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東アジア・ニュースレター ― 海外メディアからみた東アジアと日本 ― 第107回
2019/11/22
連載 東アジア・ニュースレター
― 海外メディアからみた東アジアと日本 ―
第107回
バベル翻訳大学院プロフェッサー
中国経済が80年代の成長率に急減速している。減速の原因の多くは個人消費の鈍化、インフラ支出の伸び悩みなどの国内要因にあるとメディアは指摘、米中貿易戦争についても、不確実性が経済の減速防止を妨げていると分析する。こうした中国経済の低迷がグローバル経済の成長にさらなる打撃を与えると憂慮を表明、成長鈍化に伴う失業率の上昇、統計数字の正確性などの問題も挙げる。
香港の近況について、メディアは抗議デモが反中民主化運動に発展し、それが香港のアイデンティティを呼び起こし定着させたと論評、経済についても景気悪化によりテクニカルな不況に陥ったと伝える。前途に不安を抱く富裕層らによる資金流出にも見舞われ、金融センターとしての評価が大きく傷ついたと報じる。
台湾の企業や個人に対する優遇策を中国政府が発表した。優遇策は26項目からなり、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの整備や、テーマパークなどの分野で台湾企業の中国進出を促す一方で、個人には不動産購入に便宜を与えるなどの内容である。台湾政府は中国が来年1月に行われる台湾総統選挙に影響を与えようとしていると非難している。
韓国では、家族の不正行為疑惑で批判されていた曹国(チョウ・グック)法相が辞任した。同氏は文大統領が検察改革推進の最適任者として法相に任命したが、それを非難する抗議デモが続き、就任1カ月で辞任に追い込まれた。辞任直前に形ばかりの改革案を発表したものの、検察改革は未完のままとなった。一部のシンクタンクは、抗議デモで弱体化した政府与党が来年の総選挙で敗退すると、文政権はレイムダック化する可能性があると指摘する。
北朝鮮の金委員長は白頭山に登り、変身を遂げたのではないかとメディアが伝える。南北経済協力事業の象徴だった金剛山観光地区について韓国側の協力を得ないで再開発すると宣言、北朝鮮の苦境は「経済制裁の継続」と米国主導の軍事圧力が原因だと声高に非難する。そうした言動の背後には、進展が期待できない米朝と南北関係があるとメディアは指摘、金委員長は対話を断念する一大決心を行い、いっそう逞しく、好戦的となって再登場するのではないかと予言する。
東南アジア関係ではシンガポール経済が景気後退入り寸前の状態にある。第3四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.6%増となり、前四半期の同2.7%減からプラス成長に転じ、辛うじてテクニカルな不況に陥るのを回避した。非石油輸出が米中貿易戦争とグローバルな経済成長の低迷により、9月に7ヶ月連続で下落したことが響いた。金融当局は景気刺激策推進の構えをみせている。
インド経済も停滞に直面している。メディアは喫緊の課題として経済改革を挙げ、具体的に取り組むべき問題として金融危機と低迷する消費を指摘、さらに国有銀行の民営化や健全性基準によるシャドーバンク規制を提言する。問題点として、モディ首相と与党、人民党のヒンズー・ナショナリズムへの偏向を挙げ、それがインド民主主義を毀損していると批判する。
主要紙社説・論説欄からでは、日本政府が閣議決定した外為法改正案に関する海外メディアの論調を取り上げた。メディアは、アクティビスト投資家を標的とする外資規制の強化だと厳しく批判する。
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北東アジア
中 国
☆ 80年代の成長率に減速する経済
今年第3四半期の経済成長率が前年同期比6%増と急減速した。10月18日付ワシントン・ポストは、中国経済の第3四半期成長率が27年ぶりの低水準に落ち込んだと報じると共に、トランプとの貿易戦争は原因の一部に過ぎないと論評する。
記事によれば、国家統計局が18日に発表した第3四半期の経済成長率は前年同期比6%増と1992年以来の低水準となった。コーネル大学のプラサド経済学部教授は、米国との貿易戦争が中国経済に打撃を与えているかもしれないが、経済成長全体に対する主たる打撃になっているという証拠はほとんどないと語り、アナリストは中国政府や市場がパニックするのは未だ早すぎるとコメントする。ただし国家統計局の毛盛勇(マオ・シェンヨン)報道官は、今年の政府成長率目標が6.0から6.5%であるのに対し、今年9ヶ月間の成長率は年率6.2%に達しており、総じて3つの四半期全体を通じて安定的に推移したと述べている。
しかし記事は、同報道官が内外の経済状況は複雑なままだと述べたと伝えたうえで、現在の経済減速の原因の多くは、国内要因、すなわち個人消費の鈍化、インフラ支出の伸びの低迷にあり、企業収益も圧迫され、地方政府は借入金返済に苦慮し、債務危機の不安を生み出していると報じる。また貿易戦争が中国側の努力を複雑なものにしており、それが生み出した不確実性が経済の減速防止を妨げていると指摘する。
上述のように記事は、経済の減速は、米中貿易戦争の影響を受けてはいるが、現段階では主たる原因は国内要因にあると述べ、貿易戦争の打撃はこれから出てくるとの見方を示す。
10月18日付フィナンシャル・タイムズも「Slowing Chinese growth delivers blow to global economy(中国経済の成長鈍化、グローバル経済に打撃)」と題する記事で、第3四半期の中国経済が約30年間で最低の伸び率となり、グローバル経済の成長にさらなる打撃を与え、習近平国家主席が多くの課題に直面していることを明らかにしたと論評する。国家統計局の金曜日の発表によれば、中国と米国との貿易戦争、所得の伸びの鈍化と製造業による投資の冷え込みが7、9月間の世界第2位の経済に大きな打撃を与えたという。
ただし記事は、成長率は1980年代後半の水準にまで落ち込んだが、経済規模は当時より遙かに大きく、90年代までの2桁台の成長率を維持するのは不可能だとコメントし、コメルツ銀行のシニア・エコノミストは、6%は市場に対するストレステストだ、と語り、中国は6%が禁断の底辺ではないとのシグナルを発信しており、さらに若干低い成長率を受け入れる用意があるように思われる、と述べていると伝える。
また記事は、国家統計局の発表に先立って、国際通貨基金(IMF)が今年の世界経済成長率が世界的金融危機以後で最低となる3%にまで低下するとの予想を発表したと報じ、米中貿易戦争やブレグジット、中東情勢などの不安定要因のため米欧で設備投資が控えられており、中国もこれに加わっているとのエコノミストの見方を紹介する。そのうえで、アナリストは固定資産投資の回復を期待しているが、建設活動の伸びは第2四半期の年率5.5%から第3四半期には同4.7%へと大きく落ち込んだと伝える。
さらに中国の統計数字の正確性について従来から疑問が付されており、実体は公式数字よりも悪い可能性があると指摘、習主席が直面する頭痛の種として真っ先に貿易戦争、次いで香港の政治的危機、豚コレラの大流行を挙げる。このため中国の政治制度が急速に冷却する経済に耐えられるか、という論議が提起されていると報じる。さらに問題点として失業率の上昇、銀行の業態悪化、経済成長の恩恵を受けていない地方住民の前途への希望の後退などを挙げ、とりわけ社会の安定にとって重要な失業率に政府高官は注目していると伝える。最期に、輸出の落ち込みと共に内需も弱くなっており、産業界は既に不況に陥っていると述べ、問題は政府が積極的な金融緩和なしに、いかに成長を支えるかにあるとのエコノミストの見解を紹介する。
以上のようにメディアは、現在の経済減速の原因の多くは個人消費の鈍化、インフラ支出の伸びの低迷などの国内要因にあると指摘する。貿易戦争についても、中国側の努力を複雑なものにしており、それが生み出した不確実性が経済の減速防止を妨げていると分析する。こうした中国経済の低迷がグローバル経済の成長にさらなる打撃を与えると憂慮を表明、IMFは今年の世界経済の成長率が世界的金融危機以後で最低となる3%にまで低下するとの予想を発表したと伝える。この他にも成長鈍化に伴う失業率の上昇、統計数字の正確性などの問題も挙げる。
以上のようなメディアの指摘や懸念は当然と言えよう。しかし、中国経済が何時までも2桁台、もしくは、それに近い成長率を維持できないのも当然であり、中国政府としては今後、低迷の要因として指摘された国内諸問題の解決策と合せ、米中貿易問題についても思い切った譲歩を検討するなど、早期の解決を目指す必要があろう。
☆ 最近の香港情勢について
台湾や中国への犯罪人引き渡しを認める逃亡犯条例への挑戦として始まった抗議デモは、エスカレートして暴力が激化、要求は「普遍的な参政権」や警察による残虐行為の調査、投獄されたデモ参加者への恩赦要求にまで拡大している。10月17日付フィナンシャル・タイムズは「Inside the battle for Hongkong(香港の戦いの内幕)」と題する記事で、抗議デモは今や最大の反中民主化運動と化し、この若者主導の抗議運動によって香港は永遠に変化したと評し、次のように論じる。
6月に始まった抗議活動は、天安門事件以後の最大の反体制の民主化運動となり、真の敵が中国であるのは周知の事実として香港を最悪の政治危機に陥れた。香港情勢が中国の将来に持つ意味は計り知れない。香港に民主的将来を認めれば、中国は多様性の受け入れを認めたことになり、弾圧すれば、アジアの金融ハブと西側との関係を共に危険にさらす。
しかし確かなことが一つある。最強の独裁国家に対する若者主導の運動が、香港を既に永遠に変えてしまったのだ。事態が街頭デモから反体制運動に発展するに伴い、香港は中国本土から分離した存在という明確なアイデンティティが次第に深まっていったのである。中国にとって香港は、国際金融センターや中国と世界をつなぐゲートウェイとして価値があるが、最近の抗議デモによって、こうした評価が傷つき、経済もビジネス信頼感の低下や観光客の急減、小売売上高の落ち込みによって、世界的金融危機以後で初めてとなる不況に直面している。
上記のようにフィナンシャル・タイムズは香港が抗議デモの拡大によって政治的に大きな変化に見舞われたと指摘、金融センターの機能や中国と世界を結ぶゲートウェイとしての評価が大きく傷ついたと評する。他方、不況に直面した経済について11月1日付ウォール・ストリート・ジャーナルは香港のホテルはゴーストタウンと化し、米企業の4分の1近くが香港から資本や資産を引き揚げることを検討しており、香港は今や、正式なリセッション(景気後退)に陥っていると次のように報じる。
10月30日発表された統計によると、香港の7-9月期(第3四半期)の域内総生産(GDP)は前期比3.2%減と、09年以降で最も急激な落ち込みに見舞われた。前年同期比でも2.9%減少した。主に中国本土からの旅行客も激減、小売売上高は落ち込んでいる。この結果、2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退に突入した。社会的混乱ばかりか米中貿易戦争や世界的な成長鈍化も打撃を及ぼす。陳茂波(ポール・チャン)財政官はブログへの投稿で、景気後退が丸一年続く恐れがあるとの見方を示した。
こうした満身創痍の香港経済に、さらに打撃を与えているのは、香港からの資金逃避である。10月16日付フィナンシャル・タイムズは、数千人の香港富裕層が長引く香港での騒乱から身を守るための緊急措置として、シンポールその他の金融センターの銀行に口座を開設していると伝える。記事は、関係筋の情報として、UBS、HSBC、Pictet、クレジットスイスなどの銀行では香港顧客の開設する海外口座が急増していると報じ、中国政府の香港自治に対する脅しへの大規模な抗議デモが4ヶ月間も続くなか、こうした動きが加速していると述べる。
ただし、ある欧州の銀行の例では、シンガポールで口座は増えたが、香港における資金の減少は1%弱程度であり、同行幹部は、香港で失ったものをASEANで取り戻している、と語っている。また別の銀行幹部は、こうした資金の流れに関連して香港の林鄭行政長官に対し、抗議デモと中国政府が推す香港政府との間の対決が迅速に解決されないと、金融センターとしての香港は資金逃避のリスクを冒すことになる、と警告を発した。ただし関係者によると、実際に香港から逃避した資金は少ないという。その一方で、香港で業務を行っているシンガポールの銀行幹部は、口座数はこの3ヶ月間で以前よりも増えており、口座の金額も100万から200万シンガポール・ドルと中規模程度が一般的だと語っていると記事は報じる。
また記事は最近の香港経済について次のように伝える。8月に入り小売売上高が単月としては記録的な低下を示し、観光客も40%急減した。国際通貨基金(IMF)は今週初、今年の香港経済の成長率を4月に予想した4%から0.3%へ下方修正した。林鄭行政長官も16日、延期していた所信表明演説を抗議デモの要求で再開、そのなかで、香港がテクニカルな景気後退に入ったと語った。
上記のように報じた記事は最期に、富裕層と上流中間層の資金と信頼を失った香港は景気悪化に拍車がかかり、アジアの金融センターとしての地位が脅かされていると論評する。
以上のようにメディアは最近の香港情勢について、抗議デモは中国政府に対する反体制の民主化運動に発展し、それが香港のアイデンティティを呼び起こし定着させたと述べ、経済についても景気悪化によりテクニカルな不況に陥り、富裕層らによる資金流出にも見舞われ、金融センターとしての評価が大きく傷ついたと報じる。危機に陥った香港は、中国指導部に対して重大な挑戦を突き付けているが、指導部は依然として強硬姿勢を崩していない。
台 湾
☆ 中国政府、台湾企業や個人に対する優遇策を発表
新華社電によると、中国政府は11月4日、台湾の企業や個人に対する優遇策を発表した。優遇策は26項目からなり、企業には高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの整備や、テーマパークなどの分野で台湾企業の中国進出を促す一方で、個人には不動産購入に便宜を与えるなどという内容で、同日施行した。
7日付英エコノミスト誌は、優遇策は台湾との経済関係を強化する意図があり、5G移動通信の他に航空業界への投資や中国での起債、さらに台湾人観光客に中国領事館の支援を認めるなど幅広い内容となっていると報じ、中国政府は昨年にも中国に居住する40万人の台湾人の生活の便益を容易にする31項目の同様趣旨の施策を公表していると伝える。
ただし台湾政府の対中政策を担当する大陸委員会は、中国が来年1月11日に行われる総統選挙に影響を与えようとしていると非難した報じ、中国当局は香港での民主化デモに対する非妥協的態度で多くの台湾市民を驚愕させたこと、また台湾と外交関係を有する数少ない国を目下、台湾から奪い去っていることから、ここで友好的姿勢を見せたいと強く望んだためと思われると論評する。
こう報じた記事は、台湾企業の対中投資額は今も他国を上回っているが、近年、その金額は大きく落ち込んでいると指摘、2010年には対中直接投資額で84%を占めていたが、今年9か月間では34%に減少したと報じ、その主因として中国における人件費の高騰と米中戦争の激化を挙げる。昨年の31の施策についても大陸委員会は、執行では全く不十分だと指摘していると述べ、一例として、大陸に6か月間居住した台湾人は中国人と同じサービスを受けられるはずだが、信用獲得などで不便を感じていることを挙げ、大陸に住む台湾人ほど台湾に対する愛国心を強めていると報じる。
以上のように中国は来年の総統選を意識して、台湾市民に訴えるような施策を打ち出してきた。その意図は、親中的な国民党候補を後押しすることにあると推測されるが、台湾政府は当然、こうした中国政府の接近姿勢を一蹴している。すでに中国からの撤退を決める台湾企業が増えており、香港情勢もあり台湾市民の中国に対する意識も冷え込んでいる。このことは蔡英文現総統への支持が回復している現象から見て取れる。中国政府の今回の施策によって、台湾有権者の警戒感が緩むことはあまり期待できないとみるのが妥当であろう。
韓 国
☆ 抗議デモで弱体化する文政権
家族の不正疑惑で批判を受けていた曹国(チョウ・グック)法相が、就任後1カ月となる10月14日に辞任した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、疑惑の渦巻く曹国氏の法務大臣任命を強行して以来、これに抗議するデモが首都ソウルで続いていた。曹氏はソウル大学教授や大統領民情首席補佐官などを務め、文政権が重要な選挙公約のひとつとして掲げた検察改悪の最適任者とされていた。
10月14日付フィナンシャル・タイムズは、抗議デモが2020年4月に国会選挙を控える文大統領の政治基盤を弱体化させていると報じる。記事は、曹国法相を政府高官の汚職を調査する組織の設立を含む検察改革案の立案者だと述べる一方、数週間に及ぶ抗議デモは、経済成長の鈍化と相俟って文政権の支持率を就任以来最低となる水準に押し下げ、来年4月に予定されている議会選挙に対する与党、民主党の希望に影を落としていると指摘する。
また支持率の低下によって、文大統領は司法制度改革や北朝鮮の金委員長との和平会談の再開などの選挙公約の実行に支障を来していると論評、梨花女子大学のレイフ・エリック・イーズリー教授は、これによって2020年4月の選挙は問題含みとなり、文大統領は北朝鮮問題で主導権を握りにくくなる、と語っていると伝える。
検察改革の必要性について記事は、検察庁は長く韓国における政治腐敗の中心に位置し、保守政権下で反政府活動家を標的とする政治の道具となっていたと批判されてきたと述べ、ただし検察は最近の数週間、曹一族関連の資産を調査し、曹氏の家宅捜査を丹念に行っていたが、同氏はこれまでのところ不正行為で非難されていないと伝える。
ただし、こうした曹一族に対する検察の容赦ない捜査は、曹氏を支持する人々の間に政府に対する怒りと司法改革を求める声を呼び起こしたと記事は述べ、捜査は行き過ぎと思われ、検察の意図に対する疑問を抱かせた、との一般市民の意見を紹介、これに対し検察は、捜査には政治的動機は一切ないと否定していると報じる。
記事は最後に、とはいえ政府は多くの難題を抱えていると指摘、行き詰まりを見せる米朝と南北関係、グローバル経済の減速や米中貿易戦争と日本との外交摩擦が輸出主導の韓国経済に与える悪影響を挙げ、国内で深まる政治的分裂は文氏にとって明らかに重荷となっており、来年の総選挙後に任期途中でレイムダック化するかもしれない、との在ソウル、シンクタンクの見方を伝える。
同じく14日付ニューヨーク・タイムズも、曹法相の辞任は、何週間も大規模な集会を開催してきた市民の勝利だと報じるが、文氏と曹氏を支持する人々も大規模な抗議集会を開き、検察が捜査を利用して曹氏を追放し、文氏の検察改革努力を阻止したと非難していると伝え、こうした政治の分極化拡大によって文大統領は、支持率の低下など大きな犠牲を払ったと評する。
なお記事は、曹氏は辞任直前、検察庁のいわゆる特別捜査局の大幅縮小を含む新たな改革案を発表したと報じる。特別捜査局は検察内部の強力なエリート組織で、政治的に敏感な刑事事件を指揮していた。世論調査によると、韓国の検察官に対して国民は深い不信感を抱いており、時の権力者の意を体して行動していたとみられていたと伝える。
以上のように文大統領が強権をもって法相に任命した曹国氏は、就任1カ月で結局、辞任に追い込まれた。形ばかりの改革案を発表したものの、検察改革は未完のままで文大統領は国論の分断と政権基盤の弱体化という高価な代償を払った。一部のシンクタンクが指摘するように、弱体化した政府与党が来年の総選挙で敗退すると文政権はレイムダック化するリスクを負うことにもなった。こうした厳しい状況の中で、文政権と与党が生き残りをかけて、経済を含む、どのような対策を打ち出してくるかに注目したい。
北 朝 鮮
☆ 好戦的で、逞しくなった金委員長
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、かつて南北経済協力の象徴だった金剛山観光地区について韓国側の協力を得ずに再開発する計画を示したと10月23日付ウォール・ストリート・ジャーナルが伝える。記事は23日の国営メディアの報道として、金剛山を訪れた金委員長は、「独自に現代的な新施設を建設するため」に韓国側が建設した観光施設を撤去するよう指示したと述べ、前任者が金剛山事業で韓国に依存し過ぎたと不満を吐露し、故金正日総書記への批判ともとれる異例の発言をしたとコメントする。
専門家らは、金委員長の金剛山視察と再開発計画の表明は、北朝鮮が経済制裁にも関わらず大型建設事業を推進することができるという米韓へのメッセージだとしている。ソウルの調査機関、IBK経済研究所の研究員は、金剛山観光地区は金正恩委員長にとって重要なプロジェクトであり、経済制裁が再開を妨げていることに不満を示していると述べていると伝える。
また記事は南北協力プロジェクトのこれまでの経緯について概略次のように報じる。金剛山観光地区は北朝鮮東部にあり、1998年にオープンしたが、08年に立ち入り禁止の軍事区域に侵入したとして韓国人女性が北朝鮮兵士によって射殺された事件が発生、それ以後ほとんど廃墟と化していた。韓国政府の統計によれば、それまでに200万人ほどの韓国人観光客が訪れ、金体制が大いに必要とする外貨を供給していた。観光旅行を組成していた韓国企業の現代アジア(株)のスポークスマンは08年までに約4億8700万ドルの収入を北朝鮮政府に支払ったと語っている。
この金剛山リゾートと非武装地帯近くにある南北朝鮮ファクトリーパークが1950年から53年の朝鮮戦争後に韓国と北朝鮮政府が共同開発した唯一の主要事業だった。ファクトリーパークでは、韓国企業が繊維や日用品を生産し、5万人の北朝鮮人を雇用していた。しかし2016年、北朝鮮が核開発を続けたため韓国企業は撤退した。18年9月に文大統領と金委員長は平壌での首脳会談で2つの南北事業の再開に合意したが、その後、ほとんど進展がなく、これが北朝鮮の不信を招いていたと記事は伝える。
記事は最期に、金委員長は金剛山観光地区に続いて父親、金正日の生誕地とされる神聖な白頭山を馬に乗って訪れ、北朝鮮の苦境は「経済制裁の継続」と米国主導の軍事力による圧力が原因だと非難したと報じる。
上記のような金委員長の一連の行動について10月24日付エコノミスト誌は、北朝鮮の苛立ちと宣伝に注意せよと述べ、金委員長は米国との対話を断念しようとしていると警告を発する。記事は、こうした金委員長の心変わりで打撃を受けているのは、北朝鮮への熱心な求愛者だった韓国の文大統領で、利用されるだけで終わったと指摘する。
しかし記事は、同時に金委員長が昔ながらの不機嫌な態度に戻ったのは、金自身による「パブリック‐ディプロマシーの壮大な失策」のためだという専門家の見方を伝える。金委員長は、文大統領の楽観論に引きずられ、究極の目標である核ミサイル計画についてトランプ米大統領との合意が簡単に取り付けられと思い込み、それが昨年2月のハノイ・サミットでの計算違いのやりとりと10月の実務交渉の唐突な終結という結果を生んだと述べる。米側もトランプ大統領に弾劾の霧が立ちこめるなか、北朝鮮に集中する余裕がなくなるなど、米朝交渉には当面、好材料がなくなったと指摘する。
ただし北朝鮮は5月から新型の弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、米国の神経を試しているが、この間、北朝鮮は核兵器の拡充とミサイル改良を推進したことになり、その限りでは金委員長の狭い視野から展望すれば大いなる成功になるはずだとし、これは同時にトランプ大統領にとっては大失敗になると主張、そして今まで以上に好戦的で、逞しくなった金正恩氏が戻ってくるだろうと予言する。
以上のように側近を引き連れて白頭山に上った金委員長は、変身を遂げたのではないかとメディアは伝える。南北経済協力の象徴だった金剛山観光地区について韓国側の協力を得ずに再開発すると宣言、北朝鮮の苦境は「経済制裁の継続」と米国主導の軍事力による圧力が原因だと声高に非難している。そうした言動の背後には、停滞し進展が期待できない米朝と南北関係があるとメディアは指摘する。そして金委員長は対話を断念する一大決心をしたと予想、いっそう逞しく、好戦的となった金委員長が再登場するのではないかと予言する。不気味な予言だが、その可能性は高い。
東南アジアほか
シンガポール
☆ 景気後退入り寸前の経済
シンガポール経済が景気後退入り寸前の状態にある。14日付ブルームバーグによれば、貿易産業省が発表した第3四半期の国内総生産(GDP)(速報値)は前期比0.6%の増加となり、前四半期の同2.7%減からプラス成長に転じ、辛うじてテクニカルな不況に陥るのを回避できた。なお前年同期比では0.1%増と前期と同じ伸び率だった。
シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行に相当)は成長見通しに悲観的で、インフレ率は伸びが鈍いまま推移すると見込み、16年以来となる金融緩和に同日踏み切ったが、その上で、金融政策のさらなる調整の用意があることを示唆した。MASは主な政策手段として為替相場を用いており、シンガポール・ドルの為替レート政策バンドの傾斜を「若干」緩やかにするとともに、インフレや成長の見通しが大幅に弱まれば、「金融政策の再調整」の用意があると述べている。
10月17日付フィナンシャル・タイムズも第3四半期の経済はテクニカル不況入りを回避したが、短期的な見通しは弱いままだと次のように報じる。非石油輸出は米中貿易戦争とグローバルな経済成長の低迷により、9月に7ヶ月連続で下落した。政府機関のエンタープライズ・シンガポールによれば、9月の輸出は前年同月比8.1%減となった。これは8月の9%減より若干改善したことになるが、ロイター通信によるエコノミスト予想の7%減よりも悪化した。
小規模の輸出主導のシンガポール経済は、東南アジア諸国の中では世界経済の成長減速や米中貿易紛争の影響を受けやすい立場にある。対照的に、同じく輸出主導のベトナムやカンボジャは貿易紛争から恩恵を受けている。DBSのエコノミストは、両国は米関税による打撃を受けることなく中国製と同じ低テクの製品を生産できると語っている。しかし高付加価値部品やコンポーネントを輸出するシンガポールは同じ利益を享受できない。DBSエコノミストは、他の東南アジア諸国よりもシンガポールは間違いなく重荷を背負わされている、と指摘する。
以上のように輸出環境が悪化するなか、シンガポール経済も不況入り直前の状況に陥った。金融当局は景気てこ入れのための施策を推進しようとしているが、米中貿易戦争の動向によっては景気後退入りが避けられないかもしれない。MASの采配に注目したい。
インド
☆ 経済と民主主義を痛めつけるモディ首相
インドでも経済が低迷している。10月24日付エコノミスト誌によれば、第3四半期の経済成長率は年率で5%に落ち込んだ。因みに昨年前半の成長率は8%だった。記事はさらに、銀行その他の金融機関は2000億ドルもの不良債権を抱えて危機に瀕しており、9月までの半年間の企業向け融資は88%も減少、準備銀行(中銀)は既に6回連続で利下げを実施したが、商業銀行の企業向け貸出金利の低下に結びついておらず、いずれにしても企業は投資をしていないと報じる。また個人消費も横ばいもしくは低下しており、自動車やモーターバイクの売り上げも20%減少し、中央と地方政府の財政赤字は合算すると国内総生産(GDP)の9%に近づいていると伝える。
次いで記事は、モディ首相は前政権から多大な問題を引き継いだが、法人税を25%へと地域他国並みに引き下げたほかは、ほとんど何も解決していないと失望感を表明、なすべきことは明白だと概略次のように論じる。
まず与党人民党のナショナリズム的思想との近さよりも、能力と経験を重視した経済チームを組成し、金融危機と低迷する消費に取り組むべきだ。銀行システム立て直しには、銀行と最近、多額の融資に走っている規制の緩いシャドーバンクにストレステストを実施する必要がある。また銀行には、必要な先があれば、資本を増強すべきだ。最終的には国有銀行は民営化し、シャドーバンクは他の金融機関と同様の健全性規制の下に置いて然るべきだ。
広範な民営化によって政府は需要喚起に必要な資金を手に入れられる。また政府は地方の貧困層をインフラ整備事業で雇用する貧困削減策「マハトマ・ガンジー全国農村雇用保証計画」のような政策を梃子として活用すべきだ。長期的には、税制、労働法、土地所有規制そして厄介な保護主義的関税などは全て徹底的に見直すべきだ。
これらの多くは数十年間にわたって歴代政権の課題だったが、長い停滞を経て変革の必要性は高まるばかりだ。そして議会を掌握し、ビジネス寄りと評され、沈滞する経済を救済する必要のあるモディ首相の登場で、インドはようやく改革を遂行する力と動機を持つ指導者を得た。ただし怖いのは、同氏が経済を掌握しないで改革者としての姿勢を放棄し、強固なヒンズー・ナショナリストに全面的に変身することだ。
上記のように論じた記事は最期に、イスラム教徒が多い北部ジャム・カシミール州の自治権剥奪や、人口の3分の1を占めるイスラム教徒を不法移民として取り締まるためのアッサム州での国民登録の導入とそれを全国に拡大しようとする動きを挙げ、経済問題が一段と問題視されるなか、こうしたモディ首相の政治姿勢はますます非難に値すると主張する。
以上のように記事は、インドが直面している喫緊の課題として経済改革を指摘し、具体的に取り組むべき問題として金融危機と低迷する消費を挙げ、さらに国有銀行の民営化や健全性基準によるシャドーバンクの規制を提言する。問題点として、モディ首相と与党、人民党のヒンズー・ナショナリズムへの偏向を挙げ、それがインド民主主義を毀損していると批判する。
記事が指摘する経済改革は正に歴代政権の課題であったと言え、議会で安定した勢力を維持するモディ政権として真っ先に取り組む必要があるのは当然であろう。他方、ヒンズー・ナショナリズムへの偏向もモディ政権につきまとってきた批判であり、2期目に入ったモディ首相が自ら払拭に努める必要がある。
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主要紙の社説・論説から
日本の外為法改正案に厳しい批判
日本政府は10月18日に外国為替及び外国貿易管理法(以下、外為法)改正案を閣議決定した。改正案では、外国投資家の株式取得にかかわる事前届け出で基準がこれまでの10%以上から1%以上に引き上げられる。狙いは、中国への知的財産の漏洩と中国による技術入手目的の投資の防止にあり、こうした法制度改革を既に実施している米英、EU政府と足並みをそろえることにある。
ところが、この改正案が日本による新外資規制政策として海外メディアの批判を浴びている。先頭に立っているのはフィナンシャル・タイムズやエコノミスト誌の英国メディアである。まずフィナンシャル・タイムズの社説からみていく。10月28日付同紙は社説「Japan risks chilling effect with new FDI law (危険をおかす日本、新直接外国投資法案には萎縮効果あり)」で、新法によって企業統治を改善しようとする日本の野心が損なわれると概略次のように警告を発する。
日本で検討されている外国直接投資に関する新法によると、外国投資家は国家安全保障への脅威となるので、その意図を事前に日本当局に通知しなければならない。新法の狙いは合法的だが、1%の閾値はあまりにも低すぎる。執行に当たっては外国投資に対する萎縮効果を回避するために格別の配慮が必要になる。
日本の動きは外国投資の規制強化というグローバルな流れの一環である。米国は昨年、「2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」(Foreign Investment Risk Review Modernisation Act)によって外国投資家による不動産取得と企業買収を審査し防止する当局の権限を強化した。英国も目下、敏感な資産取得を防止する権限強化に関する昨年の提案の是非を検討中である。こうした動きの背景には、敏感な技術の取得を目指す中国への懸念がある。
現在の日本の閾値10%はグローバル基準では高いが、新閾値は最小値であり、しかも幅広い産業分野に適用される。航空宇宙、放送、鉄道、ソフトウエアなどである。外国投資家が大騒ぎをするに伴い、日本の当局は市場の恐れを沈静化すべく動き、包括的適用除外を提案、これには証券会社による日常的な株式売買、対象企業を支配する意図のない外国の銀行や保険会社、資産マネジャーなどが含まれることになった。財務省は、非敏感株式と見做すホワイトリストの作成も検討しているようだ。
しかし適用除外は、投資家が当該企業への役員の任命や同社株式の一部売却を望まない場合にのみ適用される。これは経営を動かそうとするアクティビスト投資家や、また業態に問題が起きた際にはアクティビスト投資家として行動を起こそうと考える一般投資家にとっても懸念材料となるのは明らかだ。アクティビスト投資家はこの数年間、日本で企業統治の向上に大きく貢献し、リターンの改善のために経営陣に圧力をかけてきた。後日、アクティビスト投資家として行動を起こすことが妨害されることが明らかになれば、日本株購入への明確な阻害要因となる。日本政府は外国投資家を歓迎するとし、株式取得は国家安全保障の見地からのみ審査すると述べているが、過去においてアクティビスト投資家を抑止した例があり、また国家安全保障という理由は柔軟に解釈される余地が大きいことで悪名高い。
こう論じた社説は最期に、最近数年間における日本の心配事はアクティビズムであるのは疑いないと述べ、ヘッジファンドが東芝の株主になったり、アクティビストファンドのバリューアクトキャピタル( ValueAct Capital ) がオリンパスに役員を派遣したりした例を挙げ、これとは対照的に中国からの警戒を要する投資は少なく、しかも非上場の企業が関係する可能性が大きいとみられると指摘する。そのうえで、日本の国会には改正案の内容を変える時間的余裕が残されていると述べ、閾値の3から5%への引き上げを真剣に考えるべきだと主張する。
さらに10月26日付エコノミスト誌は、「Japan’s new investment rules risk scaring off foreign investors(日本の新投資規則、外国投資家を怯えさせるリスクあり)」と題する記事で、アナリストは新法の真の標的はアクティビスト投資家ではないかと疑っていると報じ、概略次のように新法案への批判を一段と強める。
10月8日に公表された外為法改正案は、多くの上場企業について日本政府の事前許可なしで取得できる最小限の出資比率を現行の10%から1%へ引き下げると共に、外国人役員は就任に先立ち正式な許可を取得することが義務づけられた。財務省はエネルギーや兵器製造などの敏感な分野の保護が狙いだと説明しているが、アナリストは、この規制は対日投資の息の根を止める可能性があると指摘する。財務省は、銀行や保険会社などのポートフォリオ投資家は企業の経営に影響を及ぼす意図がない限り、事前許可は不要と説明しているが、幾つかの懸念がくすぶっている。
第1は、法案が原子力や航空宇宙の他に農業、運輸、海運、インターネットなど幅広い分野を対象としていることだ。第2に、何が違反とされるのかが不明確なことである。またアナリストの一部は、新規則によって申請書が従来の8倍増えると結論づける。要するに、対日投資は厄介で時間を浪費する投資ということになる。財務省は、新法はグローバルな立法措置に追い付くための措置だと語る。欧州連合(EU)は4月に対内投資の審査を厳格にした。米国も審査体制を拡大し、中国による敏感なテクノロジーへのアクセス減らすよう日本に求めている。しかし在京の外銀筋は真の標的はアクティビスト投資家だと語っている。彼ら曰く、日本語のワーディングでは、役員会で何か言いたい投資家を標的にしていることがあからさまなのだ。
上記のように報じた記事は、アクティビスト投資家は長らく日本企業に対して、非中核事業を売却し、現金を貯め込むことを止めるよう求めて戦ってきたが、近年、日本の大企業と衝突していると述べ、日産に対してゴーン元会長時代への決別を求めた例や、九州鉄道に対してニューヨークの投資ファンドが株主へのわずかなリターンを引き上げるよう要求した例などを挙げ、多くの外国投資家は、企業統治改革に対する日本政府の真剣度に疑問を付していると指摘する。
以上のようにメディアは、外為法改正案は中国を牽制するためのグローバルな動きに沿った立法措置だとしも、中国からの投資は警戒を要する案件が少なく、また非上場企業が関係するケースが多いと考えられるなどと述べ、真の標的はアクティビスト投資家であると指摘、企業統治改革に対する日本政府の真剣度に疑問を提起する。そのうえで、外資の出資比率が1%以下に抑えられた場合、日本の企業統治改善に貢献してきた米欧のアクティビスト投資家が日本市場から遠ざかり、企業統治向上の流れが後退する恐れがあると警告する。
こうしたメディアの批判は、日本政府は誤解や曲解として受け止めるかもしれないが、誤解は解消しなければならない。誤解が生じる一因は、現行の10%を一挙に1%に引き下げることにあるのではないか。そこまで下げる理由について当然、説明が必要となるが、それが十分に果たされているようにみえない。また企業統治改革に向けた政府の真剣度が問われているが、これについても政府は再度、明確な姿勢を示す必要があろう。
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(主要トピックス)
2019年
10月16日 韓国銀行(中央銀行)、政策金利を0.25%引き下げて年1.25%とし、即日実施。
18日 中国国家統計局、7~9月の実質国内総生産が前年同期比6.0%増と発表。
伸び率は全四半期より2期連続で縮小、四半期で統計を遡れる92年以降の
過去最低を更新。
20日 中国主導で世界インターネット大会、開催(浙江省烏鎮)。
22日 天皇陛下、即位の礼。国内外から2千人の来賓。
24日 安倍首相、来日した韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相と会談。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領からの親書を受け取る。
25日 北朝鮮が金剛山観光地区の南側(韓国)施設撤去計画について協議を申し込む
通知文を送付してきたと金錬鉄(キム・ヨンチョル)韓国統一部長官が発表。
28日 米連邦通信委員会(FCC)、国内通信会社に中国の華為技術(ファーウェイ)と
中興通訊(ZTE)の製品不使用を求める採決実施を発表。
31日 北朝鮮、再びミサイル2発を日本海に発射。
中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議、香港の管理強化に向けた
新法律制度と執行の仕組みを整備する方針を明記したコミュニケを採択。
11月 1日 インドの原発にサイバー攻撃。北朝鮮に関与の疑惑。
3日 東アジア首脳会議、開催(バンコク)。中国による南シナ海の軍事化に反発高まる。
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、開催。共同声明で東アジア地域包括的
経済連携(RCEP)について2020年の署名をめざす方針を明記。
4日 安倍晋三首相、バンコク郊外で韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と接触。
元徴用工訴訟に関する韓国大法院判決が国際法違反であり韓国側に
是正を求める日本の立場を伝達。
6日 スティルウエル米国務次官補、訪韓。
日韓軍事情報包括的保護協定(GSOMIA)の延長を要請。
8日 トランプ米大統領、発動済みの対中制裁関税の撤廃に「合意していない」と言明。
撤廃で米国と一致したとの中国政府発表との食い違いが表面化。
10日 天皇、皇后両陛下、即位記念パレード。
12日 香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官、デモ隊の政治的要求に
応じない姿勢を明確にし、抗議活動拠点の大学キャンパスに警察を動員、
学生多数を逮捕。
13日 ミリー米統合参謀本部議長、来日、GSOMIAが失効すれば、中国や北朝鮮を利するとして
懸念を表明。
14日 新興5カ国(BRICS)首脳会議、開催(ブラジルの首都ブラジリア)。
中国の習近平国家主席、香港の抗議活動を徹底的に取り締まる考えを演説で表明。
15日 訪韓したエスパー米国防相、GSOMIAの延長を再度要請。
主要資料は以下の通りで、原則、電子版を使用しています。(カッコ内は邦文名)THE WALL STREET JOURNAL(ウォール・ストリート・ジャーナル)、THE FINANCIAL TIMES(フィナンシャル・タイムズ)、THE NEWYORK TIMES(ニューヨーク・タイムズ)、THE LOS ANGELES TIMES (ロサンゼルス・タイムズ)、THE WASHINGTON POST(ワシントン・ポスト)、GUARDIAN(ガーデイアン)、BLOOMBERG・BUSINESSWEEK(ブルームバーグ・ビジネスウイーク)、TIME (タイム)、THE ECONOMIST (エコノミスト)、 REUTER(ロイター通信)など。なお、韓国聯合ニュースや中国人民日報の日本語版なども参考資料として参照し、各国統計数値など一部資料は本邦紙も利用。
前田 高昭
金融翻訳ジャーナリスト、社団法人 日本翻訳協会 会員、翻訳家。
訳書に『チャイナCEO』他。
『東アジアニュースレター』配信中。
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