<新>翻訳に役立つソフトウェア活用法
第5回 まだまだ使える「Wordfast Classic」
投稿日時:2013/07/25(木) 14:00

第5回 まだまだ使える「Wordfast Classic」

今回紹介するWordfast Classicは、Microsoft Wordをインターフェースとした、昔ながらの翻訳メモリ(TM)エンジンです。ライセンス未登録の状態で最大110 KBの翻訳メモリ、または約500 TU(翻訳ユニット)まで作業することができるので、小さな案件なら十分に使えます。
Wordfast の最新版のWordfast Proは、独自のインターフェースをもった統合型翻訳支援ツールになりました。確かに高機能で大きなプロジェクトにも対応できますが、Wordで翻訳することの多い人で、ちょっと翻訳メモリツールを使ってみたい人にはWordfast Classicのほうが手ごろなツールと言えるでしょう。Word2007や2010にも対応しています。
Wordfast Classicは以下のページから無料でダウンロードできます。ついでにマニュアルもダウンロードしておきましょう。
■Wordfast Classicをインストールする
Wordfast ClassicはWordアドインのテンプレートファイル(Wordfast.dot)です。
これをWordに組み込めばインストール完了です。
Word2007で見てみましょう。
Officeボタンをクリックしてメニューの一番下にある「Wordのオプション」をクリックします(図1)。
Word2010なら、「ファイル」→「オプション」です(図2)。
「Wordのオプション」画面が開いたら「アドイン」をクリック(図3)。
アドインの画面が開いたら一番下の管理で「Wordアドイン」を選択し「設定」ボタンをクリックします(図4)。
「テンプレートとアドイン」画面が開いたら「追加」ボタンをクリックして「Wordfast.dot」を選択します。使用するテンプレートの一覧にファイル名が表示されたらチェックを入れて「OK」をクリックします(図5)。
これでインストールが完了です。
リボンの上のクイックアクセスツールバーにアイコンが追加されます(図6)。
これならリボンを非表示にしても大丈夫なので、画面を広く使えます(図7)。
■Wordfast Classicを使ってみる
さっそく使ってみましょう。
最初に翻訳メモリを作成します。
メニューの一番左の設定アイコンをクリックするか、Ctrl+Alt+Wキーを押してしてください(図8)。
(図8) 

設定画面が開いたら「TM」タブ→「Create New TM」をクリックし、メッセージに従って翻訳メモリを作成します(図9)。
翻訳したい原文をWordで開いたらメニューの下向き矢印ボタン(Start Translation/Next segmant)をクリックすればセグメントが開いて訳文を入力できるようになります(図10)。
訳文を入力したら同じように下向き矢印ボタンをクリックして翻訳を進めて行きます(図11)。
Copy Sourceボタンをクリックすれば原文が訳文セグメントにコピーされるので、製品名を原文のまま残すときに便利です(図12)。
(図12) 

翻訳が完了したらEnd Translationボタンをクリックします(図13)。
このように原文と訳文が対になったものをバイリンガルファイルと言います。
このバイリンガルファイルから原文を削除して訳文だけのファイルを作成するのがClean Upです。
Quick Clean-upボタンをクリックすれば訳文だけのファイルが出来上がります(図14)。
このように原文のレイアウトを保持したまま翻訳することができます。
この他、Wordfastには翻訳メモリツールとして基本的な機能が十分に備わっています。
最後に、Analyse機能を紹介しておきます。
設定画面を開いてTools→Analyseをクリックすると、(図15)のような分析結果画面が表示されます。セグメント数、ワード数、文字数が繰り返し率とともに集計されます。
使用方法はマニュアルに詳しく書かれているので、色々な機能を試してみましょう。
Wordの上書き翻訳には必須のツールと言えるでしょう。
プロフィール
小室誠一
1990年から機械翻訳のユーザーとして活用法の研究を行う。
バベル翻訳大学院で、「翻訳者のためのテキスト処理」「翻訳支援ツール徹底活用」など、ITスキルに関する講座を担当。
1990年から機械翻訳のユーザーとして活用法の研究を行う。
バベル翻訳大学院で、「翻訳者のためのテキスト処理」「翻訳支援ツール徹底活用」など、ITスキルに関する講座を担当。
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