大きくする 標準 小さくする

<準備編>第1回 マルチステップ翻訳処理とは(公開記事)

2011/03/10


 
<準備編>第1回 マルチステップ翻訳処理とは
 

 

小室 誠一  翻訳システムテクノロジスト
(バイリンガルサービス事業 マネージャー、株式会社 バベル)

 

以前に、特集『グローバル時代の翻訳生産性を高める技術 』の中で『翻訳生産性を<20倍>にする ―「マルチステップ翻訳処理」』と題して簡単に「マルチステップ翻訳処理」を紹介させていただきました。
 
読んでみて、「何となく分かるような気がするが、本当にそんなことができるのか?」と思った人もいたかもしれません。「そんなに生産性を向上させる必要があるのか」と思った人には無縁のテクニックです。無理にお勧めするつもりはありません。
 
でも、少しでも生産性を上げて、最近の厳しい翻訳の世界で生き残りたいと考えている人にとっては非常に有効なテクニックです。ここから先は、そのような人だけお読みください。
 
ここでもう一度、「マルチステップ翻訳処理」のおさらいをしてみましょう。
 
マルチステップ翻訳処理(Multi-Step Translation Process)とは、翻訳支援ソフトを活用した翻訳生産方法のことですが、従来の翻訳ソフトや翻訳メモリソフトの使い方とは大きく異なりますので、はっきり区別するために「マルチステップ翻訳処理」という名前を付けました。
 
具体的には、翻訳メモリと機械翻訳を連動して高速で一定品質の訳文を作成し、それをチェック/リライトして翻訳文を完成させるワークフローのことです。
 
現在では翻訳支援ツールの進化により、以下に挙げる3ステップの処理をほぼ自動的に行うことができます。
 
(1)翻訳メモリ検索(完全一致):完全一致文があれば訳文を出力し、無ければ(2)へ。
(2)翻訳メモリ検索(文型一致):文型一致文があれば訳文を出力し、無ければ(3)へ。
(3)機械翻訳(ユーザー辞書) :ユーザー辞書を反映して機械翻訳エンジンで出力。
 
この自動処理を核として、以下の3ステップの作業を行います。
 
(A)テキスト加工(前処理)
 既存のデータから翻訳メモリやユーザー辞書を作成したり、原文を適切な形式に変換したり、その他の前準備を行います。
 
(B)マルチステップ訳文出力
 上記(1)~(3)のステップでほぼ自動的に訳文を出力します。出力した訳文は「中間編集」により修正しやすい一定の品質に整えます。
 
(C)チェック/リライト(後処理)
 マルチステップ訳文を原文突合せチェックおよび必要に応じてリライトを行い仕上げます。原文のレイアウトを保持したまま作業するので、翻訳完成後のレイアウト作業が不要です。
 
この(A)~(B)全体がマルチステップ翻訳処理ということになります。データの蓄積を適切に十分行うことによって、(A)と(B)の作業が軽減されるに従って、生産効率が飛躍的に高まります。
 
マルチステップ翻訳処理概念図
 
これらの作業はやろうと思えばすべて一人でできますが、(A)~(B)のステップを分担して作業することで大量・短納期の案件に対応できます。
 
マルチステップ翻訳処理を行うには一定のトレーニングが必要です。翻訳支援ソフトを導入しただけではうまく行きません。
 
それでは、どのようなトレーニングを行えば良いのでしょうか。
 
(A)と(B)のステップに関しては、以下のワークショップ形式のオンライン講座でノウハウを公開しており、すでに50名近い人たちがトレーニングしています。
 
「翻訳生産性向上のテクニック講座」
Part1 翻訳者のためのテキスト処理入門―「辞書作成の基本テクニック」
Part2 翻訳生産性向上のテクニック―「翻訳支援ソフト徹底活用」
 

今回、(C)チェック/リライトのステップを誌上講座として連載することになりました。
題して「マルチステップ翻訳ワークショップ<初級>」で、4月10日号から連載開始です(閲覧にはログインが必要になります)。
 
翻訳メモリソフト「OmegaT」を使って、マルチステップ出力文をチェック/リライトして訳文を完成させるテクニックについて、初心者にもできるだけ分かりやすく説明します。
 
さらに、ご希望の方には、連載記事を「テキスト」にした、実践スキルをマスターするためのオンラインワークショップを受講していただけます。「演習課題」や「Q&A掲示板」などで操作スキルをしっかり身に付けることができます(別途受講料がかかります)。
 
ここで、連載で取り上げる翻訳メモリソフト「OmegaT」の特長を簡単に紹介しておきましょう。
 
 
 
OmegaTの取扱説明ガイド(日本語版)から引用します。



OmegaT は、自由に使用できるコンピューター翻訳支援ツールです。主に以下のような特徴があります:
 
翻訳メモリ
OmegaT は、単語や分節をどのように翻訳したかを翻訳メモリに記憶していきます。同時に、それまでに記憶した翻訳内容をメモリから参照することができます。翻訳メモリは、同じ分節の繰り返しや、似通った表現が多く現れる翻訳に非常に便利です。OmegaT は翻訳メモリを使用して、以前行った翻訳内容を記憶し、翻訳しようとしている文章にもっとも適した翻訳の提案を行います。
翻訳メモリは、以前翻訳したドキュメントを更新するときに非常に便利です。変更されていない文章は自動的に翻訳され、更新された文章は未翻訳として扱われますが、翻訳済みの文章の中から翻訳候補が表示されるようになります。従って、元の文書の翻訳修正という点でも、とても簡単に扱えます。たとえば、翻訳会社や顧客から受け取った以前の翻訳メモリがある場合は、OmegaT がそれを参照用として使用できます。
OmegaT が使用する翻訳メモリファイルは標準的な TMX フォーマットです。このフォーマットをサポートする他の翻訳ツールであれば、その環境との相互使用が行えます。
 
用語管理
翻訳の一貫性を保つため、用語管理は重要です。OmegaT には用語集(glossary)の機能があり、(たとえば特定分野向けの)2 言語間の対訳集として、1 単語または短いフレーズの対訳を翻訳中に参照することができます。現在翻訳している文章中にそれらの単語が現れた場合、用語集ウィンドウにその対訳を表示します。
 
翻訳作業の流れ
翻訳対象がファイル 1つのこともあれば、いろいろなフォーマットのファイルが存在するサブフォルダを含んだフォルダ全体、という場合もあると思います。OmegaT は、指定された翻訳対象全体に対して、そこに含まれるファイル群をファイルフィルタ機能によって検出し、各ファイルのテキスト部分を認識します。さらに、分節化機能によってそのテキスト部分を複数の大きなまとまりに分割し、翻訳作業を行いやすいように順に表示します。翻訳作業中は、OmegaT は翻訳された内容を翻訳メモリに記憶していきます。未翻訳箇所に対しては、それまでのメモリ内容から分節ごとに翻訳候補を提示します。翻訳途中であっても、そのファイルが翻訳後どのように見えるのかを確認したくなった場合は、翻訳後のファイルを作成して適したアプリケーションで開くことができます。


 
少し補足しましょう。
 
●「翻訳メモリ」の「TMX フォーマット」は汎用性のある標準フォーマットです。
●マルチリンガル対応ですので、グローバルな翻訳にはぴったりです。
●原文のレイアウトを保持しながら翻訳できます。
●フリーソフトです。広告が表示されることもありません。
●操作が簡単です。プロジェクト設定が簡単で、すぐに使い始めることができます。
●Google翻訳連携機能があります。
 
連載「マルチステップ翻訳ワークショップ<初級>」は翻訳支援ソフト経験者だけでなく、初めて翻訳メモリソフトを使う人、ビジネス系の翻訳(学習)をしている人は大歓迎です。
 
OmegaTは「【連載】翻訳に役立つソフトウエア活用法」で取り上げたソフトウエアの中でもアクセス数が最も多かったソフトウエアです。この機会に注目度の高い翻訳支援ソフト「OmegaT」を使ったマルチステップ翻訳処理をマスターしましょう。
 

 

編集部宛メールフォーム

お名前:必須

メールアドレス:必須

メールアドレス(確認用):必須
(確認の為、同じものをもう一度入力してください)

記事タイトル:必須


メッセージ:必須

ファイル添付:

削除

定期購読のご案内


●年間購読●

(年間購読/24回配信)WEB版 The Professional Translator

(購読期間一年/24回配信)WEB版 The Professional Translator

6,000円 (税込 6,480円)


●半年間購読●

(6カ月間購読/12回配信)WEB版 The Professional Translator

(購読期間6ヶ月/12回配信)WEB版 The Professional Translator

3,600円 (税込 3,888円)




無料メンバー登録ご希望の方はこちらから!↓↓↓
(最新記事のみご覧いただけます。)

編集部宛投稿メール

編集部宛の投稿は以下のフォームからお送りください。

みなさまの投稿をお待ちしております。

 

【編集部宛メールフォーム】