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第28回 カナダ書籍レポート ー クリーバー海老原 章子

2020/10/22

世界の出版事情 ― 各国のバベル出版リサーチャーより
第28回
 

 
カナダ書籍レポート
話題の『Riverdale』-ロケ地はカナダ

クリーバー海老原 章子
(翻訳者、バベル翻訳専門職大学院修了)


 

 カナダだけではなく北米の若い世代に人気のNetflixシリーズと言えば、『Stranger things』『Outer Banks』『13 Reasons Why』『Glee』『Anne with an “E”』 や 『Gilmore Girls』など、いろいろありますが、ティーンエージャーであれば「見たことがある」「もちろん全シーズン見た!」という方は多いのではないでしょうか?この中で日本で配信されているものは限られているかもしれませんが、ご覧になったことはありますか?

 そんなNetflixの番組の中でも、最近、身近で話題になっているのが『Riverdale』というシリーズです。アメリカで1940年代に生まれた漫画シリーズ『アーチー・コミック』をベースにドラマ化されたものと言われています。アメリカのごく普通の町「リバーデイル」に住む高校生たちの青春を描いたものですが、この「リバーデイル」という町には、信じられないような事件が次々と起こるのです。話題になっているという理由は、ドラマの設定はアメリカなのですが、撮影ロケ地がブリティッシュコロンビア州のバンクーバーを中心に行われているからです。

 ドラマの中で事件のカギを握る深い森のシーンやスイートウォーターリバー の撮影には、ブリティッシュコロンビア州立公園近くのアルエット湖、リバーデイル高校はバンクーバー市に実在する高校、またリバーデイル高校の生徒たちのたまり場『Pop's Chock'lit Shoppe』というバーガーとミルクシェイクのお店は、実在する『Rocko’s Diner』というダイナーが使われています。カナダにとって重要なメープルシロップもたくさん登場します。ブロッサム家が所有する壮大なメープル農場はラングレー市の農場が舞台になっています。 

 この『Riverdale』はティーンエージャーだけではなく、その親の世代(まさしくわたしの年代!?)にも人気があると言われていますが、それは1990年代の青春ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』を彷彿させるからかもしれません。当時ビバリーヒルズ高校白書に出演していた俳優さんが主人公の父親役を演じているのも話題のひとつですね(この父親役だったLuke Perry氏はシーズン3の撮影中に脳卒中で急逝しました。それも記憶に新しいところです)。 

 カナダで注目を浴びる理由のもうひとつが、ドラマのキャストがロケ地であるバンクーバーで毎年行われるチャリティー・イベントに積極的に参加し、地元ファンたちとの交流を大切にしていることのようです。残念ながら、新型コロナ感染症の影響で現在は撮影が一時中断されていますが、日本では『リバ―デイル』のタイトルで配信されていますよね。新シーズンが待ち遠しい限りです。

 今回はこの『Riverdale』の原書4巻セットをご紹介します。わたしは個人的に書籍を先に読んでから、映画やドラマを見るタイプです。そして「ここは原作に近い」とか「ここはちょっとイメージしたのと違う」とか勝手に批評しながら楽しむのが好きなんですが、Riverdaleは先にドラマを見てしまったので、今回は逆パターンで書籍を楽しみたいと思います。美しいカナダの自然やレトロ感漂うダイナーをイメージしながら、読んでみるのはいかがでしょうか。

   Riverdale: The Collection (Novels #1-4 Box Set)(2020年)
  著者:ミコール・オストウ
  邦訳なし:『リバーデイル』(仮)
 






作品について
 人気のNetflixシリーズ『Riverdale』の原作4巻セット。次の4冊で構成されている。The Day Before: ジェイソン・ブロッサムが死体で見つかる前のそれぞれの登場人物の日常を描いたもので、この日を境にリバーデイルにはいろいろなことが起こる。Get Out of Town: アーチ―、ベティー、ベロニカとジャグヘッドはアーチ―の汚名を晴らすため、ロードトリップに出かけるが、田舎町リバーデイルでの噂がついて回る。The Maple Murders: リバーデイル恒例のお祭りで、この町には暗い過去の歴史があることを知る。どんどん深みに引きづりこまれていく。Death of a Cheerleader: ベティーとベロニカが所属するチアリーダーチームのリバーデイル・ヴィクセンズのひとりが謎の死を遂げ、さまざまな事件が起こる。

著者について
 さまざまな年代向けに50冊以上の作品を出版するミコール・オストウは米国で注目を集める若手作家。大学を卒業後、出版社に編集者として採用されたミコールには、米国のテレビシリーズ『Buffy the Vampire Slayer』 『Charmed』のゴーストライターとしての下積み時代がある。その後、ヤングアダルト向けの小説を手がけるようになり『Riverdale』は彼女の代表作のひとつ。現在は米国ニューヨーク市ブルックリン在住。

 


【プロフィール】
クリーバー海老原 章子
バベル翻訳大学院法律翻訳修了。結婚後は夫の仕事の関係でマレーシア、トロント、アラブ首長国連邦に居住。現在は、カナダBC州のナナイモに一家5人暮らし。これまでに担当した書籍翻訳は3冊。フリーランスとして翻訳のお仕事をしています。


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