■翻訳に役立つソフトウェア活用法
第11回 辞書ソフトの定番「Personal Dictionary」
投稿日時:2011/01/25(火) 14:00
第11回は、辞書ソフトの定番ともいえる「Personal Dictionary」(シェアウェア、試用制限無し)を取り上げます。
翻訳作業効率化のポイントは、なんといっても用語管理でしょう。Excelなどを使わなくても、一括登録や追加削除などの編集機能がついた、PDIC(Personal Dictionary)があれば十分です。長年、翻訳者の間で愛用されてきたPDICのUnicode版もすっかり安定しています。
「Personal Dictionary」は以下のWEBページからダウンロードできます。
http://homepage3.nifty.com/TaN/
最新版は「PDIC/Unicode Ver.5.4.23」です。(2011年1月20日現在)
http://homepage3.nifty.com/TaN/unicode/
Unicode版になってから、辞書の設定方法が分かりにくいという声をよく聞くので、今回は、辞書設定を詳しく見てまいりましょう。実例として、PDIC用のフリー辞書「理工系英和辞書」をダウンロードして設定します。
理工系英和辞書「ele」は以下のページからダウンロードできます。
http://www.vector.co.jp/soft/win95/edu/se166644.html
<辞書設定方法>
ダウンロードした「理工系英和辞書」ELE300.ZIPを解凍すると、「ele.txt」というテキストファイルが現れます。テキストエディタで開いてみると以下のように上下対訳形式になっています(図1)。
これが「PDICテキスト」という辞書ソース形式です。これを一括インポートするわけです。つまり、手持ちの用語集もテキストエディタなどを使ってこの形式にすれば、簡単に一括登録できてしまうのです。
(図1)
(1)新規辞書の作成
最初に空の辞書を新規作成します。
「File」メニューから「辞書設定」をクリックしてください(図2)。
(図2)
「辞書設定」ダイアログが開いたら「辞書ファイルの追加・作成」にチェックを入れて、「次へ」をクリックします(図3)。
(図3)
続いて「1 新しい空の辞書の作成」にチェックを入れて「次へ」をクリックします(図4)。
(図4)
作成する辞書の種類を指定します。「1 通常の辞書」にチェックを入れて「次へ」をクリックします(図5)。
(図5)
辞書ファイル名を分かりやすいものに変更します。ここでは「理工系英和辞書.dic」としておきます。作成場所はデフォルトのままで結構です。入力したら「次へ」をクリック(図6)。
(図6)
さらに、辞書グループ名を入力します。ここでは辞書名と同じ「理工系英和辞書」としました。入力が済んだら「次へ」をクリックします(図7)。
(図7)
「次へ」をクリック(図8)。
(図8
これでやっと完了です。「完了」ボタンをクリックして「辞書設定」ダイアログを閉じます(図9)。
(図9)
(2)辞書のインポート
「File」メニューから「辞書設定<詳細>」をクリックします(図10)。
(図10)
「辞書設定」ダイアログが開きます。先ほど作成した「理工系英和辞書」が辞書グループの一覧に表示されており、その中で使用されている辞書が、右側の使用辞書一覧に表示されています。まだ空っぽなので、登録単語数が「0」になっています
「理工系英和辞書.dic」を選択して右クリックするとプルダウンが表示されるので、「辞書のマージ」をクリックします(図11)。
(図11)
「辞書のマージ設定」ダイアログが開いたら、「変換元ファイル形式」を「PDICテキスト形式」にして、「参照」ボタンをクリックし、辞書ソースファイル「ele.txt」を指定します。設定が済んだら「OK」をクリックします(図12)。
(図12)
変換が完了すると「変換結果」ウインドウが表示され、登録数などが表示されます。4673語が登録されたのが分かります。確認したら「OK」をクリックして閉じます(図13)。
(図13)
(3)辞書検索
「WORD」の欄に見出しを入力すると検索結果が表示されます。デフォルトではインクリメンタルサーチになっているので、1文字入力するごとにすぐに検索されます(図14)。ここでは「a」と入力しただけで、aで始まる語句が表示されています。
(図14)
任意の見出しをダブルクリックすると「辞書編集:修正」ウインドウが開いて、見出し語や訳語を修正したり、用例を追加したりできます(図15)。
(図15)
今回はPDICの辞書設定方法を詳しく説明しました。一見面倒に思われるかもしれませんが、慣れれば簡単に追加できます。表示方法や検索設定など、詳細な設定をするには「Tools」メニューの「設定」をクリックします。「自動検索」の「ポップアップ」機能や、「履歴単語検索」機能、さらには「全文検索」機能など充実した機能が盛りだくさんです。ぜひ活用してください。
プロフィール
1990年から機械翻訳のユーザーとして活用法の研究を行う。
バベル翻訳大学院で、「翻訳者のためのテキスト処理」「翻訳支援ツール徹底活用」など、ITスキルに関する講座を担当。
編集部宛投稿メール
最新記事
- 【試用レポート】『PC-Transer 翻訳スタジオ V19』 (2011/11/24)
- 第13回 便利なWebスクラップソフト「紙copi Lite」 (2011/02/25)
- 第12回 辞書機能の優れた翻訳ソフト「LogoVista PRO 2011」 (2011/02/10)
- 第11回 辞書ソフトの定番「Personal Dictionary」 (2011/01/25)
- 第10回 便利なワードカウントソフト「Count Anything」 (2011/01/10)
- 第9回 手軽に使える対訳ファイル作成ツール「AutoAlign」 (2010/12/25)
- 第8回 みんなで使える翻訳支援統合エディタ「QRedit」 (2010/12/10)
- 第7回 辞書ソフト「超辞典DUO」活用法 (2010/11/25)
- 第6回 クラウド型の翻訳ツール「Google 翻訳者ツールキット」 (2010/11/10)
- 第5回 総合的翻訳支援ソフト「PC-Transer 翻訳スタジオ2011」 (2010/10/25)
- 第4回 英文ライティングに役立つコンコーダンサー「AntConc」 (2010/10/10)
- 第3回 フリーの翻訳メモリソフト「OmegaT」 (2010/09/25)
- 第2回 優れた用語管理ツール「xTerminology」 (2010/09/10)
- 第1回 「EKWords - 高速キーワード抽出・集計」 (2010/08/25)
ブログ一覧
- 【ブログ】翻訳テクノロジーあれこれ by 小室誠一
- <新>翻訳に役立つソフトウェア活用法
翻訳ソフトや翻訳メモリソフトに限らず、翻訳業務の効率化に役立つソフトウェアを取り上げて、その活用法を紹介します。 - ■翻訳に役立つソフトウェア活用法
ブログ 7日間のアクセスランキング
- 1:第3回 フリーの翻訳メモリソフト「OmegaT」(59pv)
- 2:第1回 簡単にTMXが作成できる「Align Assist」(43pv)
- 3:第13回 テキストファイル比較ソフト「WinMerge」(30pv)
- 4:翻訳精度スコアBLEUを簡単に計算できるツール「シンプルMTスコア」(28pv)
- 5:第9回 手軽に使える対訳ファイル作成ツール「AutoAlign」(22pv)
- 6:第10回 便利なワードカウントソフト「Count Anything」(22pv)
- 7:機械翻訳支援ツール「GreenT」試用レポート(その1)(18pv)
- 8:機械翻訳支援ツール「GreenT」試用レポート(その2)(17pv)
- 9:第2回 高機能な用語集検索ソフト「Xbench」(15pv)
- 10:第11回 辞書ソフトの定番「Personal Dictionary」(15pv)
- 11:第2回 優れた用語管理ツール「xTerminology」(15pv)
- 12:第1回 「EKWords - 高速キーワード抽出・集計」(13pv)
- 13:第4回 英文ライティングに役立つコンコーダンサー「AntConc」(13pv)
- 14:第10回 バイナリ文書対応のGrep検索が便利な「VxEditor」(12pv)
- 15:第7回 校正・推敲支援ツール「Tomarigi」(11pv)
- 16:みんなの自動翻訳をMemsourceで使ってみる(1)(9pv)
- 17:DeepL翻訳が日本語対応になった ― 翻訳英文法もびっくり(9pv)
- 18:第14回 テキスト解析ソフト「Analyze Assist」(7pv)
- 19:第3回 HTML編集用テキストエディタ「Crescent Eve」(6pv)
- 20:第4回 Chromeブラウザで動く翻訳支援ツール「Isometry」(6pv)