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●2020年11月24日 第259号 巻頭言●

「世界は翻訳である、と、知る体験をしよう!」―その2






  

 


バベル翻訳専門職大学院 学長 湯浅美代子 
 

 もう10月、東京は大分涼しくなってきました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
そして、あなたご自身の翻訳の探求の旅、楽しんでおいででしょうか?

 今や東京では、仕事でも、私用でも、街中を行き交う人々は皆マスクを当然のように着用し、しかも、白や黒、肌色やグレー、花柄など色とりどりのマスクファッションが花盛りです。まるで、マスクファッションを楽しんでいるかに見えます。
 手作りマスクでカラーバリエーションを楽しみつつ、半年以上も着用し続けているので、すっかり、必須アイテムになり、なんとなく手放せなくなっているのでは?などと、老婆心ながら観察しています。
 「どんな時でもおしゃれ心を忘れない!!」という精神は、とても素晴らしい大事な点です。また、おしゃれ心とはとても素敵ですが、おしゃれ心に限らず、いつもこのような、何か自分らしい流儀を持って生きる!という自己流精神がポイントです
 という私は、ノーマスクです。なんだかわけがわからなかった2月、3月頃までは、マスクは品切れで買えませんでしたから、自宅にあった子供用の小さいマスク、多分小学校などで給食担当の子供たちが装着するのかと思いますが、小さなサイズなので、ほとんど口の周りだけを隠す、というようなサイズでしたが、それを、事務所受付やお店に入り、人と話すときは使用しましたが、外に出たらすぐに外していました。昔から、マスクはほとんど使用したことがなく、風邪をひいてもマスクなど使用しなかったと思います。くしゃみはハンカチで口を覆えばいいのですし、無いときは袖でも、手でもいいのです!(笑)というくらいどうでもいいのでは?というズボラな考え方なのですから。(笑)

 ところで、「パンデミック」などという現象は、どういう状態なのか?を考えてみましょう。つまり、「パンデミック」とは、人々の心、意識の状態が自立した平常心を失って、不安、恐怖に支配されてしまい、事態を客観的に観るという正常な心の働きができない状態、と定義できます。今回のコロナ騒動は、現状の人類の精神的基盤や科学知識、文化・文明というものが人々のあいまいな心の状態に依存・依拠していて、特別に確固たるものではなく、過去の体験、記憶情報に依存しているにすぎないのではないか?つまり、記憶と過去の体験により制御された日常というシステムを共有しているに過ぎないのではないか?という気づきを与えてくれたのです。
 ここで思い出されるのが、AIですね。AIと私たち人間の意識は、このコロナ騒動の対応だとあまり褒められたものではないですね。これでは、AIとたいして変わらなくなってしまいますが、私たちとAIとの基本的な違いは、この日常のシステムにあるのではなく、非日常、つまり、毎日同じことを繰り返す日常はAIに任せて、人間としての存在理由(レゾンデートル
raison d’etre )を問いかけるとき人間の意味があるのですね。このように、私たちには、人間としての存在理由(レゾンデートルraison d’etre )を問いつつ生きていく、という点にあります。AIは自己の存在理由(レゾンデートルraison d’etre )を決して問うことはないでしょう!!

 ところで、ご承知の方も多いかと思いますが、[YouTube 松田政策研究所ch.]で、巻頭言文末、参照)
既に日本では集団免疫が成立(★京都大学大学院特定教授上久保先生の集団免疫研究)しているそうで、死亡者数は激減しているようです。同時に上久保先生の書籍「ここまでわかった―新型コロナ」が出版されています。よろしかったらお読みください。

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●2020年11月24日 第259号 ALUMNI編集室から●

発行:バベル翻訳大学院 ALUMNI Association
 

【シリーズ】翻訳の観点から日本語を再考する
  第二回 「日本語が世界を救う、そう思いますか? 」









バベル翻訳専門職大学院(USA) 副学長 堀田都茂樹
 


 今回は、以前執筆した私の原稿内容を題材に、世界中に広がっているバベルの大学院生、修了生、関係者の方々に日本語についての率直な意見を伺いたいと思います。

ここでご紹介する深い話は、カナダのモントリオール大学で25年に渡って日本語を教えてきた金谷武洋氏の「日本語が世界を平和にするこれだけの理由」(飛鳥新社発行)に収められた体験談に基づくものです。

 まず、皆さまはウォーフ・サピアの仮説をご存知でしょうか。これは、母語、つまり子供の時に家庭で覚えた言葉で、世界の見方が決まる、という仮説です。ここでは、第2外国語として学ぶ言語も学ぶ人の新しい世界の見方を形づくる、という話です。

 では、日本語とはどんな言語なのか、本誌の読者には翻訳者を目指される方が多いので、ここで紹介されている翻訳に関するあるエピソードから始めたいと思います。

 NHK教育テレビ「シリーズ日本語」という番組での話です。番組の講師は言語学者の池上嘉彦氏。この番組の中では、川端康成の有名な作品「雪国」の冒頭部分の日本語とE・サイデンステッカー氏の英語を比較することで日本語の特性、英語の特性を明らかにしようという企画です。

 「国境の長いトンネルを抜けると、雪国であった」という日本語とその英訳
「The train came out of the long tunnel into the snow country.」を考察しています。

この原文の日本語を追体験すると、「今、列車はトンネルの暗闇の中を走っているが、私はその車内に座っている。おやおや、だんだん窓の外が明るくなってきたぞ。やっと長いトンネルを抜けるみたいだな。そーら、外に出たぞ。うわー、山のこちら側は真っ白の銀世界じゃないか。雪国なんだ。」

 すなわち、時間の推移とともに場面が刻々変化していくのを読者が感じていて、主人公が汽車の中にいて読者の視線も主人公の視線と重なり合い、溶け合っていると言うのです。

 これに対して、英訳のThe train came out of the long tunnel into the snow country.は、
どのように受け止められるかを、その場に来てもらった英語話者に絵で情景描写をさせています。

 全員が上方から見下ろしたアングルでトンネルを描いたと言います。
日本語では汽車の中にあった視点が、英訳では汽車の外、それも上方へと移動しているわけです。



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●投稿願いあり

2020年11月24日 第259号 掲載記事

第259号掲載記事
WEB版 The Professional Translator
2020年11月24日号 (第259号) <新創刊2010年2月24日第1号発行/通巻第687号>

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