
■翻訳に役立つソフトウェア活用法
【試用レポート】『PC-Transer 翻訳スタジオ V19』

<試用レポート>「PC-Transer 翻訳スタジオ V19」
翻訳メモリ機能が大幅に強化され、さらに訳文品質が向上
今回は、株式会社クロスランゲージより、10月7日に発売されたPC-Transer 翻訳スタジオの最新バージョンV19の試用レポートをお届けします。◆製品紹介ページ
http://www.crosslanguage.co.jp/products/pc-transer_v19/
PC-Transerはほぼ毎年バージョンアップされ、今年でV19となりました。インターフェースが大幅に変更され「翻訳スタジオ」の名前が付いたのはV12からです。すでに成熟の域に達したソフトといえるでしょう。
ここまで来ると、新機能を付加する余地も少なくなってきますが、今回はなんと、翻訳メモリ機能を拡張するという、記念すべきバージョンアップとなりました。外見上は目立ちませんが、翻訳メモリを活用する有効なツールとなったことは間違いありません。
強力な辞書機能を有するルールベースの機械翻訳エンジンと、高性能の翻訳メモリ機能をシームレスに連動させることで、翻訳作業の効率を大幅に向上できることは、これまでにも十分に説明してきましたが、翻訳メモリ機能の拡張により、さらにきめの細かい訳文のコントロールが可能になりました。
今回は、この翻訳メモリ機能と、英文ワードカウント機能を取り上げます。
それ以外は、前バージョンとそれほど変わりはありませんので、併せて以下の記事もお読みください。
総合的翻訳支援ソフト「PC-Transer 翻訳スタジオ2011」
<翻訳メモリの拡張>
それでは、実際にどこがどのように変わったのか見てみましょう。
「翻訳設定」の「訳文生成方法」に項目が追加されています(図1)。
(図1)

この中で、新たに追加されたのは以下の3つです。
「自動文型一致文検索」
「部分完全一致文検索」
「部分文型一致文検索」
従来のバージョンでも「文型一致文検索」はPC-Transerならではの機能でしたが、これが拡張されて、自動的に変動要素をタグ付けして検索するのが「自動文型一致文検索」です。
翻訳メモリというのは基本的にセグメント(通常はセンテンス)ごとに検索するために、ビジネス文書などはほとんど完全一致せず、翻訳メモリの恩恵に浴することができませんでした。 「部分完全一致文検索」では、フレーズが部分的に一致すればその部分が採用され、残りは機械翻訳されて訳文が生成されます。
さらに、フレーズに変動要素のタグ付けをして翻訳メモリ登録することで、「部分文型一致文検索」にマッチすると、変動部分に機械翻訳で訳文が挿入されたフレーズが採用され、あとは「部分完全一致検索」と同様に訳文が生成されます。
●実例
「自動文型一致文検索」(図2)
ここでは、以下の対訳を翻訳メモリに登録します。
The pages of this magazine are all mixed up.
この雑誌はページが前後している。
文番号6は、機械翻訳で出力しています。
文番号7は、上記翻訳メモリを使って、完全マッチしたところです。訳文の文字がすべてグリーンになっています。
文番号8と9は「自動文型一致文検索」がマッチしています。訳文の青文字がマッチした部分、黒い文字は機械翻訳出力です。
この翻訳メモリをエクスポートしてみると、以下のような文型メモリが自動的に生成されていました。
The pages of this <$1> are all mixed up.
この<$1>はページが前後している。
(図2)

「部分完全一致文検索」(図3)
文番号13、14、15は以下のフレーズ翻訳メモリにマッチしています。文字がグリーンになっている部分が完全マッチしています。黒文字の部分は機械翻訳の出力文です。
I don't want you to get lost,
迷うといけないので、
(図3)

「部分文型一致文検索」(図4)
文番号19と20は以下の、部分文型メモリにマッチしています。
If your payment in full is nor received by <$1>
<$1>までに全額お支払いいただけない場合、
by以下の「tomorrow」「one week prior to the course」が機械翻訳の訳文に置き換わり、残りの部分の機械翻訳訳文と合体して、全体の訳文が出力されています。
(図4)

*機械翻訳出力の部分(黒文字)が不自然な場合は、ユーザー辞書登録で訳語を変更することができます。
●部分一致翻訳メモリ登録の注意
翻訳メモリ登録画面が少し変わりました。
部分一致文検索用の翻訳メモリを登録する場合、「文節」「位置」「品詞」を設定しないと検索されないことがあります。
例えば、文番号13、14、15で使用した以下の翻訳メモリは、(図5)のように指定しました。
I don't want you to get lost,
迷うといけないので、
(図5)

<英文ワードカウント>
翻訳する文書の分量を調べるには英文ワード数をカウントするのが一番です。
ワードカウントをするソフトはたくさんありますが、やはり別のソフトを起動せずにカウントできるようになったのは便利です。
「ツール」→「英文ワードカウント」をクリックします(図6)。
(図6)
「英文ワードカウント」は翻訳エディタ上のワードカウントを行うのではなく、カウント画面にファイルを追加して実行します(図7)。
(図7)
カウントできるファイル形式は、PC-Transerの形式以外に、HTML、Word、PDF、RTF、TMXなど主なものはほとんどあります。
特に、TMXのワードカウントはなかなか便利です。
ファイルの文字エンコードや英文が対訳のどちら側にあるか指定できます。
PC-Transerの最大の特徴は、ユーザー辞書や翻訳メモリをカスタマイズして翻訳品質をコントロールできる自由度が高いことです。
デフォルトでも十分使えるようになっていますが、アイディアと工夫次第で何倍もの威力を発揮してくれます。
みなさんも、ご自分のニーズに合わせて使いこなしていただきたいと思います。
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■第1回 PC-Transer翻訳スタジオの基本操作手順
翻訳作業の流れと、使用する機能を確認します。PC-Transer翻訳スタジオは数多くの機能が搭載されていますが、正しい手順で作業を行わないと、十分な効率化が図れません。マニュアルにも載っていないテクニックを演習します。
■第2回 翻訳メモリを活用する
対訳ファイルの迅速な作成方法と、用途に合わせたファイル形式への変換、翻訳メモリを活用した訳文作成の方法など、フリーソフトの紹介も交えて演習します。
■第3回 ユーザー辞書を活用する
対訳ファイルを利用した用語集の自動抽出、ユーザー辞書の効率的なメンテナンス、用途に合わせた用語集の活用方法を演習します。
■第4回 Trans Benchの基本操作
PC-Transer翻訳スタジオ2011で追加された新機能のTrans Benchの基本操作を演習します。Wordと連携した翻訳メモリ機能を使いこなすことで活用範囲が広がります。
■第5回 OmegaTと組み合わせて活用する
PC-Transer翻訳スタジオで作成した翻訳メモリとユーザー辞書をOmegaTで利用する方法を演習します。OmegaTを利用することで、レイアウトつきの原文ファイルに対応することができます。また、ソフトエアを代えて最終チェック作業をおこなうことで、訳文の品質をさら向上させることができます。
■第6回 関連ツールを活用する
原文分析、対訳ファイル作成、用語集作成、ファイル形式変換などに利用できるフリーソフトをまとめて紹介します。これらのツールを活用することで、作業の効率化を向上させることができます。
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マルチステップ翻訳処理全体のまとめです。目的に合わせた生産性向上のソリューションを行って、自分にぴったりの翻訳環境を整えましょう。
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