大きくする 標準 小さくする

第3回 詩歌の世界で

2021/02/08

【新特集連載】翻訳の観点から日本語を再考する    
第3回 

詩歌の世界で

森島英一
(モリシップラン・オフィス)

 
  
商社勤務で23.5年間海外在住(オスロ⇒ロンドン⇒ニューヨーク⇒ソウル)、そして、その後の造船所経営も含め、英語を日常的に使っていた(使わざるをえなかった)ものとして、
「詩歌の世界」から英語と日本語の対比(文章構造、音節構造、押韻)を考えて見たいと思います。 

私は造船会社完全退任後、個人(勝手)事務所<モリシップラン・オフィス>を設営し、①船舶ビジネスの頼まれ仕事、②洋書の和訳、③日本の歌の英語への雰囲気訳、万葉集の短歌の雰囲気訳、といったことを、趣味と実益を兼ねる形で(投入時間は半々)やっております。②については米国著者の海運にまつわる小説二冊を和訳の上、著者の協力を得て、発刊、通販(アマゾン・ブックス)しております。③について少々説明を加えますと、日本のいい歌、好きな歌の雰囲気訳を試み、これまでに20曲余りの制作に成功しており、YouTube並びに私のブログ(http://morishiplan.com)にアップしております。

雰囲気訳と言うのは、歌(歌謡曲であれ、短歌であれ)の英語への直訳、逐語訳ではなく、その歌の持つ素晴らしい雰囲気をできるかぎり守りつつ、外国人に向けて日本の詩歌、日本文化の紹介をしようとする試みです。日本の古代文化、そして現代文化の海外への輸出(!)を目指すものです。

前置きが長くなり恐縮ですが、この作業をやる中、改めて、日本語と英語の対比、コントラストが浮かび上がって来たもので、実証的にご紹介したいと思う次第です。
主な対比点として三つあり、1⇒2⇒3の順で大事になってきます。 

1. よく言われることですが、日本語は話し言葉にしても、文章、詩歌にしても、
  [私が」、「俺が」と言うのを余り文章中に出さないことですね。
  これに比べ、英語の場合、詩歌も含め、「I」(アイ)は必ずといって
  いいほどある。
  これは、皆さんも触れられている、集団主義と個人主義の違いでしょうね。
  そして自ずから雰囲気も違ったものになってきます。

2. 日本語の場合、全ての単語(名詞、動詞、形容詞を問わず)が
  複数の音節(シラブル)を持っており単音節語の方が珍しい。
       対して、英語の場合は、母音は一つはあるが、その前後に子音を
       たくさんつけることが多い。一つの文章を比べ、音節数から言うと、
       英語は日本語の半分位、と体験的に感じております。
      そこで、日本語の歌詞なり短歌なりの英訳を試みる場合、
      おおむね「字足らず」といった現象が起きます。

    例としては、私は貴女を愛しています」(15音節)、或いは、
       短縮形の「愛してます」だけでも6音節となります。
       一方、英語では、「I Love You」(3音節で完全形)です。
    そこで、歌ならリズムとメロデイ―があり、少ない英語歌詞で
       引っ張らなければいけない、という課題が出て来ます。
       短歌なら五・七・五・七・七というガイドラインがある。
       しかしこれは、メリットもある訳で、元歌の雰囲気
     (思想といってもいいでしょうか)を表現するために、
       少し言葉を作って添えてあげる、ということも可能になります。

3. ご存知の通り、英語の詩歌では、殆どの場合、押韻が込められています。
      色んな方式がありますが、通常は脚韻(一行の文節の末尾の言葉を二つずつ
      くらいの組み合わせで韻を踏ませながら進んでゆく)を与えるもので、
   これがあると、歌ったり、朗読する場合の「心地良さ」が生まれるものですね。

      私は昔から英語の歌と詩が好きで、古今の歌手、詩人の作品を研究してきています。
   日本語の詩の場合、韻と言うより、むしろ言葉選びの勝負という感じで、
     言葉の持つ語感、美麗さ、迫力などを重視しています。
     英語の場合は、漢字と異なり、全ての言葉がアルファベットから成り立って
     いるものなので、言葉自体の雰囲気が生まれにくいため、文章のリズムや
     流れで勝負と言うことであろうと理解しています。

こういった日英語間の対比をこなしながら、英語への雰囲気訳に没頭している日常です。

        
 

【プロフィール】
森島英一
船舶ビジネス<モリシップラン・オフィス>設営
http://morishiplan.com
米国著者の海運にまつわる小説「ザ・シッピング・マン」「進撃のヴァイキング」を和訳出版。
日本の歌の英語への雰囲気訳、万葉集の短歌の雰囲気訳を上記ブログに掲載

 

【シリーズ】「翻訳者の観点から日本語を再考する」について読者の皆様からご感想やご意見を頂きたくべく、特集を組んでおります。日本語について想うことお聞かせください。 

●投稿規定
・テーマ「翻訳の観点から日本語を再考する」 または、日本語について想うこと
 タイトルは皆さまご自由におつけください。

・原稿締め切り日(掲載号一週間前・日本時間)
 月後半号掲載分→15日締め切り
 月前半号掲載分→前の月末日締め切り

 例)2月22日(月)掲載分→2月15日(月)
     3月  8日(月)掲載分→3月  1日(月)

・ワードデータで文字数の目安は1,000字から2,000字
   文末に個人プロフィールを2,3行必須  

・この投稿には基本的には原稿料はお支払いしませんが、
 ワーキング生には5,000ポイント付与

皆様の貴重な考えを多くの読者と共有させてください。

下記E-Mail宛にWordファイル添付送信願います。
原稿送付先     葛西優子
 ykasai@babel.co.jp
              
CC.で 堀田都茂樹  hotta_t@nifty.com

編集部宛投稿メール

編集部宛の投稿は以下のフォームからお送りください。

みなさまの投稿をお待ちしております。

 

【編集部宛メールフォーム】