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第二十四回 私にとってのCAP資格 -河田幸

2019/08/22

世界で活躍するビジネス・パーソンのパスポート―
アメリカCAP(Certified Administrative Professional)試験


第二十四回 私にとってのCAP資格




       
               
                
河田 幸(カワタユキ):横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー



 これまで
CAP資格の価値や魅力についてお話をしてまいりましたが、ここではそのまとめとして、
学習に取り組む意義を高め、付加価値を生み出すにはどうすべきか、という点を考えたいと思います。

 まず、積極的に学び取る姿勢を持つことです。
この試験は、指南書に沿って学習を積み重ね、練習問題に取り組むことで合格へ通じる検定式の試験ではありません。実務実績を持つ皆さんが情報を集め、戦略を練り、各自がそれぞれの方法で努力を積み重ねた結果、合格へとたどり着くよう期待されている試験なのです。決して楽な道程ではありませんが、情報収集力、プランニング力、目標達成への意思の強さと統率力、そして常にインプットをし続ける習慣という、ビジネス・リーダーとして欠かせない資質が身につくという大きなメリットがあります。それではこういった点を意識しながら勉強する方法をご紹介したいと思います。
 
 「
CAP Study Guide 3rd Edition147ページ(”Domain 3: Technology and Information Distribution”)にはずらりとIT用語とその定義が書いてあります。その中から、”Motherboard” に注目してみますと、”Board attached to the computer case. It is a central for plugging in all internal and external components.” とあります。これだけの説明で皆さんにとっては十分でしょうか。ヘルプデスクの担当者に「あなたのパソコンはマザーボードの交換が必要です。」と言われたら、あなたはどんな状況であると理解しますか。

 マザーボード(
Motherboard) は、キーボードやマウスの入力、モニターの出力等のPC機能を制御する働きを持つと共に、CPUやメモリも搭載されている重要な電子回路基板ですが、テキストにはこういった詳しい説明も、大きさや形状を示す写真も見当たりません。どうでしょう、疑問に感じませんか。
そう感じたら、必ず立ち止まって調べてみて下さい。インターネットの画像検索でも、関連図書でも簡単に調べはつくはずです。

 また前述の マザーボード の定義で、
”computer case” とありますが、 皆さんは “case” の意味は調べますか。簡単な英単語ですから調べずにそのまま先に進む方が多いのではないでしょうか。

 では伺いますが、日本語で何と訳すでしょう。
そのまま 「ケース」 ですか、それとも、フタ や カバー 、本体でしょうか。
 この場合の
”case” には、「筐体(きょうたい)」という定訳があります。ウエブのIT用語辞典や、「基本情報技術者試験」のテキストで情報を得ることは可能です。

 
CAP試験は全て英語ですから、日本語訳まで知らなくても良いと思う方もいらっしゃるでしょう。
でもバイリンガルな環境で仕事をするのであれば、日英両言語で学んだ方が実用的ではないでしょうか。
私の経験では、翻訳はもちろん、メール、文書、プリゼンテーションのスライドや議事録の作成、ミーティング等でも大いに役立ちました。また他の資格試験にも大いに活用できることは既にお話した通りです。

 次のポイントは、
CAPの学習を経てどうなりたいかという、「未来の自分像」を描くことです。
CAPの学習は、得意分野に関しては専門性を更に高め、未習得や未経験の分野に関しては、業務に必要とされる様々な材料を与えてくれます。ですから漠然と合格を目指すよりも、英語力を含め、どの分野に力を入れ、どんな能力を身に付けたいかを具体的に想定して、学習を始める方が効果的だと思います。

 先日の
CAP説明会でのお話です。ある外資系企業にお勤めだとおっしゃるAさんが出席して下さいました。ビジネススーツに身を包んだAさんは、私の説明に熱心にメモを取りながら耳を傾けたあと、CAPのテキストを手にすると、「このテキストを読むこと自体、私にとってはかなり大変です。」と不安そうにおっしゃいました。
 でも
Aさんの場合、CAPの勉強を通して、英文ビジネス文書を読みこなせる「未来の自分像」を目指そうとすれば、それは強力な動機付けになるのです。特に外資系企業で責任あるポジションに就く場合、コンプライアンス部を通さずに、英文の契約書の要旨を読み取れた方が早く指示を出すことができますから、生産性の高い働き方へとつながります。つまり、ここで大きく一歩を踏み出すかどうかで、Aさんの進路に大きな違いが出てくるのではないでしょうか。

 最初はハードルが高いと思われがちな
CAPの学習ですが、明確な目標を持った方は時間をかけてでも合格にたどり着けます。「未来の自分像」がしっかり描けているので、それに近づきたいという情熱を保ち続けることができるからでしょう。実際、英語力を課題に持つ方が、数年かけて勉強し、CAPの合格を勝ち取っただけでなく、TOEIC®のスコアを大幅に伸ばしたというケースを多く見てきました。
このように
CAPの学習はご自身の課題克服の機会としても有効です。

 最後に、
CAPの勉強を通じて、思わぬ副産物を手にする楽しみをご紹介したいと思います。

 私の
CAPの学習目標は、英文会計の基礎力をつけ、IT分野とビジネス英語には磨きをかけることでした。具体的には、課題である会計に関しては、テキストの他に参考書や問題集も利用しながら、時間をかけて勉強し、ITは翻訳の通信講座を併用しながら更に知識をつけ、英語全般はひたすら量をこなすことを心掛けました。

 一方、淡々と取り組んでいたのはマネジメントです。でも勉強していくうちに、その深さ、面白さにすっかり魅了され、テキストを読んでいるうちにもっと知りたいと思う事がたくさん出てきました。すると本屋さんでも自然とビジネス雑誌や専門書のコーナーに足が向くようになり、気がつくと文学中心だった本棚には、マネジメント関連の書籍が次々と並ぶようになりました。
CAPは私の人生に新しい風を吹き込んでくれたのです。もちろんこの習慣は仕事でも大いに役立っていることは言うまでもありません。
CAP試験の勉強は、寄り道をしたり、途中で立ち止まって周囲の景色を見渡す余裕を持つと、付加価値として十分な発見や楽しみを手にすることがあるという点も皆様にお伝えしておきたいと思います。

 
CAP資格は、学び続けることの素晴らしさを教え、新しい事に挑戦する勇気や自信を与えてくれました。合格してから随分経ちますが、私にとってCAP資格とは、今日の自分を超えようとする原動力なのだと、改めて感じています。

                                         皆様へ心からの感謝を込めて

                                         河田 幸



【プロフィール】
河田 幸(カワタ ユキ)
東京都出身。大学時代にESS(英語部)で国際政治経済問題を討論するうち、ビジネス界に興味を持つ。イギリス系銀行、コンピュータ・ベンダー企業、アメリカ系銀行に勤務。CAP受験対策講座ではITとマネジメント分野を担当。


 

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