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第9回 アメリカ発ノンフィクション・ブック レポート - 柴田きえ美

2019/08/07


世界の出版事情 ー 各国のバベル出版リサーチャーより

第9回 アメリカ発ノンフィクション・ブック レポート




       
                               
柴田きえ美(翻訳専門職大学院生)
 
  

 暑さ厳しい夏、皆さまどうお過ごしでしょうか。日本のうだるような暑さの中、満員電車で通学・通勤している方々は本当に大変だと思います。私はカリフォルニアでも特に暑い地域に住んでおり、午後から夕方にかけて気温が40℃前後になる日もあります。そのため、午前中のまだ涼しいうちにできるだけ多くその日のタスクをこなせるよう、毎日奮闘しております。

 それでも、暑すぎて何もしたくないという日や仕事効率が落ちることがあります。特に深刻な理由なしに何となくやる気が出ない状態、いわゆる「やる気スイッチ」がオフ状態の時です。やる気スイッチを入れる正攻法と言われているのが、取り敢えず
5分だけやってみることだそうです。すると、慣性の法則ごとく脳は止まらずに進み続け、5分以上継続することができるのです。

 それ以外に私が実践している方法は、本を読んでやる気を分けてもらうことです。自己啓発系の本やビジネス書を読んでいると、自分もやってみようという気になります。新しい考え方や実践方法を取り入れ、試してみたくなるのです。そこで今回は、やる気を引き出すビジネス書をご紹介します。



       
   
The Coffee Bean:
      A Simple Lesson to Create Positive Change
(2019)
   
    コーヒー豆:簡単に創れるポジティブな変化(仮)
   
    著:ジョン・ゴードン、ダモン・ウェスト







作品について:
 人生は往々にして辛く厳しいもの。まるで鍋で沸騰するお湯の様。そんな環境に放り込まれた人間は、ニンジンのように柔らかくなってしまうこともあれば、卵のように固ゆでになることもあるでしょう。あるいはコーヒー豆のように内に秘める何かを見出し、お湯をコーヒーへと変えるかの如く環境を変化させる力を見つけることもできるのです。この本では主人公エイブが人生の様々な困難や葛藤を乗り越え、如何なる環境をも自分のプラスに変えて生きていく様を読者と共に追います。簡潔で分かりやすい文章にイラストが添えられていて、幅広い年齢に読み易い本です。

著者:
 ジョン・ゴードンは、アメリカで
10年以上前に出版され100万部を突破したロングセラー『最高の毎日を手に入れる人生の10か条』(訳:久保陽子) の著者です。その他これまでに、ポジティブな環境づくりを指南する『最強のポジティブチーム』(訳:稲垣みどり)など複数の書籍を出版し、人生を楽しむためのモチベーション作りを提唱しています。

 共著者ダモン・ウェストは、自身の半生を描いた『
The Change Agent』(仮訳:変化要因)を今年3月に出版しました。テキサスの敬虔なクリスチャンの家庭で育ち、恵まれた環境の中、学生アメフトのクオーター・バックとして活躍していたダモン。しかし、彼には幼少期の性的虐待、その逃避からの薬物中毒という秘密があったのでした。そして、懲役65
年で服役中に出会った自身の境遇と向き合う方法。それが、コーヒー豆のメッセージでした。


 
    
The 5 AM Club:
   Own Your Morning. Elevate Your Life (2018)


   朝5時クラブ:早起きで人生を切り開く(仮)  

   著:ロビン・シャーマ






作品について:
 著者が
20年以上前から提唱していた早起きのススメを実践的に書き記した一冊。早起きの習慣を身に付ける方法、朝の習慣がもたらすメリット、時間管理の仕方が、理由とともに分かりやすく書かれています。人生の苦難に直面している人物たちを小説風に描くことにより、読者は共感そして追体験することで、早起きの習慣を学びます。

著者:
 元弁護士のカナダ人作家、ロビン・シャーマは、これまでにリーダーシップや自己啓発に関する本を複数出版しています。
NikeGEMicrosoftといった有名企業のイベントでゲストスピーカーとして講演することもあります。主な著書は、『あなたにとって一番大切なもの : フェラーリを手放して、お坊さんになった男』(訳:鈴木智草)です。同書は自費出版したのち大手出版社ハーパーコリンズから再版されました。他にも『賢者のプレゼント : 富と愛と成功を引き寄せる魔法の法則』(訳:中野裕弓)、『3週間続ければ一生が変わる : あなたを変える101の英知』(訳:北澤和彦)などがあります。



  
    
Nine Lies About Work:
  A Freethinking Leader's Guide to the Real World (2019)

 
  仕事にまつわる
9つのウソ:
  自由思想をもつリーダーを現実世界へと導く本(仮)

  著:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドオール







作品について:
 フィードバックは必要とされている、組織の伝統が成功への鍵、じっくり戦略を練るのは必要不可欠…。あなたが知っている仕事の常識、噓っぱちかもしれません。そんな常識に囚われない自由思想のリーダーは、真実に気づくことができます。それぞれの個性を生かすことの大切さ、チームの親密度の方が会社の伝統よりもよほど重要であること、チームメンバーが求めるものは定期的なフィードバックよりも役立つ見守り、であると。これらが本当に仕事の世界で求められているものなのです。

著者:
 マーカス・バッキンガムはこれまでにもリーダーシップ・マネジメントに関する書籍を出版しています。代表作は、『まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う』(訳:宮本 喜一)、『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』(訳:加賀山 卓朗)など。

 アシュリー・グッドオールは、コロンビア大学でMBAを取得後、様々な大企業で実際に働く人々にとって最良のリーダーシップを学んできました。現在は
Ciscoのリーダーシップおよびチーム情報部門担当上級副社長を務めます。仕事効率やチームワークの向上を目指す新しい手法を提案する。

 

 最後に、ビジネス書とは異なりますがノンフィクション部門から、夏休みにぴったりな子供と一緒に楽しめる本をご紹介します。親は子どもにとってのリーダーです。子供のやる気と興味を引き出すアイデアを活用してみて下さい。


  
  
The Dad Lab:
     50 Awesome Science Projects for Parents and Kids
 (2019)
   
   TheDadLab:
親子で楽しむ理科実験50選(仮)
  
     著:サーゲイ・アーバン








作品について:

 STEM教育を取り入れた、家庭でできるDIY実験を紹介する本です。身の回りにあるもので、子供達に楽しく安全に理科を学んでもらおうというコンセプト。現代の忙しいお父さん・お母さんが子供達との時間を有効に過ごす方法を提供します。実験方法や現象の科学的背景を丁寧に解説しているので、親が子供達からの質問に答える手助けになります。

著者:
 ロンドン在住の主夫である著者は、数年前からインスタグラムに
2人の息子たちと家庭で出来る理科実験を投稿し始めました。その後、FacebookYouTubeチャンネルを開設し、続々とファンが増え続けています。TheDadLabとは、著者が開設したチャンネル名です。




【プロフィール】
柴田きえ美
カリフォルニア在住。
20171月からバベル翻訳大学院生としてリーガル翻訳を勉強中。これまでに4冊の翻訳出版に参加。JTA 公認リーガル翻訳能力検定試験2級を取得し、フリーランスで翻訳をしながら課題にも取り組む。