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翻訳と通訳の距離 / デジタル通信技術

2020/09/23

【新連載】翻訳と通訳の距離    
第2回 


翻訳と通訳の距離 / デジタル通信技術

田所美穂
(バベル翻訳専門職大学院生)

 

通訳者に求められる技術/翻訳者に求められる技術
 私たちが通訳を必要とするのは、ある言語(ソース言語)の会話やニュースなど通訳者(音声)を通して、母国語(ターゲット言語)で即時に理解できることであると考えます。一方、翻訳の必要性とは、原文(ソース言語)からターゲット言語に変換された後、その翻訳を文章で理解できることであると考えます。これらの相違点を挙げると、まず、受信側への伝達手段として、通訳者は、音声で伝えているのに対し、翻訳者は、文章に起こして伝えています。次に、各両者の作業に求められる作業時間ではないでしょうか。通訳は、発言者の言葉を読み取り即座に通訳しなければならないことから、通訳者に求められる技術は、リスニング力であるといえるでしょう。翻訳の場合は、文章の表現形式、文字数などに制限や規制があるうえ、等価性の重視が求められるため作業時間を費やします。そのことから、翻訳者に求められる技術は、リーディング力を重視するといえるでしょう。

テクノロジーの進化による翻訳と通訳
 コロナ禍の中で、会議や学校教育において遠隔で行こなわれる時代に突入し、テクノロジーの進化によってビジネスの構造や社会も変化し、働き方が変わり始めている中、字幕翻訳、動画翻訳、放送通訳のメディア翻訳を掘り下げて検討してみたいと思います。現在、動画チャンネルの多様化に伴い字幕翻訳、動画翻訳は需要が拡大し、今後ますます成長する分野だと感じています。字幕翻訳や動画翻訳は、主に文章に起こして翻訳の領域として作業することになりますが、画像を聞き取る作業も伴うためリスニング力も必要不可欠でしょう。つまり、これらの翻訳は、通訳者に求められる技術も必要であるという点です。そして、放送通訳というのは、リスニング力は勿論のこと、様々な話題や問題などが放送されるわけなので、幅広い知識力が当然必要となるでしょう。通訳は、言語を瞬時に読みとり目標言語に変換して音声で伝えているが、事前の下調べ等(幅広い知識)の観点からみても、翻訳者に求められているリーディング力の技術も伴うと思います。このことから、メディア翻訳に関して、両者に必要とされる技術的な側面から考えると、翻訳と通訳の距離は縮まりつつあるのではないかと思います。

「通訳業と翻訳業との付帯サービス」とAI
 最後に、「通訳業と翻訳業との付帯サービス」について考えてみます。通訳業と翻訳業の共通点を一言でいえば、異なる言語を他の言語におきかえるということですが、通訳業に翻訳サービス、翻訳業に通訳サービスをどのように付帯するか検討してみます。通訳と翻訳の語学においての相違点は、通訳が「話し言葉」に対し、翻訳では「書き言葉」です。そこで、通訳者が翻訳を行う場合、訳文を作成するテキスト形成力(書き言葉に適した訳文)が必要とされるでしょう。一方、翻訳者が通訳を行う場合、口語的の対応力が求められると考えます。必要なスキルや仕事内容は全く異なるため人材確保に困難が生じると思われますが、サービスの付帯する部分はコンピューターを利用する事で解消できると思います。例えば、各専門業は人が行い、付帯サービス部分をAIのようなシステムが行うこともありうるのかなと思います。既に、このようなシステムが存在するかどうかは存じませんが、変化の激しいこの時代の中で生きるために、顧客がいつでも任意にアクセスでき、満足できる付帯サービス(付帯サービスだと感じさせないぐらい)を提供し、顧客にインパクトを与えることで利用者が増えるかなと思います。
 

 

【プロフィール】
田所美穂
日本の医療系の会社で店舗の立ち上げ業務に関わり、経理・総務職を経験した後、アメリカワシントン州に移住。子育てに専念した後、2016年よりホテルに勤務。スキルアップ向上のためバベル翻訳専門職大学院修了を目指して学習中。今後のキャリアアップに繋げていきたい。