<新>翻訳に役立つソフトウェア活用法
第7回 校正・推敲支援ツール「Tomarigi」
投稿日時:2013/08/25(日) 14:00

第7回 校正・推敲支援ツール「Tomarigi」

翻訳者の間では、原稿を推敲するのにWordの文章校正を利用するのが標準的ですが、翻訳支援ツールに付属するQAチェッカーを使っている人も多いでしょう。
今回は、作成した文章表現を改善していく際の気づきを誘発することを目標に開発された校正・推敲支援ツールの「Tomarigi」を取り上げてみます。
Tomarigiは日本語表現法開発プロジェクトで開発された教育支援ツールの一つで、以下のWebページから無料でダウンロードできます。
Tomarigiの機能は、簡易テキストエディタに文章チェック機能が付いており、チェックを実行すると、誤りと思われる候補を文、段落、文単位で指摘し、詳細説明と修正候補を表示してくれます。
それ以外に、文字数や段落数、漢字含有率など文書プロパティも表示されるので、推敲する際の参考になります。
このソフトは、形態素解析ツールのMecabと係り受け解析ツールのCabochaを利用して文章の解析を行っています。また、校正ルールはプラグイン形式になっているので、必要に応じて組み合わせるのが容易です。
■Tomarigiのインストール
ダウンロードはTomarigi本体のほか、.NET Framework、mecab-0.98.exe、Cabocha 0.60が必要です。
ダウンロードページにそれぞれのリンクがありますので、説明に従ってダウンロードしてインストールを済ませてください。
読み上げ機能を利用する場合は、さらに読み上げプログラムのインストールが必要です。
Tomarigi本体以外はインストールが必要ですが、Tomarigiはダウンロードした圧縮ファイルを解凍するだけで準備が整います。
解凍してできた「Tomarigi0323」フォルダの中のTomarigi3.exeをダブルクリックするとソフトが起動します(図1)。
■Tomarigiを使う
左上の大きな画面が編集用のエディタです。
まず、ここに文章を入力するかテキストファイルを開きます。もちろんコピー&ペーストでも結構です。
デモ用に「sample_sentences.txt」というファイルが用意されているので開いてみましょう(図2)。
(図2) 

文章を開いたら、さっそくチェックしましょう。
「チェック」→「チェックの実行」をクリックします(図3)。
(図3) 

解析が完了すると、それぞれの画面に結果が表示されます(図4)。
右上の画面に誤りの指摘が、右下の画面にその詳細説明が、左下には文書のプロパティが表示されています。
誤り指摘画面を詳しく見てみましょう(図5)。
「文書」「段落」「各文」のタブでそれぞれの単位に切り替えができます。
鉛筆のアイコンをクリックするとエディタの該当する文が反転表示されます。
(図5) 

マーキングされた部分が誤りの可能性があるところです。
その部分をクリックすると右下の詳細画面に説明が表示されます(図6)。
これは「出来」をクリックしたところです。
当て字のチェックがヒットして、修正候補が表示されています。
(図6) 

ここで、「修正」の右にあるアイコンをクリックしてみましょう(図7)。
(図7) 

自然言語解析結果画面が表示されます(図8)。
タブを切り替えると、「節関係」「解析結果」が表示されます。
この結果を参考にして語順の調整をすると良いでしょう。
左下には文書プロパティが表示されていますが、その右下にある詳細ボタンをクリックしてみましょう(図9)。
文書プロパティの詳細画面が開きます(図10)。
読みやすさの指標も表示されます。
■プラグインの設定
チェックのスタイルは「校正・推敲プラグイン」形式になっています(図11)。
このプラグインの中身は簡単に設定できます。
設定するには、「ツール」→「オプション」をクリックし、オプション画面が開いたら「プラグイン」タブをクリックします。
読み込まれているプラグインの一覧から変更したいものを選んで「設定」をクリックします(図12)。
チェックリストが開くので不要な場合はチェックを外したり、リストにないものは追加したりできます(図13)。
■チェック結果の保存
チェックした結果はHTMLファイルに保存できます。
「チェック」→「チェック結果の保存」をクリックします(図14)。
(図14) 

保存画面が開いたら、保存場所とファイル名を指定して「保存」をクリックします。
保存したHTMLファイルはハイパーリンク付きなので、詳細説明の参照が容易です(図15)。
大学生の教育用に開発されたツールのようですが、よくできているので、うまくカスタマイズすれば翻訳作業でも役に立つでしょう。
コメント
プロフィール
小室誠一
1990年から機械翻訳のユーザーとして活用法の研究を行う。
バベル翻訳大学院で、「翻訳者のためのテキスト処理」「翻訳支援ツール徹底活用」など、ITスキルに関する講座を担当。
1990年から機械翻訳のユーザーとして活用法の研究を行う。
バベル翻訳大学院で、「翻訳者のためのテキスト処理」「翻訳支援ツール徹底活用」など、ITスキルに関する講座を担当。
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