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第九回 CAP ミニレッスン②  Domain1: “Organizational Communication” – 2 : Management Functions

2019/01/12

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第九回 CAP ミニレッスン② 
Domain1 : “Organizational Communication”
- 2 : Management Functions


       
               
 河田 幸(カワタユキ):横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー
 皆さま、明けましておめでとうございます。平成最後のお正月をいかがお過ごしでしたか。
CAPミニレッスンの第二回目は「マネジメント機能」についてです。

 まず
”Management” の定義を確認しておきましょう。
“Management is the process of achieving organizational objectives through the use of people and other resources.” (“Management” fifth edition by IAAP and Prentice Hall) 

 つまり、「経営資源(ヒト、カネ、モノ、情報)を活用し、組織の目標を達成していくプロセス」ということになりますが、マネジメントには以下のように4つの機能が存在します。



 
さてここで質問です。これらの機能を結びつけ、実現するのに欠かせないのは何でしょうか。
答えは
Communicationです。このDomainのタイトルにも含まれていますね。
そしてCAPの学習では、この4つの機能のうち、組織のリーダーとして特に理解が必要である、
”Planning” ”Leading” に焦点が当てられていますので、この2機能を中心に解説していきます。

 それでは早速、最初のステップである
Planningから入りましょう。Planningは上記4機能のうち、最も重要とされています。向かうべき目標が明確でなければ、経営資源は活用されないからです。そしてPlanningは、Mission(その企業が果たすべき存続意義を対外的に明示するもので、使命や存在意義のこと)やVision(組織の目指す未来像)を土台として策定され、以下のように分類されます。

➀ Strategic Plan     戦略プラン。広範囲に渡る長期プラン。
               上層部によって決定される。

② Tactical Plan      戦術プラン。目標達成に必要な業務活動を策定。
               中間管理者層の責務範囲。

③ Operational Plan    業務プラン。更に具体的な内容で、日々の業務内容が中心。
               部課長層が決定。

➃ Contingency Plan   偶発プラン。不測の事態や緊急事態に備えるプラン。  

 ➀は企業の方向性を示すもので、組織の上層部によって慎重に検討されます。この段階では、
SWOT分析(内部要因としての企業の「強み (
Strength)、弱み (Weakness)」 と、外部要因である、「機会 (Opportunities) 、脅威 (Threats)」 という4つの視点から、戦略を検討する手法)等のデータやツールが導入され、その内容が企業の戦略策定や意思決定に反映されます。そして、➀のStrategic Planを具体化した内容を持つのが、②Tactical Planと③Operational Planです。

 一方、➃の
Contingency Planは➀~③とは異なる性質を持つプランで、災害復旧プラン (Disaster Recovery Plan) や業務継続計画(BCP: Business Continuity Plan)同様、緊急事態下でのビジネス執行・継続に関する内容です。皆さんの職場ではどんなプランをお持ちでしょうか。確認しておきましょう。

 次に
Planningの策定後に行われるOrganizingでは、プラン実行に必要なタスクの洗い出しと人員の決定、そして権限移譲が行われます。またこの段階で、命令指示系統と管理者の統制範囲も決められ、指示や報告の流れも明確化されます。

 そしていよいよチームで一丸となり、目標に向かう
Leadingへと入ります。
このプロセスでは、部下に動機付けを行い、モチベーションを保ち、目標へと先導していくという、リーダーの能力が鍵を握るため、様々な「リーダーシップ論」が研究されてきました。

 初期の「リーダーシップ論」は、
”Trait studies”(特性論、特質論)に特徴づけられます。
人々は優れたリーダー像を確立しようと、性格、身体的特徴、知性、興味の対象等、様々な観点から、資質面での必須要素を見出そうとしました。しかし、明確な共通性の発見には至らず、研究の対象は行動など後天的な要素へと移っていきます。

 そして確立されたのが、
”Behavior studies”(行動学)や”Situational approach”(状況的セオリー)です。CAPテキストでは、その中でも ”Hersey-Blanchard Situational leadership model”(ハーシー・ブランチャード状況対応型リーダーシップ・モデル、SL理論)を取り上げています。

 この理論では、部下の能力やスキル、仕事に対する姿勢といった成熟度を基に、下記の4つのアプローチ手法の有効性を説いています。

 
リーダーシップ形態 部下の成熟度          内容
Directing:  指示型 低い 仕事の役割分担を指示し、業務遂行を監督する。
Coaching: 指導型 やや低め 部下の意見に耳を傾けつつ、指示は上司側が出す。
Supporting: 援助型 やや高め 心理的なサポートやアドバイスをしながら、創造性や自立を促す。
Developing: 委任型 高い 部下に任せる姿勢を取り、必要に応じた管理を参加型で行う。


それではここで、練習問題に挑戦してみましょう。


You are a supervisor of newly hired employees at a sales department. Which one of the following would be 
the most appropriate method to lead them?


       
A) Directing       B) Coaching     C) Supporting     D) Developing

 新入社員は働くこと自体が初めてなのですから、当然、仕事上の成熟度は「低」です。
ですから、このグループ (問題文に
”employeesとありますね。) に、「私はあなた方を信頼しています。
仕事の進め方は自分たちで決めて下さい。」と指示したところで機能しません。それよりも、マナーやエチケ
ット面も指導しながら、営業の仕事内容、業務知識、顧客対応等を定着させる必要がありますから、

A) ”Directing” の手法でチームを牽引することが最も適しています。

 それではリーダーシップ論からもう一つ、有名な
Douglas McGregor(ダグレス・マクレガー)の「X理論・Y理論」(Theory X and Theory Y) をご紹介致します。

 まずX理論は、「人間は本来怠け者で働くことを嫌い、強制や命令がなければ働かない」という考えの下、厳しい管理統制を敷き、アメとムチによる管理で従業員の生産性向上を図る考え方です。
 これに対してY理論は、「人間は本質的に働くことを厭わず、動機付けがなされれば、能動的に自己の目標達成に向けて働く」というスタンスで、メンバーが既に高い意識を持っていることを前提とし、目的実現へのチャンスを与える形でやる気を引き出す手法です。(「日経 経済ビジネス用語辞典参照」)マズローの理論とも共通している考え方ですね。

 この理論は「X理論的アプローチは良くない、Y理論的であるべきだ」と考えがちですが、そうでは
ありません。例えば、先ほどの練習問題のような状況で、新入社員にいきなり「Y理論」的な指示を出したり、逆に、役職を持つ社員に「X理論」的なアプローチで接したらどうでしょうか。
 また、個人の性格も考える必要があります。消極的で受け身の姿勢を好む人に対しては「X理論」のスタンスで指示を出す方が、その人の良さを引き出すことができるかもしれませんし、逆に積極的で自ら学ぶタイプには、「Y理論」的なアプローチが有効ということになるでしょう。
 このようにリーダーシップの手法が有効性を発揮するには、
リーダーによる状況判断が鍵を握るという点を押さえておきましょう。

 最後に、マネジメント4機能の最後、
Controllingについても触れておきます。
このプロセスでは、①現在の業績を測定する、②目標段階で設定した基準と➀との比較を行う、③必要があれば是正する、という段階を経て、最初に意図した通りに目標が達成されたかを評価する狙いがあります。
 そして②の段階で問題が明るみに出た場合、その理由を明確にするために、調査を行い、③で適切な措置を取ることになるわけです。目標達成に向かって進み、その結果を可視化し、次につなげていくことも大切なマネジメントのステップです。


 さて今回は、マネジメントの機能とその流れを学習しましたが、理解を深めるためには、ご自身のケースを当てはめて考えてみると分かりやすくなると思いますし、そうすることで、ご自身がどのように組織の目標達成に対して貢献しているかも見えてくるはずです。なんだか今までと働き方が変わってくるような気がしませんか。
CAPの学習では、こういった気づきを大切にして下さい。

 
さて次回はいよいよ丸山先生による、
Domain2 : Business Writing and Document Productionのレッスンです。私はまた2月にTechnologyのミニレッスンを担当します。皆さん、お風邪など召しませんように。

 


【プロフィール】
河田 幸(カワタ ユキ)

東京都出身。大学時代にESS(英語部)で国際政治経済問題を討論するうち、ビジネス界に興味を持つ。イギリス系銀行、コンピュータ・ベンダー企業、アメリカ系銀行に勤務。CAP受験対策講座ではITとマネジメント分野を担当。
横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー、英検1級、通訳案内士、翻訳実務士(英日文芸)、ビジネスマネージャー資格。


 

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