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第186号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

スーパーコンピューティングが壮大な新世界の扉を開く

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹



 
「エクサスケールの衝撃―次世代スーパーコンピュータが壮大な新世界の扉を開く」、これは斎藤元章氏の著書のタイトル(PHP研究所刊)です。斎藤さんは2015年、世界スパコンランキング「Green 500」で世界の一位から三位を独占して、「日本イノベーター大賞」を受賞された方です。

 ここでの話は600ページ弱にも及ぶ本の目次をお見せするとその概要がつかめると思いますので、やや安易かとも思いますが、以下に記します。

 しかし、私がここでこの話題を取り上げたのは、日本の、いや世界のトップのスーパーコンピューティングの技術者が最終章で取り上げている内容なのです。

序章  人類の未来を変える可能性を秘めた半導体
第1章 急速に近づく「前特異点(プレ・シンギュラリティ―・ポイント)」
  第1項 我々は、歴史上、最も数奇なタイミングに生を受けている
  第2項 レイ・カーツワイル氏が提唱する「特異点」と「6つの進化段階」
  第3項 特異点到来の前に、「前特異点」が目前に迫っている
第2章 「エクサスケール・コンピューティング」によってすべてが変わる
  第1項 ポスト「京」の開発が始動
  第2項 すべての先進国が総力を挙げて開発を進める次世代スパコン
  第3項 民間でも次世代スパコンを開発すべき理由
第3章 まずエネルギーがフリーになる
  第1項 原発を止めつづけることは可能か
  第2項 発電効率を大きく改善する技術
  第3項 進む新エネルギーの研究開発
第4章 生活のために働く必要のない社会の出現
  第1項 「衣」「食」「住」がフリーになる
  第2項 「お金」から解放される
  第3項 すべての個人が、あらゆる可能性を追求できる新しい社会
第5章 人類が「不老」を得る日
  第1項 まったく新しい医療のかたち
  第2項 肉体と技術は融合を開始する
  第3項 奇蹟的なタイミングで生まれた女神
第6章 新しい価値観が生まれる
終章  我々日本人が次世代スーパーコンピュータを開発する

 目次でもお分かりのように、エネルギーがフリーになり、食べ物が豊富に手に入り、働く必要のない社会の出現、人類が病気から解放され、不老を得る日(これは逆に残酷?)も近いという、まるで夢物語のような世界が、スパコンにより、今より15年、20年というタイムスパンで可能になるということです。

 斎藤氏は彼の豊富な海外生活の中での経験談として、米国サンフランシスコ在住のある芸術家の老夫婦のこんな会話を引用しています。

「日本語の響きは、自分たちの知るかぎりの数十もの言語の中でも、最も美しく、特段穏やかで、平和的で、何を話しているかは理解できないのだけれど、まるで静かに感情を抑えながら、軽やかに歌っているようだ」

「最初は、他の言語に比べて、母音がとても多いのがその一因だとも考えたものだ。でも、それだけが理由でないことはすぐわかった」、

「特に欧州の言語は、日本語に比べると、せわしなく、時にうるさく、感情がそのまま乗り移っていて、心が休まらない場合が多いのだが、日本語の美しい響きと流れるようにスムースな調べを聞いていると、心地よく、安静な精神状態を保つことができる。そこには、神々しささえ感じられる。世界のすべての言語が滅んでしまうことがあったとしても、あなたたちの国の言葉だけはのこってもらいたい」、
とまで言われたそうです。

 そこまで言うか、とは思いますが、言語学者、慶應義塾大学名誉教授の鈴木孝夫氏が言うタタミゼ効果、すなわち日本語を使うと人間が温和になる、包容力が増すというのは海外の日本語学習者の多くが同意していること、これは先ほどの話と相通じることなのかもしれません。

 こうした言語を持つ日本人を評して斎藤氏はこう言います、

「スーパーコンピュータの圧倒的な性能を正しい方向に使用するための道徳観念を持ち合わせていて、潤沢な成果をえたとしても平常心を維持できるのと同時に、利他の精神によって他国にそれらを無限に分け与えるだけの度量も有している我々日本人こそが、次世代スーパーコンピュータの積極的開発で世界を牽引するだろう。そしてその成果をまずは日本においてかたちにし、その次には、その恩恵を世界中のあらゆる国々に遍く行き渡らせることが必要であると考えています」と。

「加えて我々日本人には、欧米列強に追い込まれたうえでのやむにやまれぬ状況があったからだとしても、先の侵略戦争における諸外国への本当の意味での補償を完遂するという、重大な使命が残っている」、

「我が国のみならず、世界中の人々に平和と調和がもたらさし、そして世界全体が瑞穂の国となることを希求する国民性を、約2,700年という非常に長い期間をかけて醸成してきている。これらの要件のすべてが、新しい世界を創出するために求められているのだとすれば、そのすべてを備えた、おそらく唯一の国が、我々が生まれ育まれたこの国、日本であろう 」

 そして彼はこう結んでいる。「我々日本人こそが次世代スーパーコンピュータを開発し、新世界を創出しなければならない」と。

*本の引用箇所は分かりやすさのため一部、前後の箇所からの言葉を加えてあります。

 

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第185号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

バイリンガルマネージメントの時代へ

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 最近はオールイングリッシュ、オールイングリッシュと各界で喧しいのですが、
小学校からの英語教育、大学の講義の英語化、企業の英語公用語化などが典型ですが、これはいささかグローバリズムに侵された観が否めません。英語特区などという冗談まで政府筋から聞こえてくる始末です。英語特区、すなわち、ある地域では公共サービスを含めてすべて英語で行うという治外法権(?)特区です。

では今回は、改めて企業のグローバル化に視点をあてて、考えてみたいと思います。

以下の資料が、バベルで2010年に刊行した雑誌『バイリンガルマネージメントマニュアル』です。

 ここでは企業のグローバル化、その進化過程(進化なのか退化なのか、疑問を呈するのも必要でしょうが)をたどり、それぞれの過程でなにが要求されるのかを理論と実践で考えてもらいました。
 
企業のグローバル化の4つの進化ステージ
1.Domestic Stage
2.International Stage
3.Multinational Stage
4.Globally Integrated Stage
 
 一般的に企業は、国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタートし、第2ステージでは、「海外で作る・海外で売る」、すなわち、本社にすべての機能が集約され、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当するステージへと移ります。
そして、第3ステージでは「海外への権限委譲」が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立されることになります。
そして、第4、最終ステージでは、「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。
 
 企業内のビジネスコミュニケーションの英語化に関して、ここではバイリンガルコミュニケーション化ととらえ、決して、とある企業のように英語公用語化(オールイングリッシュ)とは間違っても考えたくないと思います。もっとも、これらの企業は英語公用語化を喧伝している一方、日本語と英語のバイリンガルマネージメントを実践しているというのが実態であるようです。なかにはトライリンガル、マルチリンガルへと発展していく場合もあるかと思いますが。

 翻って、オールイングリッシュの状況を見てみますと、国レベルに置き換えるとわかるのですが、高等教育も含め英語を公用語にした国は、結局、英米属国、もしくは2流国に堕してしまうのが落ちなわけです。国名を挙げると問題もあろうかと思いますのでここでは控えますが、アジアのいくつかの国はこのような方向をとったがゆえに、英米に追従する国、文化の根っこを持たない国となってしまいます。

その点、日本人は過去に学び、襟を正して今の状況を直視する必要があるのではないでしょうか。

 日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。

 高等教育が日本語で行えるアジアの中でも稀有な国、日本。理工系のノーベル賞はアジアの他の国々を圧倒し、欧米に匹敵する数を獲得している日本。いったい、これは何を意味するのでしょうか。

 日本語、日本の文化、日本人の知的インフラの潜在力を物語っているのではないでしょうか。その日本語と英語のバイリンガルで企業内コミュニケーションを考えるこれが他との競争力を高める方法と考えます。別の言い方をすれば肯定的な‘非関税障壁’にもなりうると思います。

 誤解を生まないように言いますと、企業人にとって英語の習得が不要とは決して言っていません。これはもっと熱心に、‘正しい’方法ですべきと考えています。その方法はここでは言及しませんが。本誌で近いうちにこの連載を開始いたします。

 話を本題に戻しますと、これからの日本企業は英語化して英米圏の企業になるなら別ですが、日本に根差してビジネスをするのであれば、先人の教えに則った方法としての‘翻訳’をしっかり堅持して、バイリンガルマネージメントを心掛けるべきと考えます。

 7年前に刊行された雑誌『バイリンガルマネージメントマニュアル』ですが、基本的な考えはいまでも十二分に通用するものと考えます。というより、グローバリズムの軌道修正と共に現実がこの考えについてきたと言った方が正しいいとすら思います。

 バベルグループは、米国の企業であるバベルコーポレーションも一体となって、翻訳から、ドキュメンテーション、通訳、外国語・異文化対応研修までバイリンガルマネージメント、マルチリンガルマネージメントを推進、サポートする企業体として今後も在りたいと考えます。

 

第184号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

母親のためのバイリンガル絵本読み聴かせの会

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹


 

 2018年春、『母親のためのバイリンガル絵本読み聴かせの会』を発足します。

 小学校での英語教育の導入をはじめ、世界に遅れまいと必死な日本、これに呼応するように幼児の英語教育熱が沸騰。しかし、ここでいったん立ち止まり、言語教育を本質から考えていかないと、オールイングリッシュに子供まで踊らされることが危惧されます。

 就学前の児童の言語教育こそ、英語と日本語をバランスよく、比較言語的アプローチで母語の日本語力とそれによって培われる感性も大事にしながら進めたいと思います。

 学生時代に英語が苦手な母親ほど子供の英語教育に投資をしているというデータがあります。英語塾任せでは情けない。やはり、母親自ら生活(読み聴かせ)の中でともに学ぶ姿勢を身に着けたいものです。

 英語が苦手だった母親が子供とともに英語好きになっていく、そんなトレンドを創りあげたいと考えます。この会の発足の趣旨はここにあります。

 日本人の感性を伝えられる絵本を、母親が直接、日本語と英語で読み聞かせることにより、健全なバイリンガルを育てます。従って、本会では子供と母親に絵本バイリンガル教育の独自のノウハウを提供するに加え、母親に英語の正しい発音の仕方、英語の学び方、親子で楽しめる英語習得法、親子のハワイ短期研修など、母親のためのバイリンガル子育ての方法と機会を提供します。

 バベルのネットワーク上にいる世界中のバイリンガル子育て経験者にも経験談を聴かせていただこうと考えています。

 そして、やがては、そうした母親が自分の子供に自分が翻訳した絵本で読み聞かせをすることができれば素晴らしいと考えます。

 そのために、バベルプレスでは、日本を含む世界中の素晴らしい絵本をマルチリンガルに翻訳して皆様で提供するのみならず、絵本読み聴かせに関わる様々な場を提供していきたいと考えています。来年の会の発足を楽しみにしてください。

●『母親のためのバイリンガル絵本読み聴かせの会』発足の記念イベント
 1118日(土)15:00 in Honolulu(日本時間同日10:00

 http://www.webbookfair.com/bry.html
*世界中どこからでもオンラインで参加できます。

母親のための
絵本バイリンガル読み聴かせの会(‘18年スタート)  記念講演会 in Honolulu  
                      
テーマ 『絵本読み聴かせを正しい発音でする方法―日本語と英語を対比して』
   こんな方におすすめします
     ・こどもに健全なバイリンガルになってほしいと考えている就学前児童(6歳以下)をお持ちのお母さん
     ・正しい英語の発音で自信をもって英語絵本の読み聞かせをしたいと考えているお母さん
     ・英語だけでなく、日本語でも均等に読み聴かせをし、日本語力と英語力をバランスよく伸ばしたいと考えているお母さん
     ・子供に飽きさせずに読み聴かせに集中させる学びの技術を身につけたいお母さん
     ・読み聴かせから、子供とバイリンガルでコミュニケーションがとれるようになりたいお母さん
     ・やがてはこどもに自ら翻訳した絵本で読み聴かせをしたいお母さん

【演者】藤澤 慶已:音楽博士(University of Southern Mississippi)、言語学博士(University Of Tennessee, Knoxville )。比較言語学、音声学の観点から日本人が実用的に英語で『聞く、話す、読む、書く』コツをつかむための勉強法FSTMを開発。著書に『藤澤博士の英語セラピー』、『すぐに話せるしゃべれる1行英作文』等多数

日時 :ホノルル時間 1118日(土)15:00 – 17:00 (日本時間 同日 10:00 – 12:00
       *世界中どこからでもオンライン(ZOOM)で参加できます。
会場 :コンファレンスルーム1F(BABEL CORP. 1833 Kalakaua Avenue 208 PBN Bldg, Honolulu
参加料:無料ご招待
定員:ホノルル会場20名、オンライン(ZOOM)30
主催:BABEL PRESSBABEL UNIVERSITY USA 
*当日、会場へのお子様連れの参加はご遠慮ください。
⇒お申込みは以下より
 http://www.webbookfair.com/bry.html


第183号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

再び、自信をもって日本を発信しよう!!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 グローバリズムが疲弊してネオナショナリズムが芽生えてきているというのが世界の大きな潮目であることは、私も含めやや自閉的な日本人も気づき始めているようです。
 

 15周年を迎えるバベルの米国翻訳大学院はその院生の90%以上が母語を日本語とする

日本語話者でもあります。しかし、住む地は世界20か国以上、日本語以外の言語でたくましく生きている方々です。他は母語を日本語以外の言語とする、主として英語で育った方々です。
 

 冒頭でネオナショナリズムという言い方をしましたが、別の言い方をすると多文化共生主義、どの文明が、どの文化が、価値が上、下という序列をつける時代からの脱却が進んでいると言えます。
 

 そもそも、西欧人がかつて、キリスト教文明圏、イスラム教文明圏、東洋文明圏と分けていたところを、歴史家トインビーが、7つの文明圏に分け直していることはご承知でしょう。西欧キリスト教文明圏、ロシア正教文明圏、イスラム文明圏、ヒンズー文明圏、シナ文明圏、中南米ラテン・アメリカ文明圏、そして日本文明圏。
 

 私の愛読書(「The Japanese Today― Change and Continuity」)の著者、元駐日大使、元ハーバード大学名誉教授のエドウイン・ライシャワ氏ーも同様に日本の独自性を主張していましたし、源氏物語の英訳者、アーサー・ウエイリー氏もオックスフォード出版より刊行した「日本文明の独創性」という書籍で、日本は一国だけで独自の文化圏をなす存在であると主張しています。


 以下、これまでもこの稿で触れてきました日本文化、日本語の誇るべき独自性を列挙してみます。

6,7世紀ころから中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で 受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げできた融通無碍な日本語文化。


 世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語の内、50音の母音を中心に整然と組み立てられ、・平仮名、片仮名、アルファベット、漢数字、ローマ数字等多様な表現形式を持つ言語、日本語。


 50万語という世界一豊かな語彙をもつ日本語。英語は外来語の多くを含んでの50万語、ドイツ語35万語、仏語10万語。まさに、言霊の幸はふ国日本。

古事記、日本書紀、万葉集など、1,000年前文献でもさほど苦労なく読める日本語文化。


 一方、英米では1,000年前の文献は古代ギリシア語、ヘブライ語が読めなければ一般の人は読めません。

脳科学者角田忠信が指摘しているように、西欧人は子音を左脳、母音を機械音、雑音と同じ右脳で処理、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音をノイズとして右脳で受けている。対して、子音、母音、さらには小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音までも言語脳の左脳で受け止める日本人。同種の脳の構造を持つのはポリネシア人のみと言われています。そこから導かれるのか、擬音語、擬声語の宝庫となっている日本語作品、そして万物に神の声を聴く日本人。


 ユーラシア大陸の東端で、儒教、仏教、道教、禅、神道という思想哲学を発酵させ独自なものにした‘たまり文化’の地、日本。全てに神を感じ取り、清く明るい志を持ち、見えないものを見、‘全ては自分のなかにある’と内省する日本人。

 

武人としての立場を超えて文化、道義、道理を重んじ神仏を尊ぶ武士道精神。武人でありながら世の中の平和と安定に身命を賭す‘もののふ’の力は現代の日本人にも受け継がれていると信じます。


 これは言わずもがなですが、神話時代から2,000年、連綿と続く皇室が存在するという唯一無二の国体を有する日本。


 今こそ、戦後の自虐史観で侵されている日本人も自信を取り戻して、グローバリズムに流されることなく、日本を発信する努力を加速させたいものです。


 バベルも大学院の講師、修了生、現役生のお力もお借りして、日本を世界に発信する活動により一層力を注いでいきたいと考えます。


そこで紹介いたします。こんな英訳作品がバベルより先週刊行されました。



田口佳史著『清く美しい流れ』の英訳版 The Pure and Beautiful Stream 

https://goo.gl/nkowXs

田口氏はこれまで約2,000社以上の国際派企業のビジネスコンサルタントを務める一方、老荘思想の泰斗として中国でも忘れ去られた老荘思想の本義を50年に渡り講じ続けています。

 

渥美育子著『「世界で戦える」人材の条件  』の英訳版Developing Global Talent

https://goo.gl/VrfyPz

グローバル教育は単なる英語化教育でなない、自文化を相対化する(他の文化コードの国との対照で)ための教育と主張される渥美氏。海外での豊富な異文化研修の実績をもとに、文化を抜きにしたオールイングリッシュ政策に流れつつある日本の浅薄な英語教育とは一線を画すグローバル教育を各界に普及しています。渥美氏の言うグローバル教育は「誇るべき日本文化を相対化でき、世界で活躍できるマインドセットを持った日本人を育てる教育」と言えます。

 

BABEL UNIVERSITYでは、こうした日本文化、日本の良書を英語で翻訳、発信するための翻訳講座を用意しています。

・出版翻訳日英文法コース 基礎篇

・出版翻訳日英文法コース 表現篇

http://www.babel-edu.jp/program/31101jebasic/


・Plain Englishコース (80 Rules of Plain Written English)

http://www.babel-edu.jp/program/31011.html

 

第182号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳キャリアデザインを共に創る
                            バベル翻訳専門職大学院

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 今回はバベルの翻訳大学院に入学しようと考えている方から、すでに入学している方々を対象に、これからバベルの翻訳教育システムが皆様に何を提供できるか、生涯翻訳キャリアデザインという観点でお話ししたいと考えます。

 以下、お話しすることは現院生の方々、アラムナイでバベルグループのパートナーとしてすでにお仕事をしている方々にもお話ししてきたことではあります。

 しかし、この秋にスタートするバベルキャリアデザインセンター、バベル翻訳専門職大学院の秋からの新しいコース(プロジェクトコース)、提携している一般社団日本翻訳協会の翻訳者のための資格、認証の充実等を踏まえて、皆様の素晴らしい翻訳キャリアづくりを共にどう進めていくのか、考えていきたいと考えます。

 人生120年時代、皆様の生涯キャリアには様々な可能性を見出せると思います。自分を信じて、意欲ある翻訳キャリア創りへのチャレンジを期待しています。

さて、バベルの大学院ではどのような手順で翻訳キャリアづくりを提案するのか、その基本を確認します。

STEP1
 入学、翻訳学習開始時には、以下の'翻訳キャリアサクセス実現診断'を参考に、なぜ、翻訳キャリアなのかを過去にさかのぼって総点検、再構築をしてみましょう。その核の部分はSTEP4の5年後の履歴書、キャリアプラン創りです。
http://www.babel.edu/category/find-your-own-uniqueness/

STEP2
 皆さんは入学とともにMSTプロフェショナルバンクに登録いただきます。
そのフォームのイメージは以下の通りです。
https://reg26.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=lgp-ldthr-6cfa330cfeeb86562c4d07d2194c3c65

この登録項目が皆様の作り上げるべきポートフォリオとお考えください。
MSTプロフェショナルバンクは、修了後、バベルのパートナーとして仕事をするしないに関わらず必須の登録手続きと考えてください。

STEP3
 STEP1と2で具体化した目標を目指して皆様は学習をしてくことになります、既存のコースワークにとどまることなく、今後、ご案内するプロジェクトコース、短期のセミナー、研修会等を十分活用して目標キャリアデザインの具体化に努めましょう。

STEP4
 そのうえで、提携機関の一般社団日本翻訳協会の提供するプロ翻訳者に必要な様々な検定のうち、ご自身の専門としたい検定にチャレンジください。日本翻訳協会のページには日本翻訳協会は実施していませんがプロ翻訳者になるために推奨している検定、講座情報も提供されています。
http://www.jta-net.or.jp/index.html

 これらの検定を取得することが、キャリアデザインを実現するための試金石となると思います。皆様がパートナーとしてバベルグループで仕事をしたい場合は、これらの検定取得が必須とお考え下さい。

 以上、翻訳を志した以上、社会を変革するような意気込みで、プロ翻訳者を目指してください。ともに、翻訳を通じて日本の'一隅'を変革する活動ができればうれしく思います。

第181号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

反グローバリズムという時代の大転換期
       -方法翻訳に学ぶ国体を守る方法

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 世界がグローバル化で疲弊している状況は皆様も様々なニュースでご承知でしょう。
 

 ウォール街に代表される金融資本家に踊らされて、人、モノ、金の自由化に踊らされた結果、国体を破壊され今の悲惨な状況となった各国。
 

 賢明なイギリスは昨年6月にEU離脱を表明、イギリスを取り戻すという方向へ舵を切った。思い起こすと、同様に移民人口比率が15%内外のフランスのサルコジ大統領もその在職期間中にフランスとは何か、フランスを取り戻す運動をしていたのは記憶に新しいところだ。


 米国の製造業は、メキシコからの数百万人の移民流入でその賃金は70年前の水準から変わ
っていないと言う。
 

 国が破綻する、国民一人当たりの借金が800万円というフェイクニュースを流し(理論的に不可能)、緊縮財政のもと公共インフラを民間移行へと仕向け、その国の基幹産業までも自らの手にと企み、淡々と実行している金融資本家。
 

 日本は地理的優位もあり、移民人口比率が15%内外の、米国、イギリス、フランス等に比べれば1.7%という10分の1程度の移民人口比率。今は、移民流入が一定程度に収まっているとは言うが、農業移民、介護移民と移民受け入れに政府は動き始めている。AI等を有効に活用するという方向での努力もきちんとしないまま。
 

 とは言え、日本は他の先進国に比べれば、対内直接投資は対GDP比5%以下、欧米先進国の20%内外に比べると極めて低い。また、移民比率がまだ1%代とすれば、今であれば、反グローバル政策をとるのは手遅れとは言えないのかもしれない。
 

しかし、日本人の正義感から気になることがある。
 

 グローバリストの魔の手は、国体の根幹である皇室をも犯そうとしている。125代、2000年に渡って、続いた皇統を、女系天皇制(女性天皇は歴史上あるが)を採用しようと議論し、国体の根幹を蝕もうとしている何者かのたくらみ。
 

 小泉政権以来、陰で暗躍するHT氏は、グローバリストの片棒を担ぎ、日本の根幹となる産業を金融資本家に明け渡そうとしている。国の根幹である農業に農業移民という制度を派遣労働として浸食しようとしている人材派遣会社P社の会長HT。
 

 高等教育、企業を英語化しようとする政商HM、高等教育を母国語で進められるという欧米圏以外では稀有な国の高等教育体制をきちんと堅持すべきでしょう。
 

これらの政商の暴挙を抑えるという健全な日本人としての感覚を持つべきでしょう。
 

 今こそ、グローバル、オールイングリッシュからグローカル、方法翻訳に転換して、グローバリストの罠にはまることなく、日本の国体を守りつつ、自立した国々との健全な交流を目指すべきでしょう。
 

 今こそ我が国日本は、明治維新以降に海外文明をそのまま受け入れ、英語を公用語化せずに、翻訳を通じて、海外の文物を取り入れた先人の知恵に学び、方法翻訳という障壁を設け、グローバリストの策略から日本の国体を守る必要があるでしょう。
 

その範を他の国々に示すことができる位置にいるのは、先進国では日本が最も優位な位置にいると思う。
 

 このまま安易にグローバリストの罠にはまっていたら、日本は中国の属国になるか、発展途上国の道を突き進むことになることを強く認識すべきだろう。

第180号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

日本翻訳協会の翻訳能力試験/資格認定試験は仕事への‘トライアル’です。

 

バベル翻訳大学院ALUMNIマネジャー 宮本寿代

 今回は、一般社団法人 日本翻訳協会(以下、JTA)が実施する翻訳能力検定、および資格認定試験についてお話しいたします。


 以下では、試験の概要も紹介いたしますが、より詳しく知りたい方、お問い合わせ等がある方はJTAの公式サイトにアクセスしてみてください。

http://www.jta-net.or.jp/index.html


 
試験は分野別に毎月実施されます。望む試験の日程を公式サイトで確認してください。


 JTAの実施する試験は、翻訳能力を測ったり、翻訳能力の認定を受けたりするためのものですが、バベルグループでの翻訳プロジェクトに参加するための‘トライアル’でもあります。各試験で2級以上を取得されますと、トライアル合格となります。合格された方は、所定の条件(守秘義務契約の締結、PC作業環境のセキュリティ確認など)を満たすことを確認したうえで、バベルの翻訳メンバーとして登録可能となりますから、翻訳のお仕事を得るチャンスを増やすことができます。

 大学院に在籍中の方々は、全課程を修了し、翻訳修士号を取得するという目標をお持ちだと思いますが、そののち(あるいはそれと並行して)JTA公認試験を受験することもご検討ください。ご自身のお力を試してみる機会にもなりますが、バベルグループでお仕事をしていただくための必要条件です。すでに大学院を修了された方々も、ぜひこの試験をご活用ください。

 試験の概要は次の通りです。

==================================================

1]翻訳能力検定試験
 翻訳能力検定試験には「出版翻訳能力検定試験」、「ビジネス翻訳能力検定試験」があります。それぞれ分野ごとの試験が行なわれています。

○出版翻訳能力検定試験
 ・絵本翻訳能力検定試験
 ・ヤングアダルト・児童書翻訳能力検定試験
 ・エンターテインメント小説翻訳能力検定試験(ミステリー、SF、ファンタジー、ホラー)
 ・ロマンス小説翻訳能力検定試験
 ・スピリチュアル翻訳能力検定試験(フィクション/ノンフィクション)
 ・一般教養書(ビジネス関連)翻訳能力検定試験
 ・一般教養書(サイエンス関連)翻訳能力検定試験
 ・出版シノプシス能力検定試験
○ビジネス翻訳能力検定試験
 ・IR/金融翻訳能力検定
 ・リーガル翻訳能力検定
 ・医学/薬学翻訳能力検定
 ・特許翻訳能力検定

 

2]資格認定試験

 資格認定試験には「翻訳プロジェクト・マネージャ資格基礎試験」、「翻訳プロジェクト・マネージャ資格上級試験」、「翻訳専門職資格試験」があります。

〇翻訳プロジェクト・マネージャ資格基礎試験

〇翻訳プロジェクト・マネージャ資格上級試験

翻訳プロジェクト管理・運営責任者としての能力をプロジェクト・マネージメントに必要とされる、6つの分野を念頭に審査する試験です。まずは基礎試験を受け、合格後に上級試験を受けることが推奨されています。
 1) 時間管理、2) 人材管理、3) 資源管理、4) コスト管理、5) クライアント管理、

 6) コンプライアンス管理

〇翻訳専門職資格試験

 翻訳のプロフェッショナルの能力を総合的に審査する試験です。以下の4科目のテスト全てに合格し、翻訳実務経験2年の実績審査を行った上で「JTA 公認翻訳専門職(Certified Professional Translator)」と認定します。

1)翻訳文法技能試験、2)翻訳IT技能試験、3)翻訳マネジメント技能試験、
 4)翻訳専門技能試験(「翻訳能力検定試験」のなかから1分野)

==================================================


 また、バベル翻訳大学院(USA)では、受講生の皆さんに対し、上記試験の受験料補助も行なっております。こちらの制度もぜひご利用ください。

 受講生、修了生のみなさんが翻訳スキルを伸ばし、お仕事に結びつける機会を多く得てくださることを願っております。

第179号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

国体維持政策のための翻訳から、
文化創造政策としての翻訳へ

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 これまで本誌で、いわば日本の国体維持、安全保障政策としての翻訳の重要性を説いてきました。
 

 英語化政策を唱えるグローバリストの本意は、日本の欧米属国化といっても過言でないでしょう。今、他のアジアの国々がこの表向きの戦略に騙されて二流国化の道を歩んでいます。一方、明治維新以降、翻訳という方法を通じて、欧米の当時の先進文化を土着化して民度を上げて世界のトップに躍り出た日本。
 

その戦略の先進性に改めて驚くとともに、先人の先見の明にただただ感謝するばかりです。

ここで、さらに話を進めていきたいと思います。


 先人の翻訳化政策によって、日本は先進の近代文明を和魂洋才的に取り入れて、文明国家としてゆるぎない地位を確立してきたわけですが、それで終わっていいのでしょうか。

 

その次の話があるように思います。

それは、西欧列強に追いつき、追い越してきたわけで、それは、いわば同じスタートラインについただけです。
 

 次は、多言語共生社会において、日本という極めて独自性の高い文化に翻訳を通じて新しい視点を注入し、東西融合の新しい言語文化を創りだすというプロセスを意識してもよいと考えます。
 

 そもそも翻訳という行為自体、翻訳の作品自体が東西融合の結晶であること考えると、西欧のコンテンツを翻訳することとは、西欧文化との融合、発酵を予期しているのではないでしょうか。
 

 脳科学者の角田教授が指摘したように、日本人は、日本語によって形づけられた独特の脳を持つということはすでに皆さんもご承知でしょう。虫の音、小川のせせらぎ、虫の音、等を左脳、すなわち、言語脳で受け止める日本人。同種の脳の構造を持つのはポリネシア人のみと言われている通りです。
 

 これも手伝い、擬音語、擬声語の宝庫となっている日本語作品が生まれ、万物に神を読む深い精神性に根差す日本語作品が生まれてきたといっても過言ではないでしょう。
 

 とすれば、我々は翻訳という行為をより積極的にとらえて、この東西融合の現場である翻訳を新しい日本文化発酵、創造のプロセスとして前向きにとらえることができるのではないでしょうか。

 世の事象は常に弁証法的発展にさらされているとすれば、翻訳を通じて、先進文化を土着化させると言うやや後ろ向きな考えから、日本人の深い精神性と鋭い感性をもって発展的に翻訳をすることにより、新たな日本の言語文化を創造すると考え直したらどうでしょうか。
 

 実際、すでに在る素晴らしい翻訳作品をそういう視点で読み返してみると納得する方も多くいるのではないでしょうか。

 

第178号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

日本人が自信を取り戻し、
世界へ
日本を発信するとき!!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 最近の風潮を見ると、自信を失ったかに見える日本の行く末が不安になります。
 

 国を愛しているか、との若者への質問にYESと答える割合が先進国中の最低、PISAの国際学力では、トップクラスに帰り咲きながら、そのやる気の無さは先進国のトップ、また、留学して世界に雄飛しようとする若者の数は、韓国、中国本土、台湾にどんどん追い抜かれている日本。
 

 そんな、やる気のない、覇気のない日本を挽回しようと考えているのは私だけではないでしょう。
 

 また、一方では、中国、韓国の中傷、プロパガンダに右往左往する日本。それぞれの国のお国事情で格好な外敵、悪者とされて反撃できない、自虐的歴史観に犯された日本人。
 

 そんな時代に、正しい歴史認識の下で、日本の自信を取り戻す必要があるように思います。
 

 故 村山 節(みさお)さんの「 文明800年周期説」や、トインビーの歴史観をとり上げるまでもなく、今、歴史は西欧合理主義から東洋の智へと大きな変換期を迎えています。
 

 東洋の中でも日本は、儒教、仏教、道教、禅、神道という思想哲学の集積地、たまり文化といわれる地域。全てに神を感じ取り、清く明るい志を持ち、見えないものを見、全ては自分のなかにあると内省する日本人。
 

 まずは、この素晴らしい日本をただしく認識するところから、日本を世界に発信することができるのでしょう。
 

 では、翻訳者として我々は何ができるのでしょうか。
 

 まずは、日本の正しい姿を伝える様々な書籍、情報を英語にして、日本の真の姿を世界に伝える、そんなところから始まるのかもしれません。
 

 日本の姿を世界に伝える国家予算が他の先進国に比べて微々たるものであることに、驚かれる方も多いと思います。
 

 バベルではこれまで、こうした関連書籍として、田口佳史さんの近刊『清く美しい流れ』、『東洋からの経営発想』、浅井隆さんの『Human Destiny』, 田坂広志さんの『目に見えない資本主義』等の書籍を英訳出版してきてはいますが、未だ、微々たる量です。
 

 2020年のオリンピック年を間近にひかえて、BABEL UNIVERSITYとしても、心機一転、日本のほんとうの姿を世界に伝える書籍を英訳し、世界に発信していきたいと考えています。

 

BABEL UNIVERSITYでは、こうした英語で発信するための翻訳講座、

日英翻訳出版入門講座、

http://www.babel-edu.jp/program/31101jebasic/

日英翻訳出版講座、

http://www.babel-edu.jp/program/31101jebasic/

Plain English講座をもってその人材を育ててきました。

http://www.babel-edu.jp/program/31011.html
 

 結びに、多摩大学大学院 教授、世界経済フォーラム(ダボス会議)グローバル・アジェンダ・カウンシル メンバー、•世界賢人会議 ブダペスト・クラブ 日本代表の田坂広志さんのバベル翻訳専門職大学院に寄せていただきましたことばをお読みください。
 

 『21世紀、この日本という国が世界に対して為すべき貢献は、何か。それは、決して「経済的貢献」や「政治的貢献」だけではありません。何よりも求められているのは「文化的貢献」であることを、我々は知るべきでしょう。
 

なぜなら、歴史的視野で見るならば、いま、世界全体の「知の潮流」は、西洋的な知のパラダイムから東洋的な知のパラダイムへと、螺旋的発展による弁証法的回帰を遂げつつあるからです。特に、東洋の知のパラダイムの中でも、日本的精神は、高度に洗練された禅の思想を始め、自然(じねん)の思想、縁(えにし)の思想など、世界が学ぶべき深みを持ち、その成熟した日本文化は、これから世界に対して大きな影響を与えていくものとなっていきます。
 

すなわち、21世紀は、日本が欧米の文化を輸入し、学ぶ時代から、欧米が日本の文化を輸入し、学ぶ時代になっていきます。そうした時代に、日英・英日翻訳のプロフェッショナルの道を歩まれる皆さんには、単なる「職業的責任」を超え、「歴史的使命」と呼ぶべき役割が与えられています。
 

特に、日英翻訳の世界は、いまだ未踏の荒野であり、あらゆる困難を超え、誰かがこの荒野を切り拓いていかなければなりません。その困難は、単に「日本語を英語に訳す」という技術的な困難ではなく、「日本的な精神や文化の神髄を世界に伝えるための新たな言語のスタイルを生み出す」という困難に他なりません。一人の著者として、その格闘を続けながら願うのは、皆さんの中から、そうした荒野に道を切り拓く「多くの同志」が生まれてくることです。それは、困難に満ちた道でありながら、一人の人間が人生を賭するに値する、素晴らしい道であることを信じています。本日が、皆さんにとって、その「輝ける道」への第一歩となることを祈りつつ。』
 

 

第177号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

多文化共生社会の多言語翻訳

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

  バベルは今、Multilingual Vendor Serviceを本格的に立ち上げる準備をしています。


 MLVというとこれまでの常識ではローカリゼーションの世界で発生する欧米を起点とする翻訳サービス形態でした。例えば、米国企業が開発したソフトを英語圏以外に販売するために多言語化する、その中に例えばJapanizationも含まれるわけです。いわば、グローバルビジネスの戦略として多言語化が必要とされてきたわけです。


 しかし、バベルグループで立ち上げるMultilingual Vendor Serviceはやや方向を異にしていて、多文化共生社会における文化共有化の方向、すなわち、世界の様々な言語から日本語へ翻訳するプロセス、あるいはその逆方向。それも文化的、いわゆる翻訳出版に属するような部分にも力を入れていきたいと考えています。


 世界中の多様な土着語の文化情報を日本語にしていく、そこから自己の価値観の相対化も生まれ、多様な文化を楽しむ、多様な文化から学ぶという余裕も生まれてくるように思います。


 また、日本の文化を多様な文化圏に発信して、相互の理解を深め、その関係を享受する。


 地球はGlobal Knowledge ( Wisdom) Gardenと考えると、翻訳されるべく待つ多様な知的資産が世界各地に埋もれていると思います。


 幸い、バベルの大学院生は修了生も含めると世界30か国余りの国々に住んでいます。それでも世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語と文化が存在するわけで、道はまだ端緒にすぎないと言えるでしょう。


 私が20年ほど前にオーストラリアの書店で見かけた子供向けの聖書にバベルの塔の神話の驚くべき解釈を見つけたことを思い出します。神様は天を突くようなバベルの塔を建てようとした人類に怒ってお互いのことばを通じないようにして塔の建設をやめさせた。これが旧約聖書の一般的解釈です。


 しかし、その聖書にはこう書いてあったのです。神は怒って塔の建設を阻止したのではなく、その本意は、この地の文化、文明の素晴らしさに満足せずに、世界に散ってその文化、文明を世界各地広めなさいとして様々な言語を授けたという解釈でした。


 とすると、我々のMultilingual Vendor Serviceの試みは限りなく拡散していく試みではなく、人類はもともと一つであったことを思い出す回帰、集約の過程なのかもしれません。

第176号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

「ビッグデータアナリストからみた人工知能」特集連載はじまる


米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

  今年の3月号に書きましたように、第3次AIブームが到来して、ここ10年、20年先には我々の仕事の半分が消えてなくなる、そして2045年には、いわゆるSingularity(技術的特異点)、人間と人工知能(AI)との逆転の危機が訪れると言われています。
 

 これらに踊らせられていまから右往左往するほどばかげたことはないと思いますが、常に主役たる人間としては、これらのマスコミ受けする議論の中に隠れがちなパラダイム変換には気づく必要があるでしょう。その上で、我々翻訳に携わる者として、先手先手でキャリアデザインをしていくべきでしょう。
 

AI,人工知能には以下の限界があると言われています。

・意思がない

 ・知覚できない

 ・事例が少ないと機能しない

 ・枠組みのデザインができない

 ・問いを生み出せない

 ・ひらめきがない

 ・常識的な判断ができない

 ・リーダーシップが取れない

(安宅和人 ヤフー チーフストラテジーオフィサー)
 

ということはこれを読みかえると、

・意思をもって

 ・自ら問い(WHY)を設定、課題を設け

 ・枠組みをデザインして

 ・リーダーシップをもって

課題を解決していくことが、AIに代替されず、AIと相互補完関係でハピーな将来像が描けると言ってよいでしょう。


一方、こんな言い方もされます。


AIで代替されにくい仕事とは

1. 商品企画、映画を撮るといったクリエイティブ系の仕事

 2. プロジェクト管理や会社経営などのマネージメント系の仕事

 3. 介護、看護、保育のようなホスピタリティ系の仕事

 (井上智洋 大学教授、AI社会論研究会共同発起人)


ではこれらを勘案して、翻訳力をベースにどうキャリアを創るか、起業するかを考えてみましょう。


 翻訳は原文を他の言語に変換するだけの機械的な行為と考えている方は皆さんの中にはいらっしゃらないと思いますが、では、翻訳にクリエイティブ性という付加価値を付与して
職域を考えるとすれば、

・翻訳リサーチャー、研究者、レクチャラー(なまじの専門家より翻訳者の方がより専門家)

・翻訳ジャーナリスト、記者、ライター(翻訳の専門分野でライターもめざす)


 更に、翻訳に主体性、マネージメント性を持たせるには、いち翻訳者としての受け身的な
仕事にとどまらず、特定のねらいを持った翻訳プロジェクト(会社)を立ち上げて、そのマネージメントに関わることです。


 また、観点を変えれば、ホスピタリティ系の仕事に携わる方、例えば介護、看護の仕事をしている方が、ご自身のキャリアを拓くために翻訳スキルを身につけて、介護、看護の先端の
情報を海外から仕入れて翻訳をする、そしてその分野の国際通になる、とするとその方の大きなブランディングにもなっていくわけです。


 とここまでは、3月号の内容確認ですが、今月号より、様々な業界の方々にAIをどうとらえていくか、そのお考えを聞いていきたいと考えます。今回は、ビックデータアナリストの緒方先生より、ビックデータアナリストの視点から見たAIについて6回にわたって語っていただきます。


以下が全6回の特集の予定です。

これを機に、皆さんもAIを活用してどうする、そんな視点で考えてみてください。


「ビッグデータアナリストからみた人工知能」予定

(第1回 6月 7日号)「すごい人工知能、しかし幼児に及ばない」

(第2回 7月22日号)「人工知能はなぜ幼児にも及ばないのか?」

(第3回 8月 7日号)「しかし、人工知能はデータ分析の仕事を奪う」

(第4回 8月22日号)「では、データ分析家の私はどうするのか?」

(第5回 9月 7日号)「人工知能とのコラボレーションを考える」

(第6回 9月22日号)「人工知能は私をより人間らしい活動に向かわせる」

第175号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

教育の国際通用性に想う

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

  去る、519日、東京のビックサイトで行われた教育ITソリューションEXPOで文部大臣補佐官、鈴木寛氏の「高大接続でどう変わる?-AI時代への教育改革」の講演を拝聴しました。しかし、時間の関係があってのことなのか、気になる課題は聴けませんでした。


 小中学校の学習指導要領の大幅改訂、大学入試改革を2020年までに実施とのこと。

その背景には、PISAショック、英国教育専門誌による大学世界ランキングにおける日本の主要大学の下落が見え隠れします。


 OECDが2000年から3年に一度実施しているPISA(Program for International Student Assessment)では、世界の15歳の男女を対象に、数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力、2015年からはこれに加え、協同
問題解決能力、異文化対応能力( Global Competence )を測ると言います。鈴木氏によりますと、10位少し手前に推移していた順位が、2015年は数学的リテラシーと科学的リテラシーが世界トップ、読解力が同率3位とのこと。


 また、英国教育専門誌、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」による世界大学ランキングでは、2年前、世界レベルで20位だった東京大学が39位、京都大学は91位へ下落、他の大学の順位は推して知るべし、の状況の様です。


 それも2013年に政府は、日本再興戦略―Japan is back. で今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上を入れる、と宣言したにも関わらず、です。


 ちなみに、このランクングは教育、研究、引用された論文数、国際性、産業界からの収入の5分野の評価を点数化し、合計点で順位付けされるそうです。日本はそのうちの国際性、論文の引用率が大きく足を引っ張っているとのことです。


 しかし、論文はどんどん英訳をすべき!!だし、英語の授業を増やすことを金科玉条のように言っているようですが、それによって世界レベルの研究成果があがるとは逆に思えない。科学技術における日本のノーベル賞が米国に次いで2位であることにも表れています。


 しかし、こうした情報に注意をそらされると肝心の本質的なことが見えてきません。

この講演での結びは、22世紀に向けて、AIにとって替わられない創造性、未来を創る、歴史を創る若者を育てる必要性が説かれていました。


 また、そのためには、アクティブラーニング、すなわちProblem-based learning, Project-based learning、能動的に課題を探求し他者と協働して解決に取り組むことが必要であるとのことでした。言い換えるとKnowledge, Skillに加えAttitude& Valueへのシフトが必要との結びでした。


 しかし、私としては、ここで期待して聞きたかったのは英語の必要性は当然のこととして、国際教養大学が示した大学の学部レベルでのリベラルアーツの重要性、先端教育機関といわれる米国の大学における充実したリベラルアートへの取り組みに対する文科省の見解でした。つい最近まで、日本の新聞をにぎわしていたのが大学における一般教養科目の廃止の話でしたのでなおさらです。


 バベルの翻訳専門職大学院へは、学部レベルで十分な教養を積んで入学してもらいたい、‘翻訳こそ大学院レベルの教育’と考えているだけに、この辺が気になるところです。


 米国の教育制度はまさに、リベラルアーツカレッジに代表されるように学部
レベルでは幅広い教養を学び、大学院で専門教育、MBA,ロースクール、メディカルスクールへと接続していくことはご存知でしょう。


 最後に、この多文化共生、異文化対応の時代に、今一つ私なりに気になり講演の中で言及することを期待したのは、大学の教養教育における日本人として日本の思想、文化、芸術を世界にプレゼンテーションする力の重要性です。


 ご承知のように、翻訳においても圧倒的に欠けるのは、日本語のコンテンツの
外国語翻訳、とりわけ英語化です。

江戸時代の国際通用性は決して中国語を話せるということではなく、漢詩漢文、四書五経という漢学で担保され、明治時代の国際通用性は翻訳、翻案された洋学で担保されていたとすれば、これからの国際通用性は日本を世界にプレゼンできる開かれた日本学にあるように思います。

第174号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


国家戦略としての‘翻訳’

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

 日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。
 

 明治維新以降、先人、福澤諭吉、西周、森有礼,中江兆民等々が、西欧文化、技術、制度、法律等、日本にない抽象概念を数々の翻訳語を創って受け入れてきました。 Societyが社会、  justiceが正義、truthが心理、reasonが理性、その他、良心、主観、体制、構造、弁証法、疎外、実存、危機、等々。
 

 こうした先人の努力をよそに今こんなことが起こっていることをご存知でしたでしょうか。それは政府部内で検討された英語特区という公の場では日本語で会話はご法度という制度です。こんな制度がまかり通っていいのでしょうか。
 

 英語至上主義、日本でも喧しく企業内の英語公用語化の話題がマスコミを賑わせていますが、これこそグローバリスト、国際金融資本家の思う壺。日本が二流国に転落するのが目に見えています。
 

 この辺の事情を歯切れのよい文章で書かれた施光恒(せ てるひさ)氏の「英語化は愚民化―日本の国力が地に落ちる」(2015年7月刊、集英社新書)は説得力のある素晴らしい本でした。
 

 この本にもあるように、英語による支配の序列構造の中で、第二階層、すなわち、英語を第二公用語として使う、インド、マレーシア、ケニアなどの旧イギリス植民地諸国、フィリピン、プエルトリコなどの米国占領下にあった諸国のことです。かれらはある意味、英語公用語を採用して、二流国を甘んじて受け入れた国と言えるでしょう。
 

 最近では日本の東大がアジア地域での大学ランキングが昨年までの第一位から七位に転落とマスコミでは自虐的論調が聴かれますが、その主たる理由は、授業が英語で行われている割合が少ない、執筆される英語論文の割合が少ないなどが問題にされているように思います。しかし、考えてみてください。英語圏以外で先進の学問を日本語、自国言語で学べる国は日本以外ではあるでしょうか。おまけに、世界中の古典が読める稀有な国日本、これを皆さんはどこまで自覚しているでしょうか。
 

 一方、あの理想国家といわれるシンガポールの現況は、常に複数の言語を学ばなければならないことから始まり、エリート主義による経済格差の拡大、国民の連帯意識の欠如。そして、独自の文化、芸術が生まれない文化的貧困を皆さんはご存知でしたでしょうか。これこそ、英語化路線の一方のひずみと言えると思います。
 

 日本は、翻訳を盾に、日本語が国語である位置を堅持して、決して日本語を現地語の位置に貶めませんでした。

これは以下の日本語と日本文化の歴史とこれに裏打ちされた利点を考えれば至極当然のことに思えます。


・6,7世紀ころから中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で 受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げできた。

 

・50万語という世界一豊かな語彙をもつ日本語。英語は外来語の多くを含んでの50万語、ドイツ語35万語、仏語10万語。まさに、言霊の幸はふ国日本。


・古事記、日本書紀、万葉集など、1,000年前文献でもさほど苦労なく読める日本語。

一方、英米では1,000年まえの文献は古代ギリシア語、ヘブライ語が読めなければ一般の人は読めない。


・世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語の内、50音の母音を
中心に整然と組み立てられ、・平仮名、片仮名、アルファベット、漢数字、ローマ数字等多様な表現形式を持つ言語、日本語。


・脳科学者角田忠信が指摘しているように、西欧人は子音を左脳、母音を機械音、雑音と同じ右脳で処理、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音をノイズとして右脳で受けている。対して、子音、母音、さらには小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音までも言語脳の左脳で受け止める日本人。そこから導かれるのか万物に神を読む日本人。


・ユーラシア大陸の東端で、儒、仏、道、禅、神道文化を発酵させ、鋭い感性と深い精神性を育んできた日本文化。

・「日本語の科学が世界を変える」の著者、松尾義之が指摘しているように、ノーベル賞クラスの科学の発明は実は日本語のおかげ。自然科学の分野ではこれまで約20の賞を受賞。アジア圏では他を圧倒。

ここで、一見無関係に思われる、最近の世界情勢を見てみましょう。
 

 Brexit(Britain+Exit), 英国の国民投票によるEU離脱の衝撃は、日本、そして世界の経済、政治に大きな影響を与えつつあることはご承知かと思います。
 

 フランスは決選投票の結果、EU離脱派のルペン氏を抑え、無所属のマクロン氏が勝ったとは言え、無所属のマクロンが政党を設立し国民議会577議席の単独過半数の支持を得て首相とともに今の路線で歩めるのかまだまだまだ予断を許せません。
 

 EUは解体に向けて歩む?のかもしれません。実際、オランダ、イタリア、オーストリア、デンマーク、スウェーデンももしかしたら、という状況のようです。
 

 では、このBrexit以降の世界情勢はどんな方向を示唆しているのでしょうか。
 

それは、
GlobalismからNeo-nationalism (Localism)へ

国境を無くし、人の交流を自由化し、市場を開放する方向から、難民の無制限な移動の制限をし、国家を取り戻す方向へ

 

ElitismからPopulismへ

国際金融資本家に代表されるエリート主導から大衆主導の時代へ
 

これは、ヒラリーVSトランプの構図も見え隠れしていました。

トランプの‘アメリカファースト’もある意味、Neo-nationalism (Localism)とPopulismへの傾きといえるでしょう。
 

 グローバリストが新自由主義の政策、開放経済、規制緩和、小さな政府、これに基づき世界経済の再編を進めてきたわけですが、これに異議を唱えたのがこれらの動きと言えます。
 

 今まさに、大きな潮流は、ローカル、それもグローカル、開かれたローカリズムの時代に突入しつつあるように見えます。
 

ここにこそ‘翻訳’の存在意義が見いだせます。

 
個々の自立した文化をお互いに尊重し、そのうえで、翻訳による相互交流を行う、そんな翻訳的方法が見直されています。
 

 件の英語特区の提案者が言うような、言語は単なるコミュニケーションのツールではないでしょう。言語は使う人の世界観を作り出していますし、日本であれば日本語が日本人の考え方、感じ方、日本社会の在り方まで創り出してしまいます。
 

 従って、日本社会の英語化を安易に進めることは日本のアイデンティティ、強みを破壊する行為といえるでしょう。思いやりや気配り、日本人の持つ鋭い感性や深い精神性は日本語、日本語脳、日本文化のなせる業でしょう。
 

 ユーラシア大陸の東端にあり、儒教、仏教、道教、神道、禅が混ざり合い発酵した日本文化は我々が誇れる知的資産です。
 

 鈴木孝夫氏のタタミゼ効果はご存知かと思いますが、もともとこれはフランス語ですが、日本人ぽくなる、人との接し方が柔らかくなる、対決から融和に導く、日本語を学んだものがそのように変わると言われています。
 

 ことほど左様に、世界は個々の自立を前提にそのコミュニケーションの方法論として‘翻訳’を求めています。
 

 グローバリストの脅し、誘惑に左右されずに、これからの世界における自国語、日本語の意義、そして、翻訳の意義を堂々と主張しましょう。
 

お互いの文化を尊重し翻訳を通じてハーモナイゼーションを計る、素晴らしい時代の到来です。

 まさしくバベルの塔を英語という一つの言語で創ろうとしている特権階級のグローバリストに神は怒り、神は別々のことばを与え、世界へ散れと言っているかのようです。
 

多言語、多文化共生世界の入り口に今我々はいるのかもしれません。
 

 日本も国家戦略、言語戦略の一環として‘翻訳’を考える時代に入ったと考えるべきではないでしょうか。加えれば、私は日本が平和を謳歌してきたことをもって不沈戦艦大和神話を支持するつもりはありません。永世中立国スイスがそうであるように、地政学的適度な危機感をもって自主防衛力を持つべきと考えます。その一環として、翻訳戦略は欠かせないと考えている次第です。 

第173号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association


「バベルの塔」を描いたブリューゲルの翻訳力に感服!!

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 ブリューゲルは「神の怒り」ではなく、「夢を実現しようとする人々の挑戦」を描いた!!
 

 今までに多くの画家が「バベルの塔」を描いてきましたが、ブリュールゲルの作品が傑作と言われているのは、ブリューゲルは「神の怒り」ではなく、「夢を実現しようとする人々の挑戦」を描いたからだと言われているそうです。
 

 ネーデルラント絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲルが描いた傑作「バベルの塔」。この絵に描かれた人々が動き出す3次元コンピューターグラフィックス映像を、いま、美術館の巨大スクリーンで鑑賞できます。
 

 これを制作した東京芸術大学の宮廻(みやさこ)正明教授らのチームによると、 ブリューゲルが描いた「バベルの塔」の絵の実寸は、縦59.9センチ、横74.6センチ。米粒より小さい3ミリ足らずの人間を約1400人も描いているそうです。
 

 また、そこには、レンガを運ぶ人、クレーンを動かす人、家畜の世話をする人、洗濯物を干す人、また、塔の中ほどには教会へ向かう長い行列も描かれています。
 

 絵の中の人の平均身長を170センチとして塔の高さを計算すると、塔の高さは510メートルとなるそうです。従って、東京タワー(333メートル)よりも高くなると言います。
 

 ご承知のように、バベルは「バベルの塔」の神話の解釈を天を突く塔を建てようとする人間の傲慢な行為を神が怒ってお互いの言葉を通じ無くし、その行為をやめさせようとしたというのが一般的な解釈ですが、
私はそうとは考えておらず、むしろ神はそれぞれに別々のことばを与えてその地の素晴らしい
文化を広めていきなさいという意図であったと解釈しています。
 

 そんなポジティブ翻訳をしたバベルと、「夢を実現しようとする人々の挑戦」と翻訳したブリューゲルとは意味こそ違うにしてもそのポジティブなところを評価したいと思います。
 

 これらのシミュレーション画像は、今月7日に発売された美術入門書「ブリューゲルへの招待」(朝日新聞出版)に掲載されているそうです。

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18968

また、是非、以下の「バベルの塔」展に足を運んでみてください。

――――――――――――――――――――――――――――― 

ボイマンス美術館所蔵「バベルの塔」展

16世紀ネーデルラントの至宝 ―ボスを超えて―

http://babel2017.jp/

<東京会場>東京都美術館 2017年4/18(火)~7/2(日)

<大阪会場>国立国際美術館2017年7/18(火)~10/15(日)

第172号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

BABEL UNIVERSITYの未来を考える
 ―創業42年、創業半世紀を迎えるにあたって

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 翻訳ライフキャリア開発支援へ
米国に設立して17年目。アカデミックな一般的教育機関としてはある領域まで極めたと言えるBABEL UNIVERSITYですが、ここで自らを振り返り新たな改革を模索したいと考えています。
 
初めに、こんな現状認識から始めようと思います。
 
2015年4月、翻訳の国際基準のISO17100が施行されて以来、翻訳の学位(修士号)の有用性を約2年に亘り訴えてきました。しかし、翻訳業界ではいまだに経験主義が跋扈しており、翻訳の資格の有用性(JTA)には一定の理解をいただいたように思いますが、未だ翻訳のアカデミズムに対する軽視が続いているように思います。しかし逆に、翻訳に対する期待は別のところにあるのかと考えさせられる今日この頃です。

http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission031/
 
昨今では、AI進化に伴うシンギュラリティ(2045年問題)を経て翻訳者という職業が無くなるのではないかという職業に対する不安が聴かれるようになってきました。
むしろ、AIを活用できる翻訳プロフェショナルが活躍できる時代に入ることをここでは指摘しておきたいと思います。

http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission39/
 
これらを踏まえて、改めて翻訳のプロを目指している皆様の気持ちを代弁すると、以下のようになるでしょうか。
 
  ・皆一様に望んでいるのは修士号取得というより、翻訳で確実にそのキャリアを創り、自立したい。
 
  ・単に生計を立てるにとどまらず、翻訳を通じての自己実現を渇望している。
 
  ・AIに代替されることのない、AIを活用した、確固たる翻訳キャリア形成を望んでいる。
    ⇒専門性の高い翻訳出版社起業、翻訳編集者
    ⇒専門性の高い翻訳会社起業、翻訳プロジェクトマネージャー
    ⇒特定の分野に特化した翻訳ジャーナリスト、研究者、リサーチャー
    ⇒専門ライター、レクチャラー
    ⇒翻訳教師
    ⇒翻訳テクノロジスト
 
そんな印象を持ち始めたところです。
 
とすると、ここから導かれるBABEL UNIVERSITYの見据えるべき方向性は以下のようになるのでしょうか。
 
1.翻訳ライフキャリア開発プログラムとしての方向性を強める
  すなわち、‘Global Independence―生涯にわたる翻訳ライフキャリア開発を支援するプログラム’として確立する。
2. 従って、今は任意となっている『キャリアサクセス診断』を事前に行い、『キャリア設計書』を共同で作成する。
  
http://www.babel.edu/category/find-your-own-uniqueness/
 
3.そして、これらに基づき『受講デザインプラン』を共同で作成する。
 
4.科目選択はBabel  Universityの専攻の枠にとらわれず、様々な分野の講座、
  ワークショップ、プロジェクトが受講でき、より実践的な学習も体験できるようにする。
 
5. 『受講デザインプラン』をキャリアコンサルタントと共に作成、その後も、継続して、キャリア実現、起業まで伴走する。 
 
6.従って、JTA(一般社団法人日本翻訳協会)の各種検定は実力の基準として随時受験可能な形式とする。 
  
7.バベルグループに対するコーポレートユニバーシティの位置づけを明確に打ち出し、
  バベルグループのパートナーシップとして自立できる制度を確立する
  
 
ここでは、向う10年を想定してBABEL UNIVERSITYの向かうひとつの方向性を考えてみました。
 
これからも院生、修了生の方々のご意見を伺いながら、より魅力的、且つ、皆さまの生涯価値に応えられる翻訳教育機関をめざして行きたいと思います。
 
ご意見があればご自由にお寄せください。

 

第171号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳を学ぶ層が変わってきた!!

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 最近は翻訳を学ぶ大学院生が増えていることをご存じですか。
 
 バベルグループは創業1974年から43年を数えます。また翻訳専門職大学院を米国に設立、米国教育省認可のDEACに加盟して16年。
 
 思い出しますと、80年、90年代は翻訳のカルチャーセンターブームがあり、当時、バベルが未だ翻訳スクールであったころは毎年数万人の卒業生が翻訳クラスから卒業され、今ではプロの第一線で働かれているかたも多くいます。当時は英語学習の延長戦で翻訳を勉強されをた方も多いのではないかと思います。
 
 では、今はカルチャーセンターブームが去って、翻訳のプロフェショナリズムの時代に入ったと多くの方はお考えかと思います。
 
 翻って、世界の翻訳マーケットは以下の米国労働省のWEBページで明らかにされているように、‘大翻訳時代’といっても過言ではないでしょう。
https://www.bls.gov/ooh/media-and-communication/interpreters-and-translators.htm#tab-6
 
 世界はグローバル、ボーダレスは不可避で、それに伴って翻訳マネージメント、バイリンガルマネージメント、マルチリンガルマネージメントの時代に突入しています。
 
 こうしたプロの活躍の場が増えたと呼応してこんな傾向が見えてきたことをご存知でしょうか。それを我々は翻訳の第2ステージに入ったと考えています。
 
 それは、バベルでは大学院ではなく科目(単科)履修生、出翻訳出版ワークショップに参加される方が増えていることに象徴されることです。その場合、その取得単位は大学院の単位として認められるので、多くの方が翻訳大学院の登録されて翻訳を勉強していることを意味します。
 
すなわち、科目(単科)履修生、翻訳出版ワークショップ生も‘翻訳大学院生’と見なします。
 
翻訳のとらえ方が変わってきた、第2ステージに入ってきたと考えます。
 

  • ビジネス翻訳で稼ぐ一方で、翻訳を通じて人生の軌跡、翻訳作品を残したいという方が増えていること
  • 翻訳を単なるビジネスと考えるだけではなく、地球上の智を変換して共有してもらうことを人生の新しい目標に据えているかたが増えていること
  • 子供に親の作品として翻訳作品を残したいと考える方が多くなっていること

 
 すなわち、ご自身の人生を改めて振り返って、新しい人生設計をするにあたって翻訳という方法を選んで、ご自身の関心のある本を翻訳しようとするかたが、増えていること。
 
 そして、こうした方々に翻訳ビジネスのチャンスとともに、翻訳出版の機会を容易に提供できる時代に翻訳出版業界は入ってきているということです。バベル翻訳専門職大学院でも翻訳出版ができるシステムを用意しています。
それはAMAZONを活用する方法です。
 
時代は次の転換を求めています。
翻訳はその転換期にふさわしい機会を与えてくれます。
 
一億総翻訳者時代とまでは言わないまでも、翻訳に生涯設計を託す方が増えてきています。
 
翻訳大学院が身近になったとともに翻訳を通じての世界貢献の時代に突入してきたと考えています。
 
 世界は未だ未だ情報の偏頗が顕著です。それにより、多くの誤解が生まれ、知っていれば回避できた危機を防げた、知っていれば他の利に資することができたということは多く気づかされます。
 
 地球はGlobal Knowledge Garden, 知の宝庫、その知(智)を共有するためになにがしかの役割を担う、これをわれわれは翻訳、翻訳者の未来の役割と考えます。
 
この機会に、『もし世界が100人の村だったら翻訳者は?』、この質問を自らに投げかけてみてください。

 

第170号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

通訳力で翻訳力を強化する

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 本誌、4月号より予定している「翻訳と通訳の距離」(仮題)の特集連載に先立って翻訳と通訳の共通点と相違点を整理してみましょう。
 
共通点
・ソース言語をターゲット言語に変換する。
・ソース言語の内容とターゲット言語の内容が同じになるように変換する。
・言語的差異のみならず、文化的差異の処理が必要となる。
 
相違点
 ・SpokenとWritten、モードが違う。
 ・作業に許される時間に違いがあり、翻訳は表現形式にまでこだわり、通訳は内容を重視する。
 ・翻訳は等価性( Equivalence)重視、通訳は忠実性( Identity)  重視の傾向がある
 ・翻訳には調査の時間が持て、改定が可能。
 ・翻訳は永続的、通訳は一時的。
 
 もっとも、いわゆるメディア翻訳と言われる、字幕翻訳、放送通訳はこの2つの領域にまたがる作業と言えます。
 
それでは、翻訳になぜ、通訳力が役立つかを考えてみましょう。
 
 翻訳家、東大教授の柴田元幸さんが、翻訳の際には「原作の‘声’を聴け」と主張、原文の思考の流れを乱さない、頭から訳すこと(昇順訳)を提唱しています。
 
これこそ、同時通訳の奥義であり、通訳訓練の基本であるサイトトランスレーションの技法でもあります。
 
もっともこの技能はバベルの翻訳文法においても、頭から訳すとしてルール化しています。
 
 また、バベルの修了生でもあるミステリー翻訳家の山本やよいさんは毎朝、川端康成を只管筆写していると聞きますし、多くの翻訳者が愛読書を音読していると聞きます。
また、最近の翻訳者は完成した訳文を音読しながら推敲するとも言います。
 
すなわち、リズム感のある翻訳文をスピーディに生むためには、通訳技法、通訳訓練技法は有効であると言えそうです。
 
ここで、代表的通訳訓練技法の翻訳への効用をみてみましょう。
 
サイトトランスレーション
 原文にセンス(Sense)グループごとにスラッシュを入れて、原文の思考の流れを乱さないように、文章を読みながら頭から声に出して翻訳していく訓練です。リズム感のある、原作の思考の流れに沿った訳文をスピーディに生み出す有効な方法となります。
 
シャドウイング
 シャドウイングとは、音読された英語を時差をつけて音読で追っかけていくことですが、これは英語のイントネーションと表現リズムを体得するには有効な方法です。
ここでは、少なくとも訳文の推敲の過程で原文と翻訳文の音読を繰り返し、比較、対照することをおすすめしたいと思います。
 
サマライズ 
 スキミング(大意把握)して要約、スキャニング(ある特定な情報を検索)等、言語の構造性、パラグラフ構成、キーワードを意識して素早く内容をつかむ方法は通訳のみならず翻訳者にも必要な技術です。
 
こうした訓練は言うまでもなく、通訳に生かせるのみならず、翻訳者にも要求されるオーラルコミュニケーションのスキルを強化に役立つでしょう。
 
近い将来、翻訳者をめざす皆様にも、上記のような訓練機会をBABEL UNIVERSITYでも提供したいと考えています。
 
では、4月からの特集連載「翻訳と通訳の距離」をお楽しみに!!

第169号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

旧くて新しい日本語の課題?

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 最近、日本語の扱いに関して、日本語の特性は事実を人間関係から切り離して語れない、
誰に向かって誰が話しているかという人間関係が常に入り込んでしまう言語であるがゆえに、客観的であるべきジャーナリズムや報道の言葉が日本語では成立しにくい、という著書をみかけた。
 
 また、旧来から言われている、日本語は論理的言語表現の展開には不向きだ、日本語で論理的話の展開は望めない、という主張も思い出す。
 
そんな、日本語のせいにしがちな議論を見るとまたか、とあきれる。
 
 我々、翻訳に関わるものは2つの言語特性のはざまで、言語の置き換えを生業としている。
英語で書かれた論理的文章を日本語に、欧米のジャーナリズムを日本語に、また逆もしかり、その格闘をしている現場にいるものとして思うのは、日本語は相手によって融通無碍にその姿を変えられる、柔軟、且つ、包容力のある言語体系だと感じる。
 
 上記のような議論に組するものは、一度、翻訳を体験してほしい。日本語の可能性に驚くことも多いのではないだろうか。
 
 もともと日本語に無い西欧の抽象概念語を翻訳日本語として創りだし、定着させてきた日本人、日本語の許容力には驚かせられる。
 
あらゆる国の古典を日本語で読める稀有な国、日本。
 
日本語で大学教育のすべてが行える稀有な国、日本。
 
 少なくとも我々は翻訳を専門とする以上、あなたがその‘翻訳’ができていないだけじゃない、それを日本語のせいにするのはどうかな、と言いたいところだが。

第168号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

トランプ大統領が翻訳を学べば?!
      ―‘翻訳的ものの考え方’で世界は変わる!!

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 トランプによる世界の混沌は当分収まりそうもありません。トランプタワー( The Tower
of Tramp )は崩壊に向かっているのか? グローバリズムからネオナショナリズムへ、アメリカファーストを声高に主張しているトランプ。
 
 しかし、開かれた健全なナショナリズム、健全なローカリズムの世界には翻訳が似合います。互いの文化、言語、価値観を尊重し、自己を相対化するところから翻訳は始まるからです。
 
 しかし、グローバリズムが行き過ぎると、単一言語を主張し始めます。怖いのは閉じたナショナリズムがグローバルを主張した時です。
 
開かれたナショナリズムがグローバリズムをめざすときに、翻訳者的視点、すなわち他を尊重し自らを相対化するハーモナイゼーションの視点が芽生えてくるのでしょう。
 

世界が一つの言葉を取り戻す」再考
 
バベルと長いお付き合いの方はバベルの塔の神話をご存知のかたは多いことでしょう。
 
 しかし、バベルの塔(The Tower of BABEL)の神話の真のメッセージは必ずしも人間の傲慢を諌めることだけではないというところから出発したいと思います。
 
それは、20年以上前にオーストラリアの書店で見かけた子供向けの聖書に書かれた解釈でした。
 
 神は、人が、ひとところに止まらず、その智恵を世界に広め、繁栄するようにと願い、世界中に人々を散らしたという解釈でした。すると、かれらはその土地、風土で独自の言葉と文化を育み、世界中に多様な言語と多様な文化で織りなす地球文化のひとつを生み出したのです。
 
 しかし、もともとは一つだったことば(文化)ゆえに翻訳も可能であるし、弁証法的に発展した文化は、常に一定のサイクルで原点回帰をしているとすれば、ただ視点を変えるだけで、その本質を理解できる。
 
 しかし、人間のエゴの働きと言えるでしょうか、バベルの塔のころからの傲慢さゆえに、自文化が一番と考えることから抜けきれないでいると、もともと一つであるものでさえ見失い、理解できず、伝える(翻訳)ことさえできなくなってしまうのかもしれません。
 
 翻訳の精神とは、自らの文化を相対化し、相手文化を尊重し、自立した二つの文化を等距離に置き、等価変換する試みであるとすると、この過程こそ、もともと一つであったことを思い返す試みなのかもしれません。
 
 「世界が一つの言葉を取り戻す」、それは決してバベルの塔以前のように、同じ言語を話すことではないでしょう。それは、別々の言語をもち、文化を背負ったとしても、相手の文化の自立性を尊重し、その基底にある自文化を相対化し理解しようとする‘翻訳者意識’を取り戻すことなのではないでしょうか。
 
バベルの塔の神話はそんなことまでも示唆しているように思えます。
 
また、翻訳の本質が見えてくるこんなトピックもあります。
 
 あるテレビ番組で、日本料理の達人がルソン島に行き、現地の子供の1歳のお祝いの膳を用意するという番組を観ました。おそらく番組主催者の意図は世界遺産となった日本料理が、ガスも、電気コンロもない孤島で通用するかを面白おかしく見せようとしていたのでしょう。
 
 この日本料理の達人は自らの得意技で様々な料理を、現地の限られた食材を使い、事前に現地の人々に味みをしてもらいながら試行錯誤で料理を完成させいくというストーリーでした。そして、最後は大絶賛を得られたという番組でした。
 
 しかし、かれはその間、自ら良しとする自信作で味みをしてもらうわけですが、一様にまずいと言われてしまいます。しかし、何度も現地のひとの味覚を確認しながら、日本料理を‘翻訳’していくのでした。そこには自文化の押し付けもなければ、ひとりよがりの自信も見られません。ただ、現地のひとの味覚に合うよう、これが日本料理という既成概念を捨て、日本料理を相対化し、自らのものさしを変えていったのです。
 
世界には7,000を越える言語、更にそれをはるかに越える文化が有るなか、翻訳者が、翻訳できるとはどういうことなのでしょうか。
 
翻訳ができるということは、もともと一つだからであり、
翻訳ができるということは、自己を相対化できるからでしょう。
 
 世の中には様々な思想、信条、宗教があり、お互いを翻訳しえないと考えている方が多いのではないのではないでしょうか。
 
 しかし、誰しも翻訳者であると考えてみましょう。‘翻訳者’という役割が与えられた時点で、自らの言語、文化を相対化する必要があります。翻訳する相手の文化を尊重し、自国の文化を相対化し、相手の国の人々がわかるよう再表現をする。
 
 「翻訳とは、お互いの違いは表層的なものであり、もともとは一つであることに気づき、お互いを認め、尊重し合う行為である」と考えられるでしょう。
 
 翻訳こそ、‘鋭い感性と深い精神性’をもつ日本人(日本語を母国語とするもの)に適した役割でしょうし、‘翻訳的ものの考え方’、すなわち翻訳者意識で世界を変える、これを先導するのがバベルの使命のひとつであると確信しています。
 
 安倍首相は、トランプ大統領に日本的‘翻訳精神’を伝えられるのでしょうか。
いや、トランプ大統領にバベル翻訳専門職大学院で学んでもらうのも名案かもしれません。

第167号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第8回 
バベルグループと、どうパートナーシップを組むのか

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 本稿では、バベルの大学院を修了して、MST( Master of Science in Translation)を取得した以降、バベルグループとどう仕事をしていくか、その基本を、昨年秋にハワイで行われたALUMNIミーティングのYOUTUBE動画をご覧いただきながら説明をさせていただきます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZqtppAJg8KY
 
 もちろん、以下のアメリカの労働省のJob Outlookに表現されているように、2024年までに翻訳、通訳の仕事の伸長率は129%、575の全業種の30位前後に位置している有望な職業と言えます。従って、翻訳マーケットがある種バブル状態の現況では、バベルの大学院を卒業したあとにバベルグループとコラボして仕事をするという選択肢にこだわる必要はないわけですが、手の内の選択肢として詳述していきます。
http://www.babel.edu/news/joboutlook/
 
 修了後は以下のバベルグループの翻訳関連の事業で、翻訳者、ライター、編集者、翻訳教師として働いていただくというのが身近な進路として考えられます。
http://www.babel.co.jp/
 
 しかし、私どもとしては、いちプロフェショナルとして働いていただくだけでなく、あるプロジェクトを仕切っていただく形式で、バベルグループとのパートナーシップを組んでいただきたいとも考えています。
 
 プロジェクトマネージャーとして働く場合は、個人でも会社組織でもかまいません。
しかしその場合、プロジェクトマネージメントの技術、知識を以下の資格を取得して、修めてください。
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm_2.html
 
 この場合、前述のような様々なバベルの翻訳事業(専門別翻訳ビジネス、翻訳出版ビジネス、版権仲介ビジネス、翻訳教育ビジネス、出版創作ビジネス等々)のどこかの部門とパートナーシップを組むことになります。ある分野のプロジェクトを仕切っていただき、そこから上がった利益を一定の割合でシェアーするという方式でパートナー契約が結ばれます。
 
 さてこのように、いち翻訳者としてバベルとのパートナーシップを組むか、プロジェクトリーダーとして複数の人材を束ねて一定の成果を上げていくというプロジェクトマネジャーとしてパートナーシップを組んでいただくか、いずれにしても、以下のように、そのための必要条件と十分条件があります。
 
はじめに、必要条件ですが、これは当然のことですが
 

1. MST(Master of Science in Translation)、修士号のホールダーであること。

 
   翻訳の世界規格(ISO17100)においても
   Qualification of Translatorとして真っ先に
   翻訳のディグリーを持つこととしています。

   http://www.babel.edu/the-professional-translator/mission031/
 
2.  次に、翻訳の世界規格(ISO17100)においても
  尊重されている翻訳の資格を持つことです。
 
   ここでは30年の歴史をもつ一般社団法人日本翻訳協会の
   (Japan Translation Association-JTA)
   それぞれの専門に該当する資格の取得をお薦めしています。
   受験料はバベルの大学院が支払いますので積極的にチャレンジください。

   http://www.jta-net.or.jp/index.html
 
MSTの修士号に加えて、第三者認証となるJTAの資格を取得ください。世界で翻訳者として自立するには必要です。
 
次に、バベルグループとパートナーシップを組んで仕事をする場合の十分条件をお話ししましょう。
 
それは、以下のバベルグループの使命(ミッション)とあなた自身の使命、目標とのすり合わせができているかです。
 
【バベルグループの使命】
・MISSION(使命)
智の宝庫である地球【 Global Knowledge Garden】 において、
翻訳を通じて智の共有を実現し、
人々に気づきをもたらし、
共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
 
・GOAL(目標)
そのために、
翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、
翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、
そして、
翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
 
・OBJECTIVE(施策)
そして、
これを実現するのが以下のバベルグループの各事業です。

http://www.babel.co.jp/
 
 従って、このバベルグールプの各事業をよく調べていただき、その各事業に関連した、もしくはその隙間でバベルグループとのパートナーシップを組んでもらいたいのです。
再度言いますが、それはいち翻訳者、いち編集者、いち教育者というスタンスだけでなく、あるプロジェクトを仕切っていただく、という仕事の仕方も考えてほしいのです。
 
 バベルグループは翻訳ビジネスの世界でまもなく50年、オンリーワンの翻訳総合企業体として在ります。バベルグループと連携し、翻訳を通じて‘世界を変える’そんな素晴らしい未来を共有してください。

第166号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第7回 
自分の‘売り’をつくる5年間の計画を描く

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹


さて、いよいよSTEP5、最終段階です。
 
STEP4では、Write your future resume、5年後の未来履歴書を作成しました。
 
1.5年後の自分の‘ 売り ’を明確にする。
 2.5年後に履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格を明確にする。
 3.5年後に履歴書に書くあなたの職歴を描く。
 
そして、STEP5では、この未来履歴書を現実にするための向う5年間のアクションプランを作成します。
Make your action plan.
 
 このプロセスはSTEP3で行った自分棚卸に対応するもので、棚卸して明らかになった自分のスキルマップを再編していきます。
 
 STEP3では、みなさんが翻訳でキャリア目標をお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリア目標を達成するのに必要な5つの能力、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみました。
 
以下の6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしていきました。
 
・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然柱となる言語関連のスキルです。
 また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。

・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる視点を持ち合わせているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。

・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。

・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、プロジェクトマネージメントの知識、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な知識と技術です。

・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のプロジェクトマネージメントの知識と技術、自立を目指すに欠かせません。

*参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格基礎試験」をご覧下さい。 http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html  

更に、
・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験
を積みながら磨いていきましょう。
 
 ここで更に、今一度、STEP1とSTEP2を振り返ってみましょう。なぜなら、このSTEP1と2が全ての基本だからです。
 
STEP 1. 自己発見シートの作成
    Find your own uniqueness
STEP2.キャリアビジョン作成
    Define your own success
 
 このステップで考えた‘売り’、Uniquenessと、ステップ4で考えた5年後の未来履歴書‘売り’、Uniquenessは変化していますか。変化が見られたら臆することなく書き直しましょう。
 
ここでSTEP1とSTEP2を復習してみましょう。
Find your own uniqueness, define your own success.
 
 自分の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は始まります。長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす。その方が成功への確率が高い、と考えてください。
 
 日本では得てして、右へならえの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価とするそんな傾向には流されないようにしましょう。
 
もっている個性、特性を生かし生ききることが人間としての醍醐味でしょう。
従って、STEP4で導き出した‘売り’を明確に意識しましょう。
 
それでは、いよいよ、STEP5 5年間のアクションプラニングを作成しましょう。
Make your action plan
 
ここで、大切なのは、当然ですが、自分の‘売り’を生かすために、どのコンピタンスに重点を置くかです。すなわち、長所進展法、どのコンピタンスに力点を置くか考えましょう。
 
ここで、それぞれのコンピタンスがどんな内容か改めて確認しましょう。
 
 そして、ご自身の売り、UniquenessをもとにSuccessをdefineするには、どのコンピタンスにどの程度のウエイトを置くのか、改めて考えてみましょう。
 
その上で、それぞれのコンピタンスをどう伸長させるか、1年ごとにマイルストーンを切って行きましょう。
 どんなスキル、資格を取得するのか、どんな仕事に携わるのか、具体的にしていきましょう。
 
 そして改めて申し上げますが、そのためには、その分野、スキル、資格を徹底して絞り込むことです。すなわち、自分だけのユニークなスキル、資格を獲得することです。これは、戦略的縦展開。

そのうえで周辺のスキル、資格も専門とする領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的横展開。
  すなわち、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。

この縦横のクロス戦略が重要です。
 
さて、それではSTEP5. Make your action planに進んでください。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc5.html
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 STEP 1. 自己発見シートの作成
    Find your own uniqueness
 STEP2. キャリアビジョン作成
    Define your own success
 STEP3. スキル棚卸しシート作成
    Do your own inventory
 STEP4. 5年後の未来履歴書作成
    Write your future resume
 STEP5. 5年間のアクションプラニング作成
    Make your action plan
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 
このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4,5と
順にこなしてください。今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」にチャレンジください。
 
【寄稿のお願い】
STEP5. Make your action plan にご応募いただき、その感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2,3,4を完成させてから、5の感想を2000字前後(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間1月14日(土)、原稿締切は1月20日(金)となります。
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第165号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第6回 
5年後の未来履歴書を描く

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

あたかも、そうなっているかのように5年後の履歴書を書こう!!
 

 さて、いよいよこれまでの総まとめSTEP4、5年後の未来履歴書作成
Write your future resumeです。これまで描いてきたキャリアビジョンを
 あたかも現実であるかのように描いていきます。
 

 1. 5年後のあなたの‘ 売り ’は?
 2. 5年後の履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格は?
 3. 5年後の履歴書に書くあなたの職歴は?
 
 今、この時点でこんな注意を言う必要もないのですが、念のため。
 
 日本的考え方である、目標、ゴールは今を起点に積み上げていくものという考えをまだお持ちであればこの時点でこれを払拭してください。重要なことは、SuccessをDefineする場であるキャリアビジョンはできるかぎり大きく、Vividに描き、そのうえで、そのビジョンと今との乖離を埋めていく、これが基本です。
 
 1.の ‘売り’ を描くまえに、ゴール、すなわち、キャリアビジョンが十分に ‘自分の売り’ を描くに足るほど大きく描けているかを確認しましょう。
 
 そのポイントのひとつは、前々回で説明したように、目標を描く時に、抽象の階段を上り下りしながら、その抽象度を上げ、揺るぎないゴールにしていくことです。
 
 その時の視点のひとつはTrans-personalな視点を獲得すること。これもすでにお話しているように、小さなエゴを離れ、利他的視点を獲得すること。
 
 こうして描かれたゴールは揺るぎないものと信じます。
そうして考えましょう、あなたの ‘売り’は? あなたのアピールポイントは?
これが、あなたのefficacy(自信)を裏付けてくれます。
また、その社会的価値( Social role )が確固としていれば、その対価としての報酬は必ずそれに見合うかたちでついてくると、決めましょう。
 
 また、世に言う‘引き寄せの法則’は何かが幸運を引き寄せてくるのではなく、ご自身が描くゴールが大きく、鮮明であればあるほど目の前に現れる光景が違って見えてくるということを言っているわけです。すなわち、その大きな、強烈なゴールが自分の中に鮮明に描かれてくると、これまで見ていたと同じ光景であってもそこに新しい何かが出現したかのように、すなわち、あたかもそれを引き寄せたかのように見えるだけなのです。すでに前からそこに有ったのに!!
 
2.次に、その ‘売り’ を裏付けする、資格、スキルをリストアップしましょう。
 
 その時のポイントのひとつは、これも以前申し上げたことですが、その分野、専門を徹底して絞り込むことです。すなわち、自分だけのユニークな専門分野を確立することです。これは、言わば、戦略的縦展開。そのうえで周辺の分野も専門とする領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的横展開。すなわち、翻訳を例にとれば、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。この縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入は約束されるでしょう。
 
2つめのポイントは、以下のようなLimited Beliefを解き放つことです。
・私の才能は限られている。
・私には十分な時間がない
・私は一流の翻訳者にはなれない
・一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ
・私はお金に恵まれていない。
・私は運がない人間だ
  等々
 自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
 自分に不都合に決めている自分を解放しましょう。
 
3.さて、ここまでくれば、次のキャリア履歴書は簡単かもしれません。
 
望む仕事歴を好きに書いてみましょう。
あたかも実現したかのように。
 
 さあ、こうして描いた5年後の未来履歴書を、5年後の自分が確認している姿を想像してみましょう。
その時の現実と寸分違わない履歴書が出来上がっていることに気づくでしょう。
 
そう決めましょう。
 
 ちなみに、この原理原則は個人、すなわち自然人でも、会社組織、法人でも同様です。
最後に、少し観点を変えてこんな視点をバベルグループを例にご紹介します。
 
それは、
1.MISSION   使命
2.GOAL    これを達成するためのゴール
3.OBJECTIVE そして、ゴールを実現するための具体的な施策
という考え方です、米国のバベル翻訳専門職大学院は以下のように1.2.3を掲げています。

http://www.babel.edu/mission/
 

 同様に、大学院事業を含む、42年の歴史を持つバベルグループは以下のようなMISSION、GOAL、OBJECTIVEを50年、100年に向けて掲げています。
 
バベルグループの使命
MISSION
智の宝庫である地球【 Global Knowledge Gardenにおいて、
翻訳を通じて智の共有を実現し、
人々に気づきをもたらし、
共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
GOAL
そのために、
翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、
翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、
そして、
翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
OBJECTIVE
そして、これを実現するのがバベルグループの各事業です。
http://www.babel.co.jp/

 
――――――――――――――――――――――――――――――――
【キャリアサクセス実現シート】
 
STEP 1. 自己発見シートの作成
    Find your own uniqueness
 STEP2. キャリアビジョン作成
    Define your own success
 STEP3. スキル棚卸しシート作成
    Do your own inventory
 STEP4. 5年後の未来履歴書作成
    Write your future resume  
 STEP5. 5年間のアクションプラニング作成
    Make your action plan
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 
それでは、STEP4の「5年後の未来履歴書作成」 は、以下からお願いします。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc4.html
 
このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4と
順にこなしてください。
 
今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を
試してみませんか。この未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を
決める、そんな‘不思議’な体験をするでしょう。
 
【寄稿のお願い】
Phase 4. Write your future resumeにご応募いただき、その感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2,3を完成させてから、4の感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間12月30日(金)、原稿締切は1月5日(木)となります。
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第164号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第5回 
あなたのスキルの棚卸をしよう

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 まず、My Success Career - 私のしたい仕事、キャリアビジョンを大きく描けたか、そこから確認しましょう!
 
 前回は「Define your own success」として,あなた自身のUniquenessに基づきMy Success Career - 私のしたい仕事を定義しました。みなさんはどんなキャリアビジョンを描きましたか。
 
 そこでですが、次のステップとなるスキルの棚卸しに入る前に、あなたのキャリアビジョンが十分大きなものとして描けたか見直してみましょう。
 
 そのビジョンが今のキャリアの延長線上に容易に想像つくものであれば、今一度、描き直してみましょう。年商を入れても、社会的評価を入れても、抽象表現を加えてでも、どんな形式でもよいので思いっきり大きなビジョンを描いてください。
 
 思い出してください。前回、翻訳者として自立する時に、その分野を徹底的に絞り込む必要性を説明しました。と同時に申し上げたのは、その専門を軸に、翻訳スキルの横展開をすることです。すなわち、その専門分野で翻訳をするだけでなく、講演、レクチャーができるようになる、さらにはその分野のライターとなる。もちろん、その分野の大きな翻訳プロジェクトが発生したら、そのプロジェクトマネージャーとして仕事を仕切る。さらにそれを個人起業から例えば株式会社組織へと展開していくそんな、幅と厚みを持ったキャリアを創ることを提案いたしました。
 
 あなたがあなたの限界を決めて、小さく収まってしまったら、それはキャリアビジョンとしては不十分です。あなたのLimited belief(自分の限界を自分で決める)がそのビジョンを大きく描くことを妨げていないか、再度、自身に問いかけてみてください。
 
 私の才能は限られている。
 私はお金に恵まれていない。
 私は一流の翻訳者にはなれない。
 一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ。
 私は運がない人間だ。
 私には十分な時間がない。
 等々
 
自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放してみましょう。
そして、大きな成功をイメージしてみましょう。
年齢なんて関係ありません。
 
また、周りには親、親戚をはじめ多くのDream Killerが居ます。そんなこと時間の無駄だから、自分の才能を過信するな、などなど、これらの騒音からご自身を解放してください。
 
 そして、この大きなビジョンがあってこそ、次のステップ、自分の棚卸しをする意味があります。
 
 では、あなたのスキルの棚卸しをどのようにするか、説明して行きましょう。
 
 初めに、みなさんが翻訳関連でキャリアビジョンをお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリアを創り出すに必要な能力を以下の5つ、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみましょう。これら6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしてみます。
 
・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然必要な言語関連のスキルです。
  また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。
 
・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる心を持っているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。

・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。
  そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。
 
・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な技術です。
 
・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のマネージメント技術。自立を目指すに欠かせません。
 *参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格試験」をご覧下さい。
   
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html
 
・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験を積みながら磨いていきましょう。
 
――――――――――――――――――――――――――――――――
【キャリアサクセス実現シート】
 
STEP 1.  自己発見シートの作成  Find your own uniqueness
STEP2.キャリアビジョン作成    Define your own success
STEP3.スキル棚卸しシート作成  Do your own inventory
STEP4.5年後の未来履歴書作成  Write your future resume
STEP5.5年間のアクションプラニング作成  Make your action plan
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 
さて、以上を参考に、まずはみなさんで、STEP3のスキルの棚卸しをしていきましょう。
 
その上で、現在の自分の強み、弱みを明確に自覚して、その強みを更に強め、弱みを段階的に改善していくことが必要です。しかし、以前にも申し上げましたように、長所伸展、強みを徹底的に強くする、その方が実は成功に結びつくのに近道のようです。
 
それでは、STEP3のスキルの棚卸し診断は、以下からお願いします。
https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc3.html
 
このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3と順にこなしてください。
 
今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を試してみませんか。次の関門は STEP4.( 5年後の未来履歴書作成  Write your future resume)です。未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を決する、そんな不思議な体験があなたを待っているかもしれません。
 楽しみにしてください!!
 
Today is the first day of the rest of your life.
 

【寄稿:Phase Ⅱ:Define your own success
石井ふみ
葛西優子

【寄稿のお願い】
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventoryにご応募いただき、その
感想を2000字前後(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2を完成させて、併せての感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間12月12日(月)、原稿締切は12月20日(火)となります。
http://www.babel.edu/find-your-own-uniqueness/
 

寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第163号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association

翻訳で何をしたいか  第4回 
Define your own success―自分のキャリアビジョンを導き出す

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 前号では「MY OWN UNIQUENESSを探る」と題して、キャリアサクセス実現シートのPhase を完成させました。今回、Phase では、そのuniquenessに、仕事の満足度の視点を加味し、肉付けしていきます。ここでは、言わばIdentityを再度考えることになります。
 
 そして、Uniqueness +Satisfaction⇒ Identityを導き出し、更に、その仕事、その キャリアのもつ意味、Missionとその仕事を後押しする外部環境、すなわちTrendを考え、その3つの視点の交わる場となる【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を求めていくことになります。
 
そこが、言わば、あなたが your own successをDefine、 定義する場となるでしょう。
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
 それでは、Phase 1でUniqueness、‘ 自分の売り ’ を絞り込んだあなたはPhase 2では、それに加え、仕事に対して何を求めるか、その満足度、Satisfactionを考えてみましょう。
お金、名誉、地位、専門性、いや私は自己実現、そんな人もいるでしょう。
 
ところで、みなさんはマズローの欲求5段階説をご存知でしょうか。
 基本的な生理的欲求から、安全(安定性)欲求、愛情(所属 / 社会的)欲求、尊敬(承認)欲求、そして自己実現欲求に至る5段階の欲求をマズローは説いています。
ところで、こんなことをご存知ですか。
 
 マズローは亡くなる間際に、欲求を5段階に分類したけれど、人間の欲求には6段階目があるのではと主張したのです。それはTrans-personal、すなわち個人の利益を越える欲求、利他の欲求が最も高度な欲求ではないかと考えたのです。
 
 さてあなたは、仕事に何を求めているのでしょう。これは必ずしもひとつということではないでしょうから、3つ挙げてその優先順位を%で考えてみましょう。
 
次に、Missionを考えてみましょう。
Social Roleと言い換えても良いのでしょう。
その仕事が、社会にどんな影響をもたらしているのか。
それを考える手がかりになるのは、前号でお伝えした、「抽象の階段を登る」方法でしょう。
その仕事、キャリアが具体的にもたらす利だけではなく、より抽象度の高いところで、その仕事の恩恵を考えてみましょう。
 
 例えば翻訳の場合、できれば翻訳それ自体より、もう一歩踏み込んでどんな分野の翻訳か、絞り込んだうえで、「抽象の階段を登る」ことにチャレンジしてみましょう。
 
 ご存知のように、Missionは日本語では使命と翻訳されます。その言葉の通り、その選択したことは自分の‘命を使う’に値することなのかを熟考してみましょう。
 
次に、Trendを考えてみましょう。
もちろん、ここでいうトレンドはfadというような一過性にものを言いません。
事象が移り変わろうとも、変わらぬ大きな潮流とも言えましょうか。
これを考えるには、Mission同様に、前に申し上げた具象から抽象への階段を登っていく必要があるかもしれません。翻訳であれば、その分野を絞り込んで考えてみましょう。
 
 細やかな流行の底流に流れる普遍的流れ。
 翻訳においてその分野を選んだのはなぜか、その底流にあるトレンドを考えてみましょう。
 
さて、以上を参考に、まずはみなさんで、この3つの視点の交点となる
【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を描いてみましょう。
 
Phase2の診断に進むには、以下のPhase1の記入を終えてから、次に進んでください。
するとページはPhase2に移ります。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html
 
Phase の解答が未だの方は、今からでも始めてください。
 
 このキャリアサクセス実現シートによるキャリア形成は、ここまでのPhase1とPhase が基本となります。従って、このPhase1,2は、一旦すべてを中断してでも、真剣に取り組んでもらいたいステップです。
 

【寄稿:Find your own uniqueness―自分さがしの試み

石井ふみ
葛西優子
伊東小百合


【寄稿のお願い】
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own successにご応募いただき、その
感想を2000字前後(1500ワード前後)でお書きください。
なお、ここから寄稿される方はPhase1,2を完成させて、併せての感想を2000字前後
(1500ワード前後)でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは日本時間11月28日(月)、原稿締切は12月5日(月)となります。

http://www.babel.edu/find-your-own-uniqueness/
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第162号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
翻訳で何をしたいか 第3回 
Find your own uniqueness―自分さがしの試み

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 さてこれから、ご一緒にご自身のキャリアサクセス実現シートを作成して行きましょう。
そのプロセスは以下の5つのステップより成ります。
 
 今回はその第1ステップです。


キャリアサクセス実現シート

Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
皆さんはすでに、以下のフレーズをご存知でしょうか。
Find your own uniqueness, define your own success.
米国の教育理念の基本コンセプトを表す言葉です。
 
個々人の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は決まります。
 
 長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われますが、これも同根の考え方です。
 
 更に言えば、have to からwant to 、何々しなければならないからするのではなく、そうしたいからそうする、という発想です。
 
 日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価をするそんな傾向には流されないようにしましょう。
 
生まれながらに持った固有の特性を活かし生ききることが人間としての生きがいでしょう。
 
 
「ジョハリの窓」でご存知のように
・自分も他人も知っている自分
・自分は知っているが他人が知らない自分
・他人は知っているが自分は知らない自分
・自分も他人も知らない自分

 なかでも、他人は知っているが自分は知らない自分に驚かされることもあるかもしれません。身近な人にでもいいので聞いてみましょう。
また、この診断を詰めていくと、やがて、自分も他人も知らない自分があぶりだせるかもしれません。
 
 どんな仕事を自分の天職と考え、選ぶのか、これも自分のuniquenessを徹底的に追求することから出会うのかもしれません。
 
いや、逆に、偶然、たまたま天職に出会った、それが意外と真実かもしれません。
 
 日経新聞に「私の履歴書」というコラムがあることはご存知の方も多いかもしれません。日本が誇るべき人物にその履歴を語っていただく記事です。皆様はこの記事の中で最も多く使われるフレーズをご存知でしょうか。それは、「たまたま」、「偶然」といった表現だそうです。このフレーズは深読みすれば「必然的に」と読み替えることができるでしょう。
世の中を動かしている真実は’たまたま’を’必然’に読み替える仕組みかもしれません。
 
たまたま’翻訳’というキーワードに遭遇するとします。
 
 そうしたら、次には、‘翻訳’とは何かを深く読み込み、なぜ翻訳をしたいのか、これを徹底的に追求して、どんどん抽象化していきましょう。そこで突き当たる何かが、あなたの使命かもしれません。
 
以下のSTEP1 自己発見シートで、ゼロベースでご自身を振り返って見ましょう。
STEP1. シート 
 
これを終えたら、STEP2. Define your own success ご自身のキャリアビジョンを描くことに移ります。
 
この2つのステップがこのキャリアサクセス実現シートの核となるプロセスです。
 
なお、次のSTEP2は、次号で解説をいたしますので、解答はお待ちください。
全てステップを終え、全てを書き終えたところで、改めて自己評価を試みましょう。
 
 最後に、今さら、キャリアデザインなんて、と年齢を気にしている人がいたら、こんなことばをお送りしましょう。
Today is the first day of the rest of my life.
物事をはじめるのに、早い、遅いはないはずです。         
 
【寄稿のお願い】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness にご応募いただき、その
感想を2000字前後でお書きください。
なお、原稿には必ず2,3行のプロフィール(大学院生の場合は専攻名含む)を最後に入れてください。なお、ワーキングポイントの場合は10,000ポイントです。
申込み締め切りは11月15日、原稿締切は11月20日となります。

http://www.babel.edu/find-your-own-uniqueness/
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
寄稿を希望される方は、その旨をこの記事の下欄にご記入ください。

第161号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
翻訳で何をしたいか

第2回 「抽象のはしごを自在に上り下りし、どこに至る」

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 先回は翻訳者としてのEfficacyを高める重要性を力説しました。そうは言っても、という方も多いかとは思いますが。ここは、一度過去をふり切って思い切って演じてみましょう。
 
 Efficacy、それは能力の自己評価、これを高く設定したうえで、次回以降の以下のMy Domain( My Success Career) 設定のためのワークをしたいと思います。
 

 


【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
では、そのEfficacyをどう高めるか、以下の視点で考えて見ましょう。
 
 Efficacyを高める、自己の自己評価をどう高めるか、自己の目標を高いところでどう合理化するか、いまの自分にどう自信をつけるか。
 
みなさんは「抽象のはしご」をご存知ですか。
 
 抽象のはしごを上がるとは、例えば、動物の犬という概念を例にとるなら、パピオン→洋犬→犬→哺乳類→動物→生物→生命という具合に抽象度を上げていくことを言います。逆に、抽象のはしごを降りるにはその逆をたどればよいことになります。
 
 としてみると、一般的には、文化、文明度が高い人ほど、抽象のはしごの上り下りが自由にできる、すなわち、抽象―具象思考ができると言えるでしょう。
 
これを、こうした概念操作から、行動に視点を当ててみましょう。
 
 例えば、日常生活を振り返って見ましょう。お掃除をする、料理をする、食事をする、テレビを観る、すべて具体化された‘こと’のエンドレスの連続です。
 
 では仕事ではどうでしょう。計算を入れる、メールを書く、書類を作る、会議をする、これもそんな具体的行為の連続です。
 
 しかし、我々はこうした具体的行為に忙殺され、それが生活すること、それが働くこと、と考えてしまうと、つい、どう生きるか、なんのために働くのかを看過してしまいがちです。
  
 そこで一度、とどまって、抽象のはしごを上がってみましょう。なんのためにお掃除をし、料理をし、食事をし、テレビを観ているのでしょう。また、なんのためにメールを書き、書類を作り、計算を入れている、会議をしているのか、はしごを上がって俯瞰してみましょう。
すると、それらの意味が蘇生し、自分に主体性を取り戻せ、生きているという実感、働くことの意味を実感できるように なるかもしれません。
 
 さらに、皆さんが翻訳の勉強をしている場を考えて見ましょう。原書を読む、訳文を作る、それを提出する、指導を受ける、それを復習する、等々、これも一旦、中断しその抽象のはしごをのぼり、なんのために翻訳学習をしているのか、思いを巡らせて見ましょう。
 
 それは、単に私は絵本の翻訳家になるため、ミステリーの翻訳家になるため、リーガル翻訳者になるため、という抽象化にとどまらず、その更に先の抽象化を考えてみてください。
なんのための翻訳、そもそも翻訳って何、そんな抽象思考を試みるとあらたな気づきに出会えるかもしれません。
 
 もちろん、抽象世界にとどまっていては先に進みません。具体化と抽象化を行き来することで、事象が俯瞰でき、目標により深みが加わり、目標がしっくり自分のものになり、それが、ひいてはEfficacyが高まることになると言えるのではないでしょうか。
 
 翻って、特化型AIから汎用型AIに移行する2030年前後は第4次産業革命と言われるように、ビジネスは新しいパラダイムの時代にはいると言われています。翻訳においても当然、AIを活用した人間主体の考え方、働き方が求められて来るでしょう。
 
 すなわち、‘翻訳で何をする’、翻訳の先に何を想い、翻訳で何を実現しようとするか、です。受け身的に翻訳の仕事を受けるだけでなく、自ら使命とする翻訳のプロジェクトを提案するなど、マイドメインに沿ったオンリーワンの翻訳情報ビジネスを立ち上げてほしいと思います。
 
 汎用型AIが言語の壁を越え発展しようと、それにより自動通訳、自動翻訳の技術が一定程度の成果を上げてきても、‘翻訳で何をするか’、翻訳でどんな課題を設定し、翻訳の原理である‘智の共有’をどの領域で実現し、そこからどんな社会効用を生み出すのか、これこそ人間でなければなしえないことでしょう。
 
 翻訳者たちがそれぞれの使命に目覚め、その課題を発見し、これを翻訳情報ビジネスに発展させ、以って社会貢献する。そして、そのこと自体を人生の楽しみとする、今やそんな翻訳環境を創造していくステージに入ってきたと確信します。
 
ここが抽象と具象の行き来から到達する次のステージかもしれません。

第160号 ALUMNI編集室から

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
翻訳で何をしたいか

バベル翻訳専門職大学院 副学長 堀田都茂樹

 最近、大学院生、アラムナイの方々とキャリアカウンセリングをする機会が多くなりました。その際気づくのは、自身の目標が初心からずれはじめ、学習が前に進まず滞っている場合が多いことです。長い人生、長い学びの過程で‘ぶれる’ことは当然かと思いますが、なかなかそのぶれが修復できない方もいらっしゃるようです。かく言う私も常に‘ぶれ’を修正しながら生きていると言うのが真実ですが。
 
今回から8回にわたって、Find your own uniqueness, define your own success.を念頭に
成功するキャリアの創り方を連載していこうと考えています。このテーマは1年前に連載してきたものですが、最近の新しい視点も織り交ぜながら皆さんとともに考えていきたいと思います。この連載の核となる【Find your own uniqueness, define your own success career診断】は、ご自身で体験することが必要だと思います。
 
第1回 「翻訳のプロとして‘MY DOMAIN’を創る 翻訳者としてのエフィカシーをどう高めるか」 
 
 翻訳者としてのエフィカシーをどう高めるか初心にかえり、暫しを自分を再発見するための仕込みの期間と考えて、ご一緒に‘MY DOMAIN’ をつくることにチャレンジしませんか。
 
これが【Find your own uniqueness, define your own success career診断】です。
 
 この詳細は、次回以降にご紹介しますので、ここでは簡単にご説明しておきます。以下の5つのワークシートを使って、あなた自身のキャリアの成功領域‘MY DOMAIN’を創っていきます。ワークシートは次の5種です。
 
【キャリアサクセス実現シート】
Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
 
今回は、その‘MY DOMAIN’ づくりのワークに入る前の準備のお話しです。
 
 それは、まず、「なぜあなたは翻訳という仕事を選んだのか」という問いから始まります。‘MY DOMAIN’ づくりの前提として、ご自分の翻訳ビジネスへ向かう動機を、今一度、考えてみましょう。そこで考えていただきたいのが‘翻訳者としてのエフィカシー’ということです。
 
あなたはエフィカシー(efficacy)ということばを聞いたことがあるでしょうか。
 
 コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、能力の自己評価のこと。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。
 
 あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。
翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。
 
 翻訳では大金は稼げないと、半ばあきらめ、達観していませんでしょうか。お金を稼ぐことだけが目的なら、職業を変えれば良い訳で、それは安易に翻訳という職業を選んだ結果だ、とも言えるのではないでしょうか。
 
 ただし、この点に限って言えば、翻訳でも十分お金は稼げます。翻訳出版で何億円もの印税収入が得られた例もご存知ですね。でも、そんな上手い話は少ないと思う方は、ビジネス翻訳で戦略的に専門分野のキャリアを創れば、コンスタントに収入が得られます。
 
 お金でお金を稼ぐ投資家のような商売であっても、上手くいく人もいれば、失敗する人もいます。何が成功と、失敗を分けるのでしょうか?
 
 では、翻訳ビジネスではどうすれば、望む収入を得られるようになるのでしょうか? それには、2つの方法があります。この詳細は、これ以降、ワークシートに沿って説明しますが、ここでは簡単に説明しましょう。
 
 そのひとつは、翻訳の分野、専門を徹底して絞り込むこと。自分だけの専門分野を確立することです。そのうえで周辺の翻訳分野もその対応領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的縦展開。
 
そして、2つめはその翻訳ジャンルを戦略的に横展開すること。
 
 すなわち、その特化した分野での翻訳業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、リサーチ(レポートを書く)等、翻訳の専門分野に基づく領域を横に広げていくことです。
 
 翻訳という職業でお金を稼ぐことを考えるうえでは、この様な縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入につながります。
 
 話をもとに戻しましょう。ここで改めて自らを省みる意味で、翻訳者としての、あるいは翻訳ビジネスに就くものとしてのエフィカシー(efficacy)を考えてみましょう。
 
 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)、高い自己評価をあなたは持っていますか、自信はありますか?それができないから、こうして悩んでいる・・・・。そんな声が聞こえてきそうですね。
 
 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)をどう高めるか、それは、あなたのドメインを作る上で欠かせないもので、翻訳のもつ本質的な意味を考えることに等しいと思います。
 
 あなたは翻訳者をめざし、翻訳業に携わり、翻訳をどうとらえて、翻訳にどんな生きがい、やりがいを感じていますか。
 
 ふと出会った、ある国のある書籍の翻訳書から、人生を変えるヒントをもらい、そこから人生の景色は一変したという方もいらっしゃるでしょう。
 
 また、ある国、ある地域の人々が行っていたその土地固有の社会習慣を字幕翻訳付きビデオで見て、自分の国、地域社会を動かすひとつの仕組みとして利用できると気づいて、これをきっかけに社会起業家として自立したという方も知っています。
 
 そのように、翻訳という行為は、世界の‘智’の共有を実現し、新たな気づきを誘発するのに重要な役割を果たしています。
 
 このように、翻訳者の世界的、宇宙的役割に目を向ける時、翻訳に携わるものとして、そのefficacy(自己評価)が一変するように信じます。
 
 世の中には、お金を稼ぐだけなら、翻訳者より稼げる職業は山とあるでしょう。
しかし、皆さんが、そして、BABELグループが翻訳という仕事を選んだ理由、その意味を今一度、自らに深く問いかけてみたいと思います。
 
 バベルが、42年に亘り、バベル翻訳専門職大学院、バベルプレス、ブックス&ライツマーケットプレイス、翻訳者派遣・紹介業、翻訳サービス等の事業を行い、今、『The library for Professional Translators』、そしてその発展としての『地球図書館(Babel Library)』創りを進めようとしているのは、まさにバベルの使命と信じる翻訳のもつ地球的、宇宙的意義に気づいたからです。
 
 皆さんも、この機会に‘私は、今、なぜ翻訳なのか’を改めて自らに問いかけてみてはいかがでしょうか。そこから再出発するのも回り道とはならないでしょう。
 
 では、次回から、5つのワークシートの作成方法を解説していきます。それまでに、あなたのドメイン(あなた固有の専門領域)について思いを巡らし、あなた自身の エフィカシーを意識してみましょう。

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