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第1回 日本語の変化 

2020/12/07

【新特集連載】日本語を再考する    
第1回 

日本語の変化

田所 美穂
(バベル翻訳専門職大学院修了生)

 
  
 今回の特集を読んで日本語について考えたいと思います。記事の中で、英語の「Good morning」(英語のI wish you a good morning.)について、日本人と英米人の考え方の相違が書かれていました。英米人は、まず主語を先に述べ自己を主張する表現がとられています。一方、日本人は、お互いの状況を共感し言葉を表現するといいます。恐らく、個人主義と集団主義を基調とされているのではないかと思います。個人の意思が何よりも尊重される英米社会とは異なり、日本社会での個人は、集団の一員として全体の調和を保つために自己制御することが要求されてきました。しかし近年、日本の構造である集団主義社会(縦社会)は、個人の実力主義・平等主義の社会へと変わりつつあるようです。

 日本が完全に個人主義社会(横社会)となれば、「日本語」がどのように変化するのだろうか検討してみます。日本の集団主義社会(縦社会)の構造イメージとして、「出る杭は打たれる」「意思統一」「年功序列」などありますが、個人主義社会のなかでは淘汰される言葉だと思います。また、その逆に、これまでの日本語(言葉表現)が表面化することもあるだろうと考えます。例えば、集団主義社会において、物事を潤滑に運ぶために「すみません」と、自己制御する謝罪表現がありますが、個人主義社会となれば、謝罪表現の多用を避けて「ありがとう」と、感謝を表す表現に転換する方向になるのではないかと思います。

 この先、日本において外国人労働者を雇い入れる企業も増加傾向にあり、横社会の構造で育てられた外国人が加わり、個人の実力・平等主義が意識化され広がりをみせるだろうと見做します。

 このような中、外来語名詞の短縮語について、毎年新たな言葉が増えています。周知のとおり、「テレビジョン」はテレビ、「コンビニエンスストア」はコンビニ、「パーソナルコンピューター」はパソコンなどがあります。しかし、外来語だけではなく、日本語も毎年多くの短縮語が増えています。世間一般に知られている「あけおめ」(あけましておめでとうございます)や「育休(育児休暇)」など短縮化された言葉は、メディアを通じてその略語が定着しているようですが、私自身は少し違和感を覚えます。

 米国に住んでいると、興味深い言葉や面白い単語や熟語を時々目にします。つい今しがた、台所にある調味料「七味唐からし」の瓶に、NANAMI TOGARASHIと書いてあるのを発見しました。製造元は日本のS&B株式会社でしたが、海外向けの発売では一味唐辛子と発音が混同するという事で、NANAMI TOGARASHIと表記されているようです。「七」が訓読みで書いてあり、七味は、湯桶読み(最初を訓読みで、次を音読み)に変化していました。

 漢字には訓読みと音読みがあるので見分け方が難しいかもしれません。特に、検定試験に出るような以下の例文は、日本語を学習している人達には難しいようです。「11月10日は日曜日で祝日、晴れの日でした」5つの「日」の読みかた[か/にち/び/じつ/ひ]で苦労されているようです。

 私も語学を学習する一人として、母国語以外の言語を習得することは本当に大変です。しかし、日本語においても、毎年新たな言葉が誕生していくなかで、言語は使用しないと忘れていくので、日常会話レベル以外の日本語学習も継続していかなければいけないものだと実感しています。


【プロフィール】
田所美穂
日本の企業で通算して10年以上勤務した後、アメリカワシントン州に移住。2020年バベル翻訳専門職大学院を卒業し、新たなスタートを期待しています。


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