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第六回 CAP資格受験の効用②―TOEIC点数アップ、他

2018/11/22

世界で活躍するビジネス・パーソンのパスポート―
アメリカCAP(Certified Administrative Professional)試験


第六回 CAP資格受験の効用②―TOEIC点数アップ、他


       
                河田 幸(カワタユキ):横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー

 それでは、「CAP資格受験の効用」として、TOEIC(L&R)からまいりましょう。
多くの企業が英語力測定の指標として導入している上、ビジネス関連の内容ということで、CAP受験生の皆さんの中にも「900点超え」を意識している方が少なくありません。ただここで確認しておきたいことがあります。目標スコアをクリアしたところで、ビジネスの専門知識はつくでしょうか。リスニングの写真問題や応答問題にITの知識は必要ですか。リーディング問題に取り組むと、マネジメントに強くなれるでしょうか。それならば、CAPを勉強しながら英語力も一気に上げてしまえばよいのです。TOEICはその副産物的な成果で十分対応可能です。私の一例をご紹介しますね。
 
 まずリーディングの対策には、やはりある程度の「量をこなす」ことが必要なのではないかと思います。うまく表現できませんが、英語を読むときに「構える」ようではまだまだです。でも量をこなしていくうちに、英語に対する「特別感」が段々と薄れて行く実感が出てくるはずです。この段階までたどり着くと、TOEICのリーディングはむしろ簡単に感じられるでしょう。少し時間のかかることかもしれませんが、分からない単語や熟語、専門用語を丁寧に調べながら、コツコツと読む作業を積み重ねていきましょう。大切なことは、このプロセスで焦らず、手を抜かないことだと思います。
 
 そして、「量」だけなく「質」にもこだわりが必要です。TOEICはビジネス的な内容と言われていますが、専門性はCAPの方がずっと上です。ですから、テキストや関連図書、英字新聞等をじっくりと読み込んでいくことで、リーディング力の向上だけでなく、専門用語やビジネス知識も同時に吸収できます。これぞまさに一石二鳥ですよね。
 
 加えて、読むスピードも意識しましょう。CAP試験は、ネイティブが読む速さを基準に作問されていますから、「早く、正確に」英語を読む力は欠かせません。リーディングや練習問題と取り組む際にタイマーを使うのも効果的です。

 次にリスニング対策ですが、私はあくまでCAPの時事問題対策として、CNNをよく聴いていました。CNNのリスニングが難しいとおっしゃる方は、CD付きの月刊雑誌 ”CNN English Express” (朝日出版)を取り入れてみてはいかがでしょう。音声のスクリプトがありますから、聴き取った内容を確認することができますし、ミニテストやボキャブラリの付録といった学習ツールが含まれていますので、利用価値が高いと思います。要は、聴き取れなかったのは何故かを確認することです。ボキャブラリが足りないのか、スピードに慣れないのか、あるいはベースの時事問題を理解していないのか等、原因を見極めながら、補強すべき点に学習の比重を置くようにしましょう。

 こうして私はCAP試験中心型の学習体制を崩さないままTOEICを受験しましたが、目標スコアを軽々超え、CAPにも合格しました。そして私だけでなく、多くのCAP合格者の方も同様の経験をされていますから、この「CAP式・一石二鳥学習法」の信憑性にはかなりの自信を持っています。

 大切なことは、こういった学習を「習慣化」することかもしれません。勉強だと思うから敷居が高くなってしまうのであって、ご自分のペースを探りながら、生活の一部として取り入れてしまうと、その習慣は長続きし、やがて結果に結びつくはずです。まさに「継続は力なり」ですね。
 
 それでは次に、その他の資格試験への効用について触れたいと思います。
CAP試験に合格後、私は英語で唯一の国家試験である「通訳案内士試験」に挑戦しました。外人社員と働く中で、自分が日本についてあまりに知らないことを実感していたからです。
お寿司のネタ、四季折々の行事の謂れ、菊は英語で何というのか?(”chrysanthemum” です。舌を噛みそうですね。)、能と狂言の違いは? 相撲はいつ、どこで観られるのか? 彼らにとって、私はあまりに頼りない日本案内人だったのです。

 少し前置きが長くなりましたが、CAPの知識はこの試験でも大いに役立ちました。
例えば、一次筆記の「一般常識」科目には、IT、マネジメント、会計関連の出題もありますから、ここは強みになります。通訳案内士の顧客は、企業研修や視察、工場見学など、ビジネスを目的とするホワイトカラー層が多いですから、ビジネス知識や専門用語の理解は欠かせませんし、また個人事業主として開業する方は特に、お金の動きや法律面での知識が必要となります。「一般常識」科目は捉えどころがなく、対策が難しいと言われますが、CAPで学習した内容と時事問題にアンテナを張ることが習慣化されていれば問題ないと思います。

 同様に「ビジネスマネージャー検定試験」でもCAPの知識をかなり活用できます。この試験は管理職のための基礎知識を問う試験で、(どなたでも受験可能です)、マネージャーのミッション、つまり、チームとして成果を出すための、「人と組織のマネジメント」、「業務のマネジメント」、そして「リスクのマネジメント」の3カテゴリーから出題されます。選択式ですが、ボリュームが多く、マーケティング、管理会計、日本の職場関連法律部分にはそれなりの対策も必要です。ただマネジメントの理論では、CAPの知識がそのまま生かせますし、時事問題や状況判断力を問う視点も共通しています。そしてCAP同様、ビジネスで人の上に立つポジションを想定した試験ですので、ケーススタディー式の問題にも抵抗なく取り組めることでしょう。

 更にCAP資格受験の効用を考えるにあたり、皆さんが転職活動中だと仮定しましょう。
外人の面接官に「ビジネスのITソリューションで、現在あなたが最も注目していることは何ですか。」と質問されたらどう答えますか。
CAPを学習している方でしたら、業務プロセスのスピードアップやコスト削減、データ管理の一元化を可能にするクラウドの有効活用、BCP(事業継続計画)や在宅勤務システム、AIやRPA(業務の効率化、自動化)の導入等、たくさんの選択肢を思いつくでしょう。またこういったことを全て英語で勉強していますから、問題なく対応できると思います。でも前回の連載で触れましたように、英語で「何」ができるのかの「何」の部分が心もとないと、自分の能力をアピールするはずの面接の場は、たちまち沈黙に包まれることになります。


 つまり企業が求めている英語力とは、ビジネス力に裏付けられてこそ、その実用性が証明されるのです。
ですから私は、英語力、ビジネス力の両面に磨きをかけ、シナジー効果も大いに期待できる「CAP式・
一石二鳥学習法」を皆さんにお薦めしたいと思います。

 そしてご説明した通り、CAP資格は応用度が高いですから、「一石二鳥」どころか、「三鳥」も「四鳥」も目指して頂けると思います。但しそれには、ご自身の課題とじっくり向き合う覚悟を持つことも大切です。

“The more I learn, the more I realize I don’t know. The more I realize I don’t know, the more I want to learn.”
「学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる。」    

 アインシュタインの言葉です。学びには終わりがありませんし、これからの多様化の時代は「学歴より学習歴」が重視されるとも聞きます。今年のカレンダーが残り少なくなってきた今、そして平成から新しい時代を迎えるにあたって、皆さんはどんな目標を掲げますか。小さな頑張りの積み重ねが未来を形成していくことを忘れずに、お互い頑張りましょうね。

 今回は私の経験談をご紹介致しましたが、後の連載では、丸山先生がMBAに、スタンボーグ先生がCPA(米国公認会計士)を取得なさったお話も伺える予定です。楽しみですね! 

次回は、CAP資格と職務範囲との関連性について考えてまいります。

  


【プロフィール】
河田 幸(カワタ ユキ)

東京都出身。大学時代にESS(英語部)で国際政治経済問題を討論するうち、ビジネス界に興味を持つ。イギリス系銀行、コンピュータ・ベンダー企業、アメリカ系銀行に勤務。CAP受験対策講座ではITとマネジメント分野を担当。
横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー、英検1級、通訳案内士、翻訳実務士(英日文芸)、ビジネスマネージャー資格。