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第29回 ハワイ書籍レポート ー マリ・ピンダー
2020/11/07
世界の出版事情 ― 各国のバベル出版リサーチャーより
第29回
ハワイは8月に2回目の外出禁止令が出され、今は経済再開プランの2段階目に入っています。日本やアメリカ本土の様子を見ていると、ハワイの規制がどうしても厳しく感じてしまいストレスになったこともありました。諸々の事情が重なり、気がつけば9ヶ月もサーフィンから離れていました。きっとそれが良くないのかもしれないと、最近時間を作って海に入るようにしています。どんなことがあってもサーフィンが規制されることがなかったハワイですが、久しぶりにサーフィンをしてみて、これを禁止したらきっと暴動が起きただろうなと思いました。
しばらく観光客を見かけなかったハワイですが、10月15日から、条件付きでアメリカ本土からの観光客受け入れを再開しました。ワイキキのデューク・カハナモク像前で写真を撮る観光客を久しぶりに見かけるようになり、少しずつハワイに活気が戻ってきているように感じます。日本からの観光客受け入れも前向きに検討されているようなので、少しずつハワイ経済が上向きになっていくことを願うばかりです。
今回紹介する書籍は、近代サーフィンの父であり、アロハ親善大使として知られるデューク・カハナモクについての作品です。1890年に生まれ、1968年に亡くなったデューク。ハワイはデュークの生きた77年の間に、君主国→暫定共和国→共和国→準州→戒厳令発令→州と激動の変化を遂げていきました。1778年にハワイ諸島がジェームズ・クックに発見された後、布教活動の妨げとなるという理由からサーフィンは禁止され、1898年にはワイキキで一人のサーファーが目撃されたくらいで、ほぼ消滅しかかっていました。1900年代初め頃から再び人々がサーフィンをするようになり、デュークはサーフィン復活の中心的な役割を担いました。そして、1912年のストックホルムオリンピックの水泳の100m自由形で、ハワイに初めての金メダルをもたらしました。その後、アメリカ本土やオーストラリアでサーフィン技術やサーフボード作りについて広める活動をし、本当に多くの人に影響を与えました。
毎年8月終わりのデュークの誕生日付近に「デュークス・オーシャンフェスト」が開催されていましたが、当然今年はキャンセル。来年の8月には、多くの人が笑顔でこのイベントに集えるといいなと思っています。

Duke A Great Hawaiian (2004)
著者:サンドラ・キンバリー・ホール
作品について
デュークの伝記ですが、その生涯だけでなくハワイやサーフィンの歴史についてもふれられています。デュークがハワイとサーフィンにどれほど大きく貢献したか、数々のエピソードが書かれています。デュークはハワイのアロハ親善大使としても知られていますが、正式にその役割を任命されたのは、1959年ハワイがアメリカ合衆国の50番目の州になった時でした。
著者について
サンドラ・キンバリー・ホールは、デュークがサーフィンを教えたオーストラリアのビーチで育ちました。1967年アメリカのアリゾナ州へ移住し、1990年からはハワイ在住です。”International Encyclopedia of Women in Sports”(2001年出版、邦訳なし)の「サーフィン」の項目を担当しています。サーフィンの歴史についてたくさんの雑誌や新聞の記事を書いています。

Memories of Duke (The Legend Comes to Life) (1995)
著者:サンドラ・キンバリー・ホール、
グレッグ・アンブローズ
作品について
この書籍は、「デュークについて書かれた他の書籍と明らかに異なるものである」と序文に明記されています。「他の書籍はデュークが成し遂げた偉業について単に整理されて書かれたものであるのに対して、この作品は素晴らしい写真と洞察に満ちた逸話から成り、デュークの人間像がありのままに浮かび上がってくる」とあるように、雑誌や新聞記事、手紙を多数引用し、読み進めていくうちに、デュークのことをとても身近に感じられるようになっています。オリンピックでメダルを獲得した後、LAに移り住みおよそ30本の映画に出演したことや、ハワイに戻り州の保安官の職に就いたことなど、デュークの人生を事細かに知ることが出来ます。
著者について
サンドラと共にこの書籍を世に送り出したのは、グレッグ・アンブローズ。前回のハワイ書籍レポートで紹介したレル・サンの本の編纂をしたのもグレッグです。ハワイで生まれ育ち、サーファーでありジャーナリストでもあります。
【プロフィール】
マリ・ピンダー
バベル翻訳専門職大学院在学中。ホノルル在住9年目で1児の母。ハワイで制作されているバイリンガル雑誌trimの翻訳をしています。日本にいた頃は、幼児向け英語教材の編集をしていました。
【記事で紹介された作品】
第29回
ハワイ書籍レポート
アロハ親善大使
アロハ親善大使
ハワイは8月に2回目の外出禁止令が出され、今は経済再開プランの2段階目に入っています。日本やアメリカ本土の様子を見ていると、ハワイの規制がどうしても厳しく感じてしまいストレスになったこともありました。諸々の事情が重なり、気がつけば9ヶ月もサーフィンから離れていました。きっとそれが良くないのかもしれないと、最近時間を作って海に入るようにしています。どんなことがあってもサーフィンが規制されることがなかったハワイですが、久しぶりにサーフィンをしてみて、これを禁止したらきっと暴動が起きただろうなと思いました。
しばらく観光客を見かけなかったハワイですが、10月15日から、条件付きでアメリカ本土からの観光客受け入れを再開しました。ワイキキのデューク・カハナモク像前で写真を撮る観光客を久しぶりに見かけるようになり、少しずつハワイに活気が戻ってきているように感じます。日本からの観光客受け入れも前向きに検討されているようなので、少しずつハワイ経済が上向きになっていくことを願うばかりです。
今回紹介する書籍は、近代サーフィンの父であり、アロハ親善大使として知られるデューク・カハナモクについての作品です。1890年に生まれ、1968年に亡くなったデューク。ハワイはデュークの生きた77年の間に、君主国→暫定共和国→共和国→準州→戒厳令発令→州と激動の変化を遂げていきました。1778年にハワイ諸島がジェームズ・クックに発見された後、布教活動の妨げとなるという理由からサーフィンは禁止され、1898年にはワイキキで一人のサーファーが目撃されたくらいで、ほぼ消滅しかかっていました。1900年代初め頃から再び人々がサーフィンをするようになり、デュークはサーフィン復活の中心的な役割を担いました。そして、1912年のストックホルムオリンピックの水泳の100m自由形で、ハワイに初めての金メダルをもたらしました。その後、アメリカ本土やオーストラリアでサーフィン技術やサーフボード作りについて広める活動をし、本当に多くの人に影響を与えました。
毎年8月終わりのデュークの誕生日付近に「デュークス・オーシャンフェスト」が開催されていましたが、当然今年はキャンセル。来年の8月には、多くの人が笑顔でこのイベントに集えるといいなと思っています。
著者:サンドラ・キンバリー・ホール
作品について
デュークの伝記ですが、その生涯だけでなくハワイやサーフィンの歴史についてもふれられています。デュークがハワイとサーフィンにどれほど大きく貢献したか、数々のエピソードが書かれています。デュークはハワイのアロハ親善大使としても知られていますが、正式にその役割を任命されたのは、1959年ハワイがアメリカ合衆国の50番目の州になった時でした。
著者について
サンドラ・キンバリー・ホールは、デュークがサーフィンを教えたオーストラリアのビーチで育ちました。1967年アメリカのアリゾナ州へ移住し、1990年からはハワイ在住です。”International Encyclopedia of Women in Sports”(2001年出版、邦訳なし)の「サーフィン」の項目を担当しています。サーフィンの歴史についてたくさんの雑誌や新聞の記事を書いています。
著者:サンドラ・キンバリー・ホール、
グレッグ・アンブローズ
作品について
この書籍は、「デュークについて書かれた他の書籍と明らかに異なるものである」と序文に明記されています。「他の書籍はデュークが成し遂げた偉業について単に整理されて書かれたものであるのに対して、この作品は素晴らしい写真と洞察に満ちた逸話から成り、デュークの人間像がありのままに浮かび上がってくる」とあるように、雑誌や新聞記事、手紙を多数引用し、読み進めていくうちに、デュークのことをとても身近に感じられるようになっています。オリンピックでメダルを獲得した後、LAに移り住みおよそ30本の映画に出演したことや、ハワイに戻り州の保安官の職に就いたことなど、デュークの人生を事細かに知ることが出来ます。
著者について
サンドラと共にこの書籍を世に送り出したのは、グレッグ・アンブローズ。前回のハワイ書籍レポートで紹介したレル・サンの本の編纂をしたのもグレッグです。ハワイで生まれ育ち、サーファーでありジャーナリストでもあります。
【プロフィール】
マリ・ピンダー
バベル翻訳専門職大学院在学中。ホノルル在住9年目で1児の母。ハワイで制作されているバイリンガル雑誌trimの翻訳をしています。日本にいた頃は、幼児向け英語教材の編集をしていました。
【記事で紹介された作品】
記事一覧
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- 第45回 アメリカ書籍レポート-柴田きえ美 [2022/04/07]
- 第44回 アメリカ書籍レポート - 柴田きえ美 [2022/02/07]
- 第43回 カナダ書籍レポート - クリーバー海老原 章子 [2022/01/22]
- 第42回 アメリカ書籍レポート - 柴田きえ美 [2021/12/07]
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