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【ブログ】翻訳テクノロジーあれこれ by 小室誠一

進化するOmegaT (2)

投稿日時:2021/12/07(火) 16:50

CATツールを使用する理由はいくつかあります。
最も使われるのは、大量の文書を手分けして翻訳する場合です。
以前に翻訳した文書の改訂版で変更のあった部分を翻訳したり、複数の翻訳者による訳文の専門用語等の訳語をしっかり統一したり、翻訳⇒レビュー⇒校正といったワークフローを円滑に進めたりするには必須のツールです。
ただ、そのような使い方によって最も恩恵を受けるのは、翻訳会社のプロジェクトマネージャーということになりそうです。

これまで、あまりCATツールを使ってこなかった方でも、最近の機械翻訳ブームが気になって、ちょっと使ってみようかと思っても、どうすれば使えるのかよく分からない人もいるでしょう。
昔はパッケージの「翻訳ソフト」を購入して、PCにインストールすれば簡単に使えましたが、最近話題のニューラル機械翻訳を翻訳作業で利用するとなると、基本プラットフォームとして、何らかのCATツールが必要になります。

Tradosなどのプロ用のCATツールを使えば簡単ですが、かなり高価で使い方が難しいので、ちょっとつかってみるというわけにはいかないかもしれません。
無料のツールで比較的使いやすいMemsourceも良いのですが、クラウド型のソフトウェアなので、インターネットにつながっていないと利用できません。たしかにデスクトップエディタが用意されていますが、プロジェクトの作成や原文ファイルのアップロードなど、前準備はすべてクラウド上で行う必要があります。また、オフラインだと翻訳メモリや用語ベースの検索ができません。

そこで目を向けてもらいたいのが、OmegaTです。
個人で手軽に使えて、何と言っても無料のツールです。さらに数種類の機械翻訳も組み込むことができます。手元で使うツールとしては最適でしょう。

他のCATツールに引けを取らない機能が搭載されたOmegaTは、現在でも日々改良されています。どこかの企業が開発しているわけではなく、寄付によってボランティアが育てているツールです。
メーリングリストで活発なやり取りがあり、質問などをすることもできます。(ただし、あくまでもボランティアによる回答なので節度を持って)。
https://sourceforge.net/projects/omegat/lists/omegat-users

さて、ここから前回の続きです。

個人的には、OmegaTが以前より使いやすくなった1番のポイントは「環境設定」だと思います。



環境設定画面から詳細な設定が分かりやすくできるようになっています。
以前は、設定メニューがバラバラでしたが、今では「環境設定」画面にまとめられており、この画面からほとんどの設定ができるようになっています。



機械翻訳も、主なものは設定できます。ただし、APIキーを別途取得する必要があります。公開情報の翻訳であれば、APIキーの不要なGoogle TranslateやNICTのTexTraも利用できます。

OmegaTはプロジェクトを作成すると、プロジェクトフォルダの中に、自動的にサブフォルダが作成されます。「フォルダー」メニューが追加され、フォルダーとその中にあるファイルが簡単に確認できるようになっています。



ちなみに、基本的なフォルダーは、辞書を格納する「deictionary」、用語集が入った「glossary」、対訳データのTMXファイルが自動的に作成される「omegat」、原文ファイルの入った「source」、訳文ファイルが出力される「target」、そして参照用の翻訳メモリ(TMX)を入れる「tm」があります。
「deictionary」「glossary」「source」「tm」に、指定された形式のファイルを入れるだけで(再読み込みは必要ですが)すぐに使えるようになります。

そして、最高に便利なのが「プロジェクト」メニューの「Pacl project as OMT file」です。
要するに、プロジェクトフォルダーを丸ごと圧縮して「.omt」という拡張子のついた1つのファイルにしてくれる機能です。



このファイルをeメールなどでやり取りすることができます。ファイルを受領したら、「Unpack project from OMT file」を実行することで、プロジェクトを展開することができます。この方法なら、使用した辞書や用語集、翻訳メモリもそのまま渡すことができるので、翻訳者と同じ環境でレビュー作業や校正作業ができるということになります。

ここまで見てきただけで、十分に使えそうなツールだと思われたのではないでしょうか。

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プロフィール

小室誠一
1990年から機械翻訳のユーザーとして活用法の研究を行う。
バベル翻訳大学院で、「翻訳者のためのテキスト処理」「翻訳支援ツール徹底活用」など、ITスキルに関する講座を担当。
 

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