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第三回 CAP試験の魅力➀ <合格に必要なスキルとは>

2018/10/09

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アメリカCAP(Certified Administrative Professional)試験


第三回 CAP試験の魅力➀ <合格に必要なスキルとは>


       
                河田 幸(カワタユキ):横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー

 皆さん、こんにちは。連載三回目は、「合格に必要なスキル」という観点からCAP試験の魅力について考察してまいります。

 早速ですが、CAPテキストの中にこんな記述があります。「プロジェクトを任されることになったら、
あなたの役割は“Manage”なのか、“Lead”なのかを確認すべきだ。」つまり、「あなたは”Management”“Leadership”の違いをきちんと理解していますか。」という問いかけです。なかなか難しいですよね。
それではこんな定義をご紹介いたしましょう。

  ・マネジメントは、地位による権限や組織の規則によって人を動かすこと。
  ・リーダーシップは、リーダーの人間性によって人を動かすこと。
   
Earthship ConsultingWeb記事より)


 例えばプロジェクト管理の場合、経営資源(ヒト、カネ、モノ、情報)を最大限に活用しつつ、目標達成への軌道に乗せ続けることが “Management”、メンバーのモチベーションを引き出し、期待以上の成果物が得られるようにチームを引っ張っていくのが ”Leadership”です。一般的に”Management”には、法令知識、会計学、統計学、組織行動学、経営組織論といった「ハードスキル」が、”Leadership”には、コミュニケーション能力、判断力、問題解決能力等の「ソフトスキル」が必要だとされています。ビジネスの成功にもCAP試験合格にも欠かせないこの両スキル。どうすれば磨きをかけることができるでしょうか。

 それではまず、CAP試験対策における「ハードスキル」の磨き方から考えていきましょう。
「学問に王道なし」と言うように、前回ご紹介した学習ツール用いて地道に学ぶことから始めます。
「モチベーション理論」であれば、マズローの欲求階層論やハーツバーグの二要因理論などを理解し、リーダーシップ論へとつなげていくプロセスとその事例を丁寧にインプットしていきます。英語面にも十分注意をしながら丁寧にテキストを読み込んだら、ハードスキル面として最低限必要な知識を習得したことになり、ウォームアップは完了です。そしてここから本格的に知識部分を拡大し、肉付けを行います。CAP試験では各分野の基本用語、定義等も出題されますので、こういった部分で点を落とさないようにしっかりと対策をしていきます。

 みなさんはよく書店に足を運びますか。マネジメント関連だけでも数えきれない本が出版されていますので、ドラッカーからでも、スティーブ・ジョブズからでも構いません、興味の持てそうな本を手に取ってみて下さい。すると、テキストで学んだ考え方が具体的、実践的に説明されていて、「そういうことなのか。」と納得できるはずです。そしてこの分野の深さ、広さを感じるようになると、また読みたい本が出てきます。やがてこの繰り返しは習慣化され、ご自身のライフサイクルに組み込まれていくでしょう。

 同様に、新聞やビジネス・経済雑誌類も強力な味方です。
「ニュースはスマホでチェックします。」とか、「ペーパーレス時代に逆行しているのでは?」というお声もあるでしょうが、私は変わらずペーパー派です。紙面を開けば見出しだけでなく内容も見渡せて、記事の取捨選択が容易です。また社説を始めとした解説も参考になります。先日も「リーマンショックから10年」という連載記事を大変興味深く読みました。
 ちなみに私は日経と“The Japan News”を購読していますが、どちらも時間のあるときにまとめて目を通し、必要と判断した記事は切り取り、クリアファイルに入れて持ち歩いています。こうすると、移動や待ち時間などのちょっとした隙間時間を利用した効率的な情報収集ができます。
そしてこの他にも、電車内に流れるビジネス用ソフトウエアのCM、アメリカのテレビドラマ、映画等、世の中に無数存在する生きた学習材料に気づき、それらを多角的、継続的にインプットしていくことで、ハードスキル面は強化されていきます。

 次に「ソフトスキル」に移りますが、ここで問題となるのは、問題解決能力、判断力、調整力をどうつけるかです。人をまとめたり、指示を出したりする経験値が低めの方は、上司をじっくり観察することから始めましょう。ミーティングや交渉に同席する機会があれば、上司が質問する様子や、話の持って行き方に注意を払います。対立した考えをどのように調整するか、といった点にも目を光らせましょう。加えて、問題発生時の対応、その妥当性、他の解決策や最も実現可能性が高い選択肢はどれか、といった点を脳内シミュレーションし、問題解決や判断力を養う機会を意識的に作ってみて下さい。

 同時に、仕事モードを「受動的」から「能動的」へ、視点を「指示される側」から「指示する側」へと切り替えてみましょう。例えば、仕事を依頼された理由を探れば上司の意図や権限移譲の手法が分かりますし、その目的を明確化することで、先を読み、期待を超えた仕事をすることもできます。このように、仕事に積極性を持たせることで、今まで気づかなかったことが可視化されていきます。

 更に「ソフトスキル」面では、理論の応用・実践面の克服も必要になりますが、この対策は意外に簡単です。身近な生きた実例である「あなたの職場」を分析しましょう。業績評価の効果性はどうか、顧客情報はどんなシステムで管理され、バックアップにはどのように行われているのか、人材採用や配置転換、教育訓練の手法と、それによるメリットとデメリットは何か。物事にはすべて理由があるはずですから、貪欲に探ってみましょう。そして分からない点は他の人に聞いてみて下さい。仕事の質問をされて嫌な気持ちになる人はいません。自分を信頼しているから質問してくれるのだ、と思うはずですし、あなたの仕事への真摯な姿勢に好感を持ってくれるはず。さあこれで応用と実践問題面もクリアです。

 そしてもう一つ、ハードスキル発展法をご紹介します。
まずテキスト類は読んだだけで分かった気にならず、本当に理解できているのかを自問しながら読み進めましょう。例えば冒頭に挙げた”Management” “Leadership”の違いのように、数行が深い意味を持つ箇所もありますから、立ち止まることを恐れず「文字の先」に何があるかを考えるべきです。新聞等を読むときも単なる情報の取得に留めず、記事の背景を探ったり、自分なりに解決策を考えたりすることがソフトスキルを磨く訓練にもなります。

 このようにCAP試験で問われる両スキルは表裏一体で、ソフトスキル関連問題も、ハードスキルの知識を自由に使いこなせる程度の理解とそれに基づく状況判断を仰いだり、実践での応用力を問う出題が見受けられます。好奇心のアンテナをマックスにして、普段から両面のスキルアップを心掛けるようにしましょう。

 最後に、サイモン・シネック著「リーダーは最後に食べなさい!」から序文の一部をご紹介します。
His vision is simple: to create a new generation of men and women who understand that an organization’s success or failure is based on leadership excellence and not managerial acumen.
彼が「マネジメント」より「リーダーシップ」を重視した視点でこの本を書いたことが分かりますね。
これは、CAPの学習過程でハードスキル(テキスト等学んだ知識)とソフトスキル(理解力・応用力)が
一体化し、ビジネス書の理解度にも影響を与える例です。

 次回の連載では、「継続学習・再認定」の観点からCAPの魅力を探ってまいります。どうぞお楽しみに。


 

 



【プロフィール】
河田 幸(カワタ ユキ)

東京都出身。大学時代にESS(英語部)で国際政治経済問題を討論するうち、ビジネス界に興味を持つ。イギリス系銀行、コンピュータ・ベンダー企業、アメリカ系銀行に勤務。CAP受験対策講座ではITとマネジメント分野を担当。
横浜商科大学商学部特任講師。CA
P / CAP-OMホルダー、英検1級、通訳案内士、翻訳実務士(英日文芸)、ビジネスマネージャー資格。


 

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