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第一回 CAP試験・基本情報➀ <試験概要>

2018/09/07

世界で活躍するビジネス・パーソンのパスポート―
アメリカCAP(Certified Administrative Professional)資格


第一回 CAP試験・基本情報➀ <試験概要>


                                       河田 幸(カワタユキ):横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー

 皆さん、こんにちは。BABEL Universityで「CAP受験対策講座」の講師を務めております、河田幸と申します。今回よりCAP試験を題材とした連載記事を担当させていただくことになりました。

この雑誌をお読みの方は、プロの翻訳者を目指されている方が多いと思いますが、特にビジネス分野の翻訳に携われる方は、この試験の学習内容に関連性や共通性を見出して下さるはずです。事実、私自身もアメリカ系の銀行で社内翻訳・通訳者としての勤務経験を持ち、現役の翻訳学習者でもあります。

この特集、それに続く連載では、試験の内容や勉強法に始まり、合格には欠かせない英語力やビジネス・センスの磨き方、この資格の活用法、対策講座で学ぶ内容や問題演習等、様々な観点から皆様に情報をお届けしたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
それでは早速、今回から2回に渡って、CAP試験の基本情報についてご説明致します。

まず、試験の名称に含まれている“Administrative Professional”という職能について触れておきましょう。
一言でまとめると、広い意味での「中間管理職層」と私は捉えています。上司のサポート的役割と部下のアドバイザー的役割を兼務し、チェック機能を果たせるだけの高い実務能力と、コミュニケーション能力に支えられたコーディネーター的役割を期待される。加えて、リーダーシップを発揮する場面や、様々な意思決定に関わりを持つ中、責務範囲を超えた専門知識の必要性を実感する層。

CAP受験者の多くは、こういった職務層、あるいは、その層を目指す方々です。またこの試験には、フリーランスや起業等、独立を考える方にとっても参考となる学習材料が詰まっています。
それでは試験内容の説明に入ってまいりましょう。

昨今のビジネス界の風潮は、皆さんもよくご存知の「働き方改革」に特徴づけられると思います。
でも、このワーディングと共に耳に入るのは、AIやロボティック・プロセス・オートメーション・・。
ホワイトカラーの業務を効率化・自動化する仕組みですから、働く私たちの味方ですよね?と楽観視できるはずもなく、経済雑誌はこぞって「消え行く職種ランキング」といった特集を組み、世間に警鐘を鳴らしています。もちろん皆さんは、常に「リスク・マネジメント」を意識して働いていらっしゃることでしょう。~最悪の事態に備え、最善の準備を行う。~ 激動のビジネス界を生き抜いてきた方たちは、身をもってそう学んで来たはずですから。

 それでは改めて、ビジネスにおける、個人レベルの「リスク・マネジメント」について考えてみましょう。
企業倒産、経営不振、あるいはM&Aによる人員削減の煽りを受け、ある日突然職を失うことになったとしても、また、ふとしたきっかけから、魅力的なポジションへの誘いを受けたとしても、新しい環境で自分の能力や経験をフルに活かして働き続けられるだけの力 ― ”Employability” 「雇用力」― をつけておくこと。その手段として、資格の取得や業務・専門知識の習得を考える方が多いのではないでしょか。

そして、ビジネス界は相変わらずの英語ブームです。資格取得の推進は当たり前、英語公用化を掲げる企業も珍しくなくなった現在、やはり「あの資格」で高得点を目指しましょうか。

「私は900点をクリアしているから大丈夫。」とおっしゃる方は、次の「リスク・マネジメント」プランは
策定済みですか。

これからご紹介するアメリカの資格試験は、高い英語力と共に、実践的なビジネス力が証明でき、世界中で通用するものです。以下、内容をご説明してまいりましょう。

 CAP試験は、アメリカのカンザス州に本社を置くIAAP(International Association of Administrative Professionals) という非営利団体が1951年に始めたビジネス資格です。70年近い歴史を持つこの試験は、ビジネスのトレンドに歩調を合わせつつ、進化を遂げてきました。オフィス・ワーカーを対象としたこの資格は、転職や昇格、あるいは管理職へのステップ・アップに役立ち、多種多様な職種や職位を持つホルダーが世界中で活躍しています。
英語力について言えば、アメリカの資格試験なのですから妥協は一切ありません。使われる語彙も、読むスピードも、英語を母国語とするネイティブ・スピーカーが基準です。

そして何より注目して頂きたいのはその内容。6つに分類された領域から、ビジネス知識とその実践力が問われます。(以下は、IAAPによるCAP試験概要、”The Body of Knowledge”を参照にまとめたもので、
( )内の%は出題のウエイトを示しています。)

Domain 1:  “Organizational Communication” (24%)
 コミュニケーションの種類と効果性、経営学の基本理念、リーダーシップ論、モーチベーション理論、
コンフリクト・マネジメント、ネットワーキング、チーム構築と力学、メンタリング・コーチング、
プリゼンテーション・スピーチ技術、ビジネス倫理、守秘義務、異文化コミュニケーション、プランニングと種類、ビジネスの生産性とツール、労働組合

Domain 2:  “Business Writing and Document Production” (22%)
 各種文書、報告書、コレポンの作成技術、リサーチと分析、編集と校正、文法、スペリング、表記ルール、
 文書作成用ソフトウエアの知識、レイアウトとデザイン、グラフ、議事録・アジェンダの作成と役割

Domain 3:  “Technology and Information Distribution” (16%)
ITコミュニケーション、Eメール知識、情報共有・交換、ハードウエア・ソフトウエアの専門用語、基本知識と機能性、データ収集・蓄積・分析、SNS、インストール・メインテンス・トラブルシューティング、クラウドを含むバックアップ知識、IT関連法律

Domain 4:  “Office and Records Management” (15%)
 ARMAガイドラインによるデータ・情報管理、ファイリングの種類と規則、セキュリティー知識、職場環境、人間工学的知識、発注・調達業務、在庫管理、オフィス形態

Domain 5:  “Event and Project Management” (12%)
  イベント管理用語、出張・移動のプランニングと手続き、ミーティング企画と実施、オンライン・ミーティング、プロジェクト管理とツール、権限移譲、タスク・予算・時間管理

Domain 6:  “Operational Functions” (11%)
 人事管理:ビジネス法律、方針と手順、ハラスメントの知識、業績評価、人事配置、採用と面接、教育訓 
      練・能力開発、入退社時の手続き
 財務管理:会計基本用語と知識、バランス・シート、キャッシュ・フロー、残高照合、各種予算管理
      小切手、現金処理
 
各領域には、受験回毎にIAAPが設定した基準点が設けられており、全ての領域で基準点を上回ることが合格の条件となります。

次回はCAP試験の日程、会場などの基本情報に加え、学習ツールについてもご紹介いたします。

【プロフィール】
河田 幸(カワタ ユキ)

東京都出身。大学時代にESS(英語部)で国際政治経済問題を討論するうち、ビジネス界に興味を持つ。イギリス系銀行、コンピュータ・ベンダー企業、アメリカ系銀行に勤務。CAP受験対策講座ではITとマネジメント分野を担当。
横浜商科大学商学部特任講師。CAP / CAP-OMホルダー、英検1級、通訳案内士、翻訳実務士(英日文芸)、ビジネスマネージャー資格。