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■翻訳に役立つソフトウェア活用法

第12回 辞書機能の優れた翻訳ソフト「LogoVista PRO 2011」

投稿日時:2011/02/10(木) 14:30rss

第12回 辞書機能の優れた翻訳ソフト「LogoVista PRO 2011」
 
小室 誠一  翻訳システムテクノロジスト
(バイリンガルサービス事業 マネージャー、株式会社 バベル)
 
この連載では、翻訳ソフトや翻訳メモリソフトに限らず、翻訳業務の効率化に役立つソフトウェアを取り上げて、その活用法を紹介します。
 

 
第11回は、数ある翻訳ソフトの中でも特に辞書機能が優れている「LogoVista PRO 2011」を取り上げます。
 

「LogoVista PRO 2011」の詳細は以下のWEBページをご覧ください。
http://www.logovista.co.jp/LVERP/shop/ItemDetail.aspx?contents_code=LVXEFX11W

 
最近は翻訳業界でも機械翻訳(要するに「自動翻訳」です)が話題になっていますが、これは、従来の文法をベースにした機械翻訳ではなく、大量の文書ファイルを統計的な手法で解析して蓄積した対訳データを原文および訳文の言語モデルに適用して訳文を組み立てる統計的機械翻訳で、その代表例がGoogle翻訳です。すでに利用したことのある人も多いでしょう。
 
たしかに、統計翻訳は人手による訳文を利用して対訳データを作成しているために、語句レベルでは自然な訳文になることがありますが、文法などの言語学的知識を利用していないので、日本語と英語のように構文が大きく異なる言語間では、まったく意味不明の訳文が出力されることが珍しくありません。しかも、どうしてそのような訳文になったのか解析できない場合がほとんどで、ユーザがカスタマイズする余地がありません。
 
それに対して、文法をベースにした機械翻訳では、不自然な訳文が出力されても、どこで間違えたのか(品詞解析か、構文解析か、訳語選択か)見当がつきます。解析の誤った部分を人間が指定しなおしたり、辞書を追加したり、訳語の優先順位を変更したりする機能も備わっています。
 
このように、出力された訳文を叩き台にして翻訳作業を行う場合には、文法ベースの機械翻訳のほうが適していると言わざるを得ません。しかも、最近の翻訳ソフトには翻訳メモリ機能が搭載されており、同じ訳文修正を何度も繰り返す手間が軽減されています。
 
文法ベースの翻訳ソフトで、訳文の品質を高めるのに最も役立つのが辞書機能です。
必ず使用される基本辞書、文書のジャンルによって使い分ける専門辞書、訳語を指定するためのユーザ辞書の他に、参照用の電子辞書が組み込まれています。辞書を使いこなし、できるだけ訳文の品質を高めておいてから訳文をリライトするのが翻訳ソフト活用のポイントとなります。
「LogoVista PRO 2011」は特に辞書の設計が綿密で、カスタマイズすればするほど訳文の品質が高まります。
 
今回は、「LogoVista PRO 2011」の数多い機能の中でも、翻訳スタイルマネージャと辞書機能に焦点を絞って紹介してみたいと思います。
 
 
<翻訳スタイルマネージャ>
 
実は、翻訳ソフトを使う上で結構面倒なのが、辞書などの設定情報の管理です。
できるだけ品質の良い訳文を出力させるために、訳文スタイルを決めたり、辞書の優先順位を変えたり、ユーザ辞書を設定したりしますが、どれか一つでも設定が異なると、出力される訳文が違ったものになることがよくあります。
せっかく念入りに調整した設定が再現できないと後で困ることになります。しかし、このような設定情報を効率良く管理するツールを備えた翻訳ソフトはそれほど多くありません。
 
「LogoVista PRO 2011」の「翻訳スタイルマネージャ」はほとんどすべての設定情報をひとまとめにして管理できます。また、翻訳スタイルをいつでも簡単に切り替えることができるので、複数ジャンルの翻訳を扱っても手際よく処理できます。
さらにスタイル情報をユーザ辞書やユーザ翻訳メモリも含めて丸ごとエクスポートできるので、同じ翻訳案件の続きを別のPCで行ったり、グループで翻訳したりする場合には大いに役立ちます。
 
それでは、英日翻訳の場合の「翻訳スタイルマネージャ」の項目を見てみましょう。ここでは「法律」のスタイルを開いています。

(1)「辞書」-- 翻訳に使用する辞書と優先順位を指定する(図1)
 
(図1)
 
(2)「原文解析」--翻訳する文書が専門的か一般的かなどを指定して原文の解析方法を指定する(図2)
 
(図2)
 
(3)「訳文生成」--文体や固有名詞、冠詞などの訳し方を指定する(図3)
 
(図3)
 
(4)「助動詞」--助動詞の訳し方を指定する(図4)
 
(図4)
 
(5)「特殊設定」--特殊な副詞の文頭への移動、受身形を能動形で訳すなどの指定を行う(図5)
 
(図5)
 
(6)「学習」--別訳語選択による学習を行うか指定する(図6)
 
(図6)
 
(7)「翻訳メモリ検索」--翻訳時に翻訳メモリ検索を適用したり、類似度の設定をしたりする(図7)
 
(図7)
 
日英翻訳の場合は、「原文解析」と「訳文生成」の内容が異なるのは当然ですが、「助動詞」の代わりに使役の表現やサ変名詞などの翻訳方法を指定する「特殊表現」に、「特殊設定」の代わりにタイトル部分の扱いを指定する「タイトル文」になっています。
 
さて、「翻訳スタイルマネージャ」で最も特徴的なのが「辞書」です。
「辞書」で管理するファイルは以下の8種類です(図8)。
★「(経済論文)」とあるのは筆者が設定した辞書・翻訳メモリ・条件設定ファイルです。
 
(1)「ユーザ辞書」(2)「ユーザ翻訳メモリ」(3)「システム翻訳メモリ」(4)「専門辞書」
(5)「原文置換条件」(6)「訳文置換条件」(7)「文末判定条件」(8)「学習データ」
 
(図8)
 
この中で特に目を引くのが(5)~(7)です。辞書のカテゴリで管理しているので大変わかりやすくて便利です。
 
「原文置換条件」では、検索文字列に対して、「置換」「削除」「翻訳禁止」「置換して翻訳禁止」などの操作がチェックを入れるだけで設定できます。
「文末判定条件」では、デフォルトの文末判定が適切でない場合に、条件を入力して「文末にする」「文末にしない」を指定できます(図9)。
 
(図9)
 
これらの機能をうまく利用すれば、定型的な前編集や後編集を自動化できます。さらに、「文末判定条件」を積極的に使うことで、文を細かく分割して、スラッシュリーディングのツールとして活用することもできるでしょう。いつか機会があれば具体例をお見せしたいと思います。
 
 
<ユーザ辞書>
 
LogoVistaの辞書には、翻訳時に必ず使用される「基本辞書」、専門分野の翻訳で利用する「専門辞書」、ユーザが独自に登録できる「ユーザ辞書」があります。
「ユーザ辞書」に登録する際に「用語辞書作成ツール」を利用すれば、その用語が最優先で出力されます。この場合、登録する用語の品詞は「名詞」となります。「用語辞書作成ツール」には、原文から頻出語句を抽出したり、活用形を推定したりする機能などが備わっています。
 
LogoVistaの辞書は訳語のウエイト(重み付け--優先順位)を変更できるのが最大の特長です。
学習データを設定しておけば、変更したウエイトを保持できます。
ウエイトはユーザ辞書だけでなく、基本辞書でも専門辞書でも変更できます。基本辞書や専門辞書の訳語を編集することはできませんが、ウエイトを変更することで、使用したくない訳語を無効にしたりすることもできます。ウエイトは「翻訳辞書ブラウザ」で変更できます(図10)。
 
(図10) 【拡大】
 
対訳翻訳エディタで翻訳中に辞書のウエイトを変更したくなった場合は、「単語情報」画面の別訳語でも変更できます(図11)。
翻訳をしながら、訳語の優先順位をていねいに調整して行けば、だんだん思い通りの訳文を出力できるようになり、リライトも楽になります。
 
(図11) 【拡大】
 


最後に、LogoVistaの特長をまとめると、数多い機能の設定が簡単にできるようにインターフェースが工夫されているということです。いくら便利な機能が満載でも、設定が面倒では使ってもらえません。当然デフォルトの設定では思うような訳文は得られませんので、その翻訳ソフトの評価が下がります。搭載した機能を十分に活用できるように配慮されたLogoVistaは、その点から見て十分に及第点をつけられると言えるでしょう。

 

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