布する扇動家として非難し、声明文を撤回させたのである。ただし最高裁は後日、彼の意見を支持し、当局は彼の警告を守るべきだったと述べたと報じ、これは共産党にとって問題の発火点になると指摘する。

 次いで社説は、共産党政権が当初、李の死と少なくとも800人を死亡させた新型ウイルスの流行を隠蔽したことは、政権の実効性と正統性に対する疑問を引き起こし、武漢の教授10人が公開書簡でこの問題を鮮烈に指摘したと述べる。書簡は、李と7人の「内部告発」した医師の弾圧は、言論の自由を規定した中国の憲法に違反し、当局は医師たちに謝罪すべきだと主張したと伝える。

 市民に嘘をつける国であることを暴露した隠蔽行為:さらに、こうした紛争は中国政府の発展モデルに反すると述べ、過去40年間の中国の成功に疑問の余地はないが、こうした成功の多くは強力な中央集権の権力構造からなる諸機関を通して達成され、国民は裕福になるにつれ、物質だけでなく尊厳に飢えていると指摘する。李の死が象徴する隠蔽行為は、中国が体面を保つために生死が問題になっている時にあってすら、市民に嘘をつける国であることを暴露したと述べ、それが一時の話であれば打撃は少ないが、武漢の共産党はこうした行動を繰り返しており、今回は氷山の一角とみる人々もいると指摘する。

 こう述べた社説は、湖北省における混乱は氷山の一角であり、習主席の下で進んでいる独裁体制への方向転換の一つの結果だとみる学者の見解を紹介し、中国は今度こそ、異なる発展段階には、異なる統治が必要となるのを認めるべきだと主張、ハイテク産業で米国に挑戦するほどの中国の洗練された知識集約型経済は、ロボット的従属を要求する経済ではないと批判する。そのうえで、公開討論での透明性と真実は十分に尊重されるべきであり、李が語ったように、健全な社会は異なった意見を容認し、それに耳を傾ける社会だと強調する。

 1月29日付ニューヨーク・タイムズは「Is the World Ready for the Coronavirus? (世界は新型コロナウイルスへの備えができているか)」と題する社説で、流行が更に深まれば、科学と当局に対する不信が主たる問題になろうと警告する。社説は冒頭で、世界の諸都市は目下、感染拡大の恐れに身構えており、株価や原油価格は下落し、世界の産業界の専門家はサプライチェーンの破綻を心配していると述べ、こうした社会の心配の大きさを考えると、何故、この種の感染症の流行にもっと備えてこなかったのかの不思議だと指摘する。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、以下、CDC)は以前から、特に動物から人への感染症伝播の可能性について警告を発していたと述べ、今回の流行の中心地となった中国は、2002年のサーズ(SARS。重症急性呼吸器症候群)流行に際してWHOへの通知が発生から凡そ3ヶ月間も要したが、そうした体験から幾ばくかの教訓を学び、今回は最初の発病探知から1ヶ月以内にWHOに伝達し、封じ込めにも迅速に動いたと評する。

 ただし社説は、とはいえ、総合的に見て中国の対応には、こうしてほしかったところが多々あると述べ、重要情報 、とりわけウイルスが人から人へと伝染し、感染例は高齢者や発生源となった武漢市場の訪問者に限られないなどの情報を数週間、差し控え、CDCからの協力を拒否し、サンプルを国際社会と共有しなかったなどと批判する。

 また社説は検疫の限界を指摘すると共に、大きな問題として、疾病管理対策に対する市民の信頼の重要性を挙げる。当局が市民を守るために善意をもって指示を発しても、市民が当局を信頼しなければ、その指示に従わないと述べ、中国では武漢その他の地域で当局に対する信頼が低かったとし、市民の一部は、当局はウイルス撲滅よりも言論封じ込めに関心があると疑っていたと指摘する。

 そのうえで社説は、信頼の重要性はアフリカのエボラ出血熱の例でも観察されたと述べ、米政府もこうした教訓に留意すべきだと主張する。米国で最初の新型コロナウイルス感染例が確認された際にトランプ米大統領が、「流行は完全に抑止されている」と発言したことに触れ、同氏は政治的な点稼ぎを狙って事実を曖昧にする前歴があると述べ、医療関係者や国民が、こうした同氏の二枚腰を懸念するのはもっともなことだと指摘、国民が今後、当局を信頼しなくなったら、どうするかと警告する。

 ただし米国が世界的な感染症専門家の何人かをCDCや米国国立衛生研究所、米国食品医薬品庁などの感染症対策機関に留保しているのは、政権の功績だと述べ、彼らが危機に処するための権限や人員、資金を与えられて体験や科学的知見を生かしていけば、最悪のシナリオは避けられるだろうと強調する。

 以上のようにメディアは、新型コロナウイルスの感染急拡大について中国の責任を厳しく追及する。トップダウン型統治機構の脆弱性が浮き彫りになったとして、地方当局による最前線の医師の警告の弾圧や対応の遅れによる医療スタッフの事前防護対策不足を挙げ、さらに中国の不完全な公衆衛生システムや医師不足が事態の悪化に拍車をかけ、景気後退を引き起こす恐れのある厳しい封鎖措置の実施を余儀なくされたと指摘する。

 こうした封鎖措置は、秘密主義で国民と情報を共有しなかった偏執的な中国指導部に原因があり、これによりグローバル経済にとって不可欠である中国のサプライチェーンが支障をきすなど、旅行や交易に物理的な制限を付す措置とともに世界経済に大きな問題を提起していると指摘する。加えて中国は重要情報を留保し、国際社会との共有を拒否したと批判、こうした隠蔽行為は中国が市民に嘘をつける国であることを暴露し、中国共産党への信認が国内外で揺らぎ、政権の実効性と正統性に対する疑問が提起されたと論じる。こうした中国の金融市場は長期的に見て、コロナ危機を引き起こした野生動物市場よりも危険だろうと警告する。

 また新型コロナウイルス危機は中国の社会契約原理に挑戦であり、経済が急発展した中国では、異なる発展段階に即した異なる統治が必要だと主張する。中国は国として大規模な経済調整が最も起こりやすい時期にあり、中国の地政学上の支配力が縮小すれば、世界にも驚くべき影響が予想されるとし、中国の影響力が後退し、米国の一極集中に戻った場合、米国は関与よりも孤立が目立つようになる可能性があると述べる。そのうえで危機対策に関しては市民の当局に対する信頼が重要であり、米国も教訓とすべきだとし、感染症専門家を確保して対策を推進すべきだと提言する。21世紀はブラックスワンの時代になっており、中国発のコロナ危機が最後のブラックスワンという保証はないと警告する。
 
 上記のように、今回の新型コロナウイルス危機は、中国指導部の初期対応の遅れに起因するのは間違いない。そうした中国の統治体制の欠陥は、メディアが詳細に指摘しているとおりである。問題はとりわけ、その秘密主義と隠蔽体質にある。これが国内での初期対応の遅れと感染の国内外への急拡大を招いたといえよう。これまでのところ、中国はそうした責任を一切認める姿勢をみせていない。その一方で、この種の感染症は中国に限らず、世界どこでも発生する可能性がある。その意味で中国の責任を追及するだけでは、問題の解決にはならないだろう。中国指導部は、そのことを念頭に置き、今回の初期対応の遅れを謙虚に反省し、その経験を今後再発が予想される感染症対策に役立たせるために誠実に貢献する必要があろう。同時に、国際保健機関(WHO)などの国際機関や主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)サミットの場などでの活発な論議を期待したい。



台 湾

☆ 親中政策を放棄する国民党

 3月6日付フィナンシャル・タイムズは、「国民党、有権者の信頼取り戻しのため親中政策を放棄」と題する記事で、台湾最大の野党、国民党が中国政府との親密な関係を維持してきた政策を放棄しようとしており、世界で最も危険な地帯で潜在的な緊張が高まっていると伝える。

 記事によれば、国民党は3月7日に党主席(総裁に当たる)選挙を行う予定だが、候補者2人とも「1992年コンセンサス」の原則を放棄している。「92年コンセンサス」とは、中台双方がそれぞれの解釈の下で「一つの中国」に属すると理解することを双方の半公式機関のトップが合意したとされる原則で、こうした曖昧な合意の下で中台両政府は経済的、社会的交流を推進してきた。国民党は1月に実施された総統選で大敗し、その主因は、こうした同党の中国寄りの姿勢にあるためとされ、候補者2人とも親中政策はもはや目的にそぐわないと主張している。

 こう報じた記事はさらに、外交的表現を拒否することは、中国政府の台湾戦略に試練を突き付けていると述べ、しかも中国の国家主席と共産党総書記を務める習近平の台湾に対する言葉遣いは、厳しさを増してきていると指摘する。習氏は昨年、92年コンセンサスを捨て、香港に認める「1国2制度」を台湾にも採用したいと述べたが、香港の現状を目の当たりにしている台湾の有権者は、この原則を頭から拒否していると報じる。

 上記のような情勢の下で、国民党主席選挙が7日に実施された。同日付ロイター通信によれば、主席選に出馬したのは元台北市長の郝竜斌(ハオロンピン)氏(67)と立法委員(国会議員)の江啓臣(チアンチーチェン)氏(47)で、ともに対中姿勢の見直しを打ち出していたが、党改革を主張した江啓臣氏が選出された。江氏は、改革は「非常に複雑」としながら「改革を段階的に進める自信がある。国民党は再び誇れる党になる」と述べているが、改革の中身について具体的な言及はなかったとロイターは伝える。

 また3月8日付ブルームバーグは、若き新指導者に未来を託した親中派の国民党、と題する記事で、新たに選出された48才の江啓臣氏は、68%の得票率で国民党として100年ぶりの若き改革派の指導者となり、党の再建を担うことになったと述べ、同氏は92年コンセンサスの見直しを含む党の全面的再編を誓ったと報じる。さらに記事は、新主席が直面する最も喫緊の課題として、対中政策の他に党の財政題を指摘する。記事によれば、党は2018年に収入4億3000万台湾ドル(1400万米ドル)に対して、人件費として18億台湾ドルを支出し、このうち16億ドルが元従業員向けの年金だったと報じる。

 以上のように台湾最大の野党、国民党は今年の総統選で民進党に惨敗、その建て直しに奔走しているなかで、改革派の若き新指導者を選出した。新主席に就任した江氏の力量は未知数だが、従来の親中的政策を見直すことは間違いなく、反中路線を鮮明にする与党、民進党の政策と、どのように差別化を図っていくのか、そうした具体的施策を党財政問題への対処とともに注視していきたい。



韓 国

☆ 文政権の新型コロナウイルス対策に高まる批判

 韓国で新型コロナウイルスの感染者数が急増し、その対策をめぐって文在寅政権への批判が高まっていると2月24日付タイム誌が伝える。記事は冒頭で、首都ソウルでは朝の通勤混雑が見られなくなったと報じ、世界で最も良く働く韓国人が伝統に反して在宅勤務に走っているのは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためで、人口5100万人の韓国は中国に次ぐ感染者数の多い国となったと伝える。

 記事によれば、韓国の保健当局は、外見は平静な態度を見せているが、感染者が急増し、政府が封じ込めの機会を逸したために、すでに流行といえる状態に至っていることに危惧を深めている。感染はソウル市から240キロほど西東部にある大邱市に集中していたが、その後、西南部の光州市や済州島でも発生したため感染の広がりへの懸念が高まっている。感染源は大邱市に本拠をおく狂信的な新興宗教、新天地イエス教会で、感染者の半数はこの宗教の信者とつながっており、政府によれば、9000人以上の信者が隔離されている。

 専門家は、この宗教の隠ぺい体質と密集して執り行う狂信的な礼拝がウイルスの感染防止を困難にしていると指摘する。釜山プレスビテリアン大学神学部のジ・イル・タク教授は、信者は身分を隠しており、友人は勿論、家族ですら信者であることがわからないため、政府も大邱の教会に参加した数百人のメンバーと連絡できないでいる、と語る。またウイルス拡大を余り用心するような教えになっていない。ソウルにある大学の英語教師で新興宗教を研究しているピーター・デイリー氏は、この集団はきわめて秘密主義で欺瞞に満ちており、教祖は不死で信者は永遠の命を約束されていると信じているのは間違いない、と語る。

 感染状況が悪化するに伴い、文在寅大統領を新型コロナウイルスの危険性を認識していないと非難し、韓国政府の対応を批判する大合唱が高まってきている。保守系の朝鮮日報は社説で、大統領が楽観論に終始しているなか、新型コロナウイルスが制御できない状況となったと報じ、ウイルスを防止できなければ、韓国全土が危機にさらされると警鐘を鳴らしている。大邱市の野党政治家、金・スン・ドン氏は、大邱市民は皆、文在寅ウイルスのために死に絶える、と大書して公開の場で抗議、現政権は新型コロナウイルスへの迅速な対応を取らなかったことに責任を負うべきだとフェイスブックに投稿している。

 批判の大半は、中国人の入国を禁止しなかった政府の決定に集中している。大統領府のサイトには、こうした決定を訴える76万人以上の市民の署名が寄せられており、政府に対して、国境を閉鎖した北朝鮮の例に従うよう呼びかけている。中国は最大の貿易相手国であり、このため文大統領は中国人の全面的入国禁止が中国政府の不興を買うのを恐れ、国民の生命保護に失敗したと批判する者もいる。これに対し台湾は、中国本土からの観光客をほぼ全面的に禁止し、香港も本土とのほとんどの往来を停止している。

 上記のように報じた記事は、その一方で、韓国政府の立場について次のように擁護する。文大統領は2月23日、警戒態勢を最高レベルまで引き上げ、当局に対して流行を封じ込めるために最大の措置を講じるよう指示した。確認された感染者数が急増した主因は、韓国社会の開放性と透明性にある。ジョージメイソン大学コリアのアンドレイ・アブラハミアン客員教授は、韓国での感染者数が高いと思われるのは、韓国の検査能力の高さと言論の自由、民主的な責任説明の原則が少なくとも一因となっている、と語る。

 以上、文大統領は新型コロナウイルス感染者の急増で批判され、特に中国からの入国禁止などの措置を迅速に実行しなかったと非難されている。その一方で、急増は韓国の検査能力の高さ、言論の自由、民主的な責任説明の原則という要因があるとし、文大統領も適切な対策を講じていると擁護している。3月14日付韓国聯合ニュースは、韓国の中央防疫対策本部によれば、14日午前0時現在の韓国での感染者数は計8086人だと発表し、感染者は前日午前0時の時点から107人増え、死者は5人増の計72人となったと報じている。文政権はコロナ封じ込めに苦闘しているが、依然として感染者は増加している。引き続き事態を注視する必要がありそうだ。



北 朝 鮮

☆ 新型コロナウイルスと金体制

 3月4日付ワシントン・ポストは、北朝鮮にとって孤立が新型コロナウイルスに対するバッファーになるかもしれないが、心配の種にもなると論評する。記事は、新型コロナウイルスが中国から韓国に感染が拡大するなか、北朝鮮にとってグローバル経済から隔離されていることが利点になっていると指摘する一方で、万一ウイルスが侵入すると、金正恩委員長の島国的世界は大危機に直面する可能性があると述べる。それは、新型コロナウイルスが流行すると、保健体制が弱体で栄養不良と結核などの疾病に見舞われている北朝鮮に襲いかかって来ることになるからだ、と記事は警告する。

 記事によれば、北朝鮮はグローバル・ヘルスセキュリティ・インデックスで195カ国中の193位にランクされている。新型コロナウイルスが流行すると、北朝鮮の限られた医療能力が簡単に破綻するのは目に見えている、とハーバード大学の北朝鮮専門家は語っている。北朝鮮政府は、コロナウルス感染者は一人もいないと主張し、世界保健機関(WHO)もこれに矛盾するような痕跡はないと述べている。しかし北朝鮮内部に通じる報道機関によれば、中国と国境を接する新義州や羅津の諸都市では感染例がみられ、既に何人かが死亡していると報じられている。

 既に制限されていた国境外との接触を閉鎖にもっていくなど、北朝鮮は迅速に対応してきた。1月22日に旅行を禁止したことを手始めに、航空便と列車の運行を全て停止した。海外からの渡航者は検疫を受け、首都平壌の外国外交官は事実上、自宅に軟禁された。疑われる症状を示した全ての者および中国との対応に当たった関税官や貿易当局者は1ヶ月程度の隔離状態におかれた。韓国の情報機関は、国会で北朝鮮が7000人を隔離したと報告している。

 中国との国境を通じる貿易は、金体制の生命線であるが、今や崩壊している。国境を越える密輸も全面的な取り締まりの対象になっていると報じられている。金正恩委員長は先週、ウイルスが侵入すれば、重大な結果をもたらすと警告を発し、これにプロパガンダ機関が過剰なまでに唱和している。党機関紙、労働新聞は、新型コロナウイルスとの戦いは「国家存亡」の戦いだと呼びかけ、市民に対して、食事中の会話が感染の主なルートになると警告し、レストランに行かないよう求めている。米国の北朝鮮に関するサイト、NKニュースのアナリストは、北朝鮮メディアが伝えるニュースは、規模、水準、期間の点で極めて異例で、北朝鮮がいかに事態を深刻に捉えているかを明示している、と語っている。アナリストは、感染の事態が制御不能になれば、国内の体制、おそらく外交政策にいたるまで金政権にとって大きな打撃となろうと付言する。

 導入された制限策も、02年から03年にかけてのサーズ(重症急性呼吸器症候群)の時よりも更に徹底しており、経済に対する影響も目に付いてきている。外貨の主たる獲得源である中国からの観光客や中国からの消費財は姿を消している。これは副業で少ない公の収入を補っている市民にとって痛手となる。皮肉なことに、自粛措置は国際的な経済制裁の抜け穴を封じることになっていると米CIAのアナリストは指摘する。市場情報を伝える在ソウルNPO、デイリーNKによれば、コメ、トウモロコシ、ディーゼル油、ガスの価格がすべて上昇し、この1、2年で最高水準に達しているものもある。当局は価格統制を試みるとともに、砂糖と大豆業者に在庫放出を指示している。

 金正恩委員長の経済発展計画は、経済制裁のために既に揺らいでおり、また金委員長の窮状から抜け出そうとする外交努力も、1年前のトランプ米大統領とのハノイ首脳会談の失敗によって大きく後退した。金委員長は既に路線を修正し、昨年12月には国民に対して自立に励むよう警告を発している。ただしソウルの国民大学教授、アンドレイ・ランコフは、新型コロナウイルスは北朝鮮にとって悪いニュースだが、事態がいかに悪化しても、治安機能が万全な北朝鮮では体制崩壊は問題にならない、と語る。また米CIAのアナリストは、金委員長は体制の安定を懸念しているかもしれないが、90年代に100万人が餓死した際にも、抗議デモや民衆蜂起は起きなかったと指摘する。

 その一方で記事は、世界が新型コロナウイルスに気をとられている間、北朝鮮の核兵器計画は世界の関心事ではなくなってきたと述べ、これは金委員長にとって都合の良いことだろう、と米シンクタンク、ウッドロー・ウィルソン・センターのジャン・リー氏は語っていると報じる。同氏は、孤立によって金委員長は、米政治情勢の推移を観察し、核戦略に集中する時間が稼げると述べ、また金氏が人道支援の善意を受け入れ、外交機会の窓が開くことを期待したいと指摘していると伝える。

 以上のように記事は、北朝鮮にとって孤立が新型コロナウイルスに対するバッファーになるかもしれないが、新型コロナウイルスが侵入すると、医療体制が劣る北朝鮮にとって悲惨な結果になる可能性があると懸念を表明、金委員長もそのことを十分理解し、厳格な警戒態勢を引いていると報じる。その一方で、治安態勢が万全な金体制の崩壊は考えられないと述べ、さらに新型コロナウイルスのために国際社会の関心が北朝鮮核計画から離れていることが利点になっているとコメントする。ただし問題は、北朝鮮の生命線である中国との貿易が断絶されているとみられることだろう。経済制裁に抜け穴を見付ける方法に長けた北朝鮮が、自ら科した制裁の強化ともいえるからだ。他方、中国でのコロナ旋風が収まる気配も伝えられており、北朝鮮が何時、国境閉鎖を解き、対中貿易を再開するかに注目したい。



東南アジアほか


新型コロナウイルスの封じ込めを急ぐ東南アジア諸国

 新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るうなか、東南アジア各国当局も対策を急いでいる。2月13日付エコノミスト誌は、その状況を以下のように伝える。

 これまでのところ感染は中国が中心だが、アジアに広まっており、シンガポールでは1月23日に最初の感染者が発見され、2月に入って49の症例が確認された。最初の感染例は中国人観光客が出入りする一般の薬局で発生したとみられ、14人は武漢への旅行者である。新型コロナウイルスがシンガポールを襲ってくるのは予想されたことだった。中国はシンガポールの最大の貿易相手だからだ。しかし他国にも広がっている。

 日本は28人が感染したと述べている。これにはダイアモンド・プリンセス号に閉じ込められている人々は含まれていない。タイは30人以上、マレーシアは18人である。いずれも感染者はすべて自国内での感染に限られている。同じようにベトナムでも16人が感染し、1万人が隔離されている。感染はフィリピン、ラオス、ミャンマーにも及んでいる。フィリピンでは死者が出ている。ラオス、ミャンマーは中国と国境を接しており、感染を疑われているものが若干名いると述べているが、この数が増えるのは間違いない。ミャンマーの反政府武装勢力は、手洗い励行などの公衆衛生運動に乗り出している。

 ジャカルタにあるエイクマン分子生物学研究所のアミン所長は、インドネシアは感染者のすべてを検知する能力があると主張するが、武漢から避難したインドネシア人238人について隔離はしているが、検査は行っていない。保健省は、これは帰国者が健康そうであり、検査には費用が掛かるからだと説明している。ウイルスの影響を受けていないとする国もある。インドネシアは2億6700万人の人口を抱えているが、一人も感染者がいないとしている。年間200万人の中国人観光客が訪れているのを考えると、驚くべきことだ。5000人程度の中国人観光客が帰国してウイルスに感染するのを恐れてバリ島での滞在を延長している。

 上記のように報じた記事は、専門家は報告されているよりも多い感染者が存在するとみていると述べ、ハーバード大学の伝染病学教授、マーク・リプシッチ氏は、中国との間に相当数の旅行者が存在する国々は、感染例がみられないとしても、いずれも用心すべきだと警告していると報じる。さらに中国では現時点で6万人近くが感染し、1300人が死亡しているが、これらの数字はきわめて確実性に欠けていると述べ、無症状者からの感染もあり得ると専門家は指摘していると報じる。さらに記事は、シンガポールのような富裕な国は監視と介護で十分に対応できるが、保健体制が貧弱な貧困国は苦戦していると述べ、シンガポールの状況について概略次のように報じる。

 シンガポールはサーズ(SARS)が2003にアジアを不意に襲って以来、この種の流行に備えてきた。流行の脅威を上から2番目の警戒レベルに引き上げている。過去14日間、中国に滞在した人々の入国を禁止している。感染者と接触した場合には、誰にも検疫が待ち受けている。病院やオフィスに出入りする人は先ず検温をしなければならない。学校間のスポーツ行事は3月末まで取り消されている。移住労働者向け最大の宿舎では、何時でも検疫できる体制が整えられている。間違った情報の拡散防止のため新法を制定している。

 次いで日本の対応について、日本も同様の措置を講じていると述べ、政府は東京五輪の挫折を恐れて2月初めに武漢を訪問した外国人や武漢発行のパスポート保持者の入国を禁止し、日本の2大航空会社は東京、北京間の全フライトを停止していると報じる。

 また保健体制の弱体な国々の例を次のように紹介する。
 これまでのところインドでは、感染例がケララ州で発見されただけである。これは同州の保健体制が最も整っているためで、他州は感染に気づいていないだけなのかもしれない。とはいえ政府の対応は素早かった。インド市民の武漢からの避難はインドが最初だった。既に1万人にウイルス検査を実施している。政府はまたアーユルヴェーダ療法と呼ばれる伝統医学や同質療法(ホメオパシー)が新型コロナウイルスに有効と主張している。ただし全く証拠に欠けているが。

 他方、中国を最重要の同盟国とするパキスタンでは、政府は武漢在住の市民に対して滞在継続を指示している。国内の保健体制が既に限界に達しているからである。タイは観光産業が国内総生産(GDP)の1割以上に達し、2018年には3800万人の観光客が同国を訪れているが、その約4分の1が中国人である。苦肉の策として政府は、中国人の入国禁止も、フリービザの発給停止もしていない。カンボジャの場合は更に徹底している。同国は近年、中国が最も投資を集中している国である。フン・セン首相は、北京を訪問して習近平国家主席と会談、苦境に立つ中国に対する忠節を示したのである。他方、中国は中国人観光客の入国禁止措置を行った外国に対して、駐在大使を通じて攻撃している。たとえは、インドネシアでは中国大使が「過剰反応」は両国関係に直接的な影響を及ぼすと警告している。

 こう報じた記事は最後に、こうしたいじめ行為は奏功しないと述べ、アフリカ豚コレラや米中貿易戦争、長引く香港抗議活動などで中国の影響力は低下しており、今回の新型コロナウイルスは中国が強大な強さと共に弱さを持つ国であることを暴き出した、との在シンガポール元外交官のコメントを紹介する。

 以上のように記事は、新型コロナウイルスが中国を中心に広く東南アジアに拡散していると報じる一方、保健体制が整備されている富裕国とそうでない国との間の対応の差を指摘、特に後者については検査体制の後れや中国に対する政治的、経済的配慮による対策の遅れに懸念を表明する。また中国が中国人観光客の入国禁止措置を打ち出した国に対していじめや脅しをかけていることに言及し、国際的評価を落としている中国には、こうした行為が通用しなくなっていると批判しているのが注目される。



インド

☆ 成果に欠けたトランプ訪印

 トランプ米大統領は2月24日、初めてインドを訪問した。同日付ワシントン・ポストは、トランプ大統領は首都ニューデリーで暴力的抗議デモが発生するなか、モディ首相や各界指導者と会談したが、滞在が36時間という短い訪印だったと伝える。記事によれば、トランプ大統領はモディ首相が宗教の自由のために多大の努力を払っていると称賛し、目下、首都を含む全国各地で抗議デモが発生している国籍法改正案件については、インドの国内問題としてコメントを避けた。またトランプ大統領はインド産業界の指導者や起業家との円卓会議に参加し、あるいはインド大統領の邸宅での歓迎式典に出席、その後、ガンディ記念碑を訪れた。

 首脳会談の模様について記事は、両首脳は互いを称賛し、特にトランプ大統領はインドと偉大な関係を維持していると語り、その後の記者会見で、モディ首相を「信じられないほど立派な人物」、「きわめて冷静」で「とてもタフ」と述べたと伝え、モディ首相については就任後、一度も記者会見を開いていないことで知られていると批判的に報じる。さらに記事は、トランプ大統領のモディ首相に対する好意的な態度の一つの背景として、南部アハメダバードのクリケット競技場で前日に開かれた首脳会談で、10万人の大観衆が両首脳を歓迎したことを挙げる。

 ただし記事は、称賛の言葉はトランプ訪印がきわめて象徴的な内容で実体に乏しかったことを覆い隠せなかった、とコメントし、米印間の長年の懸案であった貿易問題をめぐる意見の相違は不透明なままで解消できなかったと指摘、具体的な成果としては、インド政府が発表した3項目、すなわち、メンタルヘルス、医療器具の安全性、エネルギー企業間の協力に関する書簡からなる簡単な協定があるだのみと報じる。その一方で記事は、安全保障分野では両国は台頭する中国への対抗を念頭において、協力関係の先行きに期待が持てると述べ、トランプ大統領は訪印中に海上ヘリコプターなどからなる30億ドルの米国製軍事装備品の提供計画を推進すると宣言したと報じる。

 上記の30億ドル相当の軍用ヘリコプターなどの提供について、25日付ニューズウィークは両国が25日に合意に署名すると明らかにしたと伝える。記事によれば、トランプ大統領は米国がインドにとって主要な防衛パートナーになるべきとの考えも示し、貿易交渉については、「両国は非常に大規模で、史上最大級の通商協定を結ぶ。両国間の投資障壁の削減につながる素晴らしい通商協定の締結に向けた協議の初期段階にある」と述べた。またインド国内の事業環境について、早期に改善するよう望むと述べ、「モディ首相と協力し、両国にとって素晴らしい合意を締結できると楽観しているが、モディ氏は手ごわい交渉相手だ」とも語り、さらにインドとの宇宙協力の拡大に期待感を示したという。

 なお米印間貿易問題の懸案について、2月20日付ウォール・ストリート・ジャーナルは、インドが米国の新たな貿易戦争の相手になってきたと述べ、米印間でも中国とのほど激しくはないが、貿易戦争が静かに進行していると伝える。具体的には、1年前の米国による対印一般特恵関税制度(GSP)の適用停止が始まりとなったとし、米国はその際、インドが米国企業を差別していると主張、これに対しインドは、米国が導入した鉄鋼輸入関税への対抗措置として関税措置を実施に移すことで報復したと報じる。記事は、モディ政権は18年度と19年度に、多数の物品に対する関税を引き上げ、18年にインドの「最恵国」に適用された平均関税率は17%に上昇し、世界貿易機関(WTO)で最も高い部類に入ったと解説する。

 以上のように、米印間では目下、関税合戦が繰り返され、米中貿易戦争と同様の対立と背景が指摘されているために、その解消は容易ではないとみられる。現に今回のトランプ訪印でも解決の端緒は見付けられなかった。トランプとしては中国を意識してインドとの安保上の関係強化を当面の目標とし、特にそれを米軍事装備品の輸出増に結びつけることによって、今回の訪印の成果として誇示できると考えたのであろう。他方、モディも、米国との貿易摩擦の米中レベルまでの過熱回避を当面の最優先目標としたと考えられる。その意味で、今回のトランプ訪印は両者にとって満足できる結果となったと言えるのかもしれない。引き続き事態を注視したい。

         § § § § § § § § § § 

主要紙の社説・論説から

シリ-ズ「日本の今」―「2020年の日本」その3
 

不況入り寸前の日本経済
 今月は前号に続きシリ-ズ「日本の今」の「2020年の日本」その3として、テクニカル不況入り寸前の日本経済の現状を取り上げる。日本経済は昨年第4四半期にマイナス成長に陥り、今年第1四半期もマイナス成長となる可能性が高まっている。経済が2四半期連続のマイナス成長に陥ると、テクニカル不況に入ると定義されていることから、日本経済はまさにその瀬戸際に立たされている。

 2月17日付ウォール・ストリート・ジャーナルは社説「 Japan’s VAT Blunder(日本版記事:【社説】日本の消費税の大失態)」の冒頭で、昨年10~12月の国内総生産(GDP)伸び率は年率換算で6.3%のマイナスとなったと報じ、その最大の要因は消費支出が年率11.5%も落ち込んだためだと述べ、これは多くの人々が警告していたとおり、89年の消費税導入後、97年と2014年の2回の税率引き上げの際と似たような状況となったと指摘する。社説は、マイナス成長の一部は、消費者が増税前に買いだめをして、先回りしようとした結果だが、消費増税のショックが和らいでも、大きな救いは期待できないと述べ、労働市場が逼迫しているにもかかわらず、賃金の伸びは停滞していることを挙げ、厚生労働省の推定によると、インフレ調整後の給与は12年から18年までに3.5%減り、家計所得にとって消費増税は大きな圧迫要因になっていると報じる。

 そのうえで社説は、増税のタイミングは、その後に中国で新型コロナウイルスの流行が起きただけに最悪だったとし、安倍首相は日本経済が最も回復力を必要としている時に、経済を締め付けてしまったと批判、国際通貨基金(IMF)は、日本は消費税率を今後10年間で15%へ、2050年までに20%へと引き上げるべきだと提言しているが、IMFの専門家らは、日本を増税に耐え得るだけの十分に強靱な経済にするためには、ケインズ政策に基づく財政支出の拡大を行うことがまず必要だと主張していると指摘する。

 社説は最後に、安倍氏は政権に復帰した際、優れた構想の実現に着手し、日本経済を活性化するために政策面での大規模な改革を推進することを公約に掲げており、その通りに実行していれば、おそらく現在の賃金はもっと大幅に伸びていただろうし、経済は中国を中心とする感染症などの衝撃にも今よりうまく持ちこたえられ、経済成長が歳入を拡大させていたはずだと指摘、安倍氏の経済政策の失敗に伴うコストを日本が回避するには手遅れだが、他国政府は、日本の指導者たちが受け入れを拒否している教訓から学ぶことができると主張する。

 2月18日付フィナンシャル・タイムズも社説「Japan’s problem is not enough Abenomics (日本の問題は不十分なアベノミクス)」で、消費増税によって、せっかくの財政刺激策が水泡に帰したと厳しく批判する。社説は、金融緩和、財政出動、構造改革の3本柱からなるアベノミクスに触れ、安倍首相がこの処方箋、なかでも財政出動を堅持していたら、首相在任中の2回目となるテクニカル不況の脅威にさらされなかっただろうと指摘する。安倍政権は、昨年第4四半期の大幅マイナス成長は台風や例年にない天候のためだと説明しているが理不尽だと論評、アベノミクスは過去10年間、日本経済をむしばんできた問題に対処するという意義があったが、増税や支出削減という早まった施策が回復の首を絞め、高齢化が進行するなか、潜在成長率を弱めたと主張する。

 そのうえで社説は、アベノミクスの全ての対策が共同して経済を新たな均衡に押上げる必要があると述べ、具体的な施策として、円安を導く金融刺激策、需要を喚起する財政刺激策、成長機会や企業の投資を生む貿易協定のような構造的施策を挙げる。この組み合わせは決して容易ではないが意義があり、2013年の円安は爆発的な楽観論を生み出したと述べ、安倍首相の任期中に日本経済は、低水準だが心理は前向きなインフレや、岩盤のような低失業率など過去よりも良好な成果を上げたと指摘する。

 社説は、それだけに安倍首相が幾度も政権内の財政タカ派に屈したのは不幸なことだと主張、日本には多大な貯蓄があり、不足しているのは消費であり、安倍首相が消費税を引き上げざるを得ないと思っていたのであれば、前者を標的にする方が理に適っていただろうと述べ、企業は記録的な収益を上げているので、企業に許容している減価償却引当金を削減してみたらよかっただろうと論じる。

 社説は最後に、新型コロナウイルスの流行で日本経済の背景が暗くなったが、安倍氏が短期的に取るべき合理的な行動は、増税の逆転は政治的に不可能なので、それを除けば、さらなる財政刺激策があるのみ、と主張し、過去7年間にわたって常に問題だったのはアベノミクスではなく、アベノミクスが不十分だったことだ、と再度強調する。

 2月20日付エコノミスト誌も「Japan’s GDP shrinks dramatically after a tax rise and a typhoon (日本の国内総生産、増税と台風のために劇的に縮小)」と題する記事で、消費増税は自ら招いた過ちだと主張し、さらに新型コロナウイルスが日本経済を複雑にするかもしれないとコメントする。記事は、アベノミクスの功罪について論議があるが、議論の余地のない教訓が2つあると述べ、見上げるような政府債務にもかかわらず、債券市場は極めて平静なこと、これに対し家計は消費税の引き上げに恐ろしく敏感なことを挙げ、昨年10月1日の消費税引き上げ後に日本経済は年率6.3%縮小したと指摘、増税はミスショットだったと主張する。その理由として記事は、政府には追加歳入の必要がなく、GDPの2.4倍に近い債務があるとはいえ、金利がゼロ程度に定着している途方もなく安価な借金であり、日本銀行は長期金利を低位に保つために国債を必要な程度買い入れられると述べ、こうした低金利による借入刺激策は民間消費が極めて弱いなか、インフレを日銀目標の2%に引き上げるために必要だと主張する。

 次いで記事は、消費増税は企業や政府に2重に奇妙な努力を強いていると述べ、企業は意欲の減退した消費者向けに製品の売り込みにいっそう励み、日本政府は国債の発行数を減らし、入札を約している顧客に売り込んでいるとし、これは浸水している船に底荷を積み増すようなことだと批判する。

 さらに記事は、消費増税の影響を排除するために政府が講じた措置、例えば、消費増税から飲食料品や新聞代の除外、保育や就学前幼児教育の無償化、コンビニなどでのキャッシュレス購入に対する優遇措置などに言及し、それらは一定の効果を上げたかもしれないが、10月に襲った台風がその効果を相殺したと述べ、このため企業は設備投資を前回の消費増税時よりも縮小したと指摘する。

 加えて新たなCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症を意味するcoronavirus disease 2019の略称。世界保健機構が命名)のために経済の回復見通しが脅かされていると指摘する。記事は、日本はCOVID-19のために中国で寸断された製造業サプライチェーンに組み込まれていること、東京五輪というやる気と支出(spirits and spending)を高める慶事も危うくなったことを挙げ、日本は財政、気象、ウイルスなどで挫折に直面しているとし、このため政策当局は台風対策として1200億ドルの財政出動を用意したが、支出は1年間にわたり、かつ追加支出額としてもそれほど多額ではないと指摘する。

 他方、日銀も考えあぐねているようだと述べ、インフレは目標未達のままであり、金利の階層構造方式(tiered system。対象残高を、基礎、マクロ加算、政策目標の3つに分け、それぞれプラス金利、ゼロ、マイナス金利とする方式)の下でマイナス金利を導入したが、貯蓄者、銀行、保険会社の間で不評だと指摘する。そのうえで対策として、英コンサルタント会社、オックスフォード・エコノミクスのステファン・アングリック氏の提案を紹介する。すなわち、市中銀行の採算改善のために日銀は準備預金に付利する金利を引き上げる一方、貸出を刺激するために残りの金利は引き下げるという案である。これは金利階層システムを深化させるが、過去においてスイス中銀がマイナス金利を0.75%まで引き下げた際に役立ったと付言する。

 こうした日本経済の現状について、2月23日付フィナンシャル・タイムズは市場欄記事「Will economic data heighten fears of a recession in Japan? (経済データで日本経済の景気後退懸念が高まるか)」で、昨年第4四半期の経済成長率が年率換算で6.3%縮小したと発表され、日本経済は大きな打撃を受けたと述べ、この数字はエコノミストらの事前予想である3.7%減に対して余りに落ち込みが大きく、彼らも10月の消費増税の消費に与える影響を過小評価していたことを認めざるを得なくなったと報じる。

 そのうえで今週、1月に関する多くの経済データが発表され、それに伴い経済への打撃が続くかどうかが重要な問題になったと述べ、日本は今や、国内総生産(GDP)の2四半期連続マイナス成長で不況入りと定義されるテクニカル不況の瀬戸際にあると指摘し、何人かのエコノミストは既に2020年第1四半期の予想を引き下げているが、そうした見方が正しいかどうかは、来週に発表される小売)や工業生産の統計数字が参考になろうとコメントする。

 さらに記事は、コロナウイスに対する漠然とした恐れがアジア地域に幅広く浸透してきており、1月の数字に微妙な影を落としてきたと報じ、中国人旅行者は依然として大勢、日本に向かっていたが、2月までには大幅に減少し、1月の大手小売業者の売り上げは1桁台前半の下落を記録すると予想されていると述べる。

まとめ:以上のようにメディアは、日本が消費増税の重荷と新型コロナウイルスという未知の脅威からなる苦難に見舞われていると伝える。消費増税については、昨年第4四半期にマイナス成長に陥った主因であり、多額の公的債務にもかかわらず、債券市場は平静で借金は安価であるため増税は不要で、浸水する船に底荷を積み込むような行為だったと論じる。また消費増税賃金が停滞するなか、家計にとって大きい圧迫要因となり、新型コロナウイルス流行と重なりタイミングも最悪で、本来は増税前にアベノミクスの財政出動による経済の強靱化が必要だったと主張、安倍首相は、経済が最も回復力を必要としている時に締め付けるという失敗を犯し、アベノミクスも水泡に帰したと酷評、増税の影響排除の措置も、台風で相殺されたと指摘する。対策としてアベノミクスの徹底による経済の新たな均衡への押上げが必要だと述べ、具体的にはマイナス金利の深化や企業に積み上がる減価償却引当金の削減を提案する。

 新型コロナウイルスについては、ミスショットだった消費増税に加えて、日本経済を複雑にする要因だと論じ、日本が組み込まれている中国での製造業サプライチェーンの寸断や危うくなった東京五輪を挙げ、日本経済は挫折に直面していると指摘、さらにコロナウイスに対する漠然とした恐れが日本を含むアジア地域に広く浸透し、今後発表される統計数字に微妙な影を落としてきているが、そうした数字が日本経済への打撃が続くかどうかを見極める上で、重要になってきたと論評する。

結び:日本は、消費増税という過ちを犯して経済回復の芽を絶ち、そこに未曾有の感染症が経済に追い打ちをかけてきた。このままでは日本経済は2四半期、あるいはそれ以上の連続でマイナス成長に陥りかねず、不況入りが目前に迫っている。では、この難局にどう対処したらよいのか。短期的には、当面、新型コロナウイルスとの戦いに全力を傾注するほかはない。同時にテクニカル不況入りを避けるために、大胆な財政出動と何らかの金融緩和の強化策が避けられないだろう。まさにメディアが提案するように、積極的財政出動とマイナス金利の深堀を含む超金融緩和策の継続、自由貿易協定の推進などによる成長戦略の強化など、アベノミクスの深化ともいうべき政策が欠かせない。財政出動の中には、昨秋の消費増税に関する何らかの見直しも含まれて然るべきだろう。そうした政策論議には、与党だけでなく野党もまた積極的に参加し、具体的な政策を提示すべきだ。まさに超党派の政治的英知が今、日本に求められている。

          § § § § § § § § § § 

(主要トピックス)

2020年
2月15日 茂木外相、中国の王毅外相と会談(ミュンヘン)、
                 4月に予定する習近平 国家主席の来日に向けた準備継続を確認。
      18日 タイ政府、日本とシンガポールへの渡航自粛を自国民に呼びかけ。
   20日 円、ニューヨーク外国為替市場で一時、112円23銭近辺と
                19年4月以来約10カ月ぶりの円安水準をつける。
                日本での新型肺炎の感染拡大が景気を冷やすとの観測。
      中国人民銀行(中央銀行)、政策金利の最優遇貸出金利(LPR、
                ローンプライムレート)の1年物を4.05%へと前月比0.1%引き下げ。
      21日  タイの憲法裁判所、民主派の野党「新未来党」に解散命令。
                タナトーン党首による同党への融資が政党法違反と判断。
     マレーシアのマハティール首相、辞任。内閣総辞職。
   22日 韓国、新型コロナウイルス感染者が一日に229人と倍増。
                南東部の大邱(テグ)市の新興宗教教会と同市郊外の病院内
                での集団感染が主因。
      24日 中国、新型コロナウイルスのために3月5日から開催予定の
                 第13期全国人民代表大会(全人代)の延期を決定。
      インドの首都ニューデリーで国籍法の反対派と賛成派が衝突、
                 死傷者多数発生。
   27日 安倍首相、新型コロナウイルス対策として全国の小中高校と
                 特別支援学校へ休校を要請。
   28日 中国の楊潔篪(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員(外交担当トップ) 、
                 来日、安倍首相と会談。習近平国家主席の来日案件や新型コロナウイルス
                 問題などで打ち合わせ。
       韓国政府、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて
                 総額16兆ウォン(約1兆4300億円)規模の経済対策を発表。
   29日 マレーシアのアブドラ国王、ムヒディン元副首相を次期首相に任命
     と発表。
3月  2日 北朝鮮、2発の飛翔(ひしょう)体を発射。
       3日 主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁、緊急電話会議で
      新型コロナウイルス感染拡大による景気下振れリスクに備え
              「あらゆる適切な政策手段を用いる」との共同声明を発表。
                米連邦準備理事会も0.5%の緊急利下げ実施。
  4日 香港金融管理局(中央銀行に相当)、政策金利の基準金利を
                5 0ベーシスポイント (bp)引き下げ1.5%とすると発表。
                米連邦準備理事会(FRB)の緊急利下げを受けた措置。
  5日 日中政府、習近平国家主席の訪日の延期を発表。
      日本政府、中国と韓国からの入国者に2週間の隔離期間を設け、
                発行済ビザの効力を停止すると発表。
  6日 韓国外務省、日本から観光目的の入国に適用する90日間ビザ(査証)
                免除措置と 発給済みビザ効力の停止を発表。
                 日本政府の入国制限への対抗措置。
  7日 台湾の最大野党、国民党、党主席に親中色の払拭を主張する
                員(国会議員に相当)の江啓臣氏を選出。
       8日 新型コロナウイルスの感染、93カ国・地域に拡大。
                累計感染者数10万5000人超、死者3500人超へ。
       9日 韓国軍合同参謀本部、北朝鮮が咸鏡南道宣徳(ソンドク)付近から
                3発の飛翔(ひしょう)体を日本海に向けて発射と発表。
   11日 新型コロナウイルスの感染、世界107カ国・地域に拡大。
                累計感染者数11万7000人超、死者4200人へ。
                世界保健機関(WHO)、新型コロナウイルスについて
              「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明。
  13日 改正新型インフルエンザ対策特別措置法、成立。
                新型コロナウイルスを対象に加える。
     トランプ米大統領、新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて
                国家非常事態を宣言。
  14日 安倍首相、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく
             「 緊急事態宣言」は現時点では行わないと表明。



主要資料は以下の通りで、原則、電子版を使用しています。(カッコ内は邦文名)THE WALL STREET JOURNAL(ウォール・ストリート・ジャーナル)、THE FINANCIAL TIMES(フィナンシャル・タイムズ)、THE NEWYORK TIMES(ニューヨーク・タイムズ)、THE LOS ANGELES TIMES (ロサンゼルス・タイムズ)、THE WASHINGTON POST(ワシントン・ポスト)、GUARDIAN(ガーデイアン)、BLOOMBERG・BUSINESSWEEK(ブルームバーグ・ビジネスウイーク)、TIME (タイム)、THE ECONOMIST (エコノミスト)、 REUTER(ロイター通信)など。なお、韓国聯合ニュースや中国人民日報の日本語版なども参考資料として参照し、各国統計数値など一部資料は本邦紙も利用。            

 
前田 高昭
金融翻訳ジャーナリスト、社団法人 日本翻訳協会 会員、翻訳家。
訳書に『チャイナCEO』他。
『東アジアニュースレター』も配信中。
 

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