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第11回 イギリス書籍レポート ーイギリスの育児本 ー大橋佑美

2019/09/07


世界の出版事情 ― 各国のバベル出版リサーチャーより
第11回 

イギリス書籍レポート

-イギリスの育児本




       
           
  大橋佑美 (翻訳者、バベル翻訳専門職大学院修了)
 
 
 私は現在、4歳の息子と2歳の娘の子育て真最中。周りのお父さん、お母さんを見ていると、育児には本当にさまざまなやり方があるのだなと実感させられます。日本では常識とされていることが、所変われば非常識となったり、この国の常識は、日本人の私にとっては少し信じられないことであったり。唯一の共通点は、どの親も子育てに悩み、奮闘している、というところでしょうか。

 いろいろな国のいろいろなやり方を知ることで、自分のやり方を客観的に見直すことができ、さらに良い方法を見つけるきっかけにもなります。そのため、私は以前より、イギリス流の育児法や最近イギリスで注目されている育児法を、日本のお父さん、お母さんにも紹介したいと考えてきました。

 そこで今回は、私が育児をする中で、実際に手にした本をいくつか紹介させて頂きたいと思います。


①    スリープトレーニング(いわゆるネントレ)についての本 
 
   
The New Contented Little Baby Book:
   The Secret to Calm and Confident Parenting

  ジーナ・フォード著

   邦訳:
   『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』
   
2007年 朝日新聞出版
   高木千津子訳

 
 イギリスのカリスマ・ナニー、ジーナ・フォードによるスリープトレーニングのメソッドが解説された一冊。赤ちゃんの生活リズムを新生児のうちから整えることで、赤ちゃんが夜通し寝られるようになる、赤ちゃんを寝かしつける必要がなくなる、とイギリスでは一大ブームとなりました。邦訳出版後には日本でも話題になった一冊ですので、「ジーナ式」という言葉を耳にしたことがある方も多いことでしょう。

 添い寝が一般的な日本と、寝室は親子別室が普通のイギリス。赤ちゃんの睡眠という観点からは真逆ともいえる文化の違いが存在するため、日本人の私にとっては理解しがたい部分ももちろんありますし、本国イギリスでも赤ちゃんによって合う・合わないが明確に分かれるという評判です。それでも、ジーナ式を応用し、自分と我が子のライフスタイルに適合させながら取り入れていくことで、日本のお母さんたちの生活が少しでも楽になればいいなと思います。

 一つ言えることは、赤ちゃんの睡眠に関して、親の苦労は万国共通ということですね。


②    離乳食についての本

 
  
Baby-led Weaning
 赤ちゃんのための赤ちゃんによる離乳食(仮)

 
 ギル・ラプリー、トレーシー・マーケット著





 著者はイギリスで話題のBaby-led Weaning (BLW)の第一人者で、この本ではBLWの基本的な考え方から具体的な実践方法まで詳しく紹介されています。

 
BLWとは、読んで字のごとく、離乳食を赤ちゃんが主導で進めようというコンセプトです。日本の離乳食の進め方と言えば、ゴックン期→モグモグ期→カミカミ期というように段階を踏んで、親が赤ちゃんに与える食べ物の種類や形状を調整するというやり方が一般的かと思います。一方のBLWでは、離乳食を始める5カ月頃からニンジンスティックやパプリカ、キュウリなど親の食事に使った食材を赤ちゃんの前に並べます。そして赤ちゃん自身が興味を持った食材に自ら手を伸ばし、口に入れてみる、という過程を大切にします。赤ちゃんが食材で遊ぼうがお構いなしです。食べ物に興味を持たせること、自らの判断で口に運ぶことを最も重視する方法です。

 私自身、息子には日本式で、娘には
BLW
を中心に離乳食を進めてみました。おかゆを炊き、野菜を茹でてはすりつぶし、小分けにして冷凍し…と多大なる時間と労力を費やしても食べない0歳の息子相手にイライラしてしまったことが多々ありました。娘には、大人のメニューから取り分けた野菜スティックを与えるだけなのでストレスフリーな離乳食期でした。手間のかけ方は息子と娘でずいぶん差があったものの、結局二人ともよく食べる子に成長しています。

 離乳食で困っているお母さんに、是非ともおすすめしたい一冊です。


③    赤ちゃんとの関わり方についての本
  
 
     
Baby Play for Every Day
  赤ちゃんとの365の遊び(仮)

  
      スザンナ・スティール著

 






 月齢ごとに赤ちゃんとの関わり方を可愛らしい写真と読みやすい文章で解説している本書は、眺めているだけで幸せな気持ちになります。毎日毎日、まだ喋りもしない赤ちゃんと一対一で関わっていると、どうしても関わり方がマンネリ化してくることもありますが、この本にはそんな日々を打開してくれるヒントがたくさん詰まっています。

 また、月齢に見合った赤ちゃんとの接し方だけでなく、その時期のお母さんの身体について気を付けるべきことなど、まだまだ産後のダメージが抜けない母体についてのコラムも充実しています。

 日ごろの育児に煮詰まっているときも、可愛い赤ちゃんの写真やカラフルな挿絵を見るだけで少し癒されますし、お部屋のインテリアとしても映える装丁デザインとなっています。赤ちゃんとの遊び方、関わり方のアイデアが満載の、おしゃれな一冊です。


④    オムツ外し(いわゆるトイトレ)についての本
     
         Potty Training Magic
   魔法のトイトレ(仮)

   
アマンダ・ジェナー著





 こちらは子育ての難関の一つ、オムツ外し(トイレ・トレーニング、トイトレ)についての解説書です。段階を追って、手順や注意点など詳細に書かれており、初めて子供のトイトレに挑戦する親にとって非常にわかりやすいマニュアルとなっています。

 一方で、「お兄さん/お姉さんパンツ
(Big girl/boy pants)」、「ご褒美ステッカー(Reward stickers)など、日本式のトイトレと共通する内容が多く、あまり目新しい内容はありません。

 つまり、トイトレに早道・抜け道はないということですね……。



 

【プロフィール】
大橋 佑美(おおはし ゆみ)
英国在住、二児の母。
2018年にバベル翻訳大学院の金融・IR専攻を卒業。今後はプロの翻訳者として活躍するべく、修行に励んでいる。しかし母親業に追われて、なかなか翻訳に十分な時間を割けていないことが悩みの種。




 

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