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第210号 ALUMNI編集室から

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発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


訴えられたハーバード大学にみる、入試のフェアネス

   

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


今回は、大学入試制度の日米比較を考えてみましょう。

今、アメリカでは、大学入試に関する注目の裁判が迫っています。名門ハーバード大学が訴えられ係争中の案件で、入試審査で人種的偏見によりアジア系アメリカ人を不合格としたとして訴えられ、まもなく法廷審理に入ることになっているようです。

米ハーバード大学に不合格になったアジア系米国人たちが、同大学に対して不当に差別された結果入学できなかった、として訴訟を起こしたというのです。

学生たちの訴えによれば、ハーバード大学では、アジア系米国人の合格者数が多すぎないように操作していたと言うのです。この訴えには、米司法省が、一定の指示を表明したことで、今後の展開が学生に有利に働く可能性も出てきたと言います。

ニューヨークタイムズによれば、少数民族を入学させて「多様性」を実現するというハーバード大学のポリシーに在る所謂「少数民族」に、アフリカ系アメリカ人や先住民やラテン系は入っていても、アジア系が入っていなかったというのが訴訟の理由だそうです。このような意図的な人種排除は憲法違反であるとしています。また、民事訴訟とは別に、法務省がこの件で捜査に乗り出したという報道もあるようです。

この問題を考える前に、日米の入試制度の違いを考えてみましょう。

そもそも、アメリカの大学入試は入学審査であって、日本と違って、所謂入学試験ではないということです。では、何で審査するかというと、全国学力テストに相当するSATACTという試験のスコアと、高校の成績、課外活動、スポーツや音楽などの実績、ボランティア活動、そして小論文がその対象です。

しかし、それぞれの審査に、一定のルールがあるわけでもなく、いわば「ブラックボックス」と言えます。インターハイ出場と地元のボランティア活動と、どちらのほうが受験に有利かと聞かれても、大学側は絶対に答えてはくれないと言うことです。

入学希望者は、高校の宿題と期末試験の勉強に精を出しオールAをめざすことはもちろん、SATも何度でも受けスコアアップに精を出すことになります。それだけでなく、小論文の練習予備校に入り、気に入られると思われる作文を作成する力を養成するのに必死になると言います。

また、入学申込用紙に、奨学金を希望するかしないかという質問欄がありますが、これにどう記入をするかは更に悩みどころのようです。

こうした事情を考慮すると、今回のお粗末な東京医科大学の不正入試を例外とすれば、日本の受験システム(一部のAO入試を除く)は、公平な一発勝負、フェアゲームと言えそうですが。

しかし、ハーバード大学は、大学は多様性をもった人材を確保することも重要だとして、単にGPASATの成績だけでは合否判定をしない、ということを主義にしていると反論しているようです。

ハーバード大学の「多様性を確保したい」という主張の根本にある、性別、人種、出身地などで、少数派を優遇(アファーマティブ・アクション)することには明確な主張があります。

アファーマティブ・アクションは端的に言ってみれば、黒人やヒスパニックの人たちに、たとえ点数を水増ししてでも、合格させ、昇進でも優遇しようという考え方です。

家庭環境や高校までの環境に恵まれないマイノリティの場合、SATの成績が悪くても、潜在能力は高いかもしれないと想定します。かれらの不遇を断ち切るには、かれらを良い教育環境に置く、会社の昇進も優遇することで、所得を上げる、これにより、次世代のロール・モデルを作ることが重要だ、という考え方です。すなわち、アファーマティブ・アクションとは、「悪循環の鎖」を断ち切る手段として正当化されてきたわけです。

とすると、悪く言えば恣意的なようですが、ここに大学としての主体性が在るといっても良いのではないかという気がします。

とは言っても、現在のアイビーリーグでは、超富裕層の子弟が尊重され、入学しやすく、実際には1%の富裕層からの子弟が全体全体の5割になることもあると言われます。また、学費はべらぼうに高く、特に、ハーバードをはじめとするアメリカの一流大学はある種の学歴社会の歴史の上に成り立っているので、留学生は、伝統的なインナーサークルには入れないし、学校生活で孤立する事例もあると言います。これこそ問題にすべきと考えます。

こうした体質は主体性以前に問題にされなくてはならないと思います。

いずれにせよ、ハーバード大学は、今回の訴訟では、このブラックボックスの開示を「企業秘密」だとして徹底的に拒否しているようですが、担当裁判長が、裁判の評議に不可欠だとして開示命令を出したときには、ハーバードの権威失墜、米国の大学入学審査システムは一気に変わる可能性があるのかもしれません。















 

第209号 ALUMNI編集室から

第209号 ALUMNI編集室から

第209号 ALUMNI編集室から
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


Start with Why ― 
How Great Leaders Inspire Everyone to Take Action
優れたリーダーはどうやって行動を促すか

   

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


今回は私がよく聴くTEDのスピーチの中でも特に優れたスピーチの一つと思っている
以下の内容をバイリンガル(日本語訳で若干読みにくいところも原文通りにしてあります)で共有したいと思います。
題して
How great leader inspire action’



 
How great leader inspire action’
               Simon Sinek
Leadership expert

物事がうまく行かなかったときに それをどう説明しますか? あるいは常識を全てひっくり返すようなことを 誰かが成し遂げたときに それをどう説明しますか? 例えば どうしてアップルはあれほど革新的なのか、 毎年毎年 他の競合のどこよりも 革新的であり続けています。 でもコンピュータの会社には変わりありません。 他の会社と似たようなものです。 同じような人材を同じように集め、 同じような代理店やコンサルタントやメディアを使っています。 ではなぜアップルには他と違う何かがあるように見えるのか。 なぜマーチン ルーサー キングが 市民権運動を指導できたのか。 市民権運動以前のアメリカで 苦しんでいたのは彼だけではありません。 彼だけが優れた演説家だったわけでもありません。 なぜキング師だったのでしょう。 ライト兄弟が有人動力飛行を 実現できたのはなぜでしょう。 人材を揃えて資金も潤沢な 他のグループでも 有人動力飛行を実現することはできず ライト兄弟に負けてしまいました。 何か別な要因が働いています。

How do you explain when things don't go as we assume? Or better, how do you explain when others are able to achieve things that seem to defy all of the assumptions? For example: Why is Apple so innovative? Year after year, after year, they're more innovative than all their competition. And yet, they're just a computer company. They're just like everyone else. They have the same access to the same talent, the same agencies, the same consultants, the same media. Then why is it that they seem to have something different? Why is it that Martin Luther King led the Civil Rights Movement? He wasn't the only man who suffered in pre-civil rights America, and he certainly wasn't the only great orator of the day. Why him? And why is it that the Wright brothers were able to figure out controlled, powered man flight when there were certainly other teams who were better qualified, better funded -- and they didn't achieve powered man flight, and the Wright brothers beat them to it. There's something else at play here.


三年半前のことです。
私は発見しました。 この発見によって世界がどう動いているのか。 見方がすっかり変わりました。 そればかりか、世界に対する接し方も すっかり変わりました。 明らかになったことは あるパターンです。 わかったのは 偉大で人を動かす 指導者や組織は全て、 アップルでも マーチン ルーサー キングでも ライト兄弟でも 考え、行動し、 伝える仕方がまったく同じなのです。 そしてそのやり方は 他の人達とは正反対なのです。 私はそれを定式化しました 世界でもっとも単純なアイデアかもしれません。 私はこれをゴールデンサークルと呼んでいます。


About three and a half years ago, I made a discovery. And this discovery profoundly changed my view on how I thought the world worked, and it even profoundly changed the way in which I operate in it. As it turns out, there's a pattern. As it turns out, all the great inspiring leaders and organizations in the world, whether it's Apple or Martin Luther King or the Wright brothers, they all think, act and communicate the exact same way. And it's the complete opposite to everyone else. All I did was codify it, and it's probably the world's simplest idea. I call it the golden circle.

なぜ? どうやって? 何を? この小さなアイデアで、ある組織やリーダーが なぜ 他にはない力を得るのか説明できます。 用語を簡単に定義しておきます。 世の中の誰にせよ、 どの組織にせよ、 自分たちが何をしているかはわかっています。 100% 誰でもどうやるかをわかっている人もいます。 それは差別化する価値提案とか、 固有プロセスとか、 独自のセールスポイントと呼ばれるかもしれません。 でも「なぜやっているのか」がわかっている人や組織は非常に少ないのです。 「利益」は「なぜ」の答えではありません。 それは結果です。 いつでも結果です。 「なぜ」というときには 目的を問うています。 何のために? 何を信じているのか? その組織の存在する理由は何か? 何のために朝起きるのか? なぜそれが大事なのか? 実際のところ私達が考え、行動し、伝えるやり方は外から中へです。 それはそうでしょう。 明確なものから曖昧なものへ向かうのです。 でも飛び抜けたリーダーや、飛び抜けた組織は、その大きさや業界にかかわらず、 考え、行動し、伝える時に、中から外へと向かいます。

Why? How? What? This little idea explains why some organizations and some leaders are able to inspire where others aren't. Let me define the terms really quickly. Every single person, every single organization on the planet knows what they do, 100 percent. Some know how they do it, whether you call it your differentiated value proposition or your proprietary process or your USP. But very, very few people or organizations know why they do what they do. And by "why" I don't mean "to make a profit." That's a result. It's always a result. By "why," I mean: What's your purpose? What's your cause? What's your belief? Why does your organization exist? Why do you get out of bed in the morning? And why should anyone care? As a result, the way we think, we act, the way we communicate is from the outside in, it's obvious. We go from the clearest thing to the fuzziest thing. But the inspired leaders and the inspired organizations -- regardless of their size, regardless of their industry -- all think, act and communicate from the inside out.

例を示しましょう。 私がアップル製品を使っている理由は分かりやすく誰でも理解できるから、アップルが他の会社と同じだったら、こんな CM を作るでしょう。 「我々のコンピュータは素晴らしく 美しいデザインで簡単に使え、ユーザフレンドリー。 ひとついかがですか?」いりません。 我々のほとんどはこんなふうに伝えます。 マーケティングや売り込みもそう、我々の対話のほとんどがそんなふうに行われます。何をして、どう違い、どう優れているかを述べ、相手に何か行動を期待します。 購入とか、投票とかのたぐいです。 私たちは新しい法律事務所を開所しました。最高の弁護士たちと大手のクライアントを抱えています。 私たちは常にクライアント第一で行動します。 これが私達の車のニューモデルです。低燃費で、シートは総革張り、いかがですか? これでは心を動かされません。

Let me give you an example. I use Apple because they're easy to understand and everybody gets it. If Apple were like everyone else, a marketing message from them might sound like this: "We make great computers. They're beautifully designed, simple to use and user friendly. Want to buy one?" "Meh." That's how most of us communicate. That's how most marketing and sales are done, that's how we communicate interpersonally. We say what we do, we say how we're different or better and we expect some sort of a behavior, a purchase, a vote, something like that. Here's our new law firm: We have the best lawyers with the biggest clients, we always perform for our clients. Here's our new car: It gets great gas mileage, it has leather seats. Buy our car. But it's uninspiring.

アップルならこんな風に伝えます。「我々のすることはすべて 世界を変えるという信念で行っています。違う考え方に価値があると信じています。 私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。 こうして素晴らしいコンピュータができあがりました。」 一つ欲しくなりませんか? 全然違うでしょう? 買いたくなりますよね? 今したのは 情報の順番を逆にすることでした。これが示すのは、人は「何を」ではなく 「なぜ」に動かされるということです。 人は「何を」ではなく、なぜ」に動かされるのです。

Here's how Apple actually communicates. "Everything we do, we believe in challenging the status quo. We believe in thinking differently. The way we challenge the status quo is by making our products beautifully designed, simple to use and user friendly. We just happen to make great computers. Want to buy one?" Totally different, right? You're ready to buy a computer from me. I just reversed the order of the information. What it proves to us is that people don't buy what you do; people buy why you do it.

だからこの場にいる人はだれもが安心してアップルからコンピュータを買っているのです。 そしてまた、MP3 プレイヤーやスマートフォンやビデオレコーダーも、安心してアップルから買えるのです。 でも、アップルは単なるコンピュータ会社です。アップルと他社とで 何か仕組みが違うわけではありません。競合会社にだって同様の製品を作る力があります。 実際、挑んだこともあります。 数年前にはゲートウェイが平面テレビを出しました。 ゲートウェイにはそのための卓越した技術があります。PC用の平面モニタを何年も作ってきたのです。しかし全然売れませんでした。デルは MP3 プレイヤーと PDA を発売しました。 非常に高品質な製品です。デザインも申し分ありません。でも全然売れませんでした。 実際 今となっては、デルの MP3 プレイヤーを買うなんて想像すらできませんよね。 コンピュータ会社のMP3 プレイヤーなんて誰が? でもみんなアップルからは買うのです。 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。 自分が提供するものを必要とする人と ビジネスするのではなく、自分の信じることを信じる人とビジネスするのを目標とすべきなのです。 一番肝心なのは、

This explains why every single person in this room is perfectly comfortable buying a computer from Apple. But we're also perfectly comfortable buying an MP3 player from Apple, or a phone from Apple, or a DVR from Apple. As I said before, Apple's just a computer company. Nothing distinguishes them structurally from any of their competitors. Their competitors are equally qualified to make all of these products. In fact, they tried. A few years ago, Gateway came out with flat-screen TVs. They're eminently qualified to make flat-screen TVs. They've been making flat-screen monitors for years. Nobody bought one. Dell came out with MP3 players and PDAs, and they make great quality products, and they can make perfectly well-designed products -- and nobody bought one. In fact, talking about it now, we can't even imagine buying an MP3 player from Dell. Why would you buy one from a computer company? But we do it every day. People don't buy what you do; they buy why you do it. The goal is not to do business with everybody who needs what you have. The goal is to do business with people who believe what you believe.

私がお話していることは私の意見ではなく、全ては生物学の原理に基づいていることです。 心理学ではなく生物学です。 ヒトの脳の断面を上から見ると、脳は3つの主要な部位に分かれているのがわかります。 それはゴールデンサークルと対応しています。 一番新しい ホモ サピエンスの脳は 大脳新皮質であり、「何を」のレベルに対応します。 新皮質は合理的、分析的な思考と言語とを司ります。 内側の二つは大脳辺縁系に対応し、これは感情、信頼、忠誠心などを司ります。 またヒトの行動を司り、全ての意思決定を行いますが、言語能力はありません。

Here's the best part: None of what I'm telling you is my opinion. It's all grounded in the tenets of biology. Not psychology, biology. If you look at a cross-section of the human brain, from the top down, the human brain is actually broken into three major components that correlate perfectly with the golden circle. Our newest brain, our Homo sapien brain, our neocortex, corresponds with the "what" level. The neocortex is responsible for all of our rational and analytical thought and language. The middle two sections make up our limbic brains, and our limbic brains are responsible for all of our feelings, like trust and loyalty. It's also responsible for all human behavior, all decision-making, and it has no capacity for language.

言い換えれば、外から中へのコミュニケーションを行っているとき、確かに大量の複雑な情報を理解できます。機能やメリットや事実や数値などです。しかし行動につながりません。 中から外へのコミュニケーションを行っているときには、行動を制御する脳の部分と直接コミュニケーションすることが出来ます。言葉や行為によって、理由付けは後からすることができます。 直感的な決定はここから生まれます。 時には誰かに、あらゆる事実やデータを伝えても、 「細かい事実は分かったけど どうも納得感が得られない」と言われることがあります。 どうしてここで「感」なんでしょうか。 理由は脳の意思決定をする部位は 言葉を扱えないからです。 せいぜい「分からないけど納得がない」という言葉なのです。 時には胸の内一つとか 魂の導きに従ってとも言いますが、でも別に頭以外の部分で 意志決定するわけではありません。 すべては大脳辺縁系で起きています。 辺縁系は意思決定を司り、言語は担当しません。

In other words, when we communicate from the outside in, yes, people can understand vast amounts of complicated information like features and benefits and facts and figures. It just doesn't drive behavior. When we can communicate from the inside out, we're talking directly to the part of the brain that controls behavior, and then we allow people to rationalize it with the tangible things we say and do. This is where gut decisions come from. Sometimes you can give somebody all the facts and figures, and they say, "I know what all the facts and details say, but it just doesn't feel right." Why would we use that verb, it doesn't "feel" right? Because the part of the brain that controls decision-making doesn't control language. The best we can muster up is, "I don't know. It just doesn't feel right." Or sometimes you say you're leading with your heart or soul. I hate to break it to you, those aren't other body parts controlling your behavior. It's all happening here in your limbic brain, the part of the brain that controls decision-making and not language.

人々は「なぜやっているのか」に反応するのに、なぜやっているのか、自分でわかっていなければ投票してもらうにせよ、何か買ってもらうにせよ、みんなを引き付けられるわけがない。 さらには、あなたがしていることに忠誠心を持って加わりたいなどと思わせられるわけがない。 自分の商品を必要とする人に売るのではなく、自分が信じるものを信じてくれる人に売ることを目指すべきです。 単に仕事を求めている人を 雇うのではなく、自分の信念を信じてくれる人を雇うことを目指すべきです 私がいつも言っていることですが 仕事ができるというだけの理由で採用した人はお金のために働くでしょう。しかしあなたの信念を信じてくれる人を雇えば、その人は血と汗と涙を流して働くのです。このことを示す例としてライト兄弟ほどふさわしいものは他にありません。

But if you don't know why you do what you do, and people respond to why you do what you do, then how will you ever get people to vote for you, or buy something from you, or, more importantly, be loyal and want to be a part of what it is that you do. The goal is not just to sell to people who need what you have; the goal is to sell to people who believe what you believe. The goal is not just to hire people who need a job; it's to hire people who believe what you believe. I always say that, you know, if you hire people just because they can do a job, they'll work for your money, but if they believe what you believe, they'll work for you with blood and sweat and tears. Nowhere else is there a better example than with the Wright brothers.

サミュエル ピエールポント ラングレーについては知らない方が多いでしょう。 20世紀の初頭には、有人動力飛行の追求は今日のドットコムのようなもので、誰もが試みていました 。そしてサミュエルは成功のレシピと言えるものを備えていたのです。 誰かに聞いたとしましょう。 「製品や会社が失敗した理由は何ですか?」 返ってくる答えはいつも同じ3つの項目です。 資金不足、人材不足、市場環境の悪化、いつもこの3点です。 詳しく見てみましょう。 サミュエル ピエールポント ラングレーは5万ドルの資金を陸軍省から与えられ、飛行機械を開発していました。 資金は問題無し、ハーバード大に在籍し、スミソニアン博物館で働いていた彼は人脈豊富です。当時の頭脳たちと通じていました。金にものを言わせて最高の人材を集めました。 市場の環境は絶好 ニューヨークタイムズは彼を追い掛け回し、みんなラングレーを応援していました。ではどうして皆さんはサミュエル ラングレーのことを聞いたことが無いのでしょうか。

Most people don't know about Samuel Pierpont Langley. And back in the early 20th century, the pursuit of powered man flight was like the dot com of the day. Everybody was trying it. And Samuel Pierpont Langley had, what we assume, to be the recipe for success. Even now, you ask people, "Why did your product or why did your company fail?" and people always give you the same permutation of the same three things: under-capitalized, the wrong people, bad market conditions. It's always the same three things, so let's explore that. Samuel Pierpont Langley was given 50,000 dollars by the War Department to figure out this flying machine. Money was no problem. He held a seat at Harvard and worked at the Smithsonian and was extremely well-connected; he knew all the big minds of the day. He hired the best minds money could find and the market conditions were fantastic. The New York Times followed him around everywhere, and everyone was rooting for Langley. Then how come we've never heard of Samuel Pierpont Langley?

そこから数百マイル離れたオハイオ州デイトンにいたライト兄弟のオーヴィルとウィルバーは成功のレシピとはまるで無縁でした。 お金がなく、夢に挑む資金は自分たちの自転車店から持ち出しで、ライト兄弟のチームの誰ひとりとして大学を出てはいませんでした。 オーヴィルとウィルバーも違いました。 そしてニューヨークタイムズに追いかけ回されたりもしません。 違っていたことは オーヴィルとウィルバーが大義と理想と信念に動かされていたということです。 彼らはもしこの飛行機械を作り上げることができたら、それは世界を変えることになると信じていました。サミュエル ラングレーは違っていました。 彼が求めていたのは富と名声です。それによって得られるものが目的であり、富を追求していたのです。 そして、どうなったのでしょうか。 ライト兄弟の夢を信じた人々は 血と汗と涙を流して共に働きました。 もう一方のチームはただ給与のために働きます。 ライト兄弟は外へテストに出かけるたびに、部品は5セットずつ持って行ったと言います。 夕食に帰るまでには、5回ぐらい壊れるようなものだったからです。

A few hundred miles away in Dayton, Ohio, Orville and Wilbur Wright, they had none of what we consider to be the recipe for success. They had no money; they paid for their dream with the proceeds from their bicycle shop. Not a single person on the Wright brothers' team had a college education, not even Orville or Wilbur. And The New York Times followed them around nowhere. The difference was, Orville and Wilbur were driven by a cause, by a purpose, by a belief. They believed that if they could figure out this flying machine, it'll change the course of the world. Samuel Pierpont Langley was different. He wanted to be rich, and he wanted to be famous. He was in pursuit of the result. He was in pursuit of the riches. And lo and behold, look what happened. The people who believed in the Wright brothers' dream worked with them with blood and sweat and tears. The others just worked for the paycheck. They tell stories of how every time the Wright brothers went out, they would have to take five sets of parts, because that's how many times they would crash before supper.

そして、ついに 1903 年の1217日のこと、ライト兄弟は初飛行に成功。 それをその場で目撃した者もいませんでした。そのことが広く伝えられたのは数日経った後です。 そしてラングレーの動機が適切でなかったことを示すさらなる証拠には、ライト兄弟が飛行した日に彼は諦めたのです。彼はこうも言えたはずでした。 「連中はよくやった 我々の手でもっと改良してやろうじゃないか」、でもそうはせず、 一番になれず、金持ちになれず、有名にもなれなかったので彼は諦めました。

And, eventually, on December 17th, 1903, the Wright brothers took flight, and no one was there to even experience it. We found out about it a few days later. And further proof that Langley was motivated by the wrong thing: the day the Wright brothers took flight, he quit. He could have said, "That's an amazing discovery, guys, and I will improve upon your technology," but he didn't. He wasn't first, he didn't get rich, he didn't get famous, so he quit.

人は「何を」ではなく、「なぜ」に動かされるのです。 そして自分が信じていることについて語れば、そのことを信じてくれる人たちを惹きつけるでしょう。ではなぜ自分の信念を信じてくれる人を引き付けることが重要なのでしょう。「イノベーションの普及の法則」と呼ばれるものがあります。 もしも知らないなら言葉を覚えてください。 人口の2.5% イノベーターです。13.5%はアーリー アダプタと呼ばれる人たちです。34%はアーリー マジョリティー、レイトマジョリティーにラガードと続きます。この人達がプッシュホンを買う理由は ダイヤル式が買えなくなったからに他なりません。

People don't buy what you do; they buy why you do it. If you talk about what you believe, you will attract those who believe what you believe. But why is it important to attract those who believe what you believe? Something called the law of diffusion of innovation, if you don't know the law, you know the terminology. The first 2.5% of our population are our innovators. The next 13.5% of our population are our early adopters. The next 34% are your early majority, your late majority and your laggards. The only reason these people buy touch-tone phones is because you can't buy rotary phones anymore.

人はみんなこの軸上のいろいろな時点に位置づけられます。 イノベーションの普及の法則が教えるところは、マスマーケットで成功したいなら、あるいはアイデアを幅広く受け入れて欲しいなら、そのためには臨界点である。 15から18パーセントの市場浸透率が必要ということです。そこまで行くと状況が一変します。 私は「新しいビジネスのコンバージョンはどれくらい?」とよく聞きます。 相手は「10%です」と自慢げに教えてくれます。 ええ、 10パーセントの顧客を得るところまでは行けます。自分から飛びついてくれる人が 10%程いるのです。そうとしか言えないのですが、彼らは直感で、ただ飛びついてきます。 問題は 売り込まなくとも飛びつく人と食いついてこない人の違いです。ここにある小さなギャップをどう埋めるかが問題になります。 ジェフリー ムーアのいわゆる「キャズムを越える」ということです。なぜかというと アーリーマジョリティーが試そうという気になるのは、だれか他の人が先にトライした後だからです。イノベーターとアーリーアダプターは 自分の直感に従って決める人達です。彼らは世界に対して信じることに基づいて 直感的に判断するのを好みます。入手が難しくとも問題にしません。

We all sit at various places at various times on this scale, but what the law of diffusion of innovation tells us is that if you want mass-market success or mass-market acceptance of an idea, you cannot have it until you achieve this tipping point between 15 and 18 percent market penetration, and then the system tips. I love asking businesses, "What's your conversion on new business?" They love to tell you, "It's about 10 percent," proudly. Well, you can trip over 10% of the customers. We all have about 10% who just "get it." That's how we describe them, right? That's like that gut feeling, "Oh, they just get it."
The problem is: How do you find the ones that get it before doing business versus the ones who don't get it? So it's this here, this little gap that you have to close, as Jeffrey Moore calls it, "Crossing the Chasm" -- because, you see, the early majority will not try something until someone else has tried it first. And these guys, the innovators and the early adopters, they're comfortable making those gut decisions. They're more comfortable making those intuitive decisions that are driven by what they believe about the world and not just what product is available.

iPhone が登場した日に6時間並んで買う人達です。次の週になれば、歩いて店まで入っていって、すぐその場で買えるというのに、この人たちが最初の薄型テレビに400万円払うのです。その技術がまだ標準になっていなくともお構いなしです。 ちなみに彼らがそうするのは、技術がすごいのが理由ではなく、自分たちのためです。一番乗りをしたいのです。 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。 そして信じることをただ行動で示すのです。人は自らの信じることを 示すために行動します。 iPhone を買うために6 時間も列に並んで、立ちっぱなしで過ごすわけは、彼らが世界について信じていることのためです。 他の人にもその思いを見せたいのです。自分が 1 番だったと。 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。

These are the people who stood in line for six hours to buy an iPhone when they first came out, when you could have bought one off the shelf the next week. These are the people who spent 40,000 dollars on flat-screen TVs when they first came out, even though the technology was substandard. And, by the way, they didn't do it because the technology was so great; they did it for themselves. It's because they wanted to be first. People don't buy what you do; they buy why you do it and what you do simply proves what you believe. In fact, people will do the things that prove what they believe. The reason that person bought the iPhone in the first six hours, stood in line for six hours, was because of what they believed about the world, and how they wanted everybody to see them: they were first. People don't buy what you do; they buy why you do it.

ここで有名な例を紹介します。 イノベーションの普及の法則に関する有名な失敗例と有名な成功例です。まず有名な失敗例ですが、これは商品の例です。ほんの少し前にも言いましたが、成功のレシピは金と人材と市場環境です。これがそろえば成功します。TiVo を見てください。TiVo が登場したのは今から8-9 年前で、市場に投入されている唯一の高品質製品でした。 断然 間違いなし、資金調達も極めて順調でした。市場の状況もすばらしかった TiVo は動詞になりました。私はいつも「スゴ録」で TiVo ってるよ。

So let me give you a famous example, a famous failure and a famous success of the law of diffusion of innovation. First, the famous failure. It's a commercial example. As we said before, the recipe for success is money and the right people and the right market conditions. You should have success then. Look at TiVo. From the time TiVo came out about eight or nine years ago to this current day, they are the single highest-quality product on the market, hands down, there is no dispute. They were extremely well-funded. Market conditions were fantastic. I mean, we use TiVo as verb. I TiVo stuff on my piece-of-junk Time Warner DVR all the time.

でも、商業的には失敗でした。 お金を生み出せなかったのです。株式公開をしたときの株価は 30-40ドルでしたが、それから急落して10ドル以上で取引されることはありませんでした。 実際 何回かの単発的な上げを別にすると 6ドル以上で取引されることさえなかったと思います。お分かりのように TiVo が製品を投入したときには、彼らはそれが「何か」を説明しました。「生放送を一時停止したりCMをスキップしたり 巻き戻して見たりできるテレビです。どんな番組が好きかを頼まなくとも記憶してくれます。」 疑い深い大衆は思います。「信じられないね、そんなのいらない。 気に入らない、気味が悪いよ。」 もしTiVoがこんな風に言っていたら? 「自分の生活のあらゆる側面を 自分でコントロールしたいという方にはぴったりの製品がここにあります。生放送を一時停止したり、CM をスキップしたり、好みの番組を記憶します、などなど」人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。何をするかは、信じることを示す限りにおいて意味を持つのです。

But TiVo's a commercial failure. They've never made money. And when they went IPO, their stock was at about 30 or 40 dollars and then plummeted, and it's never traded above 10. In fact, I don't think it's even traded above six, except for a couple of little spikes. Because you see, when TiVo launched their product, they told us all what they had. They said, "We have a product that pauses live TV, skips commercials, rewinds live TV and memorizes your viewing habits without you even asking." And the cynical majority said, "We don't believe you. We don't need it. We don't like it. You're scaring us."
What if they had said, "If you're the kind of person who likes to have total control over every aspect of your life, boy, do we have a product for you. It pauses live TV, skips commercials, memorizes your viewing habits, etc., etc." People don't buy what you do; they buy why you do it, and what you do simply serves as the proof of what you believe.

今度は、イノベーションの普及の法則がうまく行った例を見てみましょう。 1963 年の夏のこと、25万人もの人が集まって、ワシントンの通りを埋め尽くし、キング師の演説に耳を傾けました。 招待状が送られたわけではなく、日にちを告知するウェブサイトもなく、どうやったのでしょう。キング師だけが偉大な 演説家というわけではありませんでした。 市民権運動以前のアメリカで彼だけが苦しんでいたわけではありませんでした。 実際、彼のアイデアのなかにはひどいものもありました。でも、彼には才能がありました。 彼はアメリカを変えるために何が必要かなどを説かず、彼は自分が信じることを語ったのです。 「私は信じている 信じている 信じている。」 と語りました 彼が信じることを信じた人々が、彼の動機を自らの動機とし、他の人にも伝えたのです。 さらに多くの人々に伝えるため、組織を作った人もいました。そして、なんとまぁ25万人が集まったのです。その日、 その時に彼の話を聴くために。

Now let me give you a successful example of the law of diffusion of innovation. In the summer of 1963, 250,000 people showed up on the mall in Washington to hear Dr. King speak. They sent out no invitations, and there was no website to check the date. How do you do that? Well, Dr. King wasn't the only man in America who was a great orator. He wasn't the only man in America who suffered in a pre-civil rights America. In fact, some of his ideas were bad. But he had a gift. He didn't go around telling people what needed to change in America. He went around and told people what he believed. "I believe, I believe, I believe," he told people. And people who believed what he believed took his cause, and they made it their own, and they told people. And some of those people created structures to get the word out to even more people. And lo and behold, 250,000 people showed up on the right day at the right time to hear him speak.

その中でキング師のために集まった人は何人いたでしょう。 ゼロです みんな自分自身のために集まったのです。 彼ら自身がアメリカに対して信じることのために、8時間バスに揺られてやってきて、8月のワシントンの炎天の下に集まったのです。自分が信じることのためです。白人と黒人の対立ではありません。聴衆の 25 パーセントは白人だったのです。 キング師は この世界には 2種類の法があると信じていました 神によって作られた法と 人によって作られた法です。 そして人が作った法がすべて 神の法と整合するまでは 世が公正になることはないと信じていました。 市民権運動はたまたま、彼の人生の目的を果たす上で 完璧な追い風でした。人々がついて行ったのは彼のためではなく自分自身のためでした。その中で 「私には夢がある」という演説をしたのです 「私にはプランがある」という演説ではありません。

How many of them showed up for him? Zero. They showed up for themselves. It's what they believed about America that got them to travel in a bus for eight hours to stand in the sun in Washington in the middle of August. It's what they believed, and it wasn't about black versus white: 25% of the audience was white. Dr. King believed that there are two types of laws in this world: those that are made by a higher authority and those that are made by men. And not until all the laws that are made by men are consistent with the laws made by the higher authority will we live in a just world. It just so happened that the Civil Rights Movement was the perfect thing to help him bring his cause to life. We followed, not for him, but for ourselves. By the way, he gave the "I have a dream" speech, not the "I have a plan" speech.

現代の政治家の12項目の総合計画と比べてください。誰かを動かすものではありません。 リーダーと導く人は違います。リーダーというのは 権威や権力の座にある人です。でも導く人というのは、皆を動かすのです。個人であれ、組織であれ、我々が導く人に従うのはそうしなければならないからではなく、そうしたいからです。 導く人に従うのは、彼らのためでなく、自分自身のためです。そして「なぜ」から始める人が周りの人を動かし、さらに周りを動かす人を見出せる力を持つのです。

Listen to politicians now, with their comprehensive 12-point plans. They're not inspiring anybody. Because there are leaders and there are those who lead. Leaders hold a position of power or authority, but those who lead inspire us. Whether they're individuals or organizations, we follow those who lead, not because we have to, but because we want to. We follow those who lead, not for them, but for ourselves. And it's those who start with "why" that have the ability to inspire those around them or find others who inspire them.

どうもありがとうございました
Thank you very much.  

                                                
Translated by Natsuhiko Mizutani
Reviewed by Yasushi Aoki

 

第208号 ALUMNI編集室から

第208号 ALUMNI編集室から
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


  
TOEIC英語資格の次は、
  CAP ( Certified Administrative Professional ) 米国型マネージメント英語検定
   

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


皆さまもご存知のように、世の中には、英語の運用能力を問う試験は以下のように豊富です。


・英検(実用英語技能検定)
・TOEIC(トーイック)
・TOEFL(トーフル)
・IELTS(アイエルツ)
・国連英検(国際連合公用語英語検定試験)
・日商ビジネス英語
・ケンブリッジ英検
・オックスフォード英検 等

しかし、これらはあくまでも英語の運用能力試験。言ってみれば‘英語を学ぶ資格試験’。
しかし、これからはそれに次いで、‘英語で学ぶ’資格試験が求められると確信します。

そこで、CAP(Certified Administrative Professional)をご紹介します。

https://www.iaap-hq.org/

CAP(Certified Administrative Professional)はアメリカ、カンザスシティに本部を持つIAAP(International Association of Administrative Professionals)が実施するオフィス プロフェッショナルを認定する国際資格です。 

その認定に求められる能力は、マネジメント、ビジネスコミュニケーション会計、IT、
情報セキュリティ、そして高度な英語力というきわめて広範なビジネス能力です。

それはプレMBAとも称され、それ以上にバランスの取れた能力を証明するもので、まさに国際ビジネスにかかわる者としてのEmployability(エンプロイアビリティ=企業が求める能力)を保証する資格です。

TOEICのハイスコアだけでは差をつけられない時代になりました。

机上の英語力ではなく、ビジネス実務に即した英語力の証明であるCAPこそが、現代のビジネスパーソンの大きな武器となると思います。このアメリカの資格試験は、高い英語力と共に、実践的なマネージメント力が証明でき、世界中のホールダーは約10万人、世界中で通用する資格です。

CAP資格が求める能力(日本語)
*オフィスコミュニケーション(Oral, Written)、ビジネスレター
*人的ネットワーキング
*会議の準備・議事録の作成
*ファイリング管理
*英文会計(P/L B/S)
*マネージメント(経営理論、人事管理)
*タイムマネジメント
*デイシジョン・メイキング 
*IT知識(ソフト・ハード・システム)
*データのセキュリティ管理
*人間工学 

CAP資格が求める能力(英語)
●Organizational Communication
Application of communication, management theories and leadership models
Resolving conflict/ Networking /Team building& dynamics/Presentation/Coaching Mentoring/Public speaking /Multicultural communication/Work productivity/Legality

●Business Writing and Document Production
Creating and distributing of correspondence, documents, reports/
Research and Analysis/Editing and Proofreading/Presentation Software
/Charts and Graphs Web publishing /Creation of Minutes of meetings and Agenda

●Technology and Information Distribution
IT knowledge (Software and Hardware) /Information distributing /
Data utilization and visualization/Internet and SNS / Installation,
maintenance, troubleshooting Backup/Compatibility of software/
Understanding of IT related legal issues 

●Office and Records Management
Understanding of ARMA Guidelines/Electronic and manual filing management/ 
Security for files/ Laws of record storage & confidentiality /
Efficient and effective workplaces
Inventory software/Virtual and traditional offices

●Event and Project Management
Event and travel preparation/Planning of various business travels/
Knowledge of negotiating, budget review, bill explanation when organizing a project

●Operational Functions
HR Related: Professionality and legality/Organizational policies and Procedures   
Recruitment, Staffing, Hiring/Diversity Training /HRM
knowledge/Onboarding and Offboarding processes/ Performance
Evaluation/Orientation
Financial Related: Accounting terminology/creating, tracking, balancing a budget

オフィス・ワーカーを対象としたこの資格は、昇格、あるいは管理職へのステップ・アップに役立ち、多種多様な職種や職位を持つホルダーが世界中で活躍しています。

言い換えれば、CAP試験合格がもたらす成果としては、

●仕事に生かせるビジネス英語力がつく
→ TOEIC等のスコアアップにも大きくつながります。

●広範囲な米国型マネージメント知識を習得することにより、特に外資系では昇進、異動などに有利
→ 英語のミーティングやプロジェクトに自信を持って参加することができます。

●様々な英語のマネージメントノウハウが要求される場面で、英語でリーダーシップを発揮できます。

最後に資格試験の基本情報を載せておきましょう。

・試験日 年2回 3月と9月
・会場 IAAPの指定の受験会場(世界各国にあります)
・試験形式 CBT( Computer-based Testing )方式、四肢選択
・試験時間 3時間半、約300問
・受験料 560ドル(IAAP会員は375ドル)*IAAP年会費175ドル
・受験資格 学位とビジネス実務実績が必要
(高卒:2年以上、短大卒:3年以上、学位なし:4年以上)
*高卒でも受験資格はあります。合格後、実務を積んで正式認定

現在、本誌の特集でCAPの連載を行っています。
http://e-trans.d2.r-cms.jp/

また、バベルユニバーシティでは、以下のように受験準備コースを設けております。
詳細はお問合せください。
http://babel-edu.jp/cap/


第207号 ALUMNI編集室から

第207号 ALUMNI編集室から
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


  
Minerva Schools at KGI ミネルバ大学
   Nurturing Critical Wisdom for the sake of the World  

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹

さすがシリコンバレー発、大学の既成概念を塗り替えた大学を紹介しましょう。
https://www.minerva.kgi.edu/
バベルユニバーシティも共通点もありながら、学ぶ点も多くあります。

まず、そのミッションを見てみましょう。


The Minerva mission statement―7Guiding Principles
Being Unconventional

We are unique, standing apart from other universities and other ways of learning. We believe there is a better way and refuse to settle for the status quo. We challenge conventional thinking, anticipating needs and desires, and championing novel approaches. By delivering the unexpected — that which brings a sense of mystery, or a moment of delight — we encourage further discovery.
We never do things simply because others do,
instead we develop different, more effective solutions.
このミッションをみると、以前にもご紹介しました以下のTEDのスピーチが思い出されます。
     
     ‘How great leader inspire action’
https://www.ted.com/talks/simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action?language=ja

Being Human
We are deeply curious and cosmopolitan. We embrace the energy and complexity of the world, seeking to understand the diverse cultures we live in. We build relationships through respectful, personal connections. By celebrating the power of different perspectives, we promote mutual understanding and shared ideas.
We eliminate barriers to human interaction, emphasizing meaningful contact.
Being Confident
We are bold and decisive, unwavering in our commitment and beliefs. We take informed risks and make prudent decisions, without fear of failure. We approach challenges directly, working through adversity and complexity. By acting with conviction, we are able to advance our progressive vision for the future.
We act with clear intent and strong judgment, yet understand that confidence does not mean hubris or arrogance.

Being Thoughtful
We continually analyze, evaluate, and examine, incorporating depth and dimension. We look for things others do not see, including details and information that add nuance and levels of interest beyond what is immediately evident. We are considered in our own views, initiating discussion and debate, and treating those that disagree with dignity and respect.
We never accept superficial thinking or lack of due diligence and expect others to engage with the same level of depth and scrutiny.

Being Selective
We are prestigious, exacting, and rigorous, attracting the finest talent in the world. We focus our time and attention on the people, institutions, and initiatives that are most important for our collective success. We carefully consider what we present to the world, producing high quality with clear intention.
We are not suitable for everyone, but neither are we elitist.

Being Authentic
We communicate openly and candidly, addressing people directly and conveying heartfelt emotion. We welcome honest dialogue, even about sensitive or controversial topics. We impart accurate information with genuine sincerity, building trust and establishing mutual respect.
We avoid anything artificial, false, or contrived; hyperbole breeds suspicion and erodes credibility.
Being Driven
We are ambitious, always pushing to transcend the commonplace. We look for opportunities to improve, refining our approach, and enhancing the outcomes for our students and the world. We work to reach apotheosis, the highest point of achievement. Only by constantly striving to excel will we realize our full potential.
We never settle for “good enough”; if we can’t accomplish excellence, we pursue a different route.

以上、大学らしからぬ、徹底してWHY、何のために存在するかを突き詰めた想いは多くを学ばせてくれます。

How is Minerva different from other undergraduate programs?
The key differences that distinguish Minerva include:
•    Rigorous curriculum based on the science of learning
•    Accomplished faculty focused on student instruction
•    Four years of global cultural immersion
•    Small seminars with fewer than 20 students
•    
Advanced interactive learning environment
•    Lifelong career support services
•    Merit-based and need-blind admissions process
•    Accessible and affordable with tuition $12,950/year

サンフランシスコを拠点に2014年に開校したばかりだが、新設校ながら初年度には98カ国1万1000人以上の応募があり、その合格率は2.8%という狭き門だったと言います。

ハーバード大学、スタンフォード大学、ケンブリッジ大学などの名門大学の合格を辞退して
進学する学生がいると言います。

選考過程は、まず手続き上の基本書類を提出。のちIQテストのような独自のオンライン試験、課外活動の提出、成績表の提出(英語)、さらにオンライン面接が実施されます。
特徴的なのはオンライン面接です。口頭の応答だけでなく、エッセーの提出が必要で、その場で書く過程を面接官がモニタリングすると言う。ノートや辞書は持ち込み不可で、素の
自身の記述能力が問われることになります。

キャンパスはネットの中と世界中、ミネルヴァは、先進的な学校が次々と生まれるベイエリアでも、おそらく最もプログレッシブな大学として知られてます。

世界7都市のキャンパスを移動しながら学ぶ全寮制4年制大学であり、脳科学に基づいた、100%アクティブラーニングを実践しています。

学生はみな寮生活を共にするが、18名ひとクラスの授業は全てオンラインで、なんと教授の側が世界各地からコールインします。MOOCS(Massive Open Online Courses、一般的なオンライン講座)等とは逆の発想です。従って、教員は自分の滞在している研究施設等から授業を行えるので、その分移動コストと時間を節約、研究活動に専念できると言います。

また、すでにMOOC等で優れた講義動画が無料で入手できる時代に、同じような内容の講義を有料で実施するのは非論理的と考えていそうです。もっともです!!

What makes the interactive learning environment better than a traditional classroom?
Minerva’s Active Learning Forum platform uses the latest advances in information technology to provide an engaging class experience that is unmatched. Live, video-based seminars enhance student-to-professor and peer-to-peer interactions by ensuring that everyone is visibly engaged and actively participating. 
The Active Learning Forum also facilitates numerous rapid mode changes, including moving from full group discussion to smaller breakout groups, one-on-one and team debates, collaborative document sharing and editing, as well as dynamic polling and real-time simulations. The platform’s asynchronous tools provide powerful capabilities for students and professors alike, by enabling deeper and more frequent data-rich feedback, schedule and assignment management, and searchable review of prior class footage.

2014年に入学した一期生は2019年に卒業予定。起業を志す学生も多いが、多くの企業からインターシップや雇用についての問い合わせも殺到していると言います。

都市をキャンパスにする。滞在都市にある最新の研究施設、芸術施設、図書館などを利用し、企業、行政機関、NPO等との共同プロジェクト、インターンシップを実施しています。

What is included in the lifelong career services?
Minerva’s Professional Development Agency acts as a personal talent agency. In addition to unlimited consultation sessions, the team of experts provides networking, publicity, and entrepreneurial support. These coordinated services help raise the visibility of your achievements and propel your career forward.


そもそも進取、改革の気質が旺盛なアメリカにおいても規制の大学の硬直性に一般の学生も、業界の人間も呆れつつあったその時登場したのがミネルバ大学だと。

創立時の理念をみると、既成の大学を称して、真のリベラルアーツを提供している大学は見当たらず、次第に大学は、真に知的な人間を育てる方向から、ただ知識を与える方向に退化してしまったと言います。

また、現在のアイビーリーグでは、超富裕層の子弟が入りやすく尊重され、実際には1%の富裕層からの子弟が全体全体の5割になることもあるそうです。

もちろん学費はべらぼうに高く、特に、アメリカ東部の一流大学はある種の学歴社会の歴史の上に成り立っているので、留学生は、伝統的なインナーサークルには入れないし、学校生活で孤立する事例もあると言います。

おまけに、米国の大学生の大半がもらっている連邦政府系の奨学金はまもなくはじけるという噂さえ真実味を帯びて語られています。

更に詳しく、ミネルバをリサーチすると、なるほど本来の教育とは、を思い起こさせてくれます。

ミネルバ大学では、オンライン授業を行っている。不特定多数に一方通行の講義をネットで遠隔配信するだけのオンライン大学ではない、ということです。ではなぜキャンパスを有し生徒たちが顔を合わせられる環境にもかかわらずオンラインの形式をとるのでしょうか。

曰く、「私たちは、オンラインの方が質の高い授業ができると思っています。少人数のセミナー式授業で、講師のモニターには一人一人の表情、作業の手元がはっきり映り、やる気や理解度が手に取るようにわかります。また個人の発言時間を自動的に計測でき発言量のバランスも見ながら講師がクラス進行をでき、音声は自動筆記で即時にテキスト化されるのでフィードバックが早く確実になります。」

Why are all classes small seminars?
Minerva classes focus on building skills and understanding — not mere information dissemination. Cognitive and behavioral research documents that students learn most effectively when actively engaged with the subject matter — a learning approach not that large lectures or other passive forms of teaching do not facilitate. 
Minerva’s small class size, fewer than 20 students — coupled with the advanced Active Learning Forum technology, enables professors to provide expert instruction, direct personal interaction, and frequent feedback, simultaneously ensuring that every student is an active class participant.

オンラインのデモ画面を見ると、教授側からはどの学生がどの程度発言しているか、どの学生がどのキーワードを拾っているかなどが一目瞭然に判るようになっているそうで、特定の学生が授業についていけていないことをアルゴリズムがキャッチすると教授側にアラート(警告)が発されると言います。

効率よく学びを深められるメリットがあるのでオンライン講義システムを採用し授業を行っているので、決して、人とのつながりやグループワークを軽視しているわけではないと言います。

「全寮制を採用しているためグループプロジェクトやクラブ活動は生徒たちが仲間とともに行えるようになっています。」

大掛かりな施設や講堂が不要になるため、コストを抑えることもできます。生活費を含めた学費が年約3万ドルで、これはアイビーリーグのおよそ4分の1ということ。

年間の授業料は1万2950ドル(約145万円)、寮費は1万ドル(約100万円)と決して安くはないが、全米の名門私学大学が4万~6万ドルの授業料であることを考えると比較的良心的な設定で、奨学金も潤沢に給付しているそうです。これは主に、学生寮以外にはキャンパスなどの施設を持たないため設備投資が不要であることに起因していると言います。

How can Minerva offer such low tuition?
Minerva is able to uphold our commitment to affordable education because we only invest in the things needed to provide the best education possible; we don’t invest in expensive real estate, outdated infrastructure, collegiate sports, or unnecessary amenities that don’t directly support your educational experience. This is also why we do not offer faculty tenure; our expert faculty
are here because they want to teach.

「7つの都市のキャンパスを移動する全寮制」とは、いったいどんなものか見てみますと、
ミネルバ大学では、一つの建物に学生全員が住んで共同生活を送っています。

Which global cities are included in the four-year undergraduate program?
Minerva’s residence halls are located in seven major cosmopolitan cities around the world. Students spend their first full year in San Francisco, California in the United States, and subsequent years in up to six other cities: Seoul, Hyderabad, Berlin, Buenos Aires, London, and Taipei.

1年次はサンフランシスコ。そこでは、日本の大学で例えると教養課程のような共通の授業を受けます。HC(Habits of Mind and Foundational Concepts = 思考習慣と基礎概念)。

What makes the Minerva curriculum distinctive?
The curriculum was intentionally structured to teach both breadth and depth demanded by the constantly evolving world, emphasizing on four core skills — thinking critically, thinking creatively, communicating effectively, and interacting effectively. By exposing students to interdisciplinary subject matters and continuously reinforcing key habits of mind and foundational concepts, Minerva teaches a broad and adaptable set of skills and knowledge, applicable to any field.
Depth of learning occurs in the major and concentration courses, and the self-directed Capstone project, where students focus on a specific area of expertise starting in their third year and continuing through their final year.

曰く、「この時点では学生たちの専攻は決めません。今までの経験に囚われず自分の専攻をじっくりと選んで欲しいからです。そのためにまず物事の見方の120パターンの癖を矯正し、4つの学びの基本コンセプトを学びます。」
•    分析 統計手法、論理、意思決定判断、シミュレーションなど
•    複雑系 互いに関係しあう要因を観察する
•    実証分析 仮説を立て、調査・実証してみる
•    修辞学 多様なコミュニケーション方法を探る
   
更に、「これらの過程を経て自分の専攻は2年次に決定します。2年、3年次はブエノスアイレス、ベルリン、バンガロー、ソウルに4ヶ月ずつ滞在。4年次にはイスタンブールとロンドンに滞在します。それぞれの都市には個性とストーリーがあります。大都市だったり、衰退と趨勢を繰り返した街だったり、今変革の真っ只中の街であったり……。基礎学習を経て専攻を選び更に深まっていく年次ごとの学びに合せて、どの都市でどの年次を迎えるのが一番ドラマティックかというストーリーも大学側はきちんと考えているそうです。

滞在する各都市では、その地の企業や団体でのプロジェクト学習、インターンなどが行われ、前述の4つの技能を深く身につけられるそうです。

また、国籍、性別、人種、同窓生の有無によって合格基準を変えることがないことから、全生徒のうち約80%が米国籍外の生徒です。出身国は約40カ国以上に及ぶという多様性があるということ。

また、開校から4年で、43万人以上のフェイスブックのフォロワーを獲得し、MITより多い受験者を獲得できたと言います。

では、なぜ、このような 最先端の学びを生み出すことができるのでしょうか。

加えて、実は最先端のテクノロジー開発や、後述のカリキュラム開発は、全てミネルヴァのfor-profit wing(利益追求を目的とする関連会社)が手掛けていて、ここへはベンチャーキャピタル等から投資を受けて、将来的には他の教育機関へライセンス契約をすることでリターンを上げていくと言います。

ミネルヴァ大学は同社のnon-profit wingであるため、このライセンスを無償で使うことができる仕組みになっており、授業料が更に抑えられていると言います。

創業者のBen Nelson氏は、ネット上で写真ストレージと印刷を手がけるSnapfishというスタートアップのCEOを務めていた実業家として知られる。もともと教育界にいなかったメンバーが集まって理想の教育を追求して始まったが、教育界の既成概念から解き放たれることで、新しい発想を制約なく形にして行くことが可能になったのかもしれない、とのこと。

我々も学ぶべきところは学び、ミネルバの今後に期待したいと思います。



 

第206号 ALUMNI編集室から

第206号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

今回は以前にも何回か寄稿いただきました九州大学で政治学を講じています施 光恒先生に許可を得て、施先生が他の媒体で披露されたお考えをお届けします。日本人も世界の動きに学ぶ姿勢が、国を動かす人々を筆頭にあるようです。
                                               バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹

 
「ヨーロッパ文明の死?」  
           
                        施 光恒(せ・てるひさ)
                        九州大学大学院比較社会文化研究院准教授法学博士  


日本の実質上の「移民国家化」が着々と進められています。

最近は、現在の入国管理局を改組・拡大し、「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針を政府が固めたという記事が各紙に出ていました。

「入国管理庁に格上げ 来年4月、人材受け入れに環境整備」(『産経ニュース』2018年8月28日配信) https://www.sankei.com/politics/news/180828/plt1808280006-n1.html

去る六月に閣議決定された「骨太方針」で事実上、外国人労働者を大規模に受け入れることが明記されました。介護や建設、農業といった分野に2025年までに50万人超を受け入れるということです。


周知のとおり、欧州では1960年代頃から外国人労働者を受け入れ始めた結果、治安の悪化や社会的分断など様々な社会問題が生じてきました。その先例に学ばず、なぜ日本は愚かな後追いを始めるのでしょうか。

この流れ、自民党が進めている限り、簡単には止まらないでしょう。今秋の自民党の総裁選でも、外国人単純労働者大規模受け入れの是非は争点に全くならないようです。

また、野党も、「リベラル=外国人労働者・移民受け入れに寛容であるべき」だと思い込んでいるので、基本的に反対しないでしょう。

(骨太方針への懸念や「リベラル=外国人労働者・移民受け入れに寛容であるべき」という図式のおかしさについては、少し前の産経のコラムで少しですが書きました。下記のリンクをご覧ください)。
【国家を哲学する 施光恒の一筆両断】「外国人就労拡大 「国民の安寧」への打撃」(『産経ニュース』2018年6月7日付) https://www.sankei.com/region/news/180607/rgn1806070027-n1.html

外国人単純労働者大規模受け入れ推進派の論拠は、概ね「少子化で深刻な人手不足に陥っているのだからしょうがないだろ」というもののようです。

上記の産経のコラムを書いた後、やはり産経新聞から、「ニッポンの議論」という欄で外国人労働者受け入れ問題について賛否それぞれの意見を併記する記事を作るので、反対派として出てくれと声がかかりました。

その際、賛成派がどのような議論を展開するのか、大いに関心があったのですが、期待外れでした。下記のリンクを見ていただければわかるように、賛成派の毛受敏浩(めんじゅ・としひろ)氏の論拠は、やはり「人手不足が深刻だから」だけでした。

【ニッポンの議論】「外国人労働者受け入れ 毛受敏浩氏「人手不足深刻で必要」×施光恒氏「経済安定化に逆行」(『産経ニュース』2018年7月29日付)
https://www.sankei.com/premium/news/180729/prm1807290014-n1.html

賛成派の他の論拠としてたまに耳にするのは、「ダイバーシティ」(多様性)のためだというものです。例えば、経団連の中西宏明会長は、外国人労働者大規模受け入れが必要だという理由は、人手不足以前に「ダイバーシティ」のためだと述べています。

経団連会長「外国人労働者受け入れ拡大を」(『日テレNEWS 24』 2018年6月11日) http://www.news24.jp/articles/2018/06/11/06395597.html

賛成派が最低限しなければならないことは、日本が外国人単純労働者を大規模に受け入れたとしても、欧州のように移民国家化しないこと、また移民国家化のため欧州各国で生じた様々な社会問題から真剣に学び、こうした問題を日本では引き起こさないということを、きちんと説明することだと思うのですが、賛成派でそうしている人をみたことがありません。

外国人単純労働者受け入れ問題に関して、私が最近、講演などでよく触れる本があります。英国のジャーナリストであるダグラス・マレー氏が昨年出版し、同国でベストセラーになっている『ヨーロッパの奇妙な死――移民、アイデンティティ、イスラム』という本です。(Murray, D., The Strange Death of Europe: Immigration, Identity, Islam (London: Bloomsbury Continuum, 2017))。

英国アマゾンのサイトでみると、昨日現在でレビューが702件もついており、平均値は4.8です。英国人の非常に大きな支持を受けています。
https://www.amazon.co.uk/Strange-Death-Europe-Immigration-Identity/dp/1472958004/

この本、私は、中野剛志氏の新刊『日本の没落』(幻冬舎新書)で紹介されていたので興味を持ち読んでみたのですが、衝撃的な内容です。(未邦訳ですが、中野さんの本(特に第四章)で全体の概要が紹介されています。邦訳は、東洋経済新報社から年末~年明け頃、出版される予定だそうです)。

著者のマレー氏は、ヨーロッパは、「自殺しつつある」と述べています。理由は、大規模な移民の受け入れです。大規模に移民を受け入れてきたため、ヨーロッパ各国の「国のかたち」は大きく変容してしまい、その文化的アイデンティティを喪失しつつある。ヨーロッパ人は自分たちの故郷を、近い将来、失うと警告するのです。

マレー氏は、本書を次のような文章で始めています(中野さんの訳文をかなり拝借しています)。

「ヨーロッパは自殺しつつある。あるいは、少なくともヨーロッパの指導者たちはヨーロッパを自殺に追い込むことに決めた」。

「私が言っている意味は、ヨーロッパとして知られる文明が自殺の過程に入っており、イギリスであれ他の西ヨーロッパの国であれ、どの国も、同じ兆候と症状を示しているので、この運命からは逃れられないということだ。結果として、現在生きているヨーロッパ人のほとんどの寿命が終わるころには、ヨーロッパはヨーロッパではないものになり、ヨーロッパの人々は世界の中で故郷と呼べる唯一の場所を失っていることであろう」。 マレー氏の本では、英国をはじめとするヨーロッパ諸国は、どの国の国民も自分たちの国を移民国家にするとはっきりとは決めたわけではないのに、ずるずると取り返しのつかないところまで来てしまった経緯が描かれています。

例えば、英国をはじめとするヨーロッパ各国で、もともとの国民(典型的には白人のキリスト教徒)は、どんどん少数派になってきています。本書で紹介されている数値をいくつかあげてみましょう。

2011年の英国の国勢調査によれば、ロンドンの住人のうち「白人の英国人」が占める割合は44.9%とすでに半数を切っています。

また、ロンドンの33地区のうち23地区で白人は少数派に転落しています。ちなみに、この数値を発表した英国の国家統計局のスポークスマンは、これはロンドンの「ダイバーシティ」(多様性)の表れであると賞賛したそうです。 2014年に英国内で生まれた赤ん坊の33%は、少なくとも両親のどちらかは移民です。オックスフォード大学のある研究者の予測では、2060年までには英国全体でも「白人の英国人」は少数派になると危惧されています。

英国民に占めるキリスト教徒の割合も、過去10年間で72%から59%と大幅に減少し、2050年までには国民の三分の一まで減る見込みです。

他に、例えばスウェーデンでも今後30年以内に主要都市すべてでスウェーデン人(スウェーデン系スウェーデン人)は少数派に転落するという予測もあります。

このように、外国人労働者の受け入れに端を発する移民国家化によって、ヨーロッパ諸国は、民族構成や宗教や文化のあり方が大きく変容しつつあります。正面から十分に国民の意思を問うたわけでもなく、いつの間にか、「国のかたち」がなし崩し的に大きく変わってきてしまっています。その結果、ヨーロッパ文明は死に、ヨーロッパ人はかけがえのない故郷を失うだろうと著者のマレーは警鐘を鳴らすのです。

こうしたヨーロッパ各国の状況は、外国人労働者の大量受け入れをほぼ決めてしまった日本にとっても他人事ではありません。近い将来、『日本の奇妙な死』という本がベストセラーになる日がこのままだと来るのではないでしょうか。

我々は、ヨーロッパの陥っている苦境から学ぶ必要が大いにあります。

追伸:マレーの『ヨーロッパの奇妙な死』については、『表現者クライテリオン』のメルマガ(施担当分)でも異なる角度から少し触れています。そちらもご覧ください。

『表現者クライテリオン』

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第205号 ALUMNI編集室から

第205号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 


 
「日本の言語は不便利にして、文章も演説も出来えぬゆえ、英語を使い、英文を用いるなぞと、取るにも足らぬバカを言う者あり(初代文部大臣森有礼)」
― 福澤諭吉

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


今回は前回に次いで、福沢諭吉に学ぶ視座を小浜逸郎氏の著書『福澤諭吉 しなやかな日本精神』を参考に考えていきたいと思います。

「日本の言語は不便利にして、文章も演説も出来えぬゆえ、英語を使い、英文を用いるなぞと、取るにも足らぬバカを言う(文部大臣森有礼)という者あり」と喝破した福澤諭吉。

諭吉が「学問のすすめ」を発刊したとほぼ同時期に、初代文部大臣、森有礼が英語公用語論を唱えた時に、福沢諭吉が森を罵倒した言葉です。 

私企業ならまだしも、安易に戦略特区で公共のサービスの場を英語化しようなどという提案をしている国と地方自治体、スパーグローバルユニバーシティを謳い、日本の高等教育を単純に英語化しようとしている文科省、おまけに英語教育の早期化を小学校で成算もなく進めようとしている文科省等々を考えると改めて諭吉のことばを戒めとしたいと思います。

また、英語を高等教育の言語に採用したシンガポール他、アジア各国、一方日本は日本語による高等教育を堅持しながらも、理系に関しては米国に次いでのノーベル賞を取得してきたという実績。しかし、残念なことに、2,000年を100として、科学技術関係予算の推移を主要国で比較すると、アメリカ、ドイツ、イギリスは1.5倍、韓国は4.7倍、なんと中国は11倍。対して、日本はなんと横ばいの1.06倍。技術立国を真っ向から否定していく政府には呆れます。

諭吉が教えてくれている、西洋と東洋の半ばにあり、日本の在り方を常に考えて、安易に西洋につくこともなく、東洋、日本、そして西洋もしつかり学ぶ姿勢は、日本政府はもちろんのこと我々がしつかりと獲得しておかなければならないでしょう。

改めて、日本の現状を憂い、日本の在るべき姿を問題意識をもって考える時期にきていることを昨今の日本政府の施策をみるたびに思います。

諭吉は明治維新というまさに転換期にこうしたことを考えていたわけですが、我々も今が転換期、転換しなければならない時期にきているという強い認識を持ちたいと考えます。

ご存じだったでしょうか、小浜氏の著書でも引用されていますが(京都大学大学院教授 藤井聡作成データ)OECDが発表している主要国の名目GDPの推移、1990年を100として、ドイツ、フランス、イタリアは200以上、アメリカ、イギリス、カナダは300以上、ところが日本はなんと横ばい。おまけに、1995年から2015年までの20年間の名目GDP成長率は世界の主要国80か国中、最低。いきおい名目賃金も20年間下がり続けているという惨状の日本。こんな現実を意図的にか?政府はもちろん、マスコミも一切触れていないという不可思議さ。

福澤諭吉が生きていればこう思うのではないかと思います。

現状の日本の亡国の3大危機と敢えて言えば、その最たるものは、国民の危機意識の欠如、国を想う意識欠如、いわば、‘ゆでガエルの状態の日本人’を思わざるを得ません。日本の経済的凋落(為政者の失政)を横目に、隣の大国、中国が着々と日本を侵略し(土地を買いあさり)、日本を属国にと目論んでいる状況の中で、今こそ目覚めるときが来ているように思います。

小浜氏も危機意識をもって強く主張しているのは、2つの亡国の危機。

一つは、財務省の緊縮財政路線。すなわち、成長を否定する財務官僚の愚策。これによる今回の各地の水害の主要因であるインフラの整備の遅れ、科学技術の予算削減による技術立国の危機、軍事予算の削減から隣国中国と圧倒的差を付けられつつある国を自力で守る力の弱体化。日本国の愚策は情けない限りです。

その背景には、国の借金1,000兆円、国民一人当たり800万円という財政破綻論のデマ。
国債の発行は全て円建てで破綻などありえない、おまけにあたかも国民に借金があるように(実は国民が債権者)プロパガンダをながしています。

二つ目の亡国の危機は、グローバリズム、新自由主義に対抗する考えが希薄なことです。実質的な移民化政策、教育の英語化、電力の自由化、水道の民営化等も実のところグローバル企業(中国も含む)の餌食にされているだけの現状をどこまで認識しているのでしょうか。

それもこれも日本独特の民間議員を野放図にした結果であることは承知しているでしょうか。議員でも何でもない財界の要人を、未来投資会議、経済財政諮問会議等の名目で参画させ、実のところかれらが自分たちの関連した企業に利益誘導をしている(健全なロビーイングならまだしも)、私利をむさぼる構造を生み出してしまった日本。

この稿では決して政治に深入りしたいわけではないのですが、今の日本を健全に憂うる姿勢が望まれます。

福澤諭吉は、一般に誤解されているような西洋かぶれではなく、真摯に日本を想い、西洋の文物をいわば‘翻訳的方法’で、しつかり咀嚼し、日本的な文脈で‘翻案’していく姿勢を堅持していました。第二の福澤諭吉の誕生が待たれます。

第204号 ALUMNI編集室から

第204号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 


 
今、偉大なる‘翻訳者’、福澤諭吉が生きていれば?


 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


「学問のすすめ」

天は人の上に人を造らず、人の下に人をつくらず、と云えり。

 

人は生まれながら平等であると言われているが、

現実には大きな差がある。それはなぜであろうか。

その理由は、学んだか学ばなかったかによるものである。

学問を身につけ、自分の役割を果たし独立すべき。

自由とわがままは異なる。学問とはその分限を知ることである。

自分の行いを正し、学問を志し、知識を広め、各自の立場に応じて才能と人格を磨き、

外国と対等に付き合い、日本の独立と平和を守ることが急務である。

 

 福澤諭吉の「学問のすすめ」は、明治維新の5年後、1872~76年に書かれています。人口が3500万人の当時、340万部も売れた驚異のベストセラー、今日で言えば、日本の人口が1億2千万人であるとすると、なんと1200万部ということになります。

 

 当時の日本は明治維新を経て、言わば強制的に鎖国を解かれ、本格的なグローバル社会へ突入した、まさに激動期、社会、国家革命を目前にした時です。

 

 この本は、まさに新しい時代を拓く指南書として多くの日本人が貪り読んだ本でした。

 

 従って、「学問のすすめ」は単なる個人の能力至上主義を唱えたものではなく、個人の社会的あり方、役割を説いたもので、個人が自立するなかで国家自体の繁栄が成し遂げられる事を説いています。これが独立自尊。

 

 今という時代の課題を考えると、当時、日本が直面していた難題と不思議と符合すると言われます。

 

・グローバル化の波が押し寄せ、右往左往する主体性を欠く日本

・近隣諸国が謂れなき侵略意図をほのめかし、

・国は長期の財政赤字で破綻寸前

・政府は企業優先、庶民を顧みない

・社会制度の崩壊、遅々として進まない構造改革

 

等々の状況を見ても、当時、福澤が指摘すると同様、今こそ、次の時代への明確な展望を持つべきときに来ていると思います。国に依存せずに、個々が自らできることを自覚するときにあると考えます。

 

そんな時代に福澤諭吉が唱えたのが実学のすすめ」

 

ここで私は、時代意識を転換する新しい視点として、優れて実践的な学であるべき翻訳、

日本の世界における新たな役割を示唆する「翻訳のすすめ」、いや『日本発信のすすめ』を今こそ皆さんとともに考えていきたいと考えます。

 

世界がボーダレス一つになる中、各々の言語を生かしつつ、情報の共有化を図り、世界を融和、相互発展させるには『 翻訳 』は欠かせない方法論と考えます。日本は‘翻訳立国’と言われて久しいにも係わらず、国家レベルの施策において翻訳の占める位置付けはあまりにも低いとしか言いようがありません。細やかなコミュニケーションスタイルをもつ日本人の特性を持ってすれば、多・双方向翻訳で『翻訳再立国』を果たし、東西、南北の橋渡しとなり、日本と世界との情報格差を無くし、その‘多・双方向翻訳力’を持って世界に貢献するという図式もあながち夢物語ではないと考えます。

 

 そのために、バベルは翻訳大学院を2000年に設立しましたが、翻訳高等教育の在りかたにとどまらず、国家レベルの施策としての『 翻訳ナショナリズム の構築』をめざしたいと思います。

 

 日本は明治維新以来、福沢諭吉をはじめ、西周、中江兆民をはじめ多くの啓蒙家が、西欧の文化、文物を‘和魂洋才’を念頭に急速に取り入れ、国家の近代化を果たしてきました。これは、換言すれば、‘翻訳’を通して当時の西欧の先進文化、文明を移入してきたと言えます。俗に、‘翻訳立国―日本’と言われる所以です。

 

 六世紀から七世紀にかけて中国文化を移入したときには大和言葉と漢語を組み合わせて翻訳語を創り、明治維新以降は西欧の人文科学、社会科学等のそれまで日本にはなかった抽象概念を翻訳語として生み出してきました。societyが社会、  justiceが正義、truthが真理、reasonが理性、その他、良心、主観、体制、構造、弁証法、疎外、実存、危機、等々、これらの翻訳語は現在のわたしたちには何の違和感もなくなじんできているのは承知の通りです。

 

 翻って、この‘翻訳’の現代に占める社会的位置は、と考えてみると、不思議なくらい、その存在感が読み取れません。

 

 もちろん、巷では、翻訳書を読み、政府、また企業でも多くの予算を翻訳に割いています。また、ドストエフスキー、トーマス・マンをはじめ、世界中の古典文学を何の不自由もなく親しめる環境があるのも事実です。また、将来を展望しても、ITテクノロジーによる更なるボーダレス化を考えても翻訳は計り知れないビジネスボリュームを抱えています。

 

 一説には、一般企業が年間に外注する翻訳量は金額に換算して、2000億円市場とも言われます。これに、政府関係、出版関係(デジタルを含む)、更にアニメ、マンガといったコンテンツ産業関連を加算すれば、優に、一兆円を越える市場規模になると言われます。

 

 とすると、過去は言うに及ばず、今後、日本のビジネス取引、文化形成における‘翻訳’の役割は、想像以上に大きいと言わざるを得ません。そうした認識をふまえ、現状の日本の‘翻訳’の在るべきかたちを見直し、受信型翻訳から発信型翻訳へシフトし、西と東の融合に大きなきっかけを提示できればと考えます。

 

今、偉大なる翻訳者、福澤諭吉が生きていれば???

かれは豪放磊落にこう言ったかもしれません。

 

『 一身独立すれば一家が独立し一国が独立する。一人ひとりがその目で世界を観て、

世界の中で日本の果たすべき役割を考えよ。日本はその深く、細やかなコミュニケーション力をもって世界の融和に果たせる力量を備えているということは誰しも否定しないであろう。まずは大志を抱き一人ひとりが行動してみよう。

やってもみないで事の成否を疑うな! 』と。

 

更に、福澤諭吉は、翻訳者はどうあるべきかを問われて、こう言うかもしれません。

 

『行動する翻訳者たれ!!

その目で、その五感で良きものを見極め、それを己の文化に取り込み、更に己の文化を掘り下げこれを世界に伝えよ!そして、東西の半ばに立ち、東西文化、東西文明の融合に尽力せよ!!』と。

 

次回は、本年5月に刊行された小浜逸郎著「福澤諭吉 しなやかな日本精神」を参考に、今、福澤諭吉に学ぶべきこと、誤解の多い諭吉の本質に迫り、決して旧くなっていない、むしろ今こそ学ぶべき諭吉の思想を紹介します。

 


 

第203号 ALUMNI編集室から

第203号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 


 
国のアイデンティティを‘翻訳’で守る


 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


 我が国は古来こういう国なので、こうありたい、と堂々と自国を主張しにくくなっているのが昨今のヨーロッパ事情のようです。

 

 人、モノ、金、情報の自由な移動、グローバリズムを盲目的に良しとしている人は、そもそもこの願い自体が意味のない事と言うのかもしれませんが。

 

 例えば、今、ドイツはドイツ人がドイツはこういう国だ、と堂々と言えない国になりつつあると言います。これらの国へは年間何十万人もの移民が、特にイスラム系の移民が流入していて、自国のことを声高に主張すると、レイシスト呼ばわりされる国になりはて、おまけに、流入する移民たちは凶悪犯罪の温床にもなっているとも言われています。

 

 日本も着々と移民国家への道を歩んでいるのをご存知でしょうか。コンビニの店員がアジア系というのは身近に感じているのでしょうが。我々が知らないところでこの移民化政策が進行しつつあります。

 

 技術研修生という名のもとに日本に5年間滞在、その後はその技術をもって母国に貢献するというのがその制度の目的だったはずですが、これからは、更に5年更新され、一定の要件を満たせば、専門技能の人材として家族帯同が許され、実質的に移民なっていくと言います。また、定員割れの大学、各種学校が留学生と称して受け入れるに関しても移民化につながるグレーな部分が多いと聴きます。更に、介護、農業の分野でも同様の危惧が感じられます。

 

 もちろん、私もこのような移民政策の全てを否定するわけではないのですが、資格要件は明確にしなければ、それに関する様々な利権がもぐり斡旋ビジネスに利用され、なし崩し的に緩い移民受け入れ制度になる危険性もあります。例えば日本であれば、その要件の一つとしてその専門技能等の基本要件はもちろんですが、少なくとも日本語の能力を明確に資格審査に加えるなどしないと、ヨーロッパの二の舞になるのは明らかです。

 

 世界で最も移民の割合が高いのはUAEで、人口の88%。次いでフランス領ギアナが40%、サウジアラビア37%、スイス30%、オーストラリア29%、イスラエル25%、ニュージーランド23%、カナダ22%、カザフスタン20%などの順で、米国は15%、ドイツも15%、英国は13%、イタリアは10%となっていますが、日本もこれらに次に位置する状況にあると聞きます。

 

 では、この移民化政策がなぜ、ひそかに進んでいるのでしょう。一つは経済界の要請、人件費を上げたくない、生産性向上より、安易に、人件費を抑えるために移民化を後押ししているようです。その背後には、自らの利益を優先するグローバル資本家、株主の意向があることは明らかです。

 

 加えて、無防備な日本、それに付け込んで入り込んでくる中国をはじめとする移民予備軍。中国はいわば一帯一路に象徴されるように、世界の覇権国家たらんとし、各国に人民を送り込んで洗国(Ethnic Cleansing)を企んでいるというのがその歴史からも想像できます。

 

 中国本土の高額な医療費を逃れるために、日本で起業、ビザを取って3年もすると、日本の国民健康保険に加入でき、中国では膨大な治療費がかかる高額医療を日本で受けられると言います。おまけに、高額医療費を逃れ、日本の国民保険を食いものにする仲介ビジネスが中国本土で活況を呈しているといいます。情けないことに、日本の厚生労働省はその実態すら把握できてないという体たらくだそうです。

 

 こうした実態をみると、少なくとも移民政策の先進国?のヨーロッパの惨状を知っているのかと日本政府に言いたくなるところです。のほほんと移民化政策を進める日本。その無防備な日本にあきれるばかり。アメリカの傘のもとに危機感を忘れ去ってしまった日本に今こそ自立と自律が必要なのでしょう。

 

 スーパーグローバルユニバーシティとかいって日本の高等教育の英語化政策も、別の意味での欧米金融資本に洗国をうけているとも言えるのではないでしょうか。日本は明治以来、他のアジア諸国と違い日本語を堅持して翻訳を通じて国の在り方をここまで維持してきたわけですからその事実をしっかり受け止めて英語導入には慎重さが必要でしょう。

 

 万世一系の2000年の系譜をもつ天皇家を擁する日本という国体すら、女系天皇制というまやかし議論のもとで侵されようとしていることをどれだけの日本人が危機感をもって感じているでしょうか。

 

 こうしてアイデンティティを喪失していくのは、安易な移民問題に加えて、グローバル化のもとの安易な英語化政策を進めることも英米の2流国に甘んじることなので、同様の結果になることを肝に銘じましょう。日本語、日本文化というアイデンティティを大事にして、あくまでも自立し、翻訳を通じて自立した者同士互いの意思疎通を図るという健全なコミュニケーションスタイルをめざすべきでしょう。

 

 翻訳はいわば自立のためのソフトパワー、このソフトパワーを隅に置くのではなく、前線に置く時代が来ているように思います。


 

第202号 ALUMNI編集室から

第202号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 


 
公選された世界最高齢の国家主席、マハティール


 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


 本年5月、マレーシアで政権交代、マハティール元首相が率いる野党連合が大方の予測に反して総選挙で勝利。
 
  親日家で、「ルック・イースト(日本の経済成長を見習おう)政策」を首相就任中に推し進めた92歳のマハティール・ビン・モハマド氏が5月9日に行われた選挙で勝利し、マレーシア首相に返り咲きました。
 
 中国が南シナ海を埋め立て、軍事基地化をしようと企んでいる今、また、前首相が中国に操られていたことを考えると、反中国路線を鮮明にしているマハティール首相の返り咲きは歓迎すべきことです。
 
 ランドパワーの国、中国がいまやシーパワーになって世界の覇権を、と考えているのでしょうが、なぜ、日本にその危機感を持つものが多くないのでしょうか。中国が南シナ海を占拠してしまえば、石油やその他の資源などを中東から南シナ経由で船で運んでいる日本は、回り道をしなければならなくなります。国民にのしかかる費用は莫大なものになります。
 
 マハティール首相に「立ち上がれ、日本人」(新潮新書)という著書があります。
 
 その著書の中で、マハティール首相は、2002年にマレーシアを訪れた日本の修学旅行生たちに向かって「あなたたちは日本人の勤勉な血が流れているのだから、誇りに思いなさい」と訴え、感激して涙を流した生徒もいたという記述があります。
 
 また、著書には、
「軍国主義はよくないことだが、愛国主義的であることは悪いことではない。愛国主義は国が困難を乗り越える上で助けになる。祖国を守ることと攻撃的な軍国主義は同義語ではない」
「はっきり申し上げれば、いまの日本人に欠けているのは自信と愛国心です。日本が『愛国心』という言葉に過敏になる理由は、私にもわかります。 確かに、過去に犯した多くの過ちを認める用意と意思は持たなければならない。しかし半世紀以上も前の行動に縛られ、恒常的に罪の意識を感じる必要があるのでしょうか」
 
 自虐史観に侵されている日本人の猛省をここで求めたいと考えます。
 
 これからの多難な国家運営に90代の高齢であることを不安視する向きもあるようですが、報道で見る限り、その意欲は100歳をも超えて輝くように確信しました。
 
 日本だけではなく、世界でも人生100年時代というのが現実的になってきたように思います。高齢になっても自分のやりたいことを持ち続け、それに情熱を傾け続けられる強靭な精神力と体力を持ち続けるには、ミッション、というより確固たる使命もつことに尽きると確信します。
 
 使命、すなわち何に命を使うかが定まれば、90歳、100歳を超えてでもはつらつといられることをマハティール首相は教えてくれているように思います。
 
 まだ66歳の私としては、感謝、感謝です!!


 

第201号 ALUMNI編集室から 

第201号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 


 
凋落する日本の科学技術力


 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


 
6月13日の朝日新聞によると、
『政府は今年6月12日、科学技術について日本の基盤的な力が急激に弱まってきているとする、2018年版の科学技術白書を閣議決定した。引用数が多く影響力の大きい学術論文数の減少などを指摘している。

 白書によると、日本の研究者による論文数は、04年の6万8千本をピークに減り、15年は6万2千本になった。主要国で減少しているのは日本だけだという。同期間に中国は約5倍に増えて24万7千本に、米国も23%増の27万2千本になった。

 また、研究の影響力を示す論文の引用回数で見ると、上位1割に入る論文数で、日本は03~05年の5・5%(世界4位)から、13~15年は3・1%(9位)に下がった。

 海外の研究者と共同で書いた論文ほど注目を集めやすいが、日本の研究者は海外との交流が減っている。14年度に海外に派遣された研究者の数は7674人だったが、15年度は4415人に。海外から受け入れた研究者の数も、15年度以降は1万2千~1万5千人程度で横ばいを続けている。

 白書は大学に対し、会議を減らして教員らが研究に割ける時間を確保することなどを提言。政府には研究への十分な投資や、若手研究者が腰をすえて研究に取り組める「環境の整備」などを求めた。(小宮山亮磨)白書では、この状況を打開するために、大学に対し、 「会議を減らして教員らが 研究に割ける時間を確保すること」などと責任逃れを言っています。

 実のところは、2000年を100として、各国の科学技術関係予算の推移をドイツ、イギリス、中国、韓国と比較すれば明らかですが、アメリカ、ドイツ、イギリスは1.5倍、韓国は4.7倍、なんと中国は11倍と言う状況です。対して、日本はなんと横ばいの1.06倍。国立大学が法人化された2004年には1兆2415億円だった国立大学法人運営等交付金は、 2017年には1兆0970億円にまで削減されたと言います。

 文部科学省は、法人化の際に「今回の法人化は、財政支出の削減を目的とした 「民営化」とは全く異なるものです」と説明していましたが、国立大学が法人化された2004年には1兆2415億円だった国立大学法人運営等交付金は、2017年には1兆0970億円にまで削減されました。

 それは単に、2004年以来の緊縮路線に過ぎず、長期的な研究開発がほぼ不可能の状況になっているのが現状のようです。

 国を支える人材、教育投資が後手に回っていることは、このコーナーで何度か指摘してきましたが、国を支える技術投資までもがここまで遅れをとって大丈夫でしょうか。せめて米英独並に科学技術関係予算を増やし、長期的研究に取り組める体制をとらないことには日本の長期停滞は払拭できないのではないでしょうか。

 
以上
 

第200号 ALUMNI編集室から 

第200号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 


  ‘Independent’の時代へ

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


 アメリカの唱える経済システム、民主主義、政治システム、軍事政策、そして教育システムに普遍性があるとの幻想に操られてここ30年突っ走ってきた日本。ここで言うアメリカとは今、崩壊、変貌しようとしているグローバリストが主導する、1%が主導するアメリカ。

しかし、トランプが大統領選挙という民(People)の意思で出現したことにより、あのアメリカでさえ、グローバリストにNo!を突きつけ、アメリカファースト、自国のPeople を尊重する政策に舵をきったわけです。

それに先んじていたのが英国、英国は2016年、民の意思でEUから脱退を決意して、イングランドファーストに向かっています。

翻って日本は1952年に実質的に占領下を離れたとはいえ、いまだに緩いアメリカの占領下におかれているかのようにアメリカに追従をしています。そもそも憲法9条を堅持するという姿勢ですらアメリカの核の傘のもとにあるからこそ言えることでしょう。

世界の大きな潮流はまさにIndependent に向かっていると言えるでしょう。Independent な人、社会、国が、Independent な人、社会、国とInter-Independentな関係をもって、
融和していく。そこには一定レベルの争いもあるでしょうが、それを覚悟で調和をめざす必要があるのでしょう。

最近の文科省の小学校での英語教育政策の提案、大学をスパーグローバルユニバーシティと持ち上げて、米国を中心とするグローバリストの甘言に乗って進んでいる大学、大学院の授業の英語化、受験でのTOEFLの採用、英語での論文推進、等の行き過ぎた愚行をここらで改める時期に来ているように思います。

米国の教育行政が破綻しかけていると言うと大げさかもしれませんが、日本は米国の教育
システムをモデルと考えているようですが、米国では州立大学を卒業するに生活費を含めて年間400万円から500万円かかるといいます。一流の私立になるとなんと年間で1,000万円以上もかかるといいます。こんな学費等を破綻寸前の連邦政府の奨学金でほとんどの学生が賄っているといいます。米国の異常な状況を追従するように、日本の大学生も卒業時に500~600万円の借金を抱えて社会人になると聞きます。まさに、病的に肥大化して改革すらできない米国の教育システムを周回遅れで追っかけているようです。

一昨日、文部科学省が進めている専門職大学構想の説明会に行って強く感じたのは、
アメリカ流Degree Inflation, これは結局のところ、大学になりたいとの願望を抱える専門学校、各種学校向けの政策としか思えません。

この点で言えば、米国を代表するハーバード大学に象徴されるように、大学ではいわばリベラルアーツ、人文、社会の広い教養を学び、そのうえで大学院教育では、専門職業教育(例えばロースクール、メディカルスクール、フアーマシースクール、ビジネススクール)に移行する、というシステムは妥当なシステムに思えます。

『天は人の上に人を造らず、人の下に人をつくらず 
    人は生まれながら平等であると言われているが、
    現実には大きな差がある。それはなぜであろうか。
    その理由は、学んだか学ばなかったかによるものである。
    学問を身につけ、自分の役割を果たし独立すべき。
    自由とわがままは異なる。学問とはその分限を知ることである。
    自分の行いを正し、学問を志し、知識を広め、各自の立場に応じて才能と人格を磨き、
    外国と対等に付き合い、日本の独立と平和を守ることが急務である。』
 
福澤諭吉の「学問のすすめ」は、明治維新の5年後、1872~76年に書かれています。人口が3500万人の当時、340万部も売れた驚異のベストセラーで、今日で言えば、日本の人口が1億2千万人であるとすると、なんと1200万部に相当する販売ということになります。
 
当時の日本は明治維新を経て、言わば強制的に鎖国を解かれ、本格的なグローバル社会へ突入した、まさに激動期、社会、国家革命を目前にした時です。
 
この本は、まさに新しい時代を拓く指南書として多くの日本人が貪り読んだ本でした。 
従って、「学問のすすめ」は単なる個人の能力至上主義を唱えたものではなく、個人の社会的あり方、役割を説いたもので、個人が自立するなかで国家自体の繁栄が成し遂げられる事を説いています。これが独立自尊、すなわちIndependent です。
 
諭吉が当時、日本が直面していた難題と考えていたのが以下の通りですが、不思議と今の
我々の課題と符合するように思います。
 
・グローバル化の波が押し寄せ、右往左往する主体性を欠く日本
・近隣諸国が謂れなき侵略意図をほのめかし、
・国は長期の財政赤字で破綻寸前
・政府は企業優先、庶民を顧みない
・社会制度の崩壊、遅々として進まない構造改革
 
等々の状況を見ても、当時、福澤が指摘すると同様、今こそ、次の時代への明確な展望を持つべきときに来ていると思います。外国に振り回されずに、また、国に依存せずに、個々が自らできることを自覚し、実行するときにあると考えます。

 
以上
 

第199号 ALUMNI編集室から 

第199号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

今、なぜ‘教育的翻訳’が必要なのか
―新連載スタート『総合的な翻訳による英語教育』

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹


 この号より、大阪大学名誉教授、成田一先生の『総合的な翻訳による英語教育』の新連載がスタートします。連載はこれまで悪者扱いにされていた文法訳読方式を正しく変換する
英語教育の観点からの‘教育的翻訳’の必要性を具体的な方法論も含めて書いていただきます。現状の袋小路に入った観が否めない、中高レベルの英語教育(本当は幼児、初等教育も同様ですが、これは改めて)を打開する大きなヒントが満載です。

詳しいことは成田先生の連載に委ねるとしまして、この連載を主催する立場として、今、なぜ、‘教育的な翻訳’という観点が必要なのかを考えてみます。これは実は、中高生に限らず、幼児の言語教育、今、文科省が必死に進めている初等教育にも当てはまる本質的な考えを含んでいると考えます。

はじめに、‘教育的翻訳’という意味を考えてみましょう。例えば、私、バベルは過去約10数年間、日本ディベート協議会(現 日本ディベート協会)と協力して、米国のディベートチャンピオンを日本に招いて日本全国を英語、そして日本語でディベートコンテストを催す機会を得ました。その際に、使われたのが‘教育的ディベート’、すなわち、ディベートを通じて日本人に議論、討論できる力を養っていこうと言う意味です。教育の方法としてディベートという技法を活用するという考え方です。同様に‘教育的翻訳’とは翻訳という方法を活用して、まずは英語力、そして日本語力、読解力、表現力等、考える力のベースを涵養するという考え方です。

では、今、なぜ、教育的翻訳なのかを考えてみたいと思います。

これを考えるにあたって、4半世紀前に私がバベルにおいて行ったある実験的企画に触れたと思います。それは、当時、バベルの教育部長であった長崎玄弥先生と中学2,3年生を7,8人集めてある実験をしました。長崎玄弥先生は当時、‘奇跡の英語シリーズ’で100万部を越える売り上げを誇っていた天才的英語の使い手でした。彼は日本をいっさい出ることなく、英語ネイティブと、丁々発止の議論、喧嘩もできるという天才でした。そのプロジェクトでは英単語が500語から1,000語に限定された英語のラダーエディションを教材に翻訳演習を試みたのです。

そこでは、文法、構文の理解から発音までの技法を伝えつつ、単なる英文解釈ではなくきちんとした日本語に翻訳するという訓練でした。そして驚くべきことに約1年この訓練を終えると生徒の英語力は言うに及ばず、国語、社会、数学等の学校での成績が1段階か2段階上がったのです。その後、私たちも根気強くこのプロジェクトを続けて実証データを積み上げていけばよかったものの、その後、翻訳の社会人教育、翻訳の大学院を米国に設立するなどの他の仕事にとらわれてこれができなかったことが今でも悔やまれます。

この辺の、翻訳の視点からの英語教育の課題打開の方法論が今回の連載で見えてくるように思います。

ここで今、なぜ、教育的翻訳なのかを考えるにあたって更にこれを抽象化して考えると
こんなキーワードが思い浮かびます。

多文化共生
異文化融合

今の世の中がどういう方向に進もうとしているか、その辺の経緯となぜ、いま多文化共生、
異文化融合なのかは丁度この前の号で触れていますので、その一部を転載させてください。

次のステージは、多文化共生の時代、お互いの文化の違いを認め合って共生していく社会のように思います。
また、それこそが翻訳の真髄と考えます。 

あのサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」を人種差別の書と断定する米国知識人に中国とは違った大覇権主義の限界が見え隠れします。常に普遍を追求して違いを消去してきた米国。それに反して、植民地政策の歴史を持つ英国は国際政治において揉まれたことにより、文化差に対しては経験的に理解し対処しよう言う姿勢をもっています。

また、この多文化を認め、その上で、自文化を重んじる、ある意味の度量(否、戦略)が英国のEU脱退、BREXITにつながったのかもしれません。 

1853年ペリーの来航からから始まった日本の極めて浅い国際政治への参画、対して百戦錬磨の英国のような国とは比べようもないのですが、日本の行く末を考えていくには、経験に不十分ながらも代替できるヒストリーリテラシーを高めることが必要と考えます。 

我々、バベルグループができることと言えば、政治、経済の領域ではなく、国家の文化・社会戦略としての‘翻訳’を考えることと確信します。 

なぜなら、翻訳こそ、多文化共生に基づく世界の融和政策だからです。


これからの世代、小・中・高校生が生きていくべき世界は、しつかりと英語で書け、話せることが期待されます。翻訳は書くことを中心に展開される知的作業です。バベルの持論は
‘書ければ話せる’、‘Write as you talk, talk as you write’です。そのためには文法は
必須学習内容です。英語でメールを受け取った時に文法的なミスが散見される文章を見せると知性を疑われる、これが私のビジネスでの苦い実体験です。

翻訳はこうした英語の基本技術を学ぶことは言わずもがなですが、しっかりとした日本語を書く的確な訓練にもなります。

更に言えば、多文化共生、異文化融合の時代、翻訳で訳文を創りだすことが、異文化融合
体験となります。英語と日本語の格闘の中では、日本と違う異文化をどう受け入れ、伝えていくのか、どんな訳語を選ぶのかと言った様々な葛藤があります。

これこそが、なぜ、‘教育的翻訳’が必要なのか、究極の回答になるのではないでしょうか。

更に加えるなら、オーラルな日本語、英語の習得には翻訳ならぬ、‘教育的通訳’を考えたいと思っています。これには、今は亡き上智大学名誉教授渡部昇一さんの実証的論文を思い出します。

第198号 ALUMNI編集室から

第198号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

ヒストリーリテラシーを高める
―‘翻訳’から日本の行く末を考える

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹
 


 私が、20有余年、老荘思想によるマネージメント(Tao Management)を学んできた田口佳史先生が、課題に直面した時に、物事の本質をとらえ行動に移す時の大切な指針として言われたことは、

 ・多様性の視点

・長期の視点

 そして、そこから導かれる

・根源的な視点

が必要であるということでした。

 

世の中は、生々流転の過程で様々なものが生まれ消え、また生まれ、多様化が促進されます。しかし、この多様性に振り回せれないためには、長期の視点、すなわち、歴史に学ぶという姿勢が必要であるということです。

 

これにより課題のソリューションにつながる根源的視点が持てるとのことでした。

 

確かに現状を近視眼的に観ていると、その多様性に目をくらませられて本質が見えなくなってしまいます。しかし、ここにいったん、長期の視点、すなわち歴史の潮流に身を置いて考える、あるいは、そのことの歴史的な背景はどうだったかを辿ることにより現状の光景もその見え方が相対化され、更には抽象化され、違って見えてくるように思います。

 

例えば、日本にとっての翻訳の歴史をとってみても、その歴史を知ることにより新しい気づきを得られるものです。

 

これは、再三言ってきていることではありますが、翻訳は単に異国の文化を言語変換して享受してもらう行為と一面的にとらえてしまうと翻訳のもつ根源的部分を看過してしまいがちです。

 

6,7世紀ころから中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で 受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げできた融通無碍な翻訳日本文化。

 

明治維新以降も、翻訳という方法を通じて、欧米の当時の先進文化を土着化することによって民度を上げて世界のトップに躍り出た日本。

 

日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。

 

明治維新以降、先人、福澤諭吉、西周、中江兆民等々が、西欧文化、技術、制度、法律等、日本にない抽象概念を数々の翻訳語を創って受け入れてきました。 societyが社会、 justiceが正義、truthが真理、reasonが理性、その他、良心、主観、体制、構造、弁証法、疎外、実存、危機、等々。

 

しかし、その後、日清戦争、日露戦争に勝利して、国際政治において舞い上がって第二次大戦では敗戦、半植民地状態になって今に至る日本。とは言え幸運にも日本語を堅持し、日本文化、日本の国体を維持しつつある幸運な国、日本。

 

一方、英語による支配の序列構造の中で、英語公用語を採用して、二流国を甘んじて受け入れたインド、マレーシア、ケニアなどの旧イギリス植民地諸国、フィリピン、プエルトリコ等々。

 

明治維新以降の初代文部大臣、森有礼が劣った言語、日本語を廃止して英語に変えると言ったときに強硬に反対、この案をつぶした福澤諭吉をはじめとする先達に脱帽です。

 

世界の歴史潮流は、人、モノ、金の自由化、移民受け入れ、小さな政府、市場開放、英語化という所謂、グローバリズムにNo!を宣言しているにも拘わらず、いまだにグローバリストの先鋒である英米金融資本に踊らされて、郵政民営化、司法制度改革、商法改正、農業移民受け入れ、学校の英語教育早期導入、スーパーグローバル大学の授業の英語化等々、グローバリストの意向を唯々諾々と受け入れ、最後尾をのろのろ走っている日本。

 

このままでいけば、英語化二流国家、格差社会、自信喪失社会が目の前に見えてきます。

 

これらの経緯を読み解くと見えてくる将来の世界、それは世界の歴史が東と西の選手交代するという村山節氏の歴史800年周期説というより、次のステージは、多文化共生の時代、お互いの文化の違いを認め合って共生していく社会のように思います。また、それこそが翻訳の真髄と考えます。

 

あのサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」を人種差別の書と断定する米国知識人に中国とは違った大覇権主義の限界が見え隠れします。常に普遍を追求して違いを消去してきた米国。それに反して、植民地政策の歴史を持つ英国は国際政治においてももまれ、文化差に対しては経験的に理解し、対処しようとしています。この多文化を認め、その上で、自文化を重んじる、ある意味の度量(否、戦略)が英国のEU脱退、BREXITにつながったのかもしれません。

 

1853年ペリーの来航からから始まった日本の極めて浅い国際政治への参画、対して百戦錬磨の英国のような国とは比べようもないのですが、日本の行く末を考えていくには、経験に不十分ながらも代替できるヒストリーリテラシーを高めることが必要と考えます。

 

我々、バベルグループができることと言えば、政治、経済の領域ではなく、国家の文化・社会戦略としての‘翻訳’を考えることと確信します。

 

なぜなら、翻訳こそ、多文化共生に基づく世界の融和政策だからです。

 

 

第197号 ALUMNI編集室から

第197号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

Shohei Otani に学ぶこと
 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹
 


 

まず以下の曼荼羅チャートをご覧ください。

 

皆さんは仏教の曼荼羅をヒントにした曼陀羅チャートをご存知だったでしょうか。私も20年前くらいでしょうか、ビジネスの世界に入って「目標達成のためのシート」として、事業計画や問題解決などに利用しました。類似のもので言うとトニー・ブザンのマインドマップなどもその種のツールかと思います。

 

以下をご覧ください。これが現在大リーガーで活躍するOhtani選手が高校1年の時に書いた曼陀羅チャートです。

 

シートの9つの四角の中心にある四角が、「達成するための要素」になります。そして、その四角は9つのマスに区切られていて、中心のマスに「達成目標」を書き入れるのです。大谷選手は「ドラ18球団」、ドラフト会議で8球団から1位指名を目標としました。


 

大谷翔平が花巻東高校1年時に立てた目標達成表

 

 (注)FSQ、RSQは筋トレ用のマシン  (出所)スポーツニッポン

 

「ドラ18球団」に必要なことは

・体づくり

・コントロール

・キレ

・スピード160km/h

・変化球

に加え、なんと

●メンタル

●人間性

●運

と書いています。

 

メンタルでは

 ・はっきりとした目標、目的をもつ

 ・一喜一憂しない

 ・頭は冷静にこころは熱く

 ・雰囲気に流されない

 ・仲間を思いやる心

 ・勝利への執念

 ・波をつくらない

 ・ピンチに強い


人間性では、

 ・愛される人間

 ・計画性

 ・感謝

 ・継続力

 ・信頼される人間

 ・礼儀

 ・思いやり

 ・感性


なんと、運では、

 ・ゴミ拾い

 ・部屋そうじ

 ・審判さんへの態度

 ・本を読む

 ・応援される人間になる

 ・プラス思考

 ・道具を大切に使う

 ・あいさつ

 

これらの信念を読むと、今のようなスターダムにのぼり詰めるのは最初から約束されていたとすら思えます。

 

私自身も、叔父が読売ジャイアンツ、南海フォークスの投手だったので、高校は投手として甲子園めざしてをいたのですが、大谷選手が高校1年生の時にここまでの人生設計図を

描いていたことにただただ驚くばかりです。

 

一方で最近の活躍の後の大谷選手のインタビューで強く印象にのこるのは、

‘そのこと自体を楽しむ’という姿勢です。

 

ご承知のように、孔子の論語でも、

「之れを知る者は之れを好む者にしかず。

 之れを好む者は之れを楽しむものにしかず。」と言われています。

 

すなわち、

 

「ある物事を知っている人は、それを好む人には勝てない。」

「ある物事を好む人は

 それを楽しんでいる人には勝てない。」

 

結局は楽しんでいる人には誰にも勝てない、

ということです。

 

年齢に関係なく、学ぶべきは学ぶという姿勢で生きていきたいと考えます。

第196号 ALUMNI編集室から

第196号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

思考法が変われば、幸せになる!?
 

バベル翻訳専門職大学院(USA)  副学長 堀田都茂樹
 



 最近、坂本尚志氏による「バカロレア幸福論」というユニークな著書に出会った。その帯には「日本人が不幸なのは、哲学をやっていないからだ!!」とある。その前書きで、失業率、殺人発生率、交通事故死者数、肥満率といった社会生活を平穏に送る上で重要な指標を日本とフランスを比較している。どのデータも日本の方がフランスより、良い数値を示していながら、国連の「世界幸福度報告(2016年)」によると、150以上の調査対象国の内、フランスは幸福度が32位という自己評価。対して日本は53位。この違いは一体何かを論証していく書籍だった。

 

 結論から言うと、その原因は、フランスの大学入試統一試験の中にある、バカロレア哲学試験にある。バカロレア試験は日本でも最近は導入準備をしているところも多いようだが、フランスでは大学進学を目指す高校生のほとんどが受験するという。

 

 この過程で、彼らは様々な哲学的な立場や議論を学びそれらを使って哲学小論文という「思考の型」を使って表現する。フランス人は高校時代に徹底的にこれを練習する。

 

 翻って、日本はというとOECDのPISA、15歳時の学力調査はひところのゆとり教育の低迷から一転、2015年は科学的リテラシーと数学的リテラシーは1位、読解力は6位と自慢げだが、哲学的思考訓練をしているとは聞いたことがない。

 

 ご承知のように、日本の高等教育たるやさんざんたる状況だ。世界基準となっている英タイムズ・ハイアー・エデュケーションの世界大学ランキングでは東京大学がアジアNo.1の座をシンガポール国立大学に譲り、一気にアジア7位、世界39位まで低落している。

 

 おまけに日本では有名な早慶上智ですら300位以内にすら入っていないという体たらく。その主な理由は補助金頼み、経済的に自立できない、これに加え、教養教育の貧弱さと言われている。この辺は、高校時代より哲学教育を行うフランスとの違いも鮮明だ。

 

 一般教養というと欧州が本場と考えがちだが、実のところ現在ではリベラル・アーツ教育をしっかり実践しているのは、ハーバード、プリンストン、イェールなどのアイビーリーグや、リベラル・アーツ・カレッジ(全米に280校余り在る)が主力。米国では日本と違って専門課程の教授より、教養課程の方がステータスが高いと言われている。

 

 世界有数の優秀な学生は教養過程でその知的筋力と自ら考える力、思考の型を養うと言われる。

 

 こうして考えると、幸せ観をもって職業生活を平穏に暮らす技術も、幸せとは何か、働くとは、翻訳の仕事とは、それらの問いかけを自らに向け、その背景となる教養を磨き、哲学し、その「思考の型」を学ぶことが、これからの翻訳者はもちろん、幸せに働きたいもの全てに求められているように思う。

 

 今一度、翻訳者としてどう幸せに生きるか、ともに考えていきたい。

 

 アメリカの哲学者、心理学者であるWilliam Jamesが言うように、

 

・心(思考)が変われば行動が変わる。

・行動が変われば習慣が変わる。

・習慣が変われば人格が変わる。

・人格が変われば運命が変わる。

 

思考が変われば、運命すら変わるのだから。

 

 

第195号 ALUMNI編集室から

第195号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

スタートの春に向けて

――目標へのステップとして、翻訳修士号を取得し翻訳資格にも挑戦しよう

バベル翻訳専門職大学院(USA)  Alumni Service 宮本寿代


 

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

もうすぐ4月です。大学院で学習中の方も、すでに修了された方も、新たな気持ちで春をお迎えのことと思います。

 

 大学院生のなかには、ご自身のお仕事やご家庭との両立に苦労され、なかなか先に進まないという方も少なからずいらっしゃいます。でも翻訳を勉強しようと決めて大学院に入学されたのですから、まずは大学院の修了をひとつのマイルストーンとしてがんばりましょう。苦労して勉強されたことはきっとご自身のお力となって、将来、役に立つはずです。春はスタートの季節です。これまでの学習状況を振り返り、これからどのように進めていきたいのかを改めて考えてみましょう。もしも何かお困りのことや、お悩みのことがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。大学院では院生のみなさまを支援するためにコンサルティングを実施しています。ぜひご活用ください(http://www.babel.edu/support/)。
 

 また、大学院を修了されてご活躍中の方も、ご自身を振り返り、さらなるスキルアップを目指して新たな目標を立ててみてはいかがでしょうか。大学院では修了生の方からのご相談もお受けしています。修了以来、ご縁が続いている方もこれまではあまりご縁のなかった方も、ぜひ積極的にご連絡ください。

 

 大学院を修了して翻訳修士号を取得することは、大きな目標です。でも、翻訳者としての数々の通過点のひとつです。修了生の方はおわかりかもしれませんが、修士号を取ったからといってすぐにお仕事が途切れずに舞い込んでくるとは限りません。業務経験を重ね、実績を積み上げていかなくてはなりませんが、その道のりは決して楽なものではないと思われている方もいらっしゃるでしょう。

 

 そんななかで、自分自身の実力を知るためのみならず、ほかの方に知ってもらうためにも、客観的な尺度でスキルを測るというのも方法のひとつです。一般社団法人日本翻訳協会(JTA)でも、翻訳に関するさまざまな検定試験を実施しています。「出版翻訳能力検定試験」と「ビジネス翻訳能力検定試験」があり、それぞれ以下のような分野にわかれています。
 

 ○出版翻訳能力検定試験

  ・絵本翻訳能力検定試験 

  ・ヤングアダルト・児童書翻訳能力検定試験

  ・エンターテインメント小説翻訳能力検定試験

  ・ロマンス小説翻訳能力検定試験

  ・スピリチュアル翻訳能力検定試験

  ・一般教養書(ビジネス関連)翻訳能力検定試験

  ・一般教養書(サイエンス関連)翻訳能力検定試験

  ・出版シノプシス能力検定試験
 

 ○ビジネス翻訳能力検定試験

  ・IR/金融翻訳能力検定

  ・リーガル翻訳能力検定

  ・医学/薬学翻訳能力検定

  ・特許翻訳能力検定

 

 JTAの検定につきましては、下記のサイトに詳しい説明が掲載されています。最新の実施予定等もご確認になれます。ぜひご覧ください。

http://www.jta-net.or.jp/about_publication_exam.html

 

 また、大学院では、院生や修了生の方々に対しJTAの検定受験料の補助を行なっております。こちらの制度もご利用ください。

 

 バベルで翻訳を学んだ方々に多方面で活躍していただくために、大学院はこれからもできる限り支援をしてまいります。院生のみなさには安心して学習を進めていただきたいですし、修了生のみなさまには自信を持ってお仕事をしていただきたいと思っています。


 

第194号 ALUMNI編集室から

第194号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


Grit: The Power of Passion and Perseverance

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹


 


 ペンシルバニア大学の心理学教授、アンジェラ・リー・ダックワース氏の著書「
Grit: The Power of Passion and Perseverance」は2016年にベストセラーとなり、彼女がTEDこれについてスピーチした際の動画はすでに900万回以上再生されたと言います。

http://www.ted.com/talks/angela_lee_duckworth_grit_the_power_of_passion_and_perseverance

 

 アンジェラ・リー・ダックワース氏は27歳のとき、経営コンサルティングの仕事を辞め、教師になり、ニューヨーク市内の公立学校で、7th gradeの子供たちに数学を教えていました。その後、教育現場を離れ、大学院で心理学を学び、心理学者になりました。

 

 彼女の心理学者としての研究は、様々な環境において難しい課題に挑戦する大人や子供たちを研究することでした。

 

 「成功のために必要な究極の能力は?」と問われて「才能だ」と答える人も多いでしょう。しかしダックワースさんが行った米国陸軍士官学校やグリーンベレーとの共同研究によれば、才能と成果は必ずしも結びつかないことがわかったと言います。

 

 米軍陸軍士官学校で行われる7週間にも及ぶ厳しい基礎訓練「ビースト・バラックス」にしろ、グリーンベレーで行われる過酷な選抜試験にしろ、それらをやり遂げて優秀な成績を残すのは「才能がある」「有望だ」とされた人ではなく、そして「体力」「適性がある」とされた人でもなく、挫折しても諦めずに「やり抜く力」を持った人たちだったそうです。

 

 これは軍隊だけに限らず、ダックワースさんがシカゴの公立学校と行った数千名の高校2年生に対する調査によれば、「やり抜く力」が高い生徒ほど進学率が高いことがわかっています。

 

 グリットをその頭文字をとって、次の4つの要素に分解できると言います。まず、困難、逆境にめげない「度胸(Guts)」。次に、挫折から立ち直る「復元力(Resilience)」。3つ目が、率先して事にあたる「自発性(Initiative)」。そして、やり抜く「執念(Tenacity)」だと言います。

 

 また、ダックワースさんは、グリットを持った子供を育てるために1番役立つと思われる、「グロースマインド・セット」という考え方を引用しています。

 

 「グロースマインド・セット」というのは、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が発展させた考えで、内容としては「知能は生まれつき固定されたものではなく、後天性のもの、努力を重ねることによって変えることができるものである」という考え方です。

 

 ドゥエック博士の研究では、子供たちに脳と知能の発達について予め学習させ、知能は生まれつきのものではなく、挑戦し続けること、努力することによっていくらでも伸ばすことができると信じさせた後に難しい問題を解かせると、子供たちは難しい問題に対しても失敗を恐れず、自ら進んで挑戦しようとすることが分かりました。

 

 なぜなら、彼らは失敗することについて、致命的なものではないと知っているからです。ですからこの「グロースマインド・セット」という考え方は、どうすればグリットを育てられるかを説明するに適した考え方と言います。

 

 起業家、ビジネスパーソン、アスリート、アーティスト、様々な分野で多大な成果を上げた「成功者」に共通するのがこのGRITであると言います。イチローは才能や適性よりも、情熱を維持し、粘り強く続ける力の生み出したプロフェショナルと思います。

 

 継続こそ力なり、こころして生きたいと思います。

 

 以下はダックワースさんが米軍陸軍士官学校のために開発した「グリット・スケール」だそうです。
 


当てはまる箇所の数字に丸をつける。この10項目に対し、自分の周囲の人と比べてどうかを基準に自分で点数をつけていきます。その合計を10で割って出た数値が「グリット・スコア」と呼ばれるものです。

 

 

第193号 ALUMNI編集室から

第193号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


「大学院入学から起業への7つのステップ」

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹


 

 バベルの翻訳大学院に入学しようと考えている方から、すでに入学している方々を対象に、バベルユニバーシティシステムが皆様に何を提供できるか、翻訳キャリアデザインの設計、パートナーとしての起業という観点でお話ししたいと考えます。

 

 以下、お話しすることは現院生の方々にも、アラムナイでバベルグループのパートナーとしてすでにお仕事をしている方々にも随所でお話してきたことではあります。

 

 しかし、この7月に正式にスタートするバベルキャリアデザインセンターに寄せて、皆様の素晴らしい翻訳キャリアづくりを共にどう進めていくのか、お伝えしていきたいと考えます。

 

 人生120年時代、皆様の生涯キャリアには様々な可能性を孕んでいると思います。自分を信じて、意欲ある翻訳キャリア創りへのチャレンジを以下の7つのステップで応援していきます。

 

STEP1 キャリアサクセス診断

 入学時、これはいつでもOKですが、以下の【キャリアサクセス実現診断】受けてください。あなたが、なぜ、この大学院を選び、どんな翻訳キャリアをめざしたいのか、過去にさかのぼって総点検、再検討してみましょう。その核の部分は4つ目の5年後の履歴書創りです。
 

キャリアサクセス診断シート

http://www.babel.edu/category/find-your-own-uniqueness/

1. 自己発見シートの作成

 Find your own uniqueness

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html

2. キャリアビジョン作成

 Define your own success

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc2.html

3. スキル棚卸しシート作成

  Do your own inventory

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc3.html

4. 5年後の未来履歴書作成

  Write your future resume

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc4.html

5. 5年間のアクションプラニング作成

 Make your action plan

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc5.html

 

 全部で5つからなる、自分の成功イメージをあぶり出す診断ですが、その4つ目が、5年後の未来履歴書をつくること。そして、これを受けて5つ目が、その未来履歴書に至るアクションプランを具体化することで完成させるというものです。

 

 このキャリアサクセス実現診断シートを記入して、キャリアコンサルティングを受けるとより効果的と思います。

 http://www.babel.edu/support/

 

STEP2 MSTプロフェショナルバンク登録

 皆さんは入学とともにMSTプロフェショナルバンクに登録いただきます。
 

MSTプロフェッショナルバンク

http://www.babel-edu.jp/mstpb/register.html
 

 この登録項目が皆様の創り上げるべきポートフォリオとお考えください。

 

 MSTプロフェッショナルバンクは、修了後、バベルのパートナーとして仕事をする、しないに関わらず必須の登録手続きと考えてください。

 

STEP3 学習計画表作成

 STEP1と2で具体化した目標をめざして学習をしてくことになります。皆様は各年度を始める前に必ず『学習計画表』を、必要な場合は専任のカウンセラーと相談しながら作成いただきます。
  http://www.babel-edu.jp/bupst/img/plan4s.jpg
 

 「翻訳ビジネス経営実務」をはじめ、既存のコースワークにとどまることなく、出版翻訳プロジェクトコース、短期のセミナー等を十分活用して目標の具体化に努めましょう。

 

出版翻訳プロジェクトコース http://www.babel.edu/program/workshop/

短期のセミナー http://www.babel.edu/seminar/
 

STEP4 第3者認証取得

 併せて、提携機関の一般社団法人日本翻訳協会の提供するプロ翻訳者に必要な様々な検定のうち、ご自身の専門分野としたい検定にチャレンジください。日本翻訳協会のページには日本翻訳協会は実施していませんがプロ翻訳者になるために推奨している検定、講座情報も紹介されています。

http://www.jta-net.or.jp/index.html

 

翻訳能力検定試験

 翻訳能力検定試験には「出版翻訳能力検定試験」、「ビジネス翻訳能力検定試験」があります。それぞれ分野ごとの試験が行なわれています。*ここでは英語関連に限定
 

○出版翻訳能力検定試験

  ・絵本翻訳能力検定試験

  ・ヤングアダルト・児童書翻訳能力検定試験

  ・エンターテインメント小説翻訳能力検定試験(ミステリー、SF、ファンタジー、ホラー)

  ・ロマンス小説翻訳能力検定試験

  ・スピリチュアル翻訳能力検定試験(フィクション/ノンフィクション)

  ・一般教養書(ビジネス関連)翻訳能力検定試験

  ・一般教養書(サイエンス関連)翻訳能力検定試験

  ・出版シノプシス能力検定試験
 

○ビジネス翻訳能力検定試験

  ・IR/金融翻訳能力検定

  ・リーガル翻訳能力検定

  ・医学/薬学翻訳能力検定

  ・特許翻訳能力検定

 翻訳資格検定試験

 資格認定試験には「翻訳プロジェクト・マネージャ資格基礎試験」、「翻訳プロジェクト・マネージャ資格上級試験」、「JTA公認翻訳専門職認定試験」があります。
 

〇翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験
 

〇翻訳プロジェクト・マネージャー資格上級試験

翻訳プロジェクト管理・運営責任者としての能力をプロジェクト・マネージメントに必要とされる、6つの分野を念頭に審査する試験です。

  1) 時間管理、2) 人材管理、3) 資源管理、4) コスト管理、5) クライアント管理、6) コンプライアンス管理
 

〇翻訳専門職認定試験

   翻訳のプロフェッショナルの能力を総合的に審査する試験です。以下の4科目のテスト全てに合格し、翻訳実務経験2年の実績審査を行った上で「JTA 公認翻訳専門職(Certified Professional Translator)」と認定します。

1)翻訳文法技能試験、2)翻訳IT技能試験、3)翻訳マネジメント技能試験、4)翻訳専門技能試験(「翻訳能力検定試験」のなかから1分野)

 

これらの検定を取得することが、キャリアデザインを実現するための試金石となると考えます。皆様がパートナーとしてバベルグループで仕事をしたい場合は、これらの検定取得が必須とお考え下さい。

 

STEP5 起業プレゼンテーション

 修了作品、もしくは修士論文、どちらかを選んで行うグラデュエ―ション・プロジェクト。

 グラデュエ―ション・プロジェクトの面談試験では作品紹介、論文紹介にとどまらず、それを下敷きに将来の目標をプレゼンしていただきます。

 また、年2回実施の学位授与式の後半で行われる修了生による修了作品、もしくは修士論文のプレゼンテーション会。ここでは単なる作品紹介、論文紹介にとどまらず、将来のキャリア目標、起業目標を語っていただきます。

 

STEP6 パートナーシップ 

 修了後は以下のバベルグループの翻訳関連の事業で、翻訳者、ライター、編集者、翻訳教師として働いていただくというのが身近な進路として考えられます。

http://www.babel.co.jp/
 

 しかし、私どもとしては、ひとりのプロフェショナルとして働いていただくだけでなく、複数名のプロジェクトを仕切っていただく形式で、バベルグループとのパートナーシップを組んでプロジェクトマネージャーとして仕事をしていただきたいとも考えています。

 

プロジェクトマネージャーとして働く場合は、個人でも会社組織でもかまいません。しかしその場合、翻訳プロジェクトマネージメントの技術、知識を以下の資格を取得して修めてください。
 

翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験

http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html

翻訳プロジェクト・マネージャー資格上級試験

http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm_2.html

 

 この場合、前述のような様々なバベルグループの各事業(専門別実務翻訳ビジネス、翻訳出版編集ビジネス、版権仲介ビジネス、翻訳教育ビジネス等々)のどこかの部門とパートナーシップを組むことになります。http://www.babel.co.jp/
 

 このように、ひとりの翻訳者としてバベルとのパートナーシップを組むか、プロジェクトリーダーとして複数の人材を束ねてプロジェクトマネジャーとして成果を上げていただくか、いずれにしても、以下のように、パートナーになるにはそのための必要条件と十分条件があります。

 

 はじめに、必要条件ですが、これは当然のことですが、

1 MST(Master of Science in Translation)、修士号のホールダーであること。

   翻訳の世界規格(ISO17100)においても、Qualification of Translatorとして真っ先に翻訳のディグリーを持つこととしています。

   http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission031/

2.  次に、翻訳の世界規格(ISO17100)においても尊重されている翻訳の資格を持つことです。

   ここでは30年の歴史をもつ一般社団法人日本翻訳協会のそれぞれの専門に該当する資格の取得をお薦めしています。

   http://www.jta-net.or.jp/index.html
 

 MSTの修士号に加えて、第三者認証となるJTAの資格を取得ください。世界で翻訳者として自立するには必要です。

 

 次に、バベルグループとパートナーシップを組んで仕事をする場合の十分条件をお話ししましょう。

 

 それは、以下のバベルグループの使命(ミッション)とあなた自身の使命、目標とのすり合わせができているかです。
 

【バベルグループの使命】

MISSION(使命)

智の宝庫である地球【 Global Knowledge Garden において、

翻訳を通じて智の共有を実現し、

人々に気づきをもたらし、

共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
 

GOAL(目標)

そのために、

翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、

翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、

そして、

翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
 

OBJECTIVE(施策)

そして、

これを実現するのが以下のバベルグループの各事業です。

http://www.babel.co.jp/

 

 従って、このバベルグールプの各事業をよく調べていただき、その各事業に関連した、もしくはその隙間でバベルグループとのビジネスパートナーシップを組んでもらいたいのです。再度言いますが、それは翻訳者、編集者、教育者というひとりのプロとしてのスタンスだけでなく、複数名を束ねたプロジェクトを仕切っていただく、という仕事の仕方も考えてほしいのです。

 

STEP7 キャリアコンサルティングの継続

 以上が目標達成のためのバベルユニバーシティのキャリアデザイン実現支援プロジェクトです。しかし、在学中においてもその目標達成にあたっては様々な課題に遭遇すると思います。しかし、いつも心掛けてほしいのがキャリアコンサルティングです。臆せずに何回でも重ねてください。http://www.babel.edu/support/

 

 以上、‘翻訳’を志した以上、‘翻訳’で社会を変革するような意気込みで、プロフェショナルを目指してください。共に、‘翻訳’を通じて日本の‘一隅’を変革する活動ができればうれしく思います。

 

第192号 ALUMNI編集室から

第192号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

「アジアでの日本の役割、貢献は‘翻訳’から」

 

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 


現在、バベルの翻訳専門職大学院では、「世界翻訳史」に次いで、「日本翻訳史」の開講準備をしています。それに先立って、本誌The Professional Translatorでは「日本翻訳史」の連載を開始します。執筆は川村清夫先生、川村先生はインディアナ大学大学院にて博士号(Ph.D.)を取得。専門は東欧史。日本語・英語の他、独語、仏語、露語、チェコ語、ポーランド語、ユダヤ(イディッシュ)語及び中国語、韓国語に堪能という異色の講師です。

 

我々日本人は、他のアジア諸国の大半が母語をあきらめて、英語による高等教育を選択してきたのは承知の通りです。その結果、欧米の亜流国家となり、中途半端な発展に甘んじざるを得なかったわけです。一方、翻訳という方法をもって西欧の文物、思想を新しい日本語を創って近代化を果たしてきた日本。それ以前においても、中国の文化を日本の文語文に読みかえる訓読法で、ある種の‘翻訳’して中国文化を移入してきた日本。

 

日本人にはこうして外部の異なった文化、相応する概念、日本語がない場合も、新しい日本語環境を創り、吸収してきた輝かしい歴史があります。

 

一方、これを知ってか知らないのか、先人の知恵をないがしろにして、企業、自治体の英語の公用語化、高等教育を英語で行うスパーグローバルユニバーシティなどと声高に叫ぶ日本政府。

 

しかし転換期の今こそ、日本の翻訳の歴史を振り返って、日本の編み出した‘翻訳’という方法論、その歴史をしっかり整理し、まとめて行くべき時に来たのではないでしょうか。

 

多文化共生が言われる今、日本が他のアジア諸国に貢献できるとすれば、まず、この日本の歴史における‘翻訳’という方法論、翻訳立国の方法を世界、就中、アジアの諸国に伝えていくべきでしょう。

 

バベルは翻訳事業を始めて45年、半世紀近くが過ぎようとしています。これまでのような高い翻訳品質を担保するための翻訳技法、言語表現技法の開発は今後も多言語間では必要なことではありますが、それにもまして、これからは翻訳を日本の国策として見直し、日本を翻訳で再立国し、アジア、そして世界に向けて、その‘翻訳’という方法論を伝えていきたいと考えます。


 

第191号 ALUMNI編集室から

第191号 ALUMNI編集室から 
発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

 

「プロとして最高の人生をおくるひとつの方法、再び」

 

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 


 
  今日は、人生112歳と考える私が、折返しから10年、66歳を迎えて気づいた
こと、腑に落ちたことを新年のこの時期にみなさんとシェアーしたいと思います。

 

皆様は今年2018年の目標を立て終えましたか。では向こう5年、10年、20年の目標の目標を立てたでしょうか。2018年はそのスタートと考えて、その1年目の目標にすべきだと考えます。

 

その目標を立てた日はまさに、

 Today is the first day of the rest of my life.

 

これは、今日がスタート、物事を始めるのに遅いということはない、という意味ですが、わたしはこれを敢えてこう読み替えたいのです。

Today is the special (destined) day of the rest of my life.

 

すなわち、新たな計画を決めた今日というこの日こそ、プロとしての人生航路の特別な日であるとポジティブに決めてほしいのです。

 

ここではこれを、Positive definition、つまり、積極的な意味付け、と言わせていただきます。

 

この積極的な意味付けとは、今日という日をどう意味付けするかに限らず、出会った人、起こった出来事、身に着けた技をどう意味付けするかをも含みます。

 

その節目の日、それらを無為に流すのではなく、ポジティブな意味付けをしようという提案です。ということはその日に決めることは徹夜も辞さないくらいのそれなりの覚悟で決めましょう。

 

そうすると、その意味付けにならって、その後のものごとが大きくその方向へ動くという

感覚を共有しましょう。

 

この積極的な意味付けに寄せて、3つの視点を挙げましょう。

 

Find your own uniqueness, define your own success.

 

これは米国の教育理念に根底にある考え方で、個性を尊重し、個性を活かし人生を創り上げよう、という意味です。個性を矯めて迎合しがちな我々としては自らを戒めたいところです。

 

翻訳のプロとして仕事をしていくにあたっても、自身のuniquenessを如何に肯定し、自らの意味ある専門として創り上げていくかが、問われるところです。

 

いつも申し上げていることですが、この専門という縦軸をしっかり確立すること、それがたとえニッチであってもそれに徹底してこだわりましょう。その上で、関心があるかたは、その周辺を開拓する。

 

また、この縦軸をしっかりとしたうえで、横軸を通す。ひと昔前は翻訳者とは翻訳をする人とだけ考えている人が多かったのですが、これからは、その専門を軸に、執筆をする、講義をする、通訳をする等、トランスレータ兼、インタープリター兼、ライター兼、レクチャラー兼、リサーチャー兼、そしてその分野の研究者とすら成り得ます。

 

一冊の本を精魂込めて翻訳すれば、その専門力からそうした多能プロフェッショナルになるのも決して難しくありません。

 

実際、今の仕事について約40年の間に、私は数え切れない数の翻訳者にお会いしましたが、その中には、私が言う、多能プロは決して珍しくありませんでした。

 

2つ目は、

Thought becomes things.

Mind shapes things.

 

すなわち、積極的な意味付け、Positive definitionをすることにより、その思いは物質化する、ということです。これは物理学の先端分野、量子力学ではあたりまえのことです。

 

わたしは、この考え方のもとに、大学院でもキャリアサクセス診断をコンサルティングに活用してきました。

 

【キャリアサクセス実現シート】

http://www.babel.edu/category/find-your-own-uniqueness/

 

STEP 1. 自己発見シートの作成 

       Find your own uniqueness

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html

 

STEP2. キャリアビジョン作成

       Define your own success

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc2.html

 

STEP3. スキル棚卸しシート作成

       Do your own inventory

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc3.html

 

STEP4. 5年後の未来履歴書作成

       Write your future resume

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc4.html

 

STEP5. 5年間のアクションプラニング作成

       Make your action plan

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc5.html

 

全部で5つのステップからなる、自分の成功イメージをあぶり出す診断ですが、そのSTEP4が、5年後の未来履歴書をつくること。そして、これを受けてSTEP5が、その未来履歴書に至るアクションプランを具体化することで完成させるというものです。

 

ゴールを鮮明に描けば、自ずと引き寄せの法則でゴールが達成できると一般的には言いますが、実のところは、ゴールが鮮明に描けていることにより、これまで気づかなかった既にそこに在った事象があたかも引き寄せられるかのように、目の前に現れる、というのは真実のようです。

 

しかし、当然ですが、課題はここからです。

 

目の前に出現したそのチャンスを、ゴールへの階梯と受け入れて、この階段を着実に登って行かなければなりません。

 

ふり返りますと、この『キャリアサクセス実現シート』のコンセプトを考え、企画したのが15年以上前のことでした。私は、東洋思想、老荘思想の第一人者、田口佳史先生の講義を20年以上に亘って聴講していますが、その最初のころの講義の時に、人生設計の手法の話を聴きました。それは、いまでも鮮明に記憶に残っています。

 

当時、50代の先生が見せてくださったのは、部屋の四方の壁を一周するような長さの掛け軸のような紙に書かれた、田口先生が30代に書かれた人生設計書でした。それは、30歳から、碓か、80歳を越えるまでの人生設計でした。33歳にこう言う仕事をはじめ、36歳でどこどこに事務所を構え、38歳に3人目の子供を授かり、等々、‘あたかも自分史を書いているかのような’、未来の人生記録でした。

 

しかし、そのセミナーを受けたその日前後の記録をみると、なんと、その数年前に持ち家を手にいれると記載され、その場所、町名が記入されているのです。それが、なんと、なんと、その住所たるや、実際の住所と目と鼻の先でした。

 

その時に、私は確信しました。

 

ゴールを如何に鮮明に描けるか、そのマイルストーンを如何に詳細化できるか、それが、人生のシナリオを決めると。

 

すなわち、未来履歴書を、あたかもそうなったかのように、ポジティブな定義で埋めていくのです。言ってみれば、Fake it until you make it !! と言うことでしょうか。

 

3つ目は、Destined Encounter, これは日本語で言えば‘縁’、これを英語でこう表現しました。すなわち、出会いに積極的な意味付けをすることにより、その出会いがきっかけとなる幸運が引き寄せられるということです。

 

以下私事で恐縮ですが、私は現在、米国BABEL CORPORATION社のCEOとして、バベル翻訳専門職大学院では副学長を務めています、この米国での翻訳大学院の設立が私の人生設計の上では一大事でした。

 

私は、昭和27年の1212日生まれ、今年で66歳を迎えます。

 

私は、こどものころから師範学校の校長をしていた祖父と師範学校の教員を務めていた祖母に育てられてきました。祖母は私の誕生日(旧暦)が福澤諭吉と同じということもあり、お前は福澤諭吉の生まれ変わりかもしれないと、諭吉の自伝を何冊も与えてくれました。

 

ご承知のように、福澤諭吉は西洋文化をいち早く日本に移入し、慶応義塾大学を創設され、日本の近代化に大きく貢献されました。日本を英語公用語の国にしようと目論んだ初代文部大臣森有礼に強硬に反対し、日本を翻訳で立国し、英米に次ぐ2流国家になることを阻止した立役者のひとりです。そんなわけで、福澤諭吉の生まれ変わり?のように洗脳された私に与えられたチャンスが、1996年バベルが米国進出、米国での翻訳大学院の設立という、今では常識外の仕事でした。

 

前職のJTB外人旅行部から転職し、バベル社に入社して、まもなく40年を越えます。翻訳教育、雑誌の編集長、企業英語研修、出版、と翻訳関連の仕事について、16年前に、湯浅学長より、米国に翻訳大学院を創ろう、日本のような規制の多い国ではなく、自由の地、米国で大学院を創り、教育品質認証(Accreditation)を取得せよ、との命が下り、サンフランシスコに単身で赴任することになりました。

 

最初のうちは、どこから手を付けて良いやら全く検討もつきませんでした。

 

しかし、福澤諭吉=慶応義塾創設となんとなく自分をこれにダブらせていくに連れて、見えない何ものかに導かれるように、カリフォルニア州の元教育品質認証担当局長をはじめ、ハワイ州の高等教育を管轄する局長、など、力を貸していただける方が、降って湧いたように私をサポートしてくださいました。

 

どうせなら、自分が大好きなハワイ州、大学院生が全員集合をするならハワイが、と考え、

大学院をハワイ州でスタートしよう考えたのが2000年。JTBの外人旅行部で30余カ国を廻っていた中で、やはり一番心が落ち着き、気とエネルギーをもらえる地がハワイでした。地球のおへそ( Peco)と言われる所以かもしれません。

 

1996年、米国で会社設立。7月26日(偶然、マヤ暦の元旦!!)に米国登記が完了、準備から約5年を掛けて、米国教育省の認可の教育認証団体DEACから認証を受けることができました。

 

このように目の前に起こる出来事、イベント、会った人々をただ漫然と眺めて、無為にやり過ごすのではなく、それぞれに深い意味付け、Positive definitionをして行くことで物事が自己組織化するように動くことを体験しました。

 

しかし、この意味付けも、確固たるゴールがあってこそできると考えます。

 

これは引き寄せの法則の真理を理解できれば容易にわかります。

 

すなわち、我々は常に過去の経験から導かれた色めがねで目の前の光景を見ています。

従って、あなたが今見ている光景と、私が今見ている光景は僅かに違っているはずです。

 

従って、明確なゴールを設定することにより、ゴールに必要なのに今まで気づかずにいたものが観えてきます。

 

これが、あたかもそのことを引き寄せたかのように見えるわけですが、実は、これは、これまでそれを見ていなかっただけのことにすぎません。すなわち、全てがすでにそこにあったという驚くべき真実です。

 

こと程左様に、POSITIVE  DEFINITIONの基本は、明確な、できれば大きなゴール設定ということになります。

 

以上、自戒を込めて、皆さんにお伝えしました。

 

新年を迎えて、まだ年度計画、そして今年からの人生設計をしていない方、是非、上記のことをポジティブに受け止めていただき、今からでも遅くありません、翻訳のプロとしての

キャリアデザインをしつかり考えてみてください。

 

なぜならば、Today is the first day of the rest of my lifeでしょ。

 

第190号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
 

「2018年は、‘自分なり’、‘日本なり’の幸せをつかむ」

 

 

バベル翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 



 
日本は、1990年代後半から「グローバル・スタンダード」、その後、「グローバリズム」と称し、実はアングロサクソン・スタンダードにすぎないのに、これを金科玉条のように掲げ、政治、経済、言語戦略さえこれに倣って邁進してきました。

 

 Brexitに始まり、その半年後の米国大統領選挙のトランプ勝利にあるように、世界の潮流は、人、モノ、金の自由化、移民受け入れ、小さな政府、市場開放、英語化という所謂、グローバリズムにNo!を宣言しているにも拘わらず、いまだにグローバリストの先鋒である英米金融資本に踊らされて、最後尾をのろのろ走っている日本。このままでいけば、

英語化二流国家、格差社会、自信喪失社会が目の前に見えてきます。
 

 郵政民営化、司法制度改革、商法改正、農業移民受け入れ、学校の英語教育早期導入、スパーグローバル大学の授業の英語化等々、米国の金融資本主導の年次改革要望書(1994-2008)を唯々諾々と受け入れ、今まさに米国、グローバリストの属国への道をかけ落ちているといっても過言でないように思います。

 

 なかでも、英語化政策を唱えるグローバリストの本意は、日本の欧米属国化といっても過言でないでしょう。また、それに踊らされている日本政府。今、他のアジアの国々がこの英語戦略に騙されて二流国化の道を歩んでいます。一方、明治維新以降、翻訳という方法を通じて、欧米の当時の先進文化を土着化して民度を上げて世界のトップに躍り出た日本。

 

 その戦略の先進性に改めて驚くとともに、先人の先見の明にただただ感謝するばかりです。

 

 今回の特集でご登場願った青山学院大学の永井忠孝氏がその著書でご紹介されているように、エスキモーの村がグローバリズムの先兵である英語によって浸食されたことによって、旧来の価値観が覆され、若者が将来を描けず、一種英語による植民地化にさらされ、若者の自殺は300人くらいの村で毎年1人、2人は自殺に追い込まれ、犯罪率は急激に上昇していると言います。
 

*永井忠孝氏の著者「英語は害毒」はこちらより https://goo.gl/2XmfnX

 

 としてみると、まずは、従来からの英語信奉を打破することから始まるでしょう。ことは英語に限らず、現状で価値を置いている事象を一度疑ってみることが必要ではないでしょうか。すなわち、すべてを相対化してみることが新しい地平を拓くことにつながると考えます。

 

 2017年、ビジネス書大賞受賞作の「サピエンス全史 上・下」(バベルの大学院柴田裕之先生翻訳、河出書房新社刊)でも人類史という観点で、すべて虚構ととらえ、その価値を相対化する必要性を説いています。

 

 昨年、当社で英訳をした渥美育子氏は、その著『「世界で戦える」人材の条件  』の中で、グローバル教育は単なる英語化教育でなない、自文化を相対化するための教育、と主張しています。

 

 すなわち、世界はその文化的価値観から4つのエリアに大分類されると言います。
 

 ・モーラルコード(人間関係)で成り立つ国々― 日本を含むアジア、南欧、南米、中部

                        アフリカ等

 ・リーガルコード(ルール、マニュアル)で成り立つ国々

                      ― 米国、英国、北欧諸国

 ・レリジャスコード(神の教え)で成り立つ国々―中東、北アフリカ等

 ・ミックスコード(混合)で成り立つ国々― インド等

 

 また、これらの国々を伝統、歴史という時間軸で掘り下げて、グローバルナビゲータを創り上げて、それぞれ国が何に文化、行動価値を置いているかを
 

 ・モーティベータ

 ・ディ・モーティベータ
 

 すなわち、何を持って動機付けされるか、また逆に、なにが動機を削ぐのかを整然と整理しています。
 

渥美育子氏のオフィシャルHPはこちらより  http://www.ikukoatsumi.com/

 

 我々は英米スタンダードを唯一絶対と考えている虚構をいったん白紙にして、出直す必要があるように思います。

 

 ここに至っては、この考え方、パラダイムを変換しない限り、遅かれ早かれ、エスキモーの村と運命を同じくすると言っても過言でない気がします。

 

 とすると、その解決策の一つは、言語は文化を背負っているという大原則を前提に、多文化共生の考え方を浸透させることではないのでしょうか。違った文化、その言語を楽しむ、そこで新たな気づきに出会い、新たな幸せをつかむ。多文化共生主義、それは、どの文明が、どの文化が、価値が上、下という序列をつける時代からの脱却と言えます。これは広い視野、深い思想で世界を相対化して捉え直すということになります。

 

 そんな、視点、視野が‘自分なり’、‘日本なり’の幸せを気づかせてくれるのかもしれません。

 

第189号 ALMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
 

バベル40余年の翻訳の歴史の集大成。そして未来へ。
「バベルの翻訳図書館」一般公開がスタートします!!

 

「バベルの翻訳図書館」事務局 高沖 泰大



 ALUMNIの皆さまは既にご存知かと思いますが、今年の4月に「バベルの翻訳図書館」がオープンしました。これまではバベル翻訳専門職大学院生と修了生限定でしたが、2018年2月からは一般の方に向けて公開されます。

 翻訳を志す人にとって、他に類を見ない図書館サイトが誕生します。
利用は会員制で、会員になった人はその会員区分に応じてコンテンツの検索・閲覧が可能になります。公開後3ヶ月はモニタリング期間とし、内容の拡充やより使いやすいサービスにするためにモニターを募集して提案をもらい、改良を加えていきます。

 過去の情報も最新の情報も取り入れながら新しい価値を提供し、常に変化・進化し続けるのがバベルの翻訳図書館です。その中で、バベル翻訳専門職大学院生、修了生の皆さんにも主体的に関わっていただきながら、バベルの翻訳図書館を共に作っていきます。

 それでは、バベルの翻訳図書館がどんなサービスを提供しているのか、また今後どのように展開していくのかご説明いたします。

 大きな特徴は、「翻訳の世界」、「eとらんす」、「リーガル・コム」、「The Professional Translator」など40年余り、約700号に亘ってバベルが発行してきた翻訳専門雑誌から、カテゴリごとに各記事を分類し、検索・閲覧ができる記事検索機能。これは翻訳者の皆さんにとって、必要な情報に簡単にアクセスできるようになる、バベルの翻訳研究の歴史を集大成する取り組みです。
今お読みいただいているWeb版The Professional Translator(月2回発行)も、このバベルの翻訳図書館の中に組み込まれます。デザインをリニューアルしてより見やすく、そして図書館と一体となることで利便性が高まります。

 また、バベル翻訳専門職大学院の教材や修了作品を閲覧でき、翻訳に役立つ情報データベースや翻訳に関するニュースの配信など情報発信の他、JTA(日本翻訳協会)のセミナー映像を販売するYoutubeセミナーライブラリーと連動し、最新のセミナー映像を視聴できます。

 翻訳表現ルール集、法律分野のルール集など、翻訳のルール集の一部も公開されます。更に、これから創設される翻訳研究所で生み出される研究資料やレポート、多言語翻訳関連コンテンツ、翻訳研究論文集等々、世界の翻訳研究の先端情報まで収録していく予定です。
今後は、司書機能を持った翻訳専門ライブラリアンのサービスも充実させていきます。

2018年をスタートに、翻訳のもつ、日本的、世界的、宇宙的意義を拓くプラットフォームとして進化していきます!
 
バベル40余年の歴史の集大成にして、同時に新たな試みでもあるこのプロジェクトの今後にご期待ください!


 


 

第188号 ALMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
 

「人生は、大いなる何かに導かれている」
 

バベル翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹



 今回は、社外の方で、これまで私の人生に最も大きな影響を与えていただいている田坂広志氏の最新の著書『すべては導かれている―逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟』(小学館)をご紹介しましょう。 http://amzn.to/2zLQ2tB
 
 これまでのお付き合いは20年くらい(本を通じてのお付き合いは30年近く)でしょうか。そもそもの出会いは私のつまらないミスがきっかけでした。私は(株)バベルの専務取締役として、1990年代、当時のほとんどの企業が目指していた、グローバル、そして、インターネットをキーワードに世界にどう打って出ようかと考えていた時期です。
 
 当時から書店にいくたびに田坂氏の新刊を探している自分がいました。あるとき、田坂氏が主宰されていたシンクタンク(ソフィアバンクー私は上智出身なのでこの名称も縁を感じていました)の業務内容を見ていた時、インターネットで配信している情報番組を見かけ、これは!!と思い、社員にこれを研究しようとメールを送ったのですが(送ったつもりでした)、それがなんと凡ミスで田坂氏本人に届いてしまったのです。
 
 ところが、田坂氏が待っていたというばかりに、堀田さん、お話をしましょう、という返答でした。そこから田坂先生(ここからは私は田坂氏の主宰する田坂塾の塾生ですので先生と言わせていただきます)のご著書を英訳するというお付き合いが始まりました。
 
 先生の本(この後紹介します「Invisible Capitalism」もそのうちの一冊ですが)を英訳して世界に!というのが私の役割でした。そして、今、取り掛かっているのが『風のたより』(Zen Winds: 50 Stories of Zen Wisdom)という書籍で、来年の4月に、田坂先生がニューヨークのジャパンソサエティで「Invisible Capitalism」というタイトルの講演を行う際に配布されるそうです。http://urx.red/HmdS
 
 その田坂先生が刊行された今回のご著書は‘人生は、大いなる何かに導かれている’という趣旨の著書です。
 
 今回、この著書を紹介させていただこうと考えましたのは、この本をPRしようとの意図ではありません。この本を拝見していて、この本が私のこれまでの人生を整理していただき、背中を押していただいたように感じたからであり、この本こそ私が知己を得た多くの方に読んでほしいと考えたからです。
 
 田坂先生はこう語ります。

 
 34年前、生死の境の大病が与えられたとき、
 小生は、絶望の淵において、一筋の光を得ました。
 そして、逆境に正対する覚悟を掴むことができました。
 
 すると、その覚悟を定めたときから、
 不思議なほど生命力が湧き上がり、
 その病を越えることができました。
 
 そして、それだけでなく、
 なぜか、直観力や洞察力が鋭くなり、
 運気を引き寄せるようになりました。
 
 また、さらに、人生において、
 コンステレーション(布置)を感じるようになり、
 シンクロニシティ(共時性)と呼ばれるものが
 起こるようになりました。
 
 本書においては、小生の人生において起こった
 その不思議な体験の数々を、初めて公に語りました。
 
 では、34年前、小生は、
 いかなる覚悟を定めたのか。
 
 それが、「すべては導かれている」という覚悟を軸とする
 「五つの覚悟」です、と。

 
 以下が先生の言われる五つの覚悟です。(各覚悟の次の行のコメントは私が加えたものです)

 
第一の覚悟 自分の人生は、大いなる何かに導かれている
      出会いの大切さ、縁(Destined Encounter)の大切さを説いています。

第二の覚悟 人生で起こること、すべて、深い意味がある
            人生で起こったことをどう解釈するかの大切さ、すべてが成長の機会と説きます。

第三の覚悟 人生における問題、すべて、自分に原因がある
      すべてを引き受ける大切さ、その魂の強さを語ります。

第四の覚悟 大いなる何かが、自分をそだてようとしている
      逆境は必ず乗り越えられる、成長していけると説きます。また、そこでの使命の大切さを説きます。
      

第五の覚悟 逆境を越える叡智は、すべて、与えられる
      その5つの叡智とは
      ・直観―すべてを天に委ねる、全託の思いで祈るとき、静寂、無心のなかで得られる。
      ・予感―未来の記憶。
      ・コンステレーション―布置(心理学用語)、星座、無関係なことがらに物語性、関係性を感じ取る。
      ・シンクロニシティー共時性現象、以心伝心。
      ・運気―偶然と見える出来事のなかに「大切な意味」、「自分を導く声」を感じ取る力。

 
 そして、先生は続けます。

 『負の想念を持つと叡智は出ない。もたないためには、すべては導かれていると覚悟をすること。それは、すべてを肯定することだから。』
 
 『それが、いかなる逆境であっても、すべては導かれているという覚悟を定めるならば、その瞬間から、我々の心の奥深くから、不思議な力と叡智が、湧きあがります。我々の人生において、不思議なことが、起こり始めます。』
 
田坂先生は言います。『本書においては、小生の人生において起こったその不思議な体験の数々を、初めて公に語りました。』
 
 私も、本書に出てくる体験談をいくつかは直接聞かせていただきましたが、田坂先生の‘ぶれない仕事ぶり’の秘密は何なのかをかねがね探りたいと思っていた一人として読者の皆さんにご紹介させていただきました。
 
 『安易な神秘主義に流されることなく、あくまでも理性的な視点から、』と本人も言っておられるように、深く納得し、こころ揺さぶられる一冊でした。
 
 私もこの本で言われるような様々な体験してきた一人として、私自身の体験をご紹介する機会があればとそっと思います。
 



田坂広志略歴:
原子力工学博士、日本総合研究所設立に参画、多摩大学大学院教授、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムGlobal Agenda Councilのメンバー、TEDメンバー、2011年東日本大震災と福島原発事故に伴い内閣官房参与に就任、現在、21世紀の変革リーダーへの成長をめざす場「田坂塾」を開塾、全国から3,800人を超える経営者やリーダーが集まる。
著書は国内外で80冊余り。


 

 

第187号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

周回遅れの日本―反グローバリズムと翻訳による安全保障

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹



 昨年のBrexitに始まり、その半年後の米国大統領選挙のトランプ勝利にあるように、世界の潮流は、人、モノ、金の自由化、移民受け入れ、小さな政府、市場開放、英語化という所謂、グローバリズムにNo!を宣言しているにも拘わらず、いまだにグローバリストの先鋒である米国金融資本に踊らされて、最後尾をのろのろ走っている日本。このままでいけば、英語化2流国家、格差社会、自信喪失社会が目の前に見えてくる。

 

 フランス、ドイツ、オーストリア、チェコ、ニュージーランドと、右寄り、安全保障重視、反グローバルの政治勢力が政治を、世界の舵を右に切ろうとしているのは皆様も自覚していると思います。

 

 日本はこれまで郵政民営化、司法制度改革、商法改正、農業移民受け入れ、学校の英語教育早期導入、スパーグローバル大学の授業の英語化などなど、米国の金融資本主導の年次改革要望書(1994-2008)を唯々諾々と受け入れ、今まさに米国の、いや、中国の属国への道をかけ落ちているといっても過言でないように思います。

 

 ここで微力ではありますが、翻訳という言語政策に携わるものとして、日本語、翻訳という障壁を大事にして日本を守るという立場でこの流れに歯止めをかけられればと考えます。

 

 この辺の事情は、永井忠孝氏(「英語は害毒」の著者、青山学院大学准教授)に詳しく書かれてあります。

https://goo.gl/2XmfnX

 

 今日本が進もうとしている、学校の英語教育早期導入、スパーグローバル大学の授業の英語化、企業の英語公用語化の動きは、明治以来日本をここまでの先進国に一気に進化させてきた翻訳、日本語の重要性を軽視したもので、日本の安全保障を脅かすものであることを改めて自覚したいと考えます。

                                  

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第186号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

スーパーコンピューティングが壮大な新世界の扉を開く

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹



 
「エクサスケールの衝撃―次世代スーパーコンピュータが壮大な新世界の扉を開く」、これは斎藤元章氏の著書のタイトル(PHP研究所刊)です。斎藤さんは2015年、世界スパコンランキング「Green 500」で世界の一位から三位を独占して、「日本イノベーター大賞」を受賞された方です。

 ここでの話は600ページ弱にも及ぶ本の目次をお見せするとその概要がつかめると思いますので、やや安易かとも思いますが、以下に記します。

 しかし、私がここでこの話題を取り上げたのは、日本の、いや世界のトップのスーパーコンピューティングの技術者が最終章で取り上げている内容なのです。

序章  人類の未来を変える可能性を秘めた半導体
第1章 急速に近づく「前特異点(プレ・シンギュラリティ―・ポイント)」
  第1項 我々は、歴史上、最も数奇なタイミングに生を受けている
  第2項 レイ・カーツワイル氏が提唱する「特異点」と「6つの進化段階」
  第3項 特異点到来の前に、「前特異点」が目前に迫っている
第2章 「エクサスケール・コンピューティング」によってすべてが変わる
  第1項 ポスト「京」の開発が始動
  第2項 すべての先進国が総力を挙げて開発を進める次世代スパコン
  第3項 民間でも次世代スパコンを開発すべき理由
第3章 まずエネルギーがフリーになる
  第1項 原発を止めつづけることは可能か
  第2項 発電効率を大きく改善する技術
  第3項 進む新エネルギーの研究開発
第4章 生活のために働く必要のない社会の出現
  第1項 「衣」「食」「住」がフリーになる
  第2項 「お金」から解放される
  第3項 すべての個人が、あらゆる可能性を追求できる新しい社会
第5章 人類が「不老」を得る日
  第1項 まったく新しい医療のかたち
  第2項 肉体と技術は融合を開始する
  第3項 奇蹟的なタイミングで生まれた女神
第6章 新しい価値観が生まれる
終章  我々日本人が次世代スーパーコンピュータを開発する

 目次でもお分かりのように、エネルギーがフリーになり、食べ物が豊富に手に入り、働く必要のない社会の出現、人類が病気から解放され、不老を得る日(これは逆に残酷?)も近いという、まるで夢物語のような世界が、スパコンにより、今より15年、20年というタイムスパンで可能になるということです。

 斎藤氏は彼の豊富な海外生活の中での経験談として、米国サンフランシスコ在住のある芸術家の老夫婦のこんな会話を引用しています。

「日本語の響きは、自分たちの知るかぎりの数十もの言語の中でも、最も美しく、特段穏やかで、平和的で、何を話しているかは理解できないのだけれど、まるで静かに感情を抑えながら、軽やかに歌っているようだ」

「最初は、他の言語に比べて、母音がとても多いのがその一因だとも考えたものだ。でも、それだけが理由でないことはすぐわかった」、

「特に欧州の言語は、日本語に比べると、せわしなく、時にうるさく、感情がそのまま乗り移っていて、心が休まらない場合が多いのだが、日本語の美しい響きと流れるようにスムースな調べを聞いていると、心地よく、安静な精神状態を保つことができる。そこには、神々しささえ感じられる。世界のすべての言語が滅んでしまうことがあったとしても、あなたたちの国の言葉だけはのこってもらいたい」、
とまで言われたそうです。

 そこまで言うか、とは思いますが、言語学者、慶應義塾大学名誉教授の鈴木孝夫氏が言うタタミゼ効果、すなわち日本語を使うと人間が温和になる、包容力が増すというのは海外の日本語学習者の多くが同意していること、これは先ほどの話と相通じることなのかもしれません。

 こうした言語を持つ日本人を評して斎藤氏はこう言います、

「スーパーコンピュータの圧倒的な性能を正しい方向に使用するための道徳観念を持ち合わせていて、潤沢な成果をえたとしても平常心を維持できるのと同時に、利他の精神によって他国にそれらを無限に分け与えるだけの度量も有している我々日本人こそが、次世代スーパーコンピュータの積極的開発で世界を牽引するだろう。そしてその成果をまずは日本においてかたちにし、その次には、その恩恵を世界中のあらゆる国々に遍く行き渡らせることが必要であると考えています」と。

「加えて我々日本人には、欧米列強に追い込まれたうえでのやむにやまれぬ状況があったからだとしても、先の侵略戦争における諸外国への本当の意味での補償を完遂するという、重大な使命が残っている」、

「我が国のみならず、世界中の人々に平和と調和がもたらさし、そして世界全体が瑞穂の国となることを希求する国民性を、約2,700年という非常に長い期間をかけて醸成してきている。これらの要件のすべてが、新しい世界を創出するために求められているのだとすれば、そのすべてを備えた、おそらく唯一の国が、我々が生まれ育まれたこの国、日本であろう 」

 そして彼はこう結んでいる。「我々日本人こそが次世代スーパーコンピュータを開発し、新世界を創出しなければならない」と。

*本の引用箇所は分かりやすさのため一部、前後の箇所からの言葉を加えてあります。

 

第185号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

バイリンガルマネージメントの時代へ

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 最近はオールイングリッシュ、オールイングリッシュと各界で喧しいのですが、
小学校からの英語教育、大学の講義の英語化、企業の英語公用語化などが典型ですが、これはいささかグローバリズムに侵された観が否めません。英語特区などという冗談まで政府筋から聞こえてくる始末です。英語特区、すなわち、ある地域では公共サービスを含めてすべて英語で行うという治外法権(?)特区です。

では今回は、改めて企業のグローバル化に視点をあてて、考えてみたいと思います。

以下の資料が、バベルで2010年に刊行した雑誌『バイリンガルマネージメントマニュアル』です。

 ここでは企業のグローバル化、その進化過程(進化なのか退化なのか、疑問を呈するのも必要でしょうが)をたどり、それぞれの過程でなにが要求されるのかを理論と実践で考えてもらいました。
 
企業のグローバル化の4つの進化ステージ
1.Domestic Stage
2.International Stage
3.Multinational Stage
4.Globally Integrated Stage
 
 一般的に企業は、国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタートし、第2ステージでは、「海外で作る・海外で売る」、すなわち、本社にすべての機能が集約され、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当するステージへと移ります。
そして、第3ステージでは「海外への権限委譲」が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立されることになります。
そして、第4、最終ステージでは、「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。
 
 企業内のビジネスコミュニケーションの英語化に関して、ここではバイリンガルコミュニケーション化ととらえ、決して、とある企業のように英語公用語化(オールイングリッシュ)とは間違っても考えたくないと思います。もっとも、これらの企業は英語公用語化を喧伝している一方、日本語と英語のバイリンガルマネージメントを実践しているというのが実態であるようです。なかにはトライリンガル、マルチリンガルへと発展していく場合もあるかと思いますが。

 翻って、オールイングリッシュの状況を見てみますと、国レベルに置き換えるとわかるのですが、高等教育も含め英語を公用語にした国は、結局、英米属国、もしくは2流国に堕してしまうのが落ちなわけです。国名を挙げると問題もあろうかと思いますのでここでは控えますが、アジアのいくつかの国はこのような方向をとったがゆえに、英米に追従する国、文化の根っこを持たない国となってしまいます。

その点、日本人は過去に学び、襟を正して今の状況を直視する必要があるのではないでしょうか。

 日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。

 高等教育が日本語で行えるアジアの中でも稀有な国、日本。理工系のノーベル賞はアジアの他の国々を圧倒し、欧米に匹敵する数を獲得している日本。いったい、これは何を意味するのでしょうか。

 日本語、日本の文化、日本人の知的インフラの潜在力を物語っているのではないでしょうか。その日本語と英語のバイリンガルで企業内コミュニケーションを考えるこれが他との競争力を高める方法と考えます。別の言い方をすれば肯定的な‘非関税障壁’にもなりうると思います。

 誤解を生まないように言いますと、企業人にとって英語の習得が不要とは決して言っていません。これはもっと熱心に、‘正しい’方法ですべきと考えています。その方法はここでは言及しませんが。本誌で近いうちにこの連載を開始いたします。

 話を本題に戻しますと、これからの日本企業は英語化して英米圏の企業になるなら別ですが、日本に根差してビジネスをするのであれば、先人の教えに則った方法としての‘翻訳’をしっかり堅持して、バイリンガルマネージメントを心掛けるべきと考えます。

 7年前に刊行された雑誌『バイリンガルマネージメントマニュアル』ですが、基本的な考えはいまでも十二分に通用するものと考えます。というより、グローバリズムの軌道修正と共に現実がこの考えについてきたと言った方が正しいいとすら思います。

 バベルグループは、米国の企業であるバベルコーポレーションも一体となって、翻訳から、ドキュメンテーション、通訳、外国語・異文化対応研修までバイリンガルマネージメント、マルチリンガルマネージメントを推進、サポートする企業体として今後も在りたいと考えます。

 

第184号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

母親のためのバイリンガル絵本読み聴かせの会

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹


 

 2018年春、『母親のためのバイリンガル絵本読み聴かせの会』を発足します。

 小学校での英語教育の導入をはじめ、世界に遅れまいと必死な日本、これに呼応するように幼児の英語教育熱が沸騰。しかし、ここでいったん立ち止まり、言語教育を本質から考えていかないと、オールイングリッシュに子供まで踊らされることが危惧されます。

 就学前の児童の言語教育こそ、英語と日本語をバランスよく、比較言語的アプローチで母語の日本語力とそれによって培われる感性も大事にしながら進めたいと思います。

 学生時代に英語が苦手な母親ほど子供の英語教育に投資をしているというデータがあります。英語塾任せでは情けない。やはり、母親自ら生活(読み聴かせ)の中でともに学ぶ姿勢を身に着けたいものです。

 英語が苦手だった母親が子供とともに英語好きになっていく、そんなトレンドを創りあげたいと考えます。この会の発足の趣旨はここにあります。

 日本人の感性を伝えられる絵本を、母親が直接、日本語と英語で読み聞かせることにより、健全なバイリンガルを育てます。従って、本会では子供と母親に絵本バイリンガル教育の独自のノウハウを提供するに加え、母親に英語の正しい発音の仕方、英語の学び方、親子で楽しめる英語習得法、親子のハワイ短期研修など、母親のためのバイリンガル子育ての方法と機会を提供します。

 バベルのネットワーク上にいる世界中のバイリンガル子育て経験者にも経験談を聴かせていただこうと考えています。

 そして、やがては、そうした母親が自分の子供に自分が翻訳した絵本で読み聞かせをすることができれば素晴らしいと考えます。

 そのために、バベルプレスでは、日本を含む世界中の素晴らしい絵本をマルチリンガルに翻訳して皆様で提供するのみならず、絵本読み聴かせに関わる様々な場を提供していきたいと考えています。来年の会の発足を楽しみにしてください。

●『母親のためのバイリンガル絵本読み聴かせの会』発足の記念イベント
 1118日(土)15:00 in Honolulu(日本時間同日10:00

 http://www.webbookfair.com/bry.html
*世界中どこからでもオンラインで参加できます。

母親のための
絵本バイリンガル読み聴かせの会(‘18年スタート)  記念講演会 in Honolulu  
                      
テーマ 『絵本読み聴かせを正しい発音でする方法―日本語と英語を対比して』
   こんな方におすすめします
     ・こどもに健全なバイリンガルになってほしいと考えている就学前児童(6歳以下)をお持ちのお母さん
     ・正しい英語の発音で自信をもって英語絵本の読み聞かせをしたいと考えているお母さん
     ・英語だけでなく、日本語でも均等に読み聴かせをし、日本語力と英語力をバランスよく伸ばしたいと考えているお母さん
     ・子供に飽きさせずに読み聴かせに集中させる学びの技術を身につけたいお母さん
     ・読み聴かせから、子供とバイリンガルでコミュニケーションがとれるようになりたいお母さん
     ・やがてはこどもに自ら翻訳した絵本で読み聴かせをしたいお母さん

【演者】藤澤 慶已:音楽博士(University of Southern Mississippi)、言語学博士(University Of Tennessee, Knoxville )。比較言語学、音声学の観点から日本人が実用的に英語で『聞く、話す、読む、書く』コツをつかむための勉強法FSTMを開発。著書に『藤澤博士の英語セラピー』、『すぐに話せるしゃべれる1行英作文』等多数

日時 :ホノルル時間 1118日(土)15:00 – 17:00 (日本時間 同日 10:00 – 12:00
       *世界中どこからでもオンライン(ZOOM)で参加できます。
会場 :コンファレンスルーム1F(BABEL CORP. 1833 Kalakaua Avenue 208 PBN Bldg, Honolulu
参加料:無料ご招待
定員:ホノルル会場20名、オンライン(ZOOM)30
主催:BABEL PRESSBABEL UNIVERSITY USA 
*当日、会場へのお子様連れの参加はご遠慮ください。
⇒お申込みは以下より
 http://www.webbookfair.com/bry.html


第183号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

再び、自信をもって日本を発信しよう!!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 グローバリズムが疲弊してネオナショナリズムが芽生えてきているというのが世界の大きな潮目であることは、私も含めやや自閉的な日本人も気づき始めているようです。
 

 15周年を迎えるバベルの米国翻訳大学院はその院生の90%以上が母語を日本語とする

日本語話者でもあります。しかし、住む地は世界20か国以上、日本語以外の言語でたくましく生きている方々です。他は母語を日本語以外の言語とする、主として英語で育った方々です。
 

 冒頭でネオナショナリズムという言い方をしましたが、別の言い方をすると多文化共生主義、どの文明が、どの文化が、価値が上、下という序列をつける時代からの脱却が進んでいると言えます。
 

 そもそも、西欧人がかつて、キリスト教文明圏、イスラム教文明圏、東洋文明圏と分けていたところを、歴史家トインビーが、7つの文明圏に分け直していることはご承知でしょう。西欧キリスト教文明圏、ロシア正教文明圏、イスラム文明圏、ヒンズー文明圏、シナ文明圏、中南米ラテン・アメリカ文明圏、そして日本文明圏。
 

 私の愛読書(「The Japanese Today― Change and Continuity」)の著者、元駐日大使、元ハーバード大学名誉教授のエドウイン・ライシャワ氏ーも同様に日本の独自性を主張していましたし、源氏物語の英訳者、アーサー・ウエイリー氏もオックスフォード出版より刊行した「日本文明の独創性」という書籍で、日本は一国だけで独自の文化圏をなす存在であると主張しています。


 以下、これまでもこの稿で触れてきました日本文化、日本語の誇るべき独自性を列挙してみます。

6,7世紀ころから中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で 受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げできた融通無碍な日本語文化。


 世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語の内、50音の母音を中心に整然と組み立てられ、・平仮名、片仮名、アルファベット、漢数字、ローマ数字等多様な表現形式を持つ言語、日本語。


 50万語という世界一豊かな語彙をもつ日本語。英語は外来語の多くを含んでの50万語、ドイツ語35万語、仏語10万語。まさに、言霊の幸はふ国日本。

古事記、日本書紀、万葉集など、1,000年前文献でもさほど苦労なく読める日本語文化。


 一方、英米では1,000年前の文献は古代ギリシア語、ヘブライ語が読めなければ一般の人は読めません。

脳科学者角田忠信が指摘しているように、西欧人は子音を左脳、母音を機械音、雑音と同じ右脳で処理、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音をノイズとして右脳で受けている。対して、子音、母音、さらには小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音までも言語脳の左脳で受け止める日本人。同種の脳の構造を持つのはポリネシア人のみと言われています。そこから導かれるのか、擬音語、擬声語の宝庫となっている日本語作品、そして万物に神の声を聴く日本人。


 ユーラシア大陸の東端で、儒教、仏教、道教、禅、神道という思想哲学を発酵させ独自なものにした‘たまり文化’の地、日本。全てに神を感じ取り、清く明るい志を持ち、見えないものを見、‘全ては自分のなかにある’と内省する日本人。

 

武人としての立場を超えて文化、道義、道理を重んじ神仏を尊ぶ武士道精神。武人でありながら世の中の平和と安定に身命を賭す‘もののふ’の力は現代の日本人にも受け継がれていると信じます。


 これは言わずもがなですが、神話時代から2,000年、連綿と続く皇室が存在するという唯一無二の国体を有する日本。


 今こそ、戦後の自虐史観で侵されている日本人も自信を取り戻して、グローバリズムに流されることなく、日本を発信する努力を加速させたいものです。


 バベルも大学院の講師、修了生、現役生のお力もお借りして、日本を世界に発信する活動により一層力を注いでいきたいと考えます。


そこで紹介いたします。こんな英訳作品がバベルより先週刊行されました。



田口佳史著『清く美しい流れ』の英訳版 The Pure and Beautiful Stream 

https://goo.gl/nkowXs

田口氏はこれまで約2,000社以上の国際派企業のビジネスコンサルタントを務める一方、老荘思想の泰斗として中国でも忘れ去られた老荘思想の本義を50年に渡り講じ続けています。

 

渥美育子著『「世界で戦える」人材の条件  』の英訳版Developing Global Talent

https://goo.gl/VrfyPz

グローバル教育は単なる英語化教育でなない、自文化を相対化する(他の文化コードの国との対照で)ための教育と主張される渥美氏。海外での豊富な異文化研修の実績をもとに、文化を抜きにしたオールイングリッシュ政策に流れつつある日本の浅薄な英語教育とは一線を画すグローバル教育を各界に普及しています。渥美氏の言うグローバル教育は「誇るべき日本文化を相対化でき、世界で活躍できるマインドセットを持った日本人を育てる教育」と言えます。

 

BABEL UNIVERSITYでは、こうした日本文化、日本の良書を英語で翻訳、発信するための翻訳講座を用意しています。

・出版翻訳日英文法コース 基礎篇

・出版翻訳日英文法コース 表現篇

http://www.babel-edu.jp/program/31101jebasic/


・Plain Englishコース (80 Rules of Plain Written English)

http://www.babel-edu.jp/program/31011.html

 

第182号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳キャリアデザインを共に創る
                            バベル翻訳専門職大学院

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 今回はバベルの翻訳大学院に入学しようと考えている方から、すでに入学している方々を対象に、これからバベルの翻訳教育システムが皆様に何を提供できるか、生涯翻訳キャリアデザインという観点でお話ししたいと考えます。

 以下、お話しすることは現院生の方々、アラムナイでバベルグループのパートナーとしてすでにお仕事をしている方々にもお話ししてきたことではあります。

 しかし、この秋にスタートするバベルキャリアデザインセンター、バベル翻訳専門職大学院の秋からの新しいコース(プロジェクトコース)、提携している一般社団日本翻訳協会の翻訳者のための資格、認証の充実等を踏まえて、皆様の素晴らしい翻訳キャリアづくりを共にどう進めていくのか、考えていきたいと考えます。

 人生120年時代、皆様の生涯キャリアには様々な可能性を見出せると思います。自分を信じて、意欲ある翻訳キャリア創りへのチャレンジを期待しています。

さて、バベルの大学院ではどのような手順で翻訳キャリアづくりを提案するのか、その基本を確認します。

STEP1
 入学、翻訳学習開始時には、以下の'翻訳キャリアサクセス実現診断'を参考に、なぜ、翻訳キャリアなのかを過去にさかのぼって総点検、再構築をしてみましょう。その核の部分はSTEP4の5年後の履歴書、キャリアプラン創りです。
http://www.babel.edu/category/find-your-own-uniqueness/

STEP2
 皆さんは入学とともにMSTプロフェショナルバンクに登録いただきます。
そのフォームのイメージは以下の通りです。
https://reg26.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=lgp-ldthr-6cfa330cfeeb86562c4d07d2194c3c65

この登録項目が皆様の作り上げるべきポートフォリオとお考えください。
MSTプロフェショナルバンクは、修了後、バベルのパートナーとして仕事をするしないに関わらず必須の登録手続きと考えてください。

STEP3
 STEP1と2で具体化した目標を目指して皆様は学習をしてくことになります、既存のコースワークにとどまることなく、今後、ご案内するプロジェクトコース、短期のセミナー、研修会等を十分活用して目標キャリアデザインの具体化に努めましょう。

STEP4
 そのうえで、提携機関の一般社団日本翻訳協会の提供するプロ翻訳者に必要な様々な検定のうち、ご自身の専門としたい検定にチャレンジください。日本翻訳協会のページには日本翻訳協会は実施していませんがプロ翻訳者になるために推奨している検定、講座情報も提供されています。
http://www.jta-net.or.jp/index.html

 これらの検定を取得することが、キャリアデザインを実現するための試金石となると思います。皆様がパートナーとしてバベルグループで仕事をしたい場合は、これらの検定取得が必須とお考え下さい。

 以上、翻訳を志した以上、社会を変革するような意気込みで、プロ翻訳者を目指してください。ともに、翻訳を通じて日本の'一隅'を変革する活動ができればうれしく思います。

第181号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

反グローバリズムという時代の大転換期
       -方法翻訳に学ぶ国体を守る方法

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 世界がグローバル化で疲弊している状況は皆様も様々なニュースでご承知でしょう。
 

 ウォール街に代表される金融資本家に踊らされて、人、モノ、金の自由化に踊らされた結果、国体を破壊され今の悲惨な状況となった各国。
 

 賢明なイギリスは昨年6月にEU離脱を表明、イギリスを取り戻すという方向へ舵を切った。思い起こすと、同様に移民人口比率が15%内外のフランスのサルコジ大統領もその在職期間中にフランスとは何か、フランスを取り戻す運動をしていたのは記憶に新しいところだ。


 米国の製造業は、メキシコからの数百万人の移民流入でその賃金は70年前の水準から変わ
っていないと言う。
 

 国が破綻する、国民一人当たりの借金が800万円というフェイクニュースを流し(理論的に不可能)、緊縮財政のもと公共インフラを民間移行へと仕向け、その国の基幹産業までも自らの手にと企み、淡々と実行している金融資本家。
 

 日本は地理的優位もあり、移民人口比率が15%内外の、米国、イギリス、フランス等に比べれば1.7%という10分の1程度の移民人口比率。今は、移民流入が一定程度に収まっているとは言うが、農業移民、介護移民と移民受け入れに政府は動き始めている。AI等を有効に活用するという方向での努力もきちんとしないまま。
 

 とは言え、日本は他の先進国に比べれば、対内直接投資は対GDP比5%以下、欧米先進国の20%内外に比べると極めて低い。また、移民比率がまだ1%代とすれば、今であれば、反グローバル政策をとるのは手遅れとは言えないのかもしれない。
 

しかし、日本人の正義感から気になることがある。
 

 グローバリストの魔の手は、国体の根幹である皇室をも犯そうとしている。125代、2000年に渡って、続いた皇統を、女系天皇制(女性天皇は歴史上あるが)を採用しようと議論し、国体の根幹を蝕もうとしている何者かのたくらみ。
 

 小泉政権以来、陰で暗躍するHT氏は、グローバリストの片棒を担ぎ、日本の根幹となる産業を金融資本家に明け渡そうとしている。国の根幹である農業に農業移民という制度を派遣労働として浸食しようとしている人材派遣会社P社の会長HT。
 

 高等教育、企業を英語化しようとする政商HM、高等教育を母国語で進められるという欧米圏以外では稀有な国の高等教育体制をきちんと堅持すべきでしょう。
 

これらの政商の暴挙を抑えるという健全な日本人としての感覚を持つべきでしょう。
 

 今こそ、グローバル、オールイングリッシュからグローカル、方法翻訳に転換して、グローバリストの罠にはまることなく、日本の国体を守りつつ、自立した国々との健全な交流を目指すべきでしょう。
 

 今こそ我が国日本は、明治維新以降に海外文明をそのまま受け入れ、英語を公用語化せずに、翻訳を通じて、海外の文物を取り入れた先人の知恵に学び、方法翻訳という障壁を設け、グローバリストの策略から日本の国体を守る必要があるでしょう。
 

その範を他の国々に示すことができる位置にいるのは、先進国では日本が最も優位な位置にいると思う。
 

 このまま安易にグローバリストの罠にはまっていたら、日本は中国の属国になるか、発展途上国の道を突き進むことになることを強く認識すべきだろう。

第180号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

日本翻訳協会の翻訳能力試験/資格認定試験は仕事への‘トライアル’です。

 

バベル翻訳大学院ALUMNIマネジャー 宮本寿代

 今回は、一般社団法人 日本翻訳協会(以下、JTA)が実施する翻訳能力検定、および資格認定試験についてお話しいたします。


 以下では、試験の概要も紹介いたしますが、より詳しく知りたい方、お問い合わせ等がある方はJTAの公式サイトにアクセスしてみてください。

http://www.jta-net.or.jp/index.html


 
試験は分野別に毎月実施されます。望む試験の日程を公式サイトで確認してください。


 JTAの実施する試験は、翻訳能力を測ったり、翻訳能力の認定を受けたりするためのものですが、バベルグループでの翻訳プロジェクトに参加するための‘トライアル’でもあります。各試験で2級以上を取得されますと、トライアル合格となります。合格された方は、所定の条件(守秘義務契約の締結、PC作業環境のセキュリティ確認など)を満たすことを確認したうえで、バベルの翻訳メンバーとして登録可能となりますから、翻訳のお仕事を得るチャンスを増やすことができます。

 大学院に在籍中の方々は、全課程を修了し、翻訳修士号を取得するという目標をお持ちだと思いますが、そののち(あるいはそれと並行して)JTA公認試験を受験することもご検討ください。ご自身のお力を試してみる機会にもなりますが、バベルグループでお仕事をしていただくための必要条件です。すでに大学院を修了された方々も、ぜひこの試験をご活用ください。

 試験の概要は次の通りです。

==================================================

1]翻訳能力検定試験
 翻訳能力検定試験には「出版翻訳能力検定試験」、「ビジネス翻訳能力検定試験」があります。それぞれ分野ごとの試験が行なわれています。

○出版翻訳能力検定試験
 ・絵本翻訳能力検定試験
 ・ヤングアダルト・児童書翻訳能力検定試験
 ・エンターテインメント小説翻訳能力検定試験(ミステリー、SF、ファンタジー、ホラー)
 ・ロマンス小説翻訳能力検定試験
 ・スピリチュアル翻訳能力検定試験(フィクション/ノンフィクション)
 ・一般教養書(ビジネス関連)翻訳能力検定試験
 ・一般教養書(サイエンス関連)翻訳能力検定試験
 ・出版シノプシス能力検定試験
○ビジネス翻訳能力検定試験
 ・IR/金融翻訳能力検定
 ・リーガル翻訳能力検定
 ・医学/薬学翻訳能力検定
 ・特許翻訳能力検定

 

2]資格認定試験

 資格認定試験には「翻訳プロジェクト・マネージャ資格基礎試験」、「翻訳プロジェクト・マネージャ資格上級試験」、「翻訳専門職資格試験」があります。

〇翻訳プロジェクト・マネージャ資格基礎試験

〇翻訳プロジェクト・マネージャ資格上級試験

翻訳プロジェクト管理・運営責任者としての能力をプロジェクト・マネージメントに必要とされる、6つの分野を念頭に審査する試験です。まずは基礎試験を受け、合格後に上級試験を受けることが推奨されています。
 1) 時間管理、2) 人材管理、3) 資源管理、4) コスト管理、5) クライアント管理、

 6) コンプライアンス管理

〇翻訳専門職資格試験

 翻訳のプロフェッショナルの能力を総合的に審査する試験です。以下の4科目のテスト全てに合格し、翻訳実務経験2年の実績審査を行った上で「JTA 公認翻訳専門職(Certified Professional Translator)」と認定します。

1)翻訳文法技能試験、2)翻訳IT技能試験、3)翻訳マネジメント技能試験、
 4)翻訳専門技能試験(「翻訳能力検定試験」のなかから1分野)

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 また、バベル翻訳大学院(USA)では、受講生の皆さんに対し、上記試験の受験料補助も行なっております。こちらの制度もぜひご利用ください。

 受講生、修了生のみなさんが翻訳スキルを伸ばし、お仕事に結びつける機会を多く得てくださることを願っております。

第179号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

国体維持政策のための翻訳から、
文化創造政策としての翻訳へ

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 これまで本誌で、いわば日本の国体維持、安全保障政策としての翻訳の重要性を説いてきました。
 

 英語化政策を唱えるグローバリストの本意は、日本の欧米属国化といっても過言でないでしょう。今、他のアジアの国々がこの表向きの戦略に騙されて二流国化の道を歩んでいます。一方、明治維新以降、翻訳という方法を通じて、欧米の当時の先進文化を土着化して民度を上げて世界のトップに躍り出た日本。
 

その戦略の先進性に改めて驚くとともに、先人の先見の明にただただ感謝するばかりです。

ここで、さらに話を進めていきたいと思います。


 先人の翻訳化政策によって、日本は先進の近代文明を和魂洋才的に取り入れて、文明国家としてゆるぎない地位を確立してきたわけですが、それで終わっていいのでしょうか。

 

その次の話があるように思います。

それは、西欧列強に追いつき、追い越してきたわけで、それは、いわば同じスタートラインについただけです。
 

 次は、多言語共生社会において、日本という極めて独自性の高い文化に翻訳を通じて新しい視点を注入し、東西融合の新しい言語文化を創りだすというプロセスを意識してもよいと考えます。
 

 そもそも翻訳という行為自体、翻訳の作品自体が東西融合の結晶であること考えると、西欧のコンテンツを翻訳することとは、西欧文化との融合、発酵を予期しているのではないでしょうか。
 

 脳科学者の角田教授が指摘したように、日本人は、日本語によって形づけられた独特の脳を持つということはすでに皆さんもご承知でしょう。虫の音、小川のせせらぎ、虫の音、等を左脳、すなわち、言語脳で受け止める日本人。同種の脳の構造を持つのはポリネシア人のみと言われている通りです。
 

 これも手伝い、擬音語、擬声語の宝庫となっている日本語作品が生まれ、万物に神を読む深い精神性に根差す日本語作品が生まれてきたといっても過言ではないでしょう。
 

 とすれば、我々は翻訳という行為をより積極的にとらえて、この東西融合の現場である翻訳を新しい日本文化発酵、創造のプロセスとして前向きにとらえることができるのではないでしょうか。

 世の事象は常に弁証法的発展にさらされているとすれば、翻訳を通じて、先進文化を土着化させると言うやや後ろ向きな考えから、日本人の深い精神性と鋭い感性をもって発展的に翻訳をすることにより、新たな日本の言語文化を創造すると考え直したらどうでしょうか。
 

 実際、すでに在る素晴らしい翻訳作品をそういう視点で読み返してみると納得する方も多くいるのではないでしょうか。

 

第178号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

日本人が自信を取り戻し、
世界へ
日本を発信するとき!!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 最近の風潮を見ると、自信を失ったかに見える日本の行く末が不安になります。
 

 国を愛しているか、との若者への質問にYESと答える割合が先進国中の最低、PISAの国際学力では、トップクラスに帰り咲きながら、そのやる気の無さは先進国のトップ、また、留学して世界に雄飛しようとする若者の数は、韓国、中国本土、台湾にどんどん追い抜かれている日本。
 

 そんな、やる気のない、覇気のない日本を挽回しようと考えているのは私だけではないでしょう。
 

 また、一方では、中国、韓国の中傷、プロパガンダに右往左往する日本。それぞれの国のお国事情で格好な外敵、悪者とされて反撃できない、自虐的歴史観に犯された日本人。
 

 そんな時代に、正しい歴史認識の下で、日本の自信を取り戻す必要があるように思います。
 

 故 村山 節(みさお)さんの「 文明800年周期説」や、トインビーの歴史観をとり上げるまでもなく、今、歴史は西欧合理主義から東洋の智へと大きな変換期を迎えています。
 

 東洋の中でも日本は、儒教、仏教、道教、禅、神道という思想哲学の集積地、たまり文化といわれる地域。全てに神を感じ取り、清く明るい志を持ち、見えないものを見、全ては自分のなかにあると内省する日本人。
 

 まずは、この素晴らしい日本をただしく認識するところから、日本を世界に発信することができるのでしょう。
 

 では、翻訳者として我々は何ができるのでしょうか。
 

 まずは、日本の正しい姿を伝える様々な書籍、情報を英語にして、日本の真の姿を世界に伝える、そんなところから始まるのかもしれません。
 

 日本の姿を世界に伝える国家予算が他の先進国に比べて微々たるものであることに、驚かれる方も多いと思います。
 

 バベルではこれまで、こうした関連書籍として、田口佳史さんの近刊『清く美しい流れ』、『東洋からの経営発想』、浅井隆さんの『Human Destiny』, 田坂広志さんの『目に見えない資本主義』等の書籍を英訳出版してきてはいますが、未だ、微々たる量です。
 

 2020年のオリンピック年を間近にひかえて、BABEL UNIVERSITYとしても、心機一転、日本のほんとうの姿を世界に伝える書籍を英訳し、世界に発信していきたいと考えています。

 

BABEL UNIVERSITYでは、こうした英語で発信するための翻訳講座、

日英翻訳出版入門講座、

http://www.babel-edu.jp/program/31101jebasic/

日英翻訳出版講座、

http://www.babel-edu.jp/program/31101jebasic/

Plain English講座をもってその人材を育ててきました。

http://www.babel-edu.jp/program/31011.html
 

 結びに、多摩大学大学院 教授、世界経済フォーラム(ダボス会議)グローバル・アジェンダ・カウンシル メンバー、•世界賢人会議 ブダペスト・クラブ 日本代表の田坂広志さんのバベル翻訳専門職大学院に寄せていただきましたことばをお読みください。
 

 『21世紀、この日本という国が世界に対して為すべき貢献は、何か。それは、決して「経済的貢献」や「政治的貢献」だけではありません。何よりも求められているのは「文化的貢献」であることを、我々は知るべきでしょう。
 

なぜなら、歴史的視野で見るならば、いま、世界全体の「知の潮流」は、西洋的な知のパラダイムから東洋的な知のパラダイムへと、螺旋的発展による弁証法的回帰を遂げつつあるからです。特に、東洋の知のパラダイムの中でも、日本的精神は、高度に洗練された禅の思想を始め、自然(じねん)の思想、縁(えにし)の思想など、世界が学ぶべき深みを持ち、その成熟した日本文化は、これから世界に対して大きな影響を与えていくものとなっていきます。
 

すなわち、21世紀は、日本が欧米の文化を輸入し、学ぶ時代から、欧米が日本の文化を輸入し、学ぶ時代になっていきます。そうした時代に、日英・英日翻訳のプロフェッショナルの道を歩まれる皆さんには、単なる「職業的責任」を超え、「歴史的使命」と呼ぶべき役割が与えられています。
 

特に、日英翻訳の世界は、いまだ未踏の荒野であり、あらゆる困難を超え、誰かがこの荒野を切り拓いていかなければなりません。その困難は、単に「日本語を英語に訳す」という技術的な困難ではなく、「日本的な精神や文化の神髄を世界に伝えるための新たな言語のスタイルを生み出す」という困難に他なりません。一人の著者として、その格闘を続けながら願うのは、皆さんの中から、そうした荒野に道を切り拓く「多くの同志」が生まれてくることです。それは、困難に満ちた道でありながら、一人の人間が人生を賭するに値する、素晴らしい道であることを信じています。本日が、皆さんにとって、その「輝ける道」への第一歩となることを祈りつつ。』
 

 

第177号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

多文化共生社会の多言語翻訳

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

  バベルは今、Multilingual Vendor Serviceを本格的に立ち上げる準備をしています。


 MLVというとこれまでの常識ではローカリゼーションの世界で発生する欧米を起点とする翻訳サービス形態でした。例えば、米国企業が開発したソフトを英語圏以外に販売するために多言語化する、その中に例えばJapanizationも含まれるわけです。いわば、グローバルビジネスの戦略として多言語化が必要とされてきたわけです。


 しかし、バベルグループで立ち上げるMultilingual Vendor Serviceはやや方向を異にしていて、多文化共生社会における文化共有化の方向、すなわち、世界の様々な言語から日本語へ翻訳するプロセス、あるいはその逆方向。それも文化的、いわゆる翻訳出版に属するような部分にも力を入れていきたいと考えています。


 世界中の多様な土着語の文化情報を日本語にしていく、そこから自己の価値観の相対化も生まれ、多様な文化を楽しむ、多様な文化から学ぶという余裕も生まれてくるように思います。


 また、日本の文化を多様な文化圏に発信して、相互の理解を深め、その関係を享受する。


 地球はGlobal Knowledge ( Wisdom) Gardenと考えると、翻訳されるべく待つ多様な知的資産が世界各地に埋もれていると思います。


 幸い、バベルの大学院生は修了生も含めると世界30か国余りの国々に住んでいます。それでも世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語と文化が存在するわけで、道はまだ端緒にすぎないと言えるでしょう。


 私が20年ほど前にオーストラリアの書店で見かけた子供向けの聖書にバベルの塔の神話の驚くべき解釈を見つけたことを思い出します。神様は天を突くようなバベルの塔を建てようとした人類に怒ってお互いのことばを通じないようにして塔の建設をやめさせた。これが旧約聖書の一般的解釈です。


 しかし、その聖書にはこう書いてあったのです。神は怒って塔の建設を阻止したのではなく、その本意は、この地の文化、文明の素晴らしさに満足せずに、世界に散ってその文化、文明を世界各地広めなさいとして様々な言語を授けたという解釈でした。


 とすると、我々のMultilingual Vendor Serviceの試みは限りなく拡散していく試みではなく、人類はもともと一つであったことを思い出す回帰、集約の過程なのかもしれません。

第176号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

「ビッグデータアナリストからみた人工知能」特集連載はじまる


米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

  今年の3月号に書きましたように、第3次AIブームが到来して、ここ10年、20年先には我々の仕事の半分が消えてなくなる、そして2045年には、いわゆるSingularity(技術的特異点)、人間と人工知能(AI)との逆転の危機が訪れると言われています。
 

 これらに踊らせられていまから右往左往するほどばかげたことはないと思いますが、常に主役たる人間としては、これらのマスコミ受けする議論の中に隠れがちなパラダイム変換には気づく必要があるでしょう。その上で、我々翻訳に携わる者として、先手先手でキャリアデザインをしていくべきでしょう。
 

AI,人工知能には以下の限界があると言われています。

・意思がない

 ・知覚できない

 ・事例が少ないと機能しない

 ・枠組みのデザインができない

 ・問いを生み出せない

 ・ひらめきがない

 ・常識的な判断ができない

 ・リーダーシップが取れない

(安宅和人 ヤフー チーフストラテジーオフィサー)
 

ということはこれを読みかえると、

・意思をもって

 ・自ら問い(WHY)を設定、課題を設け

 ・枠組みをデザインして

 ・リーダーシップをもって

課題を解決していくことが、AIに代替されず、AIと相互補完関係でハピーな将来像が描けると言ってよいでしょう。


一方、こんな言い方もされます。


AIで代替されにくい仕事とは

1. 商品企画、映画を撮るといったクリエイティブ系の仕事

 2. プロジェクト管理や会社経営などのマネージメント系の仕事

 3. 介護、看護、保育のようなホスピタリティ系の仕事

 (井上智洋 大学教授、AI社会論研究会共同発起人)


ではこれらを勘案して、翻訳力をベースにどうキャリアを創るか、起業するかを考えてみましょう。


 翻訳は原文を他の言語に変換するだけの機械的な行為と考えている方は皆さんの中にはいらっしゃらないと思いますが、では、翻訳にクリエイティブ性という付加価値を付与して
職域を考えるとすれば、

・翻訳リサーチャー、研究者、レクチャラー(なまじの専門家より翻訳者の方がより専門家)

・翻訳ジャーナリスト、記者、ライター(翻訳の専門分野でライターもめざす)


 更に、翻訳に主体性、マネージメント性を持たせるには、いち翻訳者としての受け身的な
仕事にとどまらず、特定のねらいを持った翻訳プロジェクト(会社)を立ち上げて、そのマネージメントに関わることです。


 また、観点を変えれば、ホスピタリティ系の仕事に携わる方、例えば介護、看護の仕事をしている方が、ご自身のキャリアを拓くために翻訳スキルを身につけて、介護、看護の先端の
情報を海外から仕入れて翻訳をする、そしてその分野の国際通になる、とするとその方の大きなブランディングにもなっていくわけです。


 とここまでは、3月号の内容確認ですが、今月号より、様々な業界の方々にAIをどうとらえていくか、そのお考えを聞いていきたいと考えます。今回は、ビックデータアナリストの緒方先生より、ビックデータアナリストの視点から見たAIについて6回にわたって語っていただきます。


以下が全6回の特集の予定です。

これを機に、皆さんもAIを活用してどうする、そんな視点で考えてみてください。


「ビッグデータアナリストからみた人工知能」予定

(第1回 6月 7日号)「すごい人工知能、しかし幼児に及ばない」

(第2回 7月22日号)「人工知能はなぜ幼児にも及ばないのか?」

(第3回 8月 7日号)「しかし、人工知能はデータ分析の仕事を奪う」

(第4回 8月22日号)「では、データ分析家の私はどうするのか?」

(第5回 9月 7日号)「人工知能とのコラボレーションを考える」

(第6回 9月22日号)「人工知能は私をより人間らしい活動に向かわせる」

第175号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

教育の国際通用性に想う

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

  去る、519日、東京のビックサイトで行われた教育ITソリューションEXPOで文部大臣補佐官、鈴木寛氏の「高大接続でどう変わる?-AI時代への教育改革」の講演を拝聴しました。しかし、時間の関係があってのことなのか、気になる課題は聴けませんでした。


 小中学校の学習指導要領の大幅改訂、大学入試改革を2020年までに実施とのこと。

その背景には、PISAショック、英国教育専門誌による大学世界ランキングにおける日本の主要大学の下落が見え隠れします。


 OECDが2000年から3年に一度実施しているPISA(Program for International Student Assessment)では、世界の15歳の男女を対象に、数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力、2015年からはこれに加え、協同
問題解決能力、異文化対応能力( Global Competence )を測ると言います。鈴木氏によりますと、10位少し手前に推移していた順位が、2015年は数学的リテラシーと科学的リテラシーが世界トップ、読解力が同率3位とのこと。


 また、英国教育専門誌、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」による世界大学ランキングでは、2年前、世界レベルで20位だった東京大学が39位、京都大学は91位へ下落、他の大学の順位は推して知るべし、の状況の様です。


 それも2013年に政府は、日本再興戦略―Japan is back. で今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上を入れる、と宣言したにも関わらず、です。


 ちなみに、このランクングは教育、研究、引用された論文数、国際性、産業界からの収入の5分野の評価を点数化し、合計点で順位付けされるそうです。日本はそのうちの国際性、論文の引用率が大きく足を引っ張っているとのことです。


 しかし、論文はどんどん英訳をすべき!!だし、英語の授業を増やすことを金科玉条のように言っているようですが、それによって世界レベルの研究成果があがるとは逆に思えない。科学技術における日本のノーベル賞が米国に次いで2位であることにも表れています。


 しかし、こうした情報に注意をそらされると肝心の本質的なことが見えてきません。

この講演での結びは、22世紀に向けて、AIにとって替わられない創造性、未来を創る、歴史を創る若者を育てる必要性が説かれていました。


 また、そのためには、アクティブラーニング、すなわちProblem-based learning, Project-based learning、能動的に課題を探求し他者と協働して解決に取り組むことが必要であるとのことでした。言い換えるとKnowledge, Skillに加えAttitude& Valueへのシフトが必要との結びでした。


 しかし、私としては、ここで期待して聞きたかったのは英語の必要性は当然のこととして、国際教養大学が示した大学の学部レベルでのリベラルアーツの重要性、先端教育機関といわれる米国の大学における充実したリベラルアートへの取り組みに対する文科省の見解でした。つい最近まで、日本の新聞をにぎわしていたのが大学における一般教養科目の廃止の話でしたのでなおさらです。


 バベルの翻訳専門職大学院へは、学部レベルで十分な教養を積んで入学してもらいたい、‘翻訳こそ大学院レベルの教育’と考えているだけに、この辺が気になるところです。


 米国の教育制度はまさに、リベラルアーツカレッジに代表されるように学部
レベルでは幅広い教養を学び、大学院で専門教育、MBA,ロースクール、メディカルスクールへと接続していくことはご存知でしょう。


 最後に、この多文化共生、異文化対応の時代に、今一つ私なりに気になり講演の中で言及することを期待したのは、大学の教養教育における日本人として日本の思想、文化、芸術を世界にプレゼンテーションする力の重要性です。


 ご承知のように、翻訳においても圧倒的に欠けるのは、日本語のコンテンツの
外国語翻訳、とりわけ英語化です。

江戸時代の国際通用性は決して中国語を話せるということではなく、漢詩漢文、四書五経という漢学で担保され、明治時代の国際通用性は翻訳、翻案された洋学で担保されていたとすれば、これからの国際通用性は日本を世界にプレゼンできる開かれた日本学にあるように思います。

第174号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


国家戦略としての‘翻訳’

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。
 

 明治維新以降、先人、福澤諭吉、西周、森有礼,中江兆民等々が、西欧文化、技術、制度、法律等、日本にない抽象概念を数々の翻訳語を創って受け入れてきました。 Societyが社会、  justiceが正義、truthが心理、reasonが理性、その他、良心、主観、体制、構造、弁証法、疎外、実存、危機、等々。
 

 こうした先人の努力をよそに今こんなことが起こっていることをご存知でしたでしょうか。それは政府部内で検討された英語特区という公の場では日本語で会話はご法度という制度です。こんな制度がまかり通っていいのでしょうか。
 

 英語至上主義、日本でも喧しく企業内の英語公用語化の話題がマスコミを賑わせていますが、これこそグローバリスト、国際金融資本家の思う壺。日本が二流国に転落するのが目に見えています。
 

 この辺の事情を歯切れのよい文章で書かれた施光恒(せ てるひさ)氏の「英語化は愚民化―日本の国力が地に落ちる」(2015年7月刊、集英社新書)は説得力のある素晴らしい本でした。
 

 この本にもあるように、英語による支配の序列構造の中で、第二階層、すなわち、英語を第二公用語として使う、インド、マレーシア、ケニアなどの旧イギリス植民地諸国、フィリピン、プエルトリコなどの米国占領下にあった諸国のことです。かれらはある意味、英語公用語を採用して、二流国を甘んじて受け入れた国と言えるでしょう。
 

 最近では日本の東大がアジア地域での大学ランキングが昨年までの第一位から七位に転落とマスコミでは自虐的論調が聴かれますが、その主たる理由は、授業が英語で行われている割合が少ない、執筆される英語論文の割合が少ないなどが問題にされているように思います。しかし、考えてみてください。英語圏以外で先進の学問を日本語、自国言語で学べる国は日本以外ではあるでしょうか。おまけに、世界中の古典が読める稀有な国日本、これを皆さんはどこまで自覚しているでしょうか。
 

 一方、あの理想国家といわれるシンガポールの現況は、常に複数の言語を学ばなければならないことから始まり、エリート主義による経済格差の拡大、国民の連帯意識の欠如。そして、独自の文化、芸術が生まれない文化的貧困を皆さんはご存知でしたでしょうか。これこそ、英語化路線の一方のひずみと言えると思います。
 

 日本は、翻訳を盾に、日本語が国語である位置を堅持して、決して日本語を現地語の位置に貶めませんでした。

これは以下の日本語と日本文化の歴史とこれに裏打ちされた利点を考えれば至極当然のことに思えます。


・6,7世紀ころから中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で 受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げできた。

 

・50万語という世界一豊かな語彙をもつ日本語。英語は外来語の多くを含んでの50万語、ドイツ語35万語、仏語10万語。まさに、言霊の幸はふ国日本。


・古事記、日本書紀、万葉集など、1,000年前文献でもさほど苦労なく読める日本語。

一方、英米では1,000年まえの文献は古代ギリシア語、ヘブライ語が読めなければ一般の人は読めない。


・世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語の内、50音の母音を
中心に整然と組み立てられ、・平仮名、片仮名、アルファベット、漢数字、ローマ数字等多様な表現形式を持つ言語、日本語。


・脳科学者角田忠信が指摘しているように、西欧人は子音を左脳、母音を機械音、雑音と同じ右脳で処理、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音をノイズとして右脳で受けている。対して、子音、母音、さらには小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音までも言語脳の左脳で受け止める日本人。そこから導かれるのか万物に神を読む日本人。


・ユーラシア大陸の東端で、儒、仏、道、禅、神道文化を発酵させ、鋭い感性と深い精神性を育んできた日本文化。

・「日本語の科学が世界を変える」の著者、松尾義之が指摘しているように、ノーベル賞クラスの科学の発明は実は日本語のおかげ。自然科学の分野ではこれまで約20の賞を受賞。アジア圏では他を圧倒。

ここで、一見無関係に思われる、最近の世界情勢を見てみましょう。
 

 Brexit(Britain+Exit), 英国の国民投票によるEU離脱の衝撃は、日本、そして世界の経済、政治に大きな影響を与えつつあることはご承知かと思います。
 

 フランスは決選投票の結果、EU離脱派のルペン氏を抑え、無所属のマクロン氏が勝ったとは言え、無所属のマクロンが政党を設立し国民議会577議席の単独過半数の支持を得て首相とともに今の路線で歩めるのかまだまだまだ予断を許せません。
 

 EUは解体に向けて歩む?のかもしれません。実際、オランダ、イタリア、オーストリア、デンマーク、スウェーデンももしかしたら、という状況のようです。
 

 では、このBrexit以降の世界情勢はどんな方向を示唆しているのでしょうか。
 

それは、
GlobalismからNeo-nationalism (Localism)へ

国境を無くし、人の交流を自由化し、市場を開放する方向から、難民の無制限な移動の制限をし、国家を取り戻す方向へ

 

ElitismからPopulismへ

国際金融資本家に代表されるエリート主導から大衆主導の時代へ
 

これは、ヒラリーVSトランプの構図も見え隠れしていました。

トランプの‘アメリカファースト’もある意味、Neo-nationalism (Localism)とPopulismへの傾きといえるでしょう。
 

 グローバリストが新自由主義の政策、開放経済、規制緩和、小さな政府、これに基づき世界経済の再編を進めてきたわけですが、これに異議を唱えたのがこれらの動きと言えます。
 

 今まさに、大きな潮流は、ローカル、それもグローカル、開かれたローカリズムの時代に突入しつつあるように見えます。
 

ここにこそ‘翻訳’の存在意義が見いだせます。

 
個々の自立した文化をお互いに尊重し、そのうえで、翻訳による相互交流を行う、そんな翻訳的方法が見直されています。
 

 件の英語特区の提案者が言うような、言語は単なるコミュニケーションのツールではないでしょう。言語は使う人の世界観を作り出していますし、日本であれば日本語が日本人の考え方、感じ方、日本社会の在り方まで創り出してしまいます。
 

 従って、日本社会の英語化を安易に進めることは日本のアイデンティティ、強みを破壊する行為といえるでしょう。思いやりや気配り、日本人の持つ鋭い感性や深い精神性は日本語、日本語脳、日本文化のなせる業でしょう。
 

 ユーラシア大陸の東端にあり、儒教、仏教、道教、神道、禅が混ざり合い発酵した日本文化は我々が誇れる知的資産です。
 

 鈴木孝夫氏のタタミゼ効果はご存知かと思いますが、もともとこれはフランス語ですが、日本人ぽくなる、人との接し方が柔らかくなる、対決から融和に導く、日本語を学んだものがそのように変わると言われています。
 

 ことほど左様に、世界は個々の自立を前提にそのコミュニケーションの方法論として‘翻訳’を求めています。
 

 グローバリストの脅し、誘惑に左右されずに、これからの世界における自国語、日本語の意義、そして、翻訳の意義を堂々と主張しましょう。
 

お互いの文化を尊重し翻訳を通じてハーモナイゼーションを計る、素晴らしい時代の到来です。

 まさしくバベルの塔を英語という一つの言語で創ろうとしている特権階級のグローバリストに神は怒り、神は別々のことばを与え、世界へ散れと言っているかのようです。
 

多言語、多文化共生世界の入り口に今我々はいるのかもしれません。
 

 日本も国家戦略、言語戦略の一環として‘翻訳’を考える時代に入ったと考えるべきではないでしょうか。加えれば、私は日本が平和を謳歌してきたことをもって不沈戦艦大和神話を支持するつもりはありません。永世中立国スイスがそうであるように、地政学的適度な危機感をもって自主防衛力を持つべきと考えます。その一環として、翻訳戦略は欠かせないと考えている次第です。 

第173号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


「バベルの塔」を描いたブリューゲルの翻訳力に感服!!

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 ブリューゲルは「神の怒り」ではなく、「夢を実現しようとする人々の挑戦」を描いた!!
 

 今までに多くの画家が「バベルの塔」を描いてきましたが、ブリュールゲルの作品が傑作と言われているのは、ブリューゲルは「神の怒り」ではなく、「夢を実現しようとする人々の挑戦」を描いたからだと言われているそうです。
 

 ネーデルラント絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲルが描いた傑作「バベルの塔」。この絵に描かれた人々が動き出す3次元コンピューターグラフィックス映像を、いま、美術館の巨大スクリーンで鑑賞できます。
 

 これを制作した東京芸術大学の宮廻(みやさこ)正明教授らのチームによると、 ブリューゲルが描いた「バベルの塔」の絵の実寸は、縦59.9センチ、横74.6センチ。米粒より小さい3ミリ足らずの人間を約1400人も描いているそうです。
 

 また、そこには、レンガを運ぶ人、クレーンを動かす人、家畜の世話をする人、洗濯物を干す人、また、塔の中ほどには教会へ向かう長い行列も描かれています。
 

 絵の中の人の平均身長を170センチとして塔の高さを計算すると、塔の高さは510メートルとなるそうです。従って、東京タワー(333メートル)よりも高くなると言います。
 

 ご承知のように、バベルは「バベルの塔」の神話の解釈を天を突く塔を建てようとする人間の傲慢な行為を神が怒ってお互いの言葉を通じ無くし、その行為をやめさせようとしたというのが一般的な解釈ですが、
私はそうとは考えておらず、むしろ神はそれぞれに別々のことばを与えてその地の素晴らしい
文化を広めていきなさいという意図であったと解釈しています。
 

 そんなポジティブ翻訳をしたバベルと、「夢を実現しようとする人々の挑戦」と翻訳したブリューゲルとは意味こそ違うにしてもそのポジティブなところを評価したいと思います。
 

 これらのシミュレーション画像は、今月7日に発売された美術入門書「ブリューゲルへの招待」(朝日新聞出版)に掲載されているそうです。

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18968

また、是非、以下の「バベルの塔」展に足を運んでみてください。

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ボイマンス美術館所蔵「バベルの塔」展

16世紀ネーデルラントの至宝 ―ボスを超えて―

http://babel2017.jp/

<東京会場>東京都美術館 2017年4/18(火)~7/2(日)

<大阪会場>国立国際美術館2017年7/18(火)~10/15(日)

第172号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

BABEL UNIVERSITYの未来を考える
 ―創業42年、創業半世紀を迎えるにあたって

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 翻訳ライフキャリア開発支援へ
米国に設立して17年目。アカデミックな一般的教育機関としてはある領域まで極めたと言えるBABEL UNIVERSITYですが、ここで自らを振り返り新たな改革を模索したいと考えています。
 
初めに、こんな現状認識から始めようと思います。
 
2015年4月、翻訳の国際基準のISO17100が施行されて以来、翻訳の学位(修士号)の有用性を約2年に亘り訴えてきました。しかし、翻訳業界ではいまだに経験主義が跋扈しており、翻訳の資格の有用性(JTA)には一定の理解をいただいたように思いますが、未だ翻訳のアカデミズムに対する軽視が続いているように思います。しかし逆に、翻訳に対する期待は別のところにあるのかと考えさせられる今日この頃です。

http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission031/
 
昨今では、AI進化に伴うシンギュラリティ(2045年問題)を経て翻訳者という職業が無くなるのではないかという職業に対する不安が聴かれるようになってきました。
むしろ、AIを活用できる翻訳プロフェショナルが活躍できる時代に入ることをここでは指摘しておきたいと思います。

http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission39/
 
これらを踏まえて、改めて翻訳のプロを目指している皆様の気持ちを代弁すると、以下のようになるでしょうか。
 
  ・皆一様に望んでいるのは修士号取得というより、翻訳で確実にそのキャリアを創り、自立したい。
 
  ・単に生計を立てるにとどまらず、翻訳を通じての自己実現を渇望している。
 
  ・AIに代替されることのない、AIを活用した、確固たる翻訳キャリア形成を望んでいる。
    ⇒専門性の高い翻訳出版社起業、翻訳編集者
    ⇒専門性の高い翻訳会社起業、翻訳プロジェクトマネージャー
    ⇒特定の分野に特化した翻訳ジャーナリスト、研究者、リサーチャー
    ⇒専門ライター、レクチャラー
    ⇒翻訳教師
    ⇒翻訳テクノロジスト
 
そんな印象を持ち始めたところです。
 
とすると、ここから導かれるBABEL UNIVERSITYの見据えるべき方向性は以下のようになるのでしょうか。
 
1.翻訳ライフキャリア開発プログラムとしての方向性を強める
  すなわち、‘Global Independence―生涯にわたる翻訳ライフキャリア開発を支援するプログラム’として確立する。
2. 従って、今は任意となっている『キャリアサクセス診断』を事前に行い、『キャリア設計書』を共同で作成する。
  
http://www.babel.edu/category/find-your-own-uniqueness/
 
3.そして、これらに基づき『受講デザインプラン』を共同で作成する。
 
4.科目選択はBabel  Universityの専攻の枠にとらわれず、様々な分野の講座、
  ワークショップ、プロジェクトが受講でき、より実践的な学習も体験できるようにする。
 
5. 『受講デザインプラン』をキャリアコンサルタントと共に作成、その後も、継続して、キャリア実現、起業まで伴走する。 
 
6.従って、JTA(一般社団法人日本翻訳協会)の各種検定は実力の基準として随時受験可能な形式とする。 
  
7.バベルグループに対するコーポレートユニバーシティの位置づけを明確に打ち出し、
  バベルグループのパートナーシップとして自立できる制度を確立する
  
 
ここでは、向う10年を想定してBABEL UNIVERSITYの向かうひとつの方向性を考えてみました。
 
これからも院生、修了生の方々のご意見を伺いながら、より魅力的、且つ、皆さまの生涯価値に応えられる翻訳教育機関をめざして行きたいと思います。
 
ご意見があればご自由にお寄せください。

 

第171号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳を学ぶ層が変わってきた!!

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 最近は翻訳を学ぶ大学院生が増えていることをご存じですか。
 
 バベルグループは創業1974年から43年を数えます。また翻訳専門職大学院を米国に設立、米国教育省認可のDEACに加盟して16年。
 
 思い出しますと、80年、90年代は翻訳のカルチャーセンターブームがあり、当時、バベルが未だ翻訳スクールであったころは毎年数万人の卒業生が翻訳クラスから卒業され、今ではプロの第一線で働かれているかたも多くいます。当時は英語学習の延長戦で翻訳を勉強されをた方も多いのではないかと思います。
 
 では、今はカルチャーセンターブームが去って、翻訳のプロフェショナリズムの時代に入ったと多くの方はお考えかと思います。
 
 翻って、世界の翻訳マーケットは以下の米国労働省のWEBページで明らかにされているように、‘大翻訳時代’といっても過言ではないでしょう。
https://www.bls.gov/ooh/media-and-communication/interpreters-and-translators.htm#tab-6
 
 世界はグローバル、ボーダレスは不可避で、それに伴って翻訳マネージメント、バイリンガルマネージメント、マルチリンガルマネージメントの時代に突入しています。
 
 こうしたプロの活躍の場が増えたと呼応してこんな傾向が見えてきたことをご存知でしょうか。それを我々は翻訳の第2ステージに入ったと考えています。
 
 それは、バベルでは大学院ではなく科目(単科)履修生、出翻訳出版ワークショップに参加される方が増えていることに象徴されることです。その場合、その取得単位は大学院の単位として認められるので、多くの方が翻訳大学院の登録されて翻訳を勉強していることを意味します。
 
すなわち、科目(単科)履修生、翻訳出版ワークショップ生も‘翻訳大学院生’と見なします。
 
翻訳のとらえ方が変わってきた、第2ステージに入ってきたと考えます。
 

  • ビジネス翻訳で稼ぐ一方で、翻訳を通じて人生の軌跡、翻訳作品を残したいという方が増えていること
  • 翻訳を単なるビジネスと考えるだけではなく、地球上の智を変換して共有してもらうことを人生の新しい目標に据えているかたが増えていること
  • 子供に親の作品として翻訳作品を残したいと考える方が多くなっていること

 
 すなわち、ご自身の人生を改めて振り返って、新しい人生設計をするにあたって翻訳という方法を選んで、ご自身の関心のある本を翻訳しようとするかたが、増えていること。
 
 そして、こうした方々に翻訳ビジネスのチャンスとともに、翻訳出版の機会を容易に提供できる時代に翻訳出版業界は入ってきているということです。バベル翻訳専門職大学院でも翻訳出版ができるシステムを用意しています。
それはAMAZONを活用する方法です。
 
時代は次の転換を求めています。
翻訳はその転換期にふさわしい機会を与えてくれます。
 
一億総翻訳者時代とまでは言わないまでも、翻訳に生涯設計を託す方が増えてきています。
 
翻訳大学院が身近になったとともに翻訳を通じての世界貢献の時代に突入してきたと考えています。
 
 世界は未だ未だ情報の偏頗が顕著です。それにより、多くの誤解が生まれ、知っていれば回避できた危機を防げた、知っていれば他の利に資することができたということは多く気づかされます。
 
 地球はGlobal Knowledge Garden, 知の宝庫、その知(智)を共有するためになにがしかの役割を担う、これをわれわれは翻訳、翻訳者の未来の役割と考えます。
 
この機会に、『もし世界が100人の村だったら翻訳者は?』、この質問を自らに投げかけてみてください。

 

第170号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

通訳力で翻訳力を強化する

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 本誌、4月号より予定している「翻訳と通訳の距離」(仮題)の特集連載に先立って翻訳と通訳の共通点と相違点を整理してみましょう。
 
共通点
・ソース言語をターゲット言語に変換する。
・ソース言語の内容とターゲット言語の内容が同じになるように変換する。
・言語的差異のみならず、文化的差異の処理が必要となる。
 
相違点
 ・SpokenとWritten、モードが違う。
 ・作業に許される時間に違いがあり、翻訳は表現形式にまでこだわり、通訳は内容を重視する。
 ・翻訳は等価性( Equivalence)重視、通訳は忠実性( Identity)  重視の傾向がある
 ・翻訳には調査の時間が持て、改定が可能。
 ・翻訳は永続的、通訳は一時的。
 
 もっとも、いわゆるメディア翻訳と言われる、字幕翻訳、放送通訳はこの2つの領域にまたがる作業と言えます。
 
それでは、翻訳になぜ、通訳力が役立つかを考えてみましょう。
 
 翻訳家、東大教授の柴田元幸さんが、翻訳の際には「原作の‘声’を聴け」と主張、原文の思考の流れを乱さない、頭から訳すこと(昇順訳)を提唱しています。
 
これこそ、同時通訳の奥義であり、通訳訓練の基本であるサイトトランスレーションの技法でもあります。
 
もっともこの技能はバベルの翻訳文法においても、頭から訳すとしてルール化しています。
 
 また、バベルの修了生でもあるミステリー翻訳家の山本やよいさんは毎朝、川端康成を只管筆写していると聞きますし、多くの翻訳者が愛読書を音読していると聞きます。
また、最近の翻訳者は完成した訳文を音読しながら推敲するとも言います。
 
すなわち、リズム感のある翻訳文をスピーディに生むためには、通訳技法、通訳訓練技法は有効であると言えそうです。
 
ここで、代表的通訳訓練技法の翻訳への効用をみてみましょう。
 
サイトトランスレーション
 原文にセンス(Sense)グループごとにスラッシュを入れて、原文の思考の流れを乱さないように、文章を読みながら頭から声に出して翻訳していく訓練です。リズム感のある、原作の思考の流れに沿った訳文をスピーディに生み出す有効な方法となります。
 
シャドウイング
 シャドウイングとは、音読された英語を時差をつけて音読で追っかけていくことですが、これは英語のイントネーションと表現リズムを体得するには有効な方法です。
ここでは、少なくとも訳文の推敲の過程で原文と翻訳文の音読を繰り返し、比較、対照することをおすすめしたいと思います。
 
サマライズ 
 スキミング(大意把握)して要約、スキャニング(ある特定な情報を検索)等、言語の構造性、パラグラフ構成、キーワードを意識して素早く内容をつかむ方法は通訳のみならず翻訳者にも必要な技術です。
 
こうした訓練は言うまでもなく、通訳に生かせるのみならず、翻訳者にも要求されるオーラルコミュニケーションのスキルを強化に役立つでしょう。
 
近い将来、翻訳者をめざす皆様にも、上記のような訓練機会をBABEL UNIVERSITYでも提供したいと考えています。
 
では、4月からの特集連載「翻訳と通訳の距離」をお楽しみに!!

第169号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

旧くて新しい日本語の課題?

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 最近、日本語の扱いに関して、日本語の特性は事実を人間関係から切り離して語れない、
誰に向かって誰が話しているかという人間関係が常に入り込んでしまう言語であるがゆえに、客観的であるべきジャーナリズムや報道の言葉が日本語では成立しにくい、という著書をみかけた。
 
 また、旧来から言われている、日本語は論理的言語表現の展開には不向きだ、日本語で論理的話の展開は望めない、という主張も思い出す。
 
そんな、日本語のせいにしがちな議論を見るとまたか、とあきれる。
 
 我々、翻訳に関わるものは2つの言語特性のはざまで、言語の置き換えを生業としている。
英語で書かれた論理的文章を日本語に、欧米のジャーナリズムを日本語に、また逆もしかり、その格闘をしている現場にいるものとして思うのは、日本語は相手によって融通無碍にその姿を変えられる、柔軟、且つ、包容力のある言語体系だと感じる。
 
 上記のような議論に組するものは、一度、翻訳を体験してほしい。日本語の可能性に驚くことも多いのではないだろうか。
 
 もともと日本語に無い西欧の抽象概念語を翻訳日本語として創りだし、定着させてきた日本人、日本語の許容力には驚かせられる。
 
あらゆる国の古典を日本語で読める稀有な国、日本。
 
日本語で大学教育のすべてが行える稀有な国、日本。
 
 少なくとも我々は翻訳を専門とする以上、あなたがその‘翻訳’ができていないだけじゃない、それを日本語のせいにするのはどうかな、と言いたいところだが。

第168号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

トランプ大統領が翻訳を学べば?!
      ―‘翻訳的ものの考え方’で世界は変わる!!

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 トランプによる世界の混沌は当分収まりそうもありません。トランプタワー( The Tower
of Tramp )は崩壊に向かっているのか? グローバリズムからネオナショナリズムへ、アメリカファーストを声高に主張しているトランプ。
 
 しかし、開かれた健全なナショナリズム、健全なローカリズムの世界には翻訳が似合います。互いの文化、言語、価値観を尊重し、自己を相対化するところから翻訳は始まるからです。
 
 しかし、グローバリズムが行き過ぎると、単一言語を主張し始めます。怖いのは閉じたナショナリズムがグローバルを主張した時です。
 
開かれたナショナリズムがグローバリズムをめざすときに、翻訳者的視点、すなわち他を尊重し自らを相対化するハーモナイゼーションの視点が芽生えてくるのでしょう。
 

世界が一つの言葉を取り戻す」再考
 
バベルと長いお付き合いの方はバベルの塔の神話をご存知のかたは多いことでしょう。
 
 しかし、バベルの塔(The Tower of BABEL)の神話の真のメッセージは必ずしも人間の傲慢を諌めることだけではないというところから出発したいと思います。
 
それは、20年以上前にオーストラリアの書店で見かけた子供向けの聖書に書かれた解釈でした。
 
 神は、人が、ひとところに止まらず、その智恵を世界に広め、繁栄するようにと願い、世界中に人々を散らしたという解釈でした。すると、かれらはその土地、風土で独自の言葉と文化を育み、世界中に多様な言語と多様な文化で織りなす地球文化のひとつを生み出したのです。
 
 しかし、もともとは一つだったことば(文化)ゆえに翻訳も可能であるし、弁証法的に発展した文化は、常に一定のサイクルで原点回帰をしているとすれば、ただ視点を変えるだけで、その本質を理解できる。
 
 しかし、人間のエゴの働きと言えるでしょうか、バベルの塔のころからの傲慢さゆえに、自文化が一番と考えることから抜けきれないでいると、もともと一つであるものでさえ見失い、理解できず、伝える(翻訳)ことさえできなくなってしまうのかもしれません。
 
 翻訳の精神とは、自らの文化を相対化し、相手文化を尊重し、自立した二つの文化を等距離に置き、等価変換する試みであるとすると、この過程こそ、もともと一つであったことを思い返す試みなのかもしれません。
 
 「世界が一つの言葉を取り戻す」、それは決してバベルの塔以前のように、同じ言語を話すことではないでしょう。それは、別々の言語をもち、文化を背負ったとしても、相手の文化の自立性を尊重し、その基底にある自文化を相対化し理解しようとする‘翻訳者意識’を取り戻すことなのではないでしょうか。
 
バベルの塔の神話はそんなことまでも示唆しているように思えます。
 
また、翻訳の本質が見えてくるこんなトピックもあります。
 
 あるテレビ番組で、日本料理の達人がルソン島に行き、現地の子供の1歳のお祝いの膳を用意するという番組を観ました。おそらく番組主催者の意図は世界遺産となった日本料理が、ガスも、電気コンロもない孤島で通用するかを面白おかしく見せようとしていたのでしょう。
 
 この日本料理の達人は自らの得意技で様々な料理を、現地の限られた食材を使い、事前に現地の人々に味みをしてもらいながら試行錯誤で料理を完成させいくというストーリーでした。そして、最後は大絶賛を得られたという番組でした。
 
 しかし、かれはその間、自ら良しとする自信作で味みをしてもらうわけですが、一様にまずいと言われてしまいます。しかし、何度も現地のひとの味覚を確認しながら、日本料理を‘翻訳’していくのでした。そこには自文化の押し付けもなければ、ひとりよがりの自信も見られません。ただ、現地のひとの味覚に合うよう、これが日本料理という既成概念を捨て、日本料理を相対化し、自らのものさしを変えていったのです。
 
世界には7,000を越える言語、更にそれをはるかに越える文化が有るなか、翻訳者が、翻訳できるとはどういうことなのでしょうか。
 
翻訳ができるということは、もともと一つだからであり、
翻訳ができるということは、自己を相対化できるからでしょう。
 
 世の中には様々な思想、信条、宗教があり、お互いを翻訳しえないと考えている方が多いのではないのではないでしょうか。
 
 しかし、誰しも翻訳者であると考えてみましょう。‘翻訳者’という役割が与えられた時点で、自らの言語、文化を相対化する必要があります。翻訳する相手の文化を尊重し、自国の文化を相対化し、相手の国の人々がわかるよう再表現をする。
 
 「翻訳とは、お互いの違いは表層的なものであり、もともとは一つであることに気づき、お互いを認め、尊重し合う行為である」と考えられるでしょう。
 
 翻訳こそ、‘鋭い感性と深い精神性’をもつ日本人(日本語を母国語とするもの)に適した役割でしょうし、‘翻訳的ものの考え方’、すなわち翻訳者意識で世界を変える、これを先導するのがバベルの使命のひとつであると確信しています。
 
 安倍首相は、トランプ大統領に日本的‘翻訳精神’を伝えられるのでしょうか。
いや、トランプ大統領にバベル翻訳専門職大学院で学んでもらうのも名案かもしれません。

第167号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第8回 
バベルグループと、どうパートナーシップを組むのか

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 本稿では、バベルの大学院を修了して、MST( Master of Science in Translation)を取得した以降、バベルグループとどう仕事をしていくか、その基本を、昨年秋にハワイで行われたALUMNIミーティングのYOUTUBE動画をご覧いただきながら説明をさせていただきます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZqtppAJg8KY
 
 もちろん、以下のアメリカの労働省のJob Outlookに表現されているように、2024年までに翻訳、通訳の仕事の伸長率は129%、575の全業種の30位前後に位置している有望な職業と言えます。従って、翻訳マーケットがある種バブル状態の現況では、バベルの大学院を卒業したあとにバベルグループとコラボして仕事をするという選択肢にこだわる必要はないわけですが、手の内の選択肢として詳述していきます。
http://www.babel.edu/news/joboutlook/
 
 修了後は以下のバベルグループの翻訳関連の事業で、翻訳者、ライター、編集者、翻訳教師として働いていただくというのが身近な進路として考えられます。
http://www.babel.co.jp/
 
 しかし、私どもとしては、いちプロフェショナルとして働いていただくだけでなく、あるプロジェクトを仕切っていただく形式で、バベルグループとのパートナーシップを組んでいただきたいとも考えています。
 
 プロジェクトマネージャーとして働く場合は、個人でも会社組織でもかまいません。
しかしその場合、プロジェクトマネージメントの技術、知識を以下の資格を取得して、修めてください。
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm_2.html
 
 この場合、前述のような様々なバベルの翻訳事業(専門別翻訳ビジネス、翻訳出版ビジネス、版権仲介ビジネス、翻訳教育ビジネス、出版創作ビジネス等々)のどこかの部門とパートナーシップを組むことになります。ある分野のプロジェクトを仕切っていただき、そこから上がった利益を一定の割合でシェアーするという方式でパートナー契約が結ばれます。
 
 さてこのように、いち翻訳者としてバベルとのパートナーシップを組むか、プロジェクトリーダーとして複数の人材を束ねて一定の成果を上げていくというプロジェクトマネジャーとしてパートナーシップを組んでいただくか、いずれにしても、以下のように、そのための必要条件と十分条件があります。
 
はじめに、必要条件ですが、これは当然のことですが
 

1. MST(Master of Science in Translation)、修士号のホールダーであること。

 
   翻訳の世界規格(ISO17100)においても
   Qualification of Translatorとして真っ先に
   翻訳のディグリーを持つこととしています。

   http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission031/
 
2.  次に、翻訳の世界規格(ISO17100)においても
  尊重されている翻訳の資格を持つことです。
 
   ここでは30年の歴史をもつ一般社団法人日本翻訳協会の
   (Japan Translation Association-JTA)
   それぞれの専門に該当する資格の取得をお薦めしています。
   受験料はバベルの大学院が支払いますので積極的にチャレンジください。

   http://www.jta-net.or.jp/index.html
 
MSTの修士号に加えて、第三者認証となるJTAの資格を取得ください。世界で翻訳者として自立するには必要です。
 
次に、バベルグループとパートナーシップを組んで仕事をする場合の十分条件をお話ししましょう。
 
それは、以下のバベルグループの使命(ミッション)とあなた自身の使命、目標とのすり合わせができているかです。
 
【バベルグループの使命】
・MISSION(使命)
智の宝庫である地球【 Global Knowledge Garden】 において、
翻訳を通じて智の共有を実現し、
人々に気づきをもたらし、
共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
 
・GOAL(目標)
そのために、
翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、
翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、
そして、
翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
 
・OBJECTIVE(施策)
そして、
これを実現するのが以下のバベルグループの各事業です。

http://www.babel.co.jp/
 
 従って、このバベルグールプの各事業をよく調べていただき、その各事業に関連した、もしくはその隙間でバベルグループとのパートナーシップを組んでもらいたいのです。
再度言いますが、それはいち翻訳者、いち編集者、いち教育者というスタンスだけでなく、あるプロジェクトを仕切っていただく、という仕事の仕方も考えてほしいのです。
 
 バベルグループは翻訳ビジネスの世界でまもなく50年、オンリーワンの翻訳総合企業体として在ります。バベルグループと連携し、翻訳を通じて‘世界を変える’そんな素晴らしい未来を共有してください。

第166号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第7回 
自分の‘売り’をつくる5年間の計画を描く

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹


さて、いよいよSTEP5、最終段階です。
 
STEP4では、Write your future resume、5年後の未来履歴書を作成しました。
 
1.5年後の自分の‘ 売り ’を明確にする。
 2.5年後に履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格を明確にする。
 3.5年後に履歴書に書くあなたの職歴を描く。
 
そして、STEP5では、この未来履歴書を現実にするための向う5年間のアクションプランを作成します。
Make your action plan.
 
 このプロセスはSTEP3で行った自分棚卸に対応するもので、棚卸して明らかになった自分のスキルマップを再編していきます。
 
 STEP3では、みなさんが翻訳でキャリア目標をお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリア目標を達成するのに必要な5つの能力、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみました。
 
以下の6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしていきました。
 
・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然柱となる言語関連のスキルです。
 また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。

・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる視点を持ち合わせているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。

・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。

・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、プロジェクトマネージメントの知識、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な知識と技術です。

・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のプロジェクトマネージメントの知識と技術、自立を目指すに欠かせません。

*参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格基礎試験」をご覧下さい。 http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html  

更に、
・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験
を積みながら磨いていきましょう。
 
 ここで更に、今一度、STEP1とSTEP2を振り返ってみましょう。なぜなら、このSTEP1と2が全ての基本だからです。
 
STEP 1. 自己発見シートの作成
    Find your own uniqueness
STEP2.キャリアビジョン作成
    Define your own success
 
 このステップで考えた‘売り’、Uniquenessと、ステップ4で考えた5年後の未来履歴書‘売り’、Uniquenessは変化していますか。変化が見られたら臆することなく書き直しましょう。
 
ここでSTEP1とSTEP2を復習してみましょう。
Find your own uniqueness, define your own success.
 
 自分の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は始まります。長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす。その方が成功への確率が高い、と考えてください。
 
 日本では得てして、右へならえの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価とするそんな傾向には流されないようにしましょう。
 
もっている個性、特性を生かし生ききることが人間としての醍醐味でしょう。
従って、STEP4で導き出した‘売り’を明確に意識しましょう。
 
それでは、いよいよ、STEP5 5年間のアクションプラニングを作成しましょう。
Make your action plan
 
ここで、大切なのは、当然ですが、自分の‘売り’を生かすために、どのコンピタンスに重点を置くかです。すなわち、長所進展法、どのコンピタンスに力点を置くか考えましょう。
 
ここで、それぞれのコンピタンスがどんな内容か改めて確認しましょう。
 
 そして、ご自身の売り、UniquenessをもとにSuccessをdefineするには、どのコンピタンスにどの程度のウエイトを置くのか、改めて考えてみましょう。
 
その上で、それぞれのコンピタンスをどう伸長させるか、1年ごとにマイルストーンを切って行きましょう。
 どんなスキル、資格を取得するのか、どんな仕事に携わるのか、具体的にしていきましょう。
 
 そして改めて申し上げますが、そのためには、その分野、スキル、資格を徹底して絞り込むことです。すなわち、自分だけのユニークなスキル、資格を獲得することです。これは、戦略的縦展開。

そのうえで周辺のスキル、資格も専門とする領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的横展開。
  すなわち、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。

この縦横のクロス戦略が重要です。
 
さて、それではSTEP5. Make your action planに進んでください。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc5.html
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 STEP 1. 自己発見シートの作成
    Find your own uniqueness
 STEP2. キャリアビジョン作成
    Define your own success
 STEP3. スキル棚卸しシート作成
    Do your own inventory
 STEP4. 5年後の未来履歴書作成
    Write your future resume
 STEP5. 5年間のアクションプラニング作成
    Make your action plan
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 
このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4,5と
順にこなしてください。今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」にチャレンジください。
 
【寄稿のお願い】
STEP5. Make your action plan にご応募いただき、その感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2,3,4を完成させてから、5の感想を2000字前後(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間1月14日(土)、原稿締切は1月20日(金)となります。
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第165号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第6回 
5年後の未来履歴書を描く

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

あたかも、そうなっているかのように5年後の履歴書を書こう!!
 

 さて、いよいよこれまでの総まとめSTEP4、5年後の未来履歴書作成
Write your future resumeです。これまで描いてきたキャリアビジョンを
 あたかも現実であるかのように描いていきます。
 

 1. 5年後のあなたの‘ 売り ’は?
 2. 5年後の履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格は?
 3. 5年後の履歴書に書くあなたの職歴は?
 
 今、この時点でこんな注意を言う必要もないのですが、念のため。
 
 日本的考え方である、目標、ゴールは今を起点に積み上げていくものという考えをまだお持ちであればこの時点でこれを払拭してください。重要なことは、SuccessをDefineする場であるキャリアビジョンはできるかぎり大きく、Vividに描き、そのうえで、そのビジョンと今との乖離を埋めていく、これが基本です。
 
 1.の ‘売り’ を描くまえに、ゴール、すなわち、キャリアビジョンが十分に ‘自分の売り’ を描くに足るほど大きく描けているかを確認しましょう。
 
 そのポイントのひとつは、前々回で説明したように、目標を描く時に、抽象の階段を上り下りしながら、その抽象度を上げ、揺るぎないゴールにしていくことです。
 
 その時の視点のひとつはTrans-personalな視点を獲得すること。これもすでにお話しているように、小さなエゴを離れ、利他的視点を獲得すること。
 
 こうして描かれたゴールは揺るぎないものと信じます。
そうして考えましょう、あなたの ‘売り’は? あなたのアピールポイントは?
これが、あなたのefficacy(自信)を裏付けてくれます。
また、その社会的価値( Social role )が確固としていれば、その対価としての報酬は必ずそれに見合うかたちでついてくると、決めましょう。
 
 また、世に言う‘引き寄せの法則’は何かが幸運を引き寄せてくるのではなく、ご自身が描くゴールが大きく、鮮明であればあるほど目の前に現れる光景が違って見えてくるということを言っているわけです。すなわち、その大きな、強烈なゴールが自分の中に鮮明に描かれてくると、これまで見ていたと同じ光景であってもそこに新しい何かが出現したかのように、すなわち、あたかもそれを引き寄せたかのように見えるだけなのです。すでに前からそこに有ったのに!!
 
2.次に、その ‘売り’ を裏付けする、資格、スキルをリストアップしましょう。
 
 その時のポイントのひとつは、これも以前申し上げたことですが、その分野、専門を徹底して絞り込むことです。すなわち、自分だけのユニークな専門分野を確立することです。これは、言わば、戦略的縦展開。そのうえで周辺の分野も専門とする領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的横展開。すなわち、翻訳を例にとれば、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。この縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入は約束されるでしょう。
 
2つめのポイントは、以下のようなLimited Beliefを解き放つことです。
・私の才能は限られている。
・私には十分な時間がない
・私は一流の翻訳者にはなれない
・一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ
・私はお金に恵まれていない。
・私は運がない人間だ
  等々
 自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
 自分に不都合に決めている自分を解放しましょう。
 
3.さて、ここまでくれば、次のキャリア履歴書は簡単かもしれません。
 
望む仕事歴を好きに書いてみましょう。
あたかも実現したかのように。
 
 さあ、こうして描いた5年後の未来履歴書を、5年後の自分が確認している姿を想像してみましょう。
その時の現実と寸分違わない履歴書が出来上がっていることに気づくでしょう。
 
そう決めましょう。
 
 ちなみに、この原理原則は個人、すなわち自然人でも、会社組織、法人でも同様です。
最後に、少し観点を変えてこんな視点をバベルグループを例にご紹介します。
 
それは、
1.MISSION   使命
2.GOAL    これを達成するためのゴール
3.OBJECTIVE そして、ゴールを実現するための具体的な施策
という考え方です、米国のバベル翻訳専門職大学院は以下のように1.2.3を掲げています。

http://www.babel.edu/mission/
 

 同様に、大学院事業を含む、42年の歴史を持つバベルグループは以下のようなMISSION、GOAL、OBJECTIVEを50年、100年に向けて掲げています。
 
バベルグループの使命
MISSION
智の宝庫である地球【 Global Knowledge Gardenにおいて、
翻訳を通じて智の共有を実現し、
人々に気づきをもたらし、
共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
GOAL
そのために、
翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、
翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、
そして、
翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
OBJECTIVE
そして、これを実現するのがバベルグループの各事業です。
http://www.babel.co.jp/

 
――――――――――――――――――――――――――――――――
【キャリアサクセス実現シート】
 
STEP 1. 自己発見シートの作成
    Find your own uniqueness
 STEP2. キャリアビジョン作成
    Define your own success
 STEP3. スキル棚卸しシート作成
    Do your own inventory
 STEP4. 5年後の未来履歴書作成
    Write your future resume  
 STEP5. 5年間のアクションプラニング作成
    Make your action plan
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 
それでは、STEP4の「5年後の未来履歴書作成」 は、以下からお願いします。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc4.html
 
このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4と
順にこなしてください。
 
今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を
試してみませんか。この未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を
決める、そんな‘不思議’な体験をするでしょう。
 
【寄稿のお願い】
Phase 4. Write your future resumeにご応募いただき、その感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2,3を完成させてから、4の感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間12月30日(金)、原稿締切は1月5日(木)となります。
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第164号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第5回 
あなたのスキルの棚卸をしよう

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 まず、My Success Career - 私のしたい仕事、キャリアビジョンを大きく描けたか、そこから確認しましょう!
 
 前回は「Define your own success」として,あなた自身のUniquenessに基づきMy Success Career - 私のしたい仕事を定義しました。みなさんはどんなキャリアビジョンを描きましたか。
 
 そこでですが、次のステップとなるスキルの棚卸しに入る前に、あなたのキャリアビジョンが十分大きなものとして描けたか見直してみましょう。
 
 そのビジョンが今のキャリアの延長線上に容易に想像つくものであれば、今一度、描き直してみましょう。年商を入れても、社会的評価を入れても、抽象表現を加えてでも、どんな形式でもよいので思いっきり大きなビジョンを描いてください。
 
 思い出してください。前回、翻訳者として自立する時に、その分野を徹底的に絞り込む必要性を説明しました。と同時に申し上げたのは、その専門を軸に、翻訳スキルの横展開をすることです。すなわち、その専門分野で翻訳をするだけでなく、講演、レクチャーができるようになる、さらにはその分野のライターとなる。もちろん、その分野の大きな翻訳プロジェクトが発生したら、そのプロジェクトマネージャーとして仕事を仕切る。さらにそれを個人起業から例えば株式会社組織へと展開していくそんな、幅と厚みを持ったキャリアを創ることを提案いたしました。
 
 あなたがあなたの限界を決めて、小さく収まってしまったら、それはキャリアビジョンとしては不十分です。あなたのLimited belief(自分の限界を自分で決める)がそのビジョンを大きく描くことを妨げていないか、再度、自身に問いかけてみてください。
 
 私の才能は限られている。
 私はお金に恵まれていない。
 私は一流の翻訳者にはなれない。
 一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ。
 私は運がない人間だ。
 私には十分な時間がない。
 等々
 
自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放してみましょう。
そして、大きな成功をイメージしてみましょう。
年齢なんて関係ありません。
 
また、周りには親、親戚をはじめ多くのDream Killerが居ます。そんなこと時間の無駄だから、自分の才能を過信するな、などなど、これらの騒音からご自身を解放してください。
 
 そして、この大きなビジョンがあってこそ、次のステップ、自分の棚卸しをする意味があります。
 
 では、あなたのスキルの棚卸しをどのようにするか、説明して行きましょう。
 
 初めに、みなさんが翻訳関連でキャリアビジョンをお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリアを創り出すに必要な能力を以下の5つ、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみましょう。これら6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしてみます。
 
・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然必要な言語関連のスキルです。
  また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。
 
・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる心を持っているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。

・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。
  そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。
 
・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な技術です。
 
・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のマネージメント技術。自立を目指すに欠かせません。
 *参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格試験」をご覧下さい。
   
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html
 
・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験を積みながら磨いていきましょう。
 
――――――――――――――――――――――――――――――――
【キャリアサクセス実現シート】
 
STEP 1.  自己発見シートの作成  Find your own uniqueness
STEP2.キャリアビジョン作成    Define your own success
STEP3.スキル棚卸しシート作成  Do your own inventory
STEP4.5年後の未来履歴書作成  Write your future resume
STEP5.5年間のアクションプラニング作成  Make your action plan
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 
さて、以上を参考に、まずはみなさんで、STEP3のスキルの棚卸しをしていきましょう。
 
その上で、現在の自分の強み、弱みを明確に自覚して、その強みを更に強め、弱みを段階的に改善していくことが必要です。しかし、以前にも申し上げましたように、長所伸展、強みを徹底的に強くする、その方が実は成功に結びつくのに近道のようです。
 
それでは、STEP3のスキルの棚卸し診断は、以下からお願いします。
https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc3.html
 
このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3と順にこなしてください。
 
今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を試してみませんか。次の関門は STEP4.( 5年後の未来履歴書作成  Write your future resume)です。未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を決する、そんな不思議な体験があなたを待っているかもしれません。
 楽しみにしてください!!
 
Today is the first day of the rest of your life.
 

【寄稿:Phase Ⅱ:Define your own success
石井ふみ
葛西優子

【寄稿のお願い】
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventoryにご応募いただき、その
感想を2000字前後(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2を完成させて、併せての感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間12月12日(月)、原稿締切は12月20日(火)となります。
http://www.babel.edu/find-your-own-uniqueness/
 

寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第163号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第4回 
Define your own success―自分のキャリアビジョンを導き出す

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 前号では「MY OWN UNIQUENESSを探る」と題して、キャリアサクセス実現シートのPhase を完成させました。今回、Phase では、そのuniquenessに、仕事の満足度の視点を加味し、肉付けしていきます。ここでは、言わばIdentityを再度考えることになります。
 
 そして、Uniqueness +Satisfaction⇒ Identityを導き出し、更に、その仕事、その キャリアのもつ意味、Missionとその仕事を後押しする外部環境、すなわちTrendを考え、その3つの視点の交わる場となる【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を求めていくことになります。
 
そこが、言わば、あなたが your own successをDefine、 定義する場となるでしょう。
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
 それでは、Phase 1でUniqueness、‘ 自分の売り ’ を絞り込んだあなたはPhase 2では、それに加え、仕事に対して何を求めるか、その満足度、Satisfactionを考えてみましょう。
お金、名誉、地位、専門性、いや私は自己実現、そんな人もいるでしょう。
 
ところで、みなさんはマズローの欲求5段階説をご存知でしょうか。
 基本的な生理的欲求から、安全(安定性)欲求、愛情(所属 / 社会的)欲求、尊敬(承認)欲求、そして自己実現欲求に至る5段階の欲求をマズローは説いています。
ところで、こんなことをご存知ですか。
 
 マズローは亡くなる間際に、欲求を5段階に分類したけれど、人間の欲求には6段階目があるのではと主張したのです。それはTrans-personal、すなわち個人の利益を越える欲求、利他の欲求が最も高度な欲求ではないかと考えたのです。
 
 さてあなたは、仕事に何を求めているのでしょう。これは必ずしもひとつということではないでしょうから、3つ挙げてその優先順位を%で考えてみましょう。
 
次に、Missionを考えてみましょう。
Social Roleと言い換えても良いのでしょう。
その仕事が、社会にどんな影響をもたらしているのか。
それを考える手がかりになるのは、前号でお伝えした、「抽象の階段を登る」方法でしょう。
その仕事、キャリアが具体的にもたらす利だけではなく、より抽象度の高いところで、その仕事の恩恵を考えてみましょう。
 
 例えば翻訳の場合、できれば翻訳それ自体より、もう一歩踏み込んでどんな分野の翻訳か、絞り込んだうえで、「抽象の階段を登る」ことにチャレンジしてみましょう。
 
 ご存知のように、Missionは日本語では使命と翻訳されます。その言葉の通り、その選択したことは自分の‘命を使う’に値することなのかを熟考してみましょう。
 
次に、Trendを考えてみましょう。
もちろん、ここでいうトレンドはfadというような一過性にものを言いません。
事象が移り変わろうとも、変わらぬ大きな潮流とも言えましょうか。
これを考えるには、Mission同様に、前に申し上げた具象から抽象への階段を登っていく必要があるかもしれません。翻訳であれば、その分野を絞り込んで考えてみましょう。
 
 細やかな流行の底流に流れる普遍的流れ。
 翻訳においてその分野を選んだのはなぜか、その底流にあるトレンドを考えてみましょう。
 
さて、以上を参考に、まずはみなさんで、この3つの視点の交点となる
【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を描いてみましょう。
 
Phase2の診断に進むには、以下のPhase1の記入を終えてから、次に進んでください。
するとページはPhase2に移ります。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html
 
Phase の解答が未だの方は、今からでも始めてください。
 
 このキャリアサクセス実現シートによるキャリア形成は、ここまでのPhase1とPhase が基本となります。従って、このPhase1,2は、一旦すべてを中断してでも、真剣に取り組んでもらいたいステップです。
 

【寄稿:Find your own uniqueness―自分さがしの試み

石井ふみ
葛西優子
伊東小百合


【寄稿のお願い】
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own successにご応募いただき、その
感想を2000字前後(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2を完成させて、併せての感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間11月28日(月)、原稿締切は12月5日(月)となります。

http://www.babel.edu/find-your-own-uniqueness/
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第162号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
翻訳で何をしたいか 第3回 
Find your own uniqueness―自分さがしの試み

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 さてこれから、ご一緒にご自身のキャリアサクセス実現シートを作成して行きましょう。
そのプロセスは以下の5つのステップより成ります。
 
 今回はその第1ステップです。


キャリアサクセス実現シート

Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
皆さんはすでに、以下のフレーズをご存知でしょうか。
Find your own uniqueness, define your own success.
米国の教育理念の基本コンセプトを表す言葉です。
 
個々人の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は決まります。
 
 長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われますが、これも同根の考え方です。
 
 更に言えば、have to からwant to 、何々しなければならないからするのではなく、そうしたいからそうする、という発想です。
 
 日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価をするそんな傾向には流されないようにしましょう。
 
生まれながらに持った固有の特性を活かし生ききることが人間としての生きがいでしょう。
 
 
「ジョハリの窓」でご存知のように
・自分も他人も知っている自分
・自分は知っているが他人が知らない自分
・他人は知っているが自分は知らない自分
・自分も他人も知らない自分

 なかでも、他人は知っているが自分は知らない自分に驚かされることもあるかもしれません。身近な人にでもいいので聞いてみましょう。
また、この診断を詰めていくと、やがて、自分も他人も知らない自分があぶりだせるかもしれません。
 
 どんな仕事を自分の天職と考え、選ぶのか、これも自分のuniquenessを徹底的に追求することから出会うのかもしれません。
 
いや、逆に、偶然、たまたま天職に出会った、それが意外と真実かもしれません。
 
 日経新聞に「私の履歴書」というコラムがあることはご存知の方も多いかもしれません。日本が誇るべき人物にその履歴を語っていただく記事です。皆様はこの記事の中で最も多く使われるフレーズをご存知でしょうか。それは、「たまたま」、「偶然」といった表現だそうです。このフレーズは深読みすれば「必然的に」と読み替えることができるでしょう。
世の中を動かしている真実は’たまたま’を’必然’に読み替える仕組みかもしれません。
 
たまたま’翻訳’というキーワードに遭遇するとします。
 
 そうしたら、次には、‘翻訳’とは何かを深く読み込み、なぜ翻訳をしたいのか、これを徹底的に追求して、どんどん抽象化していきましょう。そこで突き当たる何かが、あなたの使命かもしれません。
 
以下のSTEP1 自己発見シートで、ゼロベースでご自身を振り返って見ましょう。
STEP1. シート 
 
これを終えたら、STEP2. Define your own success ご自身のキャリアビジョンを描くことに移ります。
 
この2つのステップがこのキャリアサクセス実現シートの核となるプロセスです。
 
なお、次のSTEP2は、次号で解説をいたしますので、解答はお待ちください。
全てステップを終え、全てを書き終えたところで、改めて自己評価を試みましょう。
 
 最後に、今さら、キャリアデザインなんて、と年齢を気にしている人がいたら、こんなことばをお送りしましょう。
Today is the first day of the rest of my life.
物事をはじめるのに、早い、遅いはないはずです。         
 
【寄稿のお願い】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness にご応募いただき、その
感想を2000字前後でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは11月15日、原稿締切は11月20日となります。

http://www.babel.edu/find-your-own-uniqueness/
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第161号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
翻訳で何をしたいか

第2回 「抽象のはしごを自在に上り下りし、どこに至る」

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 先回は翻訳者としてのEfficacyを高める重要性を力説しました。そうは言っても、という方も多いかとは思いますが。ここは、一度過去をふり切って思い切って演じてみましょう。
 
 Efficacy、それは能力の自己評価、これを高く設定したうえで、次回以降の以下のMy Domain( My Success Career) 設定のためのワークをしたいと思います。
 

 


【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
では、そのEfficacyをどう高めるか、以下の視点で考えて見ましょう。
 
 Efficacyを高める、自己の自己評価をどう高めるか、自己の目標を高いところでどう合理化するか、いまの自分にどう自信をつけるか。
 
みなさんは「抽象のはしご」をご存知ですか。
 
 抽象のはしごを上がるとは、例えば、動物の犬という概念を例にとるなら、パピオン→洋犬→犬→哺乳類→動物→生物→生命という具合に抽象度を上げていくことを言います。逆に、抽象のはしごを降りるにはその逆をたどればよいことになります。
 
 としてみると、一般的には、文化、文明度が高い人ほど、抽象のはしごの上り下りが自由にできる、すなわち、抽象―具象思考ができると言えるでしょう。
 
これを、こうした概念操作から、行動に視点を当ててみましょう。
 
 例えば、日常生活を振り返って見ましょう。お掃除をする、料理をする、食事をする、テレビを観る、すべて具体化された‘こと’のエンドレスの連続です。
 
 では仕事ではどうでしょう。計算を入れる、メールを書く、書類を作る、会議をする、これもそんな具体的行為の連続です。
 
 しかし、我々はこうした具体的行為に忙殺され、それが生活すること、それが働くこと、と考えてしまうと、つい、どう生きるか、なんのために働くのかを看過してしまいがちです。
  
 そこで一度、とどまって、抽象のはしごを上がってみましょう。なんのためにお掃除をし、料理をし、食事をし、テレビを観ているのでしょう。また、なんのためにメールを書き、書類を作り、計算を入れている、会議をしているのか、はしごを上がって俯瞰してみましょう。
すると、それらの意味が蘇生し、自分に主体性を取り戻せ、生きているという実感、働くことの意味を実感できるように なるかもしれません。
 
 さらに、皆さんが翻訳の勉強をしている場を考えて見ましょう。原書を読む、訳文を作る、それを提出する、指導を受ける、それを復習する、等々、これも一旦、中断しその抽象のはしごをのぼり、なんのために翻訳学習をしているのか、思いを巡らせて見ましょう。
 
 それは、単に私は絵本の翻訳家になるため、ミステリーの翻訳家になるため、リーガル翻訳者になるため、という抽象化にとどまらず、その更に先の抽象化を考えてみてください。
なんのための翻訳、そもそも翻訳って何、そんな抽象思考を試みるとあらたな気づきに出会えるかもしれません。
 
 もちろん、抽象世界にとどまっていては先に進みません。具体化と抽象化を行き来することで、事象が俯瞰でき、目標により深みが加わり、目標がしっくり自分のものになり、それが、ひいてはEfficacyが高まることになると言えるのではないでしょうか。
 
 翻って、特化型AIから汎用型AIに移行する2030年前後は第4次産業革命と言われるように、ビジネスは新しいパラダイムの時代にはいると言われています。翻訳においても当然、AIを活用した人間主体の考え方、働き方が求められて来るでしょう。
 
 すなわち、‘翻訳で何をする’、翻訳の先に何を想い、翻訳で何を実現しようとするか、です。受け身的に翻訳の仕事を受けるだけでなく、自ら使命とする翻訳のプロジェクトを提案するなど、マイドメインに沿ったオンリーワンの翻訳情報ビジネスを立ち上げてほしいと思います。
 
 汎用型AIが言語の壁を越え発展しようと、それにより自動通訳、自動翻訳の技術が一定程度の成果を上げてきても、‘翻訳で何をするか’、翻訳でどんな課題を設定し、翻訳の原理である‘智の共有’をどの領域で実現し、そこからどんな社会効用を生み出すのか、これこそ人間でなければなしえないことでしょう。
 
 翻訳者たちがそれぞれの使命に目覚め、その課題を発見し、これを翻訳情報ビジネスに発展させ、以って社会貢献する。そして、そのこと自体を人生の楽しみとする、今やそんな翻訳環境を創造していくステージに入ってきたと確信します。
 
ここが抽象と具象の行き来から到達する次のステージかもしれません。

第160号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
翻訳で何をしたいか

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 最近、大学院生、アラムナイの方々とキャリアカウンセリングをする機会が多くなりました。その際気づくのは、自身の目標が初心からずれはじめ、学習が前に進まず滞っている場合が多いことです。長い人生、長い学びの過程で‘ぶれる’ことは当然かと思いますが、なかなかそのぶれが修復できない方もいらっしゃるようです。かく言う私も常に‘ぶれ’を修正しながら生きていると言うのが真実ですが。
 
今回から8回にわたって、Find your own uniqueness, define your own success.を念頭に
成功するキャリアの創り方を連載していこうと考えています。このテーマは1年前に連載してきたものですが、最近の新しい視点も織り交ぜながら皆さんとともに考えていきたいと思います。この連載の核となる【Find your own uniqueness, define your own success career診断】は、ご自身で体験することが必要だと思います。
 
第1回 「翻訳のプロとして‘MY DOMAIN’を創る 翻訳者としてのエフィカシーをどう高めるか」 
 
 翻訳者としてのエフィカシーをどう高めるか初心にかえり、暫しを自分を再発見するための仕込みの期間と考えて、ご一緒に‘MY DOMAIN’ をつくることにチャレンジしませんか。
 
これが【Find your own uniqueness, define your own success career診断】です。
 
 この詳細は、次回以降にご紹介しますので、ここでは簡単にご説明しておきます。以下の5つのワークシートを使って、あなた自身のキャリアの成功領域‘MY DOMAIN’を創っていきます。ワークシートは次の5種です。
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
今回は、その‘MY DOMAIN’ づくりのワークに入る前の準備のお話しです。
 
 それは、まず、「なぜあなたは翻訳という仕事を選んだのか」という問いから始まります。‘MY DOMAIN’ づくりの前提として、ご自分の翻訳ビジネスへ向かう動機を、今一度、考えてみましょう。そこで考えていただきたいのが‘翻訳者としてのエフィカシー’ということです。
 
あなたはエフィカシー(efficacy)ということばを聞いたことがあるでしょうか。
 
 コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、能力の自己評価のこと。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。
 
 あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。
翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。
 
 翻訳では大金は稼げないと、半ばあきらめ、達観していませんでしょうか。お金を稼ぐことだけが目的なら、職業を変えれば良い訳で、それは安易に翻訳という職業を選んだ結果だ、とも言えるのではないでしょうか。
 
 ただし、この点に限って言えば、翻訳でも十分お金は稼げます。翻訳出版で何億円もの印税収入が得られた例もご存知ですね。でも、そんな上手い話は少ないと思う方は、ビジネス翻訳で戦略的に専門分野のキャリアを創れば、コンスタントに収入が得られます。
 
 お金でお金を稼ぐ投資家のような商売であっても、上手くいく人もいれば、失敗する人もいます。何が成功と、失敗を分けるのでしょうか?
 
 では、翻訳ビジネスではどうすれば、望む収入を得られるようになるのでしょうか? それには、2つの方法があります。この詳細は、これ以降、ワークシートに沿って説明しますが、ここでは簡単に説明しましょう。
 
 そのひとつは、翻訳の分野、専門を徹底して絞り込むこと。自分だけの専門分野を確立することです。そのうえで周辺の翻訳分野もその対応領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的縦展開。
 
そして、2つめはその翻訳ジャンルを戦略的に横展開すること。
 
 すなわち、その特化した分野での翻訳業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、リサーチ(レポートを書く)等、翻訳の専門分野に基づく領域を横に広げていくことです。
 
 翻訳という職業でお金を稼ぐことを考えるうえでは、この様な縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入につながります。
 
 話をもとに戻しましょう。ここで改めて自らを省みる意味で、翻訳者としての、あるいは翻訳ビジネスに就くものとしてのエフィカシー(efficacy)を考えてみましょう。
 
 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)、高い自己評価をあなたは持っていますか、自信はありますか?それができないから、こうして悩んでいる・・・・。そんな声が聞こえてきそうですね。
 
 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)をどう高めるか、それは、あなたのドメインを作る上で欠かせないもので、翻訳のもつ本質的な意味を考えることに等しいと思います。
 
 あなたは翻訳者をめざし、翻訳業に携わり、翻訳をどうとらえて、翻訳にどんな生きがい、やりがいを感じていますか。
 
 ふと出会った、ある国のある書籍の翻訳書から、人生を変えるヒントをもらい、そこから人生の景色は一変したという方もいらっしゃるでしょう。
 
 また、ある国、ある地域の人々が行っていたその土地固有の社会習慣を字幕翻訳付きビデオで見て、自分の国、地域社会を動かすひとつの仕組みとして利用できると気づいて、これをきっかけに社会起業家として自立したという方も知っています。
 
 そのように、翻訳という行為は、世界の‘智’の共有を実現し、新たな気づきを誘発するのに重要な役割を果たしています。
 
 このように、翻訳者の世界的、宇宙的役割に目を向ける時、翻訳に携わるものとして、そのefficacy(自己評価)が一変するように信じます。
 
 世の中には、お金を稼ぐだけなら、翻訳者より稼げる職業は山とあるでしょう。
しかし、皆さんが、そして、BABELグループが翻訳という仕事を選んだ理由、その意味を今一度、自らに深く問いかけてみたいと思います。
 
 バベルが、42年に亘り、バベル翻訳専門職大学院、バベルプレス、ブックス&ライツマーケットプレイス、翻訳者派遣・紹介業、翻訳サービス等の事業を行い、今、『The library for Professional Translators』、そしてその発展としての『地球図書館(Babel Library)』創りを進めようとしているのは、まさにバベルの使命と信じる翻訳のもつ地球的、宇宙的意義に気づいたからです。
 
 皆さんも、この機会に‘私は、今、なぜ翻訳なのか’を改めて自らに問いかけてみてはいかがでしょうか。そこから再出発するのも回り道とはならないでしょう。
 
 では、次回から、5つのワークシートの作成方法を解説していきます。それまでに、あなたのドメイン(あなた固有の専門領域)について思いを巡らし、あなた自身の エフィカシーを意識してみましょう。

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