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第6回 ハワイ絵本レポート - マリ・ピンダー

2019/06/07


世界の出版事情 ー 各国のバベル出版リサーチャーより
第6回 

ハワイ絵本レポート

-ハワイ旅行の前におすすめ、家族で楽しめる絵本




       
              マリ・ピンダー(バベル翻訳専門職大学院在学中)

 
 

 
毎日何千人もの日本人が訪れるハワイ。今年のゴールデンウィークには、1日で7000人以上が日本から到着した日もありました。観光地の中心とも言えるオアフ島ワイキキでは、毎日フラショーが開催され、すぐ近くのビーチではたくさんの人がサーフィンしている光景を見ることができます。

 フラもサーフィンもハワイの大切な文化ですが、
1778年にジェームズ・クックがカウアイ島に上陸するまで、ハワイの先住民族は文字を持たない文化を形成していました。文化は口頭で伝承され、特にフラは踊りの動作やチャント(詠唱)で、歴史的な出来事や信仰を後世に伝えるために広まりました。

 サーフィンは
2020年の東京オリンピックに採用されるなど、今では世界中の人に馴染みのあるスポーツとなっています。しかし元々は、ハワイ王族のみが楽しめる高貴なものとされていました。

 年中温暖な気候、ホスピタリティー溢れる地元の人たち、加えて日系人含めたアジア人の多いハワイは、日本人旅行者にとって居心地の良い旅先です。一度訪れてその魅力にとりつかれ、リピーターとなる人も多いことでしょう。今回取り上げる
4冊は、ハワイの先住民族や文化について描かれた絵本です。子ども向けですがその内容は濃く、大人でも学びを得られるので、ハワイを訪れる前に家族で読むのにぴったりです。

The Island-below-the Star (1998)
作・絵:ジェームズ・ラムフォード


 



あらすじ
南太平洋の小さな島に住む
5人兄弟、ホク、ナアレ、オプア、マカニ、マヌが航海に出ました。地図のない時代に頼りになるのは、夜空に輝く星だけ。出発から数週間、大嵐が5人に襲いかかります。一大事を乗り越え、5人が目にしたものは?

作者・作品について
ジェームズ・ラムフォードは、数々の受賞歴を持つオアフ島ホノルル在住の作家です。平和部隊に参加した経験から、アジアやアフリカをテーマにした絵本を多く手がけています。

この絵本は、
1500年以上前にポリネシア人たちが長い航海の末にハワイ諸島を発見した様子を語っています。優しい語り口とシンプルかつ美しい水彩画が、絵本を読む人の想像力をかきたてます。


HOW THE ANT FAMILY CAME TO HAWAII (1993)

作:マイリ・ヤードリー
絵:ミリー・ウェリントン


 
あらすじ
日本に住む漁師のオカさんは、暖かい時期は沖へ出て漁をし、寒い時期になると漁に使う網とガラスの浮き玉の修繕をしていました。ある日、とても大きな浮き玉を作っていたオカさんは、完成させないうちに疲れて寝てしまいました。そこへやってきたのは、アリさん率いる、ありの大家族。浮き玉をちょうどいい住処とばかりに潜り込んでしまいました。そんなことは全く知らず、オカさんは漁に出ます。ところが気がついたらその大きな浮き玉がありません。網から外れた浮き玉は、波に乗ってどんどん運ばれていきました。アリさん家族は一体どうなるのでしょうか。


作者・作品について

2003年に亡くなったマイリー・ヤードリーは、フードコラムニストとして知られていました。ハワイの伝統料理を紹介した本の他にも、ハワイの歴史に焦点をあてた本ものこしています。ミリー・ウェリントンは詩人のデューク・ウェリントンを夫に持ち、マイリーもミリーもカウアイ島に居住していました。

「フトン」「タタミ」「バンザイ」など、日本人に馴染みのある言葉が出てくるこの絵本は、様々な文化が混ざり合うハワイならではの一冊です。



The Story of Hula (2004)
作・絵: カーラ・ゴレンビ

 


あらすじ
クム(先生)は子どもたちに語りかけます。「私がお母さんからもらった宝物。お母さんがおじいさんからもらった宝物。昔々から伝えられてきたその宝物、フラを、今日あなたたちと分かち合いたいと思います」子どもたちはたずねます。「クム、フラってなぁに?」クムは優しく答えます。「フラはね、、、」 

作者・作品について
フラとは何か、子どもたちの質問に答えるかたちでストーリーは進んでいきます。衣装や楽器、動作が意味するものが分かりやすく説明され、古くから伝わるフラへの畏敬の念を覚えると共に、フラを体験してみたくなります。付属のCDには音読されたストーリーやメレ(ハワイ語でチャントの意)が収録されています。


A Story of Surfing (2006)
作・絵:カーラ・ゴレンビ

 

あらすじ
小さなケアナは海が大好き。ワイキキでサーフィンする伯父さんにサーフィンを教えて欲しいと頼みますが、大きくなったらね、と言われてしまいます。ケアナは
8歳になり、ついにその時が来ました。「じゃあ明日。準備はいい?」と伯父さんは言いました。その夜ケアナは夢を見ます。ケアナは夢の中で波に運ばれ、様々な人たちに出会います。王族の子やデューク・カハナモク、レル・サン。皆、ケアナにサーフィンについて教えてくれました。さて、ケアナの初サーフィンの行く末は。

作者および作品について

“The Story of Hula”と同じく、カーラ・ゴレンビの作品です。
「波をよく観察してブレイクを見つけたら、白波をパドルして乗り越えて。波のてっぺんに来たら立ち上がって、その波をつかまえて家まで乗って帰るんだ」という繰り返しのフレーズ。サーフィンの歴史を語るのに外せない有名な登場人物たちも交えながら、サーフィンのことをより深く知ることができます。こちらもストーリーの音読が収録されたCDが付いています。


 

【プロフィール】

マリ・ピンダー
バベル翻訳専門職大学院在学中。ホノルル在住8年目で1児の母 。ハワイで制作されているバイリンガル雑誌Trimの翻訳をしています。日本にいた頃は、幼児向け英語教材の編集をしていました。





 

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